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五酸化バナジウム V205 [CAS No. 1314

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五酸化バナジウム V205 [CAS No. 1314
一一
182
産衛誌45巻, 2003
Environ Med 2001; 43: 809-823.
23) Quinn MM, Smith TJ. Youk A O, et al. Historical cohort
study of US man-made vitreous fiber production work­
ers: VIII. Exposure司specific job analysis. J Occup Environ
Med 2001; 43: 824-834.
24) IARC. Monographs programme re-evaluate carcinogenic
risks
from
airborne
man-made
vitreous
五酸化バナジウム
V205
[CAS No. 1314-62嗣1]
許容濃度0.05 mg/m3 (V205として)
fibres.
Monographs Programme of the International Agency for
Research on Cancer 2001.
25) http://www.iarc.fr/pageroot/PRELEASES/pr 137a.html
26) ACGIH. Documentation of the Threshold Limit Values
and Biological Exposure Indices, 7th Ed. Synthetic
1 . 物理化学的性 質, 用途
五酸化バナジウムは黄~錆色の不燃性の斜方品系結晶
で, 分子量181.90 , 比重3.35 , 融点690oC, 沸点(分解)
1,750 oC , 水 に微溶, 濃 酸濃 アル カ リに可溶, アルコー
Vitreous Fibers: American Conference of Governmental
ルに不溶である 1 , 2) バナジウム元素は周期表第V族の
Industrial Hygienists. Cincinnati: 2001.
遷移元素のひとつであり, 原子価は3 , 4 , 5 が一般的で
27) Morinaga K, Fujimoto 1, Sakatani M, et al. Epidemiology
ある. 五酸化パナジウムは, フェロバナジウムの製品原
of asbestos-related diseases in Japan. In: Gibbs GW,
料, 硫酸製造触媒, 有機酸製造触媒顔料, フェライト材
Dunnigan J. Kido M, Higashi T, eds. Health Risks from
Exposure
to
Mineral
Fibers:
An
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Perspective. North York ( Ontario): Captus University
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料, 電池材料, 蛍光体原料等として使わ れる. 産出量の
多くが, 磁鉄鉱を製鉄した際に発生する副産ス ラグより
生産されるもので, 南アフリカにおいて世界の約50%
を生産する.更に重油燃料に250 から400 ppm 含 ま れ 4 ),
船, 精油所, 火力発電所等の燃焼物残j査中の五酸化バナ
ジウムと三酸化パナジウムに曝露されうる 5) 国 内使用
量のうち, 燃料残法より回収されたものが約10%をし
める.
2 . 体 内動態/ 代謝
実験動物におけるバナジウムの吸 収, 分布, 排j世は,
30) Yamaya M, Nakayama K, Hosoda M, Yanai M, Sasaki
ヒトと類似である6-8) 経口曝露では主に上部消化管よ
H. A rockwool fibre worker with lung fibrosis. Lancet
り吸 収され , 吸 収率は1%未満である. Rhoadsら7) は,
2000; 355(9216): 1723-1724.
3 1) Okano M, Kozuka T, Tanigaki T, Kitano y, Yoshikawa
K. Fiberglass dermatitis in Japan -Report of four cases
. J Dermatology 1987; 14: 590-593.
雌の Fisher ラットに放射性 ア イソトー プ 4 8Vで標識し
た五酸化パナジウムを経鼻吸入させ , ガンマカ ウンター
で肺残存率を測定した結果, 50%が18分以内に消失し ,
32) Konzen JL. Man-made vitreous fibers and health. In:
14日目には1%強であった. 曝露後 8�14日の48V排
Proceedings of the National Workshop on Substitutes for
世量は, 糞便中より尿中が2倍多かった. 全身 からの排
Asbestos. US Environmental Protection Agency. EPA
池(半減期11時間と5.1日) と同様, 肺のクリアランス
560/3-80-00 1, 1980: 329-342.
も二相性 (半減期11分と1.8日)を示した.
