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SMO/CROハイブリッドサービスを基盤に、先端医療
アイロムグループ SMO/CROハイブリッドサービスを基盤に、先端医療(再生医療・遺伝子創薬)が成長ドライバー TICKER:2372|東証1部|HP: http://www.iromgroup.co.jp/ 事業概要 S&Wサマリー 創薬、iPS細胞作製キット、SMO/CROサービスまで医療関連事業を広範囲に展開 強み ビ ジネス モデル :臨床 試験 にお いて医 療機関 側を支 援す るSMO 事業 ( Site 先端医療とSMO/CROの両軸:成長ドライバー Management Organization)/臨床試験において製薬会社側を支援するCRO事業 と安定収益基盤の両軸による好バランス (Contract Research Organization)のグローバル・ハイブリッド・サービスとメ 特許:SeV基本特許の専用実施権や、SeVを利 ディカルサポートといった安定基盤事業のうえに、センダイウィルスベクターに 用してiPS細胞を作製する技術の特許を、子会 よる再生医療・遺伝子創薬といった先端医療事業(成長ドライバー)を上乗せ。 社IDファーマが世界的に保有 センダイウィルスベクター(SeV):ディナベック研究所が世界で初めて実用化 大学・アカデミア、医療機関、専門医師との に成功した「細胞質型RNAベクター」(注:ベクターは遺伝子の運び手)。高い安 長期関係性:ニーズとシーズのマッチング 全性、高い効率性、宿主細胞の広範性が特長。SeVの基本特許に関する専用実施 弱み 権を、同社100%子会社IDファーマが日本、欧州、米国、中国などで保有。 再生医療:SeVを利用し最終的にベクターや外来遺伝子を含まない安全性の高い iPS細胞を作製する技術の特許をIDファーマが日本、米国、中国など主要国で保有。 同技術によるiPS細胞作製キット「CytoTune®-iPS」を代理店経由で販売。同技術 成熟事業を基盤とする点:設立以来収益基盤 とするSMOは成熟事業であり、競争が厳しい 経営資源の分散:同社は創薬、創薬研究ツー ル、サービスまで幅広い事業を手掛けている を大日本住友製薬など複数の製薬会社へライセンスしている。 人的配分のアンバランス:従業員の約9割は 主要創薬パイプライン計3つ:虚血肢治療製剤(DVC1-0101)に関しては、オー SMO事業に従事、新規事業に従事するのは5% ストラリアで2016年に臨床第Ⅰ相試験を開始する計画。中国では治験許可取得。 業績動向 利益成長ドライバー 2023年3月期に先端医療売上高が安定収益基盤売上高を超えると同社は予想 【従来】SMO 中長期成長性:同社が想定する中期的成長のイメージは、先端医療事業の売上高 【中期】SMO/CROハイブリッド+先端医療 が、GMPベクター及びベクター製剤の受託製造収入、ロイヤリティ収入などの増 指標 収により、2020年3月期以降に成長を加速し、2023年3月期にはSMO等の安定収益 時価総額 基盤売上高を超えるというものである。今期(2016年3月期)同社予想は売上高 10,156 百万円 株価(2016/3/3) 5,300百万円(前期比28.2%増)、営業損失130百万円(前期は772百万円の損失)。 中期戦略 956 円 発行済株式数 10,623,665 株 外国人持株比率 0.89 % BPS(FY03/15) 419.05 円 PBR(FY03/15) SMO/CROハイブリッド安定収益とSeVの収益化による成長 2.28 倍 PER(FY03/16会予) 253.6 倍 配当(FY03/16会予) - 円 配当利回り(FY03/16予) SeVの収益化:SeVを、iPS細胞作製キット販売、ライセンス許諾、創薬パイプラ - % ROE(03/16会予) 0.9 % 純負債/株主資本倍率(FY03/15) イン等に適用し、収益化。GMP(Good Manufacturing Practice)基準ベクター製 -27.6 % *発行株式数は自己株含む 造施設の建設(2016年4月着工、2017年年初生産開始予定)で受託製造利益の享 受も。臨床試験(SMO/CRO事業)で得たノウハウを再生医療・遺伝子治療へ活用。 業績推移 FY03/06 FY03/07 FY03/08 FY03/09 FY03/10 FY03/11 売上高 ( 百万円) 12,368 14,890 13,727 14,478 13,815 13,990 前期比 営業利益 ( %) ( 百万円) 169.2% 209 20.4% -1,252 -7.8% -252 5.5% 175 -4.6% -162 1.3% 340 FY03/12 11,018 -21.2% -432 NM -1,697 NM -364 NM -39.02 241.43 -17.7% -15.0% FY03/13 6,704 -39.2% 369 NM 587 NM 1,751 NM 187.25 428.60 9.9% 55.9% FY03/14 4,011 -40.2% -402 NM -322 NM -294 NM -30.85 434.38 -5.4% -7.0% FY03/15 4,134 3.1% -772 NM -600 NM -606 NM -59.12 419.05 -9.3% -13.7% FY03/16 会予 5,300 28.2% -130 NM -350 NM 40 NM 3.77 - - - *EPSは希薄化前 01/21|Research Espresso|Published in 2016/03/03 前期比 経常利益 ( %) ( 百万円) -58.6% 140 NM -1,223 NM -95 NM 182 NM -225 NM 233 前期比 純利益 ( %) ( 百万円) NM 162 NM -168 NM -932 NM -10,559 NM -731 NM 226 前期比 ( %) NM NM NM NM NM NM EPS ( 円) 14.82 -18.00 -99.65 -1,129.14 -78.22 24.18 BPS ( 円) 1,618.74 1,583.92 1,467.51 330.46 255.18 278.89 ROA ( %) 0.8% -4.4% -0.3% 0.8% -1.5% 1.7% ROE ( %) 1.1% -1.1% -6.5% -125.6% -26.7% 9.1% R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 事業概要 創薬、iPS細胞作製キット、SMO/CROサービスまで医療関連事業を広範囲に展開 会社概要 アイロムグループは1997年4月の設立以来、SMO(Site Management Organization: 臨床試 SMO を軸に、メディカルサポート事業、新規 に、医療関連事業ポートフォリオを時代のニーズに合わせて柔軟に構築・転換してきた。 【2015 年 3 月期実績:売上高 4,134 百万円】 Research Organization: 開発業務受託機関>)、その他事業を行っている(2015年3月期 ▶ メディカルサポート:18.9% 験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託又は代行する治験施設支援機関)を軸 現在では、SMO事業、メディカルサポート事業、新規事業(先端医療とCRO<Contract 売上高構成比は、それぞれ、64.0%、18.9%、14.5%、2.6%)。中でも、同社が成長ドライ バーと捉え、新規事業の柱となる先端医療(再生医療・遺伝子創薬)事業は、同社が2014 年1月に完全子会社化したIDファーマ(旧ディナベック)が担う。同社グループは、アイロ ムグループ、連結子会社18社及び関連会社1社からなる。2015年3月末連結従業員数338名 (SMO事業297名、メディカルサポート事業1名、新規事業17名、全社共通23名)。 CRC(Clinical Research Coordinator:臨床研究コーディネーター)約320名:内訳は、臨 床検査技師:27%、薬剤師:11%、管理栄養士:12%、看護師:10%、その他・なし:40%。 同社は創業以来、自社でCRCを育成することに注力しており、医療資格の有無に関わらず 意欲のある人材を積極的に採用している。同社は、CRC・治験事務局担当者の社内認定資 格制度を設けるとともに、日本SMO協会(JASMO: Japan Association of Site Management Organizations)等社外認定試験の受験も推奨している(JASMOは必須)。 アイロムグループの概要 ・アイロム ・アイロムCS ・MCフィールズ ・SOAピリカ ・エクセル M&Aによる買収 (2013年3月~2014年6月) ・アイクロス ・アイクロスジャパン グローバル規模でのハイブリッドサービス SMO事業 CRO事業 メディカル 先端医療 サポート事業 事業 ・アイロムプロパティマネジメント ・IDファーマ (旧ディナベック) M&Aによる買収 (2014年1月) 出所:会社資料よりSR社作成 02/21 遺 伝 子 創 薬 の パ イ プ ラ イ ン 拡 大 事業(先端医療と CRO)、その他事業を展開 ▶ SMO:構成比64.0% ▶ 新規事業(先端医療、CRO事業):14.5% ▶ その他:2.6% R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 売上高、営業利益(以上、単位:百万円)、粗利益率、営業利益率の推移 25,000 38.3% 29.1% 20,000 15,000 11.0% 10,000 5,000 0 -5,000 25.4% 14,890 12,368 14,478 13,727 -1.8% 209 -1,252 FY03/05 27.6% 26.7% 23.9% FY03/06 FY03/07 売上高 -1.2% 175 -252 FY03/09 FY03/10 -3.9% 340 -162 FY03/08 5.5% 2.4% FY03/11 -432 FY03/12 369 FY03/13 粗利率(右軸) 4,011 168 2,182 1% 18% -402 FY03/14 FY03/06 売上高 12,368百 2,257 18% 318 3% 人材コンサルティング 医薬品等の販売事業 105 1% 5,355 38% FY03/11 売上高 13,990百 万円 メディカルサポート 人材コンサルティング 547 4% 医薬品等の販売事業 64 1% 医薬品等の製造販売事業 30 770 1% 14% 850 16% SMO FY03/16 同社予想 売上高 5,300 百万円 メディカルサポート 3,650 69% 新規事業 出所:会社データよりSR社作成 *表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。 