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異世界で俺はエルフといちゃいちゃする旅に出る
異世界で俺はエルフといちゃいちゃする旅に出る 蒼乃 羽月 !18禁要素を含みます。本作品は18歳未満の方が閲覧してはいけません! タテ書き小説ネット[R18指定] Byナイトランタン http://pdfnovels.net/ 注意事項 このPDFファイルは﹁ノクターンノベルズ﹂﹁ムーンライトノ ベルズ﹂﹁ミッドナイトノベルズ﹂で掲載中の小説を﹁タテ書き小 説ネット﹂のシステムが自動的にPDF化させたものです。 この小説の著作権は小説の作者にあります。そのため、作者また は当社に無断でこのPDFファイル及び小説を、引用の範囲を超え る形で転載、改変、再配布、販売することを一切禁止致します。小 説の紹介や個人用途での印刷および保存はご自由にどうぞ。 ︻小説タイトル︼ 異世界で俺はエルフといちゃいちゃする旅に出る ︻Nコード︼ N5175CL ︻作者名︼ 蒼乃 羽月 ︻あらすじ︼ 趣味をころころ変える楠木幸人の今の趣味は沢登りと釣り。そ の沢登りの最中足を滑らせ川に転落し意識を失う。目覚めたら助け てくれたのは女の子は長い金色の髪、つり上がった青い瞳。まだ少 女のあどけなさを残したていて、そして長い耳を持っていた⋮⋮ ふとした拍子で異世界に迷い込みエルフの女の子と仲良くなった 幸人は、彼女と共に異世界の旅に出る。特に目的らしき目的もなく ︱︱ 1 更新頻度はまちまちですのでご了承ください。また、︵※︶がつ いている話には性描写が含まれます。逆に言えばついてないときは エロなしです。多分。 2 第1話 ワンページファッカー︵※︶ 第1話 ワンページファッカー 色々なことを趣味にしては、三日坊主ならぬ三ヶ月坊主程度で飽 きてまた別の物事へ興味を引かれる俺だったが、ここのところの趣 味は﹁沢を登って誰も居ない渓流で釣りをする﹂ことだった。釣り 自体は一年に一回前後やりたくなる、まるで年越しそばのようなも のだったが、そこに沢登り、シャワークライミングともいわれてい るが、やや危険で、日常とはかけ離れた要素が組み合わさることで、 新たな楽しみとなっていた。 今日もまた、週末を利用して山奥の渓流へとやってきて、麓の漁 協で遊漁券を買い、車の中で装備を調え、防水バックパックの中に 着替えと昼食に水、非常食、それから釣り道具一式を入れ、あと余 分な荷物にはなるが魚を入れる小型のクーラーボックスと共に沢へ と踏み行っていく。初めて登る沢ということも有り、慎重に進んで いくことしばし。ほどよいスポットを見つけて魚を何匹か釣り、昼 食を経て満足したところで帰り道に付く。 何回か既に経験して、多少なり慢心があったのだろう。行きはす いすい進めた滝で見事に足を滑らし、それなりの高さから滝壺へと 落下していく最中に意識が飛んでいった。 気がついたとき、唇が何か温かいモノで覆われていた。続いて、 吹き込まれる空気。活動再開した肺呼吸と押し込まれた空気がバッ 3 ティングし、盛大に咳き込んでから目を開ける。 ﹁良かった⋮⋮大丈夫?﹂ そこには、心配そうにこちらをのぞき込む女の子の顔があった。 きらびやかに輝く長い金色の髪、意志の強さを感じさせる少しだけ つり上がった青い瞳。美しさの中に、まだ少女のあどけなさを残し た、個人的にパーフェクトと讃えたい顔つきの女の子。ここまでで もうそれは見事に一目惚れ。 そして長い耳。 ⋮⋮ほわっつ? ﹁え、っと⋮⋮﹂ ﹁まだ身体を起こさない方がいいわよ。どこか打ってるかもしれな いけど、その服⋮⋮なのかな、ともかくそれで見えないところまで はわからなかったから﹂ ﹁それはご丁寧にどうも﹂ 覗き込んでいた彼女の顔が離れていくのにつられて、顔だけ傾け る。 少し白い肌。なだらかな曲線を描く体つき。首元から水が一滴、 すーっと身体を伝って落ちていく。山の膨らみは手にちょうど収ま るくらいで、その頂はうっすらと桃色に色づき。 ⋮⋮何故? 頂上を通り過ぎたあとは、無駄な肉のないおなかを伝い、そして、 あ、下も輝かしい金色で、だけどうっすらとだけで。 4 ミロのビーナスか彼女かというくらいにその裸体は美しくて、色 々催す前に見とれてしまうこと約5秒。言葉を失って見つめてしま った俺の様子から、ようやく彼女は自分の格好に気づいたらしい。 桃色と金色を手で隠して、だけど白色が全体的に紅く染まって一言。 ﹁えっと、まだ服が乾いてなくて﹂ ﹁いやいやいやもっと他に言うことあるだろうよ俺もだけど!﹂ 思わず身体を起こしてツッコミを入れてしまう。 ﹁でも君もそれ、脱いだ方がいいと思うよ。ここ水が冷たいし、そ の服がだいぶん水を吸ってるから、そのままだと風邪引くと思うけ ど﹂ ﹁いや、でも、へっぷし!﹂ 確かに寒い。水を吸ったウェットスーツがどんどん体温を奪って いる。仕方なしに彼女に背を向けて、ウェットスーツを脱いで水着 一枚の格好に。 ﹁それも脱ごう﹂ ﹁いやいやいや、それはちょっと﹂ ﹁大丈夫。私も何も着てないから﹂ いや、そこはまだ乾いてなくても着るべきじゃないかねキミぃ。 大丈夫な要素が一個もないが、頭に酸素が行き渡っていない時間が あったせいだろう、思考回路が働かないまま言われた通りに脱ぐ。 ﹁そのまま、さっきのように仰向けで身体を横たえて。あ、ちゃん と痛くないように敷物は敷いてるから﹂ ﹁⋮⋮色々まずいだろ色々﹂ 5 ﹁いいじゃない。お互いイーブンよ﹂ 罪悪感、という言葉が脳裏をよぎり、仕方なく仰向け。一部は直 立。もう致し方なし破れかぶれである。 ﹁そうして、こうする、と﹂ すると俺の上に、まだ名前も知らない彼女が、毛布と共に覆い被 さってきた。毛布に隠れて見ることは叶わないが、ふにょんと二つ の膨らみが押しつぶされ、二つの頂が少し自己主張をしている。密 接して、心音が徐々に同じリズムへと収束していくのがわかり、性 欲と共に安心感も増していく。 不思議と、重さは感じない。 ﹁痴女でしたか﹂ で見させてもらったけ ﹁⋮⋮まあそう言われても致し方ない行動をとってるけど、これも ライブラ あなたを助ける行為の一部なの﹂ ﹁というと?﹂ ﹁失礼を承知であなたの体力を ど、相当危ない状況よ。何かあったらいけないので回復しないとい けないけど、あいにく回復薬の類いは切らしてて。となると回復魔 法になるけど、私、回復魔法が得意じゃなくて、少しでも肌と肌を 密接させてないとあまり効かないの。あ、試したのは妹相手だけだ けどね。なので、服を脱いでたし脱いでもらってたの。さすがに恥 ずかしいから隠させてもらってるけど﹂ ﹂ ⋮⋮ほわっつ? 非常にこう、何というかファンタジーめいた内 聖なる女神よ、癒やしの力を我が手に。ヒール 容がつらつらと流れてきたような。 ﹁ではいくわ。 6 。ああ、も 彼女の言葉と共に、白い光が現れては俺の中へと消えていく。そ の光はとても温かくて、優しさを感じた。 ﹁どう?﹂ 知を司る女神よ、鑑定の力を我が目に。ライブラ ﹁うん、なんだか身体が温まるよ﹂ ﹁ う大丈夫そうね、少なくとも半分以上は回復してる﹂ ﹁なるほど⋮⋮﹂ さっきと似たようなフレーズと共に、彼女の目が少し赤く染まっ たのが恐らく魔法なのだろう。 完璧ファンタジーである。ということはこれはもうアレだろう、 お話でおなじみのアレだ。口にするのはちょっとはばかられるが、 アレだ。どういう理屈かはわからないが、別の世界に紛れ込んでし まったのだろう。幸か不幸か、天涯孤独の身である。戻れなくなっ たとしても、せいぜい勤め先が困るくらいだ。まあ、裏方的な仕事 をほとんど担ってたから仕事が回らなくなるかもしれないが、そこ はまあ不幸な事故と言うことで許してもらおう。 それよりも。ずるずるとここまで来たがやらなきゃいけないこと がある。お手軽設定なのか、幸いにも言葉は通じるしね。 ﹁⋮⋮先に言わなきゃいけなかったけど、助けてくれてありがとう﹂ ﹁どういたしまして﹂ 異世界から ﹁俺の名前は、もしかしたらさっきの魔法でわかってるかもしれな いけど、楠木幸人。君の名前は?﹂ さん﹂ ﹁私はメイ・ユーフォリアよ。よろしくね、ユキト。 の旅人 ⋮⋮ほわっつ? 今日はやたら多いなこの言葉。 7 ﹁えっとね、驚いてるとは思うけど、さっきの ライブラ 異 、相手 の状態がわかる魔法なんだけど、そこに記載があったから﹂ って。そ﹂ ﹁なんて便利な魔法だことで。ってことは、割と居るのかな、 世界からの旅人 ﹁うーん、記録に残ってる限りはこの数百年ではいないけど、私た ちエルフや、あなたと同じ人間、あとは獣人やドワーフ、魔族、龍 人に残る歴史に何人かは登場していて、子どもに聞かせる物語とし てはメジャーな存在よ﹂ ﹁なるほどねえ⋮⋮﹂ 話が早くて助かる展開である。記憶喪失や、遠いところから来ま したというネタでいく必要はないらしい。 ﹁歴史に残るって事は、何かすごいことをしたのか?﹂ ﹁そうね⋮⋮例えば一騎当千の英雄だったり、新しい物を開発した り、国や民族の発展に力を注いだり、色々あるわよ? まあ、記録 に残ってない人もいるでしょうから、全員が全員とは思わないけど ね﹂ ﹁そりゃそうだ。にしても⋮⋮﹂ 今後の先行きよりも、非常に気になることがある。 ﹁いつまでこうしてればいい? 正直、身体以外にも元気になって きてるんだが﹂ ﹁うん、気づいてるよ。その⋮⋮当たってるし﹂ ﹁あ、やっぱり? で、そっちもその、何というか、当たってる部 分もあるというか、溢れてる部分もあるというか⋮⋮あれか、もし かしてエルフはみんなエロフだった!?﹂ ﹁エルフの名誉のために言っておくと、そんなことはないから! 8 どっちかっていうと淡泊だし!﹂ ﹁じゃあメイだけ特別に?﹂ ﹁私だってそんなことはないわよ! 一回も経験ないし!﹂ ﹁処女でエロフ⋮⋮﹂ ﹁だからエロフって言わないでよ⋮⋮自分でも、なんでこうなって るかわからないの。だけど、川から流れてきたユキトを見て、慌て て引き上げて顔を見たときに、その⋮⋮﹂ ﹁その?﹂ ﹁えっと、あの、一目惚れ、してむぐぅ!?﹂ 色々急展開過ぎる上にあまりにも都合が良すぎる状況には疑問を 覚えざるを得なかったが、こちらを見上げて、顔を染めて嬉しいこ とを言ってくれるエロフ、違ったエルフの可憐な女の子相手に、理 性という名の箍は一瞬にして外れ去った。赤らめた顔の中でも一際 赤いところへ唇を重ねる。 甘い甘い唾液を啜り、反対にうっすらと空いた空間に舌をねじ込 み、中を堪能する。驚いたためだろうか、固まっていたメイの舌に も、最初はつんつんと、途中からは絡ませるように触れ合う。おず おずと反応するだけだったメイの方も、こちらを絡め取るように動 いてくる。 ﹁ん、んむぅっ﹂ くぐもる声。相手を求めるように動き回る舌。唾液がびちゃびち ゃと音を立てて、その一部は隙間から俺の顔から首へと溢れていく。 呼吸を忘れて貪り合ったせいで、離したときにはお互いにまず空気 を取り込む作業に追われた。 ﹁いきなり、ずるい。でも、すごい﹂ 9 トロンとやや惚けた表情で、メイが感想を述べてくれる。 ﹁ごめん、でもその、嬉しかったし、俺も目を覚ましてメイに一目 惚れだったし﹂ ﹁ユキト⋮⋮っ!﹂ 次はメイからだった。先ほどの反省を踏まえて、時には唇どころ か歯がくっつくくらいに深く踏み込み、時には舌先だけで、まるで 親鳥がひな鳥に餌を与えるかのごとくつつき合い、彼女の咥内全て へ俺という存在を刻み込んでいく。 同時に、毛布で隠れたお尻へ手を伸ばしていく。体型に合わせて 均整のとれた形で、大きさはそれほどでもないが、手で押すとゆっ くりと沈み、柔らかい。その柔らかさを両手で堪能するたびに、メ イの身体がひくつき、俺の身体へと溢れる熱いモノが量を増やす。 左手はお尻に添えたまま、右手を身体と身体の隙間に差し込み、泉 の縁を指でなぞる。縁の根元の少しふくれた部分へも、そっと触れ る。 ﹁むうううっ!!﹂ 口は塞いだままなので、こちらの喉へ直接メイの嬌声が投げ込ま れる。その間身体はぴくぴくと震え、水気を多く含んだモノが、俺 の足を濡らす。 ﹁メイ、気持ちよかった?﹂ ﹁⋮⋮うん。ユキトって、手慣れてる?﹂ ﹁まあ、それなりには。だから安心して﹂ 左手で今度は彼女の小さな頭を撫でながら、右手中指を泉の中へ と沈めていく。熱く蠢くその中は狭く、異物を追い出すように締め 10 付けてくる。ゆっくりと小刻みに進んでは戻しを繰り返すと、徐々 に固さがとれてくる。 ﹁んっ、ふぅっ⋮⋮﹂ 金糸を手で梳き、時には特徴的な耳に舌を這わせ、これが快楽を 呼び覚ます行為であることを示していく。少しずつ指を入れる深さ を増していき、十分も経つ頃には根元まで飲み込まれるようになっ た。でもこれだとまだ痛みを感じるだろうから、薬指に増援を要請 する。二本の指で少しずつ抽送を繰り返し、その度に熱いモノが中 から外へと飛び出していく。途中のポイントを通過する際、押し込 んでいくのも忘れない。 ﹁あ、だめ、また、ああああっ!﹂ おそらく 中が十分柔らかくなったところで、最後に強く押し込むと、メイ は本日二度目の絶頂を迎えた。だらしなく口を開け、涎がこぼれて いくが、そんな姿も堪らなく愛おしい。ヤバい、これはヤバい。こ んなの、絶対に手放せない。 呼吸が落ち着いたところで、メイの耳元でそっと囁く。 ﹁メイ、挿れるよ﹂ ﹁⋮⋮うん﹂ こくりと頷いたのを確認して、ようやく出番が来たと張り切り熱 く滾った自分自身をこれまた熱く潤ったところへあてがう。細い腰 を押さえて、身体をゆっくりと上げて中へと沈めていく。 ﹁ああっ、熱い⋮⋮!﹂ 11 時間を掛けて用意したメイの中は、ほんの少し固さは残っている ものの、俺へ、そしてメイ自身へと快楽信号を与えてくれる。 ﹁大丈夫? 痛くない?﹂ ﹁うん、全然痛くなくて、それで、その⋮⋮﹂ ﹁気持ちいい、んだな?﹂ 再度こくりと頷くメイ。ヤバい、可愛い。さっきからやばいやば いしか言ってないな。出川か。 ﹁初めてだから痛いってのは嘘だから。大体男が準備をしなさ過ぎ なだけなんだよ。俺は最初から一緒に気持ちよくなりたい派だし﹂ ﹁やっぱり、手慣れてる⋮⋮﹂ ﹁まあ、そりゃあ。でも良かったよ。こうしてメイと、最初から感 じ合えるんだから﹂ ﹁その言い方、ずるい⋮⋮ううっ!?﹂ ﹁⋮⋮ヤバい。メイが可愛すぎる。動いてないのに、ほら、俺のが びくんと跳ねてる﹂ ﹁ほんとぅ?﹂ 答えは動きで返す。ゆっくりメイの身体を持ち上げ、そしてゆっ くり下ろしていく。メイの中は蠢いて、襞が俺のに絡みつき、緩慢 な動作だというのに快感が絶えず駆け上ってくる。 ﹁あ、ああっ、アアアッ!﹂ 耳に入ってくるメイの上げた声すら麻薬となり、頭の中を溶かし ていく。 ﹁メイ、メイ⋮⋮!﹂ 12 ﹁ユキト、ユキト、また、またわたし、ああっ﹂ 徐々に押さえきれず、動きが早まっていく。ぬぷぬぷと毛布の中 から卑猥な音が響き、メイの身体がびくびくと跳ねる。精巣から駆 け上ってくるヤツを、気合いと根性で押さえて、メイと一緒に高み に上れるように突いては戻してを繰り返す。 何度も我慢をして、ようやくそのときは訪れる。 ﹁ユキト、私、もう、ああああっ!!﹂ 嬌声と共に膣内が激しく蠢く。その中を無理矢理突き進んで、大 事な入り口へとぶつけた刹那に、欲望を開放する。久方ぶりと言う こともあってか、びゅっと音が聞こえるんじゃないかと思える位に 勢いよく、欲望の塊が飛び出し、子宮へと注ぎ込まれていく。 ﹁ああ、アツい、ああっ⋮⋮子宮の奥まで、届いてる⋮⋮﹂ 射精の動きに合わせて、搾り取るようにメイの中も締め付けてく る。 ﹁ユキト⋮⋮すごかった⋮⋮﹂ 全部の精を胎内に飲み込み、絶頂で身体を張り詰めさせていたメ イの身体が、俺の上へと戻ってくる。 全てが愛おしく感じられ、金色に輝く髪をそっと撫でる。この手 触りもたまらない。 三度の絶頂が彼女の体力を奪い取ったのか、頭を撫でる動きにつ られてメイの瞼が落ち、寝息が聞こえてくるようになった。 最初に思ったとおり、メイの身体は重さを感じない。未だ固さを 失わない自分のモノを入れっぱなしだったが、さすがにこのまま再 13 度というわけにもいかず、やがてやってきた睡魔に意識を委ねるこ とにした。いきなり中出しして良かったのかとか、そもそも今後ど うするのかとかはまた後で考えよう。それよりも、今触れ合う温も りと共に過ごす方が大事なのだから。 *** 起床↓アレも起床↓気づいて起床↓まだ抜けてない↓ワンモアセ ッ↓賢者タイム︵今ココ︶。さすがに服はもう乾いたので着ている。 着てないとまたその、アレである。 ﹁やっぱりエロフは実在したんや﹂ ﹁エロフじゃないから! た、多分⋮⋮﹂ ﹁いやでも、起き抜けに一発てあーた、どんだけサキュバスなん﹂ ﹁⋮⋮サキュバスならこれじゃすまないと思うけど﹂ ﹁やっぱりいるんかーい!﹂ もうヤバい。まじヤバい。超マジヤバ略してCMY。何がヤバい って起き抜けからもぞもぞされた上に白い肌が赤く色づいたらもう そりゃ無理だって。自制とかとっくの昔に辞書から消え失せるって の。その代わりに命の分身たちも大量に消え失せていったけどな、 ハハッ。 ﹁というか、思いっきり中に出したけど大丈夫だったか?﹂ ﹁エルフの生殖能力は低いから、子どもができることは少ないと思 うけど⋮⋮大丈夫、もしできてもユキトとの子どもなら嬉しいから﹂ 14 何なんですかね、一目惚れ同士とはいえ好感度マックス過ぎるで しょ。俺もメイに対して同じような状況だけども。 ﹁さて、色々整理しよう。あまりにも都合良すぎる展開が続いてた から色々後回しにしてたけど、とりあえずここは俺にとっての異世 界、と。どう見ても元に戻ることがぱっとできなそうな状態だし、 そもそも戻る必要性がないし戻らない理由が早速できたしで、この 先生きのこるためにはを地でいかなきゃいけないんだが。どうした らいい?﹂ 戻らない理由のあたりで、隣に座っていたメイを抱き寄せること を忘れない。もう何なんですかね、あまりにもチョロすぎるだろ俺。 チョロインならぬチョロー。長老なのか遅漏なのかしっかりしてほ しいまであるが、それもこれもメイが可愛すぎてしかたないんや! ﹁えっと、その一緒に来てくれると私も嬉しいんだけど﹂ ﹁それは願ってもないんだけど、メイは何をしてるんだ?﹂ ﹁私はその⋮⋮ちょっと、家出中でこの大陸を旅して回ってて﹂ ﹁家出、ねえ﹂ メイの今着ている服や、川から少し離れたところに置いてあった 彼女の持ち物一式を見て、何となくお約束パターンを想像してしま うのは致し方ないことであろうが、確認作業はまた今度にしておく。 ﹁そう、家出。だから色々仕事をしてお金を稼ぎながら、せっかく だしって旅をしてるの﹂ ﹁じゃあ俺が一緒に行くのは問題ない、と﹂ また数度俺の方にメルの身体が傾いてくる。開始3500字でお 15 っぱじめて、6000字でこの状態という急展開。嬉しくないわけ がない。 ﹁じゃあ一つ確認だけど、俺の知っているお約束だと自分のパラメ ータとがか設定されてて、そこに一緒に使える魔法やら技やら何や らを見ることができるんだけど、そういうのってあるのか?﹂ って魔法がある程度対象の状態を教えてくれるわ﹂ ﹁パラメータ、が何を指すのかはわからないけど、さっきも言った ライブラ ﹁それ、術士以外にも見えるのか?﹂ って言ってみて。 ﹁許可すればね。ユウトと私の情報を見てみる? あ、できたら ライブラオールアグリーメントフォアパーティ それで仲間内になら、ライブラで見ることのできる全ての情報を閲 覧できるようになるから﹂ 何だかBASIC言語みたいな構成である。GO TOとかその うち出てきそうな気配。にしても表記の問題で全部カタカナだとな ﹂ 。これでいい 知を司る女神よ、鑑定の力を我が目に。ライブラ ライブラオールアグリーメントフォアパーティ んかダサい。 ﹁ か?﹂ ﹁ええ。 ﹁⋮⋮Oh﹂ 俺たちの目の前に、にゅっと半透明のウインドウが出てきた。わ かりやすい。 <楠木幸人/ユキト・クスノキ> 基本情報 種族:人間︵エルフの信愛︶ 性別:男 16 年齢:24 身長:180cm 体重:71kg 出身:地球−日本︵異世界︶ 職業:なし︵異世界の旅人︶ 能力 HP:1289︵1921+200︶ MP:1956︵1956+200︶ SP:2315︵2315+200︶ STR:43+10 VIT:31+10 AGI:46+10 INT:47+10 DEX:63+10 LUK:85+10 魔法 無:0 火:0 水:0 風:0 土:0 雷:0 氷:0 木: 0 光:0 闇:0 聖:0 魔:0 空:0 時:0 愛:0 技能 計算15 会計16 法律16 商売16 交渉16 話術8 教育11 学問11 工学4 細工5 鍛冶1 縫製4 料理8 調合2 薬学7 家事5 釣り8 大工4 農業3 乗馬4 船舶6 運転10 登山5 演奏6 歌唱7 描画2 彫刻1 立像1 書道1 剣術8 棒術2 槍術1 細剣3 短剣7 斧術2 武術8 柔術7 格闘7 回避9 見切7 防御7 根性6 命中6 投擲9 射撃9 弓術8 17 戦術15 戦略15 兵站12 罠師9 計略12 計画10 鑑定10 察知7 精神8 魅力6 ※性技10 精力8 誘惑9 魅了6 調教2 解錠10 隠蔽9 特殊技能 教職の心得︵教育者の資格を持つ者。教育技能に補正プラス1︶ 法律の心得︵法務の資格を持つ者。法務技能に補正プラス1︶ 商売の心得︵商売を経験した者。商売技能に補正プラス1︶ 武道の心得︵武道を経験した者。武術系技能に補正プラス1︶ 称号 逆境踏破者︵数々の逆境をくぐり抜けた者。ピンチ時全能力を2 倍に︶ 器用貧乏︵なんでもそつなくこなす、便利屋さん。あらゆる技能 を短期で取得することができる︶ 教育者︵教師としての経験を持つ者。自らの持つ技能に限り、自 らが望んだ相手が短期で技能を取得することができる︶ 短期マスター︵いくつもの技能を短気で習得したもの。あらゆる 技能を短期で成長させることができる︶ 弟子入り上手︵技は師匠から盗む者。他人の取得技能を短期で取 得することができる︶ 社畜︵24時間働けるあなたへ。睡眠時間が少なくとも回復する︶ 称号神︵人の称号を考えるのが大好き人間。自分以外の生命に称 号をつけることができる︶ 宰相の才能︵一国に一人欲しい大黒柱。宰相関係技能に補正プラ ス5︶ 将軍の才能︵一国に一人欲しい全軍指導者。将軍関係技能に補正 18 プラス5︶ 愛に飢えた獣︵愛情を注がれることなく育った者。全能力に補正 プラス10︵HP・MP・SPは200︶×愛情を注がれた人数分︶ 愛の伝道師︵惜しみない愛を注ぐことに道を見いだした者。愛情 を注ぐ相手の全能力に補正プラス<当人能力÷10︵小数点以下切 り捨て︶>を与える︶ 一流鑑定士︵何度も鑑定を行い、その技能を習熟させた者。物の 価値を正確に見抜く︶ 処女マスター︵何人も処女を絶頂に導いた者。性交相手が処女の 場合、相手の苦痛を取り除き快楽を与える︶ ︵new︶異世界の旅人︵異世界から来た生命。異世界での能力・ 魔法・技能を2倍︵上限10︶にして継承する。言葉・文字に困ら ない︶ ︵new︶エルフを愛する者︵エルフ大好き人間。エルフ関連族 に対して攻撃関連技能マイナス1。対象のエルフが異性の場合、対 象者に対して性技・精力プラス2、精神マイナス1︶ ︵new︶エルフの信愛︵エルフからの信愛を得た者。信愛を得 ている間、対象エルフと同等の加護を得る。他の加護と相反する項 目は項目ごとに長所を優先する︶ ︵new︶腰軽男︵女性にころっとこけやすい。好みの女性に対 して精神マイナス3︶ ︵new︶ワンページファッカー︵すぐ異性に手を出す。好みの 異性に対して出会って24時間以内は性技・精力プラス3︶ 加護 ︵new︶エルフの加護︵一時︶︵寿命が500年ほどになる。 伸びた分は全盛期の延長にあてがわれる。植物や大地とのコミュニ ケーションが可能︶ ﹁これ、どうなの? ぱっと見色々ツッコミどころがあるんだが﹂ 19 ﹁えーと、その⋮⋮一言で言うとチート?﹂ ﹁んー、いや、俺の元々居たところだと割と同じようなヤツ、とい うか俺よりもすごいのがいっぱいいたんだが﹂ ﹁何そのチートだらけの国は⋮⋮普通の人なら能力こんなに多くな 異世界の旅人 っていうのが原因だろうな。異世界か いしこんなに技能も持ってないし特殊技能も称号もありすぎだから﹂ ﹁多分この ら来た人間は大体チートになれる、と﹂ ﹁それにしては多いと思うけど。参考になるかどうかわからないけ ど、私のも見てみて﹂ <メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア> 基本情報 種族:エルフ 性別:女 年齢:19 身長:161cm 体重:49kg スリーサイズ:B84・W58・H83 出身:エンスージア−ユーフォリア 職業:旅人︵ユーフォリア家第一王女︶ 能力 HP:961︵1053+192︶ MP:2039︵1844+195︶ SP:1843︵1612+231︶ STR:16+4 VIT:22+3 AGI:43+4 INT:71+4 DEX:74+6 LUK:41+8 魔法 無:8 火:0 水:4 風:7 土:6 雷:0 氷:3 木: 20 8 光:5 闇:0 聖:1 魔:0 空:2 時:1 愛:2 技能 計算7 法律4 商売2 政治4 交渉5 話術7 学問8 縫製3 料理5 調合1 家事2 乗馬7 登山1 演奏3 歌唱6 剣術2 棒術1 細剣2 短剣4 回避6 見切4 命中7 投擲2 弓術9 戦術4 戦略5 兵站1 計略1 計画6 鑑定2 察知6 精神9 魅力12 ※魅了4 特殊技能 王家の心得︵王家としての教育を受けた者。関連技能に補正プラ ス1︶ 弓術の心得︵弓術の経験のあるもの。弓術に補正プラス1︶ 冒険者の心得︵冒険者の教育を受けた者。旅路で疲れにくい。乗 馬に補正プラス1︶ 高速詠唱︵魔法詠唱を素早く行うことができる︶ 詠唱省略︵魔法の威力を落とす代わりに、詠唱の一部を省略する ことができる︶ 称号 ユーフォリア家の王女︵王家としての気品に溢れた女性。精神・ 魅力に補正プラス2︶ エルフェン高等学校最優秀卒業生︵学校を首席で卒業したものに 21 贈る。ユーフォリア国内で特典有り︶ 一途の愛を貫く者︵最初の相手のみを伴侶と認める者。最初の相 手以外の異性に対してのみ全能力プラス3︵HP・MP・SPはプ ラス300︶、状態異常:魅了にならない︶ 家出娘︵いつかはおうちに帰ろうね。察知・精神に補正プラス1︶ ︵new︶チョロイン︵文字通りチョロいヒロイン。名誉ある称 号?︶ ︵new︶愛されエロフ︵エロいエルフ。但し愛した相手限定。 愛した相手に対してのみ、精神マイナス5、衣類を身につけない状 態時のみ状態異常:魅了︵軽度︶︶ 加護 エルフの加護︵寿命が500年ほどになる。伸びた分は全盛期の 延長にあてがわれる。植物や大地とのコミュニケーションが可能︶ ﹁ほらやっぱり王族じゃねえかとかいいたいところだったけど、や っぱりメイはチョロインでエロフだったんだな﹂ ﹁えっと、その、えーと⋮⋮新たについてるからついさっきので、 ということはユキトが言うからそういう称号になったんじゃないか な。ユキトの方にそういう称号ついてたし﹂ ﹁まじか。迂闊に物も言えないな﹂ ﹁これ以上被害者を増やさないよう努力してね、本当に﹂ まあ多分いずれはどこかで妙ちくりんな称号を無意識に考えるで あろうが、それは横に置いておく。 ﹁で、家出娘ことメイさんや。この後はどうすれば?﹂ エルス っていうウ ﹁とりあえずその称号は既についてるけど言うのは止めて。それで、 今一応旅の途中で、そこに止めてある馬車で ィーリア都市国家連邦に向かってるところだったの。だからそこに 22 向かうわ。多分二、三日くらいかかるかな。今後のことはまずエル スに着いてからにしましょう﹂ ﹁オーケイ。よろしくな、メイ﹂ ﹁こちらこそ、ユキト﹂ 俺たちの旅はこれからだ! 称号 ︵new︶フラグビルダー︵あらゆるフラグを立てる困りもの。 お約束が発動しやすくなる︶ 23 第1話 ワンページファッカー︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 24 第2話 街とエルフ王女と異世界の旅人と︵※︶ 第2話 街とエルフ王女と異世界の旅人と あっという間︵二日かかっている︶にこの世界初の街、エルスに 到着。途中お約束のように魔物に襲われたり、︵ゴブリン3匹、コ ボルト2匹、あとオオカミっぽいのとかでっかい虫とか鳥とか。片 っ端からメイが殲滅。中身は魔法で作った異空間にポイ︶、盗賊が やってきたり︵片っ端からメイが粉砕。魔法おいしいです。死体は 異空間にポイ︶したが、まあ括弧書きの通りである。エロフはぽん こつとか一瞬思って申し訳ございませんでした。称号が着く前に印 象が変わって良かった。 ちなみに、夜の馬車の中ではアレである。この馬車、どうやら防 衛装置・警報装置完備らしく、多少のことではびくともしない。馬 を中に入れることもできるので、馬車だけ取り残されると言うこと もないすばらしい設計だったので、野営を建てる必要もなく、合計 7回ほど出すものをしかるべきところへ出した。全てメイが良すぎ るからいけないんや⋮⋮いや、イきまくってはいるが。そのうちろ くでもない称号がつきそうである。 ついでに言うと、道中に魔法の仕組みも教えてもらった。あの詠 唱通り、女神に請うて力を借りるスタイルらしいので、魔法操作の 仕方さえわかればしめたものである。いくつかの属性が1となり、 ついでに高速詠唱と詠唱省略の特殊技能も得られて、メイにまたチ ートチート言われたが省略する。恐らく短期マスターの称号効果で あろう。 そんなこんなでエルスの街。入り口での入場審査は割と厳しかっ 25 た。写真のようなもので肖像を撮られ、入場申請用紙には拇印。入 場理由はサイトシーイングでとりあえず大丈夫だった。そこは温い のね。ちなみに入場料は取られることはなかったが、販売目的の持 ち込み品はリストを提出する必要があるらしい。退場時に販売品に 対して5%の関税を取るそうである。このあたりは商売重視の政策 なのであろう。 メイもこの街は初めてだそうで、入り口の衛兵に馬車の泊められ る宿を聞いてそこに向かう。よくある○○亭的な名前ではなく﹁ホ テルパシフィック﹂だった。サザンか。 馬車と馬をホテルの人に頼み、チェックインの後室内へ案内され る。見事にダブルベッド。何も問題ない。後はテーブルと椅子が二 脚、隅っこには水道とトイレがあるがシャワーやバスタブはない。 まあ異世界だというのに水道完備の時点でどうかとは思うが、水が 出る道具があるらしいとのことである。さすが異世界。前言撤回。 あと風呂は最上階に男女別及び家族用貸し切りであった。やっぱり 異世界なのかココは。 荷物︵あの時持ってた防水バックパックとクーラーボックス。ク ーラーボックスの中身だった魚は既に道中で消費済み︶を放り出し、 ベッドに身も投げ出すと、メイが微笑みながら荷物を置き、俺の上 へと覆い被さってきた。 ﹁改めてようこそ、異世界へ﹂ 何だか昔はやったゲームの導入みたいである。 ﹁何だか色々都合のいい展開だわ、このホテルの設備も整ってるわ 光の って感じで魔法を使 で、そんな実感はあまりないんだけどね。でもこうやって、 女神よ、暗闇を照らす力を我が手に。ライト えるあたりがさすが異世界﹂ 26 今、俺の手には光の魔法がぷかぷかと浮かんであたりを照らして いる。まだ日中で部屋は十分明るいので、すぐに消す。所在をなく した腕は、そのまま重力に惹かれるように落下し、俺の上に乗って いる身体を抱きしめる。いかん、この誤字は重力イケメン説の根拠 となるな。 ﹁さて、こうやって落ち着いたところで、﹂ ﹁一部は落ち着きをなくしてるけど?﹂ ﹁そこは暴れん坊将軍だから仕方ないんだ。とりあえず放置プレイ しとくとして、改めて色々確認したいんだ。まあ、世界とか国とか はここに来るまでに聞いたけど﹂ 以下補足。 ・種族は人間・獣人・エルフ・ホビット︵ドワーフを含む︶・魔族・ 龍人の大きく分けて六種類。それぞれに色々細かい種類があるには ある。種族特性も色々あるらしい。ちなみに元々は人間とエルフと ホビットしか居なかったそうだが、昔動物好き、魔物好き、ドラゴ ン好きの人間がそれぞれ現れて、愛の女神に直訴して交わりができ るようになり、その結果が獣人・魔族・龍人だそうである。俺の勘 だが愛の女神はきっとヤバい。 ・種族間の差別みたいなものは全体で見れば存在しないが、個人や ら団体レベルで存在するのは文化を得た知的生命体の宿命であろう。 うちの子が世界一やといいたいのはどいつも一緒だ。 ・この世界、というか星の名はエンスージア。球体であることは判 明しているらしい。判明したのは四百年ほど前。話を聞く限り地球 サイズ。自転速度もほぼ地球と一緒なので時間感覚はそのまま。 ・今居る大陸はクレイル大陸というらしい。聞くところによると北 アメリカ大陸と同じくらいのようである。割と広い。他の大陸も全 て見つかっていて、全部で五つの大陸があるそうだ。五輪マークが 27 アルスタシア連邦国 の五つ ユーフォリア王国 そのまま使える。安定した航海技術がまだないため、近場でない限 サーマルト王国 ウィーリア都市国家連邦 り安定した交流はないそうである。 ・この大陸には レンス帝国 の国がある。この形で安定して五百年ほど。戦争は時折あるが国が なくなったり増えたりと言うことはない。この内ユーフォリア王国 は住人の大半がエルフ系の国家、サーマルト王国が人間中心の国家 だが、他の三国は比率の差こそあれど多民族国家である。 ・言葉も文字も色々あるが、チートのせいで省略。覚えた方がいい 気はするが、さすがに今からいくつも覚えるのはしんどい。 割と世界は広い。こりゃ生きてる最中に全大陸を回るのは無理そ うだと最初は思ったが、エルフ様のご加護を得た状態なら、殺され たり不慮の事故や病気で死なない限りはどうにかなりそうではある。 まあ全部いく必要は今のところ髪の毛の先もない。 ﹁まずは改めて、メイ王女の家出の理由は?﹂ ﹁政略結婚の相手が嫌で嫌で﹂ ﹁ありがちだけど説得力溢れる理由をどうもありがとう﹂ ﹁だって考えてみて? いくら私たちエルフの寿命が長いからって、 さすがに200歳も上の男で、しかも普段猫かぶってて明らかに王 権を狙ってるのがわかったら嫌でしょう?﹂ ﹁人間換算で30歳前後の年の差か。そりゃあまあ、ちょっとなあ﹂ ﹁だから、家出といっても国王、つまりは父さんや王妃である母さ んも知ってるの。逃げ回ってる間は相手も手を出しようがないから、 その間にどうにか政治的に相手の一族を排除してもらう必要がある の﹂ ﹁なるほど、時間稼ぎね。ちなみに家を出てどれくらい?﹂ ﹁1年とちょっと。真っ先に国を出た後は、隣のここウィーリア都 市国家連邦に入って冒険者をしながら、少しずつ遠ざかってるわけ。 28 ができないしね﹂ ウィーリア所属の各国、というか都市はあまり外交ルートで こと ﹁把握﹂ 悪い みたいな顔してるけど、無事に終わった 陰謀渦巻く政治の話はパスだ。パンピーでノンポリな俺には興味 俺関係ないね のない話だ。 ﹁あ、今 らユキトにも関係がある、というかど真ん中の話になると思うけど﹂ ﹁やっぱりか。まあ仕方ないなあ、メイを手に入れられると思えれ ば﹂ ﹁自分で言うのもどうかと思うけど、まだ一週間も経ってないのに 愛されてるわね、私。もちろん私もユキトを愛してるわ﹂ ﹁嬉しいこといってくれるじゃないの﹂ 少し赤くなったそのとがった耳を指先でなぞる。くすぐったいの かぴくぴく動くのがいとおかし。 ﹂ 対ユキト最 ﹁いや、俺もびっくりだわ。一目惚れな上に、二度と離さないなん とかあるんだろ?﹂ て思う日が来るとは。もしかしてアレか、隠し称号に 終兵器 ライブラ ﹁⋮⋮多分、今ついたと思うけど﹂ ﹁マジか。 称号 ︵new︶対ユキト・クスノキ最終兵器︵読んで字の如く。この 称号がついた異性にユキト・クスノキはぞっこん! でもユニーク じゃないよ︶ ﹁軽すぎるわっ! フットワークよすぎだろこの称号システム﹂ 29 ﹁それより、ユニークじゃないって事は、今後同じ称号を持つ女の 子が現れるって訳ね⋮⋮まあ、王族だし、一夫多妻制度には理解は ある方だから﹂ ﹁⋮⋮精進します。あと、今は少なくとも知ってる限りメイしかい ないから﹂ 身体をくるっと入れ替えて、俺がメイの上に。そのまま彼女の美 しい顔に唇を何度も落として、最後に紅いところへも触れ合わせる。 ﹁ヤバいわー。対ユキト最終兵器の称号まじヤバいわー﹂ ﹁何なのその棒読みは﹂ ﹁いや、何か称号に負けた気になって。称号関係なくメイが好きだ って言いたいだけですー﹂ ﹁ふふっ、変なの﹂ 知能指数がやたら低い言葉を吐いた気がするが、気を取り直して もう一度口づけ。柔らかさを味わいながら、上着をそっと脱がせて いく。部屋に入って既に装備類は外された状態。すぐに二つの膨ら みが露わとなり、今から得られる刺激、すなわち快楽への期待か、 中心の桃色の果実は少し成長を始めていた。 名残惜しいが顔を離れ、その桃の甘みを堪能する。右胸に顔を近 づけ最初から果実を口に含む。唇で転がすと、すぐにくぐもった声 が聞こえてきた。空いている左胸には右手を伸ばす。仰向けでも張 りを失うことなく天を向き、右手の動きに応じてしとやかに形を変 える。 ﹁んぅ、ユキトっておっぱい好きよね﹂ そりゃ男で嫌いなヤツはあんまりいねえよ! と内心で突っ込む が今口は忙しいので言葉にはしない。刺激する度に成長することが 30 わかる楽しさの方が上回るというヤツだ。 口と手で、彼女の胸を堪能する。別に何も分泌液を出しては居な いが、舐めて吸い上げるとまるで甘露が溢れてくるかのように幸福 感に満たされる。子どもができたらその子も味わえるんだろうが、 男だったら嫉妬してしまいそうですらある。 ﹁ふっ、はぁ⋮⋮﹂ ちょっとずつ悩ましげな吐息のスパンが短くなっていく。この数 日でわかったが、メイは感じやすい。女性の敵であろう性技10の ためもあるだろうが、どこを触っても彼女は感じてくれる。白い肌 が紅く染まっていくのは何度見ても美しく、実にエロティックだ。 うっすらと汗ばんでくると、その香りすら嗅覚をもって脳に刺激を 与えてくる。さすが最終兵器、彼女。何か違う。 時折谷間に堪るその水滴を舐めると、さすがに恥ずかしいのか首 を振る仕草を感じるが、おいしいので止められない。変態と罵られ てもかまわない。舌を這わせたまま山を駆け上って今度は左胸を舌 で味わう。舌でサクランボを転がしながら、左手は首筋、右胸、お へそと滑らせていって、下半身の服を脱がせていく。下着も取り去 り陰部に触れると、既にメイの愛液が溢れていた。指を動かすと、 くちゅくちゅと水音が聞こえてくる。 ﹁メイ、おっぱいだけでこんなに濡れてるよ﹂ ﹁いやぁ、言わないで⋮⋮﹂ ﹁でも、ほら﹂ 指を沈めて前後に揺すると、一際水音が増えてくる。 ﹁感じやすいよね、メイは﹂ ﹁だって、だってぇ⋮⋮﹂ 31 いやいやと首を振るが身体は正直だぜぐへへ、と典型的なAV男 優みたいなことを言いそうになるが、さすがに我慢した。幾たびの 交わりを経て、メイの膣内は十分にほぐれるようになった。同時に 仕事を覚えたのだろうか指に吸い付く力は前より増して、関節のわ ずかな凹凸ですら感じ取って快楽信号に変えてやろうとしてくる。 実際に外に指を引き出すと、中の一部が引っ張られてくる。なんて 健気なのだろう。 ﹁あッ、あッ、はぁっ﹂ 指を二本に増やし、出し入れのスピードを速めながらその中を刷 り上げていく。丹念に刺激を与え続けて、メイの中の性感帯として 育てていく。すると中で膨らみが現れるのが指先に伝わってくる。 そのポイントを中心に早く擦っては止めて、擦っては止めてを繰り 返すことしばし。中の膨らみが最高潮に達する。 ﹁あ、もう、ダメ、あっ、でちゃ!﹂ ﹁いいよ、メイ。ほら﹂ ﹁ふぁぁぁあああっ!!﹂ 再度素早く刷り上げると、メイは一際大きな嬌声を上げ、身体は 激しく痙攣し、熱い飛沫が何度となく俺の手を打った。 ﹁あ、ああっ⋮⋮﹂ 少し快楽が強すぎたのか、まだメイの視点は定まっていない。ぴ くっと身体が動く度にぴゅっぴゅっと中から熱いモノが飛び出して くる。 32 ﹁可愛いよ、メイ⋮⋮﹂ 痙攣が終わり弛緩した身体。その両足を広げて覗き込むと、ピン ク色の花びらが膨れ、ひくひくと呼吸をしていた。その上側には同 じく膨れた蕾がある。顔をそっと近づけて、舌を伸ばす。 ﹁ああっ、ダメっ、まだ、私っ﹂ 絶頂の余韻は残ったままだろうが、更なる気持ちよさを感じても らおうと、蕾を丹念に舐っていく。一度高みまで登った身体を再度 上へ押し上げるのは難しくない。 ﹁ユキト、また、ふっ、私イっちゃ、イクゥゥッ!﹂ 最後に強く唇で挟んだ衝撃で、再度メイは潮を吹き、快楽の海へ 溶けていった。 うん、少しやり過ぎた。だが全てはメイが可愛すぎるのが悪いと 自己保身に走っておくが、もうこればっかりはどうしようもない止 められない止まらない例のえびせん状態である。 メイの意識が戻ってきたところで、ようやく本番を迎える。 ﹁入れるよ、メイ﹂ 了承の言葉を得る前に、正常位でメイの膣内へ挿入していく。意 識は戻ってもまだ余韻は残っているのだろう、一番奥の口にたどり 着いただけで軽く彼女の身体は痙攣する。びくびくと俺のモノを締 め付けて、精子を絞り出すようにうねる。 ﹁あ、あ、わ、私、さっきから、ずっと、もう﹂ 33 そのままストロークをすると、出入りの度に彼女の身体は緊張と 弛緩を繰り返していく。入れてそんなに時間も往復回数も経ってい ないが、俺のモノが吸い取られる感覚に加えてメイのとろけた表情、 わき上がってくる匂い、止まない嬌声、その全てが感覚から快楽に 変換されて脳髄に注ぎ込まれる。早漏だっていいじゃない、となん ちゃらさんも許してくれよう。 ﹁メイ、いく、よっ!﹂ ﹁う、うん、はうっ、ああああああああッ﹂ 何度目かのノックで、大きい波が俺たちに襲いかかる。逆らうこ となく、メイの子宮口に押しつけて命の息吹を注ぎ込んでいく。び くつく身体を押さえると、全部飲み尽くさんとばかりに外から中へ 際限なく吸い込まれていく感覚すら覚える。 ﹁はあっ、ああっ、おなか、熱い⋮⋮﹂ 溶けきった彼女の唇から涎が溢れていく。指でそっと拭った後、 抜かずに体制を入れ替えて身体を起こし、足をベッドサイドに投げ 出して彼女を抱きかかえる体勢へ持って行く。 ﹁メイが可愛すぎるから、まだ収まらないよ﹂ おなかの上から下腹部を撫で、その中に挿入されたものの勢いを 刻む。 ﹁ユキムグッ﹂ 右手で頭を寄せて強引に口吻し、反論は聞かない。そのまま身体 を揺すって右へ左へ前へ後へと中のモノを動かす。くちゅくちゅと 34 聞こえてくるのがエロいが、音の原因がメイと俺の体液が混じった ものと考えればより一層こう⋮⋮ ﹁はうっ、ま、またむくむく、してる﹂ 滾るモノがあるよね! 身体の動きに合わせて締め付けの強弱も変わる。後に引き寄せる と一番密着するせいかきゅうっと締まる。中の口がひくついてまた 子種を受け入れようとするのも直に伝わってくる。エロい。 ﹁メイの子宮が、ほら、俺の精子が欲しいって誘ってくる﹂ ﹁はぅぅ﹂ ﹁ではお望み通り、ねっ﹂ 膝裏に手を回して持ち上げを用意にし、力業でストロークの余裕 を作る。腰の振りに合わせてメイの身体を持ち上げては落とし、深 いところまでつながることを繰り返す。水音と共に肉体がぶつかる 音が響く。 ﹁ふっ、ふぁっ、はあっ﹂ メイの腕は俺の首へと回されて、しがみつくので精一杯になって いる。あえぎ声は漏れっぱなしで、為すがまま為されるがまま。下 の状態も同様なので、俺の太股以下はだいぶん濡れそぼっている。 ベッドに関して言えばもっと酷い。うーむ、一度外に出てチップを 王女のヒモ と 多めに握らせて清掃してもらって⋮⋮って俺金持ってねえ。まずい、 急いで金を稼ぐ算段をしないと、まず間違いなく かいう不名誉極まりない称号が着くに違いない! ﹁ユキト、ユキトぉっ﹂ 35 俺の名前を呼んでくれる口をまた口で塞ぐ。そろそろ下腹部が発 射オーライになってきた。口で犯し、ペニスで犯し、メイと同じタ イミングになるように計りながら快感に身を委ね、本能のまま身体 を動かす。スライドによってカリ首に襞が絡みついて扱き上げられ る感覚。奥深くまで突いたときに先端を襲う子宮口からの射精信号。 口を塞いだままだめ押しで最後まで貫き、膣内の収斂と共に再度射 精した。 ﹁んぅぅぅうぅっ!!﹂ 中出しされながら絶頂に導かれ激しく震えるメイの身体を強く抱 きしめ、より大きく口を合わせてはき出される吐息全てを吸い込む。 甘い空気のお礼に息を返すと、彼女の肺も大きく膨らむのがおっぱ いを通して伝わってくる。まるで最初の出会いを焼き直してるよう だ。 最後の一滴まで絞り出し︵むしろ搾取され︶放心状態のまま、よ り身体が密着できるよう足だけ離してその背を抱きかかえる。口を 離すと、メイの荒い呼吸が何度も繰り返された。ちなみにまだ抜い てないし臨戦態勢を続けられているのは精力9︵この短期間で一個 上がった︶のせいに違いないが、さすがにこれ以上はメイがやばい。 ﹁おなかが、熱いのでいっぱいだよぉ﹂ とろけた状態は続いているのか、言葉がちょっと幼い。可愛い。 手をおなかの上に添える仕草もまた可愛い。俺魅了状態になってな いよな? ﹁ユキトって、本当にエッチだよね﹂ ﹁処女だった女の子がここまで順応できるのもどうかと思うけど⋮ 36 ⋮って、二連荘だったのに割と平気そう?﹂ ライブラ 。 ﹁くたくただけど、最初の時ほどじゃない、かな?﹂ まさかと思い、またもや ※性技1 精力2 誘惑1 魅了5 ﹁見事にメイの技能にエロいのが増えてるな﹂ ﹁絶対ユキトのせいよ﹂ そういえば、自らの持つ技能を相手に伝えやすいみたいな称号が あった。相手の持つ技能を取得しやすいって言うのと併せると、技 能コピー機となりそうである。 ﹁そうか、俺のせいか。なら償いをしないとな﹂ ﹁ちょ、ええっ!?﹂ くるりとメイの身体を回し、先ほどとは反対向きにする。うなじ が見えて思わず鼻を押しつけたくなるが、もっと即物的肉欲的な欲 望を優先して、膝裏を抱える。大事なことなので念を押すが、まだ 抜いてない。 ﹁ちょ、ユキト、これっ﹂ ﹁ほらメイ、前を見てよ。つながってるところが全部映ってるから﹂ おあつらえ向きに置いてあった鏡には、俺たちの姿が全て映し出 されていた。ぴんとたった桃色乳首に、M字に開かれた足の付け根、 卑猥な色や形をしたメイの大事なところが俺の分身をくわえ込んで いる様子。その少し上ではクリトリスが愛液で濡れて怪しく光る。 37 ﹁いやぁ、恥ずかしいよぉ⋮⋮﹂ ﹁んなこと言ったって、メイの中は喜んで吸い付いてくるよ? そ れに、ほら﹂ 右手を下ろしていき接合部の真上にあるクリトリスに触れると、 それだけでぴゅっと液体が漏れ出て締め付けが強まる。 ﹁メイはほんとエロフだなあ。こんなに感じてるなんて﹂ ﹁あぁっ、あっ、あんっ﹂ 手は凸部に添えたまま前後左右に身体を揺する。二度の射精と自 身の体液でメイの中はぐちょぐちょのままで熱い。液体の交換だけ じゃなく、性器ごと溶け合って一つになっているような感覚にとら われる。メイの表情と声がまた欲望を滾らせて、全てが楽しい。無 心になって腰を振っていると、ふとメイの頭の両サイドに少しとが ったものがあるのが目に入る。先端まで紅く、ピンと立ちながらも ふるふる震えるのがとても気になる。気になるので口に含む。 ﹁ああっ、耳、耳も!?﹂ 答える代わりに唇を擦って耳の感触も楽しむ。ここもとても熱い。 ﹁耳も、なんか、ああっ、乳首みたいにぃ!﹂ どうやら弱点のようである。実にお約束を守ってくれるエロフだ が、弱いと聞いて止めるほどいい人でやってきてははいない。啄み、 舌を這わし、耳の形を覚える。中のくぼみをなぞるだけで、また鏡 へと液体が飛んでいく。もうここまでくると全身が性感帯みたくな ってるのだろう。クリトリスもこれ以上なく張り詰めて熱い。マイ サンに関してはもう感覚がない。どこまでも絡み合い、溶け合い、 38 脳へと電気を送り続ける。 ﹁熱い、熱いよぉ、あ、はぁっ、ひっ、はっ﹂ 桃の果実は二つとも激しく揺れている。上からぽたぽた涎が垂れ て、その先端から揺れと共にあたりに散っていく。小刻みに絶頂の 波に攫われているのか、絶えずぷしゅっと液体が飛び出していく。 ﹁んぁっ、あ、あ、あっ﹂ 二回出しているのに、その度にスパンが短くなっていく。普通逆 のはずなのに、それだけ俺にとってメイの身体が素晴らしく合うと いうことだろう。ぎゅっと締め付けられる度に精子をはき出そうと してしまうのを何とかこらえる。 ﹁ユキ、ト、わたし、もう、ああっ﹂ ﹁メイ、メイ、メイッ﹂ 文字通りのラストスパート。鈴口を子宮口へ押しつけ、大きく揺 する。肉棒の中を精子が駆け上る。 ﹁イクッ、イクッ、イィィィッ!!﹂ ﹁メイッ﹂ 全く同じタイミングで俺たちは絶頂に達し、ビュルッと音が聞こ えてくるくらいに欲望の種をはき出した。先ほど同様痙攣するメイ の身体を押さえて、一番深いところに征服の証を送り込んでいく。 ﹁あ、あ、ああ⋮⋮﹂ 39 痙攣が終わり射精が終わり、力が抜けたのだろう。熱い液体がメ イの中からあふれ出し、むわっとした臭いと共にあたりに黄金色が 散っていく。当然つながりっぱなしの俺にもかかるが、汚いなんて これっぽっちも思わなかった。 抜かずの三発は疲れた。相棒もやる気を失い、にゅるっとメイか ら抜け出す。すると封が解かれたために、奥に吐き出した精子が溢 れ出てきたが、もう既にメイは意識を飛ばしていて身体をこちらに 預けていた。 もうここまで来たらホテルの人に綺麗にしてもらうのも気が引け る。起きたらメイにこういう時用の魔法を教えてもらおうと誓い、 メイを抱きしめたままベッドに倒れ込み、瞼を閉じた。腕に抱えた モノは、とても温かい。 *** 後始末の様子については省略する。そりゃあ誰も自分の体液やら お漏らしやらを片付ける様を描写されたくはない。強いて言うなら 水の移動と水の生成と風乾燥である。赤い顔して黄金色の液体をひ とまとまりにして宙に浮かべ、トイレに放り込んだエルフがいたと いうことだけ覚えておけば十分である。色々なモノがしみこんだシ ーツは弁償としてこっそり別のモノを買っておこうそうしよう。 ﹁そういえばお漏らしエロフさん﹂ ﹁不名誉極まりない呼び方は止めて!﹂ ﹁じゃあメイ。ふと気になったんだが、この部屋というかこういう ホテルって、防音とかどうなってるの?﹂ 40 ﹁⋮⋮今まで完全装備の馬車とか外とかだったから、忘れてた。普 通は、なにもないわ﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ ﹁毎回魔法をかけるのも忘れそうだから、防音道具を買うわ。あと、 その、専用の蓋も﹂ ﹁専用の蓋? 何それ﹂ ﹁いっぱい出すから、垂れてくるの。でも精液は生き物が混じって るせいか私のレベルだと水の魔法で動かせなくて。お風呂場ならい いけど、他のところだと、ね?﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ ﹁それに⋮⋮蓋しておけば、子ども、できるかなって﹂ 頬を染めてそのセリフは反則ですってメイさん。やばいわ、俺と メイとの子どもなら間違いなく⋮⋮ ﹁ハーフエロフになるな﹂ ﹁生まれてくるどころか妊娠の兆候もないうちから称号がつきそう なことを言わないで﹂ ﹁自重しよう。むしろ新たな⋮⋮そういや人間とエルフのハーフだ と、種別的にはどうなるんだ?﹂ ﹁双方の特徴を持ったハーフになるわ。獣人・魔族・龍人の始祖数 名以外の異種族間の子どもはハーフ。あとは血量に応じて。でも同 族以外はなかなか生まれないし、血がもっと混じるとほとんど生ま れないらしいけどね﹂ 遺伝子とかどうなってるんだろうか。塩基が四つかどうかすら怪 しいが、さすがに調べようがない。 ﹁まあいずれにせよ買いたい物があるわけだし、街に出てみようか﹂ 41 部屋を出てホテルの外に出るまで、何名かの女性従業員に潤んだ 瞳で見つめられた。男性従業員はそういうそぶりやかがんだ姿勢に なっていなかったので恐らく聞かれていないであろう。さすがに野 郎に聞かせるのはしゃくなので、防音装置は必須だな。俺に自分の 女の嬌声を聞かせる趣味はない︵キリッ︶ <楠木幸人/ユキト・クスノキ> ︵new︶性なるランナー︵夜に頑張る人。精力に補正プラス1。 精子の製造量が増える︶ ︵new︶女への独占欲︵自分の女を外に出したがらない。隠蔽 に補正プラス1︶ <メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア> ︵new︶お漏らしエロフ︵エロフ限定。恥ずかしがってもお漏 らしはお漏らしです。性行為の最中漏らしやすい。水属性魔法の適 正が成長しやすくなる︶ ︵new︶始母の資格︵新たな種族の母となる可能性を秘める。 妊娠確率の向上。子どもが新種族となる可能性がある︶ 42 第2話 街とエルフ王女と異世界の旅人と︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 43 第3話 街を歩けばイントロダクション︵※︶ 第3話 街を歩けばイントロダクション︵※︶ まず真っ先に購入したのは例の蓋である。そんなに零したくなか ったかういヤツめ。 売っていたのは女性用下着の店で、どうやらそれなりに需要があ る一品らしい。会計を済ませたメイをそのままお店のトイレ︵もち ろん女性店員に案内してもらった︶に連れ込み、街中用として着て いる白の膝丈くらいのフレアスカートをめくり上げ、下着を下ろす。 既に溢れてきたモノで下着はぐちゃぐちゃだったが、これは覚悟の 上だったのだろう、メイが異空間にその下着を放り込み代わりの下 着を手に取る。便利だな異空間。 蓋の形状はまさにタンポンだったが、現代日本のようなスポンジ 製品は存在しないので素材は木と綿である。綿は取り替え可能にな っていて、半日以内に交換すること推奨⋮⋮ってタンポンそのまん まだ。入れるためのアプリケーターなんてモノもないので、溢れて いるものを拭い、先端を宛がって取り出し用の糸が垂れたお尻側を 押し込んでいく。 ﹁んぅっ﹂ エロい吐息が漏れ聞こえるが致し方ない。中まで押し込むと秘部 から糸だけが垂れてる状態になる。 ﹁⋮⋮これ、結構大変かも﹂ 44 ﹁まあ異物を入れてる状態だし、芯が木だからなあ。でも垂れてき てないから効果はちゃんとあるんだろうよ。にしても、真面目な話、 蓋しっぱなしだと色々衛生面でダメじゃないか?﹂ ﹁お風呂に入ったときに、水の魔法で中側に水を生成して押し流す のよ。それまでのつなぎみたいなものね﹂ ﹁なるほど、ああそうか水を生成って事は漏らし﹂ ﹁ユキト?﹂ ﹁なんでもございません﹂ まじまじと見ているとこのまま引っこ抜きたくなるので、足を上 げてもらい下着を履かせる。 ﹁なんだかユキトが執事っぽい﹂ ﹁こんなことまでする執事がいるか⋮⋮いや、王女と執事プレイも ありだな﹂ ﹁あの、私、王女王女﹂ ﹁しまった、これ俺が執事になるルート?﹂ それはないと信じよう。うん。信じるって大事。それが一番大事。 でも執事服はいつか買おう。 トイレから出て、またもや女性店員から潤んだ瞳で見られ︵何を 想像したんだ、っておおむね想像通りだろうが︶ながら退店。寝具 の取扱店を見つけて、メイがシーツを何枚も買う。そうかそうか。 ﹁にやにやしてるから大体何考えてるかわかるけど、絶対必要でし ょ? 真面目に﹂ ﹁仰るとおりでございます﹂ 犯人は俺、なので致し方なし。いやむしろこれであんまり後始末 を考えなくてすむと思えばエクセレントである。 45 ﹁あ、あと金だらい、っていって通じるかわからないけど、金属で できた口の広い桶どっかに売ってないか﹂ ﹁ちゃんとわかるけど、それで何するの?﹂ ﹁そりゃあ⋮⋮出たものためておけば片付けが楽だろ﹂ もちろん出たモノとは黄金水様である。顔を赤らめて俯きながら、 それでもメイは取扱店を見つけて購入していた。結構大きいのを。 これはもうにやにやしても許されるだろう。むしろ期待に応えなけ ればというプレッシャーを感じる。 まだ赤みが抜けきっていない耳元に顔を寄せて﹁いっぱい出させ てあげる﹂と囁くと、﹁⋮⋮バカ﹂って言う。こだまでしょうか、 いいえメイです。 古いネタ︵しかも誰にも通じない︶をやってる場合じゃないので 次へ進む。後はえーっと、何だっけ。ああ防音防音。平仮名で書け ばぼうおん! どっからエクスクラメーションがやって来たんだ? ﹁防音装置はどこに売ってるんだ?﹂ ﹁うーん、大抵生活魔法具の店にあると思うけど﹂ ああ生活家電ですねわかります。動力源はきっと魔力とか魔石な んだろう。 と、いうわけでさっくり購入。ベッドサイドに四カ所置いて使う らしい。もうそれ以外の用途が思い浮かばない。ついでに店の中を 色々見ていると、異世界を実感できそうなものが⋮⋮ ﹁このランタンみたいなのは?﹂ ﹁ランタンよ。光の魔石を入れて使うの。夜とか暗いところの探索 用かな﹂ ﹁こっちの羽のないダイソンの扇風機みたいなのは?﹂ 46 ﹁扇風機よ。風の魔石を入れて使うと風が出てくる。でもなんで制 作者の名前がわかったの?﹂ ﹁⋮⋮いや、元の世界でも同じのがある。ちなみにダイソンていう のがまあ団体名だ。ちなみにこの作品はフィクションです。実在す る、人物・地名・団体とは一切関係ありません﹂ ﹁最後に付け加えたのは何?﹂ ﹁魔法の言葉。これを言っておけばある程度は許されるんだよ、あ る程度﹂ ﹁時折意味がわからないよね、ユキトの言葉って﹂ しかし異世界すごいな、別の意味で。これ絶対現代日本とかその あたりからの異世界転移組がいるだろ常識的に考えて。でもこれだ け色々あるって事は、もう既に発明チート金持ちルートは使えなさ そうだ。