パナジウムは,
ヒトの全身 に広 く分布する 9, 1 0) 煙
草は1�8 ppm のバナジウムを含むので, 生体試料中の
濃度を測定する際には喫煙の有無を考慮する必要があ
る 9) パナジウムの粉じんやフュームに曝露してない健
常人の血清パナジウム濃度 は, 0.016� 0.939μg/ lであ
り 11 13), 尿中濃度 は1�20μg/ lであった 14 , 15) バナ
ジウムは血中では最初リン酸, 炭酸, クエン酸との結合
物として存在するが時間と共にトランスフェリンと結合
するようになる 16)
バナジウムは, 曝露後速やか に尿中・糞便中に排世さ
れる4 , 17). Glysethら1 8) は, 0. 01�1 mg/m3 以上のバ
ナジウムに曝露している11名のフエロバナジウム炉の
作 業 者 の 尿 中 ・ 血 中 バ ナ ジ ウ ム平均 濃 度 は
1.52μmol/mm ol Cr. . 35.7 nmol/lで, バナジウムにほ
とん ど曝露してい な い と考えられる 6名 の 作 業 者 の
183
産衛誌45巻, 2003
0.36μmol V 1mmol Cr. . 20.2 nm ol/ lに比べて4.2 ・1.8
倍高かったことを報告した. Kiviluotoら1 2, 17)は, 五
酸化パナジウムの平均曝露濃度が0.28mg/m3の曝露作
業者の尿中と血清中パナジウムは相関(r
=
0.81) する
が, 比較的低曝露領域(0.01�0.04 mg/m3)では相関
は無かったとしている.
3. 動物における研究
1)急性 毒性
ほ ど, 臓器重量が軽 い傾向が見られた.
4) 発がん性
五酸化パナジウムを飲水 曝露させたラットの長期間
観察 では, バナジウムは成長や腫蕩発生に影響しなか
った 23)
NTP は, J1t1U住のFisher 344/ N ラットとB6C3F1 マウ
スを用いて90%以上は粒径1μm 未満の五酸化バナジウ
ム0, 1, 2, 4 mg/m3を1日6時間,週5日間,104週間
マ ウ ス に 対 す る 経 口L D 0 は, 五 酸 化 バ ナ ジ ウ ム
5
23 mg/kg, 三酸化バナジウム130mg/kg である 1, 19)
Knechtら 20)は,16匹 の雄サルに五酸化パナジウム
曝露した. 雄雌マウスでは細気管支/ 肺胞がんが濃度依
0.6:t 0.4 mg/m3を 6時間全身 曝露したところ肺換気能
4 . ヒトにおける研究
の 低 下 は 見 ら れ な か っ た . 1週 間 後 に 再 度 4.4:t
0.4mg/m3を6時間全身 曝露したところ, 肺換気能の低
存的に有意に増加したが, 雌雄ラットでは発がんの証拠
は明確 ではなかった 27)
アメ リカでは1911年28)
, 英国では1946年 5)にバナ
ジウム粉じん曝露により,急性気管支炎, 気管支痘撃,
下が見られた. 末梢中枢とも気道の閉塞所見 がみられ,
持続性の咳,眼および鼻腔粘膜の刺激症状,端鳴,ラ音,
最大呼気流量( PEFR),0.5秒量(FEV 0. )' 50%強制
5
呼気流量(F EF )の何れも有意に低下した. 気管支肺
50
胞洗浄液検査では総細胞数と多 核白車球の有意な増加が
水泡音, 緑舌がみられると報告されているが, 塵肺症 や
見られた.
Proescherら21 )は, 五酸化バナジウムを静注した ウ
サギの肺に, 白血球の浸潤と静脈の欝血を見た.
肺気腫のような不可逆的な肺障害は見られなかった.