03/21 その他事業 3,807 27% 4,110 29% SMO 医薬品等の製造販売事業 その他事業 その他事業 5,300 -2.5% -130 -772 -18.7% FY03/15 営業利益率(右軸) 2,606 21% 4,836 39% 4,134 -10.0% 過去10年間における同社の事業ポートフォリオの変化 メディカルサポート 20% 10% 6,704 営業利益 出所:同社データよりSR社作成 SMO 30% 20.1% 13,990 13,815 1.2% -8.4% 505 28.2% 11,018 1.7% 4,595 29.8% 29.0% 40% 31.4% FY03/16 CE 0% -10% -20% R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research ビジネスモデル SMO(治験施設支援機関)/CRO(開発業務受託機関)のグローバル規模でのハイブリッド SMO/CRO グローバルハイブリッドサービス 先端医療事業(成長ドライバー)を上乗せしていくのが同社の包括的なビジネスモデルで せ サービスとメディカルサポートの安定基盤事業のうえに、再生医療・遺伝子創薬といった ある。事業別では、以下の通り。 SMO事業 同社グループの安定収益基盤は設立以来軸となっているSMO事業である。製薬会社等から 委託を受けた医療機関による臨床試験の業務を支援すること(標準作業手順書の作成・提 示、治験事務局の立ち上げ・運営補助、治験審査委員会の設立・運営、CRC<Clinical とメディカルサポートの安定基盤事業のうえ に、先端医療事業(成長ドライバー)を上乗 SMO 事業:臨床試験を行う医療機関側を支援 するサービス Research Cordinator: 臨床研究コーディネーター>などの派遣、治験データの管理など) でサービスの対価を得る。競合には、EPSホールディングス(東証1部4282)及び同グルー プがいる。 治験に関わる機関 IRB 厚生労働省 承認 (治験審査委員会) 治験の妥当性と 参加者の人権・安全性 を評価 申請 評価 設置 契約 製薬会社 モニター モニタリング 治験責任 医師 治験分担 医師 医療機関 各種業務支援 業務委託 モニタリング 各種支援業務 ・CRC派遣 ・治験事務局業務 ・IRB事務局業務 業務委託 CRC /Rh (医薬品開発業務受託 機関) モニター 被験者 SMO (治験施設支援機関) (臨床研究 コーディネー ター) 出所:日本SMO協会HP(http://jasmo.org/ja/business/outline/index.html)よりSR社作成 メディカルサポート事業 メディカルサポート事業は医療モールの運営などに付帯する不動産ビジネスである。 新規事業 メディカルサポート:不動産ビジネス 新規事業は先端医療事業(中期戦略の章で詳述)とCRO事業に分かれる。 新規事業は先端医療事業と CRO 事業からなる 先端医療事業は再生医療と遺伝子創薬に関わる事業に分かれる。遺伝子創薬は医薬品候補 【先端医療】再生医療、遺伝子創薬 のライセンス許諾による契約一時金、マイルストン収入、ロイヤリティ収入の獲得がビジ ネスモデルとなっている。一方、再生医療では、「iPS細胞作製キット」の販売/ライセン ス許諾、医薬品の受託製造・販売などがビジネスモデルとなっている。バイオベンチャー は約600社(社数の出所はJBA、バイオインダストリー協会レポート)と数が多い中で、再 生医療と遺伝子創薬事業における競合は、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング (JASDAQ7774)、サンバイオ(東証マザーズ4592)、ナノキャリア(東証マザーズ4571) などである。 04/21 【CRO 事業】臨床試験を行う製薬会社側を支 援するサービス;SMO 事業と CRC 事業のハイ ブリッドサービスを展開 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 先端医療事業のバリューチェーン 基礎研究 非臨床試験 臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相) 承認申請・審査 販売 大手製薬会社等 ライセンス許諾・ ライセンスアウト 遺伝子創薬 契約一時金 マイルストン収入 SeV(遺伝子の運び屋) + 医療用遺伝子 ロイヤリティ収入 IDファーマ 大学・アカデミア / 企業とのアライアンス 「iPS細胞作製キット」の販売 Sevを利用したiPS細胞作製技術のライセンス(遺伝子創薬と同じ収益獲得フロー) 再生医療 医薬品の受託製造・販売 大手製薬会社等 出所:SR社作成 CRO事業では、製薬会社が医薬品開発のために行う治験業務(臨床開発)を受託・代行す ること(モニタリング、データマネジメント、薬事申請、非臨床試験など)でサービスの 対価を得る。同一の治験(臨床試験)でSMOとCROを兼務することはないが、SMOで培っ たノウハウを各国法令等に準拠した形でCRO業務と併せて製薬会社及び医療機関に提供す ることは可能であり、同社ではハイブリッドサービスと称して推進中である。競合はシミッ クホールディングス(東証1部2309)及びシミックグループ、EPSホールディングス(東証 1部4282)及び同グループがいる。 セグメント別 セグメント別の2015年3月期の売上高(構成比)及び同セグメント営業損益は、以下の通 り。 ▶ ▶ ▶ ▶ SMO事業:売上高2,646百万円(構成比64.0%)、営業損失417百万円 メディカルサポート事業:売上高781百万円(同18.9%)、営業利益72百万円 新規事業:売上高599百万円(同14.5%)、営業利益78百万円 その他事業:売上高107百万円(同2.6%)、営業利益61百万円 セグメント別売上高(百万円)と売上高対前年比(%) 16,000 14,000 12,000 260% 275 169% 2,182 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 4,595 4,770 5,165 220% 105 628 5,355 180% 59 140% 3,973 4,836 5,892 20% 318 270 2,257 1,495 2,606 2,694 FY03/06 FY03/07 SMO 医薬品等の販売事業 出所:同社データよりSR社作成 05/21 732 502 4,265 168 4,202 381 954 -8% 3,092 FY03/08 4,041 397 1,078 5% 3,457 FY03/09 4,048 611 203 -5% 3,157 FY03/10 メディカルサポート 医薬品等の製造販売事業 100% 4,111 547 64 1% 3,807 FY03/11 2,419 3,835 506 2,642 66 36 564 -21% FY03/12 新規事業 その他事業 3,653 60% 1,027 107 599 781 2,946 -40% -39% FY03/13 FY03/14 2,646 FY03/15 30 770 850 28% 20% 3% 3,650 FY03/16 CE -20% -60% 人材コンサルティング 売上高前年比(右軸) R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 提携医療施設数の推移 2,000 1,500 1,179 1,228 1,292 1,427 1,000 500 0 FY03/10 FY03/11 関東 近畿 九州 出所:同社データよりSR社作成 06/21 FY03/12 北海道 FY03/13 東海・北陸 1,516 68 92 1,546 25 80 78 18 1,583 66 27 100 112 192 116 200 116 220 269 281 282 758 773 772 FY03/15 FY03/16 Q2 FY03/14 中国・四国 東北 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research セグメント別収益構造(過去10年間) 07年3月期 08年3月期 09年3月期 10年3月期 11年3月期 12年3月期 13年3月期 14年3月期 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 12,368 14,890 13,727 14,478 13,815 13,990 11,018 6,704 4,011 4,134 5,300 (前年比) 169.2% 20.4% -7.8% 5.5% -4.6% 1.3% -21.2% -39.2% -40.2% 3.1% 28.2% 2,606 2,694 3,092 3,457 3,157 3,807 2,642 3,653 2,946 2,646 3,650 (前年比) 31.6% 3.3% 14.8% 11.8% -8.7% 20.6% -30.6% 38.3% -19.4% -10.2% 37.9% (構成比) 21.1% 18.1% 22.5% 23.9% 22.9% 27.2% 24.0% 54.5% 73.4% 64.0% 68.9% 2,257 1,495 954 1,078 611 547 506 564 1,027 781 850 (前年比) na -33.8% -36.1% 13.0% -43.3% -10.5% -7.5% 11.5% 82.1% -24.0% 8.8% (構成比) 18.2% 10.0% 