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森林減少の終焉は近い?(世界)
NEDO海外レポート NO.990, 2006.11.29 < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート990号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/990/ 【環境】森林保全 森林減少の終焉は近い? (世界) −専門家は地球森林資源の新しい評価方法を提唱− 森林の伐採から植林へ移行する国と地域が増えている。これは全世界に転機をもた らすものと期待される。これまでにない斬新な方法を利用して世界の森林を評価した 研究者らはこのような報告をしている。 11 月 14 日に米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Science of the USA)に発表されたこの論文 ※ は、中国、フィンランド、スコットランド およびアメリカのさまざまな学問分野(林学、環境工学、生態学、地理学、資源経済 学、農業経済学)から 6 人の研究者たちが独自の発想に基づいて、「森林の回復がおお むね進行中である」との共通の意見に達し、それを共同で発表したものである。 世界 50 ヵ国における 1990∼2005 年間の森林変化 縦軸:森林密度の年変化率(%/yr)、横軸:森林面積の年変化率(%/yr) 縦軸の右側にある国は森林面積が拡大している。横軸の上にある国は森林密度 が高くなっている。対角線(赤)より上の国は森林蓄積量が増大している。 62 NEDO海外レポート NO.990, 2006.11.29 調査した 50 ヵ国のうち、1990 年から 2005 年の間において国の面積に対する森林 面積の割合(%)が最も急速に減少したのはナイジェリアとフィリピンであり、最も早く 拡大したのはベトナム、スペインおよび中国である。 森林蓄積量は、インドネシア、ナイジェリアとフィリピンでは最も急減していたが、 ウクライナとスペインでは最も急速に増加した。 絶対量からみると、インドネシアとブラジルでは森林面積及び蓄積量ともに最も大 きな減少が見られたが、中国とアメリカは最も大きな増加を成し遂げた。 「森林評価法により世界の国々を森林減少と森林増加の国に二分し、各国の森林の 拡大、木材、バイオマス、炭素蓄積などの変動原因を究明することが必要である」と、 本論文の筆頭者であるフィンランド Helsinki 大学の Pekka E. Kauppi 教授は述べて いる。 共著者のアメリカ Rockefeller 大学の Ausubel 氏はこう言っている。「土地利用が大 きく変化しており、これが『地球の丸坊主化』を食い止め、2050 年までに地球景観を 大きく復元し始めるかもしれない。そうなると、地球上の森林面積が 10 パーセント、 およそインドの国土面積に相当する 3 億ヘクタールも拡大するだろう。」 「人口の減少または貧困化を伴わずに、森林面積と密度の回復に直面している国が 増えつつある。人々に誤った安心感を与えるかもしれないが、我々の研究成果は森林 回復に関する楽観的見通しに根拠を与えている」と、Kauppi 博士は付け加える。 出典:The Forest Identity http://www.helsinki.fi/press/forestidentity.shtml 森林減少の終焉は近い? (日本語翻訳版) http://www.helsinki.fi/press/worldforests/Forest_id_news_Japanese.pdf Copyright © 2006 University of Helsinki. Used with permission. 編集:NEDO 情報・システム部 ※ Returning forests analyzed with the forest identity http://www.pnas.org/cgi/content/full/103/46/17574 63