金策手段がつぶされてちょっとがっかり。 ﹁あ、そうだ金策で思い出した。メイはどうやって金を稼いでるん だ? さすがに国から援助って事はないだろ﹂ ﹁国からは最初以外はもらってないわよ。お金はここに来るまでの 最中に倒した魔物の素材を売ったり、犯罪者の懸賞金をもらったり、 あとは探索して珍しいもの見つけたらそれを売ったり。こういうこ と専門でやってるのが冒険者って言われてるわ﹂ 出た冒険者! いやまあライブラで見てるからわかってはいたけ ど、実にテンプレ通りである。 ﹁てことは、あれか。冒険者専門の仕事斡旋窓口があるんだろ。ギ ルドとかギルドとかギルドとか﹂ ﹁ギルド⋮⋮ってのがよくわからないけど、その意味合いの場所な ら、大抵街ごとに一つか二つあるわよ﹂ ﹁ありゃ、ギルドじゃないんだ。じゃあなんていう場所なんだ?﹂ 47 ﹁ハローワーク﹂ ﹁⋮⋮もう一回聞いてもいいか﹂ ﹁ハローワークよ。どうしたの? 頭抱えて﹂ いや、だって、なあ。ハローワークですよ奥さん。無職やニート にとって死の呪文となるアレですよ。あそこに職斡旋お願いするの はタダだから、中小零細企業御用達でもあるが。 ﹁まあ、いい。じゃあハローワークで取ってきたもの売るのか?﹂ ﹁いいえ、違うわ。だいたいハローワークとセットで買い取りや懸 賞金の支給窓口、あと冒険者向けの販売店があるの。冒険者生活協 同組合ってところが﹂ ﹁ハローワークと生協⋮⋮﹂ ﹁よくわかったわね略称。そこに税引き後の買い取り価格の1%を 必ず納めるっていう契約を締結してると、怪我したり死んじゃった 時にお金も出てくるから、大抵の冒険者はその契約、保険契約って いうけどそれを締結してるわね﹂ まんま生協だな。きっと冠婚葬祭とかでも補助金が出るんだろう。 ﹁そういえばあの時のを売らなきゃいけないから、行ってユキトの ハローワークカードと保険契約締結をしましょうか﹂ ﹁ハローワークカード⋮⋮﹂ 何だか無職感漂うが、今そういや無職だった! 何も問題がない じゃないか。いや無職な事は問題だが。 というわけで、場所を移してハローワークと生協の建物にたどり 着く。お約束イベントの絡まれる! が発生するかと思ったらそん なこともなくすんなり登録&契約契約完了。よく見れば待合ベンチ みたいなのはあるが、酒場がない。酔っ払いがいなきゃそりゃ絡ま 48 れる確率は減るわな。 ﹁これがハローワークカード⋮⋮﹂ ﹁表に顔とシリアルナンバー、名前と種族、年齢、それからランク が記載されてるわ。ランクはSからFまでの7つで、Fから順に上 がっていくの。別にランクが異なる仕事は受けられないわけじゃな いけど、違約金は報酬額の50%だから、高報酬のものほど厳しく なるから注意してね。足りなくなると生協からの借金になるけど、 度を過ぎたら売られるから﹂ ﹁売られる⋮⋮ああ奴隷か﹂ このあたりはわかりやすい。わかりやすいというかむしろテンプ レ乙。そしてやっぱり奴隷はあるのね。 ﹁ちなみにメイのランクは?﹂ ﹁私は今Cよ。一年ちょっとで3ランクアップはあまりいないはず﹂ ということは俺がサクッと追いつくフラグですね、わかります。 ﹁裏は⋮⋮なんだこりゃ。二次元バーコードか?﹂ ﹁裏はこのカード情報を、よくわからないけど点と線で示したもの らしくて、ハローワークや生協には読み取りができる機械があるわ。 それで実績とか、あとお金を生協に預けることもできるからそれの 預け入れや払い出し、あとシリアルナンバーを指定してお金の送金 もできるよ。24時間いつでもできるのが便利ね。あ、あと国ごと の通貨の換金も冒険者で保険契約締結してるなら生協で手数料なし でしてくれるわ﹂ まさかの24時間銀行である。窓口業務に縛られる現代日本より 進んでるじゃないか。遠距離通信とかも謎の異世界パワーでどうに 49 かしてるに違いない、と思ったら記録関係は全部カードに記載して いるそうで、変更があると二次元バーコードを書き換えるそうであ る。通信網がなかったらそうせざるを得ないか。 感心している間に、メイが魔物やら盗賊︵の死体︶やらを売り飛 ばし、いくらかお金を受け取っていた。何というかその、男の子心 をくすぐる光景だ。冒険王に俺はなる! いや、このまま行けば王 にはならなくても王配にはなりそうではあるが。 ﹁今日はさすがに疲れてるし時間もないから、ユキトの初依頼は明 日にしましょ﹂ ﹁初依頼⋮⋮そこはかとなく、エロいな﹂ ﹁その考えになるユキトがダメなんだと思うけど﹂ ごもっとも。 ﹁それじゃあ一通りのことは済ませたし、このまま街を散策しなが らホテルに戻ろっか﹂ ﹁晩飯はホテルで食べればいいのか﹂ ﹁うん、一泊二食付きで十日分支払ってるからね。お昼ご飯はない けど、まあそのときに考えればいいわ﹂ そのままふらふらとエルスの街を彷徨う。途中男物の服屋が合っ たのでメイに連れ込まれていくつか服を買う。ついでにそのうちの ワンセットは今着ているヤツだ。多分にメイの趣味が入っているの だろうが、まあ悪くないと思えたのでコメントは差し控えておく。 だれも男の服装描写をしても喜びやしまい。 武器屋で片手使えるショートソードと鞘のセット、ダガーと鞘の セット、それから弓と矢筒を買う。全部メイのお金なのでまさにヒ モなのだが、さすがに高いヤツは遠慮というか辞退した。こういう のは自分の実力で買ってこそである。防具屋でも同様に何かの皮で 50 できた鎧と、腕にくくりつける小型のバックラーを購入。典型的な 前衛装備であろう。弓を除いて、ではあるが。 ﹁どうだ、これで新人冒険者にみえるだろ?﹂ ﹁うーん、何故か後に︵笑︶とつけたくなるけど﹂ 意味がわからん。 剣道や居合いはやったことあるが、西洋スタイルの剣は触ったこ とがなかったが、適当に振るとそれなりにしっくりくるあたりは剣 術8の影響だろう。うーん、我ながらチート乙。 ﹁そういや武器屋に火薬類がなかったけど、取り扱ってないのか?﹂ ﹁火薬? 何なのそれ﹂ ﹁おっと、意外にもそっちはなかったか﹂ 読んで字の如く火を噴く薬だと言っても通じなかった。どうやら 火薬類、そして銃とかの類いはなさそうだ。まあ火薬なんて製造方 法を知ってても原料を作れなきゃ意味ないし、銃も火縄銃ならとも かくそれ以降のものはある程度構造を理解してないと作れないだろ うしなあ。これはワンチャン、火薬王の道は残ってるか? ﹁そういうのだったら、火の魔石を使ったのがあるけど﹂ ﹁しまった、便利グッズの魔の手はやはり伸びていたか﹂ ﹁あまり使われないけど、火の魔石を使った魔導銃ならいくつかあ るわよ? 命中精度もコストも悪いからあまり使われてないけどね﹂ なるほど。恐らく火の魔石の性能が一定しないのと、造り自体が 荒いんだろう。まあ手を出すとしても当分先になりそうだ。 ホテルに着くころにはすっかり日も暮れ、街路の電灯が代わりに ゆらめく。光の魔石を定期的に交換する仕事、というのがあるらし 51 い。電気じゃないと維持が大変だ。 部屋に戻って荷物を置いてレストランへ。食事は大変おいしゅう ございましたが、どう見てもイタリアンです。本当に以下略。食材 の名前は聞いてもちんぷんかんぷんだったが、おいしければ全てオ ーライ。部屋に戻る前に貸し切り風呂の予約をして、着替えの準備 をしていざ行かん。あ、ちなみに洗濯はオプションで行ってくれる らしい。至れり尽くせりであるが、普通ランクのホテルにはないそ うである。 ﹁あの、ユキト? さすがにじっと見られると恥ずかしいんだけど﹂ ﹁いえいえどうぞお気になさらずに﹂ 風呂の鍵を閉めたのを確認して、メイが服を脱いで行くのをじっ と眺める。眼福。 ﹁気にするわよ、もう﹂ といいながらも、恥ずかしがりつつ服を脱ぐメイマジ天使。もっ と恥ずかしいことしてるじゃないかとか、そういう言葉責めはいら んのです。こう、美術品を愛でるように⋮⋮ ﹁あ、メイ、その蓋は取らないで﹂ ﹁⋮⋮ユキト?﹂ ﹁まあまあまあまあ﹂ 紐を引っ張って例の蓋を取ろうとするのを慌てて止める。それを 取るなんてとんでもない! 急いで服を脱ぎ捨て、肩を抱き寄せ中に突入。中は大人四人くら いは入れそうな石張りの浴槽に、シャワーブースも四つと割と広い。 浴槽にはジャバジャバと龍をかたどった石の口からお湯が流れ、溢 52 れた分は排水溝らしきところへ吸い込まれていく。においはしない ので温泉ではなさそうだが、まあその、やっぱり日本人がいただろ これ。 ﹁ねえユキト、いい加減に取って綺麗にしないと⋮⋮﹂ 少し足をもじもじさせるメイが可愛すぎて生きてるのが辛いが、 やりたいことがあるのでここは生きる! ﹁メイ、そのまま水を中に生成してよ﹂ ﹁え、っと⋮⋮?﹂ ﹁さあ、ほら﹂ おなかをさすって、水の生成を促す。戸惑いながらもフレーズを メイがつぶやくと、さすりの奥に少しだ張りが生まれる。だがまだ 足りない。 ﹁もっとしないと、多分流れないよ? 散々出したし﹂ ﹁う、ううっ、絶対ヘンなこと考えてる⋮⋮﹂ ﹁イグザクトリィ!﹂ いい笑顔で答えると、メイは諦めて再度魔法を唱えた。うーむ、 いい感じ。 ﹁ねえ、外してもいい? もう、なんか﹂ ﹁⋮⋮ダメ﹂ 立ち位置をメイの後に変え、背後から双丘に手を伸ばす。中心部 には触れず、両手でその張りと柔らかさが両立した奇跡のおっぱい ! を堪能する。だからどこからエクスクラメーションマークがき 53 たんだ。 ﹁あ、ぅ﹂ 足をもじもじと摺り合わせ、吐息を漏らしながらこちらを見上げ てくる。既に頬には赤みが差していた。 首筋に唇を這わせてすーっとなぞると、びくっと身体が跳ねるの が楽しい。ゆっくりと手を中心部に近づけて、メイの火を点してい く。まだ触れていない桃色部分がぷっくりと膨れていくが、まだ触 れない。手の一つは泣く泣くおっぱいから離れて、脇腹、おへそ、 太股と旅に出させる。どこも無駄な脂肪がなく均整のとれたメイの 身体は美しくて張りがあり、触るだけでも楽しい。ムキムキなんて ことは全くないし、柔らかさは女の子のそれだが、内側にはしなや か筋肉の存在がよくわかる。何この理想型。 そのまま太股の付け根へ移動すると、垂れた紐、そして少し潤ん だ卑猥な部分に触れる。少しさするだけで、すぐに指が愛液まみれ になる。蓋をしてこれとはなんて恐ろしい子⋮⋮! そのまみれた 愛液を、自己主張し出した出っ張りへとまぶしていく。 ﹁ひぅっ、ダ、ダメだよユキトぉ、これじゃあ、私、﹂ ﹁⋮⋮どうなるんだろうねぇ﹂ ﹁ひいっ!?﹂ 例によって例の如く、赤く染まった長い耳を啄む。同時に、散々 じらした胸部装甲への攻撃は、ついに弱点へ目標を変更する。縁か らゆっくり指を這わして外周部を回って頂点にたどり着き、軽く押 し込む。 ﹁ああっ!﹂ 54 軽く達してしまったようで、身体がピンと緊張するのが肌を通し て伝わる。そろそろ頃合いだろうか。 ﹁さあメイ、そろそろ引き抜くよ﹂ ﹁え、ダ、ダダ、ダメッ、今抜かれたはうっ﹂ 乳首をつまみ、クリトリスへはソフトタッチを続けたまま。メイ は抵抗する事すら叶わない。 ﹁5﹂ カウントと同時に少し乳首を引っ張ることで、最後どうなるのか をその身に教え込む。 ﹁4﹂ ﹁あ、ああっ﹂ 太股はぎゅっと閉じられるが、そんなのはお構いなしである。 ﹁3﹂ ソフトタッチの役目を手のひらに委ね、指は例のタンポン型のヒ モを摘まむ。ちょっと摘まみにくいがまあ大丈夫だろう。 ﹁2﹂ ﹁ひっ、イッ﹂ さあもう間もなくだ。 ﹁1﹂ 55 ﹁あ、ああっ﹂ 一際強く乳首をつまみ上げ、手のひらで少し強めに敏感な部分に 触れて、 ﹁0﹂ 一気に蓋を引き抜いた。 ﹁あああああっ!!﹂ カウントダウンの期待値も相まって、メイの身体が硬直する。そ の状態で下腹部を少し押し込むと、勢いよく大事なところから水が 飛び出てきた。 ﹁あ、あああ⋮⋮﹂ 力が抜けてふらつくメイの身体を支えるも、まだ水は止まらずあ たりにまき散らされていく。やがて少し白っぽい水は出なくなった が、代わりにちょろちょろと黄色いものが出てきた。 ﹁あ、ああ、だめ、止まらない⋮⋮﹂ そりゃあ力が入らなければ止めようもない。色々なものがむわっ と鼻につくが、全てのものだと思えば何も問題がない。 ﹁ひどいよユキトは﹂ きっとこちらを見上げて目をつり上げてるメイ。瞳にはちょっと だけ涙が浮かんでるあたり罪悪感が浮かんでくるが、そんな表情も 56 可愛すぎると考えてしまうあたり末期症状である。 頭を撫でて﹁メイの恥ずかしがるところが見たかったんだ﹂と囁 いて、洗い場の椅子に座らせる。頬が膨れてるのが可愛い。 シャワーからお湯を出してその肌についたものを洗い流した後、 きらめく金糸を手櫛でといてお湯を掛け、両手で摺り合わせていく。 メイ自身もお風呂に入るのは久しぶりとのことだったので、より念 入りに汚れを落としていくと、お湯だけで金色の輝きが増す。ひと しきり終わったところでシャンプーらしきものを手に取り泡立て、 てっぺんから髪に馴染ませて洗っていく。根元から毛先へ、ゆっく りと時間を掛ける。終わったら今度は頭皮を洗う。今度は縁から、 指の腹を押し込むようにマッサージを行い、頭頂部へ進めていく。 最後、もう一回髪の毛だけを洗い、シャワーでシャンプーを洗い流 していく。手櫛で梳きながらすすぎ、終わったら軽くタオルで水気 を取っていく。 リンスかコンディショナーかトリートメントはわからなかったが、 それらしきものもあったので手に取り今度は手先から撫でるように 髪に染みこませていく。徐々に上り、頭皮にはつかないように進め ていく。終わったらお湯を上から流し、成分が残らないようにすす ぐ。最後にもう一度手櫛をかけ、タオルで包むように優しく水気を 取り除けば完成である。 ﹁⋮⋮なんか、侍女にお願いするよりうまい気がする﹂ ﹁お褒めいただき光栄であります﹂ 汚れが取れ、元に戻った輝きは実に美しい煌めきを放っていた。 最初にあった川でも洗いはしたが、さすがに設備がないと難しい。 この状態で濡れると髪が傷むので、髪を結い、タオルで覆う。 ﹁ユキトって女の子の身体の扱いが慣れてるよね﹂ 57 出来は満足理由は不満足、といった感じでジト目でこちらを見や るエルフの美少女。ごちそうさまです。 ﹁まあまあまあまあ。まだ髪が終わっただけだから﹂ ﹁もしかして、身体も?﹂ ﹁もしかしなくても﹂ ﹁⋮⋮どうせエッチなことするんでしょう?﹂ また頬が膨れるので指でつついてから、タオルを濡らし、ボディ ソープらしきものを泡立てる。その泡を手ですくい、首元から順に 泡で洗っていく。文句を言うくせに為されるがままなのは、期待し てるからだろうか。 ﹁ほら、腕を横に伸ばして﹂ 何も言わずにすっと横に伸ばされるので、それをマッサージをか ねてリンパ節を軽くほぐしながら洗っていく。指先、指元は念入り に。反対側も終え、脇もくすぐったそうにしながらも終える。 ﹁そのまま腕は伸ばしたままね。前側が洗えないから﹂ ﹁ううっ⋮⋮﹂ うめき声は聞こえても腕は降りてこない。もうホントこの子チョ ロイン。 だけども、さすがに三回プラスアルファもやってるので、性的な アレはあまりわいてこない。代わりにこの美しい宝物の維持に力を 注ぐ。肩、双丘、背中と、泡を追加しながら洗っていく。汗のたま る谷間やおっぱいの下側は少し念入りに。おなか、脇腹と進み下半 身へ突入。 58 ﹁メイ、こっち向いて足を伸ばして﹂ 伸ばされた足をこちらの膝の上に載せ、太股からつま先に向けて 泡をなでつけていく。膝裏の後、足首より先。指を一本一本洗い、 足の裏も丁寧に。終わったら反対側も以下同文。終わったら全部を シャワーで洗い流す。 さて、ここからは最後の仕事である。しかし一番大事な部分でも ある。念入りにしないといけない。 もう一度メイの向きを変え、椅子に浅く座ってもらう。背後から 手を伸ばし、まずは下の金色の茂みを根元まで洗う。泡を足して、 大事なところ。 ﹁ふぅっ﹂ 触れると吐息が漏れるが致し方あるまい。上から下に向けて優し く泡で撫でていく。皮で包まれたところは二本指でそっと剥いてお く。外陰部の後少し腰を浮かしてもらって膣口から菊門に向けて、 そして反対側もお尻の割れ目から菊門へと撫でる。そして最後にシ ャワーを掛けながら性器に触れ、汚れが残っていないことを確認し て完成である。ああいい仕事した。 ﹁はぁあ⋮⋮﹂ 椅子に座り込んだメイは呆けた状態。まあ全身マッサージを受け れば誰だってこうなる。俺だってそうなる。 いい加減自分もさっぱりしたいので、その横のブースでさっさと 洗っていく。女性の肌は繊細だが、野郎の肌は自分含めてどうでも いいので、タオルごしごしプレイですませる。もちろん武器の部分 の手入れは丁寧に行うが。 さくっと終わらせるとまだメイは呆けていたので、膝裏に腕を差 59 し込み、背中と膝を持ち上げる。ええ、お姫様なんちゃらです。驚 く暇を与えずに浴槽に入りそっと下ろし、自らの身体も横で沈める。 ああ気持ちいい。 こてんと肩に触れる感触があるので見てみると、メイの頭が乗っ かっていた。 ﹁なんだかずるいよ、ユキトは﹂ ﹁何がだよ。チートと言われたらすみまへんと謝るが﹂ ﹁なんていうか、その、ずるい﹂ だから何がだ、と詰めたいところだが、ここで詰めても何も返っ てこないばかりか碌でもないことになるのは古今東西異世界だろう と、女性という生き物に関して言えば同じだろう。自分で言うまで じっと待つしか男に残された手段はないのだ。 ﹁⋮⋮ここまでされたら、私、何をすればいいかわからないよ﹂ ﹁何をすれば、ねえ。俺はメイがいてくれるだけでもう十二分に満 足してるんだけど﹂ ﹁本当? 私、何も返せてない﹂ ﹁いやいやいや、大体最初に助けてくれたのもメイだし、そっから ここまで全部お世話になってるじゃないか﹂ さすがに下半身含めて、というセリフを吐くムードではないので 自重する。俺は自重出来る男なんだ! ﹁でも、多分これから迷惑掛けると思うし⋮⋮﹂ これから。そうこれから。例の政略結婚云々を含め、メイは第一 王女という身分である。一緒にいると言うことはつまり、俺にも同 様のことが降りかかるのだろう。さらに言えば、これは明言されて 60 はいないが、 エルフの国で人間の王配なんて! やり出す輩もいるであろう事は想像に難くない。 それでも。 みたいなことを ﹁いいんだよ、そんなもんは。俺がメイと一緒にいたいと願ってる んだ。それくらい、どうってことはないさ﹂ ﹁ユキト⋮⋮﹂ 異物 みたいなものにな 元の世界で親族の類いがいなかった楠木幸人という存在。ふとし た拍子に異世界に紛れ込み、こちらでも るかと思ったら、最初からとても温かくて大事な存在に出会えたん だ。今までのクソみたいな人生に比べて、なんて幸せなのだろう。 たった数日でそこまで思わせてくれた存在を手放すなんて訳にはい かない。それこそ、あらゆる手段で障害をはね除けていく所存であ る。 細い顎に手を添え、少し上げる。 ﹁メイ﹂ その名を呼び、触れるだけの口づけを交わす。彼女との時間を守 るためなら、それこそ何でもやってやろうじゃないか。 ⋮⋮このあと滅茶苦茶セックスした。 自重、どこいった? <楠木幸人/ユキト・クスノキ> 61 ︵new︶自重出来る男︵大事なところはこつこつと。話術・精 神に補正プラス1︶ ︵new︶箍を外す者︵自らの望みの為に覚悟を決めたもの。1 時間、能力・技能を全て2倍に増加できる。効果時間終了後、24 時間能力・技能全てが半減する︶ 62 第3話 街を歩けばイントロダクション︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 63 第4話 初×初×初︵※︶ 第4話 初×初×初︵※︶ 朝起きて、メイと一緒にお風呂に入って︵いちゃついたがやるこ とはやってない。せいぜい膣内洗浄を少々。なのでメイの蓋をして いない︶、朝ご飯食べて気合いは十分である。 ﹁なんでそんなやる気が溢れてるの?﹂ ﹁そりゃあメイさんや、異世界×冒険者×初依頼とくれば男の子は たいてい気合いが入るもんなんです。タイトルコールもしたくなる んです﹂ ユキトのいた世界ってもしかしてアレなんじゃないかな、と呟く 声が聞こえる気がするがそこはスルー。だいたい日本男子は経験し ている、はず。それにしても、初っていいよね。初売り、初物、処 女⋮⋮最後はあってるけど違うか。 昨日購入した装備一式を装備︵もちろん身につけて︶、いざ行か んハローワークへ。⋮⋮おかしい、何だかちょぴり心躍らない。む しろプレッシャーを感じる。ヤツがいるな。ヤツって誰だ。 えっちらおっちらとハローワークへ。職探しに夢中な俺は途中の 出店とかには惹かれずに進むのです。金がない、ともいうが。 ﹁いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか﹂ 64 カウンターで迎えてくれたのは、ぱっと見16歳くらいの女の子。 特徴が見当たらないということは人間だろうか。昨日の登録と生協 の人は野郎だったが、今日は女の子。黒髪セミロングでちょっとか わいい。何だかおらわくわくしてきたぞ! ﹁えっと、仕事を探してるんですが﹂ ﹁仕事、ですか?﹂ ﹁間違えた依頼です依頼﹂ ハローワークじゃなかった。 ﹁それではカードをご提示ください﹂ 言われてハローワークカードを出すと、裏側を何かの機械でぴぴ っとスキャンしていた。オフィスビルの入場ゲートみたいである。 昨日も思ったが違和感のあるハイテクっぷりだ。 ﹁えっと、昨日登録のユキト・クスノキさんですね。最初でしたら、 街中の依頼がオススメですがいかがいたしましょうか﹂ ﹁じゃあそ﹂ ﹁ごめんなさい、外の魔物討伐系はある?﹂ おおっとここでメイ君ふっとん、違ったインターセプトだ。 常識 がない状態で、人と接する仕事が出来るわけない ﹁何だよ、オーソドックスに行こうと思ったのに﹂ ﹁あまり でしょう?﹂ ﹁⋮⋮なるほど、その発想はなかった﹂ 小声でごにょごにょ言い合うが、確かにメイの言うとおりである。 65 迂闊に突っ込んで地雷原となるよりかはかっ飛ばせホームランのほ うが遥かに楽だろう。脳筋ともいう。 ﹁多少ランクが上でも、私も一緒に行くから大丈夫よ。それに能力 だけは高いから﹂ ﹁カードをお預かりしても良いですか?﹂ ﹁ええ、いいわよ﹂ ﹁⋮⋮なるほど、ランクCのメイさんと一緒になら、多少高くても 問題なさそうですね。それでしたら、ランクDのこちらはいかがで しょうか﹂ そう言って渡された紙には﹃キラーラビット討伐一体 報酬90 00リアル﹄と記載されていた。お金=現実。悲しいけどこれ宿命 なのよね。ちなみに物価はビックマックのような対象がないので日 本円との単純比較が出来ないが、だいたい20万リアルで一家四人 が生活できる程度だそうだ。1リアル=1.5円、といったところ だろうから、9000リアル=13,500円。日雇いより多少時 給がいい、程度であろう。ちなみにあのホテルは一泊二食付きで一 部屋30,000リアル。二人で4万5千円って都内のちょっとい いシティホテル並みである。そりゃサービスが良いわけだ。 ﹁こちらはランクD魔物、キラーラビットの討伐です。昨晩エルス から北東方向の街道沿いで発見されました。ホーンラビットを数匹 引き連れてると思われます﹂ ﹁じゃあそれで﹂ ﹁畏まりました。お二人はパーティで受領、という形でしょうか?﹂ ﹁ええお願いするわ﹂ ﹁畏まりました﹂ なにやら書類に記入後、依頼書を渡される。いきなり2ランク上 66 の依頼を受けることになるとは、どれだけ巻き展開なんだ? ﹁ではお気をつけていってらっしゃいませ﹂ お見送りを受けて建物の外へ出る。そういやあの子の名前すら聞 かなかったが、モブキャラなんだろうか。こう胸のあたりのボリュ ームが⋮⋮ ﹁行くわよ、ユキト﹂ ﹁イエスマム﹂ 何も見なかったことにしよう。というわけでいざいかん北東へ。 このエルスの街は北東方向、南方向、西方向の三方に門が有りそ の先に街道が延びている。街の周囲は全方位高さ5m前後の石塀で 覆われており、なかなかの防衛力を持っている。北東方向への門へ たどり着き、入退場の受付を済ませて外へ出る。今回は近距離とい うことで馬車は預けたままである。自らの足で踏み出す冒険への一 歩。夢があるフレーズだ。 目撃地点まではおよそ3km。普通に歩けば1時間はかからない が、あくまで目撃地点、ということで移動している可能性がある。 ﹁今回のキラーラビットとかホーンラビットって、主食は何だ?﹂ ﹁ウサギと一緒で草よ。ただ、外敵から身を守る際はとても攻撃的 で、頭から生えてる角で攻撃してくるわ﹂ ﹁まあそのあたりは予想通りか﹂ などと話ながら進んでいると、街道脇の森から何かが飛び出てき た。 ﹁これは⋮⋮オオヤマネコね。ランクはD、素早く動いて爪でひっ 67 かいてくるの﹂ ﹁なんだよ、EとかFじゃなくていきなりDか。D多すぎだろ﹂ その猫さんはというと、体長1m前後で割と大きい。何も心構え なしに襲われたらパンピーは辛そうではある。 ﹁どうする? やってみる?﹂ ﹁うーん、まあ準備運動ということで。一匹だし﹂ 既に鞘から抜いてあった片手剣を握りしめ、異世界初戦闘開始。 とりあえず真っ直ぐいってぶっ飛ばす、間違えた切り飛ばす! ﹁⋮⋮えっ﹂ 間の抜けた声が後方から聞こえてくるが、こちらとしてはそれど ころではない。何というかその、猫さんが動く間もなく間合いを詰 めて首を刎ねてしまった。首から血は吹き出るし、今際の猫の表情 は何が何だかわからないよと言ってるようだったが、こちらもよく わかっていない。瞬時に数mあった間合いを詰めてしまい、何の障 害もなくすっと刃を首に通してしまった。 ﹁うーむ、これ、もしかしてそこそこ強いのか、俺﹂ ﹁何言ってるのよ。私もびっくりするくらいだったし﹂ メイがそう言うならよっぽどなのだろう。STRとAGIあたり が関係しているんだろうが、こりゃパンピーの平均数値を確認する 必要がありそうだ。 ﹁その早さで動けて、魔法も使えればよほどのことがない限りユキ トは負けないわよ﹂ 68 ﹁やめろ、何だかそれ嫌なフラグの予感がする﹂ ﹁そうは言っても、ねえ。ランクCどころかBも余裕ね﹂ ﹁そんなもんか。まあ早く上がるに越したことはないんだろうけど なあ。即席栽培に落とし穴有り、っていうのはお約束だし。お座り してはいないけど﹂ ﹁そう思うなら、自分で気を引き締めていくことね﹂ ごもっとも。 切り捨てられた猫さんの死体はメイの異空間に入れてもらう。そ ろそろ異空間魔法を使えるようになりたいところだ。 そんなこんなで、キラーラビットを探しながら出てきた魔物を切 り刻んだり的当てしたりして殲滅することしばし。 ﹁⋮⋮あれか﹂ ﹁大きいのがキラーラビット、周りのがホーンラビットね﹂ 街道から少し外れた森の中でターゲットを発見する。うさぎ、と いう割にはキラーラビットはでかい。さっきの猫さんくらいでかい フリーズランサー ﹂ 上に周りのホーンラビット同様頭に角がある。あの質量で来られた らかなり辛そうだ。 が。 ﹁なあ、ちょっと試したいことがあるんだけどいいか?﹂ ﹁別にいいわよ? ユキトの練習なんだから﹂ 氷を司る女神よ、氷の槍で敵を貫け。 了承をもらったので、氷魔法を使ってみる。 ﹁ 氷の槍を数多く打ち出す魔法で、あっさりとデカウサギたちを屠 69 る。味気ない。 ﹁ユキトは私が使える魔法はほとんど同じように使えるわね⋮⋮こ のチートが﹂ ﹁あの、ぼそっと言うの止めてもらえますかねえ!?﹂ ﹁だって、苦労して使えるようにしたのにあっさり使われると、私 の立場が⋮⋮﹂ ﹁どう、どう、どう﹂ ﹁私は馬じゃない!﹂ そう言われましても。自分でも実践であっさりと使えるとは思い もしなかったが、メイの目がないとき︵トイレとかトイレとかトイ レとか︶にこっそり練習してはいた。二人パーティだと数の暴力に 弱くなりそうなので、広範囲魔法を先に使えるようにしておいたの だ。 まあ、自分が苦労したことをあっさり達成されると嫌なのはよく わかる。 ﹁メイ。俺はメイがいたからこうやって魔法が使えてるんだから﹂ ﹁ううっ⋮⋮﹂ なおもぐずる頭をそっと撫でて宥め賺す。やがて落ち着いてきた のか、無言でウサギを異空間に放り込んでいった。終わった後は﹁ ん!﹂と唇を突き出してきたのでそっと触れ合う。これで満足して くれるなら何も言うことはない、むしろご褒美ですらある。なんで この子の唇はこんなに甘いんだろうね。糖分の取り過ぎだとしたら 自重していただきたい。 ﹁で、あっさり終わったがどうしよう? 別の魔物狩りとかする?﹂ ﹁そうね⋮⋮街道からあまり遠くないから、あまり強い魔物は出て 70 こないと思うし、続けよっか﹂ そうして狩りを続けることしばし。いい感じにゴブリンやらオー クやらでっかい鳥やらオオカミやらを狩って一段落したところで、 街道とは反対方向で爆発音が聞こえてきた。 ﹁何、今の﹂ ﹁魔法の爆発みたいだけど⋮⋮﹂ 特技:イオナズンが使えるじゃないかとわくわくしてたら、もう 一度爆発。 ﹁何かが戦ってるのか?﹂ ﹁おそらく⋮⋮ちょっとずつ音が近づいてきてるわね﹂ 会話をしている最中も爆発が続き、その音はメイの言うとおり近 づいてきていた。 ﹁なあ、逃げた方がいいか?﹂ ﹁うーん⋮⋮いざとなればここからエルスの街近くまでは二人でも 転移魔法が届くから、一応確認しましょう。犯罪とかだと後味が悪 いし﹂ ﹁了解﹂ やっぱり特技:イオナズンで就職に失敗したヤツが暴れてるんだ ろうかなどと考えていたら、割と近いところで爆発音が鳴った後、 無音の時間が続いた。これは戦闘が終わったのだろうか。 ﹁⋮⋮メイ、いくよ﹂ ﹁うん、ってわあっ!?﹂ 71 ﹁抱きかかえた方が早いし、メイは魔法使う事に集中して!﹂ さっと抱きかかえて最後の音の在処へ駆け出す。するとそこには 一組の親子と思われる、黒い羽としっぽが生えた全裸の女性と子ど もが蹲り、後方から数人の男がにじり寄る光景があった。 ﹁メイ! あの野郎連中で手配書に載ってるヤツはいないか!?﹂ ﹁えっとえっと、一番右のひげもじゃが強盗殺人強姦誘拐で賞金首 ! ランクB相当! たぶん同一グループの犯罪集団! 名前忘れ た!﹂ ﹁じゃあそれ以外範囲魔法! 俺はランクB狙い!﹂ ﹁オッケー!﹂ 女の子を倒す展開はちょっと、ということで男が悪い︵もしくは !﹂ 正当防衛︶という判断材料を集め、即座に殲滅に移る。メイを下ろ 光の女神よ、輝きの剣で全てをなぎ払え。レイブレード すと即座に詠唱が始まり、こちらも動きの準備をする。 ﹁ チェンジスペース ﹂ 詠唱完了と共に現れた大きな光の剣が一閃され、手下っぽい奴ら の首が飛んでいく。 ﹁なっ! なんだお前らはっ!?﹂ ﹁なんだかんだと聞かれたら、ってねっ! ﹁消え⋮⋮っ﹂ 驚いているうちに短距離転移で背後を取って首を落とす。生々し い感触が剣を伝ってやってくるが、もう既に魔物狩りを行った後な ので罪悪感は薄れている。犯罪者に何やってもいいとは思わないけ ど、強盗殺人強姦誘拐ってもはやメンチンタンピンで倍満クラスだ 72 ろう。ドラ2つで三倍満。現代日本では一回だけしか上がれなかっ た。 例によって例の如く一ページぬわーな連中の遺体はメイの異空間 に放り込み、残った親子連れのところに数歩近づいたところでメイ が慌てて俺を止めた。 ﹁待ってユキト。サキュバスだわ﹂ ﹁ん? サキュバス、って魔族の?﹂ ﹁いいえ違うわ。魔族のサキュバスじゃなくて、魔物のサキュバス よ﹂ なるほど、わからん。サキュバス登場フラグが立ってたなあとか 思ったらなにやら複雑な状態である。 ﹁その二つは何が違うんだ?﹂ ヒト科 じゃないから、 ﹁魔族のサキュバスは、魔物のサキュバスの特性を一部受け継いだ 人間なの。でも魔物のサキュバスは違う。 コミュケーションなんてとれないし、本能に従って生物、特に人の オスを襲ってくる﹂ ﹁うーん⋮⋮でもぱっと見、ヒトに見えるんだが﹂ ﹁魔族のサキュバスは耳の先が丸くて、魔物のサキュバスは耳がエ ルフみたいに尖っててしっぽが生えてて、あと頭に二本小さな角が 生えてるわ﹂ ﹁⋮⋮確かに耳が尖ってるし、角が生えてるし、しっぽがあるな﹂ 言われたとおりに二人をみると、魔物のサキュバスとしての特徴 が確かに存在した。 ﹁でもさ⋮⋮大人の方は明らかに手遅れだろ﹂ 73 まだ少し距離があるが、遠目に見てもわかる。片腕は千切れ、羽 はボロボロで、片目は見えていないようだった。他にも短剣がいく つか刺さったままであり、出血が酷く人間基準に当てはめていいか どうかは微妙だが既に血が足りない。 それでも。残りの腕で子どものサキュバスを抱きしめ、うーっと 唸りながらこちらを睨んでくる。子どもの方は傷を負った様子はな いが、眠っているのか身動き一つしない。 ﹁なあ、魔物って必ず駆除対象なるのか?﹂ ﹁必ず、ではないけど、サキュバスはランクAの魔物だから原則は ⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮そうか﹂ ランクAということは上から二つ目の分類だからかなり強いのだ ろう。先ほどの様子を見るに、捕まえるか殺すかはわからなかった が、例の集団がこのサキュバス親子を見つけ、追い詰めていったの だろう。 ﹁そういやサキュバスは魔法が使えるのか? あっさり死んだあた り、さっきの奴らにあんな派手な爆発魔法が使える様子がなかった んだが﹂ ﹁サキュバスは魔法がかなり使えるから、さっきの爆発はこのサキ ュバスのせいだと思うけど⋮⋮多分、もうMPがないんでしょう。 元々減らしていたかもしれないし﹂ ﹁なら近づいても大丈夫か﹂ 知を司る女神よ、鑑定の力を我が目に。ライ ⋮⋮MPは切らしてるわ。HPも、ね。その子はまだ何も減 ﹁ちょっと待って。 ブラ ってないけど﹂ ﹁わかった﹂ 74 剣を鞘に入れ、手ぶらで近づく。親サキュバスの警戒は未だ解け ない。 ﹁その子を生かしたいのか?﹂ 言葉を理解しているかはわからないが、うーっと一際低い声が聞 こえてくる。 ﹁あんたはもう助からない。だが⋮⋮その子は俺たちが助けるよ。 どうにかする﹂ しゃがみ込んで言葉を投げ続ける。しばしの逡巡の後、彼女は子 どもを抱いた腕を放した。 ﹁⋮⋮いいんだな?﹂ こくりと頷く親サキュバス。一方通行の会話は出来ているらしい。 最後に子どもの頭を撫でた後、口元で何かを呟いた途端、彼女の身 体は赤い光に包まれた。まるで命の残り火を全て輝かせるような目 映い光。そして光が消えた後には彼女の姿はなく、代わりに5cm 大の赤い、先ほどの光と同じ色に煌めく石が落ちていた。 ﹁今のはなんだ⋮⋮?﹂ ﹁わからないわ。でも、その石は⋮⋮命結晶、と呼ばれているもの ね﹂ ﹁命結晶⋮⋮﹂ ﹁ええ、生成条件が不明な、純粋な魔力の塊。そう、魔物の命の塊 だったのね﹂ 手に取ると、ヒトと同じ温かみを帯びている。 75 ﹁ならこれは、この子のものだな﹂ 未だ目を覚まさないサキュバスの子ども。特徴を除けば、六歳く らいの人間の子と見た目は変わらないその子の、握りしめられたま まの手に赤い石を持たせる。あの親サキュバスの望みは、これで合 っているのだろうか。ただまあ、間違いなく任されたのだから、そ の責は全うしようじゃないか。 ﹁さて、俺の知ってるお約束なら、魔物でも登録なりなんなりすれ ば犬や猫みたいに飼育が認められるんだが、そこんところはどうだ ろうか﹂ ﹁うーん、冒険者なら自分のランクより下なら認められることもあ るけど、ランク以上は管理できない可能性が高いから認められない わね﹂ ﹁ならどうにか誤魔化すしかないか。いや、むしろ正面突破か⋮⋮﹂ ﹁やっぱり、連れて行くのね﹂ ﹁そりゃあな。ここまで来ておいていったら寝覚めが悪すぎる。メ イは反対か?﹂ ﹁正直に言うと、厄介事につながる可能性は非常に高いわ。だけど ⋮⋮その子の顔を見たら、もう置いていけないわね。たとえ魔物で もユキトとならどうにか出来そうだし﹂ ﹁そいつは良かった﹂ 翌々見ると、現代日本のテレビドラマで子役として出ていてもお かしくないくらいに整った顔立ちである。魔物サキュバスの成長が ライブラ っと⋮⋮﹂ どうなのかはわからないが、このまま行ったら美しい子に育つのは 間違いない。 ﹁そういや能力見てないな。 76 <︵名前がまだ設定されていません︶> 基本情報 種族:魔物/サキュバス 性別:女 年齢:1 身長:110.2cm 体重:17.8kg 出身:エンスージア−レンス近郊 職業:なし 能力 HP:186︵221︶ MP:368︵368︶ SP:293︵293︶ STR:13 VIT:5 AGI:16 INT:32 DEX:18 LUK:21 状態異常:睡眠・空腹 ﹁なあ、俺の目が確かなら、この子まだ一歳らしいんだが﹂ ﹁サキュバスの成長曲線は第二次性徴までが非常に非常に早いのよ。 種族特性上、早く大人になる必要があるしね﹂ ﹁⋮⋮何かまた俺の第六感が囁いてるんだが、何食べるんだ、サキ ュバスって﹂ ﹁もちろん⋮⋮基本的には男の精力よ。ユキトがよく私の中に出す ヤツ﹂ ﹁いやホントすみませんいろんな意味で﹂ このあたりはすっかり失念していた。そりゃあサキュバスならそ 77 うっすよね、精液飲みまくりますよね。 ﹁何かホント、その、ごめん。知らなかったとはいえちょっと軽は ずみだった﹂ ﹁まあそれはその、気にしないわけじゃないけども、ね。さっきも 言ったけど、この子の顔を見たら保護欲の方が沸いてるから、大丈 夫よ﹂ ﹁⋮⋮瓶がいるな、密封できるやつ。それで溜めておこう﹂ ﹁私も搾り取るのを練習する必要があるわね﹂ ﹁その手の動きは止めてくれ、搾乳じゃないんだから。あとどうで もいいけど上から下じゃなくて下から上だな、向き的に﹂ ﹁こんな感じかしら﹂ メイさん、その絵面は手コキそのものですからちょっと、ってよ く考えなくても手コキだった⋮⋮! アホな会話はさておき、メイの異空間からシーツとタオルを取り 出してもらい、シーツはしっぽごと身体にまき付けタオルは角と耳 を隠すのに使う。 ﹁まさか別の意味でシーツが必要になるとは⋮⋮﹂ 恐るべきフラグ回収である。異次元方向とは恐れ入った。 子サキュバスを背負い、メイと共に街へ転移魔法で戻る。門の通 過時に顔を見せる必要があり、タオルを取ると予想通り守護兵がま ずい顔をしていたが、﹁子どもに罪はないんだ!﹂と赤裸々に訴え たら何故か涙ぐんだ守護兵に手を取られ﹁その覚悟ならきっと立派 に育つぞ!﹂と励まされた。それでいいのか守護兵。話術8は割と いる気がするぞ。 ホテルに戻るまでの最中に、子サキュバスの服の上下並びに下着 セットを数点買って、さらに一枚足りなくなったシーツとタオルを 78 買う。よくよく考えれば、ホテルに戻れば服を着せてシーツとタオ ルは戻ってくるから意味ない気がしたが、﹁何となくまた必要な気 がする﹂というメイの直感でお買い上げ。これメイにも妙な称号つ いてないよな? あ、あとガラス瓶もいくつか購入した。 後は依頼クリアのために異空間からキラーラビットの死体を取り 出して一人でハロワ&生協へ。ハロワのカウンターは行きと同じ女 の子だったのだが、キラーラビットの死体を見て少し驚いていた。 ランクDが倒せるのにFはないよね、とあっさりランクEにステッ プアップ。一足飛びはどうやら制度が存在していないようである。 クリアの代金とキラーラビットの売却益から税金︵共に10%︶と 生協の共済金を引いたお金約13000リアルは、現金化せずにカ ードに入れっぱなしにしておく。 そこまで終わらせて、ようやくホテルに戻ってこれた。フロント マンにも事情を説明し︵やっぱり涙ぐまれた︶、追加料金不要で部 屋に泊める許可をもらえた。顧客満足度の高いホテルである。忘れ 物をしても届けてくれそうだ。 ﹁はあ、何かいろいろあったなあ﹂ ﹁色々ありすぎでしょ、本当に﹂ 部屋に入ると、自然とため息が出る。ああこれはあれだ、狭いけ ど我が家って感じがするってヤツだな。違うか。 ﹁その子、ずっと寝っぱなしね⋮⋮ああ、寝顔は本当に可愛いわ﹂ ﹁別に特別な状態異常じゃないとは思うが、寝る子は育つのパター ンじゃないか﹂ 相変わらずお姫様は目を覚まさない。ベッドに寝させて命結晶は ベッドサイドに置き、先に自分たちの着替え手洗いうがいを済ます。 人間やエルフが風邪を引いたとして、サキュバスにうつるのかは定 79 かではないが、すっかりそういう気分なのだ。どっかひよこクラブ 売ってないかな? お姫様のシーツを取り除く。まじまじと見るとあの森の中を逃げ てきたせいだろう、色々と汚れていた。金だらいに水を組み︵まさ か先にまっとうな使い方をするなんて! 相変わらず予想外だ︶、 タオルを水につけては絞って、メイと二人でその子の身体を拭いて いく。もちろんこれはそう、子を慈しむようなものであって決して あれではない。俺に対してロから始まる四文字を言ってはいけない! 汚れを落としていくと、白っぽい肌色が浮かんでくる。改めて見 てみても、角と羽にしっぽを除けば人間やエルフの子とほとんど変 わらない。ちなみに耳はメイで慣れている。 ﹁ヒトと変わらないなあ﹂ ﹁ホントね。問題は目覚めてからだけど⋮⋮﹂ 大抵こういうセリフが聞こえてくれば、その対象者は目を覚ます って寸法さ! と言いたかったが起きる気配はない。部屋から離れ るわけにも行かないので、自分たちもとりあえずタオルで汚れを拭 おうと、金だらいの水を取り替え、服を脱ぐ。脱ぐ最中にメイのこ とをじっと見るのは忘れない。 一通り拭き合ったところで、メイの視線がこちらの下腹部に向か う。 ﹁そういえば⋮⋮絞らないと﹂ ﹁いやだから乳牛じゃないんだから﹂ メイの美しい裸体を見て割と元気だったマイサンがひゅるひゅる と萎んでいく。まあその、うん。 でもどうせ必要だし寝てる最中の今がチャンスと、ガラス瓶を殺 菌消毒︵金だらいに水を入れて火の魔石を入れて熱湯にしたあと、 80 そこにガラス瓶を突っ込んだ。金だらい万能説が人気急上昇︶し、 容器の整ったとこで作戦開始である。 ﹁うーん、ちょっとなら混ざっても大丈夫かな?﹂ ﹁何を?﹂ ﹁私の唾液。このままじゃ難しいでしょ?﹂ ﹁そりゃまあそうなんだが、うーん、何か違う⋮⋮﹂ 作戦開始後もいまいち乗り切れないのは、どことなく化学実験の 様相を呈しているからだったが、メイが両手を器にして、そこに唾 液を垂らす光景は、その、ぐっどでした。 溜めた唾液を肉棒にまぶし、少しずつしごき始めた。ぎこちない その行動は、幾分かの気持ちよさを感じられるがそこ止まりである。 ポイントが違うというか、もどかしさ三歩手前というか⋮⋮ ﹁なあ、自分でやってもいいか?﹂ ﹁気持ちよくないの?﹂ ﹁正直に言うなら、これだと時間がかかりそう﹂ ﹁むむっ⋮⋮﹂ いや、むむっ、じゃなくてですね、と言おうとすると、肝心の箇 所が温かく、ぬるっとした感触に包まれる。 ﹁うぉっ!?﹂ ﹁うももうも?﹂ ﹁いやわかんねえって、うっ﹂ 敏感な部分を思いっきり銜えられていた。ちろちろとカリ首から 鈴口まで舌で嬲られ、今までのは何だったのかと言いたいくらいに 膨らみが増していく。あんまりフェラは好きではなかったんだが、 81 愚息さんを頬張りながら上目遣いにこちらを見やる美少女、という 絵面の破壊力はちょっとヤバい。 顔がひくついたのを見て、メイは目元だけにやっと笑って一度中 のものを放し、玉袋を撫でながら竿部分を舐め上げていく。すうっ と舌の跡がつく度に腰の力が抜ける。何この人、こないだまで処女 だったろうに王女のたしなみとかで練習させられてたんだろうか、 と思ったがそういや俺の影響で性技技能取得済みだった。だいたい 俺のせいじゃないか! 舐めては頬張りを繰り返すことしばし。ぴちゃぴちゃと聞こえて くる音すらも触覚に変換されて射精を促してくる。既に先端からは カウパーが溢れているに違いないが、頻繁に舐め取られていてよく わからない。普段は自分が攻める方が多いせいか、攻められるとな ると途端に時間の感覚が不明瞭になる。かなり時間が経過したよう な気もするし、まだわずかしか経っていない気もする。﹁もしかし て:早漏﹂などと古のイルカさんに言われるような状態にはなりた くないが、よく考えれば我慢せずにさっさと出した方が、あの子が 起きる前に⋮⋮ ちらっとあの子が寝ていたベッドを見る。 ﹁いっ!?﹂ 超驚いた。起きてた。こっち見てた。 瞳は母サキュバスと同じく赤に染まり、寝ぼけているのだろうか うすら眼でこちらを見ていた。そのままベッドから降りて立ち上が り、ふらふらとこちらに寄ってきて、 ﹁おおぅっ!?﹂ ﹁あれ?﹂ メイの攻めポイントが竿に戻った瞬間に、先端部分を銜えられた。 82 そして掃除機よろしく思いっきり吸い込まれ、 ﹁あ、ダメだ、出るっ!﹂ あっさりと俺はトリガーを引かされた。強引に射精を促されたせ いか、ハメて出している時ほどの快感はないが、それでも射精の動 きに合わせて吸い込まれると、ちょっとヤバい。本日一発目という こともありそこそこの量が出ているが、子サキュバスは口を離さず、 こくこくと飲み込んでいく。性行為なのに、なんだか餌付けをして いる気分である。全部出し終わった後も、もう出ないと言わんばか りにきゅっと先っぽを吸い込むが、そんな簡単に連続じゃでない。 ちなみにメイはというと、途中から少し離れてその光景を眺めてい た。半分ジト目、半分子どもを見る親の目。どっちがどっちに向け られているか実にわかりやすい。 食事 もう出ないのをようやく理解したのか、マイサンを開放する子サ キュバス。サキュバスといえばさっきの話だと本能に従って をする感じだったのだが、満足してくれたのだろう。けぷっと息 を漏らして、一歩二歩と俺に近づいては抱きつき。 ﹁⋮⋮くーっ⋮⋮﹂ 完全に脱力して、眠り始めた。何今のかわいい声もしかして寝息 ですかそうですか。 ﹁これは、あれか? 目が覚めたらとりあえず食べ物の匂いがした からつられてきて食べて、おなかいっぱいになったから寝たってや つか?﹂ ﹁うーん⋮⋮まだ子どもだからなあ﹂ メイも首をひねっていると言うことは、知られている魔物サキュ 83 バスの生態には合っていないのだろうか。まあ俺からすればほとん どの生き物の生態を知らないので、何も言いようがない。 ﹁それよりも、ユキト﹂ それよりも、ですかメイさん。何だか部屋の温度が下がった気が するんですが氷の魔法でも使ってますかね? ﹁私だとそれなりに時間かかりそうだったのに、この子だとあっさ り出したのは、なんで? もしかして⋮⋮﹂ ﹁やめろ人をロリコンみたいに言うな大体それだったらメイは対象 外になるだろうが﹂ ﹁ストライクゾーンが下方向に広い可能性も﹂ ﹁微レ存もねえよ! 一応言い訳をすると、メイにしゃぶられてる 間もそこそこ出そうになってたんだが、まだ耐えられたんだ。それ ライブラ は相手の許可がないと魔法や をこの子に銜えられた瞬間あっさり、となると、何か特殊技能があ るんじゃないか?﹂ ﹁そうねえ⋮⋮基本的に 技能は見れないから、種族生態を考えるとあり得る話ではあるわね﹂ ﹁だ、だろう?﹂ しどろもどろに言い訳する俺。でも見た目六歳実年齢一歳の女の 子の口の中に出した事実は、それが餌付けだろうと何だろうと変わ りはしない。や、ヤバいヤバいよヤバイよ、このままだと四文字称 号がついてしまう! ﹁メ、メイ!﹂ ﹁ちょっと、どうしたのそんなに焦って?﹂ ﹁俺は今追われているんだ!﹂ ﹁はあっ?﹂ 84 何言ってるのこの人、みたいな感じだがそれどころではない。子 サキュバスを再度ベッドに寝かせてから、メイにキスの嵐を浴びせ、 少しばかり強引に二回ほどヤッた後︵字数の関係で省略する︶、晩 飯を部屋に持ってきてもらい、食べ終わったらすぐに子サキュバス を挟んで眠った。 アウトォ! と叫び声が聞こえた気がするが、大丈夫、気にしな ければ大丈夫、大丈夫⋮⋮大丈夫、問題ない。 <楠木幸人/ユキト・クスノキ> ︵new︶母の愛を受け継ぐもの︵そして子どもが託される。対 象を保護する為の行動時、能力・技能が1.2倍︶ ︵new︶驚異の回収率︵立てたフラグは無理矢理にでも回収す るもの! フラグの回収率が高いが、予想通りの結果になるとは限 らない︶ ︵new︶ロの字︵本人は認めていないので三文字にする。人型 の少女への攻撃時、能力が半減する︶ <メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア> ︵new︶母の愛を受け継ぐもの︵そして子どもが託される。対 象を保護する為の行動時、能力・技能が1.2倍︶ ︵new︶母性溢れる女性︵慈愛の子どもを全てへ。あらゆる子 どもを保護するための行動時、能力・技能が1.2倍︶ ︵new︶性の探求者︵特定︶︵相手のためならどんな手段も身 につけたい! 特定の相手にのみ性技・精力に補正プラス2︶ 85 第4話 初×初×初︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 86 第5話 育てて花を咲かせましょう︵※︶ 第5話 育てて花を咲かせましょう︵※︶ カーテンの隙間から差し込む光に、意識が表へと引っ張られる。 ﹁んうっ⋮⋮﹂ 伸びようとするが、身体が重くて動かせない。 まだ見てないが、左腕はわかる。この感触は間違いなくメイを載 せているからだ。目をつぶっててももう余裕でわかるもんねー じゃあ身体、というか胴体が重いのは? というか何か身体をぎ ゅっと抱きしめられているような⋮⋮ ﹁⋮⋮おおう、おおう?﹂ チラ見して一度目のセリフ、目を見開いて二度目のセリフ。 昨日保護した子サキュバスが、ぎゅっと抱きついていたのだ。ま あそりゃあ一緒に寝てたし、わからなくはない。問題は。 ﹁なんか、でかくなってないか?﹂ なんということでしょう。昨日まで人間換算六歳くらいだった子 が、倍の十二歳くらいにまで成長しているではありませんか。もち ろんここは、あの匠のBGMを流していただきたい所存である。リ フォームならぬre−formってね、ってそうじゃない。下らな 87 いボケは緑色の匠に爆破させた方がいいんじゃなかろうか。 子サキュバスの顔は、ちょうど俺の胸元あたりにある。そっから ぎゅっと抱きしめてるもんだから、こうなんていうかおなかにやわ っこいものがこちらの服越しに押しつけられていてその先端もまた きゅっとって、あれ、寝るとき着せた服がない。よく見ると、ベッ ドの端の方に脱ぎ散らかしてあった。サイズが違うからそりゃあき つかったんだろうが、寝ぼけながら脱いだんだろうか、全部。 ﹁すー⋮⋮﹂ 口元は時折もごもごさせながらも、まだ寝入っているようである。 寝息が可愛い。 メイもまだ起きてこない。その片手は子サキュバスの頭に撫でる ように添えられている。何だか一気に所帯持ちの気分だが、全くも って問題ない。問題だらけだが問題ないったらないんだい! ︱︱幸せって、こういうことを言うんだろうね。 なんてことを思っていたら、子サキュバスの目がぱちっと開かれ る。昨日の食事シーンのようにうつろな感じではなく、文字通りぱ ちっと。それからきょろきょろとあたりを見渡し、ベッドサイドに おいてあった赤い石を見て一瞬顔をしかめる。何を意味するのがわ かるらしい。手を出す暇もなかったとは言え、助けられなかったの がずきっと心にくる。しばらくしてきょろきょろが再開し、あ、目 が合った。 にぱっと笑う。何この可愛い生き物。 ﹁ぱぱ!﹂ 88 ほわっつ? ﹁ぱぱ!﹂ 喋った! いや違うぱぱって、パパ? それは肉体的に精神的に それともエンコー的に!? 最後は色々とまずいが、いやそこじゃ なくて。何だか嬉しそうにこちらをパパと呼ぶ子サキュバス。刷り 込み効果、にしちゃあだいぶん時間が経過しているはずだろうし、 一体全体こりゃいったい、と思ってたら身体を起こして、俺の上に 跨がってくる。 ﹁ぱぱ!﹂ これはあれですか、遊んでよお父さん的なとりあえずぱぱ以外は しゃべれないのかそもそも魔物ってしゃべれたっけとぐちゃぐちゃ しているうちに、ごそごそと布を動かす音が聞こえてくる。そして 何だか下半身が開放感に満ちあふれて⋮⋮ ﹁えっと、何してるんだ?﹂ ﹁ぱぱ! ご飯!﹂ あ、ご飯も言えたんだ、いやそうじゃない。魔物サキュバスであ るこの子のご飯といえば、すなわちアレである。白くてネバネバし たアレ。つうか精液だよ言わせんなはずかしい。寝起きでおなかが すいた↓パパにご飯貰う。これだけだと大変微笑ましいが如何せん 内容は微笑ましくない。ただまあ、ご飯食べないと死んじゃうだろ うしなあ。べ、別ににやけてなんかないんだからね! とか言ってるうちに、何だか竿の部分が温かい、ねちゃとしたも のに包まれて⋮⋮ 89 ﹁っておい、何してるの?﹂ ﹁ご飯﹂ ﹁いやご飯は上の口で食べるもんじゃないのか﹂ 朝の生理現象を起こしているアレを、子サキュバスが下の口の表 面で擦り上げている。ちょっとずつ、ねちゃっとした感覚が増えて いるということは、そういうことだろう。時折小さな出っ張りに触 れる感覚もあるし、十二歳換算ならそりゃあ性感帯もあっておかし くはない。見た目的には。年齢はとりあえず横に置いておく。 小さな出っ張りに触れる度に、ふっ、と声が漏れてくる。このく らいの子が吐息を漏らすというのは酷く背徳的であり、だけどもそ の素体の美しさもあって官能的ですらある。 ﹁もしかして、食事ってそっちでもOK?﹂ 首が縦に振られる。 ﹁ちなみに今までそっちで食事したことは?﹂ これには首が横。ヒト的コミュニケーションも完璧っすね。って そうじゃなくて。 さすがに十二歳サイズにいきなり突撃ドキュン! は無理がある し、処女には入念な準備をという俺のポリシーにも反する。そもそ もさすがにこの年齢と事に及んだことがない。現代日本なら無条件 で強姦罪適用なので当たり前である。 だが、まあその、食事だし、必要行為だし。理論武装はこれくら いでいいだろうか。 ﹁そのままだと絶対痛いから、ちょっと待ちな。少し上に来て﹂ 90 俺のお願いに、少し首を傾けながらも言われたとおりヘソのあた りに跨がりなおす。ぴちゃっと温かいのか冷たいのかよくわからな いが、ともかく液体が腹の上に広がる感覚がある。右手をそこに差 し伸べ、すうっとなぞる。 ﹁はうっ﹂ ぴくっと身体が震える。先ほどの素股で既にできあがっているよ うではあった。だが、さすがに中までそうだとは思えない。中指を 蜜壺へゆっくり差し入れると、熱くて、狭い。 ﹁んんぅっ!﹂ 入れるだけで動かすのは難しい位にきつい。小刻みに動かして少 しずつ受け入れ幅を作っていく。 ﹁あう、あうっ﹂ 見上げると、十二歳︵相当︶には不相応な、蕩けた牝の顔が合っ た。つーっと涎が垂れて俺の身体に池を作る。どうでもいいがメイ といい涎垂らしすぎじゃないっすかね。いずれも甘露ですが。 ふと横を見る。 ﹁⋮⋮おはよう﹂ ﹁おはよう﹂ 目が合った。挨拶した。挨拶返ってきた。オレカタコト。 やべえ! と脊髄を焦燥感が駆け上るが、意外なことにメイの顔 に怒りは浮かんでいない。なんだか慈母の笑みにすら見えるが果た してむぐっ。 91 ﹁んむうっ⋮⋮﹂ その慈母に思いっきり口付けされた。それどころかがっつり舌を 入れられた。 舌が絡み合って奏でる水音が骨伝導で伝わり、右手の中指は熱い 抱擁を受けたまんまである。だんだんと意識に霞がかかり思考回路 はショート寸前今すぐいれたいの、ってこれこの子の魅了かなんか じゃねえか? きっ、と意識して目を見開くと、意識の霞はとれる。メイ直伝の 回復魔法が使える下地も整っているので、唾液の交換をしながら状 態異常解除の魔法をメイに掛ける。 ﹁あれ、私⋮⋮﹂ ﹁多分、この子の魅了にかかってたんじゃないか﹂ ﹁嘘、私たちの精神って8オーバーよね? それを貫くって﹂ ﹁まあそれがサキュバスの特性なんだろうが⋮⋮多分本人わかって やってるわけじゃないだろうから、自動発動なんじゃないか?﹂ 中指の方は未だに勤勉に働き続けている。おかげさまで時折ぴく ぴくと痙攣しているのがわかるし、表情は相変わらず溶けきってい る。あれだ、食事で引き寄せるフェロモンみたいなもんだろうが、 一度看破すれば今後はかかることはない、だろう、多分、きっと、 そうであってくれ。 ﹁このくらいの女の子でも、こんな表情できるのね﹂ ﹁女の子は生まれたときから女の子、ってか? でもそれはメイも 同じだろ?﹂ ﹁どういう意味よ?﹂ ﹁こういう意味さ﹂ 92 先ほどのキスの間にフリーになった左手を、匠の技でメイの下腹 部に差し入れる。下着の上から秘部に触れると、少し濡れているの がわかる。 ﹁あっ﹂ ﹁蕩けた女の子を見ると連鎖的に他の女の子も蕩け出すってね﹂ ﹁⋮⋮何でそんなこと知ってるの?﹂ ﹁まあその、色々あるんだ、うん、ほら﹂ 藪を突いて蛇が出たのを戻すには、もう一度藪を突くしかない。 布越しにスリットをさすると、水気がどんどん増えてくる。 ﹁はうっ、ず、ずるよユキトはやっぱり﹂ ﹁ずるいよ俺は。可愛い子にはみんなずるいことしたいもんね﹂ むっと顔を膨らませながら顔を寄せてくる。この人こういう仕草 が可愛すぎるんだが。 もう少し可愛い顔を見たいので、啄木鳥のように触れては離れて の軽いキスを繰り返す。もちろん右手も左手も添えたまんまだが、 ちょっと体勢が苦しい。えーいみんなまとめて面倒見ちゃる! メイには﹁さあ服を脱いで﹂と脱衣を促し、その間に一度身体を 起こして子サキュバスに唇を重ねる。まだ食事だとしか思ってない とは思うが、口付けもなしに抱くのもちょっと、ねえ。子サキュバ スは驚いた様子ではあったがすぐに舌を絡めてくる。さすがサキュ バス子どもでもエロい。 その間に薬指さんを増援に送り、二本体勢で採掘作業を続ける。 わかってる限り構造はヒトと変わらない。ゆっくりと出し入れしな がら、指の腹でざらっとした場所を押し込んでいく。果たしてサキ ュバスに絶頂は存在するのか⋮⋮ 93 ﹁ん、ん、んうぅぅぅぅぅっ!!?﹂ あった。頂は確かに存在した。 きゅーっと指が締め付けられ、奥から奥から大量の愛液が溢れて くる。口を離すと、ぱくぱくと口を開いて呼吸を繰り返していた。 ﹁気持ちよかった?