7.0% 7.4% 4.4% 3.9% 4.6% 8.4% 25.6% 18.9% 16.0% 318 270 381 397 203 64 - - - - - (前年比) -25.1% -15.0% 40.8% 4.3% -48.9% -68.5% - - - - - (構成比) 2.6% 1.8% 2.8% 2.7% 1.5% 0.5% - - - - - 4,836 5,892 4,202 4,041 4,048 4,111 3,835 2,419 - - - (前年比) 532.0% 21.8% -28.7% -3.8% 0.2% 1.6% -6.7% -36.9% - - - (構成比) 39.1% 39.6% 30.6% 27.9% 29.3% 29.4% 34.8% 36.1% - - - 2,182 4,265 4,595 4,770 5,165 5,355 3,973 - - - - (前年比) na 95.4% 7.7% 3.8% 8.3% 3.7% -25.8% - - - - (構成比) 17.6% 28.6% 33.5% 32.9% 37.4% 38.3% 36.1% - - - (百万円) 売上高(外部顧客への売上高) SMO事業 メディカルサポート事業 人材コンサルティング事業 医療品等の販売事業 医療品等の製造販売事業 連結 - na 28.5% - 14.5% 14.5% - - - - - - - (前年比) - - - - - - - - (構成比) - - - - - - - - (前年比) 770 - その他の事業 連結 599 - 新規事業 168 275 502 732 628 105 59 66 36 107 30 na 64.1% 82.3% 45.8% -14.2% -83.3% -43.8% 11.9% -45.5% 197.2% -72.0% 1.4% 1.8% 3.7% 5.1% 4.5% 0.8% 0.5% 1.0% 0.9% 2.6% 0.6% 1,084 -172 461 988 630 987 291 785 -8 -204 na (前年比) -17.8% -115.8% -369.0% 114.1% -36.2% 56.7% -70.5% 169.8% -101.0% 2450.0% - (利益率) 8.8% -1.2% 3.4% 6.8% 4.6% 7.1% 2.6% 11.7% -0.2% -4.9% - 1,182 805 955 868 717 1,018 92 675 -109 -417 400 (前年比) 8.6% -32.0% 18.7% -9.1% -17.4% 42.0% -91.0% 633.7% nm nm nm (構成比) 109.1% - 207.0% 87.9% 113.8% 103.1% 31.6% 86.0% nm nm nm (利益率) 45.4% 29.9% 30.9% 25.1% 22.7% 26.7% 3.5% 18.5% -3.7% -15.8% 11.0% (構成比) 営業利益(全社費用調整前) SMO事業 72 120 69 123 -18 117 -138 -154 -89 0 130 (前年比) na 77.7% nm nm nm nm nm nm nm (構成比) 6.4% - -3.9% 11.8% -21.9% -15.6% -30.6% 0.0% nm nm nm (利益率) 3.1% 8.2% -1.9% 10.9% -22.6% -28.2% -17.6% 0.0% 12.7% 9.2% 14.1% 3 6 17 30 -31 -5 - - - - - (前年比) -92.3% 98.9% 170.3% 73.8% nm nm - - - - - (構成比) 0.3% - 3.7% 3.0% -4.9% -0.5% - - - - - (利益率) 1.0% 2.4% 4.5% 7.6% -15.3% -7.8% - - - - - -203 -619 30 53 73 123 143 98 - - - (前年比) nm nm nm 74.7% 37.7% 68.5% 16.3% -31.5% - - - (構成比) -18.7% - 6.6% 5.4% 11.6% 12.5% 49.1% 12.5% - - - (利益率) -4.2% -10.5% 0.7% 1.3% 1.8% 3.0% 3.7% 4.1% - - - -1 -519 -547 -114 41 90 307 - - - - (前年比) na nm nm nm nm 119.5% 241.1% - - - - (構成比) 0.0% - -118.6% -11.5% 6.5% 9.1% 105.5% - - - - (利益率) 0.0% -12.2% -11.9% -2.4% 0.8% 1.7% 7.7% - - - - 78 80 メディカルサポート事業 人材コンサルティング事業 医療品等の販売事業 医療品等の製造販売事業 -44.6% 66.7% - - - - - - - - - (前年比) - - - - - - - - - na na (構成比) - - - - - - - - - nm nm 新規事業 - - - - - - - - 13.0% 10.4% 32 33 24 33 -32 -85 -162 11 -28 61 -140 (前年比) na 2.3% -27.0% 37.5% nm nm nm nm nm -317.9% nm (構成比) 3.0% - 5.2% 3.3% -5.1% -8.6% -55.7% 1.4% 350.0% -29.9% nm (利益率) 19.1% 11.9% 4.8% 4.5% -5.1% -81.0% -274.6% 16.7% -77.8% 57.0% -466.7% (利益率) その他の事業 出所:同社データよりSR社作成 07/21 15年3月期 16年3月期会予 06年3月期 - R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 業績動向 2023年3月期に先端医療売上高が安定収益基盤売上高を超えると同社はイメージ 今期(2016年3月期)同社予想:売上高5,300百万円(前年同期比28.2%増)、営業損失は 130百万円(損失幅縮小:前期は772百万円の営業損失)。セグメント別売上高では、同社 はSMO事業と新規事業の前期比大幅増収を予想(前者は提携医療機関の拡大によるシェア 拡大や受注残高の増加が、後者は先端医療事業の拡大やCRO事業の拡大が背景)。また、 セグメント別営業損益では、その他事業を除く全セグメントで営業損益の黒字化を予想。 尚、先端医療事業の売上高は2015年3月期361百万円から2016年3月期384百万円へ拡大、 CRO事業の売上高は同250百万円(国内142百万円、国外108百万円)から同400百万円(国 内、国外ともに200百万円)へ拡大すると同社は予想している(先端医療及びCRO事業の 売上高は連結調整前数値ベース)。 4,700 4,640 4,268 3,448 3,137 2,899 3,315 4,500 3,414 3,412 2,470 2,004 FY03/11 FY03/12 受注高(単位︓百万円) 出所:同社資料よりSR社作成 期初会社予想と実績 (百万円) 売上高 期初予想 実績 差異 営業利益 期初予想 実績 差異 経常利益 期初予想 実績 差異 当期利益 期初予想 実績 差異 FY03/13 FY03/14 FY03/15 受注残高(単位︓百万円) FY03/16 CE FY03/10 FY03/11 FY03/12 FY03/13 FY03/14 FY03/15 FY03/16 連結 連結 連結 連結 連結 連結 会予 14,900 14,800 13,900 8,150 5,100 5,600 5,300 13,815 13,990 11,018 6,704 4,011 4,134 -7.3% -5.5% -20.7% -17.7% -21.4% -26.2% 210 750 540 110 400 280 70 -162 340 -432 369 -402 -772 - -54.7% - 235.5% 160 700 450 70 420 350 120 -225 233 -1,697 587 -322 -600 - -66.7% - 738.6% -100 10 290 20 350 280 100 -731 226 -364 1,751 -294 -606 - 2,160.0% - 8,655.0% - 出所:会社データよりSR社作成 *表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。 2016年3月期第3四半期決算実績 2016年2月10日に発表された同社の2016年3月期第3四半期累計決算実績は、売上高2,702 百万円(前年同期比+1.1%)、営業損失649百万円(前年同期は764百万円の営業損失)、 経常損失957百万円(前年同期は602百万円の営業損失)、親会社株主に帰属する四半期純 損失は974百万円(前年同期は620百万円の純損失)であった。営業損失が前年同期に比べ て縮小したのに対して、経常損失が同拡大したのは営業外費用の拡大(貸倒引当金繰入額 362百万円の計上)が主因。 同社は2016年3月期会社予想を継続している。毎年度第4四半期に売上高が集中する傾向が あること、今第4四半期に先端医療分野のロイヤリティ収入(粗利益率が高い)が見込ま れること、今第4四半期に販売用不動産の売却益の計上を計画していることなどが背景。 