Vintinnerら 29)は, バナジウム鉱石採鉱作業者を,
高 濃 度 曝 露 群 (0.77� 58.8 mg/m3), 低 濃 度 曝 露 群
(0.01� 2.12 mg/m3), 対 照群(0.000-0.006mg/m3) に
分類して調査した結果, 高濃度曝露群では咳・呼吸困難
2)慢性 毒性
等の呼吸器症状や動俸が低濃度曝露群より多く みられた
Kowalska22)は, 雄 Wistar ラットに, 生後 105日日
ま で 20,40, 60 ppm のメ タ バナジウム 酸 ナトリウム
と報告している.
McTurkら3 0)は, ガーゼマスクを装着して五酸化バ
(NaV0 )を含んだ飲用水を与えたところ, 肺の全コラ
3
ーゲン量と可溶性のコラーゲン量が有意に減少したが,
ボイラー清掃作業者では,急性 中 毒症状 は無かったが,
中毒症状は見られなかった. S chroederら23)は, L ong幽
6�24時間後に続発 症状として咳・呼吸 困難・緑舌が
Evans ラ ッ ト に 5 ppm の オキシ 硫 酸 パ ナ ジ ウ ム
みられ 2,3日続いたと報告した.
(VOS 0 ・ 2H 0)を含んだ飲用水を与えたところ, 対
2
4
照群に 比 べ て成 長や 腫 蕩 発 生 は 変 わ り なか っ た .
ナジウム99mg/m3 に月に1�2 度曝露するタンカーの
Sjoberg31, 32)は,2�85 mg/m3のパナジウムに曝露
するボイラー清掃作業者の呼吸器刺激症状,慢性の気管
S teffenら24)は, 1i住 のSp rague-Dawley ラットにオルソ
支炎の報告をし, 肺気腫の危険性があると述べている.
バナジウム 酸 ナトリウム (Na V0 )を 100,200 ppm
4
3
含んだ飼料を56週間 与えたところ,8週日 から収縮期
Sjoberg33)は, 最大パナジウム濃度 12mg/m3 のバナジ
血圧の上昇が見られた. 56週終了時には, バナジウム
H荷鳴は軽かったと報告している.
投 与 群で は心体 重 比が 上 昇 し , 血清 バ ナ ジ ウ ム は
0.12-0.27μg/mlであった.
3)生殖発生毒性
ウム精錬所作業者では, 呼吸器刺激症状, 咽頭痛, 咳,
Williams34)は,17.2�58.6 mg/m3のパナジウムに曝
露するボイラ一清掃作業者 8名に緑舌や呼吸器刺激症状
の発生を報告している.
Jandhyala と Hom25)は, 1皮らのレビューの中で, パ
L evyら4)は, 五酸化バナジウムフュームとして0.05
ナジウム 欠乏症のラットは出生仔 数が低下し新生仔死亡
�5.3mg/m3 に曝露している 55名のボイラー清掃作業
が増加したという文献を引用している. Dom ingo26)ら
者の自覚症状 調査の結果, 疾を伴った咳, 咽頭痛, 労作
は, メタバナジウム酸 ナトリウム(NaV0 )0, 5, 10,
3
20 mg/kg/ dを,Sp rague-Dawley ラット雄交配60目前
時呼吸困難などが70%に見られた.
Kiviluoto3 5)は, 五酸化パナジウム 0.1� 3.9mg/m3
から, 雌交配14日前から妊娠・授乳中を通じて, 経口
投与後 それぞれの濃度毎に交配させたところ, 受精能や
た対照者 63名を比較し, 胸部X線写真, 努力性肺活量,
妊娠能力には影響せず母体に対する毒性 も無かったが,
l秒量に差はないが,端鳴が有意に多 いと報告している.
対‘照群と比較すると, 仔 の体重・体長は生後21日目ま
に曝露している 63名の男性 作業者 と年齢をマッチさせ
Tebrock と Machle36)は, 五酸化パナジウム濃度が約
で雌雄とも有意に低く, 生後5,10, 20日日の牌, 肝,
1.5 mg/m3のイットリウム・オイロピウム・バナジウム
腎重量は軽かった. また高投与量の母体から生ま れた 仔
曝露作業者の30%に結膜 炎, 気管支炎, 皮膚炎が見ら
184
れたと報告した.