﹂ 目尻をとろっと下げて、こくりと首を縦に振る。 ﹁それじゃあ念願のお食事タイムと行こうじゃないか﹂ 細い腰を持ち、照準を合わせて、ゆっくり、ゆっくりと突入する。 さすがに全部を飲み込む深さはない。半分ちょっとで最奥にたどり 着いた。手を離すとずぼっといってしまいそうなので、お尻に両手 を添えて調節するしかない。ちょっと辛いが男なので泣き言は言わ ない。 一番奥にたどり着いたときに、また子サキュバスの身体が震えた。 十分ほぐしていたとはいえ、最初からこれなら、サキュバス的には 大丈夫だったのかもしれない。まあオールライトである。 ﹁メイは俺の顔の上に跨がって腰を落として、もう少し身体を倒し て、ほらこの子と抱き合えるくらいに﹂ ﹁えっと、うう、恥ずかしい⋮⋮﹂ 顔の真上にひくひくとまだ少女のそれなピンク色が見える。もち ろん色素が沈殿して少し色が濃い菊穴が呼吸をするのもわかる。 ピンク色の方からはつーっと熱いモノが溢れてくる。ご期待には 応えるのが礼儀であろう。首を上げ、淫猥なその唇に口付けする。 94 ﹁ああっ!?﹂ そしてそのまま舌で嬲ると、どんどん奥から湧いてくる。舐める とメイの味がする。匂いは感じないし、酸っぱくもない。相性の問 題なのか、いつまでも舐めていくなるそれはママの味。 もう一個の連結部分は、そろりそろりと手と腰をうまく使いなが らピストンをゆっくり繰り返す。顔が見えないが、ぷしゅっぷしゅ っと時折吹いてくるモノがあるのだからきっと大丈夫。気を抜くと 先に出してしまうまである。おそるべき、サキュバス。ああまたき ゅうと締め付けてきて、こらえるのに必死だ。 ﹁あう、あうっ﹂ ﹁あ、あっ、だめ、この子、可愛すぎる!﹂ 何だか感極まったメイの声の後、むちゅーっと音が聞こえてきた。 蕩けたこの子を見てもう辛抱たまらない、とディープなのをしてる んだろう。いいなー、見たいなー、まあしかしこれはこれで。 声を発する部分は全部ふさがれ、ぬちゃぬちゃねちゃねちゃとい ろんな水音が混ざり合う。腹の奥が熱くなり、我慢の限界はもうす ぐそこだった。最後の仕上げに、メイのクリトリスに吸い付き、ピ ストンのスピードを速める。 ﹁んっ、んむっ﹂ ﹁むぅっ、んんんっ﹂ 頭の中が白くなってきた。 一際吸い込みを強くして、 ﹁あ、あ、ああぁぁあぁあっっ!﹂ 95 顔に潮が吹きかけられ、自分の棒を一番奥へと突き上げる。 ﹁い、いぃぃぃぃっ!!?﹂ きゅーっと強い締め付けに屈し、一番深いところに銃口を突きつ けたまま俺は射精した。 ﹁あ、ああぁぁぁ⋮⋮﹂ きゅるきゅると蠢いて、竿の端から鈴口へと残らず精液を吐き出 させられる。収まりきらなかったモノが溢れ、こぽこぽと白い糸と なって流れ落ちる。 メイはお尻を俺の頭の上に落とし、ベッドボードに身体をもたれ 掛けていた。割と高い絶頂だったのか、時折ひゅっと吹き上げては 俺の髪をコーティングしていく。子サキュバスはというと、さすが に抜かないと危ないのでお尻ごと持ち上げておなかの上に下ろす。 すると、こてんとこちらに倒れてきたので、その髪を撫でる。羽や しっぽ同様黒い髪は、これはこれで撫で心地がいい。しばらく為さ れるままになっていたが、すっとこちらを見上げてくる。 ﹁ごちそうさま、パパ﹂ ﹁どういたしましまして、でいいのか?﹂ ﹁うん、おいしかった。それと、メイママもありがと﹂ ﹁えっと、うん、どういたしまして﹂ にぱっと笑う顔はまた十二歳相応のそれに戻っていた。髪を撫で ると、にゅふふと笑う。やべえ何この可愛い生き物。俺の周りに可 愛い生き物多すぎるだろ。そんなに悶えさせたいのならいいだろう、 いくらでも挑戦を受けて立つ! 96 ﹁ねえ、パパ、メイママ﹂ ﹁ん?﹂ ﹁なあに?﹂ ﹁あたしに、名前ちょうだい﹂ ﹁名前⋮⋮? っていうかなんで言葉がぺらぺらなんだ?﹂ ﹁うーん、何でだろ⋮⋮昨日までは言葉は無理だったけど、朝起き たら一言二言は大丈夫で、今はばっちり、かな。言葉自体は昨日か らパパの言葉は理解できてたよ? メイママのは今日からだけど﹂ 異世界の旅人 効果か﹂ ﹁なるほど、だからコミュニケーションぽいのがとれて⋮⋮あ、そ うか、 ﹁あー、そういうことね。言葉は伝わるけど、言語を発する機能が ないから喋ることが出来なくて、あれ、でもなんで今はばっちり話 せるのかしら﹂ ライブラオールアグリーメントフォアパーティ ﹁わかんないけど、朝起きたら大丈夫だったよ?﹂ ﹁うーん、よし、 って言ってみ﹂ ﹁閲覧許可だね、わかった﹂ 許可を貰い、この子サキュバスをライブラで見てみる。 <︵名前がまだ設定されていません︶> 基本情報 種族:魔族/サキュバス︵真祖︶ 性別:女 年齢:12︵真祖化過程で成長省略しヒト換算年齢表記︶ 身長:149.8cm 体重:41.3kg スリーサイズ:B77・W63・H79 出身:エンスージア−レンス近郊 97 職業:なし 能力 HP:221︵221︶ MP:368︵368︶ SP:293︵293︶ STR:13 VIT:5 AGI:16 INT:32 DEX:18 LUK:21 魔法 無:4 火:4 水:0 風:2 土:0 雷:1 氷:0 木: 0 光:0 闇:2 聖:0 魔:1 空:2 時:1 愛:3 技能 計算2 交渉1 話術3 教育1 学問1 縫製1 料理2 調合1 薬学1 家事3 演奏1 歌唱2 剣術2 細剣1 短剣1 格闘2 回避5 見切4 防御2 根性2 命中5 投擲1 弓術2 察知3 精神4 魅力8 ※性技4 精力3 誘惑10 魅了9 特殊技能 飛行︵空を飛ぶことが出来る。移動スピードはAGI、運動性能 はDEX依存︶ 吸精︵食事の他、他の生物の体液でも栄養を変換してまかなうこ とが出来る︶ 98 高速詠唱︵魔法詠唱を素早く行うことができる︶ 詠唱省略︵魔法の威力を落とす代わりに、詠唱の一部を省略する ことができる︶ 精神突破︵誘惑・魅了技能関連のみ、相手の精神に補正マイナス 3︶ 称号 ︵new︶対ユキト・クスノキ最終兵器︵読んで字の如く。この 称号がついた異性にユキト・クスノキはぞっこん! でもユニーク じゃないよ︶ ︵new︶遺伝子を受け継ぐ者︵対象:ユキト・クスノキ︶︵外 部要因で特定の遺伝子を強く取り込んだもの。対象者の遺伝子を取 サキュバス り込む際、対象者の技能・特殊技能を一定確率で取得する︶ ︵new︶真祖︵新たな種族の始点となる者。能力の上昇スピー ド補正大。技能取得・成長スピード補正中︶ ︵new︶ふぁざこん!︵対象:ユキト・クスノキ︶︵パパ大好 き! 対象者と同一パーティー時、能力1.2倍︶ ︵new︶マザコン︵対象:メイ・アーシュヴェルト・ユーフォ リア︶︵ママ大好き! 対象者と同一パーティー時、能力1.2 倍︶ ︵new︶エルフの信愛︵エルフからの信愛を得た者。信愛を得 ている間、対象エルフと同等の加護を得る。他の加護と相反する項 目は項目ごとに長所を優先する︶ 加護 ︵new︶サキュバスの加護︵寿命が200年ほどになる。。伸 びた分は全盛期の延長にあてがわれる。性技・精力・誘惑・魅了の 成長補正増加・成長限界突破︶ ︵new︶エルフの加護︵一時︶︵寿命が500年ほどになる。 伸びた分は全盛期の延長にあてがわれる。植物や大地とのコミュニ 99 ケーションが可能︶ ﹁おおう、おおう、おおう⋮⋮﹂ 能力や技能はまあいい。最終兵器もそんな気がしてたからまあい い。ファザコンは嬉しい。でもさ。 ﹁真祖てあーた。しかも魔物から魔族に変わってるし﹂ ﹁うーん、こんな事例初めて見たわよ。おそらく最初の始祖もこん な感じで生まれたのかしら﹂ 始祖といえば愛の女神が一枚噛んでいるはずである。そこだっ、 と部屋の隅を睨むが当然誰もいない。おかしい、ここまで来るとパ ターンとしてこっそり見てるとかありそうだったんだが。 ﹁ねーねー、パパもメイママもあたしに名前をちょーだい﹂ ﹁んん、んー﹂ 確かに名前をつけないと毎回子サキュバスというのは字数的にも タイピング的にも大変だ。だが、うーん、名付けって難しい⋮⋮ ﹁ねえ、私もつけていいの?﹂ ﹁メイママならもちろんいいよ!﹂ ﹁なら、ティアラはどう? ティアラ・クスノキ﹂ ﹁ティアラ⋮⋮うん、ありがとうメイママ!﹂ あれ、俺が名付けるフラグじゃなかったのか。でもティアラ、う ん、合っている。 ﹁よかったな、ティアラ﹂ 100 ﹁うん!﹂ にこーっと笑うティアラマジ天使。ふにゅっと柔らかい膨らみが 二つ、こちらの胸元でつぶれてる光景もマジ天使。だからちょっと 煩悩さんはお出かけしててくれ。色々聞かないといけないことがあ るんだから。後600字ちょっとで帰ってきたらいいから。 ﹁で、なんでティアラは俺とメイをパパママって呼ぶんだ? 一気 に学習してるから、実際のパパママじゃないのはわかってるんだろ ?﹂ ﹁えっと、ね。本当のパパは知らないよ。ママがあのお石様になっ たのもわかってる﹂ ティアラの視線が、命結晶に向かう。ああ、やっぱりわかるんだ。 目元に陰が浮かぶ。 ﹁でも、ママが守ってくれたから、あたしは今こうやって、生きて るんだ﹂ ﹁ティアラ⋮⋮﹂ 換算十二歳とはいえ、生まれてからは一歳なのだ。それでここま でわかってるというのがすごい。サキュバスの特性なのかはわから ないが、思考が非常に熟成している。 ﹁パパはね、あたしが初めて食べた異性の体液の人。魔物のサキュ バスは、最初に食べた誠意の体液の人をパパと思うんだ。だからパ パがパパ﹂ ﹁ん? 口でなら食べたって言ってなかったか?﹂ ﹁あれはママからもらってたから。だから異性なら初。ココで食べ るのも初だよ?﹂ 101 ﹁お、おおう﹂ 下腹部をさすってそう宣うティアラはちょっとエロい。なんだこ れ、また魅了かけてねえだろうな? ﹁メイママはね、ママ以外で初めて同性の人から食べさせて貰った から、だからメイママ﹂ ﹁なるほどね、ありがと﹂ メイもまんざらではないようである。上から手が降りてきて、そ の頬を撫でる。全員裸じゃなかったら絵的に美しいんだろうが、あ いにくと裸なのでエロい。あとその理屈で行くとご飯を貰えたらみ んなパパママじゃかなろうか。いや、きっと違うんだろうな。わざ わざ固有名詞の区別をつけたりしないはずである。 あ、おなかに垂れてきた。何とは言わないが、ナニとナニが混ざ ったナニだよ。やべ、またちょっとその、勃起しましてね。 ﹁ねえパパ﹂ ﹁ん?﹂ ﹁あたしね、おなかすいた﹂ ﹁まあ、ご飯食べてないし⋮⋮いや、何さすってるの?﹂ ﹁何って、ナニかな﹂ ティアラの身体に隠れて見えないが、絶妙なテクニックでヒュル ヒュルと伸びる伸びーる。 ﹁ティアラの会話の基本が、ユキトな気がするわ⋮⋮﹂ ﹁うーん、多分話せるようになったのは最初パパのせーしをお口で 食べたからだと思うし、始祖になったのもあたしの中で出してもら ったからだから、いろんな意味でパパの要素は受け継いでると思う 102 なあ﹂ ﹁文字通り後出し要素だな!﹂ ﹁キリッとした顔で言うセリフじゃないと思うけど﹂ いやそこはいいんだよメイ。あ、そこがいいんだよティアラ。 ﹁メイママもこっち来て一緒に食べようよー﹂ ﹁え、私は食べても意味ないと思うけど﹂ ﹁んー、何かメイママにも、あたしと同じことできそうな気がする んだよね﹂ え、ナニそれ。エルフでサキュバス? 種族の垣根がゲシュタル ト崩壊してますな。あ、でもちょっと字面がいい。 ベッドボードにぐてっとしっぱなしだったメイが右サイドから、 上に乗りっぱなしだったティアラが左サイドから、寝転がったまま 太陽の塔に顔を寄せる。そして同時に、舌を伸ばして、 ﹁ううっ!?﹂ すーっと下から上へ舐め上げられる。そしてそのままメイが亀頭 を口に含んで舐めだし、ティアラはまた玉袋をもし抱きながら根元 を啄む。 ﹁う、ううっ﹂ やばい。何がヤバいってまずこの光景ですよ奥さん! 金髪エル フがちんこを頬張って、黒髪サキュバスが愛おしそうに肉棒を撫で るこの光景。身体の動きに合計4つの山がふるふる震えて、視覚が 快感を伝えることがあるんだなあと初めてわかる。でもって、上の 方でもどかしい感じが、下の方でテクニシャンな感じが合わさって 103 一粒で二度おいしい状態。というかメイの舌も昨晩と違ってこうポ イントを突いてきて、ちょっと早漏と呼ばれても仕方ないんじゃな いですかね。 ﹁メイママ、ドクドクしてるからもうすぐだよ﹂ 仰るとおりです。って、ティアラぎゅって握るな! ﹁あ、や、出るっ!!﹂ ﹁ひゃっ!?﹂ 思わず腰が浮いてメイの口から肉棒が離れ、びゅーっと飛び出し た精液は二人の顔へと飛び出して白く塗りつぶした。 ﹁んふ、おししい⋮⋮﹂ 頬から垂れてきたそれをティアラが舌を出して舐め取る。この子 ちょっと淫乱。ん、でも俺の要素が入ってるって事は俺も淫乱って 事か? うん、否定は出来ない。 ﹁んー、ちょっとおいしいかも﹂ ﹁え、メイまで?﹂ メイはというと、同じように唇にかかってた白いヤツを舐めてる。 ティアラの言ってたことが成立している。 お互いに気に入ったのか、顔を近づけ、かかったのを舐め合って いる。だんだん口が近づいていったと思うと、 ﹁ん、むっ﹂ ﹁ぬふぅ﹂ 104 お互いの口の中にある残滓を舐め取らんと言わんばかりに、深く 口付け合いだした。美少女同士のキスというのは、百合男子として 非常にそそられるが、ちょっとこの状況だと置いてきぼりじゃない ですかねー ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な。 身を起こし、左側からティアラごと身体を巻き込んで押し倒す。 要するにメイが下、ティアラが上。やる事が何となくわかったのか、 二人とも唇は離さないままもぞもぞと位置を調整する。それを尻目 に、ベッドから降りて足下から再登場。二組の足をそっと押し広げ ると、思わず口笛を吹きたくなった。 二つの唇が、ひくひくと口を開いて重なり合っていた。 ﹁んふっ﹂ ﹁ふっ、ううっ﹂ 上に乗ったティアラがもぞもぞと動くと、おそらくクリトリスが 触れ合っているのだろう。甘い息が漏れてくる。その度にくぱっと 二つ口が開いて、つーっと透明なものが垂れて混じり合い、ベッド シーツにシミを作る。 身体を起こし、メイの足をティアラごと持ち上げて足を差し込み、 メイの中へとペニスをたたき込む。 ﹁んぅぅぅぅっ!﹂ 身体が震えてるのもお構いなしに、最初から激しいストロークで 責め立てる。既に何度か放っているのに、またすぐに射精感が襲っ てくるのでこらえていると、目の前をふるふると揺れる黒いものが。 ティアラのしっぽだ。 105 ﹁んんあああっ!?﹂ 思わず握り、その先端を口に含む。この手のしっぽは性感帯とい うお約束は外さなかったようだ。ティアラの身体が弓なりにしなり、 声が大きく漏れる。 ﹁はっ、あっ、あああっ﹂ ﹁ら、らめ、しっぽ、らめっ﹂ 二人とも余裕がもうないのか、為されるがままに快楽におぼれて いる。 ぱんぱんと肉がぶつかり合う音と、ぐちゃっぐちゃっと液体を掻 き出す音、それから幾度となく漏れる嬌声。 ﹁あっ、あっ、あああああああっ!﹂ ﹁イクッ、イクッ、イクゥゥッ!﹂ 二人同時にピンと身体がこわばり、二つの穴からふしゅっと潮が 飛び出てくる。その最中、俺はメイの中へと欲望の塊を解き放った。 相変わらずメイの膣はびくびくと締め付け、最後の一滴まで絞られ てしまう。 そのまま倒れ込みたかったが、残念ながらティアラにはまだだ。 自分でも驚くほどにペニスの硬さは失われていない。身体を後ろに ずらしてメイの身体をベッドに下ろし、弛緩したティアラのお尻を つかんでお尻だけ高く上げさせる。ティアラの顔はその動きに引き ずられて、メイのおっぱいに埋もれた状態になるなんてうらやまし い。この間しっぽは銜えたまま。先っぽから何か出してやしません かね、何か甘くておいしいんですが。 先ほど開通したばかりの膣内には、さすがに激しくは出来ない。 ゆっくりと押し込み、根元まで入れないように調整する。 106 ﹁あ、あ、パパの熱いのが入ってくるぅ﹂ パパって言われると余計その、燃える。新しい境地に達したよう だ。もしくは階段をまた一歩踏み外したというか。 動きの幅は狭い分、ポルチオへの刺激を意識して奥へのつっつき 回数を増やす。このあたりでさすがにしっぽは離していた。 ﹁あ、すごい、すごいよパパ! 来ちゃう、もう来ちゃう!﹂ ﹁ああっ、ティアラの中が喜んで締め付けてくるよっ!﹂ ぐっ、ぐっ、と子宮口に俺の形を教え込む。 ﹁あ、ああっ、またイッちゃう! ああっ!﹂ ぷしゅっとまた吹き出してくるが、お構いなしに続ける。分泌液 が多くなったせいか、だいぶん動きやすくなってきて、襞の一つ一 つが絡みついて射精を促してくる。 ﹁だ、だめ、パパ、あたしイッてて、ああっ﹂ ﹁ほら、ティアラ、受けと、れっ!﹂ ﹁あ、あ、ああああああっっ!!﹂ 最後のだめ押しで押し込んだ時に、俺は激しく射精した。同じく してきゅーっとティアラの中が締まり、びくびくと激しく痙攣した。 そして精液を出し終えたあたりで、緊張が解ける。 ﹁あ、あ⋮⋮らめ﹂ ひゅーっと、ティアラからも黄金水が漏れ出てきた。止めること 107 叶わず、しばらく放水し、そして止まる。俺たち三人の下半身部分 は、いろんな液体にまみれていた。だが、これを片付ける気力はち ょっとない。 ティアラから抜いた後は、二人を押しつぶさないようにその脇に 倒れ込む。もうダメだ、朝という設定を忘れるくらい眠い。間にテ ィアラを挟んだままメイを抱きしめ、温かい温もりに包まれて、俺 は意識を飛ばした。 <楠木幸人/ユキト・クスノキ> 称号 ︵new︶高機能精液持ち︵ある種母なるスープみたいなもので す。吸精技能所有者がこの称号持ちの精子を吸収した場合、通常時 より栄養吸収率がいい︶ ︵new︶因果律を変える者︵予測不可能。何が起きるかわから ない。フラグがフラグ通りになりにくくなる︶ ︵new︶潮に塗れた男︵三度の飯より潮吹きが好き。女性の潮 吹きを促しやすい︶ ︵new︶黄金色に染まる男︵それってただの変態じゃないか? 性交時、相手女性が小便しやすくなる︶ 加護 ︵new︶サキュバスの加護︵一時︶︵寿命が200年ほどにな る。。伸びた分は全盛期の延長にあてがわれる。性技・精力・誘惑・ 魅了の成長補正増加・成長限界突破︶ <メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア> 108 特殊技能 ︵new︶吸精︵食事の他、他の生物の体液でも栄養を変換して まかなうことが出来る︶ 加護 ︵new︶サキュバスの加護︵一時︶︵寿命が200年ほどにな る。。伸びた分は全盛期の延長にあてがわれる。性技・精力・誘惑・ 魅了の成長補正増加・成長限界突破︶ <ティアラ・クスノキ> ︵new︶お漏らしサキュバス︵サキュバス限定。恥ずかしがっ てもお漏らしはお漏らしです。性行為の最中漏らしやすい。水属性 魔法の適正が成長しやすくなる︶ 109 第5話 育てて花を咲かせましょう︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 110 第6話 逃げては悦楽に染まるこの頃︵※︶ 第6話 逃げては悦楽に染まるこの頃︵※︶ 次に目を覚ましたのは太陽が一番高いところに届くがどうか、と いう時間帯だった。朝飯とかブランチとかそんなちゃちな問題じゃ ねえぜ、昼飯は食べないと⋮⋮! だがその前に、いろんな事を文字通り片付けなければならない。 足下とかもう冷たいし、さすがにこう、オスとメスとその他諸々の においとかもむわっとしてるし、つうかこれシーツってレベルじゃ ねえだろ絶対。色々巻散らかされているモノの原因二名はというと、 まだ幸せそうに眠っていた。何この可愛い生き物たち。俺メロメロ すぎじゃね? ちょっと起こすのはかわいそうなので、先にベッド以外の片付け をする。金だらいに例によって例の如く水魔法やら風魔法やらで集 めて、あ、やべ、防音装置設置してない。文字列検索しても購入以 降のヒット件数ゼロ。 ﹁⋮⋮まあ、終わったことは仕方ないか﹂ 気を取り直して、ベッド以外は元通りとなる。もっともそのベッ ドが一番酷いんだが。 ここから先はさすがに二人に起きて貰わないと無理なので、起こ してからヤバいモノはメモした後に全部異空間にポイ。我々にはエ 食事 をしているティアラはと ンゲル係数よりもベッド係数の方が比重が高そうである。 昼飯は俺だけ食べた。朝に散々 111 もかく、メイもあまりおなかがすいてないのが不思議だったが、こ れ幸いと身支度︵情事の痕跡は相当に酷かった︶して一人、ティア ラの服並びに装備一式を買いに出かけた。寸法は散々抱きしめたか らわかるそうである。一家に一人メイさん状態。羽とかしっぽはど うするんだろうか。 一人残されたティアラはというと、裸で出歩くわけにもいかず、 一人部屋で留守番中である。俺の精液を元に急速に知識・技能の取 得を行ったため、それを整理するそうだ。なんか俺よりもティアラ の方がチートじゃないか? 昼飯の後は帰ってきたメイ、服を手に入れたティアラ︵羽としっ ぽはちゃんと外に出せるように切り込みが入っていた。背中側でも ボタンを留める必要があるので俺が留めてあげた︶と共に貸し切り 風呂に入り、一浴びせしてから一浴びの後、全員でハローワークと 生協に向かう。ティアラの登録と、野郎連中の懸賞金を貰うためだ った。腰をさすりながら目的地に向かう。 ティアラの登録は案外すんなり終わった。角とか耳とかしっぽと か思いっきり見られてはいたが、コミュニケーションばっちり=魔 族認定、ということらしい。めっちゃザルだが、今はライブラで見 ても魔族だっけか。それよりも問題は懸賞金だ。 ﹁あなたたちは彼らをどこで打ち倒しましたか?﹂ ﹁北東方向の街道からやや離れた森の中だが、それが?﹂ ﹁いえ⋮⋮﹂ 生協の受付の女性の顔色が良くない。 ﹁実は、彼らはこの一年間ほど全く目撃証言がなかったんです。そ れが問題でして﹂ 聞くところによると、この手合いの連中は、それこそ生産活動を 112 行わないため、略奪を行わずには生活できないそうである。だから 少なくとも数ヶ月に一度は目撃証言があるそうだが、一年間も空く ことはないそうである。考えられるのは、高度に組織化されていた 団体の一部になっていたか、あるいは何かしらの後ろ盾があったか、 となる。どちらにせよきな臭い話である。生協としてもやっかいな 展開なのだろう。 結局、懸賞金は満額払われ、今後何か気になることがあったら教 えて欲しいと言われて終了。うーん、実にフラグのにおいがぷんぷ んしやがるぜ。ティアラが微妙な顔をしてるあたり、できる限りス ルーしていきたい所存である。 やることを追えた昼下がり。今から一働きしましょうか、という 気分には慣れない。先立つものに関して言えば。懸賞金が思いの他 良い額だったのだ。その額手取りベースでおよそ240万リアル。 ランクD依頼の報酬が馬鹿馬鹿しく思えるほどで、冒険者生活数日 にしてランクアップ以外の目的がなくなってしまっていた。まあ、 早く上位ランクに行けば金が稼げることが証明できもしたので、明 日から本気出す! 行くところはハローワークだしな! まだハロ ーワークにいるけど! ﹁では、依頼外で街外で魔物狩りをしてこられてはいかがですか? 今は適当な依頼がありませんが、自分の腕を磨けますし、魔物の 素材は資金源の他、オーダーメイドで何かを作って貰う材料にもな りますし﹂ と、例の黒髪セミロングの女性職員が俺にアドバイスをくれる。 もちろん地の文読みなんてことはなく、上記の内容をメイとティア ラに語っていたのが聞こえていたからである。 ﹁依頼ではない状態でしたら、基本的に時間に束縛されるものでは 113 ありませんし、今からでしたら往復二時間前後であれば暗くなる前 に戻ってもこれますよ﹂ ﹁なるほど、やることないしそうしますかね﹂ ということで三人で街の外へ。北東方向にフラグが見えるので、 とりあえず南へ。ちなみに俺とメイは西の方から来ました。 街道上には基本的には魔物を見かけない。襲ってくるとすると両 サイドの草むらや森、あるいは遠くから空襲となる。 ﹁ん、何か来るな﹂ 気配察知で数匹の魔物らしき存在が森の方からくるのを感じ取る。 さすが最強モノお約束の気配察知である。むしろ通常でも必須スキ ルではなかろうか。気づけなかったら不意打ちアボーンもあり得る。 え、ティアラの時に使えば良かったって? 今メイに教えて貰いな がらやってるんだって。技能があっても使い方を知らなければ使え ないのは皆同じである。ちなみにメイが使っていなかったのは忘れ てただけらしい。このうっかりさんめ。 がさがさとわざわざご丁寧に物音を立ててやって来たのはゴブリ ン三匹。棍棒らしき棒を持っているが、それ以外に身につけている ものはない。なので、グヘヘと涎を垂らしている顔よりも、ぷらー んぷらーんと揺れ動くアレにどうしても目が行ってしまう。何か昔 そんな童謡があった気がする。 ﹁どうする?﹂ ﹁粉砕﹂ メイが速攻で矢を放つ。あ、粉砕された⋮⋮思わず股間がきゅん となる。 114 ﹁玉砕﹂ ティアラも負けじと矢を放つ。あ、また粉砕。それにしても玉砕 しちゃダメじゃね? あ、相手方ですかそうですか。あ、文字通り 玉砕ってうるさいわ。冷や汗出るわ。 残りは大喝采となるが、適切な攻撃手段が思いつかないので、適 当に石を投げると、最後に残ったゴブリンも玉砕となった。うーん、 この死に方はいやでござる。 うへえ、となりながらメイから教わった異空間魔法で異空間に三 匹をポイ。この死体を検分することになる生協の方々、大変申し訳 ございません。 ﹁ティアラもゴブリンくらいなら問題なさそうだな﹂ ﹁弓矢の狙いはいいから、後はスピードね﹂ ﹁うん! 玉砕狙いね!﹂ いやそこは違うだろ。 そんなこんなで時折出てくる有象無象を描写もなく剣なり弓なり 魔法なりで異空間に放り込んでいくことしばし。気配察知にまた何 かが引っかかるが、そいつはしばらくしても動く気配がなかった。 ﹁なあ、この辺で移動しないタイプの魔物っているか?﹂ ﹁今引っかかってるのでしょ? うーん、トレントはいるかもしれ ないけど、一体でいることはまずないし、もしかしてヒトじゃない ?﹂ 急に怪しい気配が匂ってきた。もちろんフラグ的な意味である。 ﹁どっちにせよ確認した方がいいと思うよ? 超凄腕盗賊が一人で 待ち構えてるかもしれないし﹂ 115 ﹁それだとチート気味なパパやメイママ、そしてあたしがいる時点 でどうとでもなりそうだけどなあ﹂ ﹁やめろティアラ、それは微妙に負けフラグだ﹂ 確認しないことには始まらないので、あえて大きく音を立てて近 づく。すると木にもたれ掛かってじっと目を閉じる⋮⋮ オークっぽいのがいた。 ﹁いや、普通こういうパターンだと女の子じゃないか?﹂ ﹁パパがハローワーク職員のフラグを蹴飛ばしたからじゃないかな﹂ え、そういうもんなの? まあいずれにせよ、今登場人物が増え ても、正直辛い。いろんな意味で。区別とか。名前とか。 ﹁メイ、このオークは魔物か?﹂ ﹁角がないから魔族のほうね。服もちゃんと着てるし﹂ なるほど、おおむね角の有無と服で判別すればいいんだな、ちい 覚えた。ティアラのことは当然別枠にしておく。魔物から魔族にジ ョブチェンジなんて滅多にあるまい。 オークを観察していると、怪我をしている様子ではない。単純に 寝入っているようである。森の中でなんて剛胆な。 ﹁あの、もしもし?﹂ 今まで奇跡的に何事もなかったとしても、今後もそれが続くとは 限らない。奇跡は起きないから奇跡って言うんですよと北国の人も いっていたので、とりあえず起こしてみる。 116 ﹁⋮⋮ん、んん?﹂ ﹁おはようございます。何かご気分が優れないところはありますか ?﹂ ﹁ああ、おはようございます。これはどうもご丁寧に。どうも疲れ て眠ってしまってましてハハハ﹂ このオーク、速水奨ボイスだと!? しかもとても紳士的な言葉 である。違和感しかない。 ﹁それは何というか。でもこのようなところでお休みになられると、 魔物が襲ってきますよ﹂ ﹁お気遣いありがとうございます。ですが私も腕に覚えがありまし て、この森に生息する魔物なら恐れをなして逃げてしまうようでし て﹂ ほんまかいな。だがぱっと見、もっている剣はなんだかすごそう ではある。どうすごいのかを伝えるのは難しいが、少なくともオー クの剣みたいな一般名称ではなさそうだ。 ﹁あなた方も冒険者ですかな? 失礼、名乗り遅れましたが私、ア ッシュ・オーランドと申します﹂ オークなのに名前がアッシュ。ここまで来ると現代日本文化に染 まった俺が悪いのだろう。 ﹁ユキト・クスノキです。みんな冒険者ですよ﹂ ﹁メイ、です﹂ ﹁ティアラ・クスノキです﹂ 敵役に見えない速水ボイスは味方の法則を信じ、素直に名前を伝 117 える。とは言ってもメイの場合は名前だけだが。 ﹁ハハハ、お三方ともかなり有望な顔をしてらっしゃる﹂ ﹁まだ若輩者ですよ。メイは一年ほどですが、私もティアラも数日 内で登録したばかりでして﹂ ﹁そうですかそうですか! 若い力が増えるのは良いことです。ぜ ひ精進なさって、立派な人物になってください。応援しております よ﹂ ﹁ありがとうございます。ところで、オーランドさんは何をしてい らっしゃったんですか?﹂ どうもこのオーランドさん、かなりランクの高い気配を持ってそ うだが、とすれば街近郊なんて言うところにあまり用事があるとは 思えない。あるとしたら、ただの散歩か特殊な事情か、だろう。 ﹁少し仕事をしておりましてね。あまり成果は芳しくないので、つ い疲れて眠ってしまいましたよ﹂ ﹁それは⋮⋮お疲れ様です﹂ ﹁いえ、これも冒険者としての仕事ですからね﹂ また濃厚なフラグ臭が漂ってきた。簡単に依頼内容を言うとは思 わないが、少し誤魔化された感じがある。そして何より、視線が気 になる。こりゃあ早く街に戻った方が良さそうだな。 ﹁私たちはそろそろ戻ります。お仕事、頑張ってください﹂ ﹁最後までご丁寧に。それでは、また会う機会まで﹂ 挨拶を交わした後、俺たちは街方向へと歩き出した。 彼が気配察知の範囲外に抜け、それでも念のためにマージンを取 り、エルスの街に戻ったところでようやく一息つく。どうやら妙な 118 緊張感に襲われていたのはメイとティアラも同じだった。 ﹁なんだろな、さっきの人は﹂ ﹁よくはわからないけど⋮⋮ずっとティアラを気にしていた感じね﹂ ﹁あたしもそれは思うよ。何でかな?﹂ パターンで行くと、ティアラたちを追っていたあの団体の関係者、 ということになるが、あの対応で裏側があくどい、となると面の皮 の厚さは相当になる。第一印象だよりだが、悪役キャラには思えな い。 ﹁実はティアラの実の父親、とか?﹂ 魔物の サキュバスとのエッチなんて、それこそ命を奪 ﹁それはないと思うけど。例によってあたしが言うのもどうかと思 うけど、 われてしまうようなものだから、多分あたしの本当のパパはもう生 きていないか、生きてても廃人だよ﹂ ⋮⋮何とも言えない話である。種族特性と言ってしまえばそれま でだが。 ﹁そんなに悲しい顔をしないで。パパとメイママ、それにママもお 石様で見守ってくれるから大丈夫!﹂ ﹁メイ⋮⋮﹂ ほんまええ子や! でも魔物のままだったら俺に死亡フラグが立 ってたんじゃないか? 食事の度に精液吸い取られるとか死んでし まうやもしれぬ。知性溢れる魔族のサキュバスになってくれて、本 当に、良かった。もちろん色々な意味で嬉しくて言葉に出来ない。 ﹁ティアラは本当にいい子だね﹂ 119 ﹁メイママ、ちょっと苦しいよ⋮⋮﹂ メイも感極まったのか、ティアラの身体をぎゅっと抱きしめてい る。ちょっと涙ぐましい光景だ。少なくとも俺には縁がなかった。 気を取り直してとりあえず生協で狩りの成果物を提出する。最初 のゴブリン三匹を出したとき、担当の男性職員の顔が青くなってた のが実に印象的である。俺もそうなる。買い取りを済ませてお金を もらったあと、ふと気になって同じ男性職員に声をかけてみた。 ﹁あの、アッシュ・オーランドというオークの冒険者の方はご存じ ですか?﹂ ﹁ええ、レンス帝国で主に活動されている、ランクAの方ですね。 事件解決能力や戦闘能力にも優れており、人格も素晴らしいと評判 ですよ。どうかしましたか?﹂ ﹁いえ、ちょっと街中で話を聞きまして。お手本とすべき方のよう ですね﹂ ﹁ええ、レンスから離れているここエルスの街でも評判が聞こえる くらいですからね﹂ 軽く謝辞を述べて、途中で色々買い物︵ベッド関係の品々である︶ の後ホテルに戻る。 ﹁んー、やっぱりヘンだな﹂ ﹁さっきの話?﹂ ﹁ああ、あの職員の話だけどさ、多分オーランドさんはこの街に入 ってきてない﹂ ﹁⋮⋮なるほど。入ってたらそれだけ名声のある人なら、今この街 にいますよ、みたいなことを言ってもおかしくないものね。ユキト が模範にしたい、とも言ってたわけだし﹂ 120 ﹁そういうこと。ちなみにレンスの国境からエルスまではどれくら い離れてる?﹂ ﹁そうねえ、馬車で8日ってところかしら。一個前の街からも1日 は離れてるわね﹂ ﹁じゃあ何か仕事をするにしてもエルスでハローワークなり生協な りに顔見せてからするよなあ。拠点を確保したりするだろうし。ど ういうことだろうな﹂ ﹁オーランドさんの言ってた仕事の関係かしら﹂ 仕事、ねえ。依頼じゃなくて仕事、である。細かい言い違いだけ かもしれないが、気になる。危険な状態だったらビックリマークを 点灯させろよ。むしろアラームを鳴らしてくれるまである。 ﹁いずれにせよ、街の外はあんまりでない方がいいかもな。メイは この街でやることがあるわけじゃないんだろ?﹂ ﹁ええ、ルート的に通り道だっただけよ。まあ、次は南のエリアポ リスにしようかなあとは思っているから、南の街道は通らなくちゃ だけどね﹂ ﹁ホテルの宿泊分はそのままで、後はそのとき考えるか﹂ ﹁パパ、それってノープランっていわない?﹂ ﹁そうともいう﹂ そもそもメイについて行くくらいしかルートがない。まあ他の攻 略ルートがあったとしてもメイと一緒に行くけどな! タイトル的 にも、ってタイトルって何だ? ホテルに戻り、部屋に戻り、装備を外す。そして大事なことを思 い出す。 ﹁あ、メイ。防音装置設置しないと﹂ 121 ﹁あ⋮⋮﹂ 途端にメイの顔が赤く染まる。ええ、ホテルの女性従業員がみん な潤んだ目でこっちを見てくるのはそういうことですよ。目じゃな いところも潤んでるかもしれないが、さすがに確認するのは自重す る。辛抱堪らん! といって飛び込んでくる分には美女・美少女な らどんとこいである。 ﹁あ、なんだ。パパもメイママもそういうプレイが好きだと思って た﹂ ﹁ち、違うのよティアラ、そんな趣味はないから!﹂ ﹁うーん、メイママはそうかもしれないけど、パパは⋮⋮﹂ ﹁手遅れみたいな目で見られても、俺にもその手の趣味はないわっ﹂ ﹃えっ﹄ ﹁お願いだからハモるなそんな目で見るな﹂ 何だか納得がいかないが、本当にその手の趣味はないのでさっさ とメイに設置してもらう。どういう理屈かは知らないが、囲まれた 四方と高さ2メートルくらいの空間内から外へは音が届かなくなる らしい。密談から犯罪まで何でも出来る気がするが、姿を隠すわけ ではないのでOKらしい。このあたりは実にアバウトである。 ﹁これでメイママが大声出しても大丈夫だね!﹂ ﹁やったねティアラちゃん!﹂ ﹁少しは自重して!﹂ ﹃えっ﹄ ﹁えっ、ってなんで二人ともそんな目で私を見るの?﹂ ﹁いやだって、ねえパパ﹂ ﹁そりゃあな。なんてったってエロフだもん﹂ ﹁何でこんなに似たもの同士になってるのかなぁ⋮⋮﹂ 122 ﹁あ、それとあたしはメイママの体液からも多少なり影響受けてる よ? エッチの最中に気持ちよすぎるとお漏らししちゃうあたりと かはメイママの影響だと思うけどなあ﹂ ﹁ほほう? そいつはいいことを聞いた﹂ ここまできてメイはあうあうとオットセイに変わってしまった。 顔真っ赤でそれもまたグッド。どうですか奥さん一家に一人エロフ は。メイはやらないがなっ! ﹁では早速⋮⋮といきたいところだが﹂ ﹁が?﹂ ﹁おなかすいた。後風呂入ってからがいい﹂ ﹁ご飯はいいとして、お風呂に入ってもどうせまた入ることになる んじゃない?﹂ ﹁なんだあ、やっぱりメイは期待してるんじゃないか﹂ 顔を真っ赤にしたまま、ぱふっと背中を叩かれた。軽い音のわり には骨が軋むくらいいたかったんだが、まあ俺が悪いだろう。真っ 赤な紅葉が色づいていること請け合いである。 レストランでは例によって食材はよくわからないイタリアンを堪 能した。魔族化にともないティアラも普通の食事を行えるそうで、 おいしそうに食べている。だが時折ニンニクぽいサムシングを俺の 皿に入れてくるのは嫌いなのかそれとも精をつけろという意味か。 そもそもニンニクぽいサムシングに精力増強かがあるかも定かでは ない。だがおいしいので食べておく。 貸し切り風呂では背中の紅葉を散々に笑われた。つけたのはメイ じゃないか! と少し仕返ししたくなったが、女の子を叩く趣味は ないので今は自重する。自重出来る男の面目は保てた。 ﹁じ、自重するって言ったじゃない!﹂ 123 ﹁確かに自重するとはいった。だが、 ﹁じゃあパパ、いつ自重しないの?﹂ ﹁今でしょ!﹂ 今は とも付け加えた﹂ 既に時代遅れ感のするショートコントを挟みながら、俺とティア ラはにやにやとメイを眺めていた。 ﹁ううっ⋮⋮﹂ 既に衣類ははぎ取られ済みで、血の流れを阻害しないようタオル で手首を縛り、さらにベッドボードにも結ぶことで逃れられないよ うにしてある。足は広げた状態でそれぞれベッド端のポールへと縛 り付けている。タオル一枚だと長さが全く足りないので数枚をつな いでいるため多少の遊びはあるが、足を閉じるまでには至らない。 そのため、その付け根は足下から見ればばっちり見える。 ﹁いいかいティアラ君﹂ ﹁はい、先生﹂ ぴっと手を上げて返事をするティアラ。こちらも全裸で俺も全裸。 設定的にはスーツと制服っぽいサムシングが欲しいところであるが、 残念ながらそんなものはないしどうせいろんな液体に塗れるのだか ら、最初から裸でいた方が都合が良い。 ﹁先に言っておくが俺にはSMの趣味はない。せいぜいこうやって タオルで縛るくらいだから、そこのところは勘違いをしないように﹂ ﹁先生、何故先に言い訳をしたんですか?﹂ ﹁今後SMを期待されないように、だ﹂ ﹁ちょっと何を言ってるかわかりませんね﹂ 124 俺も何を言ってるかわかっていない。 ﹁さて気を取り直して。いいかいティアラ君。女性の潮吹きという のは、実は現代日本でも正確にはわかっていないのだよ﹂ ﹁現代日本、ああパパ、違った先生の元々いた場所ですね。何でも ここより非常に発展している場所だと﹂ ﹁ええそうです。真面目に医療分野ではかなり進んでいたんですが、 それでもはっきりしたことがわかりません。これは非常にゆゆしき 自体ではありますが⋮⋮どういうふうにすれば潮を吹かせるか、こ れはある程度偉大なる先人、具体的に言えばホーク師匠のおかげで わかってます﹂ ﹁なるほど⋮⋮では先生、今回は潮を吹かせてそのメカニズムを調 べる、ということですね﹂ ﹁その通りです。理解力の高い生徒は先生好きですよ﹂ ﹁ちょ、ちょっとぉ!?﹂ ﹁でもパパ、既に何度もメイママにやってない?﹂ ﹁ばっか、こういう真面目にエロをやるシチュエーションがいいん だろうが!﹂ ﹁なるほど!﹂ 得心がいったように手を叩くティアラ。ガッテンボタンがあれば なお良かった。 ﹁えっと、もしもし、あのー﹂ ﹁先生、検体が何かを話していますが﹂ ﹁気にしてはいけませんよ。ではまず、検体の感度を高めましょう。 ティアラ君、一緒にあの膨らみを制覇しましょう﹂ ﹁わかりました!﹂ ﹁いや、だから、あうっ!?﹂ 125 せーので二人同時にサクランボを口に含み、舌でもてあそぶ。く るくるとなぞる度に、にゅっと中心部がせり上がり、固さを増して いく。 ﹁へんへーはひへんへふ﹂ ﹁ほうひはひた﹂ ﹁ひくひはほほほひくはひはひは﹂ ﹁ひへんほへふひへふ﹂ ﹁あ、お、おっぱい食べたまま、しゃべらああっ!﹂ 縁、先端、縁、先端と交互に舐めては吸い上げる。 ﹁ああっ、ま、まだおっぱいでないよぉ!﹂ そいつは知ってますぜ。というかメイがおっぱい出るようになっ たら大変なことになるんじゃなかろうか。常時ミルクを出しそうで ある。その時は俺が全部飲めばそれでいいか。 舐めてしゃぶって転がして。おっぱいの柔かかさをもむことで堪 能すること約十分。メイの乳首の先端は両方ともふやけ、身体全体 に赤みが走っている。 ﹁いいかいティアラ君、今回は検体がエロフだったから十分でこの 状態まで進んだが、検体事にその時間は異なるんだ﹂ ﹁なるほど、勉強になります﹂ そう返事をするティアラも、顔を赤らめ文字を摺り合わせていた。 ママのおっぱいをしゃぶって感じちゃうなんて、なんて悪い子なの! ﹁さあ、ここまで来たらいよいよ下半身です。ほら見てください。 足を押し広げたらひくひくと蠢いて、中から透明な液体が出てきて 126 いますよ﹂ ﹁なるほど⋮⋮ピンク色のお豆さんも、ぷっくり膨れていますね。 触れて欲しいのでしょうか?﹂ ﹁ええそうです。こんな風に、触れるのを待っていたんですよ﹂ ﹁ひゃうっ!?﹂ 指先に滴るものを絡め、唇を下から上へと撫でる。 ﹁どうですか、ティアラ君。足の間に顔を寄せて、じっくり観察し てください﹂ ﹁わかりました⋮⋮うわぁ、すごい、ひくひくしてる。さっきより もメイママのおつゆが増えてるよ﹂ ﹁い、言わなくていいからぁ﹂ ﹁こんなふうに下から上へ、下から上へ、です。でもまだ中に指を 入れたり、クリトリスに触れてはいけませんよ﹂ ﹁先生なんでですか?﹂ ﹁それはもちろん⋮⋮メイに懇願させるためだよ﹂ ﹁あうっ、ううっ﹂ 単調な動きは今ひとつもどかしく感じるのだろう。足を閉じてよ り深く快感を得ようとするが、当然足は閉じられず、もじもじとお 尻を動かすだけとなる。ただそれでも指へ秘部を押しつけるような 形にはなる。 ﹁うわぁ、メイママのお尻、エッチに動いてる﹂ ﹁だろう? でも自分でお願いしてくるまでは触れてあげない﹂ ﹁う、ううっ、ユキトのいじわる⋮⋮﹂ ﹁ああ俺は意地悪だからな。可愛い女の子がエッチにお願いしてく るのを待ってるんだよ﹂ ﹁あ、またメイママの中からおつゆが出てきた。メイママもしかし 127 て、パパにいじわるなこと言われて感じてるんじゃない?﹂ ﹁ちが、ううっ﹂ 父娘そろってのじらしプレイである。やっぱりティアラは俺の因 子を受け継いでると確信する瞬間だ。 押しつけようとしてきたら指を少し離し、離れようとしたらそっ と触れるように、ひたすら外陰部のみに焦点を合わせることしばし。 ﹁も、も、﹂ ﹁も?﹂ あまり言いたくはないんだろうが、相当もどかしいのだろう。メ イの目が潤み、口をわななかせて言葉を紡ぐ。 ﹁もっと触って! もどかしすぎるよぉ!﹂ ﹁うーん、隠語成分が足りないが、まあいいか。よしティアラ、ゴ ー!﹂ ﹁合点承知の助﹂ おまえその言葉どこで覚えた、とツッコむ間もなく、足元で待機 していたティアラの顔が近づき、膨れた部分へと吸い付いた。 ﹁ああっ! あああっ!﹂ 待ち望んでいた快楽に、メイは一際大きな声を上げる。 ﹁ティアラ、そのまま一回﹂ わかったといわんばかりに、きゅうっと吸い込む音が聞こえ、 128 ﹁イクッ!!﹂ メイの身体が激しく震えた。 ﹁うわあ、メイママのが溢れて、顔にかかったよ﹂ 見てみると、ティアラの顔はてかてかとしている。口元についた それを、ティアラが舌を伸ばして舐め取る。 ﹁うん、おいしぃ⋮⋮﹂ 俺の娘がこんなにエロいわけがない! と思ったがサキュバスプ ラス俺の因子である。エロくないわけがない。 ﹁先生、これからどうするんですか?﹂ ﹁それはもちろん⋮⋮潮吹き本番ですよ﹂ ﹁はあっ、はあっ、ちょ、ちょっと待って、まだ私ひうっ﹂ 右手の中指を膣口へと差し込むと、すぐにやわやわと襞が絡みつ いてくる。左手はクリトリスに触れて、そのまま動かさないでくち なみにティアラは再度足元待機。浴びて食事にしたいのだろうか。 ﹁あっ、あっ﹂ ﹁いいですかティアラ君。ポイントは押し込む位置です。だいたい 入り口から数センチのところで、膀胱側にざらざらとした場所、つ まりはGスポットがありますから、指を抜き差ししながら引くとき にその部分を指の腹でひっかくように押しながら引きます﹂ ﹁ふむふむ。先生、すごくねちゃねちゃと音が聞こえます﹂ ﹁身体が喜んでいる証拠です。左手をクリトリスに添えておくこと で振動が伝わり、中と外、同時に刺激を受けるわけです﹂ 129 ﹁なるほど⋮⋮あぁ、いいなあメイママ。本当に気持ちよさそう﹂ ﹁あっ、ふっ、ああっ﹂ ﹁ティアラにもちゃんとしてあげるから。さあ、だいぶん準備が整 ってきたので指の動きを変えます。こうやって、指を差し込んだま まざらざらしたところを円を描くように擦ります﹂ いい加減解説役もじれったくなってきたのでピッチを上げる。く るくると回しながらさすると、内側へと膨らんでくるのがわかる。 もちろん左手は添えるだけ。ミッチーの言うとおりである。 ﹁さあティアラ君、そろそろですよ﹂ ﹁はい先生! いつでもオッケーです!﹂ 何がオッケーなのかは触れず、再度指の動きをピストンに切り替 える。それも最初よりも激しく。 ﹁あ、あ、あ﹂ ﹁最後は、こうやって、激しくピストンします。すると、ほら﹂ ﹁あ、ダメ、出ちゃう、出ちゃう!﹂ ﹁こうやって、ねっ!﹂ ﹁いぃぃぃっ!!﹂ 最後一際強く押しながら指を引き抜くと同時に、ぴゅっぴゅっと まるで男が射精するように、メイの中から液体がほとばしり、待ち 構えていたティアラに降りかかる。 ﹁わあっ、メイママのでべとべとだよぅ﹂ ﹁自分でそこで待っててよく言うわ﹂ ﹁んふっ、でもこれでメイママのをいっぱい食べられる﹂ 130 そういってティアラは再度自分に降りかかったモノを舐めだした。 そのようすをずっと見ていたい気持ちもあるにはあるが、いい加減 に自分のこともどうにかしたい。 ﹁はーっ、はーっ⋮⋮﹂ 高みに登らされ、メイは肩で息をする状態。だがとりあえずもう 一仕事は少なくともしていただきたい。 ﹁メイがぴゅーっと吹く姿、とっても可愛かったよ﹂ ﹁は、はうっ⋮⋮﹂ 頭を撫で、耳元で囁く。どうでもいいがこの人今回ほとんどあえ ぎ声だけの出演になってはいないだろうか。 ﹁ユキトぉ、キスして、キスぅ﹂ 少しばかり強引な攻めに気持ちが追いつかなかったのだろうか。 口付けを求めてくるので、しっかり合わせる。 ﹁んっ、むうっ﹂ ﹁あむっ、んんっ﹂ たっぷり唾液を交換したところで、メイの四肢の拘束を全て取り 外す。さすがにこのままでは色々動きづらいし動かしづらい。 膝を持ち上げて足を開き、その中心へ剛直を挿入する。既に何度 も身体を重ねている為か、俺のペニスに合わせてカリ首から竿まで 実にフィットする。気を抜くとすぐに持って行かれてしまいそうな くらいに気持ちいい。 131 ﹁あっ、ああっ、ユキトのおちんちんが、ゴリって、ああっ﹂ ﹁ああ、気持ちいいよメイのまんこが、吸い付いてくる﹂ ぱんぱんと肉がぶつかる音が響く度に、メイの顔は悦楽にゆがむ。 膣口に触れる度にきゅーっと強く締まり、出がけの駄賃にGスポッ トをする度にぴゅっとメイの愛液が溢れる。 ﹁ん、んふっ、んーっ﹂ ティアラはというと、ベッドボードに寄りかかり、だらしなく足 を広げてその中心へ自らの指を入れて快楽にふけっていた。こちら もまた蕩けきった牝の顔をしており、ベッドシーツにはシミが広が っている。口には自らのしっぽを頬張り、漏れ出る吐息はくぐもっ ている。まるでこちらに見せつけるように、指でティアラの中から 液体を掻き出している。なんていじましい。だが残念ながら俺も人 間なので肉棒の装備は一本だけである。触手が生えたらどうとでも なるんだろうが、絵面的にはいかがなモノか。そして触手をはやし たらもはや人間ではあるまい。 ﹁はっ、ふあっ、ああっ!﹂ 何度か小刻みにメイの中が収縮しているあたり、小さな絶頂を繰 り返しているのだろう。さすがエロフ、まじエロい。その度にきゅ うっと締め付けられるもんだから、マイサンはぱんぱんにふくれあ がり、睾丸からも発射準備オッケーサイン。むしろ早くしないと暴 発します! なにぃ!? ﹁メイッ、出すぞ、中に出すぞ!﹂ ﹁あ、ああっ、イクッ、イッちゃう! あああっっっ!!﹂ 132 肉棒の中を恐ろしい勢いで駆け上った精液が、びゅーっと吐き出 される。メイもまた、一際高い声を上げて絶頂を迎え、全身を激し く振るわせていた。どくどくとあふれ出るのを全て膣内に流し込ん だ後に引き抜くと、ぽこっと溢れたモノが流れ出てくる。メイの意 識は既に飛んでいて動かないので、テーブルに置いてあった例の蓋 を手にして、これ以上溢れないよう身体に栓をする。うーん、どう みてもタンポンです、本当にありがとうございました。あれっ、こ のネタはもしかして天丼? ﹁あぅ、パパ、あたしもぉ﹂ 呼ばれて飛び出て首を向けると、ティアラは完全に出来上がって いた。相変わらず自分で自分の乳首をいじめながら、くちゅくちゅ とオンナノコをかき回している。一回軽くイッてるのか、シーツは かなり遠くまでシミが出来ていた。にへらと笑ってオナニーにふけ る十二歳換算の女の子。オラわくわくしてきたぞ! あれこれも天 丼? ティアラににじり寄り、まずはその口を塞ぐ。 ﹁むっ、むううっ、んむっ﹂ 途端にこちらの唾液をかき集めるように舌が侵入してくる。餌付 けではあるんだが、こんなにエッチな餌付けがあってよいのだろう か? いいに決まってる。 口はすっかり主導権を握られてしまったので、トロトロに濡れた 下腹部を攻めることにする。熱いそれをまぶし、一気に挿入。うー ん、だいぶんほぐされてますねえ。 ﹁んうっ! ううっ!﹂ 133 パパとママの性交を見てオナニーしてた悪い子にはお仕置きであ る。最初から中指を軽く折り曲げ、激しく中をかき混ぜる。 ﹁ああっ、ああああっ、ふーっ﹂ ﹁ほら、ティアラも絡みついてくる。こんなに激しく動かしてるの に、もっともっとって吸い付いてくるよ﹂ ﹁ああっ、ダメ、パパっ、イクッ﹂ ﹁ティアラが可愛くよがるところ、パパに見せてごらん?﹂ ﹁あ、パパっ、パパっ、いくぅぅぅっ!﹂ メイにしたのと同じように、最後は強く刺激しながら指を引き抜 くと、やっぱり同じようにぴゅーっと熱い液体が噴き出してきた。 ぴくっぴくっと身体が震える度にぴゅっぴゅっと間欠泉の如く吹き 出してくる。今気づいたけどイク時しっぽもぴんと伸びるのはどう いう構造なんだろか。 それにしても。 ﹁ああ、あぅぅ⋮⋮﹂ 昨日同様、放心状態になったティアラの股間からちょろちょろと 黄色い水も溢れてきた。そろそろお漏らし注意と表示しなきゃいけ ない気がするぞ。 ﹁ティアラ、お漏らししちゃったんだ﹂ ﹁あう、ううっ⋮⋮﹂ さすがのサキュバスも、お漏らしには抵抗があるのだろう。顔が 真っ赤っかである。メイといいティアラといいちょっと可愛すぎや しませんかね。 ティアラを抱きかかえ、くるりと回ってから身体を起こす。お尻 134 に冷たいのが当たるが気にしない気にしない。戦闘体制継続中の部 分が熱い部分に当たるのはすっごく気になる、というか気にする。 いわゆる対面座位というやつだ。 ﹁パパのが、熱いのが当たってる﹂ そりゃ当ててんだよ。というか入れるんだよ。 ﹁ほらティアラ。自分で入れてごらん﹂ ﹁えと、んんっ﹂ 俺に言われたとおり、自らの指でくぱっと秘所を開き、腰を沈め て肉棒を飲み込んでいく。 ﹁んっ、ふうっ、あっつい﹂ ﹁ティアラの中も熱くて溶けちゃいそうだ。ほら、自分で動いてみ な﹂ ティアラの手が俺の肩を掴み、ゆっくりと腰が上下に振られてい く。根元まで入りきることなく最奥に到達するので、ぶつかる音は 聞こえず、ただ、ねちゃっ、くちゃっ、ちゅぷっと淫靡な音が響き 渡る。その度にペニスが擦り上げられ、また射精感が襲ってくる。 ﹁あっ、パパのが、おく、奥にあたってぇ、るっ﹂ だんだんとティアラの動きが速くなる。いざというときに万一が あってはいけないので、可愛いぷりっとしたお尻に手を添えておく。 万一防止の役目なのだが、それまではちょっとくらいもみもみした っていいだろう? 135 ﹁ああっ、お尻も、ああっ﹂ ﹁お尻をもまれて、自分から腰を振って、ティアラはホント、エッ チだな!﹂ ﹁はうっ! あ、あたしは、エッチな子ですっ! ううっ!﹂ ﹁よく言えました。なら、ご褒美、だっ﹂ 手で強引にティアラの動きを止め、代わりにこちらからその狭い 膣内へとピストンする。 ﹁はあっ、ふっ、ひいっ、ああっ﹂ ﹁ああ、出るぞ、出るぞ、出すからな、ううっ!﹂ ﹁あぁぁああああっ!﹂ ぐりぐりとねじ込みながら押し抜き、一番深いところで俺は射精 した。 相変わらずすごい量の精子が、ぴゅるるっと勢いよく飛び出し、 弓なりに反ったティアラの膣口を打ち付けていく。 ﹁ああっ、パパの熱いせーし、まだぴゅって出てくるよぉ⋮⋮﹂ ホントに我ながらすごい量である。恐るべき精力技能。出し切っ た後にペニスを引き抜くと、やはりどろぉっと白い粘度の高い液体 が溢れてきた。 ﹁ふふっ、パパのせーし、ごちそうさま﹂ ﹁⋮⋮すっごく蕩けた顔で言われると、ヤバいなこれ﹂ ﹁⋮⋮ユキト、次は私の番よ?﹂ ﹁おおうっ!?﹂ ふーっと一息ついたと思ったら、横からメイの手が伸びてきて、 136 テカりまくった肉棒をしごいてくる。射精して敏感な状態なまま擦 られて、また固さを取り戻すマイサン。 ﹁あはっ、もう固くなってきたわ﹂ ﹁⋮⋮エロフがいる、ここにエロフがいる﹂ ﹁サキュバスもいるよ!﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ 結局あの後仲良く一発ずつ中に出して、ようやく俺は眠りにつく ことが出来た。明日は、明日は本気出して依頼を受けよう⋮⋮ 137 第6話 逃げては悦楽に染まるこの頃︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 138 第7話 暗闇に潜む花︵※︶ 第7話 暗闇に潜む花︵※︶ 今日から本気出す、というわけで朝から気合いは十分である。昨 晩ちゃんと宣言したからにはやらねばならぬ、何事も。 ﹁パパ、ココこも本気だね﹂ ﹁朝っぱらからド下ネタはやめなさい﹂ ﹁でもほらぁ、きゅってにぎるとぴくぴくってするよ?﹂ ﹁そりゃ当たり前だろうが。というかティアラ、そろそろ教育的指 導が必要なんじゃないか?﹂ ﹁コレを使って?﹂ ﹁もうこのサキュバス朝からエロすぎるんですけど。父親の顔が見 てみたい﹂ ﹁鏡いる?﹂ ﹁ノーセンキュー﹂ ﹁もう仕方ないなあ。じゃあ使わないんだったらコレぽいしないと﹂ ﹁それを捨てるなんてとんでもない!﹂ 実にすがすがしい朝の会話である。じとっと冷たい目でメイが見 ている気がするがここは華麗にスルーしておく。というかメイさん や、タイトル的にはあなたが絡んでこないとタイトル詐欺になるん ですが。 ややもするとすぐに人の息子さんから大量の息子さんを放出させ んとする攻略兵器に取り込まれるので、さっさと二人を連れて貸し 139 切り風呂へ。いつもの通りメイの中をちゅーっと洗って︵ティアラ の中は余分な分は吸収されるらしい。余分じゃない分はどうなるん だ?︶、綺麗さっぱりしてレストランで朝ご飯。クロワッサンとサ ニーサイドアップとサラダとコーヒーという実に優雅な朝食を食べ て、いざ鎌倉違ったいざハローワーク。 ﹁おはようございます。本日は依頼を受けられますか?﹂ 受付は例の黒髪セミロングの女の子だった。相変わらず名前がわ からないがよしとしよう。あれ、でも何か目元にくまが浮かんでい るような。その歳で不眠症かね。 ﹁えっと、三人で受けられる討伐系で、しかも同時にこなせそうな のはないかな。後出来れば魔物を育てる羽目になりそうなヤツはパ スで﹂ ﹁あの、最後のがよくわかりませんが、それでしたら⋮⋮﹂ 適当に依頼を見繕ってもらう。ランクはC∼E。まあやや怪しい Cと限りなく嘘くさいDと限りなく嘘くさいFの三人組にしてみれ ば、ド楽勝の部類になるだろう。え、敗北して魔物にメイとティア ラが蹂躙されるフラグ? NTR有りって書いてないから大丈夫だ って。 街を北東方向から出て、ぐるっと反時計回りに森の中を突っ切っ ていく。そして怪しい気配を察知次第デストロイ。さくさくと異空 間に詰めていく。相変わらず戦闘描写のない展開である。能力? 何それ食べられるの? ペニスチジミテナガオオザ だね。これで依頼対象は全部かな?﹂ ﹁ほいっと。えっと今のがランクEの ル 140 その名前もうちょっとどうにかならなかったんだろうか。よりに よって名付けでフィーチャーされるのがそれって。確かにちっちゃ かったが。 ﹁そうね、これで終わりよ。三人だとあっという間に終わるわね。 一人でやってたらこの倍くらいは時間がかかってたかも﹂ ﹁しかもほとんどが二桁を軽く超すくらい狩ってだしな。気配察知 と遠距離から魔法一発というのが楽すぎる﹂ ﹁サキュバスよりも魔法がうまいパパってホントチートだと思うよ﹂ ﹁でも敵がいると伝えた次の瞬間に矢で貫いてるメイも大概じゃな いか?﹂ ﹁実力に対して私たちのランクが低すぎるのよね。こればっかりは 依頼達成数の問題があるから致し方ないけど﹂ ﹁またうまいことランクの高い賞金首でもいればいいんだが﹂ そんなことを喋りながら歩みを続けていると、細い道に出てきた。 大きな街道はエルスを起点に北東・西・南に向かうもののみだが、 周辺集落などに向かう道は街道から分岐して存在している。今いる 道もそういった小さな街道の一つで、道路にはくっきりと轍が刻ま れている。都市国家連邦内は各街や集落間の交流が非常に活発なの で、こういった細い道でもそれなりに交通量があるとはメイの弁で ある。便ではない。 せっかくだし、とこの道をエルス方向に向かう。このまま向かう と西方面への街道につながるそうだ。 