08/21 ⇒Q2 決算発表時に利益予想を下方修正: ヘルスケア分野において当年度より開始した IT インフラを活用する新規事業が予想以上に 拡大し、当初予想を上回る費用が発生するこ となどが背景 ▶ 営業損益:従来70百万円の利益⇒新予130 百万円の損失 ▶ 経常損益:従来120百万円の利益⇒新予 350百万円の損失 ▶ 親会社株主に帰属する当期純利益:従来 530百万円(期初予想100百万円が関係会 SMO事業受注高及び同受注残高 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 【2016 年3月期同社予想】 社株式売却益等により上方修正されてい た)⇒新予40百万円 ⇒販売用不動産の売却益を計上予定 R アイロムグループ|2372| 四半期業績推移 (百万円) 売上高 YoY SMO事業 YoY 構成比 メディカルサポート事業 YoY 構成比 新規事業 YoY 構成比 その他事業 YoY 構成比 売上原価 YoY 原価率 売上総利益 YoY 利益率 販管費 YoY 売上高販管費率 給料手当及び賞与 支払手数料 賃借料 その他 YoY 給料手当及び賞与 支払手数料 賃借料 その他 構成比(対売上比) 給料手当及び賞与 支払手数料 賃借料 その他 営業利益 YoY 利益率 SMO事業 YoY 利益率 メディカルサポート事業 YoY 利益率 新規事業 YoY 利益率 その他事業 YoY 利益率 経常利益 YoY 利益率 当期純利益 YoY 利益率 出所:同社データよりSR社作成 Research Espresso by Shared Research FY03/15 1Q 1,147 30.2% 651 -3.3% 56.8% 142 -29.4% 12.4% 117 na 10.2% 236 4620.0% 20.6% 745 30.9% 65.0% 402 29.3% 35.0% 395 27.0% 34.4% 74 43 27 250 2Q 732 -32.7% 511 -31.1% 69.8% 111 -67.4% 15.2% 257 na 35.1% -148 nm -20.2% 668 -28.5% 91.3% 63 -59.1% 8.6% 403 38.0% 55.1% 76 42 59 224 3Q 793 -18.1% 574 -5.7% 72.4% 129 -63.5% 16.3% 78 na 9.8% 13 160.0% 1.6% 879 0.1% 110.8% -85 nm -10.7% 347 14.9% 43.8% 82 29 61 176 4Q 1,462 36.0% 910 -1.3% 62.2% 399 200.0% 27.3% 147 na 10.1% 6 -68.4% 0.4% 1,013 80.9% 69.3% 449 -13.0% 30.7% 456 -19.6% 31.2% 76 55 61 265 FY03/16 1Q 903 -21.3% 688 5.7% 76.2% 121 -14.8% 13.4% 86 -26.5% 9.5% 6 -97.5% 0.7% 694 -6.8% 76.9% 209 -48.0% 23.1% 443 12.2% 49.1% 75 45 63 258 2Q 830 13.4% 665 30.1% 80.1% 121 9.0% 14.6% 38 -85.2% 4.6% 7 -104.7% 0.8% 631 -5.5% 76.0% 198 214.3% 23.9% 460 14.1% 55.4% 79 38 83 261 3Q 969 22.2% 747 30.1% 77.1% 112 -13.2% 11.6% 103 32.1% 10.6% 7 -46.2% 0.7% 695 -20.9% 71.7% 274 -422.4% 28.3% 428 23.3% 44.2% 78 36 49 264 10.4% -43.4% 58.8% 67.8% -8.4% -30.0% 353.8% 63.5% 15.5% -31.0% 134.6% 8.0% 10.1% 37.5% 205.0% -39.1% 1.4% 4.7% 133.3% 3.2% 3.9% -9.5% 40.7% 16.5% -4.9% 24.1% -19.7% 50.0% 6.5% 3.7% 2.4% 21.8% 6 na 0.5% 72 -2.7% 11.1% 6 -60.0% 4.2% -19 na -16.2% 80 nm 33.9% 32 52.4% 2.8% 67 294.1% 5.8% 10.4% 5.7% 8.1% 30.6% -338 na -46.2% -301 nm -58.9% 16 -62.8% 14.4% 110 na 42.8% -21 nm 14.2% -287 nm -39.2% -341 na -46.6% 10.3% 3.7% 7.7% 22.2% -432 na -54.5% -260 nm -45.3% 16 -68.0% 12.4% -51 na -65.4% 8 nm 61.5% -347 nm -43.8% -346 na -43.6% 5.2% 3.8% 4.2% 18.1% -8 na -0.5% 72 60.0% 7.9% 34 54.5% 8.5% 38 na 25.9% -6 nm -100.0% 2 nm 0.1% 14 na 1.0% 8.3% 5.0% 7.0% 28.6% -233 nm -25.8% -38 nm -5.5% 18 200.0% 14.9% -20 na -23.3% -41 nm -683.3% -200 nm -22.1% -211 nm -23.4% 9.5% 4.6% 10.0% 31.4% -262 nm -31.6% 46 nm 6.9% 20 25.0% 16.5% -65 na -171.1% -45 nm -642.9% -537 nm -64.7% -547 nm -65.9% 8.0% 3.7% 5.1% 27.2% -154 nm -15.9% 81 nm 10.8% 16 0.0% 14.3% -35 na -34.0% -59 nm -842.9% -220 nm -22.7% -216 nm -22.3% 4Q 同社による中長期成長性のイメージ:同社は中長期の業績予想数値を正式発表していない。 しかし、同社が想定する中期成長性のイメージは、先端医療(再生医療、遺伝子創薬)事 業の売上高が、2020年3月期以降に成長を加速し、2023年3月期にはSMO等の安定収益基盤 売上高を超えるというものである。売上高成長の牽引役は、GMPベクター及び同ベクター 【同社の中期成長性イメージ】 2023 年3月期に先端医療事業売上高が、SMO 等の安定収益基盤売上高を超える 製剤の受託製造収入、ロイヤリティ収入などを同社は見込んでいる。 経済産業省「再生医療の制度整備と事業展開」では、再生医療の将来市場として、国内の 市場規模を2020年に95,000百万円、2030年に1兆円、2050年に2.5兆円、世界の市場規模 は2020年に1兆円、2030年に12兆円、2050年に38兆円と予想している(2012年実績はそ れぞれ、9,000百万円、100,000百万円)。 中期戦略 SMO/CROハイブリッド安定収益基盤に、先端医療事業の収益拡大を重ねた成長 SMO/CROハイブリッド安定収益 日本SMO協会のデータによると、国内SMO市場は2012年の41,300百万円から2014年37,000 百万円と縮小傾向にある中で、この間に同協会に属する会員社数は61社から38社へ減少。 市場が成熟するなかで、業界における企業の合従連衡が進んでいる。同社は積極的なM&A によりSMO市場の中でリーディング企業の一角を形成(2015年3月期同社同部門売上高を 2014年のSMO市場規模で割った単純計算では7.2%のマーケットシェア)。同社の全国提携 09/21 【SMO/CRO ハイブリッド安定収益】 SMO 事業のノウハウを CRO 事業に活かすハ イブリッドサービスをグローバルに展開 ⇒オーストラリアで臨床データを得て、それ を EMA や FDA への申請へ活用 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 医療機関は2012年3月期末の1,228から2016年3月期第2四半期末の1,587へ拡大している。 一方、CRO市場では、新薬開発のアウトソーシングの流れを受けて、市場及び同事業従事 者数ともに拡大が続いている。日本CRO協会のデータによれば、国内CRO市場は2010年の 113,200百万円から2014年の143,500百万円へ年率6.1%成長を遂げた。同社はCRO事業を 2014年以降本格化させている(参入は2007年)。 日本のSMO市場の推移(SMO協会会員ベース) 50,000 40,000 30,000 61 34,300 20,000 35,900 34,700 55 49 35,300 35,600 40 38 10,000 0 2007 2008 2009 2010 日本SMO協会会員売上高(単位︓百万円) 2011 41,300 日本のCRO市場の推移(日本CRC協会会員ベース) 40,600 40 40 2012 2013 70 37,000 38 2014 60 200,000 150,000 50 100,000 40 50,000 30 0 日本SMO協会会員社数(右軸︔単位︓社) 出所:日本SMO協会データ2014年よりSR社作成 10,126 113,200 10,807 119,200 12,473 12,361 12,757 133,000 136,800 143,500 13,484 15,000 153,500 10,000 5,000 2010 2011 2012 日本CRO協会会員売上高(単位︓百万円) 2013 2014 2015E 0 日本CRO協会会員従業員数(右軸︔単位︓人) 出所:日本CRC協会2014年 年次業績報告よりSR社作成 同社は 1997 年の創業以来培ってきた SMO 事業のノウハウを CRO 事業に活かすハイブリッ ドサービスをグローバルに展開していく。アライアンス先との業務提携により確保してい るオーストラリアの拠点で、国内製薬会社及びバイオベンチャーから委託された臨床試験 を実施し、その試験データを利用した欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency) や米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)への申請を支援する。 成長ドライバー:先端医療事業 同社の事業ポートフォリオの中で、同社が今後の成長ドライバーの柱と考えている事業は、 100%子会社IDファーマ(旧ディナベック)が行う先端医療事業である(同社の「新規事 業」セグメントに属する)。その具体的事業領域(ドメイン)は再生医療と遺伝子創薬で ある。その基盤となっているのがセンダイウィルスベクター(SeV)である。 