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羽毛の輸入
平成 25 年 10 月 22 日 横 浜 税 関 横浜港は、7年連続で輸入数量、金額とも に全国第1位! はじめに これからは秋が深まり、寒さの増す季節になってきます。 寒さをしのぐ商品はいろいろありますが、その一つとして羽毛製品があります。 羽毛は、アヒル、ガチョウなどの水鳥から採れ、さまざまな商品の詰物として利用さ れますが、日本ではふとん用として最も多く加工されています。従来、ふとんの中綿と しては、木綿が一般的でしたが、1970 年ごろから軽くて暖かい羽毛のふとんが普及 しだし、現在では一般家庭だけではなく、多くの病院、ホテル等でも利用されています。 現在日本で羽毛は、ほとんど産出されておらず、国内において流通される羽毛のほとん どは輸入されたものとなっています。 横浜港は、平成 24 年の羽毛の輸入において、7年連続して輸入数量及び金額ともに 全国第 1 位の輸入港となっています。今月は、「羽毛の輸入」について特集します。 過去 10 年間(平成 15 年∼平成 24 年)における「羽毛」の月別平均輸入数量の推移(全国) 本特集の「羽毛の輸入」は、輸入統計品目番号 0505.10-000 についてまとめたものです。 - 1 - 輸入動向 平成 24 年の全国における羽毛の輸入実績は、輸入数量が 3,889 トン(対前年比 3.5% 増)、輸入金額が 173 億 89 百万円(同 15.2%増)でした。 このうち、横浜港においては、輸入数量が 1,337 トン(対前年比 0.6%減)、輸入金額 が 66 億 23 百万円(同 14.3%増)でした。 国・地域別輸入シェア 平成 24 年において、全国では 17 カ国・地域か ら、横浜港では 12 カ国・地域から羽毛が輸入され ました。 国・地域別の輸入数量及び輸入金額をみると、 全国及び横浜港ともに、中華人民共和国からの輸 入が第1位に、台湾からの輸入が第2位となって います。 羽毛はアヒル、ガチョウなどの水鳥から採取さ 飼育農場風景(ポーランド) れますが、主に食肉用として飼育された水鳥の 副産物として利用されていることから、産出量に ついては各国の食習慣などの変化にも影響されるそうです。 全 国 横浜港 数量 輸入額 数量 国・地域 (KG) 構成比 (百万円) 構成比 中華人民共和国 1,719,253 44.2% 7,433 42.7% 中華人民共和国 台湾 1,123,821 28.9% 4,638 26.7% 台湾 フランス 326,118 8.4% 1,164 6.7% ベトナム 214,000 5.5% 696 ハンガリー 208,025 5.3% その他 297,446 3,888,663 計 輸入額 国・地域 (KG) 構成比 (百万円) 構成比 680,868 50.9% 3,432 51.8% 477,236 35.7% 2,066 31.2% ハンガリー 55,275 4.1% 437 6.6% 4.0% ベトナム 26,460 2.0% 88 1.3% 1,404 8.1% ポーランド 26,004 1.9% 210 3.2% 7.6% 2,054 11.8% その他 70,986 5.3% 390 5.9% 100.0% 17,389 100.0% 1,336,829 100.0% 6,623 100.0% - 2 - 計 港別輸入シェア 平成 24 年において、横浜港は輸入数量で 34.4%、輸入金額で 38.1%のシェアを占め ており、輸入数量及び輸入金額ともに、7年連続で全国第1位の羽毛の輸入港となって います。 横浜港のシェアが高い理由として、関東地区に多く所在する羽毛加工工場やふとん工 場への運送が便利であることや、燻蒸処理など羽毛特有の輸入業務になれた業者が多く 存在することなどによるものです。 今後の見通し 輸入される羽毛は国内において主にふとん用として加工されていますが、業界では少 子化等によるマーケットの減少があるものの、 ① ふとんは生活必需品であること ② 健康志向により快適な睡眠を求めている人が多く、良い寝具を求めている人が 多いこと などから羽毛の輸入数量は横ばいで推移する一方、羽毛の採取量が減少傾向であるこ とに加え海外における羽毛製品の需要が増加していることから、輸入金額については増 加傾向で推移していくものとみています。 <取材協力> 日本羽毛製品協同組合、西川産業㈱、㈱ホップライオンジャパン (五十音順) 【この資料に関する問い合わせ】 横浜税関 調査部 調査統計課 Tel 045-212-6100(直通) 〒231-8401 横浜市中区海岸通 1−1 (横浜税関 本関庁舎 1 階) http://www.customs.go.jp/yokohama/ ※本資料を他に転載するときには、横浜税関の資料による旨を必ず注記して下さい。 - 3 - 羽毛の輸入に係る各種データ 1.過去10年間(平成15年∼平成24年)における「羽毛」の月別平均輸入数量の推移(全国) 種類別 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 (単位:KG) 8月 9月 10月 11月 12月 月平均値 413,149 283,667 311,821 320,668 290,755 273,960 347,222 388,185 370,376 444,940 445,525 421,573 平成15年 404,213 213,773 266,982 345,674 351,130 369,565 332,136 390,243 494,097 500,000 490,704 546,501 16年 561,780 302,162 398,001 469,409 312,818 312,470 462,179 541,339 378,028 455,454 505,725 491,403 17年 429,259 369,912 315,380 340,249 409,880 387,966 379,716 