細い街道だと、森がすぐ近くまで迫っているため、大きな街道に 比べれば魔物に襲われる回数が多い。俺たちにとってはタダの金稼 ぎの理由にしかならず、相変わらずのサーチ&デストロイで異空間 の肥やしに変わっていくのだが。 そうこうしていると、気配察知にいくつか怪しいものを発見。森 141 の中で十数カ所の気配があり、じっと息を潜めている。そして街道 前方には森の方へとめり込む形で馬車が止まっていた。その中にも 気配が二つ。馬車自体に損傷は見受けられないが、肝心の動力源が いない。 ﹁なあ、あれって⋮⋮﹂ ﹁多分盗賊団ね。止まってる馬車が撒き餌で、気を取られている瞬 間に後からぷすり、よ﹂ ﹁まあ、バレバレじゃなきゃそれなりに有効な手段なんだろうけど なあ﹂ ﹁パパとあたしの察知網じゃあなかなか逃れられないもんね﹂ ﹁ハードラックに踊っちまったんだな⋮⋮﹂ ﹁ユキトの言うことは時折わからないけど、今回のは絶対使い方が 違うと思う﹂ 俺も言っててそう思う。 いずれにせよ、進行方向に馬車が止まっているのは変わらず、街 近辺までのワープも出来なくはないが、このままにしておくと次来 た旅人が困ったことになるので、さくっと討伐することに。 ﹁どうする? 先に周りから?﹂ ﹁そうね、今なら気づかれていないし、三人で分かれて周りをしと めましょ。一応、盗賊っぽいかは確認してちょうだい。これだけ人 数いたら賞金首の一人や二人はいると思うけど、念のためね﹂ ﹁オーライ﹂ ﹁では散開﹂ ﹁あ、ちょっとそのセリフ言ってみたかった!﹂ そんなこんなで周りから。物音を立てると増援を呼ばれる恐れが あるため、短距離転移のチェンジスペースで背後を取る↓首を飛ば 142 す、の繰り返しで人数を減らしていく。一番外側から内側へと進ん でいるため、馬車に注目しているこいつらには全く気づかれない。 ヌルゲーである。 ほとんど同じタイミングで、馬車からは視線が届かない場所に三 人集合。 ﹁合い言葉をいえ﹂ ﹁そんなの決めてないよね﹂ ﹁第一姿を見せてたら合い言葉の意味がないんじゃないかなあ﹂ ﹁メイの正体は?﹂ ﹁お漏らしエロフ﹂ ﹁ティアラ⋮⋮!﹂ ﹁パパっ!﹂ ﹁え、今のが合い言葉なの? っていうか怒りたくなる前に三文芝 居過ぎて呆れるわよ⋮⋮﹂ メイさんや、お漏らしエロフは否定しないと定着すると思うんだ が。 それはさておき。馬車の中には二人の気配。一番楽なのは全員盗 賊の愉快な仲間達という場合だが、どうだろうか。 ﹁中身の割合どう思うよ﹂ ﹁白二人って事はなさそうね。半々じゃないかしら﹂ ﹁じゃあまあそういう方向でとりま行ってみるか﹂ 後方から馬車に近づいていく。わざと足音を立てているのだが、 中の動きはあまりない。仕方ないので縁まで近づいて、中の人に声 をかける。 ﹁どうしましたー? 大丈夫ですかー?﹂ 143 馬がいない時点で大丈夫ではないのだが、様式美というヤツであ る。 ﹁あ、旅の方ですか? すいません、休憩中に馬が逃げてしまいま して﹂ にこやかに出てきたのはそんなに身なりがいいとは言えない三十 歳前後の女性。それからいかにも冒険者の成り立てっぽい格好をし た十五歳くらいの女の子。ぱっと見どちらも人間。話しかけてきた 方はさておき、女の子の方はというとぷるぷると震えて口をわなな かせている。唇の動きを追うと、ずっと﹁逃げて﹂と呟いている。 うーん。こっちは本当に囚われの身のようである。さくっと短距 離転移で助けたいところだが、足元に毛布が掛かっているところを 見ると恐らくどこかに縄か何かで固定されていそうだ。 さあどうするべか。 ﹁そうなんですか、それは災難でしたね。少し時間がかかりますが、 街から馬を連れてきましょうか?﹂ ﹁お願いできますか? あ、行かれる前に皆さんご一緒に是非お茶 でも﹂ 動くとしたらこのタイミングだろう。俺に続いてメイ、ティアラ が馬車に乗り込んだところでナイフが飛んでくる。だがこれは予め 設置しておいた異空間へとボッシュート。脳内であのBGMが流れ る。ナイフの場合スーパーナイフになるんだろうか、ちょっと強そ うだ。 ﹁ちっ、気づいてやがったか! お前ら動くなよ、動いたらこの子 の顔に傷がつくぜ﹂ 144 最初に話しかけてきた女がすぐに本性をむき出してきた。女の子 の顔にナイフを当て、女の子はおびえきって目を浮かべている。 ﹁動くなよって、その子たぶん商品なんだろ? 商品傷つけて価値 下げるってどうよ﹂ ﹁へん、別にかまやしないさ。こいつよりあんたら二人の方が価値 があるしな。なんてったってエルフにサキュバス⋮⋮ん? 角にし っぽ? まあいいか、それでツラもいいとなりゃあいい値段になる さ。貴族連中で性奴隷として欲しがる連中なんざ掃いて捨てるほど いるってもんよ﹂ はいはいテンプレテンプレ。どこでも腐った貴族がいるのはお約 束である。わかりやすくて実にいい。わかりやすくて実にいいが⋮ ⋮この旅番組に必要な要素なのか、それ。 ﹁さあ、おとなしくして貰おうじゃないか。こいつでなっ!﹂ 女が馬車の壁を叩くと、入り口付近から液体が霧状になって俺た ちに降り掛かった。同時にサイレンのような音が外に響く。後は周 りへの合図の音として問題は。 ﹁ん? なんだコレ⋮⋮﹂ ﹁そいつはサキュバスの体液を濃縮した上にいくつかの草を混ぜ合 わせた睡眠薬さ。なーに、すぐにぐっすり眠れるさ。もっとも起き た後には⋮⋮あんたはチンコを捕まれたような痛みに近い快楽に襲 われて、女連中はすぐにあえいでべちゃべちゃに濡らしたマンコを チンコでかき回されたくなるっていう後遺症があるがね﹂ ﹁ちょ、おま。えらく生々しい以前に、そんなもんこんな空間で使 ったらお前らだって⋮⋮﹂ 145 ﹁もちろん対策してあるさ。予防薬を飲んでるさ。もっともこの子 には飲ませてないがな!﹂ しまった。色々と軽く踏み込みすぎたか。多分毒関係は耐性考え ると俺たち三人には聞かないが、この子は思いっきりアウトだろう。 、これでこれ以上その子は薬の影響を受け すでに女の子は寝息を立て始めていた。治癒魔法が効けばいいんだ フェザーウインド が。 ﹁ ないけど、最初に吸った分はちょっと⋮⋮﹂ ﹁わかった、メイ。あとは治癒に期待しよう﹂ ﹁な、詠唱省略だと!? そして何で薬が効かない!?﹂ 実にわかりやすい反応を返してくれる女盗賊である。 ﹁耐性うんぬんもあるけど、そもそもサキュバスであるあたしにサ キュバスの効力が効くわけないし、パパもメイママもサキュバスの 加護を得てるから同じようなものなんだよね。純粋な魔族のサキュ バスなら効き目が多少あったかもしれないけど﹂ ﹁ちっ、お前魔族じゃなくて魔物なのか!?﹂ ﹁失礼な、魔物から魔族に進化したんですー﹂ ﹁そんなことあってたまるか! だ、第一薬が効かなくても周りの 仲間がすぐにやってくるからお前らなんて一瞬だ!﹂ あ、向こうの負けフラグが立った。やっぱり気づいてなかったの か。 ﹁周り? 何のことかしら。ああ、まだ気づいていないのね。お仲 間は既に全員討伐済みよ﹂ ﹁なっ、そんな馬鹿な、隠れるのも一流の奴らなのに、そんなこと 146 が﹂ おおうおおう、盛大に狼狽えている。まあそりゃあ必殺パターン が使えないばかりかお仲間全員あの世行きを告げられたらそうなる か。 だ。引き渡した後に命が続くとは思えないがな﹂ ﹁さあそろそろ観念してお縄についたらどうだ? まあこういう 商売 ﹁く、くそっ、あいつらから貰った薬が効かないなんて⋮⋮﹂ ﹁ん、あいつら? 何だ他のお仲間か?﹂ ﹁しまった、いやどうせ言わされるんだろうな。この薬を﹂ 不自然に途切れる女の言葉。 ﹁なっ?﹂ 気づいたときには、女は白目を剥き、床にへたり込んでいた。口 からは泡を吹き、筋肉が弛緩しているのかいろんなものが床へと垂 れ流されている。情事の最中ならともかく、まっとうな状態では悪 臭を直に感じてしまうが、致し方なく近寄り、脈を取る。 今 起こった事を話すぜ! が使えそうなシー ﹁⋮⋮死んでるな。どういうこった?﹂ あ⋮ありのまま ンである。少なくとも物理攻撃の様子はないし、三人の気配察知を かいくぐって何かしらの遠距離攻撃、というのも考えにくい。とな ればお約束パターンとしてよくあるのは。 ﹁この右腕の腕輪が相当怪しいんだがどうよ?﹂ ﹁これ⋮⋮契約の腕輪よ。予め契約内容を決めておき、それに反し 147 た場合は装備者の命を削り取るの﹂ 実に物騒且つ都合のいいものがあったもんである。 ﹁んじゃああれか、俺たちにおそらく後ろ側を教えそうになって発 動したってところか﹂ ﹁多分ね。大規模な犯罪集団や、後ろ盾のある団体なんかがたまに 使うわね。ランク上位の魔物素材が必要だからコストがかなり高い けどね。そして⋮⋮﹂ ﹁その素材の中には、あたしたちサキュバスの角も含まれてるよ、 パパ﹂ ﹁オーケイオーケイ、言いたいことは大体わかった﹂ 魔物の サキュバスを養殖して、 これだけ単語が出てくれば嫌でもわかる。 ﹁どこぞの誰かさんが、大規模に わりいこと考えてるってことだろ﹂ ﹁あたしも多分その被害者だろうね。ママがどうにか隙を見て逃げ 出してきたんだと思うよ﹂ ﹁この契約の腕輪以外にも、サキュバス素材は色々悪用できるもの があるわ。さっきの薬もそうだけど、催淫系の薬の媒体にはたいて い使われるのよ﹂ ﹁脳内をどす黒いピンクに染めたバカか、はたまた悪意に染まった バカか。いずれにせよいい話にはならないなあ﹂ おかしい、エルフといちゃいちゃする旅なだけだったはずなのに、 どっかのラノベ主人公よろしく陰謀に巻き込まれているぞ。やっぱ りタイトル詐欺じゃねえか! ﹁とりあえずは、街に戻って生協に報告、か。でもその前に⋮⋮﹂ 148 囚われの女の子はまだ眠りの中である。死んだ女の言うとおりな ら、趣味の悪い副作用が彼女を蝕む。街中で発症させて乙女の清純 を奪い去るわけにも行くまい。 ﹁例の副作用、治癒は効きそうか?﹂ 捕獲用 として考えれば、いつまでも続いたら商品にならな ﹁うーん、さっきの薬の成分からすると、一過性のものじゃないか な。 いし、理性を奪うのが最大の目的だと思うよ。もしかしたら解除専 用の薬が必要かもだけど﹂ ﹁それと、下手に治癒魔法掛けて後遺症が残る可能性もあるわね﹂ ﹁マジか。そいつは悪いことをしたなぁ⋮⋮﹂ ﹁だから、起こした後パパがさくっと指でイかせて上げればいいと 思うよ﹂ え、そういう展開ですかティアラさんや。確かに珍しく半分まで そういうシーンがないと思ってはいたが。 ﹁でも合意もなしはなあ。まだ十五歳くらいだろ? 副作用が治ま るのを待った方がいいだろ、絶対トラウマになるって﹂ ﹁本当に治まるかはわからないのよ? サキュバス系統の薬なら、 ちゃんと絶頂を何度か迎えさせられれば大抵は治まるはずだし、そ の、処女、かどうかはわからないけど、純潔を奪わなければ治療と 思ってくれるわよ﹂ ﹁それ本当かよ⋮⋮﹂ ﹁後ね、パパ。ずーっと中途半端にイったままひたすらオナニーし 続けることになったら、多分副作用が治まる前に精神が壊れちゃう よ。それだったら他の人にやって貰った方が早いし、安全﹂ ﹁うーん⋮⋮まあ、そこまで言うなら﹂ 149 犯罪行為に荷担している感が半端ないが、そこまで言うなら腹を くくろうじゃないか。よく見たらこの子ちょっとかわいい。胸はな んというか少し慎ましやかだが、顎もほっそりして、肩先に揃えら れた茶色い髪が印象的である。でも十五歳くらい、十五歳くらい、 十五歳くらい⋮⋮ ﹁あたしとエッチできるパパなら大丈夫!﹂ ﹁あれは一応食事って建前があるだろうが!﹂ 馬車の中は死んだ女の排泄物で相当にクサいので、足の拘束を解 いて女の子を外に抱きかかえて出る。ちなみに既に馬車の中のめぼ しいものは没収済みである。実に手が早い。 さすがに誰が来るかもわからない街道筋だとかわいそうすぎるの で、適当に森をかき分けて進むと幸いなことに小さな池があった。 どこかにわき水があるらしく、1メーターくらいの底まではっきり 見えるくらい水が澄んでいる。流れ出る小川もあったので、水の循 環はなされているのだろう。 その池の畔で、木にもたれるように座り、あぐらをかいた足の上 に女の子を下ろし、背中を自分の身体へも垂れかけさせる。毛布く らい厚手の布があれば、まとめて掛けてしまえば情事が外に見えな くなるが、あいにくあるのはシーツだけ。残念、今回シーツの出番 なし! さあ、観念して起こしましょう。ちなみにメイとティアラは微妙 に顔をしかめながら周囲の警戒に回っている。このやり方提案した のあんたらだから。それと、さすがに事の最中で襲われたら俺だっ てどうしようもないっての。 ﹁もしもし、もしもし﹂ 肩を揺すりながら起こすと、女の子は徐々に覚醒する。 150 ﹁ん、ここは⋮⋮﹂ ﹁こんな格好をさせてて申し訳ないが、とりあえず助け出しはした。 ただ⋮⋮その、キミはサキュバス系の薬品を取り込んでしまってて﹂ ﹁さきゅ、ばす⋮⋮っ!﹂ 後ろから見てても首筋が一瞬で赤く染まるのがわかる。なるほど、 サキュバス印の薬の効力は相当有名らしい。 ﹁解毒剤のようなものは見つからなくてな。それで、申し訳ないん だが、その⋮⋮厳しくなったら、お手伝いを、だね﹂ ﹁あぅ、あ、あい⋮⋮﹂ ﹁安心、できるかはわからないけど、俺はその、挿入したりするつ もりは全くないから。あの薬は俺たちには効かなかったらしくて、 ちゃんと理性は保ててる。ちゃんと副作用が治まったらそこで止め るから﹂ ﹁あ、はい⋮⋮その、お願いします⋮⋮﹂ 事前の言い訳タイム終了。にしてもお願いしますって、ちょっと、 その、ねえ。やべっ、さすがにこのタイミングで勃起させるわけに はいかない。なんてったって、直接お尻が当たっているから、大き くなったら絶対バレる。 ﹁⋮⋮っ﹂ 少しすると、また首が赤くなり、耳の先まで赤くなってきた。そ して太股をもじもじと摺り合わせている。どうやら副作用がやって 来たらしい。 ﹁ふぅ、ふうっ⋮⋮﹂ 151 呼吸も少しずつ荒くなっている。何も触れてないのにこの状態。 サキュバス印、恐るべし。まあこのあたりはティアラの様子を見て いれば何となく想像はつくが。 だがこうやって我慢してると、きっとその分効果が続くんだろう なあ⋮⋮背中を押さないと。 ﹁ここでは誰も見てないし、誰にも見られないように俺と愉快な仲 間たちが警戒してるから、その、自分でいじって大丈夫だよ﹂ そのセリフで観念したのか、彼女は立ち上がりもじもじとズボン を下着ごと脱いだ。下着を脱ぐ際、透明な糸というよりも細いロー プみたいなものが、ひゅーっと下着と股間を結び、自重に耐えきれ ずぽとりぽとりと下着に落ち、シミを広げていく。俺の目の前で立 ち上がるもんだから目の前にお尻が来て、正直そのまましゃぶりつ きたくなったが、じっと我慢の子である。 ﹁ほら、地べたに座るといたいから、俺の足の上に座って、背中は もたれ掛かって来ていいから﹂ ぽんぽんと足を叩くと、先ほどと同じように座り直す。だがもぞ もぞと動くだけで続きがない。 ﹁我慢したら身体に悪いよ。ほら、指を添えて﹂ ﹁ひゃぅっ!﹂ 仕方なく手を取り、熱く濡れているであろう股間に宛がうと、び くっと大きく身体がはねる。それがスタートの号砲になったのだろ う、彼女は自ら指を動かし始めた。 152 ﹁うっ、ううっ、男の人に、見られてるのにぃ⋮⋮﹂ 薬の作用もあってヒートアップしてきたのだろうか、すぐに手の 動きは速くなる。 ﹁手が止まらないよぉ!﹂ 上下に撫でる動きから、指を入れ前後に動かす動きへ。くちゅく ちゅと卑猥な水音が聞こえ、俺のズボンもかなり濡れてきた。 ﹁あ、あっ、身体が、熱いぃ!﹂ 上半身の力は抜け、身体が俺の胸に預けられている。上から覗き 込む形になってしまうが、見えるものはしかたない。口は半開きで 目の焦点は既にうつろ。指が素早く動く様子は下の毛がほとんど生 えていないせいで実によく見える。引き抜く度に中の肉が一緒に出 てきては押し込まれる。呼応するようにぴゅっ、と液体がこぼれて いく。この世界の女性はみんな吹きやすい体質なんだろうか、 ﹁あっ、イクッ、イクッ、んっっっっ!﹂ 大きな嬌声の後、身体が弓なりに反り、ぶしゅっと多くの液体が あふれ出した。ピクピクと痙攣したのが治まると、また彼女は指を ピストンし始める。 ﹁あ、ダメ、イッたのに、イッのに、指が、指が止まらないよぉ!﹂ そして動きは先ほど同様すぐに早さを増す。空いた左手は服の上 から慎ましやかな膨らみの左側に当てられ、乳首らしき場所をきゅ っきゅっと摘まんでいる。 153 ﹁ああっ、足りない、指じゃ足りないのぉっ! 奥が、奥がジンジ ンするのにぃ!﹂﹂ 指の数がいつの間にか二本になって、ピストンスピードはなお早 いというのに、彼女は二度目の頂上にたどり着けないらしい。 ﹁あぅっ、もっとぉ、もっと欲しいのぉっ﹂ ものすっごく股間がむずむずする。そりゃ女の子が俺の上であえ いでいる上にお代わりを要求すれば、まっとうな男なら夢は大きく 一発勝負! となっても致し方ないのではなかろうか。だが、さす がにチンコ出すのは、なあ。 代替案として、俺は自分の指をピストンの邪魔にならないよう上 からクリトリスに当てる。 ﹁ほら、クリトリスはいじってあげるから、もっと気持ちよくなっ てごらん﹂ ﹁あっ、あああっ!﹂ 相変わらず溶けたままの顔の中で、赤い唇がにへらとだらしなく 下がり、喘ぐ。右手も回して、小さな膨らみの右側を揉み始める。 うーん、この、青い果実のような、さわやかな酸味というか固さと 柔らかさのバランスというか。揉み足りないけど、揉んでいたい。 まるでハイチュウの青リンゴ味のようだ。 二本指でクリトリスを挟んでは緩め、挟んでは緩めを繰り返す。 ﹁あっ、ひっ、あっ﹂ さっきからずっとくちゅくちゅ指が蠢いているが、二度目にはや 154 はり届かないらしい。喘いだままで快楽の海に浸かってはいるのだ ろうが、絶対的なところには達しないらしい。そりゃあこんな状態 が続いたら精神がすり切れてもおかしくない。 勢いづけるために、真っ赤な耳たぶを甘く噛み、同時に乳首、ク リトリスをつまみ上げる。 ﹁あ、また、イクっ、イクっっっっ!﹂ ぴんと張り詰め、二度目の絶頂。あたりに潮が吹き散らされる。 だが、やはりまだ後遺症は治らないらしい。 ﹁熱いの、熱いのが欲しいよぉ⋮⋮﹂ くるりと向きを変えてこちら向きへ。そして、さすがにごまかせ なくなったズボン越しの怒張に、濡れたスリットを摺り合わせはじ める。 ﹁お、おい、それはさすがにまずいだろ﹂ 肩を掴んで止めようとするが、彼女の動きは止まらない。濡れた せいでよりくっきりとシルエットが浮かぶそれへ素股を繰り返す。 ﹁これ、これがいい、これがいいよぉ﹂ 亀頭部分を持ち上げて角度をつけ、より深くすりつけていく。布 地やカリ首の段差がクリトリスを刺激する度に、ピクピクと身体を 震わせ、それでもなお快楽を得ようと動きを止めない。 ﹁奥にぃ、これを奥にっ﹂ ﹁だーもう、こうなりゃヤケだ!﹂ 155 もしかして:暴発 とイルカが囁きだしたところで俺も理性の箍 を緩めてしまう。ズボンを下ろし、パキパキに固くなったそれをポ ロンと出す。 ﹁これ、これがほしかったのっ﹂ 途端に彼女は肉棒を手に添え、腰を浮かし、熱い中心点にくっつ け、一息に腰を下ろす。 ﹁あ、あ、ああっ!﹂ 途中ミチミチと広がる感触がしたが、彼女はお構いなしに深いと ころまで腰を落とした。 ﹁くそっ、やっぱり処女じゃねえか!﹂ ﹁あ、熱い、奥まで、奥まで来たぁっ!﹂ 薬のせいで破瓜の痛みを感じていないのだろう。ヤリなれた女の ように、彼女はこちらの肩に手を置き、激しく腰を振る。無理矢理 のピストンになっているせいか、中はだいぶん狭く、熱く強くチン コを締め付けてくる。奥までも容赦なくつくもんだから、亀頭がぐ いぐいと子宮口付近に押し込まれる。 ﹁ぐっ、これは、きつっ﹂ 我慢が辛い。ティアラよりも搾り取られている感が強い。 ﹁あっ、あっ、あっ、あっ﹂ 156 彼女は貪欲に快楽を得ようと、ひたすら腰を振るだけだ。ぎりぎ りまで我慢してやろうとこらえているせいか、いつも以上にチンコ が膨らんで少し痛い。 ﹁奥、にぃ、ぎゅっ、ってぇ、あっ、ああっ﹂ 三度目の絶頂が近づいているのか、彼女の身体が震え始める。す ると身体が支えられなくなったのか、身体をこちらに預けて背中に 手を回ししがみついてきた。 ﹁ば、ばかっ、これだと抜けないっ﹂ ﹁奥に、奥にぃ、一番奥にぃっ、ああぁぁあっっ!﹂ ﹁くっ⋮⋮!﹂ 腰がすとんと落ち、一番深いところを突き、彼女の身体はまた大 きくしなり、そして俺は射精した。 ﹁ああ、あつぃ、びゅ、びゅって出てるぅ﹂ びゅっと出る度に震えるのは、絶頂の余韻だろうか。ひとしきり 吐き出した後、ようやく副作用が治まったのか、彼女は意識を失っ た。身体を持ち上げてペニスを抜くと、こぽこぽと白い液体の他に 若干のピンク色の液体も混じって流れ出す。 これは、もう何というか⋮⋮ ﹁治療、ってレベルじゃねーな、もはや﹂ どうするんだよ、これ。 157 警戒中だった二人を呼び寄せ、彼女の膣内洗浄を施して服を着せ、 背負ってエルスの街に向かう。 門番の衛兵に事情説明の後、ハローワーク&生協の建物へ。中に 入った途端に、 ﹁レイラ!﹂ あのハローワークの受付嬢が大声を上げて駆け寄ってきた。 ﹁あの、レイラは、妹は大丈夫ですか!?﹂ すごい剣幕である。というかこの子の妹だったのね。ああ、だか ら目元にくまがあったのか。 は 出来たよ。盗賊団も全員持ってきてる﹂ ﹁⋮⋮盗賊団とおぼしき連中に連れ去られてた。たまたま出くわし て保護すること ﹁ただその、彼らが使ってきたサキュバス由来の薬を浴びてしまっ て⋮⋮﹂ サキュバス由来、その一言で事情を察したのだろう。妹に首った ﹂ 副作用を沈めた。その過程 けだった視線がこちらに再度向けられる。 俺が できた ﹁盗賊団は手出しをしてない。 で何もされてないことは確認 ﹁そう、ですか⋮⋮﹂ それっきり彼女は何も言わなくなってしまった。念のため救護係 の人に妹さんを預け、他に何もされてないか調べてもらう。俺たち はというと、連中の雁首を出しに生協ブースへ。かくかくしかじか 158 と状況説明。ティアラの保護状況とあわせて、怪しい動きがあるこ とを伝える。 ﹁こいつらが誘拐犯です。あと、サキュバス由来の薬がこれです﹂ 確認して貰ったところ、やはりお尋ね者集団のようで、いい金額 の懸賞金が手に入った。サキュバス由来の薬については、手がかり が発見できないか中身を分析するそうである。 これで一通りやることは終わったのだが、お姉ちゃんの方は最終 会話で立っていた場所から一歩も動いていない。心がずんと重くな る。 ﹁あの、その、すまん、上手くやれなかったばっかりに﹂ 振り返ってみると、やろうと思えば先手必勝であの女の首を刎ね ることが出来たのだ。それが出来なかったからこその結果で有り、 責任を俺が追わずに妹さんが負うのは間違っている。間違っている が、何も出来やしない。だからこうして姉に謝るしかないのだ。 ﹁⋮⋮いえ、妹を見つけていただいてありがとうございます。どこ かに売られたり、盗賊団の慰み者にされるくらいなら、あなたに抱 かれただけですんだほうがよほど良かったはずです﹂ ﹁だけど、俺は⋮⋮﹂ なおも言葉を続けようとしたが、受付嬢はそれを手で制した。 ﹁妹も覚悟はしていたはずです。冒険者になれば、一歩間違えれば 命を失うだけではすまない状態になることを。それほど難易度の高 くない依頼を一つ受けただけだったのに昨晩戻ってこなかったので、 ずっと探してたんですが⋮⋮売られたりせず、私たち家族のところ 159 に生きて戻ってきてくれたんです。私には感謝の気持ちはあれど、 あなたを非難することはできません。ただ、もしあなたが罪の意識 に襲われて謝りたいというのであれば、妹に言ってあげてください。 多分同じ事を妹も言うと思いますが﹂ ﹁⋮⋮わかった﹂ そうして俺たちは建物の外に出た。 異世界に来てまだ一週間が経つか経たないか。改めて俺はここが 異世界で有り、日本とは違うことを痛感した。 ホテルに戻って食事と風呂を済ませた後、メイとティアラが俺を 慰めるように、優しく身体を重ねてくれた。せめてこの二人だけで も絶対に守り切らないと。 何が、あっても。 160 第8話 四つどもえカルテット前編︵※︶ 第8話 四つどもえカルテット前編︵※︶ 新しい朝が来た。希望の朝である。どの変に希望があるかという と、両腕に押しつけられた柔らかさにある。メイのはふにょんとし た感じでティアラのはふにゃっとした感じである。にょとにゃの違 いはデジキャラットばりに違う。 どんなに重たい昨日があったとしても、今日は間違いなくやって 来て、食欲はあるし性欲はもてあます。ええ、今日も元気にそびえ 立ってます。おまえちっとは昨日のことを反省しろよ、いや俺か。 ﹁ユキト、そこまで昨日のことを引きずる必要はないって﹂ 一人ショートコントをやっていたらいつの間にかメイが起きてい た。心なしか腕を抱きしめる力が強まっており、ふにょんとがふに ゅっとに進化している。この違いは以下略。いずれにせよ心も体も 温めてくれるものに違いはない。ふにゅっ。 ﹁⋮⋮真面目な顔して人のおっぱいを腕で押すのはどうかと思うけ ど﹂ ﹁この柔らかさがいけないんや﹂ あ、頬を膨らませた。相変わらず仕草が可愛すぎるわこの人。ご 機嫌取りをかねて軽く口付けすると、反対側の娘も起きたのか、ご そごそと動き始める。 161 ﹁うにゅ、ごはん﹂ ﹁可愛いこといいながらパパのちんちん握るのはやめなさい﹂ ﹁ごはん、ごはん⋮⋮﹂ 色々と出すもの出して︵一回ずつでした︶、風呂に入って色々洗 ってご飯を食べて。まず最初に向かったのは恒例のハローワーク& 生協。まずはあの姉に会いたい。あの人は今。 ﹁すみません、彼女は本日お休みをいただいておりまして﹂ 残念ながら受付にいないので職員っぽい人に聞いてみるとこんな 返答である。幸先悪い感じであるがくじけない。あと、何だか全体 的に視線が厳しい気がする。非難されても致し方ない身ではある。 ﹁では彼女の家はどちらに?﹂ ﹁すみません、個人情報保護の関係でお伝えすることが出来ません﹂ 異世界にもあるんかい個人情報保護。まあ、この手の職員ってス トーカー被害に遭いやすそうだしね。顔出しの仕事の辛いところで ある。 早速にっちもさっちもどっちもこっちも行かなくなってブルドッ グ状態、中途半端な心理状態で依頼を受けると失敗しそうなので、 無謀だとは思うが街で探してみることにする。こんなことにメイと ティアラは何も言わずについてきてくれる。よく出来た嫁と娘であ る⋮⋮ん、まだメイは嫁ではなかった。俺自重しろ。 エルスの街は大体三キロ四方前後の正方形型だ。その中におよそ 162 三万二千人が生活している。現代日本でいけば千葉市と同じくらい の人口密度。多いかどうかぱっとわかりにくい上にモデルな妹も国 際教養学科のクールビューティもいないが、人口密度が多いと言う ことはそれだけ集合住宅が多く存在し、通りがかりじゃあなかなか 見つけられない。大通りから一本入った路地の脇には、イタリアや スペインの街のように三階建て前後の石造りの共同住宅が並んでい て、この中から一件を探すのは非常に難しい。いっそのことばった り出くわしたりしたら楽でいいんだが。 適当に入った路地で、おやおやどうしましたぁ? とぶらり途中 下車よろしく呟いていると不意にすぐ左手の家のドアが開く。 ﹁あ﹂ ﹃あ﹄ 目と目が逢う瞬間、好きだという前に言わなきゃいけないことが ある。 ﹁あの、妹さんに合わせてください。あと、あなたのお名前なんで すか﹂ 奇跡的というか運命的というかお約束展開というか、そんなこん なで割とあっさり見つかったハローワークの黒髪セミロング受付嬢 ことアリサ・ハーチェル嬢に案内されて、俺たちは家の中に入る。 ﹁まさか、家の外で待ち構えているとは思いもしませんでした。ど うやって調べたんですか?﹂ ﹁いや、たまたまです﹂ ﹁ハローワークからだったらちゃんと抗議しないと⋮⋮えっ﹂ ﹁いや、だからたまたまだって﹂ 163 パパのフラグビルダーっぷりがすごいよねとかそういう声が聞こ えてくるが華麗にスルー。うん、多少は意識してフラグ立てしたさ。 すっごいチートだわこの称号。死亡フラグもすぐに立ちそうなのが 困りどころだが。 ﹁たまたま、ですか⋮⋮もしかしたら愛の女神様の思し召しかもし れませんね﹂ ﹁はぁ⋮⋮﹂ 唐突に出てきた愛の女神というフレーズについ生返事を返してし まう。もしかしてまたこれ愛の女神とやらのせいじゃないのか? そこかっ、と部屋の角を睨んでみるが、やはり何の物陰もない。こ いつはくせえぜ、というくらいにいる気配が濃厚だというのに。 ﹁それで、妹に会ってどうするんですか?﹂ ﹁一言、一言でいいから謝りたいんだ﹂ ﹁⋮⋮それであなたの気が済むのでしたら。妹はもう起きています が、昨日のこともありますので、念のためにベッドに横になってい ます﹂ ああ、ちょっとこのお姉さんの顔が赤いのは、妹さんの看病疲れ か。だとすれば大変申し訳ない。 家の中は日本で言うところの築25年2DKアパートと間取り的 には変わらない。玄関入ってすぐダイニング、奥に二間と横に風呂 場、トイレがある。アリサ嬢はすたすたと歩いて奥の部屋の片方に つながるドアをノック。中の人と小声でやりとりをした後、そのド アが開けられる。 部屋の中は、カーテンが開けられた窓から差し込む光でそれなり に明るかった。大きなベッドが一つと枕らしきものが二つ。その一 つは現在使用中で凹んだ跡がついている。この姉妹の寝室なのだろ 164 う。とすると隣は両親の部屋か。顔は⋮⋮出さない方がいいな、ウ ン。べ、べつに怖くなんかないもんねー ﹁こんにちは。体調はどうかな﹂ ﹁あ、あの、はい、大丈夫、です﹂ 体調自体はもう戻っているようで、ベッドから半身を起こし、こ ちらにあたふたと答えるレイラ嬢。顔は真っ赤だが、さすがに横に 姉がいる状況でいじるわけにも行かない。理由も理由だし。 ﹁そ、その、今日はどういったご用事で?﹂ ﹁それは、その⋮⋮すまなかった。申し訳ない﹂ ﹁へっ?﹂ 無傷で 返してあげられれば良かったんだが、不手際で傷を負 手を両サイドに添え、背筋は伸ばしたまま頭を下げる。 ﹁ う羽目になってしまって、すまなかった﹂ ﹁そ、そんな、頭下げないでください! 本当だったら売られて二 度とここに戻れなかったに違いないのに、こうして戻ってこれたん です! 私こそ皆様にお礼をしなければならないのに、そんな!﹂ ﹁いや、でも⋮⋮﹂ ⋮⋮これはある種の自慰行為だ。アリサ嬢のいうとおり、この世 界の常識であればレイラ嬢は九死に一生を得たのだから、誤りこそ すれど謝られる必要はないのだろう。だが、俺が納得できない。そ の為のオナニーにつきあって貰ってるに過ぎないのだ。それで快楽 じゃない、救いみたいなものが欲しいだけなのは、自分自身がわか っている。 165 ﹁私は冒険者になるときに覚悟をしていました。いつ何時、命を失 うかはわからないって。もちろん失うものは命だけではなく、女の 純潔も含めての覚悟です。散々に嬲られて、得体の知れない男たち に蹂躙されるくらいなら、私はこの程度で⋮⋮いえ、あなたに奪っ て貰えて、よかった。だから、謝らないでください。頭を上げてく ださい﹂ 頭を上げると、少し顔を赤らめながらもこちらを見やる、強い意 志を感じさせる瞳とぶつかる。しばらく見つめ合う時間が続くが、 ふいに目をそらされる。え、なんなのさ。 ﹁それに⋮⋮﹂ ﹁それ?﹂ ﹁冒険者仲間で今話題の人物に抱いてもらえた、となれば残念がる どころか自慢に思えますよ﹂ ⋮⋮ほわっつ? メイの方を振り向くと首が横方向に振られ、テ ィアラに向くと﹁そもそも昨日登録したばかりの人が知るわけがな い﹂といわれたがそりゃそうだ。何、俺ちょっとした有名人? ﹁⋮⋮一度外に出れば大量にランクオーバーの魔物を狩ってきて、 はたまた盗賊団をいくつか壊滅させる、なんていう新人パーティー が話題に上らないわけがないでしょう?﹂ アリサ嬢のフォローを頭の中で咀嚼すると、ああ要するに有力な 新人が現れたって言うテンプレイベントか! ついでに知らぬ間に 有名人、というのも達成してなかなか感慨深いものがある。 ﹁それに⋮⋮﹂ ﹁それに?﹂ 166 まだ続きがあるらしいが、言いよどむアリサ嬢。心なしかレイラ 嬢同様顔が赤い。 ﹁毎日パーティー内で何回も性交してるのに、けろっとしている絶 倫、とお泊まりのホテルを中心に⋮⋮﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ ﹁その、防音装置でもカバーしきれないほどの声が昼夜問わず聞こ えてくる、とか﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ 絶対あのホテルの女性従業員たちが噂話の原因だよね、これ。途 中まで防音装置を使ってなかったのが第一要因ではあるが。 後ろを見るとメイの顔は真っ赤。そりゃそうだ。もう少し早く防 音装置を思い出しておけば良かったね。ティアラはけろっとしてい るがお前は自重しろ。 ﹁なので、昼も夜もすごい無尽蔵の体力・精力を持つパーティーだ と評判ですよ﹂ ﹁絶望した! そんな微妙な評判に絶望した!﹂ ﹁そんな男に抱かれて、妹の体力が空っぽになってないわけがない と思い、寝かせています﹂ ﹁昨日のこともあってってそういう意味かよ!﹂ ﹁もう、お姉ちゃんは心配性過ぎるよ。私は大丈夫だって言ってる のに。それに、その⋮⋮﹂ 何だ? こちらをちらちらと見て。 ﹁かなり気を遣ってもらっていたし、自分からは手を出してこなか ったし、その⋮⋮薬のせいもあるとは思うけど、初めてだったのに 167 気持ち、良かったし⋮⋮﹂ ⋮⋮Oh。姉を前にしてなかなか大胆なこと言いますねレイラさ んや。っていうか普通こういうパターンて記憶がないのがお約束だ ろうに。ぎゅっと抱きついて奥までこう、ってそんなことまで詳細 に描写しなくてもよろしいのではないですかね。 ﹁ユキトは意地悪だけど、女の子を相当丁寧に扱うものね。すごく 大事にされてるってのはわかるかも﹂ メイも顔を赤くしながら真面目な顔して感想を述べるのは止めて いただけますかね。相当恥ずかしいんですが。 ﹁パパのちんちんでポッとする⋮⋮ニコポ、ナデポ、チンポ﹂ お前はそろそろ色んなところから怒られた方がいいのと、淑女と してのたしなみを持った方がいい。うんうんと納得して頷く意味が わからない。本当に父親の顔が見てみたい、って鏡を指すな。そし てその三文字シリーズは都市伝説だから。誰かフリーのツッコミの 人いませんか!? そういやティアラは高レベル誘惑・魅了技能持 ちだったからあり得るのか? やろうとは思わんが。後ツッコミっ てそういう意味じゃねえし他のヤツに突っ込ませねえから。 ﹁そ、そうなんですか﹂ 場の空気に当てられたのか、アリサ嬢すら上気させてこちらをチ ラ見してくる。何だよもう誘ってるのか。受付時と全然違うじゃな いですか。何だか全体的に非常に妙な雰囲気である。約一名歩く放 送禁止用語辞典は置いておいて、何というか、部屋が暑いというか 顔が熱いというか下腹部がアツいというか。 168 ﹁そうだ、お姉ちゃんもその、ユキト、さん?﹂ 何かを思いついたように顔を上げ、にこやかに話し始めるレイラ 嬢。そういや名前を名乗っていなかった。今更である。 ﹁ユキト。ユキト・クスノキだ﹂ ﹁メイよ﹂ ﹁ティアラです。ティアラ・クスノキ﹂ ﹁あ、ありがとうございますレイラ・ハーチェルです。それで、お 姉ちゃんもユキトさんに抱いて貰ったら?﹂ ぶっ、な、何いきなり言い出しますかねこの人は。まだサキュバ い スの薬の効果が抜けきってないんじゃないか!? メディーック! ﹁ちょ、ちょっとレイラ、いきなり何を⋮⋮﹂ なんて現れないと思うよ?﹂ ﹁ほら、お姉ちゃん仕事が恋人状態だから、いつまで経っても い人 ﹁そんな、でも、いきなり、その﹂ ﹁それに⋮⋮ほらぁ、昨晩私が目を覚ました後、すっごく興味津々 って感じでイロイロ話を聞いてたじゃない﹂ ﹁それは、その、あう﹂ やべ、俯くアリサ嬢が可愛い。 ﹁そのときお姉ちゃん想像してたもんね。﹃あの人がそんな風にし てくれるんだぁ﹄って﹂ ﹁わーっ! わーっ! わーっ!﹂ そして妹の発言を両手を振って消そうとする仕草もまたグッドで 169 ある。にしてもこの妹さんちょっと猪突猛進過ぎやしませんかね。 あ、だから捕まるのか⋮⋮ いい加減この展開は疲れてきた上にsnegが予想されるのでカ ットイン。 ﹁まあまあそのくらいにしておきなさいって。アリサさんも、特段 の事情がない限りはあまりぱっと身体を許しちゃダメだよ。特に俺 みたいな根無し草とかには、な?﹂ ﹁一目惚れですぐに身体を許した私はいったい﹂ ﹁食事のために身体を許したあたしはいったい﹂ キリッと真面目な話をしてる時に余計な茶々を入れるんじゃあり ません! ﹁薬で許した私はセーフですかね?﹂ ﹁特段の事情過ぎるだろうが、つうか奪った側としてはツッコみに くい!﹂ ﹁突っ込んだのに?﹂ ﹁突っ込んだからこそだ!﹂ やだこの子までエロフ・サキュバス側? 味方はどこにいますか ね。酒場とか? 今のやりとり、特に最後のレイラ嬢とのやりとりが聞いたのか、 アリサ嬢の顔の赤みは消え、冷静さを取り戻していた。これがチャ ンスとばかりにそそくさと挨拶をして退散、家からも出て足早にハ ローワークまで向かう。 ﹁ねえ、ユキト。あれでよかったの?﹂ ﹁あのままだと確実に食うか食われるかの展開だったじゃないか。 俺はそこまで節操なしじゃないっての﹂ 170 ﹁パパの好みじゃない、ってことはなさそうだったよね。ハローワ ークでもちらちら見てたし﹂ ﹁それはそれ、これはこれ﹂ 道中、無駄に消費した精神ポイントっぽいサムシング︵ライブラ で表示されない隠しパラメータがきっとあるはず︶を回復せんと、 適当に屋台で買った得体の知れない肉を焼いたヤツをかじりながら の話である。 ﹁妹の方は緊急避難として、姉の方は素面なんだからダメだろ。そ れに俺はメイの旅について行く立場だし⋮⋮将来を考えると、なあ﹂ ﹁まだ私が国に戻るのは先だから、そんなに心配しなくていいと思 うわよ?﹂ ﹁そうはいってもさあ。だいたいこの街にいる予定もあと少しじゃ ないか。一夜限りの夢なんて見ない方がいいに決まってる。いなく なるヤツとするより、いるヤツとした方がいい。一緒にいられるヤ ツと心も体も、そして時間も共有した方がいいに決まってる﹂ これは俺の本心だ。一人でいるより二人がいい。二人でいたのが、 あるいはもっと多くの人に囲まれていたのが一人になってしまうと、 その寂しさを埋めるのは非常に難しい。 さらに言うなら、俺自身の存在の不安定さ、というのもある。 果たして俺は、いつまでこの世界にいることが出来るんだ? 現代日本に何ら未練はないし、できる限りメイやティアラたちと 一緒に生きていきたいが、この世界にトリップした要因は全くわか らない。裏を返せば、全くわからない理由により、また別の世界に トリップする可能性だってあるわけだ。そんな不安定な存在と一緒 にいると、不幸せの原因ともなる。 171 もっとも、既に、メイ・ティアラといるわけだが⋮⋮そのときは そのときである。それまで精一杯いちゃついて、俺という因子を保 管して奥くらいしか手はない。 ﹁うーん、でもパパ、多分だけど⋮⋮﹂ なんて真面目な顔をしていると、こちらも真面目な顔をしたティ アラが顎に手をやる名探偵ポーズで切り出した。 ﹁フラグ、立ったよ?﹂ ﹁そんな馬鹿な﹂ ﹁パパのフラグの立ちやすさから考えると、というよりも、乙女心 的予想かな﹂ ﹁なんだそのふわっとした話は。だいたいティアラに乙女心って、 後にちゃんと︵笑︶をつけろ﹂ ⋮⋮俺は初めてティアラに激しく叩かれた。反抗期だろうか。で もちんちんだのチンポだの平気で言う乙女がいてたまるか。歩く1 8禁は十二歳相当、モラルハザードも甚だしい。 そんなこんなでハローワークについて、いくつかの魔物討伐依頼 を受けて、サクッとクリアした上におまけも大量に狩猟して、街に 戻って換金して、と、冒険者的活動をわずか数十文字でまとめてホ テル路につく。出がけにごたごたしていたせいか、日は既に隠れて おり、明かりのついた飲食店からは陽気な声が時折響いてくる。め んどくさくなって、ホテルに着くなり先にレストランで食事を取り、 部屋のドアを開けると。 ﹁あ、あの⋮⋮﹂ 172 ﹁お待ちしてました、ユキトさん﹂ 昼間にあったハーチェル姉妹が、部屋の中にいた。 ﹁あ、部屋間違えました﹂ パタンとドアを閉める。 ﹁ティアラ、また俺に幻覚掛けてるだろ﹂ ﹁パパ、パパの耐性はあたしでも貫けないから﹂ ﹁⋮⋮ティアラの言ったとおりになったみたいね﹂ ﹁フラグ回収早すぎだろ﹂ 意を決して再突入。 ﹁とりあえず先にこれだけ聞いておこう。ホテルがどこかバレバレ なのはいいとして、よく部屋の中には入れたな?﹂ ﹁私の友達がここの従業員で﹂ ﹁オーケー後で誰か問いただしていじめてやる﹂ ﹁性的に?﹂ ﹁んなわけあるか﹂ 来た理由を聞いてみると、妹は薬の影響がない時にどんな感じな のか知りたいという性的好奇心︵知的、ではない︶からだったが、 姉の方は、というと。 ﹁その、同僚からはよく、﹃男は自分本位で抱いてくるヤツが多い から、初めては優しくしてくれる人の方が絶対いい﹄という話をよ く聞いていて、それに⋮⋮昼間は私のことを思って言ってくださっ ていたのが、本当によくわかりましたしそれで⋮⋮﹂ 173 半信半疑だったがティアラの乙女心︵笑︶は割と正しかったよう である。︵仮︶くらいにしといてあげよう。 ﹁そうか、本当にいいんだな?﹂ ﹁はい﹂ 答えはぐらぐらすることのない、固い意志の元にある。覚悟を決 めてきたのなら、自分の意志を下げて相手を通してあげたい。それ くらいの器は持っているつもりだ。 ﹁なら⋮⋮とりあえず風呂入ってからにしよう。誰からにする?﹂ だけども、この二人の宿泊料はいくらだろう、と考えるくらいに は器が狭くもあった。 姉妹は既に入浴済みと言うことで、三人で軽く入浴を済ませ、部 屋に戻る。防音装置の稼働も確認済みでぬかりはない。 ベッドには四人の女の子がバスローブ姿で、少し頬を染めて並ん でいる。ハーレムタグに偽りなしの展開だ。 ﹁じゃあ、さっき決めたように⋮⋮レイラ、おいで﹂ ﹁きゃっ﹂ 順番は入浴前に決まっていた。四人の打ち合わせ結果らしく、ま ずは昨日の記憶の塗り直しということでレイラからである。腕を引 き、ベッドに仰向けに引き倒す。 昨日も感じたが、まだ身体は成熟のだいぶん手前であり、女の子 特有の丸みは帯びているものの、決して豊かとはいえない。年下︵ 扱い︶のティアラよりも発達は劣っているが、肌は瑞々しく、無駄 174 な脂肪もない。今後の成長が実に楽しみといえる。 頭を撫でると、くすぐったそうに身を竦める。撫でる部分を頭か ら首、頬へと変えていき、顔の形を手で覚えたところで赤い部分に キスを落とす。 ﹁んっ﹂ 触れ合うだけのつもりだったのが、すぐにレイラの唇が開き、こ ちらの舌を招き寄せる。おませさんだなあ。キスは初めてじゃなか った、とか? 異世界の性活事情はもしかしたら低年齢化が進んで いるのかも。 ぬるぬると粘膜接触を楽しみながら、バスローブの紐を解き、そ っとはだけさせていく。先ほどは首止まりだった肌の探索を開始し、 鎖骨、そして膨らみはじめのおっぱいの麓を指先で撫でていく。麓 を一周した後、くるくると円を描きながら中心へ向かい、色が変わ る前に引き返し麓に降りていくことを繰り返す。 ﹁んんっ﹂ 身体が少しずつ汗ばみ、熱を持つ。口を離すと、まだ敏感なとこ ろには一切触れていないのに呼吸が乱れている。先ほどから登山を 繰り返している頂上は、期待だけでぷっくりと存在感を増していく。 ﹁まだ触ってもないのに、乳首が立ってるよ。期待してるのかな?﹂ 言葉の代わりに嫌々と首を振ってくるが、身体は正直ですよレイ ラさん。そのまま登山隊を二組に増やし、別々の山を登らせる。準 備運動が十分出来たところで、薄紅色の先端をきゅうっと優しく摘 まむ。 175 ﹁はうっ!﹂ ﹁乳首で感じてるんだ。普段から触ってるのかな?﹂ ﹁あう、あう⋮⋮﹂ 返事がない。ただのメスのようだ。 そのまま左手には登山活動を活発にしてもらい、右手はまたもや 探索の旅へ赴く。言い換えれば女体研究の旅である。左胸から脇腹、 ヘソときて、やっぱりあまり生えていない陰毛を通過。やはりまだ 未成熟なスリットに触れる。 ﹁ひぅっ﹂ ﹁⋮⋮濡れてるね﹂ まだ液量は乏しいものの、いくらかの湿り気を帯びていた。指で 絡め取り、筋をそっと上下に撫でる。時折その隙間に埋まるように 繰り返すと、少しずつ水音が増えていく。胸とともに感度が上がっ ていくのもわかる。何度も撫でつけ、時折麓の豆に触れるか触れな いかギリギリのラインを攻めていく。 ﹁んっ、ふぅっ﹂ 時折足を揺すり、一番上まで来たタイミングで指がクリトリスに 触れるように動いている。あんまりじらすのもかわいそうなので、 再度指先に愛液を絡め、指の腹で優しく撫でる。 ﹁ひゃうっ!﹂ 触れている突起が固くなり、熱を持つ。かまわずにするすると円 を描くようになで続ける。 176 ﹁あ、あっ﹂ さらに大きさを増し十分な固さをもったところで、二本の指でき ゅっと挟んだ。 ﹁イッ⋮⋮!﹂ ひくひくとレイラのの身体が痙攣する。どうやら軽くイッたよう で、息は荒く、愛液の量が増えていた。 ﹁レイラ⋮⋮イッちゃったんだ⋮⋮﹂ ふと聞こえてくるアリサの声。つられてみてみると、ベッドサイ ドで膝立ちになり、既にバスローブの紐は解かれ、自分で胸に手を 差し入れて摩っていた。下半身も手は動いてないものの、当てられ た状態でもじもじと腰を振っている。 反対側に振り向くと、メイとティアラは寝転んでディープキスの 真っ最中だった。メイが下でティアラが上。おなかを摺り合わせ、 乳首同士もこすれさせている。お互いに頭に手を回して相手を貪り 食っているわけだが、これは娘に嫁を寝取られたのか、はたまた嫁 に娘を寝取られたのか。いずれにせよ業が深い。早くしないと手遅 れになる! 気を取り直し、レイラの蜜壺に中指を差し込む。昨日一度肉棒を くわえ込んでいるとはいえ、まだまだ未開発の中である。ゆっくり と差し込むと、強く締め付けられる。 ﹁んぅ、ユキトさんの、指ぃ﹂ ﹁レイラの中、すっごく締まってるよ。ほら、指があんまり動けな い﹂ ﹁んんっ、んふっ﹂ 177 この中によく俺はねじ込めたな⋮⋮もしかしてサキュバス印の薬 にはお肉を柔らかくする効果があったのか? 空間を確保できるよう、差し込んではゆっくりとかき混ぜ、指の サイズへと馴染ませていく。耳元で聞こえる吐息が鼓膜を優しく振 るわせてくれる。 ﹁ん、ふうっ﹂ 一本での動きがだいぶんマシになり、二本目を挿入。内側を擦り 上げながら、ゆっくりピストンを繰り返す。 ﹁レイラ、どう?﹂ ﹁あふ、きもち、いいれふ﹂ 口の中は飲み込めなかった涎が多いのだろう。滑舌が回っていな い。時折身体がひくつくたびに、口の端から流れ落ちていく。首元 に鼻を当て息を吸い込むと、むわっと何ともいえない芳香を感じ取 れなる。 ﹁いやぁ、におい、かいじゃあ、ひゃうっ﹂ ﹁すごくいい匂いだよ。レイラの、女の子の匂い﹂ お返しに唇をつけ、ちゅうっと吸い上げる。口を離すと赤い跡が 残る。 ﹁ああ、ユキトさんに、マーキングされたぁ﹂ マーキングてあーた。いや、間違っちゃいないか。 二本指でも十分に動かせるようになってきた。そろそろ頃合いで 178 ある。 ﹁レイラ、そろそろ入れるよ﹂ ﹁あ、あい﹂ 足を持ち上げ、熱く濡れた入り口に亀頭を宛がう。いくらかの抵 抗をみせたものの、腰ごと中へ沈めていく。 ﹁ああっ! ユキトさんのが、入ってるぅ!﹂ やはりまだ狭く、ゆっくりと引いて、ゆっくりと奥へ差し込む。 引き出すと、ペニスにはねちゃーっと愛液が絡み、外に出て糸を引 きながら落ちていく。 押しては引いて、押しては引いて。まだ単純なピストン運動だが、 レイラは十分に快楽を感じ取れているようだ。 ﹁あっ、ユキトさん、もっとぉ! もっとぉ!﹂ 馴染んだと判断して、ピストンを早めていく。押す時は一番深い ところまで、引く時は内側を擦るように。パンッ、パンッとぶつか り合う音が響きだし、締め付けられた感触で射精感が高まってくる。 ﹁あっ、あっ、あっ、あっ﹂ ﹁レイラ、そろそろ出すぞ﹂ 足をはなし、ぷらぷらと動いていた腕を掴み、ぐっと身体を引き 寄せる。一番奥、深いところにまで亀頭の先端が届き、押し込まれ る。 レイラの身体がひくつきだし、膣内も今まで以上に締め付けてく る。 179 ﹁あ、ダメ、イクッ、イクッッ!﹂ 一瞬身体のこわばりが抜けた後、ビクビクビクッと今まで以上に レイラの身体が震え、きゅーっと強くペニスも絞られた。 ﹁ぐっ⋮⋮!﹂ それがだめ押しとなり、どくどくと精鋭が駆け上り、膣内へと流 れ込んでいく。 ﹁あ、あぁ⋮⋮おなかの中、入ってくるぅ⋮⋮﹂ 最後まで流し込んでから抜き取ると、レイラの四肢から力が抜け、 緩んだ股ぐらからも征服した証がこぼれ落ちてきた。 ﹁レイラ⋮⋮すごい⋮⋮ココまでは見たことない⋮⋮﹂ 妹が絶頂を迎えてへたり込む様子を、アリサは食い入るように見 つめていた。さあ次はあなたです。 でも、ここまでってどういうこと? 180 第8話 四つどもえカルテット前編︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 181 第9話 四つどもえカルテット後編︵※︶ 第9話 四つどもえカルテット後編︵※︶ 事後で放心状態のレイラの隣に、じっとその痴態を見つけていた アリサを引っ張って転がす。既にバスロープははだけていて、妹よ りも幾分豊かな膨らみは両方ともさらけ出されている。先端の色は 妹と同じく薄紅色。既に尖っており、自己主張が激しい。そのまま 視線を下にずらしていくと、家系なのか薄い黒色の茂みの先にクレ バスがある。いきなり触れていきたいところだが、レイラの証言か ら考えると夢見る乙女タイプのようではある。順番にしていきたい 所存だが、もちろん臨機応変という言葉も忘れない。だって、ねえ。 ココまでは、ってことはそれより手前の状態のレイラは見たことあ るって事だし、ダブルベッドだし、ねえ。妄想が捗る。悪くない、 むしろ良い。 ﹁アリサ﹂ 名前を呼ぶと、幾分合っていなかった焦点が俺へと定まり、こく りと小さく頷いた後、瞼が閉じられた。 唇を重ねると、しばらく後に唇かが開かれ、おずおずと舌が差し 出されてきた。やっぱりおませさんでもある。 ﹁んんっ、んむっ﹂ くぐもる声。口の中からダイレクトにぬちゅにちゅと唾液がかき 182 混ぜられる音が伝わる。最初から激しいし手慣れた感じがするが、 まあよしとしよう。積極的な子は一向に構わない。もちろん消極的 でもおk。 少し口を離すと追随するように舌が出てくる。舌先だけでちろち ろと触れ合うと、もう少し情熱的なのがお好みらしく、頭に手を回 されて引き寄せられ、再度唇を重ね合うものへと戻る。 ﹁あむっ、んふっ﹂ ゼロ距離のせいで、少し荒い鼻息が唇を温めてくれる。左手で後 頭部をなで回しながら、右手で背中から肩甲骨のあたりを摩ると、 少しこそばゆいのか身がよじれる。特に背骨のあたりに触れると反 応が顕著なので、このあたりが弱いのかもしれない。 口を離し顔を覗き込むと、はーっと深い息を吐きながら、少しぼ やけた眼でこちらを眺めていた。もう一度軽くだけ口付けをしてか ら、頬、顎、首へと舌を這わし軌跡を残していく。 ﹁ふぁぁっ﹂ あまり声を出したくないのか、指を口に含んで押しとどめようと しているが、あまり意味をなしていない。蕩けた声が耳に聞こえて くる。涎の道をつなぎながら、すーっと膨らみにまで舌を這わせ、 乳輪の周りをくるくると回る。上目がちに表情を伺うと、相変わら ず指で声は抑えようとしているものの、瞳は閉じられ眉間にしわが 寄り、色んなものをこらえている気配である。こらえていると少し 強引にでも箍を外させたくなるのが男の性分だろう。決して尖って いた部分には触れなかった舌を一度引き上げ、一拍おいた後、乳首 に吸い付いてきゅーっと吸い上げる。 ﹁あ゛ぁぁっ!﹂ 183 指が外れ、一際大きい声が室内に響く。そのまま吸い付きながら 舌で先端部分をもてあそぶと、その他に嬌声が響く。 ﹁お姉ちゃん⋮⋮やっぱり、可愛い﹂ 気づけばレイラが復活して、まだまだ悦びの抜けていない緩んだ 顔でアリサを覗き込んでいた。そしてそのまま顔が近づき⋮⋮ ﹁んむっ﹂ ﹁んぐっ!?﹂ 距離がゼロになる。最初は驚いた様子のアリスだったが、すぐに ディープな合戦に応じ始める。んー、やっぱりこれはアレですかね。 百に合と書いて百合な姉妹。姉も妹も処女なわりにはキスがうます ぎる、というのはおそらくこの二人で何度もやりとりし合ったのだ ろう。ついでにいうと、お互いの身体のある程度の開発も。でなき ゃここまですぐに身体が反応はしない。 何だろうこの疎外感は、とか思っていたら、ちらちらとこちらを 見やるレイラと目が合う。え、もっとやれって? 生一杯、ハイ喜 んで! 吸い付いてない方のおっぱいには、いつの間にかレイラの手が添 えられていたので任せてしまい、そのまま一気に下腹部まで移動し てしまう。足を押し広げると、まだ未成熟な性器から、つーっと愛 液がこぼれ、シーツにシミを形成していた。顔を近づけると、何と もいえないむわっとしたメスの匂いが鼻腔を刺激する。この調子な ら、膣内はさておき外側は既に何度も楽しんだ経験があるだろうと、 匂いの漏れ出す穴の上、ぷっくりと膨れた部分に舌を這わせる。既 に十分な固さはあったが、舌の愛撫を受けてさらに充血する。 184 ﹁んんっ! んんーっ!﹂ 身をくねらせてその強い快感から逃れようとするが、上半身は既 にレイラがのしかかっており、太股も俺ががっちり押さえ込んでい るもんだからほとんど身動きの余幅はない。レイラは実の姉にディ ープキスを続けたまま、おっぱいをこねくり回すのを止めない。あ れ、ちょっと豊かさに対する嫉妬が入ってないか? クリトリスをずっと舌で嬲っていると、やがて歓喜の瞬間が訪れ る。 ﹁んはっ、あっ、ああーっ!!﹂ びくびくと身体が痙攣し、スリットからはぷしゅっと小さく、透 明な液体が吹き出てくる。レイラは直前に口付けを止め、姉の痙攣 を受け止めるようにぎゅうっと身体を抱きしめていた。 ﹁なるほど⋮⋮お豆さんをずっと舐めればいいんだ﹂ ﹁いや、一概にそればっかりってわけでも。というかこんなことは やり合ってなかったのか?﹂ ﹁あ、バレちゃってますか。その、キスとかおっぱいとかはいいん ですけど、大事なトコロは私もお姉ちゃんも触れ合うのが怖くって、 上はお互い下はセルフサービス、みたいな感じで﹂ ﹁お、おう﹂ ﹁でもお互い処女じゃなくなりますし、今度からはそっちも積極的 に行こうかと。それに、ユキトさんのやり方を覚えましたから﹂ ぎゅって抱きつきながら顔だけこちらに向けてにやりと笑うレイ ラ嬢。おそらく自由に姉を責める私、みたいなのを想像しているん だろうが、さっきお姉ちゃんもばっちり見てたから。おそらくロッ クでナインな形に落ち着くんじゃないかね。 185 ﹁まあ、もうちょっと準備するから、上の方はご自由に﹂ ﹁わかりました、お姉ちゃんを堪能します﹂ 言うやいなや、レイラはおっぱいを吸い付きに走った。姉を愛す る気持ちが溢れすぎている妹である。 よそはよそ、うちはうちということで、挿入前の準備に入る。中 指をしゃぶって濡らし、傷つけないよう慎重に膣内へ侵入していく。 ﹁あぅ、ゆ、指が⋮⋮﹂ 例によって例の如く非常に狭く、動かしずらい。少しずつ前後に 揺らしていくが、なかなかどうして、相当キツい。もう一本くらい イけばいいなあ、とクリトリスを舌で舐りながら少しずつ拡張を続 ける。 ﹁あ、ぅ、おっぱいも、アソコも、すっごく、ああっ﹂ ⋮⋮そういやおっぱいは妹が自重していなかった。3点責め状態 でアリサの身体は激しく揺れる。あ、違ったもう片方の乳首もこね 回されてるから4点責めか。 ﹁ふぁっ、ああっ、イク⋮⋮っ﹂ あっさりと二度目に連れて行かれ、指がきゅーっと締め付けられ る。でもまだ一本がきついのは変わらないので、快感に震えてる最 中も準備行為は止めない。 ﹁あ、今、ダメ、また、また来るっ!﹂ 186 間を置かずに三度目。今度はぴゅっとまた潮が噴き出してくるが、 続行。少しだけ動きやすくなってきたので、小刻みだった指の動き を大きくし、中で円を描くようにかき混ぜる。指の腹はざらざらと したところに当たり、その表面を押し回すように動かす。その度に くちゅくちゅと音が聞こえてくる。 ﹁ああんっ! そこダメ、かき混ぜちゃ、また、ああっ﹂ もはや声が出るのは止められていない。身体に力は入っておらず、 二人がかりの攻めになされるがまま、アリサは身体中から登ってく る電気信号の処理に襲われているのだろう。吸い付いて啜り、そし て強く膣内を押し上げる度に、大きく身体を震わせ、嬌声をあげる。 ﹁んああっ、大きいのが⋮⋮きちゃ、きちゃ、っ⋮⋮!﹂ とどめの意味でGスポットを押し込むと、最後は声も出ずに、ア リサの身体は激しく痙攣した。びくびくっと震えて、股間から放物 線が幾度となく宙へ描かれていく。 ⋮⋮ちょっとやり過ぎた、かな? ﹁レイラ、今ならするっと入れられそうだから、アリサの上からど いて﹂ ﹁はい、わかりました﹂ 頷いたレイラはアリサの横に動くと、同じように仰向けに寝転が った。左手は、姉の右手を握っている。 ﹁あの、ユキトさん、その、出来ればでいいんですが﹂ ﹁なんだよ?﹂ ﹁お姉ちゃんと一緒に、その、指で、ここをかき混ぜてください﹂ 187 くぱぁ、とどこぞの成人コミックよろしく、レイラの秘唇が指で 開かれ、蠢く内部から中から先ほど放った精液と愛液が混ざり合っ てこぼれ落ちてくる。 ﹁同時、とかのオーダーは無理だからな?﹂ ﹁さ、さすがにそこまでは求めてませんから﹂ 本当かよ。