IDファーマの強み:センダイウィルスベクター(SeV)にiPS細胞作製用4因子を搭載 ◤ してiPS(人工多能性幹)細胞を作製する技術の特許を世界的に保有すること、ディナ ベック研究所が基本特許を保有するSeVに関して同社が世界的に専用実施権を有する こと、大学や企業との間に多数のアライアンスを有すること、同社のSMO/CRO事業と ◤ のシナジー効果を期待できることなどがIDファーマの強みであるとSR社では考える。 SeVは同社の先端医療事業を支えるプラットフォーム:SeVは、iPS細胞作製キット 子会社IDファーマが行う先端医療が成長ドライバー 100%子会社 ID ファーマ:再生医療と遺伝子 創薬が事業ドメイン;そのプラットフォーム となっているのがセンダイウィルスベクター (SeV) ID ファーマの強み ▶ SeVを利用してiPS細胞を作製する技術の 特許を世界的に保有すること ▶ ディナベック研究所が基本特許を保有す るSeVに関して、同社が世界的に専用実施 権を有すること ▶ 大学・企業との複数アライアンス ▶ SMO/CRO事業とのシナジー 「CytoTune®-iPS」(再生医療領域向け)の製造・販売、及びSeVを利用しiPS細胞を作 製する技術の製薬会社等へのライセンス許諾、更には、遺伝子創薬領域における遺伝 子治療製剤等への応用など、同社の新規事業を支える重要な基盤技術となっている。 同社先端医療事業の基盤となるセンダイウィルスベクター(SeV) センダイウイルスベクター(SeV)は、ディナベック研究所が世界で初めて実用化に成功 した「細胞質型RNAベクター」である。IDファーマは、ディナベック研究所が基本特許を 有するSeVの専用実施権を、日本、欧州、米国、中国などを含む主要各国で保有している。 尚、SeVの特許成立は、米国が2004年4月、日本が同年10月、欧州が2005年6月。 「ベクター」とは遺伝子を効果的に標的細胞へ導入する働きを持つ物質(細胞へ遺伝子を導 入する運び屋)のことを言う。ベクターは人工的に無毒化したウイルスの感染システムを 利用して細胞内に目的遺伝子を導入する「ウイルスベクター」と、それ以外の「非ウイル スベクター」の2つに大別される。 10/21 センダイウィルスベクター:世界で初めて実 用化に成功した「細胞質型 RNA ベクター」 【特長】 ▶ 安全性が高い:ベクターがRNA(リボ核酸) の状態で細胞質にとどまり核の中には入 らないため、患者の染色体に影響を与えな い ▶ 遺伝子導入効率が高い ▶ 導入遺伝子のタンパク質の発現量が大き い ▶ 宿主細胞域が広い R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research ウイルスベクターには、SeVの他に、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイ ルスなどがある。また、代表的な「非ウイルスベクター」にはバクテリアに内在性の自律 増殖DNA(プラスミド)を応用したプラスミドベクターがある。The Journal of Medicine, ©2015 John Wiley and Sons Ltd. (www.wiley.co.uk/genmed/clinical)によれば、遺伝子治 療においてこれまでに世界で利用されてきたベクターの比率は、1位アデノウイルス 22.2%、2位レトロウイルス18.4%、3位非ウイルスプラスミド17.4%の順である。 各ベクターの特徴 ベクターの種類 センダイウイルス レトロウイルス レンチウイルス アデノウイルス 染色体への 組込み 無 有 有 低頻度 遺伝子 遺伝子の 発現期間 導入効率 中短期 高 長期 低 長期 低 短期 中 アデノ随伴ウイルス 低頻度 短期 低 非ウイルス系プラスミド 低頻度 短期 低 主な対象疾患 安全性 循環系、感染症、癌等 遺伝性疾患、癌 遺伝性疾患、癌 癌、感染症 遺伝性疾患、神経疾 患、眼疾患など 循環系疾患 ◎ 細胞質での発現 × 挿入異変 △ 挿入異変の可能性 ○ ○ ○ ウイルスを使用しない 出所:日経産業新聞(2015年7月13日付け)、「遺伝子治療ベクターの定義と適用範囲」よりSR社作成 遺伝子治療ベクターの使用比率 出所:The Journal of Medicine, ©2015 John Wiley and Sons Ltd. (www.wiley.co.uk/genmed/clinical)よりSR社作成 高い安全性 SeV以外のベクターが細胞の核の中にまで入り込んでDNA(デオキシリボ核酸)として遺 伝子発現を行うのに対し、SeVは核の中には入らず、RNA(リボ核酸)の状態で細胞質に 留まって、自らのゲノム(遺伝子と染色体から合成された造語)を複製して大量のタンパ 患者に害を与えないという点でその安全性の 重要性は言うまでもない ク質を作り出す(細胞質型RNAベクター)。その結果、SeVは他のベクターとは異なり患 者の染色体に影響を与えず、遺伝子の挿入による染色体の構造変化といった危険性(遺伝 毒性)が理論的に存在せず、安全性が高い。 センダイウイルスベクターと他のウイルスベクターとの相違点 出所:同社資料 高い効率性 SeVの第二の特徴は、他のベクターと比べて、遺伝子を細胞に運び込む効率とその遺伝子 からタンパク質を発現する効率が高いことである。 具体的には、 遺伝子導入に他のベクター では数時間掛かるところを、SeVではほんの数分程度の短時間接触により果たせる。また、 11/21 高い効率性:実際に治療のために使用される となると大量に、均一な品質の製剤を生産す ることが求められるため、少しの血液で多量 に iPS 細胞や分化細胞が作製できる、という 効率性は非常に重要 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 同社のCytoTune®-iPSを販売する国内の代理店である医学生物学研究所の資料によれば、 アデノウイルスベクターとの遺伝子導入効率及び発現量の比較(遺伝子導入2日後)では、 同じMOI(Multiplicity of infection)において類似の遺伝子導入効率を有しているが、導入 遺伝子の発現量では数倍~数十倍の発現量を示している(注:100~1000などの高いMOI では近似値を示す場合がある)。 宿主細胞*の広範性 SeVの第三の特徴は、ほとんどの哺乳類細胞に遺伝子導入できることである。この性質に よりSeVはiPS細胞を利用した再生医療**や遺伝子創薬(遺伝子治療製剤、遺伝子ワクチン) の他にも、研究・診断用抗体の作製、組替タンパク質の生産、遺伝子解析機能など、広範 宿主細胞の広範性:ほとんどの哺乳類細胞に 遺伝子導入できるため、再生医療や遺伝子創 薬の他にも、広範囲に応用が可能 囲に応用できる。 *宿主(しゅくしゅ)細胞:ウイルスあるいは別のタイプの微生物によって感染を受けた細胞 **再生医療:人の細胞・組織を用いた医療法で、手術・投薬など従来の手法では治療困難とされる疾患 の根本治療に活路を開こうとする医療法の1つ 再生医療領域:iPS細胞作製キット「CytoTune®-iPS」の販売 「CytoTune®-iPS」は、京都大学の山中伸弥教授の人工多能性細胞(iPS細胞)作製技術(特 許は国立大学法人京都大学が保有)と、IDファーマが専用実施権を保有するSeV技術とを 用いて、最終的にベクターや外来遺伝子を含まない安全性の高いiPS細胞を作製するキット CytoTune®-iPS: SeV に iPS 細胞作製用 4 因 子を搭載して iPS 細胞を作製する iPS 細胞作 製キット; ID ファーマが基本特許を保有 である。本キットに使用している技術(SeVを用いてiPS細胞を作製する技術)は2015年5 月に日本と米国で、同年6月には中国において、それぞれIDファーマが特許を取得している。 また、同年10月には欧州において特許査定をIDファーマが取得している。 iPS細胞作製キット「CytoTune®-iPS」に関しては、国内では2010年より、海外では2011 年より代理店(国内は株式会社医学生物学研究所とiPSポータル、海外ではサーモフィッ シャーサイエンス)を通じて研究用の「CytoTune®-iPS」販売している。2013年10月には、 他 の 技 術 で は iPS 細 胞 の 樹 立 が 難 し い 細 胞 か ら も iPS 細 胞 の 作 製 が 可 能 な 「CytoTune®-iPS2.0」を、2015年4月にはc-Myc遺伝子よりガン病原性の低い遺伝子である L-Mycを組入れた「CytoTune®-iPS2.0L」を発売している。 *iPS細胞とは2006年に山中伸弥教授率いる京都大学の研究グループによって誕生した新しい多能性幹 細胞であり、再生医療を実現するために重要な役割を果たすと期待されている。人間の皮膚などの体細 胞に、極少数の因子を導入し、培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ 無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化する。この細胞を人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell: iPS細胞)と呼ぶ。受精卵から作成するES細胞(embryonic stem cell: 胚性幹細胞) では倫理面での障壁が大きいのに対し、iPS細胞では皮膚や血液など採取しやすい体細胞を使って作製す ることが可能である。一方、遺伝子組み換えに伴うガン化のリスクという短所もある。 再生医療領域:SeVを利用した iPS細胞作製技術のライセンス許諾 同社はiPS細胞作製キット「CytoTune®-iPS」を発売するだけでなく、SeVを利用したiPS細 胞作製技術を積極的にライセンス許諾している。2014年9月、大日本住友製薬(東証1部 4506)と眼疾患領域及び神経疾患領域でのSeVを利用した臨床用iPS細胞作製技術の特許実 施許諾契約を締結した。契約一時金、本契約を用いた製品開発の進捗に伴うマイルストン 及び製品販売額の目標達成に応じた販売マイルストンとして、最大で総額25億円並びに製 品販売額に応じたロイヤリティを受取ることになっている。また、2015年8月には米国 Minerva Biotechnologies社、英国Newcells Biotech Limited社と、両社がIDファーマの 「CytoTune®-iPS」を用いて研究用iPS細胞を作製し、そのiPS細胞等を製品として供給・販 売することを許諾する契約を締結した(経済的対価については非開示)。