L ewisら37) は, 曝露濃度 0.1�0.9mg/m3のパナジウ
産衛誌45巻, 2003
5 . 気道感作性 ・刺激性
ム粉砕作業者 24人と, 年齢 ・社会経済的状態をマッチ
パナジウムの感作性 に関しては, 示唆する報告44-4 8)
も多いが 否定的な報告35, 38 , 4 9, 50) もある. そのメカニ
させた対照群45人と比較した. 尿中パナジウム濃度 は
ズムはアレルギー性とは決定できない .
曝露群で46.7:t 31.2μg/ l, 対照群で11.6:t 6.2μg/ lであ
Zenzら4 5) は, 以前に軽度のパナジウムに曝露した
り, 曝露作業者の 62%に目・鼻・喉・呼吸器系の刺激
者 が再度 , 再々度低い 濃度のバナジウムを吸入すると,
症状が見られ , 20.8%に端鳴・ラ音の聴取 が, 37.5%に
症状が徐々 にひどく なる傾向があると報告している.
緑舌が見られ, 対照群より有意に多かった.
Musk とTees4 8) は, 五酸化パナジウム精錬所 4名の
Kiviluotoら 1 2 , 17, 38) は , パ ナ ジ ウ ム 濃 度 が 0.2�
作業者の詳細な記録を記している(濃度の記載はない).
0.5 mg/m3の平均曝露期間が11年の 63名の焼却炉, 修
うち3名 はパナジウムに典型的な緑舌と急J性か慢d性のパ
理, 研究室のバナジウム曝露作業者から無作為に12名
ナジウム曝露により肺の実質の障害を伴わない気道の閉
を選ぴ, 年齢と喫煙歴をマッチさせた対照者 24名から
塞障害, ヒスタミンに対する気管の過敏反応を来してい
無作為に12名の鼻粘膜 生検を行ったところ, 鼻粘膜固
た. これら作業者の端息は, 同じくパナジウムに曝露し
有層の炎症反応 , 毛細血管の拡張と充血 , 鼻粘膜の好中
ているとされているアルミニウム製造の作業者の端息 51 )
球 数増加などパナジウムの慢性刺激による炎症 性変化が
と似ていた.
あったが, 好酸球 に有意な差はなく , 血清19A, 19D,
1rsigler GBら46)は, バナジウムを生産工場労働者で,
19G , 19E, 19M は意味ある変 化を示さなかった. また
五酸化パナジウム吸入による気道過敏性の充進 と気管支
雇用期間と組織学的変化との聞には相関は無かった.
瑞息を報告した. 気道過敏性を示した12名のうち6名
Woodin 等 は, 作業中は曝露濃度が 50μg/m3を超え
の五酸化パナジウム曝露濃度 は1.53mg/m3と高かった.
るバナジウムに曝露するボイラー作業者 は一般の作業者
Pistelli Rら 52) は, 火力発電所のボイラ一清掃作業者
に比べて呼吸器症状は強いが39), 作業前 1.2μg/m3で作
に気道過敏性の克進が見られたことを報告した(濃度不
業中8.9μg/m3の低曝露領域の作業場では呼吸機能 障害
は起こらないと報告した4 0)
明). 臨床的には, パナジウムに高濃度曝露時の端息症
わが国でもバナジウム取り扱い作業者において, 高い
状の発生が記載されている 53)
In
vitroの実験では, Kit ani ら4 7) は過酸化水素存在
曝露があった ヒ トでは9/ 19 に緑舌がみられ , 気管支炎
下にバナジウムにより, 19Eを介する経路とは独立に,
は4 / 19 に発生していたのが, 環境改善により平均曝露
アレルギー性炎症局所で見られるのと似たような, ラジ
濃度が10-64.3μg/m3の職場に新たについた ヒトでは緑
舌も気管支炎も発生してい な い 41, 4 2). kaw ai43)らは,
カルの関与を経て肥満細胞が活性 化され , ヒスタミンを
分泌することを見 出した.