視線が泳いでるんだが。まあできる限り要望には応え ようじゃないか。 ﹁アリサ﹂ 名前を呼ぶと、姉は荒い息を繰り返しながら、こちらを見上げる。 ﹁今から、大事なものもらうよ﹂ こくりと頷かれるのを確認して、ゆっくりとペニスを挿入する。 ずぷずぷと、濡れた中をゆっくり押し広げていく。 ﹁ん、ふぁ⋮⋮﹂ 普通なら苦痛混じりの吐息が漏れてくるところだが、そんな様子 は見受けられない。さすが処女マスターの称号持ちは伊達じゃない。 ゆるゆると侵入を進めていき、一番奥まで届く。 ﹁ほら、わかる? ココまで届いてるよ﹂ ﹁んぁっ、あぁっ、奥に、響いて⋮⋮﹂ コツコツと当てると、きゅっきゅっとペニスが締め上げられる。 188 ﹁ユキトさぁん、わたしのここも⋮⋮﹂ ﹁わかってるって、結構キツいんだからコレ﹂ 請われて仕方なく、レイラの中にも指を二本差し込む。体制的に 辛いが、女の子のエッチなお願いとなれば叶えて差し上げるしか選 択肢がないのだ。 ﹁アリサ、動くよ﹂ ﹁はひ、ひっ、んぅっ﹂ ピストンを少しずつ繰り返す。レイラに捕まれていない左手はお なかに添えられている。中の振動を感じ取っているのだろうか。中 で躍動するペニスの形を覚えようと、動きに沿って手も上下してい る。 ﹁ユキトさん、いきなり、はげし⋮⋮っ﹂ 一方レイラの中を蹂躙する指の動きは激しく。精神的にはずっと 高ぶったままだろうが、肉体は一度落ちているはずなので、強引に 高みに登らせていく。 ﹁はっ、はぁっ、はあっ﹂ ﹁あ、あ゛ぁっ﹂ 姉妹の嬌声はステレオとなる。つながれた手には力が込められて いるのがわかる。あの手と手の間には皮膚同士以上に密接につなが った何かがあって、言葉じゃない別のコミュニケーションが成立し ているのだろう。 189 ﹁はあっ、コレが、男の人の、んぅっ! あつぃ﹂ ﹁ね、お姉、ちゃん、ああっ、すごい、でしょ!﹂ ぢゅぷぢゅぷと色々なものがかき混ぜ、押し込まれ、生み出され る。熱く潤ったアリサの中はその熱でペニスを蕩けさせていく。 ﹁うぁ、また大きく、んっ、奥、奥まで来てぇ!﹂ ﹁ああっ、すごい、ダメ、ダメ﹂ 射精までのカウントダウンが始まり、腰の動きと指の動きを一気 に早めていく。 できる限り早く、できる限り奥まで、壊れないように強く。 ﹁あ゛、あ゛、来ちゃう、来ちゃう!﹂ ﹁イク、イクッ、ああっ﹂ ⋮⋮きっと本当にこの姉妹は、奥深いところでつながっていたん だ。 ﹁あ、あ、あ、あぁぁぁっっっっ!!﹂ ﹁イ、クゥッッッ!﹂ 同じタイミングで一番奥まで貫き、同じタイミングで姉妹は絶頂 を迎え、二つの放物線が高く放たれた。 ぎゅうっと強くペニスも締め付けられ、潮を吹き付けられるのも 構わずにアリサの最奥で白い欲望をどくどくと吐き出していく。 ﹁ぁ、ぁぁ⋮⋮﹂ ﹁はあっ、す、すごい、音が聞こえてくる⋮⋮﹂ 190 いや多分それ骨伝導だから。 最後の一滴まで流し込み、ペニスを抜くと、少し口を開けた中か らとろりと混じり合ったものがこぼれ落ちてくる。にしても本当に よく出す息子さんである。孝行息子といえるのか、親遣いが荒いと いえるのか。いずれにせよ俺、ほとんどエッチしかしてなくね? 賢者タイムよろしくふーっと一息ついて、何気なく横を見る。 ﹁あひ、ひぃっ﹂ ﹁あ、パパ見てみて。ほら、メイママのおまんこ、すっごくとろと ろだよ? ずーっと後からおっぱいくにゅくにゅして、しっぽでこ のいやらしいクリトリスをいじめてたの﹂ メイが完璧なアヘ顔晒して、股間から色んなものをダーダ漏れに していた。ティアラに抱きすくめられる形で立ってはいるが、足は 生まれたての子鹿のようにプルプルと震え、その付け根からはポタ ッポタッと糸を垂らしながら垂れていく。 やっぱりサキュバスには勝てなかったよ⋮⋮ ﹁あ、ああ、ユキトぉ、たすけ、て﹂ ﹁そんなこと言ってえ。パパのおちんちんが早く欲しいんでしょ? ほらぁ、パパも早くしないとメイママがかわいそうだよ? こん なにおまんこが欲しい欲しいってひくひくしてるのに﹂ ﹁そこまでやれるお前がすごいわ。さすがサキュバス﹂ ﹁そこに痺れて憧れてもいいよ? ちなみにライブラで見るとわか るけど、メイママの耐性とか精神技能が上昇してるから﹂ ﹁うわあ。思わず口に出して言いたくなるくらい、うわあ﹂ ﹁でもパパこーゆーのも好きでしょ﹂ ﹁⋮⋮うん、好き﹂ 191 息子さんが直立不動で戦線復帰するくらいには、ね。 ベッドから降りてメイの前に立つと、ティアラが手を離し、華奢 な身体が俺にしな垂れてくる。 ﹁さあメイ、どうしてほしい?﹂ 耳に息を吹きかけながら小声で囁くと、その内容を想像しただけ でイッたのだろうか。足がガクガクと震える。 ﹁あ、あぅ﹂ ﹁ほら、今想像しただけでイッただろう? それを俺に、いやみん なに聞こえるように言うんだ。ほら﹂ 既に赤い顔が更に赤く染まる。口を戦慄かせて、快楽への切符と 限りない羞恥を天秤に掛けて、メイは辱めを受けることを選ぶ。 ﹁わたしの、わたしのおまんこの中をユキトのおちんちんで、ぐち ゃぐちゃにしてくださいぃ!﹂ ﹁よく言えましたっ!﹂ 背後に回り、腰を持ち、とろっとろに出来上がった場所に、躊躇 なく突っ込む。 ﹁ああああっ!﹂ 一番奥までついた衝撃で、メイの身体は大きくしなり、結合部付 近から激しく透明な液体が噴き出す。 ﹁一突きでこんなに漏らすなんて、よっぽどだ、な!﹂ ﹁あああっ、ああっ﹂ 192 メイの上半身からは既に力が抜け、ベッドに突っ伏す形になって いる。腕を引きながら腰を突き出すと、膣内の最果て、子宮口まで ペニスが届き、その度に快感がペニスを突き抜けてくる。それはメ イも同じようで、ずぶっと突く度にぴゅっ、と色んなものが飛んで くる。一突き毎にオーガズムを迎えているのだろう。 ﹁ああっ、すごい、ユキトが、わたしの奥まで、きてる!﹂ バックからのせいでメイの表情は窺えない。だが、レイラ及び気 を戻したアリサはメイを食い入るように見つめている。きっと相当 に蕩けきった顔をしているには違いない。 膣口部分の性感帯は、女性に多幸感を伴う強い快楽を与えるとい う。それはオスを一番深いところまで受け入れられるというメスの 強さを実感できるからなのか、あるいは身体のより中心に近い部分 でお互いを感じ合えるからなのか。いずれにせよ、奥までのピスト ンを繰り返す度に、メイは快楽に震え、嬌声を上げている。 ﹁ああっ、はあっ、ああっ、ふぁああっ﹂ その声に合わせて、メイの中もペニスを締め付けて、というより も吸い付いてくる。三度目だというのに既にチャージOKとなって しまい、気合いで一番高いところに行けるように堪え、目の前にチ カチカと星が飛んでるように思えてくる。腰の振りは抑えない。抑 えたら負けである。 ﹁あ、あ、あ、あ、﹂ ﹁メイ、メイっ!﹂ 嘘である。もうそんなに堪えられないからいっそのこと抑えない 193 でしまえ、という一種の自爆戦術である。 奥まで深く、早く。乱暴ともいえるピストンだが、俺とメイを、 間違いなく引き上げている。 ﹁ユキト、ユキトぉ、ああああああああっ!!!﹂ ﹁メイっ! うっ⋮⋮!﹂ 奥深くまで貫き、俺たちは絶頂に達した。三度目にもかかわらず、 俺の中から白濁液は大量に駆け上ってきて、メイの子宮まで溢れん ばかりに注いでいく。 全てで切ったところで、俺に残されている力はほとんどなかった。 ﹁あ、あふ⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮もうダメ﹂ ﹁あーパパ! あたしの番は!?﹂ ﹁また、明日、さよなら﹂ 辛うじてベッドにたどり着いたような気はするが、そこから先は 意識を飛ばした。 *** 朝である。異世界に来ようが太陽︵らしき恒星︶は天に昇り、大 地を照らす。液体としての水の存在が生物を産む要因であるのだし、 そもそも惑星は恒星の従属物なのだから、恒星があるのは当たり前 だし、大地を照らして適度に温めているのも当たり前と言えば当た 194 り前なのだが、異世界だったらこう、不思議パワーで恒星がなかっ たり二つあったりして欲しいところでもある。だがあいにく太陽は 一つ。月、というか衛星は二つあるのだが、火星にも二つ衛星があ るのだから、天体的には常識の範囲内である。 むしろ、この部屋の中が非常識だろう。そもそも二人での宿泊を 前提にした部屋である。そこまで広いわけではない。ベッドもクイ ーンやキングではない。あくまでダブルサイズのベッドだ。そこに 俺自身を含めて五人が寝転がっている、というかほぼ転がれていな い。お互いにぎゅっと抱きつき合って辛うじてベッドの上にいるこ とを維持しているような状況だ。誰か一人でも非協力的ならすぐに 文字通り落ちていくわけだが、幸いにも誰も落ちてはいない。よほ ど深い眠りだったのか、はたまた人の温もりに飢えていたのか。そ もそもどうやってこの状態まで持って行ったのか。三連発で疲れ切 って眠ったのだけは覚えている。 左腕にはメイが抱きついていて、右腕を枕にアリサが、アリサに 抱きつくようにレイラが。いずれも全員まだ夢の中である。残る一 人はというと⋮⋮ ﹁すぴー﹂ ﹁今時そんな寝息のやついないだろ﹂ ﹁ばれたか﹂ ﹁ばれたかって目開けてる時点で狸寝入りする気すらないだろ。そ れに、入ってるんだが﹂ ﹁うーん、入ってるっていうか、眠るときからずっと入りっぱなし だよ?﹂ ﹁起きたんならはずしゃあいいだろ﹂ ﹁パパの意識が覚醒し出すと共に、にゅくにゅくと育つのが感じら れて、とてもよかった﹂ ﹁あ、そーですか﹂ ﹁そもそも昨日はあたしは何もして貰ってないよ。だからここに謝 195 罪と賠償を要求する!﹂ ﹁いや、それは悪かったが、これ賠償になってるのか?﹂ ご覧の有様である。仰向けで寝ている俺の上での出来事である。 色んな意味で肉に包まれすぎだろ。 ﹁しっかし、ひどい有様だなあ。チップまた弾まないと﹂ 部屋の中は、性の臭いで溢れかえっていた。ここまで来ると不快 感を通り越してただただ異常としか思えない。 ﹁せめて窓を開けたいんだが﹂ ﹁こんな空気をそのまま外に流すのはテロだと思う﹂ ﹁まあそこは風魔法で上昇気流でも起こしつつ拡散するしか﹂ ﹁それなら大丈夫だと思うけど⋮⋮やだ。まだ離れたくない﹂ そんなかわいらしいことを言って、ティアラはしがみつく力を強 める。当然比例するように中も締まり、朝だ元気だ状態の方もきゅ うっと締め付けられる。 ﹁ティアラ、それただ腹減っただけだろ﹂ ﹁そうだけど、そうでもないかな。パパにこうして入れられたまま くっついてると、ゆったりしてるけど気持ちいいよ。いつもみたい な激しい波じゃなくて、大きな波にゆっくり持ち上げられてる感じ かな﹂ ﹁⋮⋮そういうスタイルのやり方もあるのはあるが、少なくともこ んな雑魚寝状態でやるものじゃないな﹂ ﹁あたし的にはいいの。もうちょっとこうしていたい﹂ 胸元で上目遣いにきゅっとしがみつく小悪魔に逆らう術はない。 196 身体の動きはもとより望める状態でもないので、なされるがまま、 じっとティアラを眺めることだけを続ける。しっかしホント可愛い なコイツ。さすが対俺最終兵器第二号である。第一号には完璧に心 を持って行かれた状態だが、第二号にも持って行かれてしまってい るのだ。心が二つに分かれるとか意味分からないですね。 じっと見ていると、小刻みに羽が動き、しっぽはゆらゆらと揺れ ている。頭の角を含めて若干人間の造形からは離れているのだが、 それすら愛おしいと思えてくるのはサキュバスの特性なのか、ある いはまた貫通された魅了でも喰らっているのか。 時折もぞもぞとティアラの身体全体が動き、二つの尖った乳首が 俺のお腹をこねる。俺自身の快感には繋がらないが、持ち主にして みれば別であろう。﹁んふっ﹂とすれる度に甘い息が漏れてくる。 そしてちゅっちゅっと人の胸部を吸い上げてはそこに印を残して いく。マーキングしなくたっておまえを離したりしないから安心し て欲しい、といいたいところだが、好きにさせておく。 ゆっくりと、気分が持ち上がっていく。それはティアラも同じよ うで、直接快楽を得る為の行動はしていないというのに、中は熱く、 止まることなく愛液が溢れてくる。ペニスの鈴口は子宮口とずっと キスを交わしており、まるでひな鳥のように啄まれている。うねう ねと動く膣内の襞も、搾り取ろうという感じではなくひたすら愛で るように表面を撫でてくれている。 なんて甘美なひとときなのだろう! 女を侍らせているからでも、まだ年の行かぬ少女に跨がられてい るからでもない。 ここには、クサイ言い方だが、愛がある。そして、俺自身が愛を 与えられる立場でいることを許されている。 本当に、許されているのか? 197 ﹁⋮⋮パパ?﹂ 上目遣いは変わらず、上気した頬で、それでも目だけは色に溺れ ていない、真剣みをはらんだ、強い目。 ﹁なんだよ﹂ ﹁悲しいことは、考えなくたっていいよ﹂ ﹁⋮⋮ついにうちの娘は心が読めるようになったか﹂ 軽く流そうとしたが、娘は流れてくれなかった。 ﹁そんなものなくても、悲しい顔してるのくらいはわかるよ﹂ ﹁そんな顔してたか﹂ ﹁そんな顔、まだしてるよ。失礼な話だよね、女の子の中にちんち ん入れてる最中なのに﹂ ﹁⋮⋮いや、失礼な話なのは申し訳ないが、もっと言い方があるだ ろうよ﹂ ﹁でも現実だよ? 色んな意味で﹂ ﹁その言い方は⋮⋮まあ、そう、だな﹂ 現実とは難しい。ちんちん入れてる現実。ん、何だか元気になっ てきた。 ﹁うわ、パパのちんちんがまた大っきくなったぁ﹂ ﹁我ながら実に享楽的である、うん﹂ ﹁いいんだよ、パパ。あたしは、ううん、メイママも間違いなく⋮ ⋮﹂ 198 ︱︱もう、好きに生きて、いいんだよ。 ティアラの声が遠くなったかわりに、もう二度と聞けないはずの 声が、聞こえた気がした。 でもそれは、今、一時忘れても、すぐに首をもたげてやってくる んだ。だから俺には、無理だよ。何をやってたって、思い出してし まうんだから。 もちろん、返事なんてない。 ﹁⋮⋮パパ?﹂ ティアラの不安そうな声で、急速にイマに戻る。 ﹁パパ?﹂ ﹁ん、ああ、何か白昼夢見てた﹂ きっとこんな言葉じゃごまかせない。けど、こればっかりは何を どう伝えていいかすらもわからないんだ。 ﹁パパ⋮⋮﹂ ぎゅっと、離さないと言わんばかりに、ティアラの中が俺自身を 締め付けてくる。忘れていた快感の波がまた大きく、俺を流そうと 覆い尽くしていく。 199 ﹁パパ、パパ⋮⋮﹂ ﹁ティアラ、出すよ﹂ 何も動かず、何も動かさずに。 俺はゆっくりと、絶望的なほど甘く感じるソレを、全然関係ない はずの、娘として慕ってくる女の子に吐き出していった。 ﹁パパ、パパ⋮⋮っ﹂ そしてティアラもまた、吐き出されたソレを身に取り込み、大き く身体を震わせた。 本当なら溶けてしまいそうなくらい気持ちいいはずの行為は、狂 いそうな時に散々女の子を食べ尽くした時と同様に、酷く空っぽで もあった。吐き出しているものは命の息吹の塊にもかかわらず、何 故か非生産的にすら思えてしまう。 きっとそれはティアラにも伝わっていて、顔は、身体は蕩けてい るのに、目だけは俺をじっと見つめていて、身体の快感と心の波が 一致していないのがわかる。 大きな波が過ぎ去り、疲労にまた襲われる。ずっと悲しい目をし た瞼が閉じられるのを見届けてから、俺もゆっくりと目を瞑った。 途中からずっと左腕に熱い何かがこぼれ落ちているのもわかって いたが、何も言えず、意識は闇に沈んでいく。 ⋮⋮そりゃあ、対俺最終兵器なわけだよ。気づきたくなかったけ ど、そりゃそうだ。ティアラは俺の因子を受けている影響もあるだ ろうけど、なんでメイまで似てるんだろうね。こうやって異世界に 連れてきてメイと引き合わせてくれた神様がいるとしたら、きっと そいつの性格は歪んでるんだろう。くそったれ。 200 第9話 四つどもえカルテット後編︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 201 第10話 暗雲︵※︶ 気づけば昼である。いい加減に学習した方がいいんじゃないか、 俺。 相も変わらず全員夢の世界で彷徨っている最中だったが、不意に この中でアリサだけが自称自営業の方ではないことを思い出す。 ﹁アリサ、おいアリサ﹂ ﹁⋮⋮んんぅ、あ、おはようご⋮⋮ざいます﹂ 慌てて起こしたが、返ってきたおはようの挨拶は尻すぼみとなる。 まあそりゃそうだろうね、まだ全裸だし。あいにくと身を隠す掛け 布団のやら毛布の類は全て床に落下しており、わずかに身じろぎし て膨らみ部分だとか下の茂み部分だとかを手で隠した以外、全身が 赤く染まっていくのがよく分かる。 ﹁恥ずかしがるのも非常にいいが、そうじゃなくて、仕事は大丈夫 か?﹂ ﹁え、あ、はい。念のため二日有給を取っていましたから。ハロー ワークは一年に十日、有休がもらえるんです﹂ あるんかい有給。下手なブラック企業より異世界の公営団体の方 が福利厚生充実してるんじゃないか、これ。いや、リアルでも公的 機関の方が色んな理由で福利厚生充実してたな。色んな理由で。こ れ以上はよそう。 一通りの身だしなみだけ整えて、いつも通り貸し切り風呂で色ん なものを洗い落とす。今までは狭いとは思わなかったが、さすがに 五人はちょっと狭い。洗い場が混み合うのは致し方ないのだろう。 202 空間的な問題で触れ合いながら身体を洗う。 このままだと妊娠の可能性があるから、消化されるティアラ以外 の中を水魔法で洗い流そうとしたら、姉妹からは待ったがかかった。 ﹁いや、万一があるだろ﹂ ﹃その時はその時です﹄ 口を揃えて言うもんだから、何も言えなくなってしまった。ここ で無理矢理やれば、何だか堕胎を迫っている気にもなってしまう。 何事もありませんように、と祈りたいところだが恐らく管轄は愛の 女神。むしろ狙い澄ましたように孕ませてきそうですらある。むし ろ確信に近い。仲良くおなかをさすり合う姉妹というのは酷く扇情 的で官能的だが、男としては色んな意味で困ってしまう。色んなと ころ、いや一カ所だけか、そこも困ってしまう。さすがに今日はち ょっと仕事はさせたくないでござる。性的に。 無事何事もなくペニスはニートを満喫して入浴終了。その後姉妹 にはお帰りいただく。もうちょっと、あわよくばもう一晩的な雰囲 気をもろに出していたが、街を出る前には顔見せるからと言って追 い出してしまう。そうでもしないとずるずると引っ張ってしまいそ うだったからだ。 二人とも半泣きだったが、心を鬼にして外に出す。うーん、これ だと本当は街出る前に会わない方がいいんだろうなあ、なんて第三 者目線での考察は、実に意味のないことでもある。 二人がいなくなって部屋の中は三人となり、ようやく落ち着いた。 既に昼は過ぎているので、何か仕事しようという気になるわけもな い。そして、ティアラはどうってことないが、メイがやや隠れて塞 ぎ気味の気配である。理由はわかるが迂闊に触れるわけにもいかな い。何せ俺自身が原因なのだから。 203 ﹁さーおなかすいたし飯でも食べに行くかー﹂ だもんで、あからさまではあるが食欲にかこつけてどんより雰囲 気を払拭しに掛かる。ティアラからはあからさまに疑いの視線が飛 んでくるが気にしている場合ではない。え、疑いじゃなくて棒読み 過ぎだってダメだからって? それは厳しすぎるんじゃないですか ねえ、監督。え、総監督だって? 意味が分からないよ。それは歌 って踊ってスキャンダルが出てから言うべき肩書きだ。 部屋を出て、従業員に多めのチップを渡して︵ものすごく顔を赤 らめてぽーっとしていた。覗かれたりしていないだろうな?︶、気 晴らしをかねて街に繰り出す。既に真昼の騒動は過ぎ去り、どこも 落ち着いた感じではある。 このエルスという街の料理は前述の通り、現代世界地球でいうと ころのイタリア料理に近い。これはウィーリア都市国家連邦の共通 事項で、どこに行ってもパンやパスタ、ピッツァ、そしてありがた いことにリゾットなどの米料理が広まっている。とはいってもエル スの場合近隣に海がない内陸の土地故、海鮮類はなく、穀物・野菜・ 肉・乳製品が中心となっている。都市国家連邦の西の方にいくと海 が近い為に海の幸も出てくるらしいのだが、あいにくと進行方向で はない。何にせよ、違和感なくおいしいものが食べられるのだから ありがたいのだが、異世界満喫といった感じは全くない。いいのか 悪いのか。 適当に店に入ると、客は疎らで数席埋まっているだけだった。こ れ幸いと窓際のテーブルに二人を誘導する。トマトソースのラザニ アっぽいメニューにサラダっぽいものを頼む。メイとティアラも各 々注文し、あっという間にテーブルに品々が並び、ものも言わずに 黙々と食べる。この街はどこで飯食っても旨いなーと食後の茶をし ばいていたら、ティアラからきつい視線が飛んでくる。いい加減に しろって? はいすいません。 204 ﹁メイ﹂ ﹁は、はい!﹂ 名前を呼ぶと、背筋がぴーんと伸びた。別に怒ってる訳じゃない し、俺が悲しませた方だろうからその反応はおかしいんじゃないか い。 ﹁ごめんな﹂ ﹁え、あ、う?﹂ ﹁いやその、昨晩、ほら、泣かせちゃったし⋮⋮﹂ 今が 悲しい訳じゃないさ。メイがいて、こっちに来てか ﹁でもユキトが、すっごく悲しい顔してて、それで﹂ ﹁別に らというものの幸せじゃなかった日はない。あ、ティアラもだけど﹂ 何故あたしをオチに使った、と一部で批難ゴーゴーだがそれはそ れである。真面目に若干シリアス気味に交わってる最中にちんちん 言ってた罰だと思え。ほんとこの四文字は場の空気を弛緩させる。 ちんちん。何だろうね、このずっこけ具合。でも先頭に﹁お﹂が つくと途端にエロくなる。不思議! そんなこと言ってる場合じゃ ないけど。 ﹁じゃあなんであんなにユキトは悲しい顔してたの? ティアラと のエッチの最中だったのに、顔は全然そんな感じじゃなかったよ﹂ ﹁それは⋮⋮﹂ ﹁普通、といってもユキトしか知らないけど、男の人だって気持ち よさそうな顔してるはずだよね。でも違った。何だか心と体がつな がっていないみたいだった﹂ 205 今度こそ何も言えなくなった。ヒトは事実を突きつけられたら反 論のしようもなくなるのだ。そこで無理にでも反論するようなのは ⋮⋮まあ相応の職業があるんじゃないかね、なにとはいわないけど。 だから反論はしない。言えるのは、事実だ。 ﹁悪いが、色々ある、としかいいようがないし、今は言いたくない﹂ 今度はメイが何も言えなくなるパターンだった。わずかな期間で こんなにも俺のことを考えてくれているというのに、ある意味全て を無に帰すような発言。我ながら相当に酷いヤツじゃないだろうか。 しばらくの無言タイムを経て、俯き気味だったメイの顔が上がる。 その瞳には、力が戻っている。 ﹁なら、待つわ。いつかは色々と教えてくれるんでしょう?﹂ ﹁⋮⋮もちろん﹂ ありがたい話である。散々身体を重ねて置いて今更だが、出会っ てそれほど期間があるわけでもここまで無条件に信頼してくれると は。なんなんだろうね。﹁天性の誑かし﹂とかそんな感じの称号は 持ってないはずなんだが。 ⋮⋮今のはさすがにフラグじゃないよな? ﹁こういうのってなんて言うんだっけ。無償の愛?﹂ ﹁いきなり宗教臭くなったな。アガペーかよ﹂ ﹁そういえば愛の女神様を崇め奉る団体の協議には、そんな言葉が あったわよ。私はそんなのには全く係わってないけど﹂ ﹁⋮⋮聖書とかもありそうな気配だな﹂ ﹁あるわよ? 旧訳と新訳が﹂ そこまでくると愛の女神の名前はマリアに違いない。ひどくヨー 206 ロッパライズされた世界観である。まあここイタリアっぽいしなあ。 ﹁いずれにせよ、これだけ色んな意味で愛してもらってるんだ。俺 だって出来る限りメイには返していかないとなあ﹂ ﹁別にこれといってはないわよ? その、ユキトと一緒にいられれ ば⋮⋮﹂ ﹁あのー、エスプレッソがいつの間にかカフェオレくらい甘いんで すけどー﹂ ﹁あ、もちろんティアラも一緒にいて欲しいな﹂ ﹁甘いのも悪くない﹂ ﹁変わり身早いなおい﹂ ﹁そうでもしないと、この雰囲気に耐えられない。周りの視線的に﹂ 言われて周りを見渡すと、少ない客はこぞって視線をそらしてい た。おk、把握。 ﹁これはどうも失礼いたしました﹂ そしてそそくさと退散する。ブラックのコーヒーを飲まれていた 方には大変申し訳ございませんでした。 まあ、何にも解決してないし、ただ先送りしただけなんだが、そ ういうことだって世の中にはあるさ。まるで政治家みたいだなあ。 でもそうやって人間は生きてるって事でもある。 *** 207 ﹁町並みとかは本当に今でもイタリアとかでありそうな感じなんだ よなあ﹂ そそくさと退散した後、特にやることもなく街をふらつく。建物 も道路も基本は石造りで、似たような光景が続くのだが、それが異 国情緒を感じさせてくれる。ただし異世界情緒は感じさせてくれな い。 大通りでは中央を馬車が行き交い、両端の建物一階の店には様々 なものが置かれているが、割と普通と言えば普通である。魚屋、肉 屋、八百屋、飯屋、花屋、道具屋⋮⋮そういった普通のものシリー ズ意外に時折武器だとか防具だとか魔法具だとかの店があるあたり は、さすが異世界と思えるのだが、違和感なく溶け込んでいると中 々気づきにくい。 ﹁そういやそろそろ武器と防具一式を買い換えたいんだけど。さす がにニュービー向けの装備は卒業した方が良いだろ﹂ ﹁確かにね。都市連邦内ではそんなに大変な目にあう事はないとは 思うけど、念には念を、ね﹂ というわけで、適当に武器屋にはいる。最初の武器を買ったとこ ろは割と整然とした店だったが、今回の所は個人商店といった趣で ある。床には雑多にものが置かれていて、高そうな剣だとか槍だと かは壁に掛けられている。店の主人はというと、奥まったところで 椅子に座り居眠りをしている始末である。 ﹁ユキトはまた剣にする?﹂ ﹁まあなあ。別にこれといってこだわりはないし、テンプレよろし くポン刀でないと、ってわけでもないし⋮⋮切ることが出来れば、 まあ﹂ 208 ﹁今の安物でも切り飛ばしてるんだから、普通のクラスを買ったら どうなることやら⋮⋮﹂ ﹁普通のでいいよ、普通ので。ここで無駄にアイスソードとか手に しても殺されるだけだし﹂ ﹁そのアイスソードが何かはわからないけど、ユキトくらいの腕だ ったら鉄じゃない方が良いと思うわよ?﹂ ﹁例えば?﹂ ﹁例えば鋼鉄とか、合金とか、あとはダマスカスとか。重たいけど タングステンとか。金に糸目をつけないなら希少金属もあるけど、 コストパフォーマンスは悪いわね﹂ ﹁なんか普通の素材だなあ。ミスリルとかないわけ? あとはオリ ハルコンとかアダマンタイトとか﹂ ﹁ミスリルなんて剣には向かないわよ? 軽いし、柔らかいし。常 時魔力を流してればいけるけど、そうじゃないならただの銀と一緒 よ。そしてあと二つは希少金属だから高いわ﹂ 念願のミスリルソードもあまり手に入らないらしい。仕方ないの で、壁に掛けてあった中で片手で振り回せる程度の長さ・重さの鋼 鉄剣を購入する。試しに枝を切らせてもらうと、確かに最初の剣よ り切れ味がよい。西洋スタイルの剣なのに切れ味とはこれ如何に。 ﹁ティアラはどうするんだ?﹂ ﹁んーあんまり物理で殴るキャラじゃないから、最低限の護衛用の 短剣さえとりあえずあればいいかな﹂ というわけで、ティアラも鋼鉄のダガーを購入。ちなみにメイは 王家に伝わる装備品シリーズらしいのでこんな街中で上回るものが 見つかるわけもない。 防具品に関しても近くのところで皮シリーズから変更。今までの は普通に牛皮だったが、今回はミスリルを糸にして織った服一式に、 209 急所部分にはよく分からん魔物の素材を使った胸当て、腰当て、膝 と肘のプロテクターを装備。動きやすさは皮シリーズからは相当改 善されており、加えて多少の斬撃やら打撃やら魔法やらはダメージ カットをしてくれるそうである。さすがファンタジーである。ちな みにティアラはやはりミスリル糸のローブで、羽としっぽが出るよ うに細工をしてある。インナーもミスリル糸製品で、何か俺より金 が掛かっているが、まあそんなもんである。古今東西異世界問わず 女性の服飾金が掛かるのは共通仕様なのだろう。 出立が近いので、旅路の必需品も買いそろえていく。キャンプセ ット的なサムシングは、登場機会がまだ一度しかなく非常に影の薄 いハイテク馬車にある程度備わっているので、タオルだとか下着な どの消耗品、それから各種ポーションと食糧、飲料である。食糧や 飲料に関しても異空間にポイすればいいので、保存性だとか容量を 気にする必要は無い。次の目的地である南隣の都市、ハーメストま ではおよそ三日、山越えや川越えも無い平坦な道のりらしく、両脇 の森にさえ入らなければ魔物を見かけることがないのは数日前に説 明したとおりである。 ﹁あ、ティアラの分の金だらいも買わないと﹂ ﹁またかよ金だらい﹂ ﹁でも人数分ないと洗濯に不便だし、湯浴みもしにくいし⋮⋮﹂ ﹁まあ、普通の用途に使う分にはいいのではないでしょうか﹂ ﹁普通以外の用途って何? パパ﹂ ﹁普通以外って、そりゃあ⋮⋮普通以外だよ﹂ 頭に落とす意外に、色んな液体の後始末とかさ、とはちょっと⋮⋮ そうこうして買い物しているうちに日はゆっくりと沈んでいく。 空が橙色に染まり始めた頃に、道ばたの出店っぽいところにいくつ かアクセサリーが並んでいることに気づく。近寄って見てみると、 210 普通に指輪やらブレスレット、ネックレスが売られていた。値段も 数千リアルから高くて五桁リアル。お値段的に、デパートの宝飾売 り場ほどではないがマルイとかで並んでいるラインナップ、といっ たところだろうか。 ﹁なー、こういうのって何か魔法付与されたりしてるのか?﹂ ﹁そういうのもあるけど、このお店のものにはないわね。魔法付与 アクセサリーなんて下でも六桁後半の値段だし﹂ ﹁なるほどね⋮⋮﹂ まあ、わりかし気軽に変えるシロモノ、ということだろう。せっ かくなのでメイとティアラにはどこぞのオープンハートっぽいネッ クレスを、あの姉妹用にはシルバーのシンプルなブレスレットをそ れぞれ購入し、メイとティアラにはこの場で首にかけてあげる。 ﹁うん、ありきたりだけど似合ってるよ﹂ ﹁⋮⋮ありがとう、ユキト﹂ ﹁ありがと、パパ。でもプレゼント買うの手慣れてるよね﹂ ﹁なんで生後わずかな期間の子が手慣れてるかどうかわかるんだよ ⋮⋮﹂ ﹁もはやあたしは実質年齢と精神年齢が一致してない存在だから。 実年齢は一歳、見た目は十二歳、そして中身は⋮⋮どれくらいだろ う?﹂ ﹁知らんがな﹂ ﹁ティアラと話してると、私とあまり変わらない感じなのよね⋮⋮ どういう仕組みなんだろ﹂ お つけると余計ダメだから﹂ ﹁パパの情報をおちんちんから吸い取ってるからね!﹂ ﹁だからちんちん言うな。 ﹁エクスクラメーションマークを音符マークに変えると⋮⋮?﹂ ﹁いや変えたって何も変わらねえよ﹂ 211 ﹁でもおいしそうに思えない?﹂ ﹁自分の精子をおいしいと思えるほど人間止めちゃいねーよ﹂ ﹁えー、あんなにおいしいのに⋮⋮ねえ、メイママ?﹂ ﹁う、うん、えっと、うん﹂ ﹁ここにも人間止めたやつがいたか﹂ ﹁人間じゃなくてエルフだけどね。たぶんメイママに吸精技能つい てるからだと思うけど﹂ ﹁⋮⋮私は果たしてエルフなのかサキュバスなのか⋮⋮﹂ なんだか種としての疑惑が持ち上がっているが、まあそこは触れ ない。 ﹁ユキトは買わないの?﹂ ﹁アクセサリーの類はなあ⋮⋮まあ、この機会に買うのもいいか﹂ ﹁じゃあ同じのにしようよ。おそろいで﹂ ﹁⋮⋮まあいいけど﹂ 個人的には男にオープンハートは似合わないと思うんだが、まあ その、なんですか、ちょっとばかりおそろいというフレーズに惹か れたので購入しようとしたら止められた。 ﹁これは私からのプレゼント、という形で﹂ ﹁あ! メイママずるい! あたしもまざる!﹂ ﹁はいはい。じゃあ二人で一緒に買いましょ﹂ なんだか男性店員からの視線が痛い。言いたいことはわかる。正 直俺も第三者視点手見れば同じ事思うはずである。すなわち俺、リ ア充。 ﹁はい、じゃあこれが私たちからのプレゼント﹂ 212 すぐその場で掛けるためにラッピングなどもされず、二人がかり で首に掛けて貰う。 オープンハートという開放感たっぷりの名前だというのに、ふん わり温かいのは何でですかねえ。 ﹁これでパパとメイママとお揃いだね﹂ ﹁⋮⋮うん、そうだな﹂ 握りしめてみると、やっぱりその名の通り心が宿っている、そん な気がした。 *** アクセサリー屋から離れる頃には、空の色は大半が橙色から青紫 へと暗く染まっていた。街灯には明かりが灯り、家路を急ぐヒトが 多くなり、飲食店、特に居酒屋的なところからは陽気な声も聞こえ てくる。そんな中を中央にティアラ、両サイドに俺とメイという構 図で進む。手をつないで歩いている様子は傍目からにはどう見える のだろうか。 宿までの道のりは基本的に大通りのみであり、道は明るい。だが、 一本路地の方に目を向ければ住宅地なのだろうか、街灯は少なく、 家からの明かりが漏れ出ているくらいである。人はいっぱいいるは ずだが、どことなく地方都市の寂れた商店街を思わせるような気配 もある。そのあたりは日本とかわらないなあ、などと中途半端な寂 寥感に襲われていると、手が強く握りしめられた。よく気づく子で 213 ある。 え、何、肩車しろって? ちょっと厳しいんじゃないですかねそ の成長ぶり的に、え、我慢しなさいってそうですか。 仕方なくえいやっとティアラを肩車すると、空いた左側にメイが 寄り添ってくれる。なるほど、もっと距離を縮めたかったのね。あ りがたい限りである。でも髪をぎゅっと掴むのは止めて欲しい。そ の、はげる。 痛い痛いと太股を右手で叩いたら、今度は足でぐっと締め付けら れる。ぐえ苦しいと思ったら、何だか前後上下に揺れ動き始めた。 そして気持ち上から聞こえる呼吸音が大きくなる。 ﹁⋮⋮人の上で盛るな﹂ ﹁むう、ちょっと新しい自分を発見できそうだったのに﹂ それは開いちゃいけない扉だからな。 なんてことをしていたら、ふと喧噪の中で微かに甲高い声が聞こ えた、気がする。 ﹁なあ、今⋮⋮﹂ ﹁ちょっと待って、多分私が一番聞こえるはず﹂ どうやらメイにも聞こえていたようで、辺りをしきりにうかがっ ている。 ﹁えっと、こっち!﹂ そして引きずられるようにしながら路地奥へと駆け抜けていく。 一つ、二つと角を曲がり表通りからはだいぶん奥に行った行き止 214 まりで、ようやく悲鳴の発生点へとたどり着く。そこで見たのは、 お約束ともいえる光景。 ﹁あああああっ⋮⋮!﹂ ﹁ほらすげーぜあの薬! 少し飲ませるだけででこんなに股が濡れ てきやがった!﹂ ﹁高いだけはあるな。さすがサキュバスの体液印だ。気体よりも即 効性があるし、さっそく⋮⋮﹂ 男が女の子を羽交い締めにし、もう一人の男がいそいそとズボン を脱ぐところ。足元には小瓶が転がっている。暗がりのためよく見 えないが、女の子の上着ははだけていて、結構豊かな胸元が見え、 スカートも下ろされている。 またサキュバス関係か。どうにも嫌な予感しかしない。そして男 連中は見覚えのある腕輪を身につけていた。 ﹁なあ、これ対処法は﹂ ﹁一緒﹂ アイシクルチェイン !﹂ ﹁ああもう! メイっ!﹂ ﹁ ﹁ぐぁっ!?﹂ ﹁な、なんだっ!?﹂ メイの氷拘束魔法でひとまず男たちを女の子から引きなはしてそ のまま拘束する。 ﹁なんだかんだと聞かれたら答えてあげるが世の情け、ってね﹂ ﹁パパそれ答えてないから﹂ ﹁いやつい言いたくなって⋮⋮﹂ 215 しまった、このセリフは敵役のものだった、とちょっぴり後悔。 ﹁さて、お前らに聞きたいことが⋮⋮ってもう死んでるし﹂ 色々問いただそうと思ったら、男二人は既に事切れていた。契約 の腕輪のせいであろう。悪質な事件の臭いがするが、こうもあっさ りと口止めをされてはなかなか厳しいものがある。まあその辺は警 察機構に任せればいい、のだが。 ﹁⋮⋮ダメだよユキト。もう完全にこの子、薬が回っちゃってる﹂ ﹁そりゃあな、見ればわかる﹂ 被害者の子はというと、その場にへたり込み、既に自分でオナニ ーを始めていた。レイラの時は効き始めるまで時間が多少あったが、 今回はそうはいかないらしい。手慣れている、のかどうかはわから ないが、はだけていた胸元に手を差し込んで、激しく胸を揉みなが ら、もう片方の手で激しく股間をかき混ぜている。 ﹁あ、ああっ、もっと、もっとぉ!﹂ かなり激しい動きで、あたりにくちゅくちゅと水音が響くが、ど うやら物足りないようで、うつろな目でもっと大きく快楽を得よう ともがいている。間違いなく下着は用を為さないくらいの惨状であ ろう。このまま医療機関に連れて行くと、その間に社会的に人生終 了となるのは間違いあるまい。 ﹁たぶん睡眠成分を添加してないタイプだし、液体のまま飲まされ てるからかなりキツいと思うよ。それこそパパが早く中に出さない と、人間として戻れなくなるかも﹂ ﹁⋮⋮防音装置と、あと出来るだけ周りから見えないように対策を 216 頼む。それとまた出くわしそうだから今度は解毒薬を作っておこう。 配慮 を頼み、女の子に近づく。 何だかあと十話くらいこの関係のパターンが出てきそうだ﹂ 覚悟を決め、周囲への 近づいてみると、女の子、というより大人の女性に近づいたくら いの曖昧な年齢の子だった。口は半開きでだらしない顔になってい るが、平時は恐らくきりっときつい印象を与えるタイプだろうか。 ややつり目がちで整った鼻筋、ほっそりとした顎、暗がりでもわか る明るめの茶色いセミロングの髪の毛。なかなかにきれいどころで ある。今は完全にメスの顔だが。 一歩、一歩と近づくと、うつろだった焦点が俺に、正確には俺の 下半身の中心に合わさっていく。 ﹁それぇ、その太いのぉ!﹂ ﹁⋮⋮今楽にするから﹂ もう完全に薄い本の﹁おちんぽ注射﹂そのものだが致し方ない。 服の隙間から一物を取り出すと、既に戦闘準備はOKで、なんとい うか申し訳ない限りである。自制が効かないオトコノコなのだ。 近寄ってかがみ込むと、女の子は自分から下着を脱ぎ去り、足を 広げてその中心、濡れた秘部をさらけ出す。ひくっと口が開く度に 奥からしとどに愛液が垂れてきて、お尻のあたりは小さな水たまり を形成している。 上から覆い被さるようにすると、彼女の方から足を腰に絡みつけ、 ぐいっと引き寄せてくる。ぶつからないように調整しつつ、先端を 中心にあてがうと、よりいっそう身体を引き寄せられて、あれだけ 濡れているにもかかわらず狭い中をミシミシとこじ開けるような感 触が亀頭を通じて伝わってくる。また、である。どうやって責任を 取ればいいんだろうかね。 217 ﹁ああああっ!﹂ 身体を押し沈めて、というよりも半ば下から押し込まれるように 挿入が進み、最奥までたどり着く。奥の壁にたどり着いた途端、薬 のおかげだろうか彼女は一際高い声を上げ、激しく身体を震わせた。 処女だろうが何だろうがおかまいなし、さすがサキュバス印である。 国を滅ぼすぞ、コレ。 こちらからは何もしていないが、逆騎乗位みたいに下からぐいぐ いと何度も押し込まれてくる。かなり無茶な体勢のはずだが、おか まいなしにぐっときて、ぎゅっとなり、びゅっとなる。チョーさん か。 あまりにもアレなので、そのままぐるりと身体を回し、正式な騎 乗位に移行すると、待ってましたと言わんばかりに彼女は激しく上 下運動を繰り返す。 ﹁ああっ、ああっ、ああっ!﹂ ここまで来ると自分が物言わぬ温かいディルドーになった気分に すらなるが、薬で気をやっている状態の子に性欲をぶつけるよりは 幾分精神衛生的にはよろしい。別名マグロ、ともいう。パシンパシ ンと肌を叩く音と共に、彼女の中からは液体がほとばしる。おかげ でおなかから下は水浸しである。こんな風にペニスの感触と思考回 路が切り離されているために、これだけむしり取られるような性交 にもかかわらずまだ射精感はやってこない。 ﹁ああ、イク、イク、イク!﹂ その間も絶えず彼女は腰を振り、そして時折絶頂に達する。だが、 まだ薬の効果は治まらないようで、痙攣が治まったと思うと再度腰 を振り始める。 218 ﹁あの、メイ、ティアラ、まだこの子治まらないんだけど﹂ なのでヘルプミー。呼び立てると、微妙に嫌な顔をしながら二人 が近寄ってくる。こればかりは申し訳ないとしか。 ﹁うーん、レイラの時みたいにやっぱりユキトが射精しなきゃダメ なんじゃない?﹂ ﹁うん、メイママのいうとおり、大抵中に出されるのが解放トリガ ーだと思うよ﹂ ﹁でも俺、いけそうにないんだけど﹂ ﹁もしかして:出し過ぎ?﹂ ﹁奪い取ったの誰だよ⋮⋮﹂ ジト目で見ると、二人ともそっぽを向いた。自覚はあったようで 何よりである。 ﹁もう。このままだとこの子がかわいそうだし⋮⋮ちょっとだけお 手伝いしてあげる﹂ そう言うと、メイは俺の横に寝転がり、こちらの上着を脱がして 肌を露わにし、乳首へと吸い付いてきた。きゅっと啄むように吸わ れて、性感帯、とまではいかないまでも股間の奥にむずがゆさが浮 かんでくる。 ﹁じゃああたしは反対側ー﹂ ティアラも同様に反対側で寝転がり、あいているもう一方の乳首 を吸い付いてくる。脇腹からへそ周辺まで指を這わせながら、ちゅ ーちゅー吸い上げてくる。若干、女の子の気持ちが分かる、かもし 219 れない。 ﹁んっ、あっ、あっ、あっ﹂ そんな周辺事情はお構いなしに、彼女はずっと腰を振り、ひたす ら快楽をむさぼっている。上着も脱げかけて、割と大きめなおっぱ いがぶるんぶるんと揺れているのは眼福だが、両サイドの二人の位 置的に手を伸ばしてつかむことは叶わない。それでもまあ、初めて 特有のきつい膣内と、初めてだったら持ち合わせていないはずの激 しい逆ピストンで、ゆっくりと射精感が高まってくる。すると自然 に腰が浮き、下から突き上げる形となる。 ﹁あ、あ、ダメ、あ、あ﹂ 突き上げる回数が増えるにつれ、自らのタイミングではない快楽 に襲われてるからだろうか。彼女の腰の動きは単調になり、突き上 げに身を任せるような状態になる。ここまできたらもうイけそうな ので、メイとティアラには離れてもらい、動きやすいように上下を 再度入れ替え、膝を抱えて激しく打ち付けていく。 ひたすら乾いた音と濡れた音と溢れる音が続いて。 ﹁あ、あ、あぁぁぁぁ!﹂ もはや何度目かも分からない絶頂に彼女は襲われ、その際の痙攣 をトリガーに、彼女の中へと精子を放った。 ﹁あ、あ⋮⋮﹂ お薬、の効果は絶大で、びゅっと中にはき出す度に紅潮した顔は そのままだが、瞳の焦点が徐々に定まっていく。つまり、今自分が 220 何されているのか、が把握できる、というわけで。更に言うなら確 かサキュバス印は錯乱中の記憶もばっちりだったはずである。 ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ 何も言えずに、つい見つめ合う。こんな時、どういう顔をすれば いいのかわからないの。ついでにいうと適切な台詞も分からない。 更に言うとパート2だが、未だに入れっぱなしで、一回頑張りだし たら収まりが付かないのがマイサンである。 ﹁⋮⋮あの﹂ そんな中、先に話しかけたのは彼女のほうだった。 ﹁ちゃんと覚えてますから、助けて頂いたのはわかります﹂ ﹁⋮⋮まあ、その、正しいと言えば正しい﹂ ﹁それはありがとうございます。それで、差し出がましいお願いで 申し訳ないんですが⋮⋮﹂ ﹁できる事なら何なりと。状況が状況とは言え、大事なもの奪って るのは間違いないし﹂ ﹁そうですか。では⋮⋮﹂ 出来れば訴訟とかそういう系統は勘弁して欲しいなあ、と思って いたら、衝撃の台詞が⋮⋮! ﹁ちゃんとしたところで、その、もっとお願いできます? 気持ち よかったので⋮⋮﹂ そういって顔をまた赤く染める彼女はかわいい、といえばかわい 221 いのだが⋮⋮ 右を見ると私知らないよーと言わんばかりにメイは顔をそらし。 左を見るとむしろウェルカムと鼻息荒くするティアラと目が合い。 正面に戻ると期待に満ちた視線とぶつかり。 俺は日もとっぷり暮れた天を仰いだ。このセカイ積極的な女の子 ばっかじゃね? 222 第10話 暗雲︵※︶︵後書き︶ お読み頂きありがとうございます。 223 第11話 マッドなサイエンティスト︵※︶ 第11話 マッドなサイエンティスト︵※︶ さすがにその場で二回戦、というわけにもいかないし、残り約二 名がうずうずし出したので、身だしなみを整えた後腰が抜けた彼女 を背負い、更に約二名の狼藉者だった物体を異空間にポイしてすた こらさっさとずらかる。目指すはホテル、ではない。先に警察であ る。 ちなみに例の衝撃的なセリフの後、彼女はこうも付け加えた。 ﹁あと、初めてが自分から腰振ってあんあん喘いでいたっていうの がちょっとはしたないので⋮⋮﹂ それを理由にするのがはしたないと思わないのかね、キミ。 レイラの時と違い、今回は街中であり、彼女も冒険者ではない一 般ピーポーなので、警察機構であるところの衛兵の詰め所へ向かう。 詰め所自体は交番の如く街中に色々あるそうで、詰めているのは衛 兵、この町の軍隊である。町単独で常備軍を持つのは費用負担的に 厳しそうではあるが、雇用促進の面もあるそうで、特にお巡りさん 的な衛兵は、他の軍属より幾分基準やらトレーニングやらが緩いそ うである。とはいっても治安機構なので精神的な部分は相当たたき 込まれるそうだが。伝聞部分なのでそうが多すぎて躁になりそうだ。 ﹁実は最近、こういった事件が多発していまして。未だ解決出来て 224 おらず、被害者を出してしまい申し訳ございません﹂ 調書作成を担当した女性衛兵は、本当に申し訳なさそうに彼女に 謝罪していた。ちなみに彼女のお名前はジュリア・エイベルという そうである。今更感満載である。 ﹁私の場合は、その、乱暴にされることはなかったので﹂ わずかな傷 で済んだと書かれてある。もちろ 調書には連中に連れ去られ変な薬を飲まされ、俺たちの介入で連 中が死に、彼女は んわずかな傷が何なのかは書かれていないが、サキュバス印の薬物 が使われているという最重要項目は当然記載されているわけで、自 ずと何があったかはわかってしまう寸法である。いわゆるセカンド・ レイプとなるわけだが、その点をあっけらかんと語ってクリアした ジュリア嬢はなかなかに懐が深い。 但し、実は痴女というだけの可能性も否定できない。何といって も、この後ホテルまでついてくると言ってはばからないのだから。 さらにいうなら思い出の上書きエッチをして欲しいとまで言ってる 訳なのだから。やっぱ痴女か。 ﹁そ、それはその、不幸中の幸いというか﹂ 衛兵もしどろもどろになるというもんである。この世界において、 サキュバス印関係の事件で女性被害者となれば、肉体的に死ぬもあ るし、さらには辛うじて肉体的には無事でも精神的に死んだといっ てもおかしくない状態になることが多いそうで、薬で強制絶頂な上 に、散々に犯されることとなり、薬からは回復しても日常生活に支 障があったり、あるいは望まぬ子を産むことになることもあるそう だ。 だというのに、彼女は少し頬を赤く染めるだけで、事も無げに事 225 実を語っているわけだ。衛兵だって困るに違いないし、薬の特効薬 がつい先ほど、という事を加えれば、内心では想像してしまっても おかしくない。事情を配慮してくれたのか、対応しているのは女性 衛兵だが、まあその、もじもじするのはやめようか。色々滾る。机 で隠れてなかったら股間部分をガン見してしまいそうだ。 ﹁ただ、実際この数日、詰め所には数件同様の案件が入ってきてい まして、被害者はいずれも女性で、その、見るに堪えない状態と言 まだ 運が良かったといえます﹂ いますか、そうなってしまっているんです。ジュリアさんの場合は、 本当に ﹁詰め所だけじゃなく、ハローワークと生協にも似たような案件が 冒険者がらみで入ってるはずだよ。少なくとも俺が一件、街の外で 同様の事例に出くわして被害者を保護してる。ホシが契約の腕輪で 死ぬところまでな﹂ ﹁そうでしたか⋮⋮街の内外で、となるとこれは早急に協議をして、 街全体で解決しなければなりませんね。連邦にも通知しないと⋮⋮﹂ 女性衛兵の顔が険しくなる。こんな得体の知れない薬が出回って しまえば、それこそこの街にモラルハザードが起きる。一箇所で成 功すれば、次は爆発的に増えるに違いない。この大陸が快楽地獄と なるパターンが容易に想像できる。 ﹁犯人、というか後ろ側に何らかの犯罪集団がいると思われるので、 そちらの調査も進めなければなりませんが、対処療法として予防薬 を見つけないと行けませんが⋮⋮﹂ ﹁街の外の盗賊連中は予防薬を渡されていた。あのときは噴霧して 使ってたから必須だっただろうけど、今回の奴らは液体だったから か持ってなかったな。作るは難しいんだろうか﹂ ﹁そうですね、私も専門ではないので詳しくは分かりかねますが、 基本的に無効化する薬も、魔物のサキュバスの体液から作られてい 226 るはずです。魔物のサキュバスはあまり生息数が多くはありません から、予防薬の製造、というよりも前段階として研究が難しいんで す﹂ 養殖 が行われている ﹁そんなシロモノなら数件も犯罪行為で使われてることを考えると ⋮⋮﹂ ﹁考えたくないんですが、その、どこかで のかと﹂ 養殖。およそヒトとは結びつかない言葉ではあるが、出そろった 状況証拠から思わずティアラを見てしまう。彼女は母親のサキュバ スと一緒に逃げてきた。色々と繋がる部分がありすぎる。 ﹁うーん、たぶん真祖になったせいでそれより前の記憶がはっきり しないけど、今の話を聞いてると、パパの考えてることはビンゴじ ゃないかなあ。ママはきっと、あたしを連れてそこから逃げてきた んだ。魔物だから言葉はしゃべれないけど、誰かとコミュケーショ ンがとれたら全部ばれてしまうから、連れ戻すなり殺すなりの追っ 手もいた、と﹂ ぺらぺらと喋ってはいるが、ティアラの目には怒りが浮かんでい る。 ﹁これは予想以上に厳しい事態かもしれません。すぐに上の者につ ないで、大規模な捜査を開始します﹂ 詰め所を出るとき、女性衛兵は強い意志を込めて、俺たちに告げ た。 227 *** 夜の街を歩き、ホテルに戻り、ご飯を食べて貸し切り風呂でひと っ風呂浴びて、部屋に戻ってようやく一息つく。 ﹁⋮⋮本当にここまでついてくるとは﹂ ﹁お風呂も一緒に入ってたのに、今更な台詞だと思うんですが﹂ いや、だって、一人だけ別で入れっていうのも、ねえ。仲間はず れみたいで嫌ですしおすし。 ﹁それに何ですかあの丁寧な洗い方は。自分でもあんなに丁寧に洗 ったことないですよ﹂ 実家 でもそこまでされたことないもん﹂ ﹁あー、ユキトって本当お風呂で身体洗ってくれるの丁寧にしてく れるよね。 三人とも顔は上気している。そりゃあもう丁寧に洗わせていただ きましたとも。既に経験済みのメイとティアラはまだマシだが、ジ ュリアは風呂場では完全に事後の状態だった。拭けば拭くほど溢れ てくるもんだから、ついつい拭きまくってしまったのである。不思 議なこともあるもんですなあ。 ﹁それであの、まだ十分潤ってますので、早速⋮⋮﹂ だもんで、約一名かなりせっかちな方がいらっしゃるが、理性の あるうちに色々とやらなければならないことがある。 ﹁なあ、ティアラの体液から、予防薬作れないか?﹂ 228 例のサキュバス印への対抗策である。正直、見えないところでま だ会ったこともない女の子が毒牙に掛けられるのはもうどうしよう もないとして、何かあってメイとティアラ、あとまあ名前を知って しまったのでレイラにアリサ、そしてジュリアに薬禍が襲いかかる ことがあったらと思うといても立ってもいられない。なんてったっ て既に約二名は被害に遭っているのだし。あ、でもティアラには効 かないか。 ﹁うーん、パパだったら薬学技能持ちだから出来なくはないと思う よ。体液の組成だったら魔物時と変わってないと思うし﹂ ﹁そういえばユキトは持ってたわね。でもどうやったらそんな技能 を持ってるわけ? 向こうでは薬剤師か何かだったの?﹂ ﹁いや、趣味で薬学事典持っててそれ読み切った。それだけ﹂ ﹁本読んだだけでできるのかなあ⋮⋮﹂ 知らんがな。ただ、パターン的には出来そうな気配ではある。 ﹁だいたいだ、化学反応って知ってるか?﹂ ﹁何それ?﹂ ﹁知らないだろ? まあ色々説明すると長くなるんだが、おそらく 複雑な過程を経なくても濃縮と何かの添加でサキュバス印は再現で きるだろうし、メインの成分は体液の中だろうし、そしたら余計な こと考えずに体液の成分を無効化できればどうにかなると思うんだ よな﹂ ﹁なるほど⋮⋮私が全く分からないって事は、おそらくユキトの言 うとおりのようね﹂ ﹁あ、あの、私にはよくわからかったんですけど、結局どうするん ですか?﹂ 229 ジュリアの問いに、俺はにこやかに笑顔を浮かべてある物を掲げ る。 ﹁ひたすらこれにティアラの体液を集める﹂ ﹁⋮⋮それ、金だらいですよね﹂ ﹁イエス。集めてよし溜めてよし掛けてよしの万能金だらい﹂ ﹁私の知ってる使い方とは違うんですが、え、これに?﹂ ﹁そういうこと。さてティアラ、やることはわかってるよな?﹂ ﹁さすがにパパ、これはちょっと恥ずかしいんだけど⋮⋮﹂ ﹁まあまあまあまあ﹂ ベッドにぽんと金だらいを置き、よっこいしょとティアラを抱き かかえてベッドの上に上がる。その勢いで、二人にティアラの下半 身の服を脱がせてすっぽんぽんにして、後ろから抱きすくめながら 金だらいの縁にお尻を載せて、脚は開いてやはり縁に乗るようにM 字。 これで採取体制は万全である。どう溢れても金だらいに溜まる寸 法だ。しっぽがうねうねと動いて思わず掴みたくなるが、我慢して 指を這わせると、割れ目は既に湿り気を帯びていた。ゆっくりと摩 ると、湿り気はすぐに水気に変わる。 ﹁なんだ、準備はばっちりじゃないか﹂ ﹁ううっ、だって、その、メイママとジュリアに思いっきり見られ てるし⋮⋮﹂ 位置的に、メイとジュリアはお向かいさんである。何が為されて いるのかもばっちりなお向かいさんである。 ﹁ティアラちゃんのアソコ、すごくヒクヒクしてる⋮⋮﹂ ﹁うわ、もう垂れてきたよ﹂ 230 メイの言うとおり、割れ目からはわき水のようにあふれ出してい て、重力に逆らえなかった分がひゅーっと落ちて、ほんのわずかず つだが金だらいに湖を作っていく。 ﹁さて、ティアラ。自分でやるかい? それとも俺がやるか?﹂ ﹁パパぁ⋮⋮﹂ 我ながら意地悪な質問だったが、振り向いての上目遣いカウンタ ーであっさり撃沈する。呼び方も相まって背徳感が半端ない。長野 でだって色んな意味でアウトだろう。 選択の余地のないご要望にお応えして、ゆっくりと割れ目の両サ イドをさすっていく。手の平には、時折自己主張の激しい突起に触 れた感触がある。手の平は極力動かさず、振動を与えながら指の動 きを速くしていくと、蕾は更に大きさを増す。 ﹁んんっ、んーっ﹂ 快感を与えるのは手段であり目的ではないのだが、そんなことい ったって嬌声が上がるのを聞いていれば自ずと感情は高ぶってくる。 端的に言うとみwなwぎwっwてwきwたwww。むしろ長くなっ てるじゃないか。 少しずつ手全体の動きを大きくしていく。ほんの少しだけ浮かせ ながら指を蜜壺へと差し込み、溢れる雫を掻き出していく。 ﹁や⋮⋮掻き出しちゃ、あっ⋮⋮﹂ 個人的なイメージとしてサキュバスは性的快感への耐性が強いと いうのがあったが、この子は全く持ってない。普通である。少しク リを弄って膣内をかき混ぜればすぐに感度は高まる。軽く手のひら 231 を押しつけると、その感触で身体はピクピクとひくついた。軽い絶 頂に襲われたのだろう。 ﹁あ、あぁ⋮⋮﹂ ティアラは放心状態になるが、如何せんまだまだ質量的な意味で 足りない。 ﹁あ、ダメ、今いったばかりで、あああっ!﹂ せめて底面が埋まるくらいにはならないとなあ、と懇願もお構い なしに指を出し入れしていく。クリトリスもなかなかだが、ティア ラの場合膣内の浅いところを指で押し込むと強く感じてくれる。何 度か三本指では収まりきらない肉棒を突っ込んでいるというのに、 未だに一本指でも強く締め付けてくれる。 もう片方の手で上着のボタンを外し、前をはだけさせ胸元に手を 差し込む。膨らみの先端は下の突起物同様に激しく勃起していた。 指で摘まんでクリクリと転がすと、上からと下からのダブルアタッ クでティアラの顎が自然と上がり、口が半開きになる。 ﹁あ、あああっ、乳首つまんじゃ、んんーっ﹂ もはや力は抜け、俺の身体に完全にもたれ掛かっている。それで もこんこんとわき水が溢れ、金だらいに注ぎ込まれていく。指の動 きを早め、くちゅくちゅと水音が聞こえるくらいにかき混ぜながら ざらついた部分を擦り上げていくと、一呼吸置いた後に今度は大き くティアラが達した。 ﹁あっ、また大きいのが、ああっ、らめっ、あああああっ!!﹂ 232 ガクガクと震え、金だらいの中身がぶちまけられそうになるのを 脚で必死に抑えながらぎゅっと片手でその震える身体を抱きしめる。 指が引き抜かれるのに遅れて、ぷしゅっと潮も吹き出し、何割かは OBとなりながらも金だらいに降り掛かる。今更だが出てくるとこ ろとか成分とかが愛液と潮じゃ違うんだが、この世界でわざわざ分 けるようなことは考えないだろうととりあえず無視する。 ティアラの痴態を見てスイッチが入ったのだろう。メイは服を脱 いでいて、膝立ちのまま自らおっぱいをいじり、股間に指を這わせ ていた。膝でシーツがしわくちゃになっているあたりには、黒いシ ミも広がっている。さすがエロフ。ジュリアはさすがにそこまで言 ってないものの、うつぶせのまま太股を摺り合わせているので、履 きっぱなしのズボンの股間部分にはシミが出来ているだろう。 金だらいには、水深はわずかながらも全体に溜まっている状態で ある。今後の検証やら何やらを考えると、当然足りない。 ﹁さあティアラ。ワンモアセッ!﹂ ﹁あ、らめっ、ああっ、あああっ!﹂ 再度指を挿入し、激しくピストン。高いところから降りることな く次のステージに進んだためか、Gスポットを刺激する度にぴゅっ、 ぴゅっと噴き出してきては指を叩き、金だらいへと落ちていく。