414,403 357,883 490,222 530,983 373,566 18年 441,601 293,465 332,124 360,628 431,226 472,841 460,817 519,374 413,523 374,282 390,470 325,731 19年 351,261 334,189 172,906 395,114 283,862 281,768 354,936 368,039 343,966 440,783 443,843 370,745 20年 596,435 404,977 475,917 352,829 241,274 119,351 274,844 195,235 235,505 411,971 395,816 417,662 21年 316,683 248,687 438,160 265,388 311,564 160,657 287,043 366,601 332,511 482,926 406,389 400,856 22年 288,987 266,435 223,766 158,645 148,372 221,472 343,580 366,663 419,907 408,491 382,912 450,152 23年 323,563 178,450 246,593 285,606 196,251 181,877 279,380 340,050 405,778 422,749 480,773 417,297 24年 417,705 224,617 248,379 233,133 221,170 231,634 297,585 379,900 322,559 462,524 427,638 421,819 2.羽毛の輸入実績推移 全 国 年 数量(KG) 昭和63年 7,927,699 平成元年 9,708,563 2年 8,810,084 3年 9,205,285 4年 8,105,121 5年 前年比 - 金額 (千円) 横浜港 前年比 25,859,473 数量(KG) 前年比 3,262 3,024,347 33,932,084 131.2% 3,495 3,137,784 90.7% 29,351,256 86.5% 3,332 2,645,844 84.3% 104.5% 28,211,941 96.1% 3,065 2,768,890 104.7% 88.0% 27,092,726 96.0% 3,343 2,658,246 96.0% 8,042,265 99.2% 21,547,776 79.5% 2,679 2,787,005 6年 8,210,917 102.1% 23,033,997 106.9% 2,805 7年 8,105,666 98.7% 24,438,093 106.1% 8年 7,713,284 95.2% 28,168,144 115.3% 9年 7,224,542 93.7% 29,161,523 10年 6,510,609 90.1% 24,337,833 11年 6,652,157 102.2% 23,573,477 96.9% 12年 6,940,797 104.3% 25,507,636 108.2% 13年 6,301,990 90.8% 21,915,883 85.9% 14年 5,433,663 86.2% 18,636,876 85.0% 15年 4,705,018 86.6% 15,979,616 16年 5,190,768 110.3% 17年 4,799,419 92.5% 18年 4,816,082 19年 20年 金額 (千円) 前年比 通関単価 (円/KG) 9,427,866 36.5% 3,117 12,156,976 128.9% 35.8% 3,874 30.0% 9,407,973 77.4% 32.1% 3,556 30.1% 9,331,735 99.2% 33.1% 3,370 32.8% 8,252,449 88.4% 30.5% 3,104 104.8% 34.7% 6,666,217 80.8% 30.9% 2,392 3,114,776 111.8% 37.9% 7,805,207 117.1% 33.9% 2,506 3,015 3,230,310 103.7% 39.9% 8,852,756 113.4% 36.2% 2,741 3,652 3,047,480 94.3% 39.5% 10,323,930 116.6% 36.7% 3,388 103.5% 4,036 2,692,642 88.4% 37.3% 9,744,926 94.4% 33.4% 3,619 83.5% 3,738 2,513,057 93.3% 38.6% 7,534,574 77.3% 31.0% 2,998 3,544 2,248,143 89.5% 33.8% 5,939,027 78.8% 25.2% 2,642 3,675 2,195,710 97.7% 31.6% 6,209,706 104.6% 24.3% 2,828 3,478 2,169,425 98.8% 34.4% 7,211,656 116.1% 32.9% 3,324 3,430 1,641,317 75.7% 30.2% 6,004,600 83.3% 32.2% 3,658 85.7% 3,396 1,430,089 87.1% 30.4% 4,965,924 82.7% 31.1% 3,472 20,697,921 129.5% 3,987 1,373,718 96.1% 26.5% 5,597,769 112.7% 27.0% 4,075 19,642,329 94.9% 4,093 1,240,734 90.3% 25.9% 5,370,955 95.9% 27.3% 4,329 100.3% 23,485,029 119.6% 4,876 1,432,590 115.5% 29.7% 7,784,543 144.9% 33.1% 5,434 4,141,412 86.0% 22,596,963 96.2% 5,456 1,572,411 109.8% 