更に、2015年9 12/21 大日本住友製薬、Minerva Biotechnologies、 Newcells Biotech Limited、タカラバイオなど へ特許実施契約を許諾 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 月 に は 、 タ カ ラ バ イ オ ( 東 証 マ ザ ー ズ 4974 ) と 、 タ カ ラ バ イ オ が ID フ ァ ー マ の 「CytoTune®-iPS」を用いて研究用iPS細胞等の受託製造を行うこと及び作製した研究用iPS 細胞並びに分化細胞の開発・製造・販売を行うことに関する全世界における非独占的実施 権を許諾した(経済的対価については非開示)。 再生医療領域:GMPベクターの製造施設建設 iPS細胞作製キットCytoTune®-iPSの世界的な市場性の広がりを見据えて、同社は、臨床用 iPS作製キットの製造・販売を行うためGMP基準の製造施設を茨城県つくば市に建設する 計画である(2016年4月着工、2017年年初生産開始予定:設備投資額約5億円)。同設備投 資資金は、マッコリ―・バンク・リミテッドへの第6回新株予約権及び無担保社債の発行 により調達された約7億円(2015年2月現在)から賄われる。従来の研究用iPS細胞作製キッ トに加え、GMP基準の臨床用iPS作製キットを自社製造・販売する計画である。更には、 遺伝子治療製剤の治療薬及び市販薬の受託製造までを行う予定である。 研究用から臨床用へシフトすることによる単価上昇や自社生産による粗利益率上昇を図 数量増及び単価上昇、自社生産により粗利上 昇;受託製造までに至れば、更なる数量増効 果、ロイヤリティ収入に加え、製造利益の上 乗せも GMP:Good Manufacturing Practice;医薬品 や医療機器の安全性を確保するために、製造 設備とその管理、品質管理、製造管理につい て製造業者が守らなくてはいけないことを明 確にした基準 る。また、受託製造まで至れば、ロイヤリティ収入に加え、製造利益の上乗せを図ること ができる。 遺伝子創薬領域 SeVは遺伝子治療(疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞をヒトの体 内に投与する治療方法)向けに開発されたものであり、IDファーマはSeVを応用した創薬 開発事業も行っている。創薬事業の主要パイプラインは循環系疾患、がん、呼吸系疾患、 感染症など多岐にわたり、その中にはすでに臨床試験に入ったものもある。主要パイプラ インは3つ。内訳は、SeVを応用したものが2つ:虚血肢治療製剤(DVC1-0101)、エイズ 治療ワクチン(S001)、サル免疫不全ウイルスベクター(SIV)を応用したものが1つ:網 膜色素変性症治療製剤(DVC1-0401)。 ◤ 虚血肢治療製剤(DVC1-0101):虚血肢(閉塞性動脈硬化症の1つ:足の血管が詰まり、 疼痛、潰瘍、壊死などの症状が発生する)患者に対し、SeVにFGF-2遺伝子(血管新生 に関連した遺伝子)を搭載した遺伝子治療製剤を静注して、下肢に新しい血管を作る 製剤である。日本では九州大学と共同で臨床研究(I/IIa)を2006年7月に開始(2010 年8月に終了)。オーストラリアでは、2016年に臨床I/IIa試験が開始される予定。また 中国ではすでに大手製薬企業に導出しており、2015年3月に臨床試験の許可を取得し ◤ た。上市計画時期は2022年。 エイズ治療ワクチン(S001):国立感染症研究所と共同でSeVを用いたエイズワクチ ンを開発し、前臨床試験では他の遺伝子ワクチンに比べて高い感染抑制効果が得られ た。2000年3月に特許を出願。2009年4月、中国大手製薬企業の石薬集団有限公司に対 するエイズ治療ワクチンの技術導出契約を締結。同社によれば、上市計画時期は2026 ◤ 年。 網膜色素変性症治療製剤(DVC1-0401):網膜色素変性症は、網膜の視細胞層及び色 素上皮層が広範囲に侵されてアポトーシス(細胞が自ら死に至る現象)に至る難治性 の遺伝性疾患。日本において九州大学による臨床Ⅰ相試験を実施中である。2010年11 月に、中国の北京三諾佳邑生物技術有限公司に対する導出契約を締結。上市計画時期 は2024年。 13/21 SeVは遺伝子治療向けに開発されたもの 創薬事業パイプライン:合計 3 つ ▶ 虚血肢治療製剤(DVC1-0101) ▶ エイズ治療ワクチン(S001) ▶ 網膜色素変性症治療製剤(DVC1-0401) R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 創薬事業の主要パイプライン 出所:同社資料 IDファーマについて IDファーマは、厚生省(現厚生労働省)所轄の特殊法人として、1995年3月に発足したディ ナベック研究所が前身である。同研究所は、医薬品機構(正式名称は「医薬品副作用被害 IDファーマ(旧ディナベック) ナショナルプロジェクト発ベンチャー:公的 プロジェクトの事業化モデル 救済・研究振興調査機構」)が推進する先端的医療技術の研究推進プログラムとしてスター トした。以下の通り、IDファーマの生い立ちは「ナショナルプロジェクト発ベンチャー」 であり、公的プロジェクトの事業化モデルケースとしての特徴を持つ。 ディナベック研究所の目的は、日本発のオリジナルの医療(遺伝子治療)技術を開発する ことであった。創薬プラットフォーム技術や遺伝子治療のためのベクターの開発を行った。 ディナベック研究所は、医薬品機構の他、協和発酵工業、久光製薬、山之内製薬、三共、 住友製薬、田辺製薬、塩野義製薬の7社(全て当時の社名)が出資し、研究員は7社からの ディナベック研究所の目的 日本発のオリジナル技術の開発:創薬プラッ トフォーム技術や遺伝子治療のためのベク ター開発 出向者と独自採用の構成員で構成されていた。主要な成果として、センダイウイルスベク ター(SeV)とサル免疫不全ウイルスを骨格としたレンチウイルスベクター(SIV)がある。 2003 年 9 月、ディナベック研究所の成果を事業化させる会社として、ディナベック株式会 社(2015 年 4 月 1 日、ID ファーマに社名変更:以下、ID ファーマ)が設立され、医薬品 の開発、組み換えタンパク質の生産、遺伝子・タンパク質の機能解析を事業ドメインとし た。ID ファーマは、大学とのアライアンス(国内外の大学との積極的な共同研究)を進め ており、2006 年 7 月に、九州大学と重症虚血肢を対象とした遺伝子治療製剤を用いて行う 臨床試験を開始。これは、世界初の SeV を用いた臨床試験であった。また、癌などの疾患 領域においても SeV を応用する研究を千葉大学はじめ複数大学と、嚢胞性繊維症の治療に おける肺への SIV 導入の研究を英国インペリアル・カレッジ及びエジンバラ大学と共同で 行うなど、ID ファーマは大学との強固なアライアンス関係を有している。 14/21 大学とのアライアンス:積極的なシーズの確保 京都大学、九州大学、千葉大学、インペリア ル・カレッジ、エジンバラ大学など多数 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research IDファーマの先端医療共同研究分野 出所:同社資料よりSR社作成 IDファーマはSeVやSIVを用いた治療製剤の開発・技術を製薬会社へ導出することを積極的 に行っている。中国大手製薬会社である北京医薬集団有限責任公司(遺伝子治療製剤導出 契約;2004年12月)の他、前述及び図表の通り、複数の導出実績がある。 IDファーマの共同研究・提携・技術導出先 出所:同社資料 同社グループとなった経緯 同社は2012年11月よりIDファーマ(当時はディナベック)と戦略的パートナーシップ基本 契約を締結して出資を行い、2014年1月に簡易株式交換(アイロムホールディングス<現 アイロムグループ>1株に対し、ディナベック0.96株)により完全子会社化した。同社が保 有する医療機関を通じて臨床研究及び臨床試験に関する業務支援を行うことで、IDファー マの各種プロジェクトの成果をいち早く患者に提供し、早期実地医療の促進と先端医療の 事業化を推進することが完全子会社化の目的である。 Strength, Weakness分析 強み ◤ 先端医療とSMO/CROの両軸:同社は成長ドライバーである先端医療(再生医療・遺伝 子創薬)とSMO(治験施設支援機関)/CRO(医薬品開発業務受託機関)及びメディカ ルサポートといった安定収益基盤を両軸に持つ。SMO/CRO事業により臨床試験で培っ たノウハウを再生医療・遺伝子創薬に活用することが可能。両軸事業によるリスク分 15/21 企業とのアライアンス Minerva Biotechnologies、Newcells Biotech Limited、北京医薬集団有限責任公司、タカラ バイオなど多数 R アイロムグループ|2372| ◤ 散、キャッシュのグループ内融通、ノウハウ・技術のシナジーを図ることができる 特許:ディナベック研究所が基本特許を有するセンダイウイルスベクター(SeV)に 関して、その専用実施権を100%子会社IDファーマが世界主要国で保有している。更 に、IDファーマはSeVにiPS(人工多能性幹)細胞作製用4因子を搭載してiPS細胞を作 ◤ 製する技術の特許を主要国で保有している 大学・アカデミア、医療機関、専門医師との長期関係性:ニーズとシーズのマッチン グを図ることができる。同社の先端医療事業は大学・企業との複数のアライアンスを 通じた複数の先進的な研究シーズをもととしている。研究開発数の多さは成功確率を 高めることに寄与する。また、SMO/CRO事業では多数の医療機関や専門医師との長期 関係性も構築している 弱み ◤ 成熟事業を基盤とする点:設立以来収益基盤となっているSMO事業は成熟化が進んで おり、値下げ圧力も高く競争が厳しい(日本SMO協会会員売上高は2012年の41,300百 万円から2014年の37,000百万円へ縮小)。