先 ほどまでよりも速いペースで、目に見えるくらいに水深は深くなっ ていく。 何度か大きな絶頂と潮吹きを繰り返し、金だらいに十分に溜まっ た頃には、ティアラは嬌声をあげることしか出来なくなっていた。 溢れないように慎重に金だらいから下ろし、ベッドに仰向けに寝か せる。頑張ったねのご褒美と謝罪をかねて口付けすると、はあはあ と荒い息を吐いてへばっていたくせにすごい勢いでちゅーっと吸い 付いて、こちらの唾液を飲み干していく。まだまだ元気じゃねーか。 やっぱりサキュバス。100回イッても大丈夫。 233 ﹁さすがに100回はちょっと﹂ ﹁そいつはすまんかった﹂ ﹁パパには鬼畜紳士の称号を授けようと思います﹂ ﹁やめろ! 最近怖くてライブラ見てねえんだからな!﹂ 閑話休題。 ここからが検証本番である。とりあえず金だらいでチャプチャプ しているものを口にしてもいいようにだけ魔法で無毒化︵ついでに においも消した︶し、飲みやすいようにオレンジジュースをグラス に入れて用意し、そこに少し混ぜ込む。おそらくもっとも単純なサ キュバス印のできあがりである。 ﹁さて、ジュリア﹂ ﹁は、はい! ってもしかしなくても飲むのは私ですよね﹂ ﹁そこは消去法で。ティアラは本人だし、メイはエロフ⋮⋮違った、 ああ なるんですよね﹂ ティアラの加護付きだから、よく考えればサキュバス関係の効かな さそうだし。後で検証はするけど﹂ ﹁う、ううっ、でもコレ飲んだらまた ﹁まあそこは、まあ。というか多分ではあるんだけど、治療薬的な ものの原材料ははっきりわかってるんだよ。ただまあその、投薬方 ああ なるんですよね﹂ 法に数パターンあればなあ、と﹂ ﹁でも、 ﹁大丈夫! 俺はもう既に見てるから﹂ そういう意味ではないんですけどね、と呟きながら彼女はグラス を手に取り、一気に飲み干した。 ﹁⋮⋮よく考えればティアラちゃんの体液、私飲んでるんですよね。 ティアラちゃん普通に言葉も通じるけど、角とかはその魔物っぽい 234 し、何者なんです?﹂ ﹁あたしはパパの精子を元に育ったサキュバスの真祖﹂ ﹁語弊を招く言い方をするなと言いたいが、実際そうだしなあ。つ いこの間保護した時はまだ魔物だったし﹂ ﹁⋮⋮これは果たしてティアラちゃんがちょっと違ったのか、それ ともユキトさんがおかしいのか﹂ ﹁パパがおかしいに一票﹂ ﹁味方はいないのか!? あ、メイがいた⋮⋮いや、お取り込み中 なので止めておこう﹂ エロフさんはやっぱりエロフさんだった。さっきの膝立ち体勢か ら身体だけ倒して、お尻を突き上げながらくちゅくちゅしている。 正直目の前がお尻だったら実験をポイしてツッコミたいだったが、 あいにくこちらに向けているのは頭側。理性さんの勝ちである。子 猫とじゃれるように指を顔の前に持って行くと、ちゅーちゅーと吸 い始めた。何だろうこの保護欲と性欲が混ざり合った感情は。 ﹁⋮⋮そういやまだ効果が出ないな。純粋な魔物じゃないからダメ とか?﹂ ﹁それはないと思うけど。もしかしたら添加することで即効性ので るようなものがあるかもしれないけど、基本は同じだと思うよ﹂ ﹁どうなんだ、ジュリア﹂ ﹁そうですね、前回みたいにすぐには⋮⋮っ!?﹂ 大方のお約束通り、効果がないと思ったら突然やって来たパター ンである。 ﹁あ、ああああ⋮⋮っ!﹂ 声を漏らしながらも、何かに耐えるようにぎゅっと腕で身体を抱 235 きしめている。だが自然と始まった身体の震えはだんだんと大きく なり、がたがたとベッドを揺らすくらいになった時、膝立ちとなた ジュリアの身体は頭から膝元までピンと伸びきり、そしてベッドに 倒れ伏した。 ﹁これ、さっきのよりも、すごい、よぉ﹂ 何もしていないのに絶頂に達してしまったらしい。 ﹁何コレ。実は他のやつはあれで症状を抑える添加物が入ってたの か、それともティアラのだから強力なのか﹂ ﹁真祖だし、後者かも﹂ ﹁それを平気でぺろぺろしてた俺やメイはいったい⋮⋮﹂ ﹁今なら加護のおかげだと思うけど、最初のころは単純に耐性が勝 っていたんじゃないかな。あとメイママの場合はエロフだから関係 なかったとか。パパも大概だと思うけど﹂ ﹁何だろこの試合に勝って勝負に負けた感は⋮⋮﹂ 阿呆な会話をしているうちに、ジュリアの状態はどんどん酷いも のになっていく。上半身は反脱ぎで下は何も身に纏っておらず、ど こぞのエロフさん同様乳首を摘まんでは秘部に指を押し込んでは引 き出してを繰り返している。 ﹁もっとぉ、足りないよぉ!﹂ 蕩けた顔をこちらに向けてくる。うーん、薬のせいとはいえさっ きまで初物だった子とはとても思えない。やっぱり素質があったん じゃないか? ﹁で、どうするのパパ﹂ 236 ﹁さっきも言ったとおり特効薬の材料は多分だけどわかってるんだ。 サキュバスの吸精技能を促すための補助効果が体液に含まれてると 考えたら⋮⋮﹂ ﹁くるみぽんちお﹂ ﹁逆から言うな。まあ、そういうことだろ?﹂ ﹁なるほど⋮⋮でもそれじゃあ結局一発やられないと済まないんじ ゃ?﹂ が効かないかなあ、と。あと今は試せ が効くんだったらなおよし﹂ 投薬 投薬 ﹁だからせめて経口 ないけど、事前 ﹁でもそれ、恋人がいるならともかく、そうでない子には厳しいん じゃない?﹂ ﹁⋮⋮どこかでミルクタンク工場を作ってだな﹂ ﹁パパの考えも大概だと思うな﹂ 正直ソコまで考えていなかった。まあコスト度外視するなら耐性 を貫通されなよう限りなく底上げできるようなアクセサリーの類い を身につけたらどうにかなるだろ、うん。そんなものあるかどうか しらないけど、きっとあるだろ、ファンタジーだし。 実験 を始めようじゃないか﹂ ﹁あ、逆にあんまり考えてなかったのか﹂ ﹁うるさいやい。まあともかく、 おもむろにジュリアに近づき、逆向きに身体を倒して肉棒を取り 出しジュリアの顔の前に持って行く。 ﹁ユキトさんの、おちんちんだぁ﹂ するとすぐさまジュリアは飛びつき、頬に含んだ。 ﹁ん、んんっ﹂ 237 中から出てくるのを促すように、吸い付きながら亀頭に舌を這わ せてくる。ざらっとした感覚が敏感な部分に触れる度に、快感の信 号を放ってくる。本能が促す技なのかはわからないが、やっぱりつ いさっきまで処女だった子とは思えない。練習してたりしてないだ ろうな、これ。 やられっぱなしなのも癪なので、目の前にあるジュリアの秘部に 吸い付く。 ﹁んんーっ!﹂ どんどん中から溢れてくるものを、ずるずると音を立てて聞こえ るように吸い上げながら、舌で舐っていく。割れ目の麓のクリトリ スにも指を当てながら、擬音どおりペロペロ。時折舌を差し込むと、 その度にペニスが強く吸い上げられて気持ちいい。 ﹁んんっ、んんーっ!﹂ 薬の効果もあって、何度も絶頂に達してはその度に顔に生暖かい ものが色々と降り掛かってくる。呼吸が辛いのと、早く一回出して 場をリセットしようと、身を起こしてひたすらしゃぶられるのを眺 めていると、空いた顔にティアラが飛びついてきた。 ﹁んーっ﹂ あっさりと唇を合わせられ、中の唾液を吸い上げられる。その際 舌同士がふれて、まるで性感帯のように気持ちよさを覚えてしまい、 身体の奥から駆け上ってくる衝動に耐えられなくなった。 ﹁んんっ!? んんっ!﹂ 238 ついジュリアの頭を抑えてしまい、そのまま射精。最初は驚いて いたが、次の瞬間から一滴も零すまいと吸い上げては飲み干してい く。吐き出したものを全部飲み終えて顔を上げた時には、幾分瞳に 理性の光が戻っていた。 ﹁気分はどうだ?﹂ ﹁あんまりおいしくないです⋮⋮苦い﹂ ﹁誰が味について言えと言ったんだ⋮⋮その、落ち着いたかどうか だよ﹂ ﹁さっきみたいに、爆発的な衝動ではないんですが、その、ココが うずいていて⋮⋮﹂ そういってジュリアは下腹部に手を這わせる。 ﹁パパ、多分コレは普通に発情してるだけだよ。薬自体の効果は切 れてるんじゃないかな﹂ ﹁⋮⋮ジュリアはやっぱり痴女﹂ ﹁ななな、何を言ってるんですか! 薬のせいですって!﹂ 必死に否定するが、完全に通常運転だろう。サキュバス印が効い てる時は言語機能障害が出てくるもんなあ。具体的に言うと、みさ くら語しか話せない、とか。 ﹁まあとりあえずジュリアは痴女ということで、﹂ ﹁いや違いますから!﹂ ﹁⋮⋮どっちでもいいけど、もう一回コレ飲んで﹂ 涙目で否定するジュリアに、例のオレンジジュースを差し出す。 もちろん混じりっけ有りのほうである。 239 ﹁⋮⋮これ飲んだらまた同じじゃないですか﹂ ﹁いや、俺の勘が正しければ、今なら飲んでも効かない、はず﹂ ﹁それはまたどういった理屈で﹂ ﹁だって胃の中にいるだろ、俺の精子。いる間は効かないはずなん だよ﹂ ﹁なるほど⋮⋮﹂ 射精を促して吸精するためなんだから、既に満たされていれば起 きないであろうという寸法である。 ﹁⋮⋮わかりました。まあ発情してもユキトさんがいますしね﹂ ﹁どういう安心の仕方だ、それ⋮⋮﹂ そしてジュリアが飲み干す。先ほどは空白込み10行分くらいで 効果覿面となったが、はたして。 ﹁⋮⋮ちょっと身体は熱いですけど、何もないですね﹂ ﹁ほら、予想通りだろう? 成分とか入手方法はさておき、本気で ミルクタンク工場考えた方がいいんじゃないか、これ﹂ ﹁縁もゆかりもない精子を飲もうとする女の子がどれだけいるんだ ろう⋮⋮﹂ ﹁そこはほら、秘密の製造方法とかで誤魔化して。どうせ原材料の 表示義務とかないだろ? 行ける行ける。輸入業者だけ表示すれば オッケーってどっかのスーパーもやってた﹂ 労働力 が半端なく必要だし、衛 ﹁パパの言ってることがよくわからないけど、うーん⋮⋮﹂ まあもちろん本気ではない。 生面も問題である。胃でオッケーなら膣内でもオッケーだろうから、 恋人や夫婦は毎日中出しして後は封しておきましょうと喚起するく 240 らいしか出来ないだろう。図らずもエロフさんは自主的に防衛策を とっていたことになるな。 ﹁半分も掛けて導き出した結論がそれってどうなんだろう﹂ ﹁こまけぇこたぁいいんだよ!!﹂ なんてことをぐずぐずしていると、ジュリアの手が弱々しく上が る。 ﹁あのー、その﹂ ﹁はいジュリア君﹂ ﹁いきなりなんで先生っぽいのかはわからないんですが、その、﹂ 膝立ちのまま、ジュリアはもじもじと太股を摺り合わせている。 今日はこの光景を見るのが非常に多い。ついでにいうと、太股が濡 れてる事も多い。 ﹁言ってくれなきゃわからないなぁ﹂ ﹁ううっ、ユキトさん絶対わかってますよね﹂ ﹁いいやわからない。なあティアラ﹂ ﹁うん、わからない﹂ ﹁絶対親子だ、この人たち⋮⋮色々間違ってるけど﹂ まあ遺伝子情報的には似てるだろうね。思考回路も外見も。 ﹁ほらジュリア、言ってごらん﹂ 再度促すと、ジュリアは顔を赤らめながらもはっきりと要望を口 にした。 241 ﹁思いっきり、ユキトさんのおちんちんで犯してください!﹂ ﹁やっぱり痴女じゃねーか!﹂ もちろん、お望み通り行ったのは言うまでもないし、そのあとテ ィアラが続いたのも言うまでもないし、更に言うならエロフさんも といメイが散々お預け食らって耐えきれなくなり、涙目で人を押し 倒して騎乗位で激しく腰を振ってたのも言うまでもない。涙目で騎 乗位でぷるんぷるんおっぱいが震える光景というのは大変に眼福で あったことだけ付け加えておこう。さすが、エロフ。そのまま身体 を入れ替えて正常位で激しく犯してしまったじゃないか。 <楠木幸人/ユキト・クスノキ> 称号 ︵new︶鬼畜紳士︵紳士な振りして鬼畜で有り、鬼畜で有りな がら紳士。正直女の敵じゃないかな? 精神・魅力・調教技能に補 正プラス2︶ <メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア> ︵new︶真のエロフ︵説明不要。エロフ。精神・魅力・性技・ 精力・誘惑・魅了・耐性技能に補正プラス2︶ 242 第11話 マッドなサイエンティスト︵※︶︵後書き︶ お読み頂きありがとうございます。 243 第12話 ふりーだむまーけっと︵※︶ 第12話 ふりーだむまーけっと︵※︶ 夜が明けて朝、ぐったりモーニング略してグッモーニンである。 途中の二文字を略すだけで大きな違いがそこにはある。何だかここ 数日同じようなパターンとなっているが、果たしてコレを規則正し いと言い切っていいかどうかは謎だ。健全非健全の判別なら、全員 全裸の時点で間違いなく後者なのだが。 左腕にはひしっとメイがしがみつき、右腕にはジュリア。そして 上にはティアラが乗っかっていて、グッモーニンなマイサンがナイ ストゥーミーチューでインサートしている。朝からご立派と褒め称 えるべきなのか、それとも無節操を嘆くべきなのか。すっかり馴染 んでしまったティアラの中は、きつくもなくゆるくもなく、自然な 感じでこちらを包み込んでいる。快感と安心感が混じり合ったこの 感覚、やるな、サキュバス︵真祖︶。このままゆるゆるとおきたい ところではあるが、また無駄に5000字分くらいアレなアレにな ってしまうので、何もせずに全員をひっぺはがす。その際、ティア ラをメイの方にポイしたら、お互い何かの夢でも見ているのだろう か、ちゅっちゅと眠りながら口付けあいだした。そのままハンニバ ルな感じにならないことを祈りつつ、一つため息をついてからとり あえずは部屋の惨憺たる状況を解消するために、金だらいを取り出 すのであった。 キレイキレイしてさらには身体もキレイキレイしたところでジュ リアにはお帰りいただく。あの姉妹同様えらく渋られたが、﹁かぞ 244 くがいるだろう﹂と安元ボイスで説得した。こちらもやはり街を出 る時には絶対声をかけてくださいと、家の住所を渡してきてジュリ アは退室。残った二人はというと、綺麗さっぱりしてちゃんと衣服 も身につけてはいるが、ベッド上でごろんごろんとじゃれ合ってい た。本当だったら今日街を出るつもりだったのだが、こうなったら 今日は無理だろう。といか俺もゆっくりしていたい。 ゆっくりしていきたい!!! だけどもずっと部屋にいたところで不健全活動に精を出す︵ダブ ルミーニング︶のは目に見えているので、よそ行きの服に着替えた らメイもいそいそと着替え始めた。ティアラは節々が痛いというこ とでお留守番希望。おまえはおばあちゃんかとつっこんだら、そこ まで出す物出すように追い詰めたのはどこの誰だと言われてしまっ たので、メイを連れてそそくさと退散する。兵は拙速を尊ぶと昔の 偉い人も言ったから間違いない。 メイと腕を組みながら、朝の活気に満ちた街を練り歩く。時折殺 気の篭もった視線が飛んでくるのが心地良い。これぞリア充。 ﹁まだ出会ってからそんなにたってるわけじゃないけど、二人って 久しぶりな感じがするね﹂ ﹁まあ、確かに。バタバタしてるしなあ。出発も延びてるし﹂ 宿を出るときに延泊料金を数日分支払っておいた。チップも多め に弾んでいるのは、その、後始末ごめんなさいということである。 最近防音装置使ってるはずなのに、女性従業員の視線は相変わらず 熱いのは、まあ後片付けから想像しているのだろう。このおませさ んたちめ。 朝ご飯を宿で取らずに出てきたので、適当に喫茶店ぽい店に入っ て、適当にモーニングセットを頼む。パンにサラダにスクランブル 245 エッグに焼いたベーコンそしてコーヒーと、相変わらず異世界感の ない食事風景だった。もっとも、うげーっとなるようなものが主食 だった場合にはこの世界で生きていく自信がなかったわけだから万 々歳でもある。 特に行くあてがあるわけでもないので、店の迷惑にならない程度 にゆっくり時間を掛けて食べ終え、外に出る。先ほどよりも人通り は増え、街は賑わっている。軒先に並ぶものを眺めながらふらつく と、小学校の校庭くらいの広場に、多くの人が詰めかけていた。遠 目に見ると、なにやらテントも並んでいる様子だ。 ﹁あの年末のビッグサイトの島中みたいな混み方してるのなんだ?﹂ ﹁ビッグサイトが何かはわからないけど、多分フリーマーケットじ ゃないかな。定期的に商人じゃない人が集まって、それぞれがいら ないものを売ってるのよ﹂ ﹁なるほどね、それはこっちにあったな。ちょっと見てみようか﹂ 近づいてみると、日本のフリーマーケット同様、皿やら服やらよ くわからないがらくたやらが色々と並べられている。中には剣だと か鎧だとかもあって、見ているだけでもなかなかおもしろい。どち らかといえばいらないものを低価格で売り飛ばす、なんていうイメ ージが合ったが、こちらのフリマではなかなかいいお値段の商品も 並んでいたりする。中古品だけでなく、自ら作ったのだろうか、ぱ っと見新しく見えるものもちらほらと散見される。中には何に使う のか全く分からないものもあるが、まあこういうのは日本でだって よく分からんセレクトショップで見受けられたのだから、異世界名 産というわけでもないだろう。 時折気になるものが見つかるのはメイも同様のようで、足を止め てはテーブルに載せられた品々を観察している。食器の類より武器 や防具、アクセサリーのようなものに目が行きがちなのは、今彼女 が王女ではなく冒険者として地に足に付けているからであろう。隣 246 で一緒にふんふん眺めながら移動をしていると、ものすごーく目を 引く物を発見してしまう。 ﹁こ、これは⋮⋮!﹂ ﹁え、突然どうしたの、ユキト﹂ ﹁いや、ちょっとびっくりして、﹂ マッサージ器 見つけた物は、球体状のものに握る部分がくっついていて、握る 部分にはスライド式のスイッチが付いている。 ﹁お、お兄さん見る目があるね。それ私が作った よ﹂ 声を掛けられてそちらを見ると、店員、というか作成者は女性だ った。何だがぐるぐると渦を巻いた眼鏡を掛けていてその表情を伺 い知ることは出来ないが、声の調子や肌つやを見る限り二十代中盤、 つまり同年代といったところだろうか。顔つきは中々に整っている が、如何せんボリュームが足りない場所がある。何が、とは言わな いでおこう。それよりも。 ﹁これ、動力源は?﹂ ﹁握った人の魔力を微量だけ使う形だよ。だから補充とか一切無し !﹂ ﹁ふーん﹂ ぎ を付け まごう事なき電動マッサージ器通称電まである。いや、魔力で動 くから魔動マッサージ器略してマドマ、うん、最後に 加えたくなる。 ﹁使い方は?﹂ 247 ﹁そりゃあお兄さん、マッサージ器なんだからほぐしたいところに 使うわけだよ﹂ ﹁ふーん。例えば?﹂ ﹁それは⋮⋮肩、とか背中、とか。あてて気持ちいいところさ﹂ なんだか誤魔化し気味の回答である。 ﹁ちなみに自分自身で実験は?﹂ ﹁それはもうばっちり! あ、売り物とはもちろん別の物だよ。初 号期は水浸しで使えなくなったから、改良したこの二号機は防水も ばっちり﹂ ﹁ふーん﹂ やっぱりそれ目的であってるのな。ジト目で見やると露骨に目線 をそらされた。まあそりゃ、電マ違ったマドマでオナニーしてまし たって言ってるようなもんだしな。やっぱりこの世界痴女ばっかり じゃねーか。 ﹁え、ユキトはこれを知ってるの?﹂ ﹁まあその、うん、マッサージ器だよHAHAHA。よし店員さん これ買うから﹂ ﹁毎度ありー。そしてリア充は爆発しろ﹂ ﹁物騒な店員だなおい!﹂ いまいちよく分かっていないメイはきょとんとしたままだ。まあ この世界にそういう文化はまだ発展してなさそうだしなあ。 ﹁ちなみに、これの小さいバージョンはないのか? これくらいの サイズで﹂ ﹁5センチくらいで? それはさすがに作ったことないが、何に使 248 うんだい?﹂ ﹁そりゃまあ、3箇所に貼り付ける、とか﹂ ﹁⋮⋮その発想はなかった! これは急いで作って試して見ないと ! というわけでサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ﹂ ﹁どんだけ飢えてるんだよおい。あ、あと色はピンクがオススメだ から!﹂ 止める間もなく、余計なインスピレーションを受けた店員さんは 慌てて店じまいしてどこかに消え去っていった。ありゃ道楽で売っ てたんだろうな。にしてもどうして長治さんなんだ。 ﹁え、え、え?﹂ そして最後までメイは頭にクエスチョンマークを浮かべていた。 俺だって最後のサヨナラ連打は意味が分からない。 ﹁まあまあまあ。部屋に戻ったら早速使ってみようじゃないか﹂ ﹁え、使う? マッサージ器?﹂ ﹁まあまあまあまあ﹂ これは後の楽しみに取っておこう。その後の足取りが軽かったの は語る必要もあるまい。ふふふ。 *** とか言ってたらトラブル発生。ふふふの後、実に十数秒後、行数 249 にして七行後の出来事である。フラグ立てた形跡も一切ない、混じ りっけなし100パーセントトラブルである。ToでLoveなほ うのトラブルならウェルカムだったんだが。 ﹁ふふふ、実に美しいお嬢さんです。私の六十七番目の妻になりな さい﹂ そんな頭の悪いセリフ︵冒頭三文字は除く︶を放ったのは、金髪 をドリル上に固めた、三十手前くらいの男である。細身で、顔から 下はフランスあたりにいそうな感じなのだが如何せん髪型がおかし い。どこかの刑事の親戚だろうか。ぞろぞろとお付きの者と思われ るもの十数名が後ろに控えている。みんな無表情なのがちょっと怖 い。 もちろんメイの手を引いてスルー。触らぬ変態に祟りなし。 ﹁誰が変態だと!? そもそも無視をするんじゃない!﹂ ﹁あれ、何か変態が話しかけてきてるような﹂ ﹁変態と言うな! おまけに触らぬなんとやらと言ってたじゃない か!﹂ ﹁しまったつい伏せてた本音が⋮⋮﹂ ふとあたりを見回すと、あれだけ人通りがあったはずなのにぽか り俺たちの周りだけ空間が空いていて、実に風通しがいい。 ﹁またピエール男爵よ⋮⋮﹂ ﹁先月も三人無理矢理手込めにしたって噂があるぞ﹂ ﹁でも軍部の幹部だから行政府も手を出せないらしいな﹂ ﹁Aクラス相当の実力もあるらしいから余計たちが悪いとか﹂ ﹁女性関係以外は有能との噂もあるしね﹂ 250 遠くからの説明会話をどうもありがとう。おかげで何となくテン プレイベントに巻き込まれたのだろうと理解する。っていうかまず 軍やら衛兵やらはこいつを引きずり下ろすところからスタートじゃ ないか? ﹁える、知ってるか﹂ ﹁エルじゃないけど、知らないわね。向こうも知らないんだから、 少なくとも国政級ではないかと﹂ 名前ばれしないように念のため小ボケを入れつつメイに聞いてみ る。冒険者の格好をしているが、メイは紛れもなくユーフォリアの 第一王女である。国を背負うような連中なら知っているはずのこと を知らない、となればアンタッチャブルな存在でもあるまい。とい うか国際問題に発展しそうな場面じゃないかね、これ。名前は明か すわけにはいかないけど。 ﹁あいにく私はこの人の妻なのでお断りします﹂ メイは俺の腕を取り、はっきりと断りを告げる。まあ、その、ま だ結婚してはいませんけどね。しいていうならケッコンカッコカリ。 ん、メイのパラメータが上がりそうな気配が。 阿呆なことを考えていると、目の前のピエール氏はプルプルと震 え出す。お前はスライムか。 ﹁な、なんとこの私の妻になることを断るお嬢さんが六十六人もい るなんて﹂ ﹁思いっきり多いじゃねえか! つうかほとんど全員じゃねえかよ !﹂ 逆を言えば一人はオーケーしてくれたのか。うーん。事情が知り 251 たい。 ﹁仕方ない、出来ればやりたくはなかったが、十日ぶりにこの手段 を使うしか⋮⋮﹂ ﹁だから間隔がおかしいって、ってうぉっ!?﹂ 突如投げつけられた白い手袋に思わず驚いてよける。届け先を失 った手袋は、ぱすっと地面に落ちる。ひゅーっと突如風がふき、手 袋は舞い上がり、またぱすっと地面に落ちる。この間、全員無言。 おかげで風の音も手袋が落ちる音もよく聞こえる。 ﹁当たれよ!﹂ ﹁いや急に手袋が来たので略してQTK﹂ ﹁意味がわからないし貴族からの決闘申し込みを受けないなんて、 なんて無礼なヤツなんだ!﹂ え、そうなの? とメイを見てみると、首はぷるぷると左右に振 られる。 ﹁そんなこと言ってたら王族や貴族がやりたい放題だから、どこの 国も禁止されてるはず﹂ ﹁じゃあこいつが言ってるのは?﹂ ﹁ただのはったり、といいたいけど裏ルールでは存在してるわね﹂ えーなにその面倒なのは、と思っていたらピエール氏の身体がま すます震え、うがーっと大声で吠えた後お付きの人から剣を奪って いた。 ﹁おいヤバいぞ! ピエール男爵の強さは本物だ!﹂ ﹁ああ、また男が殺されて女が連れ去られるのか⋮⋮かわいそうに﹂ 252 完全に大事である。どうしてこうなった。 ﹁なあ、ついでにきくが、貴族は人を殺してもOKとかあるのか?﹂ ﹁そこまではないけど、後付け理由次第ではOKの国もあるわね。 ここは本当は違うけど⋮⋮その、賄賂とかもあるだろうし﹂ 実にありがちな話である。 ﹁正当防衛は?﹂ ﹁うーん、証明できれば大丈夫のはずだけど、でも貴族よりになり やすいのは確かね﹂ ﹁実に面倒な。まあどうにかするしかないか﹂ 行き当たりばったりという基本方針を固めた時には、思った以上 に素早いスピードで剣を振りかぶって突進してくるピエール氏が視 界に入る。 仕方ないので、メイに一緒に短距離転移をして貰い、ピエール氏 の背後に登場。続けて小声で土魔法を詠唱、一瞬だけ足元に絡みつ かせ、体勢を崩す。ほんの一瞬だったから、恐らく単にこけそうに なっただけに見えただろう。 このままこけてくれたら楽だったが、さすがにAクラス。あっさ り体勢を整えこちらに振り向こうとするが、再度小さく風魔法を唱 えて空気の力で軽く背中から押した後、後ろ向きに踏ん張った瞬間 に前から押し直すと、あっさり転んでくれた。 ﹁ちっ、高速詠唱か詠唱省略が使えるのか!﹂ 正解は両方だが、あえていう必要はない。あっさり転んだ割には 分析をしっかりしているあたり、最初は油断してたがさすがAクラ 253 ス、といったところだろうか。面倒である。なので勝利条件を固め てしまおう。 ﹁なあ、三つ確認したいんだが﹂ ﹁言ってみろ。聞くだけ聞いてやる﹂ ﹁一つ目。ここで俺が反撃して正当防衛は認められるのか?﹂ ﹁決闘の範囲内だ﹂ その決闘の範囲内に貴族云々が絡んでくるのか聞きたかったんだ が、さすがに言質はとらせてくれない。 ﹁二つ目。俺が勝った時のご褒美的なものは?﹂ ﹁名誉をやろう、と言いたいがさすがにそうもいかないので、手持 ちの金をやろう﹂ ご褒美はないに等しい。、と。やる気ゲージがぐんぐん下がる。 まあメイを渡すわけにはいかないのでそれでもやるんだが。 ﹁三つ目。敗北条件は?﹂ ﹁通常は死亡のみだが、ふむ、そうだな、参った、と言っても負け にしよう。命までは取らん﹂ ﹁それは反対に言えばあんたが死ぬか参ったと言えばこちらの勝ち なんだな?﹂ ﹁もちろん﹂ 命の取り合い以外の勝利条件が決定した。こうなると後はアレが 出来るかどうかだが⋮⋮耐性を貫通できることを祈ろう。 目に意識を持っていき、相手を見つめる。男なんて見つめたくな いんだがそうも言っていられない。少しばかり相手の瞳がうつろに なったところで、一言。 254 ﹁ 俺に敗北した証を立てろ ﹁参りました﹂ ﹂ あっさり前提条件の言葉を言わせて決闘終了。辺りは一度静まり かえった後、急速にがやがやと騒ぎ出す。その中でピエール氏は我 に返り、真っ赤になって怒るかなと思ったら、反対に顔を青ざめさ せていた。 ﹁耐性を貫通して催眠を掛けられた、だと⋮⋮?﹂ ﹁そゆこと﹂ やったことは簡単だ。ピエール氏の言葉が全てである。ある種本 家本元とも言えるサキュバスの加護のおかげで、調べちゃいないが 誘惑技能は限界突破しているはずである。そこんじょそこらの人間 じゃ太刀打ちできまい。 ﹁ということで、もう退散していいですかね?﹂ 相変わらずピエール氏の顔は真っ青のままだ。呼びかけにも応じ ないので、とりあえずお付きの人にどうですかねと尋ねると、微妙 に申し訳なさそうにしながら頷いてくれたので、メイの手を引いて 人混みに紛れ込む。同じ空を見てたってきっと大丈夫。 この手合いのイベントだとか登場人物は、後々再登場するんだろ うなあと、あきらめにも似た気分でため息をついた。 *** 255 その後はどうにか何事もなく、するすると宿に戻ってきた。部屋 に入ると、ある程度復活したのか、ティアラがえっちらおっちらと 体を倒すストレッチをしていた。ちょっとその仕草はアラサー感が 漂っているが、口に出したら大変なことになりそうなので自重する。 というかこちらも疲れたので横で一緒にストレッチをすると、ティ アラは怪訝そうにしていた。 宿のレストランで昼食を取った後、早速マッサージ器を使ってや ろうじゃないかと貸し切り風呂にみんなで向かう。一頻り体を洗っ てさっぱりところで部屋に戻り、青狸のようにちゃっちゃららんと 効果音付きでマッサージ器を取り出す。 ﹁それで、ユキト。どうやって使うの?﹂ ﹁まあ、普通はこうやって凝りやすいところにつかう﹂ ﹁ん⋮⋮ちょっと気持ちいいかも﹂ メイの肩に当ててスイッチを弱に入れると、ブーンと例の音をた ててマッサージ器が震え出す。真っ当に使えば真っ当に気持ちいい のは同じようである。しばらく当てては反対側を当てて、を繰り返 しながら、ふと現れた隙を見て、前側の丘の上にあるピンク色突起 にあてがう。 ﹁ひゃううっ!?﹂ いきなりの暴力的な振動が乳首に伝えられて、メイは大きく声を 上げた。なおも当て続けると、すぐに突起物の固さは増し、芯が感 じられるようになる。そこをくねくねと回しながら、ひたすら振動 を当て続ける。 256 ﹁あ、ダメ、あっ、乳首、んんーっ!!﹂ 割とあっさりと、メイは身体を張り詰めさせた。さすが電マ違っ たまどまいやもう面倒だ電マでいいか、ともかく、異世界だろうが 関係なくその効果は強烈である。張り詰めている間も外すことなく 当て続けると、メイの口からは悲鳴にも似た嬌声が上がる。 ﹁とまあ、性感帯にあてがうような使い方をするわけだよ﹂ ﹁うわあ、メイママのおまんこ、もうトロトロに溢れてきてる﹂ ﹁実況乙﹂ ﹁パパの場所からだと見えないもんね。ぐちょぐちょだし、すぐに 噴き出してきそう﹂ ティアラはメイの股間に顔を近づけ、じっと中から溢れ出してい るであろうものを眺めている。時折にへらと頬を緩めている当たり、 色々なものが怪しい。この子時折百合チックだからなあ、とか思っ てたら案の定吸い付いた。 ﹁はうっ!?﹂ ちゅーちゅーと吸い込む音と共に、びくんびくんとメイの身体が 跳ねる。果たしてこれは性行為なのかそれとも食事なのか、ティア ラの性質を考えると微妙なラインである。身体が跳ねる度におっぱ いも揺れる。揺れる物についつい目が行ってしまうのは男の性だし、 ついつまみたくなるのも男の性であろう。指で摘まんできゅっと軽 くひねり上げる。 ﹁あぅっ! ううっ、んんーっ!﹂ 257 二箇所を同時に責められて、メイの身体は二度三度と緊張する。 相変わらず感度良好でいじり甲斐がある身体だ。思った通りに反応 してくれるのが楽しくて、ついつい余計なことをしたくなる。余計 なことというか、当初プラン通りではあるのだが。 ﹁ティアラ、ちょっと顔どけて﹂ ﹁何をするの?﹂ ﹁これを、ここに、ね﹂ 震えたまま所在なさげになっていた電マを、割れ目の付け根で膨 れているであろう部分に当てる。 ﹁ああああああああああ!﹂ こうかはてきめんだ! 当てた瞬間にメイは大きな声をあげ、秘 部からはぷしゅっと潮が吹かれる。意に介さずに当て続けると、大 きく身体が震える度に潮吹きが繰り返され、一瞬にしてベッドのシ ーツは水浸しとなる。 ﹁あ、ダメ、これ、すご、ああっ、ユキトぉ、やめっ﹂ 甘い声で中断を懇願してくるが当然止めることはない。大きい波 に常に晒されているのか、メイの身体は緊張と弛緩を繰り返す。 ﹁ふぁ、ひっ、いっ、んんっ、んんーっ!!﹂ 絶え間ない快楽の影響でメイの顔は蕩けに蕩けきっている。ぱく ぱくと動くも口は閉じきることなく半開きで、涎がこぼれて柔肌に 筋を描いていく。 もう正直辛抱溜まりませんばい。 258 ﹁ティアラ、パス﹂ ﹁あい﹂ 電マをティアラに渡して、メイを静かにベッドに横たえる。すぐ さまメイのおなかに跨がり、クリトリスに電マを当て続けるティア ラを尻目に、そそくさと移動してピクピク痙攣しているメイの脚を 開く。それだけでぴゅっと潮が噴き出してきては俺を濡らしていく。 ﹁さあメイ、仕上げだ、ぞっ!﹂ 前議なんて当然必要もなく出来上がったメイの膣口にペニスを合 わせ、挿入する。すぐさま締め付けと同時に電マの振動が響いて伝 わり、頭の中を電気信号が駆け巡る。 ﹁あ、ユキトの、あっ、おちんちんも、ううっ、ふるえ、て、んぁ ーっ!!﹂ 外からの刺激が中に伝わり、中のペニスが震えて更に快感を増幅 させる。メイが感じている牝の悦びはいかほどのものなのだろうか。 震える膣内をペニスでかき回すと、普段よりも締め付けが激しく、 メイの痴態を見ているだけで先走っていたくらいだったために、あ っさり射精しそうになるのをぐっと我慢して堪える。 ﹁ああっ、ぴく、ぴくってぇ! おちんちんが、ああっ﹂ もはや何を言ってるかわからない。思考回路もショートしている のだろう。一突き一突きで中から飛び出してきて、もうぐっちょぐ っちょのめっちょめっちょのまま、ぐちゅぐちゅと眉間にしわを寄 せるくらいに耐えながらピストンを繰り返す。 259 ﹁ああ、だめっ、もうだめっ、あああ、ああっ!﹂ きゅーっと膣口から子宮口へ絞り出すようにメイの膣内が痙攣す る。最後に一突き押し込んで、俺は我慢の限界を迎えた。どくどく とあふれ出してくるものを一滴も残さぬよう中へと流し込む。 ﹁ああ、あつぃの、いっぱい⋮⋮﹂ 電マの電源を切って貰い、ペニスを抜き取ると、完全に緩んだ状 態になったのか、こぽこぽと白い液体がメイの中からこぼれてきた。 ﹁あ、もったいない﹂ 身をかがめて、その溢れてきたものをティアラが吸い込む。さす がサキュバスである。 ﹁パパ、これは危険だよ。メイママ、完全に意識飛ばしちゃって、 私がおまんこ吸っても全然反応してない﹂ ﹁まあそりゃ、電マだしなあ﹂ 電マ、恐るべし。 ﹁ところでティアラ﹂ ﹁⋮⋮何だろう、すごく、嫌な予感﹂ ベッドの余ったスペースに腰掛けて、ティアラを捕まえ背後から 抱きしめる。そのまま指を股ぐらに持って行くと、もちろんそこは 濡れていた。ついでにいうとメイのおなかの上にも跡が残っている。 260 ﹁これはどういうことだ?﹂ ﹁言わせないでよ恥ずかしい﹂ ﹁使い方間違ってるし、だいたい恥ずかしいとも思ってないだろう に﹂ ﹁さすがにメイママみたいになるのはちょっとってひゃうっ!?﹂ 問答無用に、濡れてる部分に電マを当ててスイッチオン。ブーン と音を立てて振動が始まり、抱きしめた身体が震えているのがよく わかる。 ﹁これ、きつっ、んんっ!﹂ さすがのサキュバスでも電マ無双は出来るようである。見ている だけで身体が仕上がっていたのはあるだろうが、身体に力を入れて 歯を食いしばり、ティアラは快感に耐えようとしているのだが耐え 切れていない。 ﹁んーっ、んーっ!?﹂ 身体を捩って逃げようとするが、そうは問屋が卸してやらない。 身体を押さえている左腕に力を込め、電マから逃さない。ひたすら クリトリスに振動を与え続けると、ティアラの顎が上がり、半開き になった口から舌がだらしなく外に出る。 ﹁あ、ダメ、パパ、でちゃ⋮⋮っぅ!!﹂ 一際大きく震えた後、中から透明な液体があふれ出し、電マに当 たって辺りに飛び散った。 ﹁あーっ!! だめ、だめ、とまらな、いよぉ!﹂ 261 気にせずに当て続けると、ぴゅーっ、ぴゅーっと何度も中から間 欠泉のように噴き出してきて、電マに当たらなかった時は見事な放 物線を描いて遠くへ飛んでいく。AVでもココまでのはないんじゃ ないですかね。透明椅子があったら、座面は愛液の湖に変わってい るだろう。そんなシーンAVで見たことある! 見事なまでにびちょびちょになって、ティアラの身体から力が抜 け、こちらに倒れ込んでくる。電マのスイッチを切って身体から離 すと、安心したのか、ふぅと息をついていた。多分そうやって気を 緩めたのがダメだったのだろう。 ﹁あ、やぁ⋮⋮﹂ ちょろちょろと、色のついた液体がティアラの股間から流れ出し た。止めようと身体に力を入れているのだが、身体は言うことを聞 かず、膀胱からの圧力に任せてちょろちょろからもう少しだけ音を 立てて飛び散っていく。 まあ、なんか俺の称号にそんなの付いてたし、致し方ないですよ ね。でもまあメイじゃなくてティアラの番だったとは。 微妙に臭ってくるので、こんなこともあろうかと、と出しっ放し にしておいた金だらいに魔法でちょちょいのちょいと隔離して、ト イレまでポイ。もう手慣れた。ベッドに戻ってくると、二人とも目 を閉じて眠っていた。ちょうど間が一人分空いていたので、失礼し ますと身体をもぞもぞとその間に横たえ、そのまま目を閉じた。 起きてみたら、夕暮れだった。 そして、手足をロープで縛られていた。頑張ればもちろん抜けら れるのだろうが、約二名が身体ごと押さえ込んでいるので動く余幅 262 があまりない。 ﹁ねえ、ユキト。この体験はユキトもするべきだと思うわ﹂ ﹁うんうん、パパにも是非﹂ ﹁いや、ちょっと待て﹂ 二人の手には、電マ。そして俺の下半身はすっぽんぽんのまま。 メイが電マのスイッチを入れて、ぶるぶるとそいつは震え出す。 ﹁それ、男には辛いから、つうか無理だって!﹂ ﹁パパ、やめてくれなかったしー﹂ ﹁問答、無用﹂ その後俺がどうなったかは語りたくもない。誰も喜ばないだろう し。 263 第12話 ふりーだむまーけっと︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 ※2015/02/10 11:30 場面がお風呂場のはずなの にベッドがワープしてきたあたりをつじつまが合うように修正して います。 264 第13話 狂奏 第13話 狂奏 悲劇の間を三行で表すとすると、 らめ、かんじちゃう! もうらめぇぇぇ! もう何も出ないから⋮⋮ となる。おわかりいただけただろうか。いくら精力技能が高くたっ て、品の悪いギャグ漫画ですらたらいに溜まった精液なんていう絵 面はあるまい。失ったカロリーもプライスレスである。ざっとカロ リー計算したが、恐ろしい数字が出てきたので非公開としよう。な んせ、単位が違った。カロリーメイトでも補えない。 ﹁死ぬ、間違いなく死ねる。死因:テクノブレイク、とかお悔やみ 欄に書かれるから﹂ ﹁大丈夫、サキュバスの加護のおかげで、えっちなことではそうそ う死ぬことはないから﹂ ﹁絶望した! 腹上死すら許されない状況に絶望⋮⋮いや別にしな いか﹂ さすがにもう体力気力その他諸々が限界値なので、どうにか片付 け終えた後、部屋に夕食を運んで貰い、ワインらしき酒を軽くあお った後は、すぐにベッドの上でみんなで並んで眠った。寝る時に入 265 れっぱなしじゃないとか精液まみれじゃないとか、数日ぶりじゃな いですかね。でもみんな素っ裸だったのは別に裸族だからではなく、 肌同士が触れ合っていていた方が寝付きがいいからである。誓って 疚しいことは思いはしてもしてはいない︵今夜だけは︶。 いや、おっぱいもんだりはしたけどな! 仕方ないよ、そこにお っぱいがあるんだから。おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい⋮⋮ そんなわけで、︵あまり︶汚れない状態で迎えた朝は実にすがす がしい。汚れっちまった悲しみに、などと中也さんごっこをする必 要もないし、今日もまた日は昇っているのだ。むしろここは新しい 朝が来たということで、一二三四と運動をすべきではなかろうか。 ラジオが欲しくなるな。 ﹁うん? 運動?別にいいけど、パパも朝から頑張るねえ﹂ ﹁いや腰振り運動じゃないし、くぱぁするのはやめなさい。ちょっ と勃っちゃうじゃないか﹂ ﹁え、ちょっと⋮⋮?﹂ ﹁⋮⋮まあ生理現象だし仕方ないよな﹂ 正式には﹁夜間陰茎勃起現象﹂というらしい。漢字が多くて中二 病心をくすぐる字面である。しかし当時の俺は何を思ってこんな字 面をググったんだろうか。違った、朝勃ちで検索したんだ。どちら にせよ何故検索した、俺。 ﹁何でか知らないけど、ユキトのおちんちんて握りたくなるのよね﹂ ﹁起きて開口一番のセリフがそれってどうなんですかメイさんや。 それと本当に握るのも止めなさい朝はちょっと敏感だから!﹂ やっぱりすがすがしさとは無縁だった。あんだけ出すもの出した 266 というのに朝からご立派様になっているのは誇ってよいことではな いだろうか、若さ的な意味で。 ﹁あ、ちょっとおっきくなってきた﹂ ﹁そりゃ握ってさするからだろ﹂ ﹁こういうのって、何となく応援したくなるよね。頑張れ、頑張れ って﹂ ﹁逆に萎えるから止めろ、つうかこのネタ天丼じゃないか?﹂ そんな若干茹だった思考回路はどうにか修正して、朝風呂でも浴 びようかと身支度して毎度恒例貸し切り風呂に向かう。相も変わら ず、時折すれ違う女性従業員の視線が熱い。そして主にその、股間 に向かってきてる気もする。 ﹁なあ、常時魅了とかってさすがにないよな?﹂ ﹁魔物の一部の種族特性としてはあるけど⋮⋮﹂ ﹁さすがのパパもそこまではないよ。防音装置がない時の声とかベ ッドメイク時の痕跡とかで、すごいことになってるのはわかってる から、ちょっと想像力豊かな人が妄想しちゃってるんじゃないかな。 住み込みの女性従業員も何人かいると思うけど、朝とかたまににお いがするもん﹂ ﹁なんのだよ﹂ ﹁一人で慰めた後、処理もそこそこに寝てるんだろうから、女の子 のにおいがするんだよね﹂ ﹁あ、それ私もわかるかも。顔赤い子ほどにおいが強かったりする のはそのせいなのね﹂ ﹁⋮⋮ややもすると最終日部屋に飛び込んで来そうなくらいのが散 見されるんだが﹂ ﹁フラグ立ておめでとう﹂ 267 食事 を そういう直接的なのはもういいから。間に合ってますから。オナ ニーでこらえておいてください。 風呂場でも特段何事も語ることはなく︵せいぜい一度 されたくらい。口で。もう慣れた︶、普通にさっぱりしてその後朝 食を取って、真面目に過ごす朝となる。真面目に、となればそこは やはり勤労に励むべきであろう。 ﹁ほんじゃ今日は依頼でもこなしに行くか﹂ ﹁ハローワークに行くとアリサさんに会いそうね﹂ ﹁⋮⋮今のメイママの台詞で確率が100%になったと思うな﹂ お約束のフラグ建築効果は絶大で、案の定ハローワークのカウン ターにはアリサがいた。一級建築士として認められることであろう。 ﹁やあ一日ぶり﹂ 自分で言っておいて何だが、違和感しかない。あれー、一日しか 間空いてないんでしたっけ−、二話半以上空けば普通二日三日空い ている気がするんだが、うーん。もっと困るのはその埋まっている 大半がよい子のみんなには見せられないよ! な状態であることだ が。別に困ってはいないか。 ﹁まだ出立されないんですか?﹂ ﹁んー、あともうちょっとはいるんだっけか﹂ ﹁宿泊代払ってる分くらいはね﹂ ﹁だそうだ﹂ ﹁なるほど⋮⋮﹂ 何がなるほどなのか、よくわからない。正確にはあまりわかりた 268 くない。 ﹁んで、今日は暇だから依頼でも受けようかと﹂ ﹁でしたら、ちょうどいいところに来られました。戦闘関係で腕利 きの方向けの緊急案件がありまして﹂ ペラリとアリサが俺たちに紙を見せる。書かれているのは北部の 森の調査。 ﹁但し、既に三組、未帰還者たちがいます。うち一組はCです﹂ C、となると仕組み上俺たちと大差ない連中、のはずである。そ れが未帰還、となるとただ事ではない。 ﹁⋮⋮俺らが担当できるレベルなのか、それは﹂ ﹁今この街にいる中ではユキトさんたちが一番上なんです。色々出 払ってしまってまして。実力もわかってますし﹂ ﹁たいそうな信用だ事で﹂ ﹁まあ、いざとなれば私がワープ使えばいいから大丈夫、かな﹂ 聞くところによると、数日前から不振な物音が森の奥地から聞こ えていたそうである。そこで調査隊を派遣したところ、一日で返っ てこれるはずの距離で返ってこないのが続いている、とのこと。 ﹁北側、ねえ﹂ 北側といえば、ティアラを保護したのも北、正確には北東方向の 街道から入ったところである。嫌な予感ばかりがしてくる。鬼門だ し。 269 ﹁まあ仕方ない、行ってみますか。報酬もまあまあだし﹂ 報酬額はこの街自体が依頼者ということもあり、なかなか良いリ アルが提示されている。紐化防止のためにもある程度は稼いでおき たい。どうでもいいけどこの通貨単位他のに変わらないだろうか。 毎回現実を突きつけられる気がして仕方ないんだが。ほら、レアル とか⋮⋮それはサッカークラブか。 ﹁気をつけてくださいね、本当に何があるかわかりませんから⋮⋮﹂ 心配そうなアリサには、周りの一瞬の隙を突いて軽く口付けする ことで返答としておいた。こんなことしてるからダメなんだろうが、 どうにも止められない。もう、と小さく非難の声を上げながらも、 アリサの表情は幾分柔らかくなっていた。 ﹁と、言うわけでやって来ました北側の森!﹂ ﹁なんでユキトはそんなテンション高いの?﹂ ﹁だってパパだし⋮⋮﹂ 誰にも通じないレポーターごっこをしながら、それでも辺りの気 配は伺いつつ北東方向の街道から調査エリアへと森の中で歩を進め ていく。出てくる有象無象は例によってさくさくと剣ではね飛ばし てていくことおよそ3時間。そろそろ昼ご飯だね︱というときだっ た。 ﹁ユキト、ティアラ、ちょっと待って。においがおかしい﹂ メイの制止で一同はその場に止まる。試しにクンクンと嗅いでみ 270 るが、あいにくとこちらにはまだその異変がわからない。次に鋭い のはティアラであり、ティアラも何かをかぎ取ったようだった。 ﹁メイママ、これって⋮⋮﹂ ﹁間違いなく血ね。それも大量に﹂ ﹁その言葉だけで気が滅入りそうになるなぁ﹂ 依頼内容は調査である。返ってこない+大量の血=飯マズなブラ ッディバスになりそうだからといって見ないわけにも行かない。と いうよりも、既に嫌な予感及びそれでも見に行かなければない勘が ひしひしとわき上がっているのだ。 そこから辺りの気配を伺いながら、一人でしばらく慎重に歩いて、 惨劇の舞台、のおそらく一つにたどり着く。 ﹁これはまた⋮⋮﹂ 悪臭と目を疑うような光景に顔をしかめながら状況を観察する。 森の一角は、酸化して黒ずんだ血に塗れていた。おそらく人であ ったろうパーツがバラバラに飛び散り、果たしてここに何人いたの かを数えるのすら困難である。胴体部分ですら二分、三分され、い くつかは地面にうち捨てられ、いくつかは枝木と一体化していた。 内蔵ははみ出ており、普通に生活していればテレビの中ですら見る ことがない状態である。多少この手のものに耐性があると自負して いる俺ですら、この類が初見だったとしたらこの場で嘔吐するなり、 気を失うなりしていたであろう。 ちなみに、メイとティアラは少し離れたところにおいてきている。 あまり分かれて行動したくないところではあるが、近づいて漂って きた血の臭いは尋常ではなかった。こんなものを女の子に見せるこ とはできまい。甘いと言われたってかまいはしない。 271 よくよく見ると、切り裂かれたハローワークカードもあったので、 拾い集めていく。全部の欠片がそろったわけではないが、名前など のつじつま合わせから考えて六人分。この場にいたであろう全員分 かを調べる術はない。頭ですら割られたりしてはっきりとした数が 分からないためだ。 切り裂かれた以外の死因は見受けられなかった。目に見えて分か るような毒物の痕跡もなく、散らばっていた荷物の中にも毒物らし きものはない。単純に、何者かに襲われた、のだろうか。いずれの 切断跡も鋭利、とまでは行かない刃物で力任せに切られたような感 じである。どちらにせよ、お近づきになりたいとは思えない。いく らチートだ何だと言っても、本当の意味での経験値なんてありゃし ないし刃物に勝てるとも思えない。温い盗賊団くらいなら昔取った 杵柄でどうにか出来るが、本職とか人外とかはさすがに相手にした ことはない。本気出すと金髪逆毛になる民族じゃないんだから、ピ ンチの類いには極力ノータッチで生きたい︵誤字ではない︶所存で ある。 調査を終えて、土魔法と風魔法でヒトだったものを一箇所に集め る。 ﹁⋮⋮せめて今後は、安らかな眠りを﹂ 祈りながら、火魔法で荼毘に付した。煙で襲ってきた何者かに感 づかれる可能性は当然にあったが、このままにしておけるほどまで は心が壊れちゃいない。ついでにいうとアンデッドやらゾンビやら で蘇りそうなフラグも見えてた。 二人の所に戻って、ハローワークカードを見せながら簡単に説明 する。 272 長 ﹁⋮⋮というわけで、ヤバいのがいるのは間違いないな。ついでに いうと、他の行方不明も似たような状況だろ﹂ ﹁ここは一度もど⋮⋮るまえに何か、くるっ!?﹂ ﹁ちぃぃっ!﹂ で斬りかかってきたので、慌てて剣で応対する。 案の定というか何というか、予想以上にヤバい気配のヤツが い爪 ﹁ウソ、索敵に引っかからなかった!!?﹂ ﹁ティアラ、とりあえずバフくれ! メイは追加オーダーいないか 確認とフォロー! 俺が食い止める!﹂ ティアラの補助魔法で幾分身体能力その他を向上させながら、襲 ってきたヤツの爪をどうにかいなしていく。 やっこさんはでかい虎だった。攻撃の瞬間だけ爪を長く伸ばし斬 りかかってくる。図体がでかい分威力も乗っていて、剣では防ぐの が精一杯である。 ﹁はあっ!﹂ このままではじり貧なので、剣で受けた衝撃を回転運動に変えて 蹴りをたたき込もうとしたが、あっさり回避される。 ﹁ウィンドブラスト!﹂ 死に体で相手の攻撃を回避できなさそうになったところで、メイ の援護射撃が飛んでくる。どこかの青狸の空気砲よろしく空気の弾 丸を飛ばしているのだが、攻撃を中断させこそすれどヒットには至 らない。身をかわすどころか、飛んでくる空気の弾丸を爪で切り飛 ばす芸当までしてくる。 273 ﹁こいつ知ってるヤツいるか!?﹂ ﹁知らない!﹂ ﹁同じく!﹂ 困った。誰か知ってれば対処法とかわかったかもしれないのに。 仕方ないので、じり貧覚悟で攻撃を受け流しながらじっと観察す る。モンハンよろしくパターンがあればいいんだがそんなものはな さそうだし、部位破壊できそうな部分も爪を除いて見当たらないし、 壊したところでリーチが短くなる程度だろう。 半泣きになりながらよく見ると、幾分体は汚れていて、所々傷跡 らしきものもあり、特に白毛の部分には赤いものがにじんでいた。 手負いでコレ、だとするとかなりまずい。 ﹁ティアラ! デバフ!﹂ ﹁ダメ、耐性強くて効かないよ!﹂ ボス戦よろしく、その手の魔法は効いてくれないらしい。ドラク エでだってもう少し効いたのに。 ﹁くそっ、んにゃろぉっ!﹂ ようやく速度に慣れてきて、どうにか正面切って迎え撃ち、一度 距離を取ることに成功する。物理が効かないなら、逃げ道のない魔 法で、というのはお約束だろう。 ﹁フリーズランサー!﹂ ﹁グラン・ライジング!﹂ 出の早い氷の槍を大量に浴びせつつ、後追いでメイの土魔法で大 274 量の土の塊を地面から打ち上げていく。土のせいで状態はわからな いが、多少のダメージは通ってもまだ終わりではないだろう。 ﹁ティアラ!﹂ ﹁わかってるよ! エクスプロージョン!﹂ 土の壁の向こう側で、爆発音が鳴り響く。効果時間の終了と共に 壁が崩れ見晴らしが良くなると、予想以上にダメージを受けた虎の 姿があった。ガルルと唸っていてやる気は十分だが、如何せん傷が 多いのだろう、それ以上こちらに近寄ってくることはない。 ﹁案外効いたな。既にダメージ入ってたからか?﹂ ﹁⋮⋮最近ライブラで見て無いから想像だけど、パパの精子吸収し てたから、全体的にパラメータが上がってるかも﹂ ﹁あ、それは私もあるかも﹂ ﹁もはや意味が分からん。それにしても⋮⋮倒しきるか、逃げるか 微妙なところだなあ﹂ にらみ合いは続いていて、できる事なら逃げておきたいのだが、 背中を向けた瞬間ズドン、という可能性も十分ある。どうしようか、 と考えることしばし。 急に虎の身体が光り出し、その姿がかき消えてしまう。 ﹁な、なんだ!?﹂ ﹁パパのその台詞、モブキャラっぽい﹂ ﹁んなこと言われたって、って⋮⋮女の、子?﹂ そして光が消えたと思ったら、虎は消え失せ、代わりにホワイト ゴールドの長い髪の、ぱっと見メイと同じか少し年上くらいの女の 子がぺたんと地面に座り込んでいた。 275 ただし全裸で。 傷だらけの身体ではあったが、致命傷になっていそうなのはない。 ティアラよりも少し大きめの胸を片腕で隠し、こちらをにらみつけ てくる。ちょっと上目遣いな感じになってるのが、その、今までの 戦闘も相まって、滾る。でもその前に混乱しなきゃ。 ﹁は? あ?﹂ ﹁⋮⋮ああ、ワータイガーだったのね﹂ ﹁何それ。いや、パターン的に虎と人の二形態持ちってのは分かる けど﹂ ﹁その通り、限られた時間の間だけ虎に変身できるよ。他にも色々 いるけど、普段は隠れて暮らしているか素性を隠して生活している から、有名な人を除いてほとんど見かけることはないわね﹂ ﹁なるほど⋮⋮﹂ まさにファンタジー。異世界物の定番はちゃんとおさえてくるの ね。 ﹁で、話は通じるのか? どぅーゆーすぴーくいんぐりっしゅ?﹂ ﹁後半はわからないけど、ちゃんと言葉は分かっている。ワータイ ガーと言っても基本は人間だ。あくまで特殊な魔法で変身してるだ﹂ ﹁相変わらずすげーな、魔法。万能すぎる﹂ その内禁断の魔法として錬金やら人口生命体やら出てきそうな気 配すらある。華麗にフラグを感じ取ったところで、本題に戻す。 ﹁それよりも、だ。何故襲ってきた?﹂ 276 変身が解けると力が弱まるのだろう、先ほどのように苛烈な歓迎 をしてくる様子ではない。だが答えたくないのか、視線が鋭くこち らを睨んでくるだけである。 ﹁だんまりか。ならもう一つ⋮⋮他の連中は何故殺した?﹂ ﹁他の、連中? 何のことだ?﹂ 口調が男のもののせいか、さっきからクッ殺という単語が浮かん できて困るが、もっと困るのは他の連中を知らない、というのが本 当のことっぽい、ということだ。彼女の目には困惑の色は浮かべど、 誤魔化している様子はない。面倒事警報が激しくアラートを鳴らし ている。 ﹁⋮⋮少し前、森の中で大量の切り裂き魔にあったような光景があ ったんだが﹂ ﹁何のことだ? 私は少なくとも、この森に逃げて来てからは誰と も⋮⋮まずい!﹂ ﹁な、なんだよ急に?﹂ ﹁あまり言いたくなかったが言わねばなるまい。私はこの森に、私 の仕える姫様と共に逃げ込んできた。だが、妙な気配を感じたので、 姫様には洞窟に隠れてもらって偵察しに来た。そして妙な気配をた どって見つけたのが、おまえ達だ。少し戦って帰ってもらおうとし ていた﹂ ﹁あれが少しかどうかは別にして、それなら切り裂き魔は別にいて、 隠れてる姫様の元に向かっているかも、と?﹂ ﹁少しでも可能性があるのなら、戻らねばならない。だが、私は変 身魔法の反動でしばらく身動きが出来ない﹂ ﹁⋮⋮わかったよ。連れてってやるから﹂ ﹁すまん。恩に着る﹂ 277 一応メイとティアラに確認を取るが、二人とも彼女を姫様の元に 連れて行くのは賛成のようである。相変わらずの急展開だが、知っ てしまったからにはどうにかしなければ後味が悪い。 ﹁メイ、何か着るものあるか?﹂ ﹁あるわよ、はいこれ﹂ ﹁すまん。助かる﹂ ﹁よし、じゃあ姫様の元まで案内してくれ﹂ 道中は彼女を背に負ぶって、足早に森の中を駆け抜けていく。背 中に柔らかい感触と、その、ぽっちが二つ感じられるが、死にたく はないのでノーコメントにしておく。 ﹁とりあえず後で色々聞き出すからな﹂ ﹁仕方あるまい。いずれにせよおまえ達に助けてもらわねばなるま いし、仮に悪意があったとしても魔法使い三人相手にはさすがの私 も太刀打ちできない﹂ ﹁それ、一人だとどうにかなったってことだよな?﹂ ﹁こう見えても騎士の端くれだったモノだ。ある程度なら経験と勘 でカバーできる﹂ ﹁経験値足りてないの見抜いてたのか⋮⋮﹂ ﹁わかっているものは、最初から全力だからな。最後の魔法連打を 最初からやっているとなれば話は違ったが﹂ 戦力の小出しはよくないよね、とはよく聞く話である。 ﹁そういえばさっきは俺たちを襲った理由を聞きそびれたんだが﹂ ﹁そんなもの簡単だ。護衛の最中で森の中で火の魔法を感知すれば、 嫌な予感もするだろう?﹂ ﹁それはご尤もで﹂ 278 火葬がよくなかったらしい。立場を考えればその通りである。 そんなこんなで駆け抜けることしばし。ようやく見えたその先に は、 今まさに、既に服を切り裂かれてほとんど全裸に近い状態の 女の子が、切り裂かれようとする瞬間だった。 ﹁っ!!﹂ 下手人は男だ。鉈のようなものを振りかぶっている。その鉈は既 に血に塗れすぎたのか、鈍い光すら纏っていない。だが、それでも。 人のモノとは思えない腕は、禍々しく膨れあがり、人外の力を持 っているように見える。そんなもので振られたら、たとえさび付い た鉈でも、あの死体達のようにしてしまうのは容易だろう。 ちらりと、男の横顔も見える。 全てがスローモーションで動いているように思えてならないが、 思考回路だけは加速していく。 男の顔は、赤く、滾っていた。 あの日の、男と同じように。あの、最後の日と同じように。 ああ、また俺は間に合わないのか? でも、ここなら間に合うだろう? 魔法がこの手に、あるのだから。 ピンときた刹那。きっと周りから見ていたら俺の姿がかき消えた ように見えたことだろう。 正確には、それが正しく正解なのだが。 ﹁うおらあああっ!﹂ 279 意識した次の瞬間、男と女の子の間に割り込み、振り下ろされた 鉈を剣で大きくはじいた。間髪入れずに、顎元を強く殴ると、男は 二、三歩よろめいた後、その場に崩れ落ちた。 ﹁っ⋮⋮はあっ、はあっ﹂ ﹁ユキトっ!﹂ 元々いた場所から、メイたちが駆けつけてくる。待ち構えていた いところだが、体中から力が抜けていく感覚に襲われ、立っている どころか意識を保つのも怪しい。 ﹁とりあえず、こいつを縛ってくれ。出来る限りきつく。でないと、 目が覚めたときに暴れてほどかれるから⋮⋮﹂ 懸念事項だけをどうにか告げて、俺は意識を手放した。 ﹁あ、今回初めてえっちなことしてないかも﹂ ⋮⋮最後に覚えてるセリフがこれって、どうなんだろうな。 280 第13話 狂奏︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 281 第14話 姫と騎士、決して姫騎士ではない 第14話 姫と騎士、決して姫騎士ではない どうして俺を罵ってくれないのですか? 俺があなたから奪ったとき、何もかもを壊してしまったというの に。 あなたはずっと、俺のそばにいてくれた。 何も出来ない俺のそばにいてくれた。 奪って、壊したのは俺なのに。 どうして俺を叱ってくれないのですか? 俺はあなたを助けることが出来なかったのに。 ただひたすら、血があなたから失われていく様を眺めるだけで。 俺はあなたを助けることが出来なかったのに。 なぜ、最期まで笑っていたのですか。 どうして俺を置いていってしまったのですか。 どうして俺だけが残ってしまったのですか。 教えてください。 282 ﹁知らない天井だ⋮⋮﹂ ﹁そんなわけないでしょう? ここ最近ずっと同じところで寝てい るはずだけど?﹂ ﹁いや、ちょっとお約束に乗っかってみたかっただけだから﹂ 気づいたときには宿のベッドの上であった。当然シンジ君になっ たわけではないしなりそうでもないしなりたいとも⋮⋮レイよりア スカ派。実にどうでもいい。ホント、バカ。夢でも罵ってくれない のだから二次元からの罵りくらい妄想してもいいじゃないか。つい でにいうともう一つあった選択肢は﹁こんなの絶対おかしいよ﹂で ある。もちろんおかしいのは俺の頭だろう。ずっと昔から壊れてい る。 天井が見えるということは仰向けな訳で、その状態で左腕がやわ っこくて温かいモノに包まれている。もちろん、メイのおっぱいで ある。何がもちろんなのか俺もわからない。だがフィット具合がた まらなくよろしい。そしてやわっこい。大事なことなので二回言っ てやった。 ﹁もしかして、HPも減ってたから回復を?﹂ ﹁ただやりたかっただけよ﹂ そうですか。素晴らしい。これだけで世界は平和である。 ﹁うみゅー﹂ 更に言うと、体の上には短い期間でももう既に慣れた重さの柔ら かいモノが乗っかっている。やだ、この子自分から肉布団になって ⋮⋮そういえば、﹁うみゅー﹂という言葉を文章で使うヤツは大半 がおっさんだという調査結果をネットで見た覚えがある。ティアラ とは、一体。本当は中身が別で元の世界の住人が遠隔操作してると 283 かないだろうな? そんなSO3的なフラグはいらない。あれのせ いでSO4には手を出してすらいない。 ついでにいうと、おそらくMP切れでノックアウトしていたとい うのに、朝を感じ取ったのかご立派さんがご立派な感じでご立派に なっていて、おまけにほどよく潤ったティアラの鞘にご立派に収め it be.そう、あるがま られている。ここまでくるともうエッチとかセックスとかじゃない な。ポリネシアンでもない、Let まに。ビートルズもまさかこう使われるとは思っていまい。 まあここまではよしとしよう。よしとしちゃいけない部分もよし としよう。なんだか出してる跡っぽいのが下腹部に付いてる気もす るがよしとしよう。さらにいうとここまでの登場人物は俺含めて全 裸である。今時密林の奥地ですら服を着るというのに、まあいつも の通りなのでよしとして、それよりも。 ﹁なあ、ティアラが俺の上で寝入ってるのはまあいい。インサート 済みなのもいつものことだ。この辺は窓の外を見るにまだ早朝っぽ いから仕方ないとして、さっきから後二つほど寝息が聞こえるのは 気のせいか?﹂ メイの向こう側に、例の虎さんから変化した女の子︵他に適当な 言葉が見つからなかった。まだ名前も知らないのだから。虎という 漢字を間違えてしまうと途端にフーテンになってしまうのが怖い︶ と助けた女の子が寄り添うように眠っていた。あのときは無我夢中 ためにまったくわかっていなかったが、女の子の方はティアラより 少し年上くらいのようだった。こちらの二組はさすがに服を着てい るが、いったいどういう気持ちで眠っている裸の男の周りにいるの だろうか。俺だったら少なくとも警戒して離れる。だってぶっちゃ けありえない。しまった、これだとまた一難がやってくるか。 284 ﹁ん? 起きたのか?﹂ しょうもないプリキュアごっこをしていると、虎さんの方が目を 覚ましたらしく、こちらに声をかけてくる。 ﹁ああ、別に何ともないみたいだ﹂ ﹁それはよかった。後、助けて貰った立場なのにこれをいうのはど うかとは思うが、その、姫様の教育にも悪いので服を着てくれない か? その子もだが﹂ 微妙に視線をそらして、顔を赤らめながら虎さん。ごもっともで ある。ごもっともであるが⋮⋮ ﹁こいつが起きるまで、無理。入ってるから﹂ 残念ながら上に乗っかっている子のせいでそいつは難しい相談な のである。いや、もちろんはずそうとすれば出来るのは間違いない が、その、ご立派様がご立派様でして、教育的にもあまり絵面がよ ろしくないのである。どっちもどっちだが。 ﹁⋮⋮私には経験がないからわからないが、その、寝ながら性交す るのは普通なのか? その子、途中で一度起きて、自然な流れで服 を脱いで脱がせて、頬張った後に股座に入れて、しばらく腰を動か した後また寝だしたんだが﹂ ﹁こいつが特殊すぎるから。普通ないから。そしてやっぱり事後か !?﹂ 人間、気絶してても射精できるって事なんですなあ。そういえば 夢精なんてあったか。 285 ﹁そ、そうか⋮⋮もしそれが普通だとしたら、男女の仲は大変なの だな、と思っていたところだ﹂ 声色だけは涼しい感じを装っているが、ちろちろとこちらを見や ってくる。ついでにいうと顔は赤いまま。つうか、それ、じっくり と眺めていたということをはっきり言ってませんかね。ああ、エロ いのに興味があるお年頃、と。つうか正直あり得ないと思いません かね。 ﹁つまりじっくり眺めてたって事ね。興味があるのかしら?﹂ ﹁なっ⋮⋮!﹂ とか思ってたらあっさりメイが言ってしまった。さすが俺の嫁、 以心伝心過ぎる。もしくは思考回路が同一。ハウリングを起こすま である。 でもあの、それってまたベッドインキャラが増えるパターンじゃ ないですかね。そろそろキャラクターが飽和するんですが。 ﹁そ、そんなことはないぞ! 別に興味など! ただ、その、その 子がゆっくりと腰を下ろした後、だんだんと顔をゆがめながら動き が速くなっていって、最後に背筋がぴんと伸びた後倒れ込んで眠っ ていって後には何とも言えないにおいだけが残ったのを嗅いでいた だけだ!﹂ ﹁具体的すぎるだろうが! どんだけ見てたんだよ! むしろじっ くり見てるじゃねえか! つうか嗅ぐなよ!﹂ そしてティアラ自重しろ。こいつの性格からして、間違いなく見 せつけるようにしてたな、きっと。そしてこの人はガン見して覚え たのであろうか、描写が具体的すぎる。おまけに視覚だけじゃなく 嗅覚も。ちょっと積極的すぎやしませんかねえ。 286 あ、シーツに隠れたままで脚がもじもじと摺り合わせように動い ている。言っててそわそわし出したな、この人。未経験で好き者。 この話変態しかでてこないのな! ﹁仕方ないだろうが! 実際に見たことないことが目の前で繰り広 げられたら見たくもなるだろう!﹂ ﹁ふーん、本当に見ていただけなのかしら?﹂ いやどちらかというとこっそり目をそらすのが普通じゃないか、 と言おうとしたらまたメイがぶっ込んでくる。対して虎さんはしど ろもどろ。おい、これ、もしかして⋮⋮ ﹁え、いや、その﹂ ﹁実は、私もそのとき起きてたのよね。さすがに目は閉じてたけど、 耳はばっちり仕事してたわよ? エルフだし。ティアラのじゃない 声とか、ね。声の様子から、3回くらいは少なくとも達してたみた いだけど﹂ ﹁ああああああ!? 気のせいです気のせいです! 本じゃなくて 実際の現場を見ながら一人でするのがあんなに気持ちよいなんて知 らないですから! というか挿れてもらいたい!﹂ ﹁おい、動揺しすぎて思いっきりばらしている上に、キャラが変わ ってるからな﹂ ﹁おかげで体の調子は整ったぞ﹂ ﹁話は一個も整ってねえよ!﹂ 話が進まないので、仕方なくティアラを下ろして︵むしろ外して︶ しばしの開放感を得た後、視線を感じながら身支度を調える。あれ か、肉食系女子か、虎に変身するだけに。いや、この例えだと俺が 色々な意味で食べられてしまいそうで怖い。同じ部屋でよく襲われ なかったな、これ。 287 ちなみにここまで、ダメ虎騎士が仕えているという女の子は目を 覚ますことがなかった。メイ曰く、身体的な疲労はもちろんのこと、 精神的なピークも重なってるために体がシャットダウンしているそ うで、まだ回復まで時間はかかるそうである。魔法があったりして もダメなモノはダメ。このあたり、この世界は厳しい時は厳しい。 まあ、そんなものも魔法で解決できるんだとしたら、ワーカホリッ クな現代日本人垂涎である。経済成長率が上乗せされるのではなか ろうか。 24時間働けますかというリなんちゃらのバブル期を彷彿とさせ るCMが浮かんできたところで、シリアスな話をはじめる。 ﹁とりおえず、俺が気絶したあとどうしたんだ? あの男は⋮⋮ま あどうなったか予想はついてるんだが﹂ ﹁先に男の方からいくと⋮⋮絶命したわ。ユキトの言うとおり縄で 縛り付けたんだけど、意識を取り戻したと思ったら激しく暴れて、 全身から血を噴き出して﹂ メイが教えてくれた結末は、やはり予想通りのものだった。 ﹁仕方ないからワープでハローワークからアリサさんとあと数名連 れてきて実況見分して貰ったの。遺体は今、解剖されてるはずよ﹂ ﹁もう少しで切れるんじゃないかと言うくらいに、縄がボロボロに もなっていた。縄を解こうと暴れてはいたんだが、直径1センチ以 上のでぐるぐる巻きにしていたんだが⋮⋮なんなんだ、あの力は。 魔法の力でもなさそうだったが﹂ ﹁ありゃあ⋮⋮薬だよ、多分。人間のリミッターを外させる効果と、 一時的に血圧上げて筋肉への酸素供給量増加の効果があるはずだ。 まあ、リミッター切れるせいで、用法用量を正しく守らないと、血 管の限界を超えて血圧が上がるもんだから、全身から血を噴き出し て死ぬ、と﹂ 288 ﹁何なのよそれ⋮⋮﹂ ﹁ドーピング、って言っても通じないかもだけど、薬で一時的に力 を上げようとするのは、古今東西世界すら問わずどこでも考えられ るらしいなあ﹂ もっとも、副作用まで一緒となると、こちらが考えているモノと 同一効果の品、であろう。化学反応ということが知られていないし、 魔法があるせいで火薬すらないこの世界の化学技術で、果たしてニ トログリセリン、ないしは硝酸エステル系の調合ができるのか。場 合によったら血管拡張作用のある魔法があるかもしれないが、さす がにニッチすぎるだろう。 ﹁いくつかの魔物の体液には、その手の作用があるとは聞いたこと があるな﹂ ﹁そうか、そのパターンもあったか。しかし毒殺用にしては使いに くい用途だと思うが﹂ ﹁わずかなら血管拡張なんだろう? その、大きくさせて搾り取る ⋮⋮その子がいるところで言うのもどうかとは思うが、魔物のサキ ュバス、とかにはちょうどいい用途だろう?﹂ ⋮⋮おいおい。今、猛烈に嫌な予感が緊急メール張りに警戒音を 放ちながら現れているんだが。そして相変わらずこの類いのには万 能すぎるだろサキュバス印。 ﹁ユキト、これって⋮⋮﹂ ﹁まあ、メイと同じ事考えてる﹂ ティアラが、正確には母親が逃げてきた辺りが今回のと密接に絡 んでいる悪寒がして致し方ない。というか、サキュバス印の薬の問 題もあれば契約の腕輪の問題もある。怪しいを通り越して反吐も出 289 やしない。 未消化フラグが残りまくって、そろそろ解消しなきゃ行けない気 配だなあ、などと思っていると。 ﹁そういえばその子、どっちのサキュバスなんだ? 思いっきり言 葉を喋ってはいるが、角あるし⋮⋮﹂ ﹁あー、何というか、元魔物、というか、後天的に変異したという か、魔族、ではあるか﹂ ﹁なるほど、よくわからんが、とりあえず魔物じゃないなら、とい うか魔物であっても人と同じ思考回路を持ち、挙げ句の果てに助け てくれたわけだ。何か行動を起こすなんて事はしない﹂ 若干脳筋臭が漂っているが、今回はオーケーとしよう。義理堅い 人間というのは、それだけで信用できる。 ﹁そいつはありがたい。いきなり娘に襲いかかってきても困るしな。 ところで、そろそろ自己紹介といきたいんだが。いい加減虎さん呼 びするのもどうかと思ってな﹂ もちろん脳裏には48作で幕引きとなった柴又のアレの音楽が流 れてくる。あれ、ここまでむしろ寅さん的なことをやってるといえ るのではないだろうか。テキ屋と冒険屋って似てる気もするし。い や、あれだと俺ずっと独身じゃないか! ﹁助けて貰った相手に対して失礼ではあるんだが、主から許可を得 るまでは教えることが出来ない﹂ ﹁なるほど、なら仕方ないな。お姫様の回復を待とうじゃないか﹂ 騎士というのも大変だにゃー、などと思いながらふとメイを見て みると、眠れるお姫様を見ては手を口に当てて何か思案中の様子。 290 ﹁何回見ても、やっぱり、いや、でも、間違いようがないし⋮⋮﹂ の が抜けてる気がするけど、多分、この子は⋮⋮﹂ ﹁メイ、知ってるか?﹂ ﹁なんか その時。眠り姫が目を覚ます。 ﹁ここは⋮⋮﹂ ﹁エルスの街のホテルです、姫。我々は彼らに助けられました﹂ ﹁そうですか⋮⋮ありがとうございます。おかげで無事、また一日 を迎えることが出来ました﹂ 体を起こしてこちらを見やっていた彼女は、そう言って頭を下げ た。腰元までありそうな長い銀糸が揺らめき、ベッドの上は光に包 まれる。ほっそりとした顎は今は見えず、代わりにちいさな頭のて 元 第一王女、レーファ・トラスフィア・レンス、 っぺんがこちらに向けられている。 ﹁レンス帝国 です。尤も、今はただのレーファと名乗るのが正しいのですが。そ してお久しぶりです、メイ王女様﹂ ﹁こちらこそ挨拶が遅れて申し訳ございません、レーファ王女様﹂ ﹁メイ王女様、もう私は王女ではありませんので、私に様付けは不 要です。お気軽にレーファ、とお呼びいただければ。差し出がまし いお願いをするならば言葉の乱れをお許しいただければ幸いです﹂ ﹁お許しも何も、というか、元、ですか﹂ ﹁ええ、元、です﹂ 元、王女。そして追われていた。これ以上ないやっかい毎テンプ レである。むしろガ板で﹁元王女が出くわす出来事のガイドライン﹂ 3スレ目くらいまであっさり埋まるくらいまである。言ってて意味 291 がわからない。 ﹁母は平民の出でしたから。正室の娘、といえど気にくわない方は それこそ星の数ほどいますから。母が病で亡くなってわずか数日で 父である国王を抑えて追い出された挙げ句、命まで狙われるとはさ すがに思ってもいませんでしたが。せいぜいどこか遠い伯爵か男爵 家辺りに嫁がされる程度だと考えていましたが、甘かったようです﹂ ﹁レーファ様⋮⋮﹂ 横で直立不動の姿勢を貫く虎騎士の声が震えている。どの平行線 世界でも、青い血赤い血戦争は繰り返される運命らしい。 人 として生きていることはなかったでしょう。 ﹁このフローラが私を背に乗せ城を、そして国を飛び出してくれて いなければ、今頃 フローラ、本当に感謝しています﹂ ﹁いえ、私はレーファ様の騎士です。忠誠を誓った日から、私はレ ンスという国ではなく、レーファ様の騎士として剣を振るってきま したから、当然のことです﹂ ﹁フローラ⋮⋮﹂ 肩をふるわせながら王女様が騎士に抱きつくと、騎士も優しくそ の体を包み込む。悲劇が彼女たちを取り巻いていなければ、ただの 美しい光景だと言えたのに。現実は真面目な人にすらデレてはくれ ない。 ﹁百合の花が咲いていると聞いて﹂ ﹁起きて第一声がそれかよ﹂ いつの間にか目を覚ましていたティアラが、俺の背中に飛びつき ながら耳元でアレな事を囁いてくる。 292 ﹁ここは一つ、メイママと一緒に対抗して﹂ ﹁ティアラ、さすがにこの状況で服を脱いでまではちょっと⋮⋮﹂ ﹁あの百合パワーに勝つには、肌色成分を足さないと難しい﹂ ﹁いや勝ち負けじゃないしそもそもどのあたり向けに対抗心を燃や してるんだお前は﹂ わけがわからないよ。そして何より残念なのは、この辺りの思考 回路は俺っぽいなーということである。正直少し考えてましたサー セン。 ﹁あの、私とフローラも脱いだ方がよろしいのですか?﹂ ﹁くっ、しかし姫の依頼とあらば⋮⋮!﹂ ﹁いや別に脱がなくていいし、おまえはおまえでセリフと表情一致 してないからなこのダメ虎。嬉しそうに服に手を掛けてるんじゃね えよ﹂ そして天然ボケとガチが場のカオスっぷりに拍車を掛ける。起き てからこの虎、エロ系評価が著しく下がることしかしていない。 ﹁な、ダ、ダメ虎だと!!? この私が!?﹂ ﹁お姫様がダウンしてる最中によそ様の行為を見て一人励んだ挙げ 句百合の人と来たらさすがにちょっと⋮⋮﹂ ﹁そ、そんな目で見るな⋮⋮﹂ ﹁さげすみで感じるな股間に手をやるなこのマゾ虎﹂ ﹁はうっ、何か新しい世界が開けそうな予感がする⋮⋮﹂ ⋮⋮えっと、守護騎士だった、ような。思わずレーファ元王女の 方を見ると、少し遠い目をしていた。 293 ﹁護衛としてはとても優秀なんです﹂ ﹁心中お察しします﹂ 好き者なのは元からだったのね。こんなのでも勤まるというなら ば、よっぽどこの元王女様の器が大きいか、もしくは適任者がいな いか、だろうか。 ﹁一応フローラの名誉のためにお伝えしますが、文武共に優秀です し、性格も一部を除けばとても良い騎士なのですよ。一部を除けば、 ですが﹂ ﹁その一部が大事な気がするんだが﹂ ﹁いえ、ここまでは酷くなかったんですが⋮⋮ああ、さすがに守護 騎士に対して罵倒する人間はいませんでしたから、あなたが、えー と﹂ ﹁あ、自己紹介がまだだったか、ユキト、ユキト・クスノキだ。つ いでにこのサキュバスは概念的な意味での娘のティアラ﹂ ﹁パパの精子を取り込んでるから、概念的じゃなくて肉体構成の一 部や思考回路の大半はパパ由来だよ?﹂ ﹁えっと、あの、なんだかとんでもないことを聞いたような気がし ますが、とりあえず、ユキト様がフローラの扉を開いたのではない でしょうか﹂ ﹁あ、ユキトの称号が久しぶりに増えた予感﹂ ﹁奇遇だな、俺もだ﹂ というかこの程度のちょっとした攻撃力高めトークで開花するっ て、もう元からダメだったんじゃないですかね。 このままMトークをしても深夜番組すらどん引きする内容になる 294 のは目に見えているので、ホテルの人に朝食を頼み︵レーファ元王 女の分は軽いモノをオーダーした︶、食事をしながら細かい話を聞 いていく。 ・逃げ出したのは今から一週間ほど前。スピードと小回りを重視し、 当初は馬に二人乗りでこのエルスを目指していた。 ・しかし、さすがに国境付近は軍隊がいるので、馬を手放し森の中 から突破することに。 ・幸いにも追っ手はいなかったものの、不穏な空気を察して身を隠 しながら偵察してたらご覧の有様だよ! 運がいいのか悪いのか。俺たちが依頼を受けて森に行かなかった ら、彼女たちは今生きていたかどうか怪しい。もっとも、俺が火葬 することもなかったので、少なくともダメ虎が元王女から離れるこ ともなかっただろうが。 ﹁それで、レーファ様は、﹂ ﹁ユキト様も私への様付けは不要ですよ。レーファとお呼びくださ い﹂ ﹁⋮⋮なら俺宛も様付けは不要だよ。メイはともかく俺ただのパン ピーだし﹂ ﹁果たしてユキトを普通の人間と同じ枠組みにしていいのかしら﹂ ﹁普通の人は金だらいにいっぱい、なんてことはないよ、パパ﹂ ﹁⋮⋮それで、レーファはこの後どうするんだ?﹂ 約二名の戯れ言は無視だ無視。ログを見たらまた妙なのが乗って る気がするが気にしない。 ﹁そうですね、ともかくレンスから遠い方、例えば南に行こうかと。 レンスや近場の国だと手を出してくるでしょうが、さすがに遠方と 295 もなればそこまでのコストを掛けることはないでしょうし。あくま で権力争いとブルーブラッドに関する感情だけでしょうから。中に は⋮⋮意地をはる方もいるでしょうが﹂ ﹁エルスの町も近いので安全とは言えない。レーファ様と共に、す ぐに南に向かうつもりだ﹂ 姫と騎士、二人だけの逃避行。字面だけなら話が盛り上がるが、 実際はただ地べたを這って生き延びるだけ、のことである。ただま あ、もう少し自由な翼が合ってもよいのではないか。 ふと、メイと視線がぶつかる。考えていることは同じらしい。テ ィアラも人の背中に文字を書いて意志を伝えてくる。が、それはく すぐったいので止めて欲しい。 ﹁もしよろしければ、ですが、私たちと一緒に南に向かいませんか ? ちょうど⋮⋮私も逃げてるようなモノなので﹂ ﹁ですが、私たちは追われてる身です。メイ王女様にもご迷惑がか かります﹂ ﹁大抵の追っ手なら大丈夫だし、私相手に何かしたら、さすがに国 同士のトラブルになるでしょう? ある意味なかなか優秀な盾にな れるわよ? あと私相手にも王女様なんていらないわよ﹂ ﹁いや、でも、その⋮⋮﹂ ん? 何だか視線がこちらを向いているような⋮⋮ 身をもって ﹁⋮⋮いつでも置き去りにして構いませんので、そのお言葉に甘え させていただければありがたいです。その、覚悟は 示しますので﹂ そういってレーファ嬢は、着ていた服を下着を含めあっという間 に脱ぎ去り、生まれたままの姿になりその場に佇む。ティアラより 296 もやや小さめの双丘に、淡い桜色をした蕾。成長期特有のなだらか な肌色の曲線。そしてわずかに茂った銀色。 思わず見とれてしまった後に、すぐさま理性さんがやって来て脳 内にてツッコミを繰り出す。 ⋮⋮なんでやねん。 <楠木幸人/ユキト・クスノキ> 基本情報 種族:人間︵エルフ・サキュバスの信愛︶ 性別:男 年齢:24 身長:180cm 体重:71kg 出身:地球−日本︵異世界︶ 職業:なし︵異世界の旅人︶ 能力 HP:2246︵2046+400︶ MP:2327︵2127+400︶ SP:2699︵2399+400︶ STR:45+20 VIT:32+20 AGI:48+20 INT:50+20 DEX:66+20 LUK:86+20 魔法 無:5 火:1 水:3 風:6 土:2 雷:2 氷:4 木: 297 1 光:1 闇:1 聖:1 魔:1 空:2 時:1 愛:1 技能 計算15 会計16 法律16 商売16 交渉16 話術8 教育11 学問11 工学4 細工5 鍛冶1 縫製4 料理8 調合2 薬学7 家事5 釣り8 大工4 農業3 乗馬4 船舶6 運転10 登山5 演奏6 歌唱7 描画2 彫刻1 立像1 書道1 剣術8 棒術2 槍術1 細剣3 短剣7 斧術2 武術8 柔術7 格闘7 回避9 見切7 防御7 根性6 命中6 投擲9 射撃9 弓術8 戦術15 戦略15 兵站12 罠師9 計略12 計画10 鑑定10 察知7 精神9 魅力8 ※性技11 精力12 誘惑11 魅了8 調教3 解錠1 0 隠蔽9 特殊技能 教職の心得︵教育者の資格を持つ者。教育技能に補正プラス1︶ 法律の心得︵法務の資格を持つ者。法務技能に補正プラス1︶ 商売の心得︵商売を経験した者。商売技能に補正プラス1︶ 武道の心得︵武道を経験した者。武術系技能に補正プラス1︶ 高速詠唱︵魔法詠唱を素早く行うことができる︶ 詠唱省略︵魔法の威力を落とす代わりに、詠唱の一部を省略する ことができる︶ 298 称号 逆境踏破者︵数々の逆境をくぐり抜けた者。ピンチ時全能力を2 倍に︶ 器用貧乏︵なんでもそつなくこなす、便利屋さん。あらゆる技能 を短期で取得することができる︶ 教育者︵教師としての経験を持つ者。自らの持つ技能に限り、自 らが望んだ相手が短期で技能を取得することができる︶ 短期マスター︵いくつもの技能を短気で習得したもの。あらゆる 技能を短期で成長させることができる︶ 弟子入り上手︵技は師匠から盗む者。他人の取得技能を短期で取 得することができる︶ 社畜︵24時間働けるあなたへ。睡眠時間が少なくとも回復する︶ 称号神︵人の称号を考えるのが大好き人間。自分以外の生命に称 号をつけることができる︶ 宰相の才能︵一国に一人欲しい大黒柱。宰相関係技能に補正プラ ス5︶ 将軍の才能︵一国に一人欲しい全軍指導者。将軍関係技能に補正 プラス5︶ 愛に飢えた獣︵愛情を注がれることなく育った者。全能力に補正 プラス10︵HP・MP・SPは200︶×愛情を注がれた人数分︶ 愛の伝道師︵惜しみない愛を注ぐことに道を見いだした者。愛情 を注ぐ相手の全能力に補正プラス<当人能力÷10︵小数点以下切 り捨て︶>を与える︶ 一流鑑定士︵何度も鑑定を行い、その技能を習熟させた者。物の 価値を正確に見抜く︶ 処女マスター︵何人も処女を絶頂に導いた者。性交相手が処女の 場合、相手の苦痛を取り除き快楽を与える︶ 異世界の旅人︵異世界から来た生命。異世界での能力・魔法・技 能を2倍︵上限10︶にして継承する。言葉・文字に困らない︶ 299 エルフを愛する者︵エルフ大好き人間。エルフ関連族に対して攻 撃関連技能マイナス1。対象のエルフが異性の場合、対象者に対し て性技・精力プラス2、精神マイナス1︶ エルフの信愛︵エルフからの信愛を得た者。信愛を得ている間、 対象エルフと同等の加護を得る。他の加護と相反する項目は項目ご とに長所を優先する︶ 腰軽男︵女性にころっとこけやすい。好みの女性に対して精神マ イナス3︶ ワンページファッカー︵すぐ異性に手を出す。好みの異性に対し て出会って24時間以内は性技・精力プラス3︶ フラグビルダー︵あらゆるフラグを立てる困りもの。お約束が発 動しやすくなる︶ 性なるランナー︵夜に頑張る人。精力に補正プラス1。精子の製 造量が増える︶ 女への独占欲︵自分の女を外に出したがらない。隠蔽に補正プラ ス1︶ 自重出来る男︵大事なところはこつこつと。話術・精神に補正プ ラス1︶ 箍を外す者︵自らの望みの為に覚悟を決めたもの。1時間、能力・ 技能を全て2倍に増加できる。効果時間終了後、24時間能力・技 能全てが半減する︶ 驚異の回収率︵立てたフラグは無理矢理にでも回収するもの! フラグの回収率が高いが、予想通りの結果になるとは限らない︶ ロの字︵本人は認めていないので三文字にする。人型の少女への 攻撃時、能力が半減する︶ 高機能精液持ち︵ある種母なるスープみたいなものです。吸精技 能所有者がこの称号持ちの精子を吸収した場合、通常時より栄養吸 収率がいい︶ 因果律を変える者︵予測不可能。何が起きるかわからない。フラ グがフラグ通りになりにくくなる︶ 300 潮に塗れた男︵三度の飯より潮吹きが好き。女性の潮吹きを促し やすい︶ 黄金色に染まる男︵それってただの変態じゃないか? 性交時、 相手女性が小便しやすくなる︶ 鬼畜紳士︵紳士な振りして鬼畜で有り、鬼畜で有りながら紳士。 正直女の敵じゃないかな? 精神・魅力・調教技能に補正プラス2︶ ︵new︶調教師︵Mな素質を開花させる匠。精神・魅力・調教 技能に補正プラス2。一部の相手に対し性格補正効果︶ ︵new︶逸般人︵もはやパンピーと呼ぶわけにはいかないだろ う。全能力の成長限界突破︶ 加護 エルフの加護︵一時︶︵寿命が500年ほどになる。伸びた分は 全盛期の延長にあてがわれる。植物や大地とのコミュニケーション が可能︶ サキュバスの加護︵一時︶︵寿命が200年ほどになる。伸びた 分は全盛期の延長にあてがわれる。性技・精力・誘惑・魅了の成長 補正増加・成長限界突破︶ <メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア> 基本情報 種族:エルフ︵サキュバスの信愛︶ 性別:女 年齢:19 身長:161cm 体重:49kg スリーサイズ:B86・W58・H84 301 出身:エンスージア−ユーフォリア 職業:旅人︵ユーフォリア家第一王女︶ 能力 HP:1313︵1121+192︶ MP:2105︵1910+195︶ SP:1871︵1640+231︶ STR:19+4 VIT:25+3 AGI:49+4 INT:73+5 DEX:75+6 LUK:42+8 魔法 無:8 火:0 水:5 風:7 土:6 雷:1 氷:5 木: 8 光:6 闇:0 聖:1 魔:0 空:2 時:1 愛:3 技能 計算7 法律4 商売2 政治4 交渉5 話術7 学問8 縫製3 料理5 調合1 家事2 乗馬7 登山1 演奏3 歌唱6 剣術3 棒術1 細剣2 短剣4 回避6 見切4 命中7 投擲2 弓術9 戦術4 戦略5 兵站1 計略1 計画6 鑑定2 察知7 精神11 魅力14 ※性技5 精力5 誘惑6 魅了8 特殊技能 王家の心得︵王家としての教育を受けた者。関連技能に補正プラ 302 ス1︶ 弓術の心得︵弓術の経験のあるもの。弓術に補正プラス1︶ 冒険者の心得︵冒険者の教育を受けた者。旅路で疲れにくい。乗 馬に補正プラス1︶ 高速詠唱︵魔法詠唱を素早く行うことができる︶ 詠唱省略︵魔法の威力を落とす代わりに、詠唱の一部を省略する ことができる︶ 吸精︵食事の他、他の生物の体液でも栄養を変換してまかなうこ とが出来る︶ 称号 ユーフォリア家の王女︵王家としての気品に溢れた女性。精神・ 魅力に補正プラス2︶ エルフェン高等学校最優秀卒業生︵学校を首席で卒業したものに 贈る。ユーフォリア国内で特典有り︶ 一途の愛を貫く者︵最初の相手のみを伴侶と認める者。最初の相 手以外の異性に対してのみ全能力プラス3︵HP・MP・SPはプ ラス300︶、状態異常:魅了にならない︶ 家出娘︵いつかはおうちに帰ろうね。察知・精神に補正プラス1︶ チョロイン︵文字通りチョロいヒロイン。名誉ある称号?︶ 愛されエロフ︵エロいエルフ。但し愛した相手限定。愛した相手 に対してのみ、精神マイナス5、衣類を身につけない状態時のみ状 態異常:魅了︵軽度︶︶ 対ユキト・クスノキ最終兵器︵読んで字の如く。この称号がつい た異性にユキト・クスノキはぞっこん! でもユニークじゃないよ︶ お漏らしエロフ︵エロフ限定。恥ずかしがってもお漏らしはお漏 らしです。性行為の最中漏らしやすい。水属性魔法の適正が成長し やすくなる︶ 始母の資格︵新たな種族の母となる可能性を秘める。妊娠確率の 向上。子どもが新種族となる可能性がある︶ 303 母の愛を受け継ぐもの︵そして子どもが託される。対象を保護す る為の行動時、能力・技能が1.2倍︶ 母性溢れる女性︵慈愛の子どもを全てへ。あらゆる子どもを保護 するための行動時、能力・技能が1.2倍︶ 性の探求者︵特定︶︵相手のためならどんな手段も身につけたい ! 特定の相手にのみ性技・精力に補正プラス2︶ 真のエロフ︵説明不要。エロフ。精神・魅力・性技・精力・誘惑・ 魅了・耐性技能に補正プラス2︶ 加護 エルフの加護︵寿命が500年ほどになる。伸びた分は全盛期の 延長にあてがわれる。植物や大地とのコミュニケーションが可能︶ サキュバスの加護︵一時︶︵寿命が200年ほどになる。伸びた 分は全盛期の延長にあてがわれる。性技・精力・誘惑・魅了の成長 補正増加・成長限界突破︶ <ティアラ・クスノキ> 基本情報 種族:サキュバス︵真祖︶︵エルフの信愛︶ 性別:女 年齢:12︵真祖化過程で成長省略しヒト換算年齢表記︶ 身長:149.8cm 体重:41.3kg スリーサイズ:B80・W61・H80 出身:エンスージア−レンス近郊 職業:なし 能力 HP:349︵349︶ 304 MP:621︵621︶ SP:534︵534︶ STR:16+11 VIT:10+7 AGI:21+13 INT:44+24 DEX:23+16 LUK:24+18 魔法 無:4 火:4 水:1 風:2 土:1 雷:2 氷:2 木: 0 光:0 闇:2 聖:0 魔:1 空:2 時:1 愛:3 技能 計算2 交渉1 話術3 教育1 学問1 縫製1 料理2 調合1 薬学1 家事3 演奏1 歌唱2 剣術2 細剣1 短剣1 格闘2 回避5 見切5 防御2 根性2 命中6 投擲1 弓術2 察知3 精神8 魅力9 ※性技8 精力6 誘惑10 魅了9 特殊技能 飛行︵空を飛ぶことが出来る。移動スピードはAGI、運動性能 はDEX依存︶ 吸精︵食事の他、他の生物の体液でも栄養を変換してまかなうこ とが出来る︶ 高速詠唱︵魔法詠唱を素早く行うことができる︶ 詠唱省略︵魔法の威力を落とす代わりに、詠唱の一部を省略する ことができる︶ 精神突破︵誘惑・魅了技能関連のみ、相手の精神に補正マイナス 305 3︶ 称号 対ユキト・クスノキ最終兵器︵読んで字の如く。この称号がつい た異性にユキト・クスノキはぞっこん! でもユニークじゃないよ︶ 遺伝子を受け継ぐ者︵対象:ユキト・クスノキ︶︵外部要因で特 定の遺伝子を強く取り込んだもの。対象者の遺伝子を取り込む際、 対象者の技能・特殊技能を一定確率で取得する︶ 真祖︵新たな種族の始点となる者。能力の上昇スピード補正大。 技能取得・成長スピード補正中︶ ふぁざこん!︵対象:ユキト・クスノキ︶︵パパ大好き! 対象 者と同一パーティー時、能力1.2倍︶ マザコン︵対象:メイ・アーシュヴェルト・ユーフォリア︶︵マ マ大好き! 対象者と同一パーティー時、能力1.2倍︶ エルフの信愛︵エルフからの信愛を得た者。信愛を得ている間、 対象エルフと同等の加護を得る。他の加護と相反する項目は項目ご とに長所を優先する︶ お漏らしサキュバス︵サキュバス限定。恥ずかしがってもお漏ら しはお漏らしです。性行為の最中漏らしやすい。水属性魔法の適正 が成長しやすくなる︶ 加護 サキュバスの加護︵寿命が200年ほどになる。伸びた分は全盛 期の延長にあてがわれる。性技・精力・誘惑・魅了の成長補正増加・ 成長限界突破︶ エルフの加護︵一時︶︵寿命が500年ほどになる。伸びた分は 全盛期の延長にあてがわれる。植物や大地とのコミュニケーション が可能︶ 306 第14話 姫と騎士、決して姫騎士ではない︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 307 第15話 百花繚乱︵※︶ 第15話 百花繚乱︵※︶ いままでのあらすじ。 目を覚ました。 虎がMだった。 姫が脱いだ。 以上。まとまりすぎて歌に出来やしない。総集編はないし単発に もならない。もちろん映画にだってならない。これ以上続くとエン ドレスななにかになってしまいそうなので省略。 ﹁いやいやいや、何が以上だよ、っていうかレーファはなぜ脱ぐ! ?﹂ もしかして:露出狂 と例のイルカが10の時代になっても未だ に頭の中でポップアップしてくるが、さすがにそれはないだろう。 彼女の体は小さく震えているのだから。 ﹁え、その、ユキト⋮⋮さんに身を捧げなくてはならないのでは? 経験はありませんが、王族の、いえ元、ですがその嗜みとして知 識自体は取得していますので﹂ ﹁いやいやいやいやそうじゃなくて、どうしてその発想になった! ?﹂ ﹁えっと、あれ、違うのですか? その、お二人とも肌を許してい るようでしたし﹂ 308 ﹁いやいやいやいやそうじゃなくて、いやそれはあってるけどどう してそこから私もになるんだよ!?﹂ 色々 伺う限り、ユキトさんが一 ﹁私たちは国を追われた身です。多少の路銀はありますが到底足る ものではないでしょう。そして 番お強い様子。でしたらその方に支払えるものを、ということで体 を差し出すのはある意味当然ではないでしょうか。それに、その⋮ ⋮相当、そちらのほうもお強い、ようですし。昨晩の様子を伺う限 りは、ですが﹂ ⋮⋮もしかして。 ﹁あの、途中一度目が覚めた、とか?﹂ ﹁ええ。さすがにその、声をかけるのもはばかられるようでしたし、 多少であれば気配を消すことも出来ますから。もっとも⋮⋮横にい た護衛騎士も盛っていた、というのも半分くらい理由になってはい ますが﹂ ﹁ひ、ひひ、姫様起きてらっしゃったんですか!?﹂ ﹁と、付き合いの長いワータイガーを欺くくらいには出来ます﹂ 何それ。気配を消すと護衛すら欺ける王女、あ、元か、ともかく 何それ。まあ横の虎が盛っていたのもあるんだろうが。 いずれにしても、である。いくらワンページファッカーで鬼畜紳 士であろうと、体を震わせてまで身を差しだそうとしている少女を そのままおいしくいただこうとは思えない。ベッドの上のシーツを 体に掛けて、一つ二つ、ポンポンと頭頂部を叩く。 ﹁自分の身体を傷つけるような覚悟は、今この場じゃいらないな。 それに、酷い言い方をするなら、この先俺じゃない誰かの庇護を受 ける際に必要かもしれないだろ? 後は誰かをだまくらかす時とか。 もう少し大事に取っておいた方がいいんじゃないか﹂ 309 後ろで﹁目覚めてすぐはお手の物なはずなのに、私と交わって以 降大抵そのパターンだったような﹂とか﹁元々処女マスターとかつ いてるパパが言うのもちょっと﹂とか、具体的な例を挙げてごにょ ごにょ言うのは止めていただきたい。思いっきり聞こえてるねん。 今までのはたまたまやねん。というか自分から積極的に手を出した のはメイと、後は流れでアリサくらいではなかろうか。鈍感系でも 難聴系でもなく、絞られ系主人公。語呂が悪いし字面も悪いし意味 合いは最悪である。 これらの援護射撃︵?︶に影響を受けているかは定かではないが、 レーファ嬢は視線を少し下げ、何かを考え込んでいた。ゆっくりと 誰か をだます時だと思います。メイ⋮⋮さん 十を数え終わる頃、再度顔が上がる。 ﹁私は、今がその にも、ティアラさんにも申し訳ないのですが、その⋮⋮﹂ 命の危機を救っていただいた殿方に心を奪われるのは仕方ないじ ゃないですか、とぽつりと呟き、レーファ嬢は俺が掛けたシーツを 再度身体から取り払った。もう体は震えていない。 ⋮⋮完全に、テンプレ通りのフラグでしたのね。ど真ん中すぎて 思わず見逃してたわ。メイとティアラを見ると、二人とも首を思い っきり縦に振っている。理解力が素晴らしいというかむしろ器が大 きいというか。ちなみに、ティアラはついでに親指と人差し指で作 った輪っかにもう片方の人差し指を抜き差ししていた。最近のセク ハラ親父ですらやらない仕草だろそれ。 ﹁えっと、嫁とか嫁っぽい人、あと娘︵?︶が色々いるんですが、 いいんですかね﹂ ﹁いいんです。むしろ私は後からその列に並んだ身ですから﹂ ﹁括弧書きでクエスチョンマークが挿入されたことに意義を述べた 310 い所存﹂ ティアラのブーイングは無視して少し屈み、小さな白い顔の中で 一際目立つ唇へと口付ける。最初は驚いたのか目を見開いていたが、 すぐに閉じられる。そのまま華奢な体を支えながら、そっとベッド へと身を預けると、再度瞼が開かれた。頬には赤みが差していて、 まるでこれから咲かんとする蕾のようだった。 ちなみに周りでごそごそと衣擦れの音が聞こえてくるが、彼女に は聞こえていないようである。触れ合っている部分から激しい鼓動 が伝わってくる。二人きりというわけではないどころか護衛騎士は その職務を放棄しようとしている︵キャストオフ的な意味で︶のだ が、まあ気にしていないようなのでよしとしよう。こんなんばっか だな、本当に。 落ち着かせようと、何度か口付けを落としながら頭、頬、肩、腕、 脇腹とゆっくり上から下へ手のひらで撫でていく。時折くすぐった いのか身を捩らせるが、気にせずそのまま今度は足の甲、ふくらは ぎ、太股と下から上へ指先でなぞっていく。 ﹁んっ、くすぐったいです﹂ ﹁その代わりほら、力が抜けてきた﹂ また脇腹まで戻ってくると、先ほどは少し感じられた強ばりがな くなっている。もう一度口付けをしてそのまま舌を差し込むと、お ずおずと先を突っついてくる。知識自体は取得している、とは本人 談だったがどうやらこの辺りは大丈夫らしい。なので。 ﹁んんっ!?﹂ 脇腹辺りを散歩させていた指先を、一気に割れ目まで進める。ま だ水気はないものの、熱を持っているのがよくわかる。そのままゆ 311 っくりと、決してクリトリスには触れないように上下に摩る。 ﹁ん、んんっ﹂ 口は封じているのでくぐもった吐息だけが漏れてくる。それでも 舌を絡めることを止めない辺り、王族の嗜みについて非常に気にな るところである。寧ろ全身全霊を持って体験したい。そういやメイ も積極的だったような⋮⋮なんて思っていたら、頭に腕を回され、 より強く唇を押しつけてくる。積極的で大変よろしい。なのでこち らも積極的に答えようじゃあーりませんか。 ここまで触れてこなかった蕾に優しく触れる。 ﹁んんんーっ!!﹂ 一際大きく体が震える。割れ目からは少し溢れるモノも出てきた。 なかなか感度は良好のようである。 ﹁触れただけでこれって、もしかして普段から一人で触ってるのか な?﹂ 腕の力が緩んだ隙に頭を拘束から逃し耳元で小さく囁くと、首を 横に振る返答が帰ってきた。 ﹁本当かな?﹂ ﹁あああっ!﹂ もう一度触れる。今度は声を塞ぐ栓はない。高い声が部屋の隅ま で行き渡る。茂みの先の割れ目からも多くのものが溢れてくるので、 指に絡めて膨らみに塗っていく。 312 ﹁ああっ! そんなっ、っうっ﹂ ﹁いきなりクリトリスに直で触れて感じることなんて早々ないよ。 一人でここを触ってオナニーしてたわけじゃないんだったら、レー ファは淫乱だね﹂ ﹁それは、少しはっ、ああっ!﹂ ゆっくり刺激を強めていく。既に敏感なところは顔を出していて、 スリットを擦っては優しくソレに触れるを繰り返すと、その度に体 がヒクヒクと痙攣する。その跳ねる体をじっくり眺めると、慎まし げな膨らみの先端もまた、桜色部分がぷっくりと膨らんでいる。吸 い寄せられるように口に含み、軽く舌で舐め上げると、体はまたビ クンと大きく跳ねた。 ﹁それは刺激が、ダメっ﹂ ダメといわれたら余計やりたくなるのがオトコノコであるので、 そのセリフは真逆の効果を生み出す。乳首を吸い上げながら、先ほ どから水が溢れてくる洞窟に指を一本押し沈めていく。思ったほど の抵抗はなく、すんなりと奥まで飲み込まれていった。きゅうっと 強く締め付けられはするが、少なくとももう一本くらいなら余裕で 入りそうである。何だかもう少し激しくしても大丈夫そうだ。 ﹁いつも二本までいれてるでしょ﹂ 耳元でまた囁くと、より一層全身が赤くなる。真っ赤に染まった 耳たぶをつい甘噛みしてしまうと、身をくねくねと捩らせる。そん なの関係ねーとゆっくり一本指でストロークを開始すると、また嬌 声が上がっていく。出し入れの中でより感じる場所を探り当てると、 今度はそこを刺激しながらくちゅくちゅといかがわしい音をたてて いく。 313 一本だと余裕がありそうなので、いつもの仕様と思われる指二本 に変更。とはいっても彼女の指とは太さが違う。 ﹁ん、さすがにちょっときついか﹂ ﹁あっ、ダメ、こんなの、はじめ、てっ﹂ かなり刺激がきついのか、こちらをぎゅっと抱きしめて堪えよう とするも、その試みは成功していない。指の動きに合わせるように 彼女の体はベッドの上で浮いたり沈んだりを繰り返し、より深く快 楽を味わおうとしている。これは期待に応えざるを得ない。 ﹁ああっ、ダメ、ダメ、ああっ﹂ ﹁とりあえず一本いっとこうか﹂ ﹁なんで、こんな、ダメ、イキます⋮⋮っ!﹂ 二本指で彼女の中を激しくかき回し、仕上げとばかりに親指の腹 でクリトリスを撫でながら勢いよく引き抜きと、彼女の体は弓なり にしなり、次の瞬間にはベッドに崩れ落ちていた。弄ばれた箇所か 出来のいい 元王女様である。王家の嗜み らは止めどなく愛液が溢れ出てくる。 それにしても中々に 教本には、イク時はイクと言え、とでも書いてあるのだろうか。調 教小説もビックリである。何だか二次元ドリーム文庫あたりであり そうなネタだ。 彼女は、はーっ、はーっ、と深い呼吸を続けていた。さすがにこ のまま連続でインサートはちょっと可愛そうだなあ、と思いながら 周りを見てみると、とてもアレな、言い換えればいつも通りの光景 が広がっている。メイとティアラの母娘ペアは床でシックスナイン の体勢で、相手の秘所を啜っていた。エロフとサキュバスが貪欲す ぎてパパとしてはすごい不安が残る状況である。そのうち俺がいら 314 ないとか言われやしないだろか。娘に嫁を寝取られ嫁に娘を寝取ら れもう訳がわからないよとどっかのインキュベーダーも宣うこと間 違いなしであろう。 それよりも問題なのは。 ﹁⋮⋮﹂ ﹁ああっ、そんな冷たい目で見ないでくれっ﹂ 護衛騎士こと虎さん︵フローラという名前がどうも納得できない︶ が、思いっきりこちらをガン見しながら自慰行為に耽っているので ある。上のワイシャツ的なものの全部ははだけて自分で双丘の片割 れを左手で揉みしだき、右手はというと隠すものが取り払われたオ ンナノコの部分から刺激を得られるよう、先ほどレーファに対して 行ったのと同じくらいのスピードで激しく指を出し入れしていた。 膝立ちの体勢で、その足元には脱ぎ散らかした下着と共に、水たま りがうっすらと出来ている。 やっぱりアレだろうか、虎だから獣ばりに欲求に忠実、とか? ﹁待て﹂ ﹁わたしは、犬じゃ、アアアッ!﹂ ﹁⋮⋮犬扱いされてイッてるんじゃねーよ﹂ 見なかったことにしよう。発情虎にも挿入することが確定的に明 らかとなったところで今はまずレーファ嬢である。息は幾分整って いるものの、未だ放心状態なのか瞳はやや虚ろである。 ﹁レーファ?﹂ ﹁あ、ふぁい⋮⋮その、自分でするのよりすごくて﹂ ﹁やっぱり自分でやってるんじゃないか﹂ ﹁うっ⋮⋮ユキトさんのいじわる﹂ 315 ⋮⋮レーファの声が、その、ガンでなくなられた某声優ボイスに 似ているせいで、ゴールしたくなるのは名前的にもしかたあるまい。 漢字は違うが、ロの字的な意味で似たようなことをやってる気がし なくもない。日本なら刑務所にゴールしろよと言われること間違い なしである。 ﹁レーファ、そろそろいいか?﹂ ﹁は、はい、その、お願い⋮⋮します﹂ ⋮⋮一瞬﹁レーファのおまんこにおちんちんをいれてください﹂ 的なセリフが飛んでくるかと思ったがそんなことはなかった。汚れ ちまった悲しみにと天丼ネタな中也さんごっこで打ちひしがれなが ら、再度軽く口付けをして、両足を押し広げる。その中心部分はこ れから先のことをまるで知っているかのように、ヒクヒクと口を開 け閉めしているのがとても卑猥である。 お望み通り、すっかり戦闘態勢に入っている愚息をあてがい、幾 分かの抵抗を受けながらゆっくりと沈めていく。 ﹁痛い?﹂ ﹁痛みは、あんまり、ああっ、入ってきてます⋮⋮!﹂ 処女マスター効果なのかそれとも彼女のこれまでの自慰性活のお かげなのか、初回から痛みがないのはこれ幸いである。結合部から も白っぽいモノは垂れてきても、赤みは入っていない。ゆるゆると 沈めて、亀頭が最奥へと到達する。 ﹁ああっ、奥に、奥に!﹂ ﹁ははっ、最初からチンコで感じるなんてやっぱりレーファは淫乱 だなっ!﹂ 316 ﹁そんな、でも、ああっ、ユキトさんが、ああっ﹂ いくらオナニー姫様︵これは酷い︶とはいえども、さすがにそこ まで中がほぐれているわけもなく、かなりのきつさでこちらを締め 上げてくる。昨晩ティアラに搾り取られていた︵らしい︶というの に称号ドーピングの効果もあってか、射精感が身をもたげてくる。 ぎりっと奥歯を噛みしめて堪えながら、元王女の中を開発していく。 ピストンを重ねる度に少しずつ機械的なキツさは失われ、代わりに ぎゅっと搾り取ろうとするような人間的なキツさでペニスを締め上 げてくる。 ゆっくりとした動きから徐々にペースを速めていくと、レーファ の声もまた多く漏れ出てくる。 ﹁あ、ああっ、またイキます! ああっ!﹂ 小さな絶頂へは既に何度も登っているようで、時折びくびくっと 体が震えてきゅーっと締め付けられる。その度に堪えるのが辛くな ってくる。 ﹁レーファ、もうすぐ出すよ﹂ ﹁ああっ、ください、ユキトさんのを中にぃっ!﹂ お許しを一応えてペースアップすると、こちらの腰にレーファの 脚が絡みつく。これじゃあ力尽く以外では抜きようがないいわゆる 一つのだいしゅきホールド。最初にこのネーミングを考えたヤツは 絶対頭がおかしいに違いない。 キツく絡みつくもんだから、こちらも中への突きは奥深いものに なるわけで。 ﹁奥、おくっ、ああああああっ!﹂ 317 ﹁ぐっ⋮⋮﹂ 数度子宮口と鈴口が口付けしあった後に、トリガーを解き放った。 最初の突きでレーファは激しい絶頂を迎えたらしく、体は激しく震 え、その分脚も震えるもんだから、完全に逆種付けプレス状態で最 奥へと精液を注ぎ混んでいく。 あ と愉快な仲間達しか言語機能がないレーファ嬢から ﹁あ、ああっ⋮⋮﹂ もはや マイサンを抜くと、こぷこぷと中から白いモノがあふれ出てきた。 相変わらず射精量もおかしい。 そんな光景のどこに感じる要素があったかはわからないが。 ﹁ああっ、中にいっぱい、あああああっ!﹂ 虎も自分の指を激しく動かし、果てていた。ぺたんと腰を落とす と、床にさーっと液体が広がっていく。 ﹁護衛対象のエッチを見てオナニーして激しくイッて、さらにはお 漏らし⋮⋮﹂ ﹁い、いや、これはその、ちがっ﹂ ﹁若干のアンモニア臭漂わせておいて、何が違うんだ? うん?﹂ ﹁いっ﹂ ⋮⋮おかしい。何故だかこの虎は非常にいじめたくなる。情けな ﹂ いので、決して出会い頭で苦戦したからとかそういう理由ではない フローラ、立て ことを祈りたい。 ﹁ 318 ﹁はいっ! え、あれ? 耐性貫通!?﹂ どっかの阿呆貴族相手に使った時同様、目力を強めにして︵どっ かのポケモンぽい名前の人のように︶、言葉に力を込めて命令する と、あっさりフローラは立ち上がった。⋮⋮こいつはホントにチー トくさい。 ﹁さあて、姫様を守れない護衛騎士には罰を与えないとな﹂ ﹁え、な、何を、きゃあっ!?﹂ 両手首を掴んで持ち上げ、さらには右足を抱え上げると、ぽとり ぽとりとまだ残っていたモノが床へと落ちていく。 ﹁さっき自分でオナニーしてた時言ってたよなあ? おちんちんが 欲しい、って﹂ ﹁そんなことは、言ってな、あ、当たってる!?﹂ 本人は言っていないとの証言だが、レーファと性交中にうわごと 私を犯して のように言っていたのを聞いている。というかもっと酷いことを言 っていた。その証拠がこちらである。 ﹁いえ、確かに私も聞いていました。ユキトさんに、 って﹂ ﹁ひ、姫様!?﹂ 完全復活とまでは行かないまでも、幾分力を取り戻したレーファ が虎の後ろからそっと囁いている。 ﹁そんなウソをつく護衛には⋮⋮こうです﹂ ﹁ああっ、ちくび、だめぇっ!﹂ 319 そしてきゅうっと強く乳首をつまみ上げる姫様。今この瞬間はS かMかで言ったら間違いなくSであろう。すなわち、同志。 ﹁ほら見てくださいユキトさん。フローラの下腹部からどんどん溢 れてきます。こんなに強く乳首をつねってるのに﹂ 姫様、満面の笑み。お願いだからこちらにはそのSっ気を向けな いでいただきたい。 ﹁さあフローラ、こういうときどうすればいいか、わかってるよな ?﹂ ﹁あ、ああっ、こすれて、くうううっ﹂ ﹁ほらフローラ、早く言わないと、もっと大変なことになりますわ よ?﹂ え、もっと大変な事って何ですかい、と思ったが、すぐにフロー ラの言葉で判明する。 ﹁姫様っ!? そこは、ちがっ﹂ ⋮⋮王家の嗜み怖え。思わずこっちの尻穴がきゅっとなるわ。 ﹁なら早くユキトさんに、フローラがお願いしたいことを言いなさ い﹂ ﹁ひ、姫様ぁ⋮⋮﹂ 半泣きの虎。下半身は大泣き。我ながらコレは酷い。だが何とい うかその、さっきから半泣きとなっているのが非常にそそるのであ る。 320 で、その虎はというと、一度半分だけ後ろを振り返ってからこち らを見やる。やっぱり半泣きである。もしくは半落ち。ちょっと違 うか。 ﹁あの、その⋮⋮﹂ 体勢は前述の通り、かなりアレな状況ではあるが、また別の色に 頬を染めつつ虎さん、いやフローラ嬢。体勢さえ目をつぶればその、 かなり脳天直撃セガサターン。 ﹁できれば、その、初めてではあるので、優しくしていただければ ⋮⋮﹂ そして出てきた言葉はコレまでのSとMの純情な感情とはほど遠 い、素の言葉だった。言葉遣いまで違う。思わず三点リーダをレー ファとぶつけ合うが、さすがにここで元の流れに戻すのはちょっと ばかり忍びない。というか。 ﹁⋮⋮体勢を除けばかなり可愛いんですが﹂ ﹁これはその、私も予想外で⋮⋮﹂ ﹁ふぇ⋮⋮?﹂ さっきまでの自慰による快感と妙ちくりんな体勢と姫様からの責 めで相当参っているのか、本人は何をどう言ってるのかあんまりわ かっていないらしい。なんというかその、まさにギャップ萌え。さ らにいうなら虎↓性欲過多↓M↓素の可愛さの四段活用あいううえ え。萌えてしまったら負けである。素直に脚を下ろして、肩を抱き すくめる。 ﹁え、あ、あの?﹂ 321 ﹁ほら、目を閉じて﹂ 相変わらずよくわかっていないようだが、素直に瞳が閉じられた のでそっと唇を重ね合わせる。 ﹁ん、ん⋮⋮﹂ 先ほどのシーンを再放送するように、そのままベッドに横たえる。 何故だか姫様も一緒に横たわるがとりあえず無視。この子ちょっと 百合要素︵しかもS︶が入ってるようなので、多分愛の手︵頭に浮 かんだ酷い変換がコレである。誤字、と思ったが案外当てはまるの ではないだろか。酷い変換である︶が入るのであろう。 下はもう既に準備万端なのはわかっているが、優しいコースをご 希望なので口付けを交わしたまま熱い泉へと指を二本沈めていく。 濡れ方もほぐれ方も十分なのはわかっているが、やはり優しいコー ス希望なので、そっと中を触りながら弱点を探っていく。 ﹁ん、んんーっ!?﹂ あっさりと反応が激しいところを見つけたので、そこを円を描く ように撫でていくと、どんどん中から熱いモノが溢れてくる。つい でに言うと体制的にかなり辛いはずなのに、横から姫様がわずかな 隙間に手を差し込んでおっぱいをこねくり回している。大変手慣れ ている様子で、その相手が自分なのかそれともその他相手なのかは 若干興味がそそられるがスルーするとして。 ﹁ん、んんーっ、んんんっ!?﹂ 既に十分温まっていたことも有り、数回の試行であっさりとフロ ーラが達する。唇を離すと、呼吸を整える時間分が経過した後に、 322 若干恨みがましい視線を向けられる。 ﹁⋮⋮優しくしてくれるんじゃなかったんですか﹂ ﹁当初予定よりは相当優しいコースだって。それと口調崩れてキャ ラがレーファと被ってるからな﹂ ﹁それは、その⋮⋮嬉しくて﹂ ﹁⋮⋮ほわっつ?﹂ ﹁護衛騎士ですから希望が叶うなんて思いもしませ、しなかったが、 その、出来ることなら自分を打ち負かした相手に抱かれたいな、と ⋮⋮﹂ 打ち勝ったカウントでいいんだろうか?﹂ ﹁変身してても私は勝ちきれなかった。おまけに勝つ希望も見いだ せなかった。あのまま続いていれば私は負けていま⋮⋮負けていた ので﹂ ⋮⋮こちらもある種のお約束パターンだった! 口調がごまかせ ていないとか突っ込んでる場合じゃねえ! 乗るしかないこの虎間 違えた女騎士に! ﹁挿れるよ﹂ ﹁っ⋮⋮﹂ 脚を広げ、ゆっくりと沈めていく。中はオスを受け入れるのを待 ち望んでいたのだろうか、すぐに襞がまとわりついて締め付け、射 精を促してくる。膜を押しのける間隔も流血沙汰もないが、まあ予 想通りである。 ﹁ああっ、中に、すごい、これが⋮⋮!﹂ 思ったのよりもちょっと、と言われなくて一安心。先ほどの弱点 323 を擦り上げるようにピストンを重ねていくと、奥を突く度にぎゅっ と締められる。さすが護衛騎士、よく鍛えられている。それが関係 あるのかわからないけど。 一度解き放っているにもかかわらず、若干情けないがすぐにまた 準備が整う。正直乱暴なまでの締め付けは二回目にはちょうど良い 快感となっていて、さっきから脊髄を駆け上る電気信号がヤバい。 ﹁ああっ、あああっ、ダメ、ダメッ﹂ それはフローラも同様のようで、一突き毎にビクビクと体が痙攣 している。 ﹁く、ください、中に、熱いのを!﹂ ﹁ぐっ、フローラ、出すぞ!﹂ ﹁あ、あああああっ!﹂ タイミングを合わせて、大きな波にフローラがさらわれたのを確 認してから、奥へと白い欲望を解き放った。 ﹁ああっ⋮⋮熱いのがきて⋮⋮﹂ それだけ呟いて、フローラは意識を手放した。ついでにいうと姫 様もおっぱいを揉みつつ自分自身を慰めて二度目の絶頂を迎えて気 絶。正直、この光景はどうなんだろうか。 やれやれだぜ、と思っていたら腕を引かれてベッドに倒される。 そして上にやってくるのは、この世界に来て初めて会った、対俺最 終兵器。あれ、さっきまでレズってたじゃないかと思ったら、ティ アラはティアラで股間から色々垂れ流して床に伏していた。サキュ バスに勝つエロフとは一体。 324 ﹁ふふっ、ユキトは大変だね﹂ ﹁⋮⋮このフラグビルダーっぷりはどうにかしたいなあ。体が持た ねえ﹂ ﹁でも、仕方ないと思うよ。そんなのなくても、ユキトって存在を みんな好きになっちゃうんだ。その気持ちはよくわかるな﹂ ﹁⋮⋮そこまで好かれる人間だった覚えはないんだけどなあ﹂ 自分自身なんて、自分が一番わかっていないのかもしれないが、 客観的に考えたとしてもそこまで魅力的な人間とは到底思えない。 ﹁ユキトって、それぞれの女の子の望みを叶えてくれるんだよね。 それが、わかってなくてもやれちゃうから、自然に叶ってしまって、 女の子も困っちゃうんだ﹂ ﹁そんなもんかねえ﹂ どうしても、これまでの人生を振り返って、良い評価が出来る人 生だったとは到底思えない。メイのように認めてくれたヒトだって 一人しかいない。 でもまあ、自分の何かしらの力で、ヒトを幸せに出来るのであれ ばそれに越したことはない。繰り返せば、カラッポになってしまっ た自分自身を、ニセモノであっても再構築できる、なんていう夢が 見られるのだから。 ﹁で、いつもの通り予定なんてなかったんや状態なんだが、メイさ んや﹂ ﹁何でしょうかユキトさんや﹂ あと何人 くらい?﹂ ﹁⋮⋮その、あの馬車って広く出来たりしない?﹂ ﹁具体的には 疑似拡張 で広げられるから大丈夫だけど、更 ﹁その、まだわからないけど、三人ほど⋮⋮﹂ ﹁それくらいなら 325 に増えるなら連隊で考えた方がいいかも﹂ 疑似拡張。