38.0% 10,724,816 137.8% 47.5% 6,821 4,121,816 99.5% 18,191,593 80.5% 4,413 1,398,409 88.9% 33.9% 8,295,525 77.3% 45.6% 5,932 21年 4,017,465 97.5% 11,046,074 60.7% 2,750 1,164,946 83.3% 29.0% 3,801,060 45.8% 34.4% 3,263 22年 3,679,382 91.6% 12,342,661 111.7% 3,355 1,414,207 121.4% 38.4% 5,352,484 140.8% 43.4% 3,785 23年 3,758,367 102.1% 15,098,879 122.3% 4,017 1,344,237 95.1% 35.8% 5,795,355 108.3% 38.4% 4,311 24年 3,888,663 103.5% 17,389,208 115.2% 4,472 1,336,829 99.4% 34.4% 6,623,247 114.3% 38.1% 4,954 平成24年1-8月 2,254,123 110.9% 9,650,239 123.7% 4,281 745,629 114.7% 33.1% 3,637,845 139.7% 37.7% 4,879 平成25年1-8月 2,464,680 109.3% 16,883,615 175.0% 6,850 1,000,933 134.2% 40.6% 7,730,960 212.5% 45.8% 7,724 - 4 - 103.8% - 全国比 38.1% (注) 平成25年1月∼7月分は確報値。平成25年8月分は輸入9桁速報値。 - 全国比 32.3% 122.5% - 通関単価 (円/KG) 3.羽毛の国・地域別輸入実績(平成24年) 全 国 国・地域名 数量(KG) 構成比 横浜港 金額 (千円) 構成比 通関単価 (円/KG) 国・地域名 4,472 全世界 数量(KG) 構成比 金額 (千円) 構成比 通関単価 (円/KG) 全世界 3,888,663 100.0% 17,389,208 100.0% 1,336,829 100.0% 6,623,247 100.0% 4,954 中華人民共和国 1,719,253 44.2% 7,432,702 42.7% 4,323 中華人民共和国 680,868 50.9% 3,431,958 51.8% 5,041 台湾 1,123,821 28.9% 4,638,438 26.7% 4,127 台湾 477,236 35.7% 2,066,001 31.2% 4,329 フランス 326,118 8.4% 1,164,369 6.7% 3,570 ハンガリー 55,275 4.1% 437,281 6.6% 7,911 ベトナム 214,000 5.5% 695,582 4.0% 3,250 ベトナム 26,460 2.0% 88,331 1.3% 3,338 ハンガリー 208,025 5.3% 1,404,057 8.1% 6,749 ポーランド 26,004 1.9% 209,598 3.2% 8,060 その他 297,446 7.6% 2,054,060 11.8% 6,906 その他 70,986 5.3% 390,078 5.9% 5,495 4.羽毛の港別輸入実績(平成24年) 港 名 数量(KG) 構成比 金額 (千円) 構成比 通関単価 (円/KG) 全国 3,888,663 100.0% 17,389,208 100.0% 4,472 横浜 1,336,829 34.4% 6,623,247 38.1% 4,954 四日市 945,304 24.3% 3,736,989 21.5% 3,953 神戸 451,696 11.6% 1,764,685 10.1% 3,907 博多 242,216 6.2% 1,124,095 6.5% 4,641 大阪 181,400 4.7% 856,315 4.9% 4,721 その他 731,218 18.8% 3,283,877 18.9% 4,491 - 5 - ○ダウンとフェザー 羽毛には「ダウン」 「スモールフェザー」「フェザー」の3種類があります。 ダウン 水鳥の胸部に密生し、羽軸がなくフワフワと したタンポポの種子のわた毛のような形をし ている羽毛で、ダウンボールと呼ばれます。 スモールフェザー 腹部などに生えている少しカーブした羽軸 をもつ羽毛。羽根全体が柔らかいので羽毛ふ とんに使われ、弾力性を発揮します。 フェザー 翼の部分に生えている羽軸を持った羽毛。一 般的には羽毛掛けふとんには使われません。 敷ふとんや枕の詰めものに使われます。 (出典:西川産業㈱ 羽毛ふとんの基礎知識) ○羽毛製品に使われる鳥の種類 鳥は大別すると水鳥と陸鳥に分けられ、羽毛製品にはガチョウ(グース)やアヒル(ダック)など、水鳥 の羽毛が使用されています。これは水鳥がダウンを備えているのに対し、陸鳥はダウンを備えていないこと、 また、水鳥のフェザーは立体的な構造をしているため、ふくらみや保湿性に優れているのに対し、陸鳥のフ ェザーは平面的な構造をしているため、保温性や弾力性に乏しく、さらに吸湿性・放湿性にも劣るなどの理 由によるものです。下の表は製品に羽毛を使用するおもな水鳥の種類、原産地、原種、鳥名などをまとめた ものです。 ガチョウ︵グース︶ 種類 原産地 原 種 鳥 名 体 重 ヨーロッパ ハイイロガン エムデングース 7.0∼13.0KG アジア サカツラガン 白色シナガチョウ 4.0∼10.0KG 写 真 グース ヨーロッパ アヒル︵ダック︶ アジア ま が も フランスなど マスコビーダック アイスランドなど 本毛綿ガモ ホ ン ケ ワタ ペキンダック 菜 鴨 バーバリーダック アイダーダック 5.0∼7.0KG 1.3∼1.5KG 5.0∼8.0KG 色々種類があ り差が大きい (出典:日本羽毛製品協同組合 - 6 - ダック アイダーダック 「羽毛製品Q&A」 )