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“はらすまダイエット”体験記 - MED(アットメド)
特別企画 特別企画 Hitachi Associates Life Style Modification & Action Diet by ボリックひら氏 2008 年 4 月から、特定健診・特定保健指導(通称メタボ健診)が 実施された。そこで、編集部運営 Web サイト「@ MED(http:// med.eizojoho.co.jp) 」では、メタボリックシンドロームに対する知 識や生活改善における大切さを広く知ってもらうため、メタボリッ クシンドロームを題材としたブログを立ち上げた。 ブログを始めて数週間が経ったころ、私どものブログを見てくだ さっていた、医用画像診断装置の総合モダリティメーカである株式 会社日立メディコ様より、 「私どもで推奨しているダイエットプログ ラム“はらすまダイエット”を行ってみませんか?」というご提案を いただいた。 “はらすまダイエット”とは、日立グループがメタボリックシンド ロームである人々の生活習慣を効率的かつ効果的に改善することを 目的に開発した減量プログラムである。 このご提案により、 “はらすまダイエット”を実践するダイエット ブログとして動き出すこととなった。 ◦メタボ健診◦ まず、 “はらすまダイエット”を行うにあたり、身 長、体重、腹囲などの正確な身体情報が必要となる。 そこで、 “みなとみらいメディカルスクエア(横浜市・ みなとみらい) ”にてメタボ健診を行った。 “みなとみらいメディカルスクエア” は、医療法人社 団 相和会の新たなグループ病院として、今年 2 月に 開院したばかりのトータルヘルスケアクリニックで、 みなとみらい駅出口すぐのところに位置している。 院内に入りまず目をひいたのが、エントランスホ ールである。青色を基調とし、爽やかで清潔感溢れ るエントランスは、健診施設とは思えない心地よい 空間となっていた。 受付をすませ、健診着に着替えると、いよいよ健 診のスタートである。 メタボ健診の健診項目は以下のとおりである。 基本項目 ◦問診 ◦身体診察 ◦身長 ◦体重 診 察 ◦ BMI ◦腹囲 ◦血圧 ◦中性脂肪 脂 質 ◦HDL コレステロール ◦LDL コレステロール ◦AST(GOT) 肝 機 能 ◦ALT(GPT) ◦γ-GT(γ-GTP) ◦空腹時血糖または 血糖検査 ヘモグロビンA1c 貧血検査 医師の判断に基づき実施 ◦ CT 撮影・メタボジャッジ◦ ◦赤血球数 ◦ヘマトクリット値 ◦血色素測定 尿 検 査 ◦尿糖 ◦尿蛋白 その他 1174 メタボ健診の基本項目以外の心電図検査、眼底検 査、さらに CT 撮影による内蔵脂肪測定も“みなとみ らいメディカルスクエア”様のご好意により受診する こととなった。 健診はまず、事前に記入しておいた問診表をもと にした、問診から始まった。さまざまな質問をされ るが、けっして事務的な会話ではなく、とてもてい ねいで、看護師さんはささいなことにも親身になっ て耳を傾けてくれた。 次に身長、体重の測定、そしてメタボリックシン ドロームのシンボル的検査である腹囲を測った。続 いて、血圧、聴力、心電図と順を追って検査が行わ れた。これらの検査内容は一般的に行われるものと 変わりはないのだが、特に興味を引かれたのは検査 室である。検査はすべて個室で行われる。採血検査 においても、仕切りにより隣の受診者から見られる ことのない作りとなっており、患者のプライバシー を第 1 に考える同院の姿勢がうかがわれた。特定健 診は最後に、眼底検査、尿検査、採血検査が行われ 終わるのだが、各検査とも看護師さんの適切で親切 な誘導のため、待たされることもなく、とてもスム ーズでストレスのない健診であった。 ◦心電図 ◦眼底検査 ここからが私が最も楽しみにしていた CT 撮影 お よ び“fatPointer” に よ る 体 脂 肪 測 定 で あ る。 “fatPointer”とは、腹部 CT 画像から脂肪に相当す る CT 値を識別し、内臓脂肪を赤色、皮下脂肪を青色 にそれぞれ色分け表示する、日立メディコ社製アプ リケーションである。 自分自身、初めての CT 検査ということもあり、少 2008 年 12 月 日立メディコ社製『ECLOS』 “fatPointer”測定結果 “メタボジャッジ”測定結果 し緊張しながら撮影室に入った。CT 装置は日立メデ ィコ社製『ECLOS』である。同装置は、 “あらゆるユ ーザにフィットするバランスのよい CT”をコンセプ トに開発されたCT装置である。X線管、スライス数、 寝台など検査環境の変化に柔軟に対応できるシステ ムが、同装置の大きな特長である。 