同社は全国規模で1,583施設の医療機関と提 携している(2015年9月30日現在)が、病院に比べて病床数の少ないクリニック(19 ◤ ◤ 床以下)の比率が相対的に高い 経営資源の分散:リスク分散やグループ間シナジーの点では強みとなるも、創薬から ツール開発、治験・開発支援サービスに至るまで幅広く事業を行っている故の経営資 源の分散は弱みにもなり得る 人的配分のアンバランス:従業員の約9割はSMO事業に従事しており、先端医療事業 とCRO事業からなる新規事業に従事するのは現在5%に過ぎない。今後、先端医療事業 が成長していく過程で、その専門性の高さ故に、他グループ会社からIDファーマへの 定期的な人事異動等を継続的に行うことは必ずしも簡単ではないのではないかとSR 社では推測する 16/21 Research Espresso by Shared Research R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 損益計算書 損益計算書 (百万円) 売上高 前年比 売上原価 前年比 売上原価率 売上総利益 前年比 売上総利益率 販管費 前年比 売上販管費率 営業利益 前年比 営業利益率 経常利益 前年比 経常利益率 06年3月期 07年3月期 08年3月期 09年3月期 10年3月期 11年3月期 12年3月期 13年3月期 14年3月期 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 15年3月期 16年3月期会予 連結 連結 12,368 14,890 13,727 14,478 13,815 13,990 11,018 6,704 4,011 4,134 5,300 169.2% 20.4% -7.8% 5.5% -4.6% 1.3% -21.2% -39.2% -40.2% 3.1% 28.2% 8,763 11,106 9,739 10,165 9,926 10,131 8,389 4,602 2,941 3,305 209.1% 26.7% -12.3% 4.4% -2.4% 2.1% -17.2% -45.1% -36.1% 12.4% 70.9% 74.6% 71.0% 70.2% 71.8% 72.4% 76.1% 68.6% 73.3% 79.9% 3,604 3,785 3,988 4,313 3,889 3,858 2,628 2,102 1,070 829 104.9% 5.0% 5.4% 8.2% -9.8% -0.8% -31.9% -20.0% -49.1% -22.5% 29.1% 25.4% 29.0% 29.8% 28.2% 27.6% 23.9% 31.4% 26.7% 20.1% 3,395 5,037 4,238 4,137 4,051 3,518 3,061 1,733 1,472 1,601 -23.9% -12.8% 14.3% 2.5% -5.5% -2.0% -13.5% 31.5% -14.9% -24.8% 33.8% 30.9% 28.6% 29.3% 25.1% 27.8% 25.9% 36.7% 38.7% -1,252 -252 175 -162 340 -432 369 -402 -772 -58.6% nm nm nm nm nm nm nm nm nm nm 1.7% -8.4% -1.8% 1.2% -1.2% 2.4% -3.9% 5.5% -10.0% -18.7% -2.5% 27.5% 209 -130 -350 140 -1,223 -95 182 -225 233 -1,697 587 -322 -600 nm nm nm nm nm nm nm nm nm nm nm 1.1% -8.2% -0.7% 1.3% -1.6% 1.7% -15.4% 8.8% -8.0% -14.5% -6.6% 162 -168 -932 -10,559 -731 226 -364 1,751 -294 -606 40 前年比 nm nm nm nm nm nm nm nm nm nm nm 利益率 0.8% 当期純利益 1.3% -1.1% -6.8% -72.9% -5.3% 1.6% -3.3% 26.1% -7.3% -14.7% 減価償却費・のれん償却額 380 769 885 608 788 562 299 111 76 115 EBITDA 589 -483 633 783 626 902 -133 480 -326 -657 12年3月期 連結 13年3月期 連結 販売費及び一般管理費の内訳(百万円) (百万円) 販管費 役員報酬 給料手当及び賞与 賞与引当金繰入額 賃借料 貸倒引当金繰入額 その他 <構成比︓売上を100%とした時> 販管費 役員報酬 給料手当及び賞与 賞与引当金繰入額 賃借料 貸倒引当金繰入額 その他 出所:会社データよりSR社作成 ◤ ◤ ◤ 17/21 06年3月期 連結 07年3月期 連結 08年3月期 連結 09年3月期 連結 10年3月期 連結 11年3月期 連結 14年3月期 連結 15年3月期 連結 3,395 444 855 19 484 33 1,561 5,037 453 1,227 70 733 61 2,492 4,238 348 889 76 574 94 2,258 4,137 394 1,206 13 600 5 1,919 4,051 401 1,169 18 592 0 1,871 3,518 340 1,120 20 508 0 1,530 3,061 295 1,032 19 456 0 1,259 1,733 231 588 0 216 0 698 1,472 240 290 0 76 262 604 1,601 290 308 0 208 -62 857 27.5% 3.6% 6.9% 0.2% 3.9% 0.3% 12.6% 33.8% 3.0% 8.2% 0.5% 4.9% 0.4% 16.7% 30.9% 2.5% 6.5% 0.6% 4.2% 0.7% 16.4% 28.6% 2.7% 8.3% 0.1% 4.1% 0.0% 13.3% 29.3% 2.9% 8.5% 0.1% 4.3% 0.0% 13.5% 25.1% 2.4% 8.0% 0.1% 3.6% 0.0% 10.9% 27.8% 2.7% 9.4% 0.2% 4.1% 0.0% 11.4% 25.9% 3.4% 8.8% 0.0% 3.2% 0.0% 10.4% 36.7% 6.0% 7.2% 0.0% 1.9% 6.5% 15.1% 38.7% 7.0% 7.5% 0.0% 5.0% -1.5% 20.7% 売上高:事業ポートフォリオの変更により、過去10年間のピークであった14,890百万 円(2007年3月期)から同ボトムの4,011百万円(2014年3月期)へ縮小。IDファー マの業績寄与により、その後回復基調にある。 粗利益率:過去10年間平均27.1% 過去10年間に6度営業損失を計上 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 貸借対照表 貸借対照表 (百万円) 現金及び預金 受取手形及び売掛金 営業貸付金 短期貸付金 棚卸資産 前渡金 06年3月期 連結 6,402 2,593 3,387 0 1,869 - 07年3月期 連結 5,432 3,263 6,097 0 1,673 - 08年3月期 連結 2,736 2,949 5,534 1,683 4,244 - 09年3月期 連結 1,519 2,900 2,344 1,398 1,991 - 10年3月期 連結 11年3月期 連結 12年3月期 連結 698 2,753 0 857 1,687 - 1,090 2,468 0 832 1,542 - 803 591 0 0 500 - 13年3月期 連結 1,926 1,061 0 348 607 - 14年3月期 連結 1,592 647 0 204 665 146 15年3月期 連結 1,595 794 0 235 800 146 繰延税金資産 188 285 50 51 64 57 9 18 45 62 その他 貸倒引当金 流動資産合計 有形固定資産 950 -212 15,177 5,963 2,281 479 2,460 648 95 1,602 1,456 0 146 4,020 2,262 0 62 0 109 0 0 1,717 -130 11,585 26,763 1,717 4,665 89 263 1 59 2,459 9,252 744 460 190 625 2,019 11,271 15,128 364 15,491 4,291 2,745 1,705 -273 18,182 4,636 2,174 180 1,796 376 111 1,265 0 1,007 257 4,279 2,318 0 111 139 173 0 0 1,669 -130 10,180 28,362 1,529 8,052 17 211 2 74 2,040 11,925 471 191 524 1,186 13,112 14,805 7 438 15,250 3,460 3,407 947 -510 17,633 4,128 2,129 440 1,429 11 120 902 0 704 198 3,796 1,518 0 177 0 302 0 0 2,059 -260 8,827 26,459 1,257 7,449 665 269 1 34 1,833 11,508 59 401 - 658 -3,137 7,728 6,011 3,013 523 2,360 15 98 854 -26 6,826 5,229 2,660 445 1,947 90 86 815 -34 6,834 4,903 2,517 342 1,968 5 69 619 -2 2,522 2,641 1,509 1 1,094 0 37 571 0 413 157 2,141 243 3,835 0 0 90 0 1,032 1,210 -4,271 8,723 16,452 1,514 6,883 664 341 0 34 1,657 11,097 154 409 1,101 171 360 2,198 13,296 3,127 -37 66 3,156 -2,440 3,377 235 0 124 111 1,712 142 0 5,423 0 71 0 1,096 792 -5,813 7,178 14,005 1,426 5,806 517 334 37 1,386 9,508 130 421 963 172 327 2,015 