0.126 mg/m3のパナジウムに約15分作業したパナジウ
一方 , Kiviluotoら35 , 38 , 49)の報告では, 呼吸器系に
ム取り扱い作業者 は咳, 緑舌や 尿中パナジウムの上昇が
パナジウムによる慢性刺激による局所炎症の変化を示す
あったが, 血中パナジウムは検 出されず、尿中バナジウム
のみで, パナジウム作業者の呼吸器系に何ら免疫学的変
化は無かったと報告し , Woodinら39 , 4 0, 50) は, ボイラ
の方がマーカーとして優れていた.
Zenz とBerg44 ) は , 2人の ボ ランテイ ア に誤っ て
ーの清掃の作業者の呼吸器症状 は鼻洗浄液 中の1 L-8 や
0.5mg/m3の代わりに1mg/m3の五酸化バナジウムを8
鼻中, 肺中のパナジウムや PMlO と関連があること, ま
時間曝露させたところ, 5時間後から咳が出始 め7時間
た ECP(e osinop hilic c ati on p rotein)を測定しどの作業
後には持続性 となり8日間続いた. 肺機能 , 血 液 検査 は
者 にも上昇がみられなかったので, 炎症反応にはアレル
正 常で好酸球増加も無かった. 3週間後, 2人 は再度誤
ギー は関与してい ないとしている.
って高濃度(濃度の記載はない)の五酸化バナジウムに
6. 諸外国の勧告値
5分間再曝露し実験は中断した. 16時間後に重篤な咳と
ACG1H は, 上部呼吸器系の刺激症状 , 肺疾患を最小
疾及び瑞鳴が出現した. イソプレテレノールを吸入した
限に抑える た め , 五 酸 化 パ ナ ジ ウ ムの TLV-TW A
が, 咳 は1週間続いた. 肺機能 検査 は正 常で好酸球増加
0.05 mg/m3, 発がん分類 A4( ヒトに対して発がん 性 が
は見られなかった. 次に五酸化パナジウムに曝露したこ
あるとは分類できな い)を勧告している. N10S Hは,
とがない 2人のボランテイアに0.1mg/m3のバナジウム
15分の 天 井 値 と し て 0.05mg/m3, 1 DLH 35mg/m3,
を8時間 吸入したところ, 24時間 後に 咳 と粘液の増加
OS H A は, 五酸化パナジウム吸入性粉じんとして天井
が 見 ら れ た が , 4日 後 に 消 失 し た . こ の 結 果 ,
値0.5mg/m3, 五酸化パナジウムフュームとして天井値
0.5mg/m3の許容濃度の勧告の改訂 が必要と結 論づけ
0.1 mg/m3を勧告している. オース トラリアでは, 吸入
た.
性 粉じんとフュームとして0.05mg/m3,
ドイツでは吸
入性エアロゾールとして0.05mg/m3, 30分間短期曝露
185
産衛誌45巻, 2003
レベル 0. 25mg/m3が勧告されている. スエーデンでは,
15分間の総粉じんの天井値0.2mg/m3(Vとして), 吸
入性 粉じん 0.05mg/m3, イギ リスでは総粉じんとして
バナジウム0.5mg/m3, 吸入性 フューム ・粉じんとして
0.05 mg/m3が勧告されている.
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18) Glyseth B. Leira HL. Steinnes E. et al. Vanadium in the
五酸化バナジウムに職業的に曝露すると, 呼吸器系症
状 などが生じる. Zenzら44 )のボランテイア吸入曝露
実験のデータ等から, 呼吸器症状を低く抑えることが期
待でき, 平均曝露濃度が10-64.3μg/m3の職場に新たに
ついた ヒトでは緑舌も気管支炎も発生してい ないことか
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