指示にしたがい寝台に仰向けに寝ると、ゆっくり と寝台が動き出し、同時にガントリの中で“ブーン” と音を立て X 線管がクルクルと回りだす。想像して いたよりもずっと小さな音である。ガントリに取り 付けられた、息止めをサポートするランプが緑色に 変わり、装置から「息を吐いて止めてください」とい 管理までの一連の指導業務をサポートする、同社の 特定保健指導業務支援システム『Hellseher Willing (ヘルゼア ウィリング) 』のオプションソフトである。 健診や問診の結果をタッチパネルで入力するだけで、 約 2 万人の健診データから、過去に同じような人が どの程度の割合で生活習慣病を発症したかが表示さ れ、さらには、何をすればもっとも効果的に生活習 慣病のリスクを軽減させられるかをシミュレーショ ンできるソフトである。現在の自分が置かれている 状況を数値で表示されることにより、よりリアルに 自身の現状を把握でき、メタボリックシンドローム に対する危機感と意識づけを新たにする、とても有 うアナウンスが聞こえ、いわれるままに、息を吸っ て止めると、ランプがオレンジ色に変わり「楽にして ください」という声が流れて撮影終了である。CT 撮 影というと、一般的な X 線撮影に比べ敷居が高く感 じるが、実際に体験してみると撮影時間はとても短 く、あまりのあっけなさに CT 撮影をしたという実感 もないほどである。撮影室を出て待つこと 2 〜 3 分、 先ほど撮ったCT値から“fatPointer(体脂肪測定) ” の結果が出てきた。結果を見る限り内臓脂肪は正常 範囲内ということで、ひと安心の測定結果である。 最後に、 “メタボジャッジ”を用いて保健指導をして いただいた。 “メタボジャッジ”とは、保健指導に関す る事務作業から保健指導対象者への支援計画・実施 用なシステムである。 メタボリックシンドロームは、動脈硬化や心筋梗 塞を引き起こす生活習慣病発症の前段階である。今 回、メタボ健診を受診したことにより、自分の健康 状態をしっかりと把握し、それを放置せず、改善す べき項目は早めに改善することの大切さを知るとと もに、健診の重要性をあらためて認識することがで きた。 Vol.40 No.13 ※詳細な検査結果は、@ MED(http://med.eizojoho. co.jp/)にて公開中です。 1175 2008年2月、横浜みなとみらいの中心に トータルヘルスケアの拠点が誕生 ―みなとみらいメディカルスクエア 事務長 今川 透氏に訊く― トータルヘルスケアとして開院した“みなとみらいメディカル スクエア”の健診施設の説明、また同院の今後についてお話を 伺う機会を得た。 「みなとみらいメディカルスクエア」開院の 経緯と概要をお話し下さい。 “みなとみらいメディカルスクエア”は、 “医療の質 の高さ” 、 “迅速性” 、 “快適性”を運営理念にかかげ、 2008 年 2 月に開院しました。 私ども医療法人社団相和会には“相模原総合健診セ ンター” “横浜総合健診センター”の 2 つの施設で人 間ドックを行っておりますが、 “みなとみらいメディ カルスクエア”は、 「これまでにない総合的な健診を 主体とし、専門外来を併設した施設」という構想を基 本理念としました。 従来の健診施設との大きな違いは、健診はもちろ んのこと、保健指導から精密検査・治療まで一環し た体制で、医療のトータルヘルスケアをご提供でき る点にあります。そして、皆様の「健康への道案内」 として、広く社会に貢献し、良質の医療を提供して いける施設であると自負しております。 同院で導入している検査装置について お話し下さい。 当院の検査装置やシステムの根幹は、日立メディ コ社製の装置が中心となっております。MRI 装置は 同社のオープン型 MRI装置を導入しており、CTも同 社の 4 列 CT 装置です。1.5T以上の高磁場の MRIや、 16 列、64 列といった多列の CT 装置をうたい文句 にしている病院もありますが、当院はあくまでも健 診施設なのです。健常者が相手である人間ドックに 高磁場な MRI 装置や多列 CT装置が必要か? という と、必ずしもそうではありません。 同社のオープン型 MRI は、閉所恐怖症の受診者様 にはとても喜ばれておりますし、CT 装置はカスタマ イズ性に大変優れており、当院のような健診施設に 非常にフィットした装置です。装置を導入するにあ たり、私自身が工場まで行き、自らの目で見て、実 際に撮ってもらい、同社の技術力や装置の安全性を 1176 実感できたということが、同社装置を導入すること となった大きな要因でもあります。 また当院では、内視鏡は、鼻から入れる経鼻内視 鏡(富士フイルム社製)を導入しております。