11,523 2,396 -10 70 2,481 -4,531 2,584 49 0 0 49 1,372 135 0 5,623 0 63 529 915 270 -6,166 6,325 13,160 1,726 5,268 191 246 38 1,418 8,889 447 538 172 437 1,595 10,485 2,622 -14 46 20 2,674 -3,904 2,714 72 0 0 72 758 5 0 4,327 0 0 389 693 58 -4,715 3,473 5,996 504 1,175 0 5 284 -16 4,231 874 465 0 367 0 41 38 0 0 38 687 181 0 661 0 0 308 422 86 -977 1,601 5,832 92 93 294 -23 3,572 550 342 0 132 0 75 597 0 0 597 1,307 562 0 733 0 0 300 527 46 -872 2,456 6,029 49 14 508 221 -210 1,003 44 0 121 53 319 539 1,542 4,353 -6 76 40 16 4,486 1,752 1,263 242 -11 3,867 633 391 0 132 0 109 863 0 0 863 1,475 722 0 116 0 0 210 639 67 -280 2,972 6,839 60 290 74 15 461 247 -307 1,457 194 0 160 16 397 769 2,226 4,439 -14 7 67 99 4,613 1,272 1,534 建物及び構築物 機械装置及び運搬具 土地 建設仮勘定 その他 無形固定資産 連結調整勘定 のれん その他 投資その他の資産計 投資有価証券 長期営業貸付金 長期貸付金 関係会社長期貸付金 繰延税金資産 長期未収入金 差入保証金 その他 貸倒引当金 固定資産合計 資産合計 支払手形及び買掛金 短期借入金 1年以内返済予定の長期借入金 未払法人税等 繰延税金負債 前受金 預り金 賞与引当金 その他 流動負債合計 長期借入金 退職給付に係る負債 債務保証損失引当金 資産除去債務 繰延税金負債 その他 固定負債合計 負債合計 株主資本 (自己株式) その他の包括利益累計額 少数株主持分 新株予約権 純資産合計 ネットキャッシュ 運転資金 172 516 1,148 12,656 13,780 -57 80 13,804 1,780 5,937 出所:同社データよりSR社作成 ◤ バランスシートは改善傾向へ:2009年3月期に、貸倒引当金繰入額6,772百万円、債 務保証損失引当金繰入額1,101百万円など合計10,235百万円の特別損失を計上するな どにより大幅赤字となり、株主資本が大きく棄損。事業売却(2012年3月期及び2013 年3月期)、子会社アイロムメディック(現アイロムプロパティマネジメント)の累 損解消、繰越利益剰余金の欠損額補填のための減資(効力発生2013年10月1日)など を実施。2013年3月期以降、同社のバランスシートは改善が進みつつある。 18/21 574 410 0 233 2,903 9 315 105 81 308 819 3,722 2,257 0 0 15 2,273 -372 587 517 240 -404 1,348 0 0 96 43 323 462 1,810 4,008 0 13 4,021 2,274 1,576 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research 一株あたりデータ(円、株式分割調整後) 一株当たりデータ(円、株式分割調整後) 期末発行済株式数(株) EPS(1株当たり当期純利益) EPS(潜在株式調整後) DPS(年間配当金) BPS(1株当たり純資産) 出所:会社データよりSR社作成 06年3月期 連結 07年3月期 連結 08年3月期 連結 09年3月期 連結 935,142 -1129.14 330.46 935,142 -18.00 10.00 1,583.92 935,142 -99.65 10.00 1,467.51 06年3月期 07年3月期 08年3月期 09年3月期 連結 連結 連結 連結 934542 14.82 10.00 1,618.74 10年3月期 連結 11年3月期 連結 12年3月期 連結 13年3月期 連結 14年3月期 連結 15年3月期 連結 935,142 10,203,665 10,203,665 -59.12 -30.85 187.25 434.38 419.05 428.60 935,142 24.18 278.89 935,142 -39.02 241.43 10年3月期 11年3月期 12年3月期 13年3月期 14年3月期 15年3月期 連結 連結 連結 連結 連結 連結 935,142 -78.22 255.18 キャッシュフロー計算書 キャッシュフロー計算書 (百万円) 営業活動によるキャッシュフロー -1,937 -5,255 -1,339 -780 345 720 -101 -625 -45 -785 投資活動によるキャッシュフロー -3,908 1,090 -1,781 財務活動によるキャッシュフロー 608 174 40 2,525 2,868 -421 -471 10,735 3,294 -53 -562 -1,249 -852 -2,303 -1,175 26 1,242 出所:会社データよりSR社作成 財務指標 財務指標 06年3月期 07年3月期 08年3月期 09年3月期 10年3月期 11年3月期 12年3月期 13年3月期 14年3月期 15年3月期 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 連結 総資産経常利益率(ROA) 0.8% -4.4% -0.3% 0.8% -1.5% 1.7% -17.7% 9.9% -5.4% -9.3% 自己資本当期純利益率(ROE) 1.1% -1.1% -6.5% -125.6% -26.7% 9.1% -15.0% 55.9% -7.0% -13.7% 11.7 8.4 4.6 4.6 7.8 8.7 10.1 12.1 6.3 5.6 4.1 2.8 3.1 2.9 2.5 2.8 2.9 3.8 5.6 7.0 164.0% 152.5% 153.2% 69.6% 71.8% 76.9% 86.9% 313.9% 356.1% 265.4% 57.9% 52.2% 51.9% 18.8% 17.2% 20.0% 37.9% 68.9% 73.7% 66.5% 棚卸資産回転率 (回) 有形固定資産回転率(回) 流動比率 純資産比率 出所:会社データよりSR社作成 大株主 氏名又は名称 森 豊隆 森 利恵 日本証券金融株式会社 長谷川 譲 大和証券株式会社 株式会社SBI証券 森 龍介 神林 忠弘 吉田 靖史 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 発行済株式数 出所:会社データよりSR社作成 2015年9月末現在 所有株式数 割合 (株) 4,754,250 44.8% 825,000 7.8% 213,300 2.0% 194,251 1.8% 91,090 0.9% 83,300 0.8% 75,000 0.7% 71,000 0.7% 64,200 0.6% 59,000 0.6% 10,623,665 100.0% 株主還元方針 株主への利益還元については重要な経営課題であると同社は認識。安定的かつ継続的な配 当の実施を基本とするも、企業体質強化及び今後の成長に向けた内部留保を勘案し、現在、 無配である。 19/21 R アイロムグループ|2372| Research Espresso by Shared Research コーポレートガバナンス情報 組織形態・資本構成等 森豊隆 支配株主の有無 親会社のコード 取締役関係 定款上の取締役数 20名 1年 定款上の取締役任期 1名 社外取締役(独立役員)人数 監査役関係 定款上の監査役員数 5名 社外監査役(独立役員)人数 1名 その他 独立役員人数(社外取締役、社外監査役合計) 2名 議決権電子行使プラットフォームへの参加 無 その他機関投資家の議決権行使環境向上に向けた取り組み 無 招集通知(要約)の英文での提供 無 取締役報酬の開示状況 無 執行役員報酬の開示状況 - 報酬の額又はその算定方法の決定方針の有無 無 買収防衛策の有無 無 出所:会社データよりSR社作成 20/21 ディスクレーマー 本レポートは、情報提供のみを目的としております。投資に関する意見や判断を提供するものでも、投資の勧誘や推奨を意図したものでもありません。SR Inc.は、 本レポートに記載されたデータの信憑性や解釈については、明示された場合と黙示の場合の両方につき、一切の保証を行わないものとします。SR Inc.は本レポート の使用により発生した損害について一切の責任を負いません。 本レポートの著作権、ならびに本レポートとその他 Shared Research レポートの派生品の作成および利用についての権利は、SR Inc.に帰属します。本レポートは、 個人目的の使用においては複製および修正が許されていますが、配布・転送その他の利用は本レポートの著作権侵害に該当し、固く禁じられています。 株式会社シェアードリサーチの役員および従業員、ならびにその関連会社および関係者は、本調査レポートで対象とされている企業の発行する有価証券に関して取 引を行っており、または将来行う可能性があります。 金融商品取引法に基づく表示 本レポートの対象となる企業への投資または同企業が発行する有価証券への投資についての判断につながる意見が本レポートに含まれている場合、その意見は、同 企業から SR Inc.への対価の支払と引き換えに盛り込まれたものであるか、同企業と SR Inc.の間に存在する当該対価の受け取りについての約束に基づいたもので す。 連絡先 株式会社シェアードリサーチ/Shared Research.inc 東京都文京区千駄木3-31-12 http://www.sharedresearch.jp TEL:(03)5834-8787 Email: [email protected] 21/21