従来の 口から入れる内視鏡検査では、口から入れているた め、嘔吐感もあるし、先生との話もできません。し かし、経鼻内視鏡ならば嘔吐感も少なく、検査中に 画面を見ながら先生と会話ができ、また受診者様の 身体に与える負担が少なくなります。さらに、通常 各施設では、洗浄しながら使いまわすことになりま すが、当院では、1 本の内視鏡は 1 人にしか使用しま せん。使用後は専門業者が回収し、洗浄・消毒する という、日本で初めてのレンタルスコープシステム を導入しており、健診を受ける人の立場に立った機 器や環境を整えています。 同院の健診施設の特長をお話し下さい。 当院の特長の 1 つとして、他院ではあまりみられ ない“迅速性”があります。健診から検査結果の提示 まで、約 3 時間ほどですべての検査が終わります。 検査センターを併設しているため、血液検査や尿検 査の結果をすぐに受診者様にお伝えすることができ るのです。そして健診日当日に、日立メディコ社の 協力のもと、私どもで独自に作った情報提供書を受 診者様にお渡ししております。また、検査結果が早 く出てくるため、検査センターから出てきた検査結 果を見ながら、先生が 1 人 1 人の受診者様に、わか りやすくていねいに説明いたします。 また当院では、医療連携による病院の紹介システ ムなどアフターケアにも注力しており、現在 18 の施 設と医療連携のネットワークを組んでいます。健診 後に「要再検査」または「要精密検査」の必要がある 受診者様が、その後実際に検査を受ける割合はとて も低く、2 割くらいです。再検査や精密検査をなる 2008 年 12 月 べくしっかり受けてもらうために、私どもでは、受 診者様へ病院を紹介すると同時に、予約まで取って あげています。そのとき、けっして私どもの方で病 院を指定するのではなく、受診者様に選んでいただ いております。そのため、当院の医療連携施設以外 のかかりつけ医、ご自宅や職場の近くなどの医療機 関をご希望される場合でも、当院より予約も含めて、 連絡をとらせていただいております。 そのほかにも、当院には、受診者様の健診環境を とても大事に考えた空間作りをしているという特長 がございます。エントランスのイメージは海と水。 通路は赤レンガ。待合室は和洋折衷の作りとなって おり、施設全体が横浜の街並みをコンセプトとした デザインとなってます。その上、待合室やロビーに は、テレビや新聞、時計なども置いてありません。 先にも述べましたが、当院では、約 3 時間ですべて の検査を終わらせるスケジュールで動いているため、 時計は必要ないのです。受診者様には、開放感あふ れる空間で時間を忘れ、リラックスしてほしいと私 どもは考えております。そして、検査室においては、 プライバシーを重視した設計になっており、採血検 査のカウンターは、敷居で隔ててあり、隣の人が見 えないようになっておりますし、また尿検査におい ても、尿を取ったコップをオーバーカップの中に置 いて、受診者様の名前がほかの人に見られないよう にするなど、プライバシーには細心の注意をはらっ ております。 さらに当院では、他のクリニック施設ではみられ ないほど、充実した医療スタッフをそろえておりま Vol.40 No.13 す。外科医、放射線科医、産婦人科医、消化器科医、 これらの先生方が常勤で検査しており、また、循環 器科医、眼科医(眼底写真の読影)の先生方には、週 2 日来ていただいており、クリニックでありながら、 病院を縮小した体制を作っております。 医療のトータルヘルスケアを提供する、 同院の今後の展望についてお話し下さい。 当院は、あくまでも健診を主体としたクリニック ではありますが、今後は病院の外来の要素をもった 施設としていきたいと思っております。そのために、 医療セミナーを定期的に開催し、地域に密着した医 療施設として、地域住民の方が望む体制作りに取り 組んでいきます。横浜市の癌検診などを通じて、各 検査が 1 つの施設内で一元化されることが受診者様 にとって最も理想的な姿と考えているからです。 また、患者様のサポートをより強化するためにも、 相和会の病院全体のネットワーク化を図ることは必 要不可欠なことだと考えており、システムの構築を 始めておりますが、現在、各施設で導入しているモ ダリティやソフトウェアの違いにより、思うように は進んでいません。しかし、患者様のためにも、今 後も日立メディコ社と協力し、相和会全体のネット ワーク化を図っていきたいと思っております。 そして、全国に多数の健診施設があるなかで、 “当 院で受診したい”と受診者様に選ばれるような施設と なるよう、今後も努力してまいりたいと思っており ます。 (談) 1177