例の異空間の応用編らしい。魔法はやっぱりチートす ぎる。この魔法が現代日本にあったのなら、東京の住宅価格はもう 少し抑えられてたんじゃないですかね。 ではなくて。 ﹁いやさすがにそこまでは⋮⋮﹂ ﹁15で八人というパパのペースに痺れる憧れる。さすがワンペー ジファッカー﹂ ﹁単位がよくわからないが、きっとないと思いたい、なあ⋮⋮﹂ 自分で言っておいて自信が全くない。なんとなく、﹁そろそろタ イトル通りにした方がいいんじゃないですかね﹂というフレーズが 頭をよぎった。うん、意味がわからない。今日はじっくり休んで明 日出発しようそうしよう。まだ朝起きてすぐのはずなんだけどなあ。 ﹁ところで、ユキト﹂ ﹁何でしょうかメイさんや﹂ ﹁私も、ユキトが欲しい、かな﹂ さすが対俺最終エロフである。例え二回戦った後でも戦う気力が 沸いてくるのである。 少しだけ顔を赤くしたメイに、口付けを交わしてから快楽へと溺 れていくのであった。 326 第15話 百花繚乱︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 327 第16話 明日へ向けて放て︵※︶ 第16話 明日へ向けて放て︵※︶ 目が覚めたのは昼過ぎである。朝から盛ってやらかして再度寝て いるわけだから当たり前である。だいたい、疲労等々で眠り込んで いた姫様相手にヤッたのはまずかったはずだが、こうなっては後の フェスティバルである。幸いなことに、お目覚め後の体調はすこぶ る良好のようでほっとすると共に、メイの事例が頭をよぎって若干 焦る今日この頃である。こちらは一応人間のはずだが、うーん。ま だティアラの加護なんてついているわけないので、吸精効果じゃな いとは思うのだが。⋮⋮違うよな? ある程度身支度部屋支度を調えて部屋に昼食を運んで貰い︵やっ ぱり女性従業員にえらく潤んだ瞳を向けられた。のぞき見してたり するんだろうか︶、貴重なカロリー補給を行った後、今後の予定に ついて詰めていく。 ﹁とりま明日出発しようと思うんだが﹂ ﹁御意﹂ ﹁おまえは忍者か⋮⋮﹂ ﹁ドーモ、ユキトサン、ティアラデス﹂ ﹁いや知ってるよつうか挨拶もしねえしお辞儀もしねえしそもそも なんでお約束ボケ使えるんだよ!?﹂ ティアラの返答がおかしいでござるよ。つうか忍者っているんだ ろうか。 328 ﹁一部の国の隠密がそう呼ばれたりしてるわよ。以前の異世界の旅 人が隠密システムを作り上げてて。何だったかな、カトウなんとか って人だったような﹂ ﹁よくわからんし世界線が違うかもしれないが、同郷だろうなあそ の名前﹂ とりあえず騎士に罵られていないことを祈りたい。 ﹁んで、レーファとフローラは何か必要なものがあるか? さすが に追われてる身で街の中うろうろするのもまずいだろ?﹂ ﹁そうですね⋮⋮服や下履きをいくつかお願いできれば。ほぼ着の 身着のままですから﹂ ﹁私も同じだな。あと、出来れば予備の長剣をいくつかと、投擲用 のナイフがあればありがたい。剣さえあれば、変身せずともその辺 りのごろつき程度ならいくらでもあしらえる。鎧などは今使ってい るもののほうが市販品よりは良いから必要ない﹂ ﹁あー、今後の事を考えると貴重な前衛役となるわけだな。きた! 盾きた! メイン盾きた! これで勝つる!﹂ ﹁ユキトの言うことは時折わからないのよね。ティアラもだけど﹂ ﹁むーっ、パパよりはマシだと主張したいお年頃!﹂ ﹁あの、盾も使えた方がいいのか? 使えなくはない程度なのだが ⋮⋮﹂ さすがにメインタンクを女性にやらすのは、安っぽいプライド的 にもよろしくないので、念のためラウンドシールドを用意しておき、 普段は俺が回避盾をすることでコンセンサスを得ておく。いざとな れば詠唱省略したチェンジスペースでどうにかなる、というのもあ る。バックアタックだ! も強引に転移して凌ぐことにする。 329 ﹁俺が最前衛、フローラがバックアップ、メイがその後ろから弓も しくは魔法で緊急時は抜刀、ティアラは基本固定砲台、と⋮⋮レー ファはさすがに戦うのは難しいよな?﹂ ﹁武器を持って、はさすがに難しいですが、気配を消しながら魔法 を放つことは出来ます。あと、回復もある程度なら大丈夫です﹂ ﹁おk把握﹂ RPG的にはバランスが良くなってきた。ただ、念のためレーフ ァにもいざというときのために多少の武器の取り扱いは教えておい た方が良さそうだ。 ﹁それじゃあ色々買いに行くか。あ、あとレーファとフローラに言 っておかないといけないんだが、もしかしたら同行者が増えるかも しれないが、大丈夫か?﹂ ﹁私たちはついて行く身ですから構いませんが、その、男性ですか ? 女性ですか?﹂ ﹁女の子、だいたい同じくらいの歳の人間で、最大三名﹂ ﹁そ、そうですか﹂ ﹁⋮⋮ふぅ﹂ レーファはともかく、フローラは一つため息をついて何かを飲み 込んだ様子だった。まあ、言いたいこともわからなくはない。姫様 も私もついて行く人選を誤ってはいないか、とかそんなヤツに身を 許してよかったのか、あたりだろう。というか一体全体どうしてこ うなった。 ぽかんとした目とやや冷たい視線を浴びながらそそくさと部屋を 後にし、まずは宿の馬車保管場所へ移動。やるべきは馬車の拡張だ。 とはいっても、あれやこれやと作業をするわけではなく、馬車に登 録された者︵今回はユーフォリア家︶を通じて魔力、すなわちMP を注ぎ、後はボタン一つで馬車が勝手にMPを消費して希望のサイ 330 ズに変更してくれる。サイズに応じて必要量が一気に増えていくタ イプで、十人が余裕を持って過ごせるサイズにするためには全部で 3500ほど必要だそうだが、俺のMPを融通してクリアする。 ﹁⋮⋮やっぱりユキトはずるい。私より多い﹂ ﹁んなこといわれても﹂ MP量に不満を持つ姫君を、頭を撫でることで宥め賺す。チョロ い。ついでに何もやってないティアラが﹁私もー﹂と言ってきて仕 方なく撫でる。あの、ぐふふとかいう声はやめてもらえませんかね。 もはやヒロインじゃなくてお笑い枠になってるから、それ。本当に 中の人=オッサンとかないよな? ⋮⋮ないよな? これがフラグというのならまずはそのふざけた 以下略。あ、何か今称号がついた気配がするが、あえて確認はしな い。カミジョーさんに大変申し訳ない気がするからである。 馬車の中を確認すると、外見と一致していない中身となっていた。 これまでは見た目が畳四枚分くらい中身もそれくらいだった︵一人 用としては豪華すぎる位だが、二人だとちょっと厳しいくらい。エ ルスにつくまでは備え付けのベッドにメイとくっつき合って寝てい た。文字通りの奥深くまで、というのは今更いう必要もあるまい︶ のだが、一気に広がっている。今までのスペースは玄関に変わって いて、続けて広々としたLDK。トイレもついている。おまけに階 段があって、登るとLDKと同じくらいの広さの寝室と、奥にはウ ォークインクローゼットやガラスで仕切られた洗面所やバスルーム、 そしてトイレがある。家具の類いは元々あったクローゼットやベッ ドくらいしかないが、まあいくらでも置くことが出来るだろう。具 体的に言うなら、世田谷区駅から徒歩二十五分で100㎡の土地に 建てた狭めの3LDK4,500万円新築一戸建て。 要するにチートだチート。異空間魔法は万能すぎる。しかし四次 元ポケット的な異空間収納もあるというのに元々クローゼットがあ 331 ったのは何故だろう。あ、異空間使えない人と同行する時用? な るほど。だったらもう少し大きいのもいるな。 ﹁で、これに必要な家具とかを買わなきゃ行けないんだが、何故に 寝室が一つのみ?﹂ ﹁え? どうせみんなで大きなベッドで一緒にヤるんだから大きい 部屋一つの方がいいでしょ?﹂ ﹁⋮⋮う、うん、そうですね﹂ 眠るや寝る、じゃないのね。まあそうなることは確定的に明かだ けども、にこやかなエルフ姫様にいわれるとなんだかとても清廉な 行為に聞こえてしまう。実態はただのエロフだが。 ﹁じゃあこれで買い物に行けるけど、ユキトはどうする?﹂ ﹁まあその、ちょっぴり、声がけ?﹂ ﹁掛けるのは声だけ? パパの熱い精子は?﹂ ﹁ぶっかけプレイなんかするかっ! つか一般家庭とギルドに行く のにそんなことできるわけないだろ﹂ 本当この子の将来が不安になる。ついでにいうと、このままずっ とチンコを絞られる人生も容易に目に浮かぶ。何故かサキュバスじ ゃない人もわらわらと集まってるのが想像できるんだが、俺の未来 は乳牛か何かなんだろうか。 ﹁出なくなっても肉にして出荷しないでください﹂ ﹁えっと、ユキト? 何でそんな廃用牛みたいな事を?﹂ ﹁大丈夫だよパパ。多分パパ死ぬまで絶倫﹂ ﹁それ、人としてどーよ﹂ ﹁最期に我が生涯に一生の悔いなしとでも言えばオッケー﹂ ﹁そんなどっかのローラみたいに言われても、つうかまさかそうい 332 う使われ方をするとは荒木先生も思わねーから﹂ もうどっからネタかわかんないけど、とりあえずサヨナラバイバ イしてまずは貰った住所のところへ行く。エルスの街の外れに近い 場所で、家々の上に高く聳える城壁が見えている。単身者向けの住 居が多いのか、何だか学生アパート街みたいな雰囲気ではあるのだ が、日本のように木造RCが入り交じっているわけではなく石造り 三階建てで統一されているので、見た目は全く違う。もう少し都市 計画はしっかり考えないといけませんねえ、まあ向こうに戻ること があるのかわからないけど、なんて言ってる間に目的地に到着。階 段を登って202号室の扉をノックしてもしもーし。 ﹃は、はい?﹄ ﹁あ、あの、ユキトですけど﹂ 名前を告げると、ドタドタと音が聞こえてドアが勢いよく開かれ る。嫌な予感がしてドアのルートから逃れていて良かった。危うく 壁に埋まるところである。 ﹁あぁっ、本当にユキトさんです!﹂ ﹁俺かどうかを疑ってるならその格好はちょっと⋮⋮﹂ ﹁え、あっ、きゃっ!?﹂ 出てきたジュリナ嬢は、上はキャミソールっぽいの下は下着のみ という非常にラフな格好というか裸婦な格好だった。キャミソール にはパッドの類いはつけられていないようで、豊かな膨らみと共に 先端部分がポチッとなっていてなかなかにそそる。まあ大学生くら いの一人暮らし女子なら部屋の中では面倒だからとこの手の服装で いることは多いらしいが、それ日本限定じゃなかったのね。 そのままドアを開けっ放しだと道行く人にも見られるので、肩を 333 抱いて中に入って鍵をガチャリ。ミッションコンプリート、と呟い てみるが、押し入って任務完了って完全に危ない人じゃなかろうか。 ふぅ、とため息をつくとぎゅっと抱きつかれて膨らみは挟まれて少 しつぶれる。柔らかい。 ﹁声をかけてくれることなく出て行っちゃうと思ってました﹂ ﹁いやまあそのつもりだったんだけど、色々予定が変わって﹂ ﹁同行者が増えたとかですか? しかも女の子の﹂ ﹁⋮⋮更に言うと二人、な﹂ 正確率半分くらいで言ってみたのだろうが、こちらが追加情報を 提供すると少し目尻を鋭くするジュリア嬢。 ﹁そのタイプだろうなーとは思っていましたが、ユキトさんて女の 敵ですよね﹂ ﹁そんなつもりはこれっぽっちもないけども、状況だけを見ると全 く否定できなくて辛い﹂ ﹁ですよねー﹂ 手を伸ばしてきてこちらの耳たぶをぎゅっとつねってくる。地味 に痛いので止めていただきたい。VITさん仕事して! ﹁ユキトさんなら仕方ないかな、と思えちゃうところが困りもので すね﹂ ﹁あの、つねるのを止めてから言っていただければ嬉しいんですが あいたたた!﹂ ﹁メイさんもティアラちゃんも苦労するんだろうなー﹂ ﹁⋮⋮あの人達、本心はどうかわからないけど、その辺り全く文句 ベッドは大きい とか言ってたし﹂ とか言わないからなあ。メイなんかナチュラルに の一つでいいでしょ? 一緒にヤるんだし 334 ﹁正妻の余裕ですかね﹂ ﹁寧ろエロフだからと言う可能性もある﹂ ﹁エルフってそんなに性に奔放な種族じゃないはずなのですが﹂ ﹁エルフだけどエロフだからな。ティアラの影響もあるんじゃない か?﹂ 知ってるのと違う、という感じの表情だが、大丈夫、俺も同じ事 思ってるから。 一通りくっちゃべったあと、部屋の中に案内される。少し広めの 1Kといったところで、玄関は言ってすぐがミニキッチン、シャワ ー室とトイレのドアがあって、奥のドアを開けると居室となる。思 ってたよりも、というよりもかなり綺麗に片付いていて、ベッドの 他、服などが入っていると思われる棚と、机の上に結構な数の紙が 積まれているくらいである。 ﹁えっと、それで⋮⋮今日はお別れの挨拶ですか? あ、時間があ るなら最後にもう十回くらい抱いていただければ﹂ ﹁さらっと十回とか言うけどそれ時間があるなら程度の時間じゃ無 理だからな。それと、ちょっと違う﹂ 早撃ちマックでも無理じゃなかろうか、とか言っても通じないの で置いとくとして、本題である。うわ、何かちょっとドキドキして きた。 ﹁はい?﹂ ﹁あの、一緒に来る? 目的も定まってない、期間も当面という感 じだけど﹂ 返事がない。ただの屍のようだ。 お約束のト書きを挿入したところで、ジュリアが破顔する。 335 ﹁本当にいいんですか!? よかった、ユキトさんのを思い出して 張り子を作らないとって思ってたんです!﹂ そんなのいらないだろ、俺が抱いてやる って意味です ﹁喜びの表現がおかしい! そしてそんなもん作るな!﹂ ﹁それは か!?﹂ ﹁鼻息荒く言われても違う! けどシチュエーション的には一緒!﹂ やっぱり痴女じゃねーか。ティアラと混ぜてると大変なことにな りそうな予感がひしひしと沸いてくる。 ﹁で、急な話だが諸般の事情で明日出発なんだが⋮⋮行けるか?﹂ ﹁大丈夫です! 元々そろそろこの街を出るつもりでしたので、い つでも荷物をまとめられるようにしていますし﹂ ﹁ん? ここ出身じゃないのか?﹂ ﹁そうですよ。十五になったときに家を飛び出して色々なところを 巡りながら、飲食店で働いてその土地の食材を使った料理を覚えて いっていまして。なので強いて言うなら流れの料理人、ですかね﹂ ﹁なんか格好いい⋮⋮ただの痴女じゃなかったんだなあ﹂ ﹁痴女、といわれて否定は出来ませんが⋮⋮まあその、旅の途中の 料理はお任せください。あ、家事なら通り一辺倒はできますよ。母 に叩き込まれましたので﹂ エッヘンと胸をはると、薄着の胸元がふわんと揺れる。メンバー の中では一番標高が高いおっぱいである。 ﹁そういや、出身はどこなんだ?﹂ ﹁レンスです。レンスの帝都、リールで生まれ育ちました﹂ ﹁⋮⋮先に言っておくけど、同行メンバーに驚かないように﹂ ﹁え、その二人って何か有名な人なんですか? うわ、ドキドキす 336 る⋮⋮﹂ 有名も何も、確実に知ってるだろうが、ご対面の時まで言わない 方が良さそうである。ジュリア自身は大丈夫でも、どこからどう情 報が漏れるかわからないし。 ﹁まあそういうことで、とりあえず明日の朝、この間のホテルのロ ビーで﹂ ﹁わかりました。色々準備をしておきます。それで⋮⋮この後時間 はあるんですかね?﹂ こちらの腕を取り、谷間へと挟んでくる。柔らかい。 ﹁⋮⋮ちょっとだけなら﹂ ﹁ユキトさん、結構チョロいですよね﹂ ﹁おかしい、俺はクールぶりたい年頃なのに!﹂ ﹁それ自分が冷静なタイプじゃないって自白してますよね﹂ ﹁このおっぱいがいけないんやあ!﹂ ﹁きゃあっ!?﹂ ベッドに一緒にダイブすると、悲鳴を上げておきながらあっさり こちらの唇を奪ってくる。この子、この間まで処女だったはずなん ですが。この世界の女の子はみんな積極的である。 ちゅっちゅと少し幼稚な、だけど艶めかしいキスを交わしている と、枕元に木で出来た棒状のものを発見。こうなんというか、ちょ っぴりテカって、何だか見覚えのあるような⋮⋮ ﹁あ、それ作りかけの張り子です。ユキトさんのを思い出して作っ てる途中のです﹂ ﹁本物の持ち主も驚くくらいえらく似ているんですが﹂ 337 ﹁私、興味を持っていれば、ひと目見たり聞いたり触れたり食べた りするだけで割と覚えられるんですよね﹂ ﹁何そのチート﹂ ﹁で、記憶を頼りに削ってはやすりがけして、時折試してみてーっ て感じですかね﹂ ﹁テカってるのはジュリアの愛液か!?﹂ ﹁形はあってると思うんですけど、やっぱりちょっと違うんですよ ね。温かみとか、躍動感とか。あと出ませんし﹂ ﹁おまえは何を言ってるんだ﹂ そしてその能力他のところで活用するべきじゃないですかね。何 という才能の無駄遣い。まあその料理を覚えたりするのには使って るんだろうが。 ﹁ってことは魔法とか武器とかも使えるのか?﹂ ﹁実戦経験はありませんから咄嗟に使えと言われても難しいですし、 今まで覚えようと思っていなかったのであまり出来ません。また、 当然熟練者の方には手も足も出ませんけれど、十分心の準備が出来 ている状態ならどうにかなるかと。ユキトさんとの初めての時みた いに、いきなり襲われたりすると何も出来ません。あ、そのおかげ でユキトさんに抱いてもらえたので万事オッケーです。あ、メイさ んとティアラちゃんのテクニック、それからユキトさんを含めたお 三方の弱点はばっちり覚えました!﹂ ﹁ホント才能無駄遣いしすぎだから!﹂ 何だか俺よりよっぽど異世界転生キャラクターっぽい。あれか、 この世界チートの発生確率が高いのか。 ﹁ということでちょっぴり失敬して﹂ 338 異世界テンプレに思いをはせていると、下になりながらも器用に こちらの息子さんを取り出して、その形を覚えようと言わんばかり に柔らかく握っていく。 ﹁うーん、どうしたらこんな風に途中から大きく出来るんですかね ?﹂ ﹁チンコ握りながら言うセリフにしちゃ不適切だからな!﹂ 揉まれているだけというのも癪なので、首筋から鎖骨へと舌を這 わせていくと、あっという間に彼女の白い肌は赤く染まる。 ﹁わ、ひゃっ、ゆ、ユキトさんダメですよ、覚えられないじゃない ですか﹂ ﹁別に覚える必要はない、というのがさっきの結論じゃなかったの か?﹂ ﹁それはそれ、これはこひゃああっ!?﹂ だまらっしゃいと言う代わりに、下から手を忍ばせてぷっくりと 膨らんだ乳首をつまみ上げる。 ﹁なんだ、もう感じてるのか?﹂ ﹁ドアを開けてユキトさんに抱きついた時からずっとうずうずして ますよ?﹂ ﹁⋮⋮やっぱりただの痴女じゃねーか﹂ ﹁し、仕方ないじゃないですか! 私の男性経験の全てはサキュバ ス印の媚薬効果を諸に受けた上でユキトさんのみな訳ですよ!? しかも何ですかあの激しさは! おかげで帰ってきた後もずっと疼 いてて、しばらくいくらオナニーでイッたって収まらなかったんで すから! そりゃユキトさんの形の張り子だって作りたくなりま すよ!﹂ 339 ﹁お、おう⋮⋮﹂ twitterで入りきらない文字数でえらく怒られたが、果た して俺が悪いのだろうか? 一呼吸置くと何だか納得がいかないの で、つい指を忍ばせてしまうのデース。入り口に触れて水分を確認 したらつい指を入れてしまうのも仕方ないのデース。 ﹁本当にうずうずしてるのな﹂ ﹁やっ、ああっ!? ちょ、ちょっと急に触らないでくださいって ああぁっ!﹂ 触らないでと言われたら触ってしまうのが男の子。況んやそれで 女の子が嬌声をあげるのならば、である。下着越しに出っ張りを主 張している乳首を口に含みながら、差し入れた指はいったん抜き、 こちらも下着越しにスリットとその根元の膨らみを優しく上下に摺 り合わせていく。 ﹁あっ、ああっ、や、ダメですって!﹂ 元々湿っていた下着だが、すぐに中からこぼれたもので用を為さ なくなる。きっと端から糸を引いてシーツに染みを作っていること だろう。そのまま小刻みにクリトリスに振動を与えると、ひっ、と 小さく息を吐いてジュリアは絶頂に達した。 責めを一時中断して全身を眺めると、びっしりと汗をかいている のがわかる。頬を舐めてみると、少ししょっぱい。 ﹁ひゃっ⋮⋮な、舐めないでくださいよ﹂ ﹁いやあ、イキ顔晒して汗まみれだと、本当エロいなあ、と﹂ ﹁な、あ、わ、み、見ないでください﹂ ﹁もっと恥ずかしいことしてるのに何で恥ずかしがるんだか﹂ 340 ﹁そ、それとこれとは別ですよ! 改めて言わないでください﹂ ﹁言った方が恥ずかしいでしょ?﹂ ﹁ううっ、この人変態だぁ﹂ ﹁否定できないが、中が寂しいからって張り子を作る人に変態と言 われるのはちょっと﹂ アホな会話を交わしながら、濡れた下着をずらしていく。大事な ところから離れる時には、銀色の橋が出来ては下に崩れていく。踝 まで下ろしたところで右足だけ抜き、そのまま両足をぐぐっと体の 方へ倒していく。なかなか体は柔らかい。 ﹁パンツを完全に脱がさないのは美学ですか?﹂ ﹁中途半端に脚に引っかかってるのが絵面としてそそる﹂ ﹁あの、ここまで倒されると、全部見えるんですが⋮⋮﹂ ﹁見たいでしょ? ジュリアの中に俺のが入ってるところ。ほら、 ジュリアのマンコが待ち望んでる﹂ お約束のまんぐりがえし+くぱぁをすると、重力に従って茶色の 茂みに染みこんでいく。絡め取られなかった分は、そのまま臍へと 流れ落ちてく。 ﹁うわぁ、こうして見るとちょっと複雑な気分ですね﹂ ﹁何が?﹂ ﹁こうなんといいますか、私のがユキトさんのを欲しているのがわ かるといいますか﹂ ﹁ちなみにこっから先はご要望にお応えする形でしか動きません﹂ ﹁うわぁ⋮⋮ユキトさんとことんいじわるだぁ⋮⋮﹂ ちなみにメイかティアラだとここから逆に押し倒される。どっち が攻め手かわかったもんじゃない。まあ下になっても突き上げます 341 が。 しばらく顔を手で覆い、イヤイヤと小さく首を左右に振っていた ジュリアだが、こちらがペニスを取り出し、表面をつっつくと、そ こでギブアップとなる。 ﹁思いっきり、ユキトさんのおちんちんで犯してください!﹂ ﹁やっぱり痴女じゃねーか。オールオッケーだが﹂ ホテル同様のやりとりを交わした後、躊躇なくジュリアの中へと 叩き込んだ。 ﹁ああっ、すごい! 奥まで、あついの!﹂ 今更ながら時間制限を思い出し、最初からクライマックスと言わ んばかりに激しくストロークを重ねる。 以前よりも物理的なキツさはないものの、意志を持ったかのよう に、押し込む度に襞が吸い付いては刺激を与えてくる。負けてなる ものかと、おなか側を突き上げるように押し込んでは、最奥をノッ クして引き戻していく。 ﹁ああっ、奥、あたって、ひいっ、らめっ﹂ 一突きするごとに、ジュリアの顔は妖艶に、しかし美しく崩れて いく。 ﹁あっ、ゆ、ユキトさんのおちんちんが、またおっきく、いひっ﹂ ﹁そりゃこれだけ締め付けられたら、なっ!﹂ ﹁すごっ、だ、らめっ、イクッ﹂ びくびくっと体が震え、ぎゅうっと締め付けられる。ここで発射 342 してもいいかなあ、とは思ったがもう少し我慢して絶頂を迎えてい る膣内をさらに蹂躙していく。 ﹁ら、らめれす、ゆきとひゃん、いまあたし、いってるからぁぁぁ !﹂ 絶頂中に更に快楽を上塗りされて、ジュリアの口元からは涎がこ ぼれ落ちていく。小さく潮を吹いてるのか、抜きかけた時にびゅっ とこちらの体に液体が吹き付けられていく。 ﹁あ、らめ、すごいの、すごいのきちゃ!﹂ ﹁いいんだよ、ほら、ジュリア、イけっ!﹂ ﹁い、いく、おっきいのが、いく、いく、ああああアアアッ!﹂ とどめとばかりに、最奥へと強く押しつけると、それがトリガー となりジュリアは激しい絶頂を迎えた。収縮する快感に身を任せ、 こちらもそのまま子宮へと精子を流し込む。 ﹁あ、ああっ、びゅ、びゅって、ああっ﹂ 射精の為のペニスの動きもまた、ジュリアに刺激を与え、大きな 波と小さな波がまとめて彼女の意識をさらっていく。精子を出し終 え、抜き取って溢れたものやら吹き出たものやら何やらを拭き取る 間も、ジュリアは四肢を弛緩させてベッドにぐったりとしているだ けだった。更に言うなら、こっそりシャワーを借りて戻ってきても そのままである。しまった、少しやり過ぎたか。普段がエロフ&サ キュバスという最強コンビ相手のせいか、どうにも加減がつかない、 という言い訳を心の中で並べ立てておく。 ﹁あ、あひ⋮⋮﹂ 343 ﹁おーい、ジュリア、大丈夫かー?﹂ ﹁だ、だいじょうぶ、ですー﹂ ﹁まったく大丈夫じゃないな﹂ ﹁こうひたのはゆきとひゃんじゃないでひゅかー﹂ ﹁平仮名が多くてわかりにくい! ギャル語か!?﹂ なんとか意思疎通を試みて本人曰く大丈夫らしいので、もう一度 明日の時間を打ち合わせして退出する。賃貸だったら契約とか解除 しなきゃいけないのでは、と聞いてみたら素泊まりタイプのホテル の分類らしく、別に退去精算とかもないそうである。ウィークリー マンション的な概念があるとは、異世界も侮れない。 さて次は、一度はお伺いしたお宅である。今度の相手は、姉はジ ュリアみたいな事にはならないだろうが、妹は少し怪しいが、果た して。 ﹁⋮⋮エッチして仲間を増やしてくみたいだな、って俺はエロゲR PGの肉棒兼主人公役か!?﹂ 思わずセルフツッコミをかます。幸いなことにご近所の方々には 聞かれていないようで一安心一安心⋮⋮ ﹁え、パパの役目の何割かはそうでしょ?﹂ とか思ってたら、たまたま出くわしたティアラに冷静に突っ込ま れ、俺はその場に崩れ落ちてはメイの介抱を受けるのであった。 344 第16話 明日へ向けて放て︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 345 第17話 邪な感情だって空回りするんだから純情なのだっても ちろん︵※︶ 第17話 邪な感情だって空回りするんだから純情なのだってもち ろん︵※︶ 失意の中再度メイ・ティアラと別れて次なる目的地に向かう。前 回はたまたま出くわす奇跡の産物だったが、一度行ったら大体の場 所は覚えておける。タクシードライバーや佐川の兄ちゃんには必須 佐川男子 とか書かれてもわけ のスキルであるが、現代日本でしか活用できないのか、こちらの称 号にはない。まあそりゃいきなり がわからないだろうしなあ。 記憶を頼りにたどり着き、見覚えのあるドアをノックしてもしも し。 ﹃はい、どちらさまでしょうか?﹄ だが返事の声は聞き覚えのあるものではない。姉妹よりも少し低 く、しかし何だか癒やされるボイス。ってこれもしかしなくてもお 母様ではないですかね。逃げ出したくなるが、ぐっと堪えて我慢の 子。 ﹁あの、ユキト・クスノキと申します。アリサさんとレイラさんに あの ユキトさんですね!? 少々お待ちくださいね﹄ お話がありまして﹂ ﹃まあ、 あの、ってなんだ、あの、って。一体全体あの姉妹はお母様に何 346 の話をしているんだか。間違ってもまとめて処女散らされました、 なんて言ってないことを祈りたい。だが、祈りは通じないことも身 にしみてわかっている。自分でもわかる、これがフラグだよって。 ぱかっとドアが開き出てきたのは、どちらかというとアリサを少 しふくよかにしてそのまま少しお年を召された感じのおば様である。 どう見ても二十代後半から三十代前半、お話世界でよくある年齢と 見た目が乖離しているパターンだろうか。 ﹁こんにちは、アリサとレイラの母のミーナ・ハーチェルです﹂ ﹁ユキト・クスノキです。お二人にはお世話になっておりまして。 というか⋮⋮失礼ですがおいくつです?﹂ ﹁三十一ですよ。アリサは十六の時の、レイラは十七の時の子です から﹂ なるほど、平均出生年齢が低いパターンね。 ﹁これは失礼を。二十代も中盤より手前に見えたもので﹂ ﹁お世辞は結構ですわよ? それはあの子達に言ってやってくださ いな﹂ ﹁重ね重ね失礼を⋮⋮ん? あの子達?﹂ ﹁ささ、どうぞ中にお入りください﹂ ちょびっとばかりイヤな違和感を覚えながら二度目のお宅訪問。 前回も見たダイニングのテーブルに誘導され、席に着くとお母様が 対面に座られる。 ﹁ごめんなさいね、あの子達ちょっと出ていまして。まあもうすぐ 帰ってくると思いますが﹂ ﹁そうですか。こちらもアポイントなく訪れたものですから。また 時間を改めましょうか?﹂ 347 ﹁お時間が許すのでしたらどうぞお待ちになってください。それほ ど時間もかからないと思いますので。あ、お茶をお入れしますね﹂ あの子達、ということはアリサは有休でも取っているんだろうか。 この間も休んだはずなのに、異世界の就職事情は割と寛容である。 さすがハローワーク、ホワイト職場待ったなしである。 阿呆なことを考えている間に、お母様は優雅な仕草でお湯を沸か して紅茶を注いでくれる。なるほど、アリサは性格もお母様似なん だな。 抱いたお茶を一口。うん、おいしい。 ﹁どうも済みません、突然訪ねた上においしいお茶までいただいて しまって﹂ ﹁いえいえこちらこそたいしたお構いも出来ずにすみませんね。ち ょっと、個人的にユキトさんにお話をお聞きしたかったものですか ら﹂ ﹁は、はあ⋮⋮﹂ 戸惑うこちらをよそに、やはり優雅な仕草で紅茶を嗜むお母様。 つられてこちらもカップを持ち上げて一口。うん、やっぱりおいし 体の具合 はいかがでした?﹂ い。個人的に、というフレーズには耳を塞いでおきたいところだが。 ﹁それで、二人の ﹁ごほっ!!?﹂ やはり祈りは通じないのだ。辛うじて噴き出さずに咳き込むだけ に抑えた自分自身を褒めたい。噴き出してたら間違いなく大惨事で ある。 ﹁あの子達、お互いで慰めあってたので、いざ男の人と交わるとき 348 にちゃんと出来るか心配で⋮⋮﹂ ﹁いやいやいやいや心配する箇所そこぉ!?﹂ ﹁レイラはまあ最初は薬の効果もあったので大丈夫でしたでしょう が、アリサはどうでした? ちゃんとやれてました? それともレ イラに逃げて慰め合ったりしてませんでした? 一応本人達からは 大丈夫だったとは聞いているんですが﹂ ﹁聞いてるってことはやっぱりばっちり話してるしそもそも姉妹レ ズプレイが親公認っ!?﹂ もはや訳がわからない。異世界トリップより訳がわからない。百 合の花が咲き誇りすぎている。もう少し自重してくれよもう。 ﹁私もずっと心配をしていたのですが、あなたに会えて、本当に良 かった﹂ 色んな意味で言葉にできない。何かこのネタ前にもなかったか? ﹁えっと、その、ええ?﹂ ﹁ああ、決してユキトさんを責めるつもりなんてありませんからね ? 周囲にいなかったせいか、あの子達は少し男性に慣れていない 部分がありました。それを解消するばかりか、乗り越えているんで す。感謝しても仕切れません﹂ ﹁いや、そんな、えっと﹂ 怒濤の勢いに飲まれる。まさか感謝されることになるとは思いも しない。そそしてお父さんはどうした。 ﹁自慢の娘たちです。親バカと思われるかもしれませんが、本当可 愛い自慢の娘達です。言い寄る男も多かったようですが、その、あ まり良い方がいなかったようで、ますます二人で内側に籠もってし 349 まうようになってしまってまして。さすがに初めてはお互いで取っ てはいけませんよ、とは言いましたが﹂ ﹁あ、その、はい、すみません﹂ ﹁ユキトさんが謝る必要なんて本当にありませんよ? あの子達が、 ちゃんと女の子になれたんですから。レイラは少し特殊な形ではあ 混乱 と書かれているに りましたが、結果としてあなたと出会えて本当によかった﹂ 今ライブラを自分に掛けると、大きく 違いない。さすがに姉妹丼してその親に褒められるなんて想定外も 甚だしい。とりあえず今得られた情報を整理すると、お父様が早く お亡くなりかお別れに↓おかげで姉妹は男性が苦手↓仕方ないので 姉妹レズプレイ限定公認↓そしたら見知らぬ男にまとめて抱かれる ↓やっぱり褒められる要素が見当たらない。どういうことだってば よ!? ﹁混乱しているように見受けられますが、男性が苦手という二人の 状況を乗り越えてくれるような素敵な方があの二人の前に現れてく れた、というのは親としてはとても嬉しいことなんですよ﹂ ﹁はあ、そうなんですか⋮⋮﹂ ニコニコと話すお母様からは一切のウソ偽りが感じられない。俺 の持つ一般常識的には姉妹丼は微妙ラインなんだが、重婚オッケー な異世界事情だと違うのかもしれない。いずれにせよ、親に育てら れた記憶がほぼない俺には、比較検討のしようもないのだが。 ﹁ですから、母親としてはあの二人の後押しをしなければなりませ ん﹂ ﹁はあ、えっと?﹂ ﹁恐らくここにはお別れを言いに来られたのだとは思いますが⋮⋮ どうかあの二人を一緒に連れて行っていただけませんか?﹂ 350 ﹁⋮⋮はい?﹂ ﹁いえ、ですからあの二人をぜひ連れて行ってあげてください。ど うかお願いいたします﹂ ﹁ああ、そんな、頭を下げないでくださいよ! というか、連れて 行ってって、え?﹂ 頭の中が大混乱である。一言で言うならぱよえ∼ん。空からお邪 魔が降ってくる。降ってくるのはゲームだけではない、ってこれは 古いか。 ﹁⋮⋮もしかして、娘達を連れて行くつもりでした? 聞いていた 話だと、お断りの方向だったと思うのですが﹂ ﹁少し前までは間違いなくお断り&お別れでしたが、少々事情が変 わりまして、何というかその、義を見てせざるは勇無きなり、とい いますか﹂ ﹁えっと、どういう意味でしょうか? 今ひとつ要旨を掴みかねる のですが⋮⋮﹂ ﹁その、正直に言いますと、訳あって同行する人が増えまして。あ っちは断ってこっちはオッケーというのは個人的にどうも⋮⋮﹂ ﹁あら。さらにいうとその増えた同行者も女性、ですかね﹂ ﹁ええ、まあ、その﹂ ﹁あらあら﹂ 一回目の﹁あら﹂と二回目の﹁あら﹂に多少の温度差を感じたの は気のせいではあるまい。というか、同行者も、ってことはメイと ティアラの話は聞いた上で同行願いを出していたのか。 ﹁話を聞いた時から思ってはいたのですが、もしかして、やんちゃ さんですか?﹂ 351 お母様の視線は、俺のやや下へと向けられている。確かにやんち ゃさんがいらっしゃるが、今は睨まれた蛙のようにおとなしい。こ の場面でやんちゃさんになってたらただの変態だろうけども。 ﹁いえ、その、ははは﹂ ﹁あらあら﹂ きっと今、俺の頬には冷や汗がダラダラと流れていることだろう。 貴族でもないパンピーがハーレム形成しているところに娘を行かせ ようという母親はそうそういるまい。俺だってもしティアラがそん なところに行こうとしてたら絶対止めるが、あいつが俺から離れる 光景はちっとも思いつかない。 脳内で﹁娘はやらん﹂ごっこをして現実逃避をしてみるが、何も 変わることはない。現実が別の現実に変わったくせに、こういうと ころは融通が利かない。 ﹁それでも、まあ娘達が選んだ人ですものね﹂ しばらくの無言の後、お母様はそんな言葉を呟いた。娘達をとて も信頼しているのであろう。 ﹁よっぽどやんちゃさんの具合がいいんでしょうね﹂ ﹁そこを信頼するんかい! 普通性格とか人柄とか考え方とかじゃ ないのかよ!?﹂ ﹁三つとも全部同じ意味ですよね﹂ ﹁逆に冷静に突っ込まれた!?﹂ ﹁娘達がツッコまれた側ですけどね﹂ ﹁そうだけども! そうだけどもそうじゃない! というかこのネ タ娘さんともやったわ! さすが母娘かってちゃうやろ!﹂ 352 幾分楽しそうに﹁あらあらうふふ﹂と相づちをうつお母様。ちょ っと振れ幅が大きすぎやしませんかね。M1に出てたらそこそこの 成績を残してそうである。 寧ろ娘さん達の方が積極的にツッコまれに、なんてことを言おう か考えていたところで、外が賑やかしくなる。 ﹁ただいまー﹂ ﹁あれ、母さん誰かお客様が⋮⋮ってユキトさん!?﹂ ツッコまれ役二人組の登場である。まあそりゃちょっと出てまし て、って言ってたしね。有休を取ってまで二人でお出かけとは大変 仲の良きかな良きかな。 ﹁あなたたちにお話があるそうよ﹂ 話の結論を知っているというのに意味ありげに目を配るお母様。 やや伏せ目がちにするもんだから、どうみても嫌な話をする前提っ ぽくて二人の顔が強ばる。あの、すみません、妙な前ふりをされる と話し出しに困るんですが。案の定、二人は少し緊張した面持ちで 席に着く。 口を開けようとして刹那、 ﹁あ、あの、私たちも、足手まといかもしれないけど、連れて行っ てください、お願いします!﹂ レイラがまくしたてるようにお願いごとをしてくる。こっそり最 大の懸案であった﹁そもそも二人が行きたくないと言ったらどうし よう﹂が解消されて、顔には出さずに一息つく。あれ、でもレイラ はともかくアリサにはハローワーク職員の仕事があるはずなのだが、 どうやって? 353 ﹁私も休職の申請を出してきました。お給料はいただけなくなりま すが、貯金がありますのでしばらくはどうにかなりますので﹂ なるほど、休職制度があるのか。さすがホワイト企業。ハローワ ークがブラックだと全部がブラックになるもんね。そもそも企業と いうか会社的な概念があるのかも知らないけど。 ともかく、実は一緒に来てくれないかと言おうとしてたんだ、と 言おうとして︵ややこしい︶口を開きかけてまた横やり。今度はお 母様である。 ﹁ユキトさんたちの同行者が増えたそうよ、それも女性が﹂ それを言ってしまいますかお母様。いたずら好きなお母様である。 話の流れ的に、娘たちがどうにかして男についていこうと準備して いる↓その本人が難しそうな顔で家で待ち構えていた↓しかも女性 同行者が増えた↓だからあなたたちの居場所があるのかしら? と なるわけだ。 二人の緊張度合いが増す。どれだけいたずら好きなんだこのお母 様。 ﹁ですから⋮⋮あら、そろそろ出かけないといけない時間になって しまいました。すみません、ユキトさん。お会いできて嬉しかった ですよ﹂ 見るからにあわあわしだした二人組をよそに、席を立ちさりげな い仕草でごまかしながら耳打ちをしてくる。 ﹁娘たちを、よろしくお願いします﹂ ﹁⋮⋮すみません、ありがとうございます﹂ 354 この一言は間違いなく、母親としての気持ちが入ったものだった。 そのまま娘たちにも何やら耳打ちしてから、本当にドアを開けて 外に出て行ってしまう。残されたこちらとしても、だいたい用事は 済んで⋮⋮なかった。さっきから何か言おうとするたびにカットさ れて、肝心なことを言えていない。おまけに盛大に勘違いされてい る。 ちゃんと 防音仕 やれやれ、とため息を小さくついてから誤解を解こうと二人の顔 を見やると、何故だか真っ赤。 ﹁あ、言い忘れていたけどあの子たちの部屋、 様にしてありますからね﹂ ドアを開けて言い忘れを言い残して再度去るお母様。もしかして だけど、もしかしてだけど、﹁しっかり誑かさないと連れて行って もらえないわよ?﹂的なことを言い残していったな、これ。 ﹁いや、あの、ちょっと二人とも⋮⋮まあ落ち着いて、な? だか ら引っ張るなって﹂ 無言で俯きながら姉妹は立ち上がると、両サイドから俺を挟み、 ずるずると防音仕様らしき部屋の中へと引っ張っていく。何故防音 仕様なのかまでは問うまい。きっと百合の花がさすがのお母様にも やかましもとい眩しかったのだろう。 例のダブルベッドの端に座らされた挙句、パンツから下着までま とめて脱がされる。手を上げにくい状況の上に二人で息の合ったコ ンビネーションを見せられると、どうしようもない。 ﹁あの、ちょっと、ミーナさんから何言われたかわかるけども、っ てもしもーし、聞いてますか?﹂ 355 まだ、まだ間に合うぞと二人の説得に取り掛かるが、やっぱり聞 いちゃいない。聞いちゃいない上に、合わせて四つのまなざしが、 まだ休憩状態の息子様に注がれる。残念ながら、見られて喜ぶ趣味 はないので成長したりはしない。しないが、だんだんと顔が近づい て鼻息がかかるくらいになればまた話は変わってくる。 ほんの少しだけ大きくなった息子様を、両サイドからペロリとな められる。そしてそのまま、やはり息の合ったコンビプレーで上へ 下へと舌を這わせてくる。おかげで止めるタイミングを見失ってし まった。時折カリ首や鈴口を通過するたびにもどかしい刺激がやっ てきて、その度に息子様が大きくなる悪循環。気絶娘を置きっぱな しにしてシャワー浴びといてよかったと思う瞬間である。 ちろちろと舌を動かしながら、時折真っ赤な顔してこちらを見上 げてくる姉妹。その絵面も相まってなかなかの精神に対する破壊行 為となているが、ここまでまだ無言であるのがちょっと怖い。なん だか、﹁なんで射精しないんですか﹂と言われているような気もす るが、今日という日付を迎えてからすでに三発解き放っている。そ うそう簡単には出ない、と信じたい。 相手は強敵なりとでも思ったのだろうか、姉妹のペニスへの攻め 方に変化が訪れる。レイラは口に先端を頬張って唇と舌で刺激を与 えてきて、アリサは竿を手で擦りながら裏筋を舐めてくる。おまけ にやわらかく玉袋まで揉まれたらさすがにたまらない。思わず﹁う っ﹂とうめき声をあげてしまう。どこで覚えてきたのか興味深いと ころであるが、ダブルで攻められて、遠かったはずの射精感がすぐ 近くまでやってくる。 ﹁ぐっ、もう、出るっ﹂ その言葉で二人はまるでペニス越しにキスをし合うように、唇が 合わさるぐらい強く先端へ口を押し付け、きゅうっと吸い上げてき 356 て、その艶めかしい感覚が引き金となって、わずかに開いていた隙 間から中へと白い液体を解き放ってしまい、べちょっとご丁寧に床 にひいてあったタオルへ精子は着弾した、 射精させて二人とも満足げな表情を浮かべているが、本人たちの 体は当然満足していやいない。無意識だろうか、女の子ずわりした そのお尻部分が床にこするように前後に動いていて、姉妹形はおそ ろいで色違いのフレアミニスカートが時折めくれていた。 ここまでしてもらったのなら、さすがに満足していただかなくて は男が廃るというやつである。よっこいしょと声には出さずに一人 ずつベッドに抱えては放り投げ、仰向けに寝転がったレイラの上に アリサをうつ伏せに重ねる。ベッドサイドから並んだスカートの中 身を見ると、やはり大事なところが湿り気を帯びていた。顎に手を 当てて眺め続けたい所存であるが、それが許される状況でもない。 というか突っつきたい。 うまいことスカートをめくり上げて、二人の湿り気部分がほぼ触 れ合うようにしてから、その隙間へと指を差し込んでいく。 ﹃んっ﹄ 吐息が二つ、ユニゾンする。布越しに上下でわずかなふくらみを 感じながら、そこを指の先で掠めるように前後へ動かしていくと、 途端に上からも下からも温かいものが染み出てくる。少し物足りな いのか、レイラが腰を浮かせてこすりつけてきて、その振動が指越 しにアリサへと伝わっていく。そのままだと擦り合わせることはし にくいが、間に指という棒状のものが挟まればやりやすいのだろう。 ﹁ん、ちゅうっ﹂ ﹁んむっ、んんっ﹂ いつの間にかこの指元だけでなく、遠くの方からも水気の含まれ 357 た音が漏れ出てくる。ディープなキッスをしている、間違いない。 若干置いて行かれた感というか、あなたたち俺を篭絡するんじゃな かったんだろうかとか疑問も浮かんでくるが、気にしたら負けであ る。自分で腰を動かして快楽を求めてくるレイラではなく、ややな されるがまま状態のアリサ側に指の腹を向けて、存在度合いを膨ら ませてきた部分を摩っていく。時折ぴくっ、と大きく震えるあたり、 小さな絶頂は何度か迎えているかもしれない。 もはや指はてかてかと愛液でコーティングされて、お互いの下着 がどちらのともわからぬ液体で濡れ、女性器に張り付いてその卑猥 な形を浮かび上がらせたところで、少し二人の体を引き寄せてちょ うどベッドの端に足の付け根が来たところで、するすると下着を二 枚とも脱がせていく。アリサのスカートをお尻へとまくり上げると、 二つのそっくりなアソコが小さく口を開け閉めして待っていた。時 折つーっと中からきらめいたものが垂れてきて、二つの流れが一つ にまとまり、真下にシミを作っていく。 その境目に息子様をあてがい、両方の陰唇、クリトリスをこする 様に隙間へと潜り込ませていく。 ﹁はうっ、熱いのが、こすれて!﹂ ﹁ああすごいの、熱いの!﹂ 犯している 見た目がダイレクトに脳を刺激 正直、肉体的に受ける感覚は中に挿入するときよりも薄いが、何 より二人をまとめて する。二人は二人で、クリトリスを直接刺激されて気持ちいいのだ ろう、キスもやめて喘ぎ声を上げている。ゆっくりと前後に動くた びに、その声は少しずつ大きくなっていく。そしてそれぞれ感じる 場所が微妙に違うのだろう、アリサもレイラもチンコに股を押し付 挿入感 に襲われて、先端からカウパーを けながらもそもそと動いてきて、先端が陰毛の薄い茂みに包まれる のと相まって心地よい 出しながらスピードを速めていく。色んな液体に塗れたおかげでス 358 ムーズに動けて、本当に中に出す前のように腰を振る速さを上げて しまう。 ひときわ早く奥から引き抜こうとして、カリにつぼみが二つ引っ かかったのが決め手になったのだろう。 ﹁あ、ダメ、こすれて、イクッ﹂ ﹁ああぃ、ダメぇっ!﹂ ほぼ二人同時に、びくびくっと大きく体を震わせ、中からぴゅっ と小さく熱い液体が吹き出してきた。絶頂の振動がこちらも引き金 とあり、抜き切ったところで二人の膣口目掛けてびゅうっと欲望の 塊を打ち出した。本日五度目だというのに、働き者の息子である。 ダブルフェラの時よりも多くの精液が飛び出して、二人のマンコに あたり、白く染め上げていく。 ﹁ああ、ユキトさんの、あつぃ⋮⋮﹂ ﹁はあっ、ああっ⋮⋮﹂ アリサの体からは力が抜け、同じく力が抜けてぐったりしている レイラの上にぐったりとうつ伏せになる。これ絶対途中からお母様 アドバイスを忘れてるよね、絶対。まあ別に体で俺を落とそうとし なくても、連れていく気は満々ではあるのだが。 ﹁あの、お二人さんや﹂ ﹁は、い、あの、お願いが﹂ ﹁ユキト、さん、その、私たちも⋮⋮﹂ 息も絶え絶えながらどうにかこちらに首を向けてくる姉妹。まず は前提条件を変えよう。 359 ﹁いや、その、話があるっていうのが、もしよかったら二人とも一 緒に来ないか、ってことなんだけど﹂ ﹁⋮⋮えっ、そ、それ、本当に?﹂ ﹁本当だ、それで返事を聞きに来たんだが、その、二人のお母様に だいぶんかき混ぜられて⋮⋮﹂ ﹁す、すみません、母はその、割と⋮⋮お茶目というか﹂ お茶目、なのかアリサさんや。妖精の類よりひどい気がするんだ が。 ﹁あれ、じゃあその、えっちなこと、してなくても⋮⋮?﹂ ﹁それは関係なく、一緒に行けたらと思ってたんだが、言おうとす る前に脱がされたし⋮⋮﹂ 俺が若干遠い目をしているのがわかったのだろう、レイラはあは はと愛想笑いでごまかし、アリサは真っ赤になってレイラの横に顔 を落としてしまった。 ﹁じゃあ私もお姉ちゃんも、一緒に連れて行ってください。お願い します﹂ ﹁こちらこそ喜んで。いや、良い返事が聞けて良かった。あ、それ と明日出発予定なんだが、大丈夫か?﹂ ﹁大丈夫ですよ。私たちもともと、無理矢理にでもユキトさんたち についていくつもりで準備していましたから﹂ ﹁⋮⋮やっぱりそうなのな、アリサが休職届け云々言ってるから、 薄々そんな気はしてたけどさ﹂ まあ、なんにせよ、これで俺の希望通りにはなった、ということ である。結局エッチして仲間を増やす役割からは逃れられていない。 ティアラがフラグ建てしたせいだ、絶対。 360 なんて思ったのがたぶん悪かったのだろう。 ﹁⋮⋮そういえば﹂ 少しだけ顔を上げて、若干不穏な声色でアリサ嬢が話を切り出し てきた。 ﹁女性の同行者が増えた、って母さんが言っていましたね﹂ ﹁あ、ハイ。後から増えてアリサとレイラを断るのは間違いだと思 って﹂ 思わず素で答える俺。 ﹁ちなみに、人数は⋮⋮?﹂ ﹁えっと二人、いや違ったジュリナ含めたら三人か﹂ ﹁な、なんかすごいねユキトさんって。女性ホイホイ?﹂ ﹁やめろ、そんな言い方されるとまた妙な称号がつくだろうが﹂ 間違いなくダメなやーつの方であるが、あながち否定しづらいの が難しいところである。 ﹁そういえば、さっき幸人さんのおちんちん舐めた時、﹂ ﹁おちんちん言うな、ちょっとまたおっきするだろうが﹂ ﹁それもどうかと思うんですが、ともかく、そのなんというか、つ いさっき洗ったばっかりみたいにあまりにおいがしなかったのも、 やっぱり?﹂ ﹁⋮⋮よく気付いたなレイラ﹂ そしてあまり気付いてほしくもなかった。なんだかさっきからア リサ嬢の様子がおかしくて、いやな予感がしているのである。 361 ﹁ユキトさんを篭絡、ユキトさんを篭絡⋮⋮﹂ ﹁いや、あの、アリサさんや? 別に篭絡しなくても、もうなって いるというかなんというか⋮⋮﹂ ﹁あ、ダメですねこれは。お母さんのさっきのアドバイスと、ユキ トさんの現状が絡み合って、お姉ちゃんショートしちゃってますよ﹂ ﹁ホント碌なアドバイスをしなかったな二人のお母様は!﹂ 今度会った時には異議申し立てをしなければ、なんて思っていた ら、アリサがレイラごとグルっとベッドの上を一回転し、二人の上 下が逆さまになる。 アリサの眼は、少しどこかにイっちゃってる眼をしていた ﹁ユキトさん! まだ時間ありますよね!﹂ ﹁え、や、まあもうちょっとなら﹂ ﹁ここに、まだ入れてもらってないです。私も、レイラも﹂ ﹁ちょ、お姉ちゃん!﹂ イった目のまま、俺の精子に塗れた下の唇を自分のだけでなく妹 のものまで指でくぱぁっと広げる。まだ熱を持ったそこは、新たに 生み出されたもので怪しく光っていた。 ﹁さあ、お願いしますユキトさん!﹂ ﹁お、お姉ちゃん、ちょっと壊れちゃった!?﹂ ﹁⋮⋮レイラが余計なこと言うから﹂ ﹁わ、私のせいです、あああっ、いきなり入れないでください!﹂ ﹁レイラばっかりずるい、私の方にも!﹂ ﹁どうしてこうなった⋮⋮﹂ 頭の悪い展開に頭痛を覚えながらも、二人の中の感触に引き込ま 362 れ、俺は腰を振り始めるのだった。 さすがに残り一発ずつで勘弁してもらった代わりに、道中楽しみ にしていますと言われた俺はラブコメ主人公よりもひどい状態に違 いない略してらしちが。言いにくい。 363 第17話 邪な感情だって空回りするんだから純情なのだっても ちろん︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 364 第18話 8時だよ全員集合ただし午前︵※︶ 第18話 8時だよ全員集合ただし午前︵※︶ ﹁さて本日はお集まりいただきありがとうございます。今日この素 晴らしい天気のもと、﹂ ﹁パパ、開会の挨拶じゃないし外は曇りだしそもそもまだホテルの 部屋だよ?﹂ ﹁いや、なんとなく言ってみたかっただけだから、にしてもすごい 人口密度⋮⋮﹂ ﹁それはユキト含めて8人になったからね、同行者が﹂ ﹁あまり外で見られるわけにもいかないからな、何言われるかわか らない﹂ 昨日はホテルに帰って来てご飯を食べて、風呂に5人で何事もな くティアラに1回絞られた後浸かってもうくたくたですぅとベッド に溶け込んでしまいたかったが、そううまくいくわけもなく、全員 に1発ずつ計4発、さらにいうとアリサとレイラを室内に引き込ん だ張本人であるホテルの女性従業員とそのお友達従業員併せて3名 も何故か乱入してきて2発ずつ。最後の一仕事と言わんばかりに息 子様に頑張っていただいてからの就寝となった。もうね、息子様様 様ですよはい、親の体は息子の頑張りによって維持されているとい っても過言ではない。親孝行といっても過言ではあるまい。あと性 なるランナーの特殊技能とサキュバスの加護の効果が強すぎる。寝 ているうちにティアラ、目覚めてレーファ、フローラ、メイ、1回 眠った後ジュリナ、それからアリサとレイラにダブルフェラ1回ダ 365 ブル素股1回それぞれ中に1回ずつと来てからの1+4+2×3発 である。計算が間違ってなかったり気づかぬうちに絞られていたり しない限り、全部で20発。俺の精子工場はどれだけハイテクかつ ブラック企業仕様なのか。きっと出す度に次弾をよこせと金玉の中 でかんばんが回っているに違いない。﹁課長! 精子の出荷要請が また来ています!﹂﹁馬鹿野郎! 既にフル稼働なのにこれ以上精 子出せるか!?﹂﹁しかし重要取引先ですよ! どうにかしなけれ ば﹂﹁くそっ、やるしかないのか⋮⋮﹂なんてドラマが起きている に違いない、金玉の中で。まるで下町の工場みたいだなどと勝手に 思っておく。採算がとれているか心配だ。 しれっと触れたけど、ホテル従業員3名も混ざっているのである。 詳細をやり出すと切り長いので省略するが、皆様年齢の割には︵1 6歳から22歳︶中々経験値をお貯めのようで、それなりに頑張っ て返り討ちにした。肉食系は怖いアルよ。というか従業員逆レイプ がありなのかこのホテルは。え、なかなかのお手前でしたって? そういう表現使うのは正しいのか、セックスって。 それはさておき。くんずほぐれつという範囲を超えて生々しすぎ るの痕跡を消臭力もどきの魔法の力で消し去ったホテルの部屋の中 で、今日からの同行者が全員集まる。俺以外みんな女の子。何この ハーレム。1か月もたたない間にこれだけそろえたのは新記録では なかろうか。是非ともギネスに申請したい所存である。ギネスの判 定員がどうやって判定をくだすのか、実に興味深い。そして1ヶ月 が何故か24倍になっている気がするのも興味深い。 ⋮⋮ふと気づいたけど、メイ以外で女の子との1対1関係、とい うのがいないな、これ。全員少なくとも1回はメイかティアラが一 緒にいる状態でコトに及んでいる。ある意味二人にとってもハーレ ムといえるのではなかろうか。百合の花が咲く方にも好待遇。更に いうと俺が相手してない組み合わせは自然とお互いを慰め合ってい る。俺の知っている世間一般ではレズプレイに忌避感を抱く女性の 366 割合が圧倒的に多かったのに、さすが異世界、なのか。思わず女学 院を作りたくなる。 ﹁パパ好きだもんね、ガールズラブ﹂ ﹁もちろんだとも。昨日だってメイとレーファがくんずほぐれつで 貝合わせしてたのがとても素晴らしかった﹂ ﹁こう摺り合わせると、レーファが啼くのがちょっと楽しくて﹂ ﹁サキュバスすら戦かせるメイママとはいったい⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮私にのしかかっていた時でも、それくらい見る余裕があった のだな﹂ ﹁いや、おもっきり喘いでた割にはフローラだって把握してるじゃ ないか﹂ ﹁あの、皆様はさておき、私はあまりそのようなことを説明される と恥ずかしいのですが⋮⋮﹂ レーファと昨夜ホテル外組の目線がきつくなったところで仕切り なおして。ちなみに俺も隅から隅までを説明されると恥ずかしいの で、皆様ではない方に含めていただきたい所存である。そしてメイ がティアラとの激闘を経て女の子を喜ばせる手段をマスターしてる 気がする。あ、フラグっぽいぞこれ。 ﹁あの、ユキトさん、私の記憶がおかしくなければ、とんでもない 方がいらっしゃる気がするんですが﹂ ﹁やっぱりジュリナは気づくか。ともかく、初対面同士もいるので、 全員自己紹介をしながら自分の情報を全許可つけて見せてほしい。 レーファもフローラも、いいな?﹂ ﹁ええ、問題ありません。むしろ私たちは皆様に守っていただくよ うなものです。全てをお見せしなければ信頼もなにもありませんで しょうから﹂ ﹁姫様の許可があれば、こちらも構わない﹂ 367 というわけでお互いのステータスやらなにやらを語り合ったのだ が割愛する。それだけでだいたい箇条書き五千字もとい2時間くら いかかったためである。 概ねメイが王女で驚かれてティアラが真祖サキュバスで驚かれて レーファが元王女で驚かれてフローラが虎に変身することで驚かれ てと、平民組が驚きっぱなしだったが致し方あるまい。ついでにい うと俺が異世界人だった件については何故か納得されてしまった。 ホント何故納得? と顔に出ていたのだろう。レーファから答えが 返ってきた。 ﹁異世界からの旅人逸話は各国色々残っています。それこそ英雄譚 からハーレムモノまで選り取り見取りです。全員が全員物語になっ 異世界からの を持つ人間の様々な活躍を探すのは比較的簡単です。それこ たわけではありませんが、歴史書を紐解くと称号に 旅人 そレンス王家でも過去に何名か王妃・王配となった方がいらっしゃ いますから、私もその血筋を受けています﹂ ﹁ほらユキト、言ったとおりでしょ? 滅多にはいないけど長い目 で見れば結構いたのよ﹂ ﹁異世界からこちらに出現する際能力値2倍・魔法と技能上限10 とはいえ2倍になるという事実も広く知られています。ハローワー クの設立に尽力された方の1人もそうだったようです﹂ 何故ハローワークなのかが判明した瞬間である。絶対日本人。し かも戦後の。生協だってそうに違いない。典型的な異世界転移もの のお約束をきちんと満たしてくれている。 ﹁しかし色々な逸話が残ってるなら、なおさら俺が異世界人と紐付 くかがわからないんだが﹂ ﹁それは簡単ですよ、ユキトさん。異世界人に関する書籍でトップ 368 3の売上なのが、いずれも異世界人の英雄譚に加えてその本人の、 配偶者との交わりを詳細に記載したモノだからです。ちなみに主人 公は冒険もエッチもやんちゃな男・真面目なむっつりスケベ王・王 族貴族平民問わず1000人と交わった女となっていますので、ど の読者層にもいずれかがヒットするようになっていまして、街中で はワンシーンを春画として描いて売る人間も売れない絵描きを中心 にいます﹂ ﹁そういえばフローラも何冊か春画集を持っていましたよね、鬼畜 なご主人様に責められるメイド、みたいなのを﹂ ﹁ちょ、ちょっと姫様?!﹂ ﹁あー、お姉ちゃんもこっそり持ってたなあ、エンスージア英雄伝 説の主人公が晴れてヒロインのお姫様と結ばれるシーンのヤツ。確 かお姫様が中出し受けて特大の絶頂に達したところが少しすり切れ ていたっけ﹂ ﹁ちょっと、レイラ!? 具体的すぎるから!﹂ ⋮⋮聞かなかったことにしておきたかったが、ちょっとインパク トありすぎて難しい。ついでにいうと大量印刷技術があることも判 明した。とりあえずドMはドM、と。そして1000人シリーズっ てSODとかで出そうなタイトルだなおい。 先代たち 自重してくれ、と﹂ ﹁まあそのなんだ、大体言いたいことはわかった。結論から言うと 俺の ﹁これでパパが何か成し遂げて本になったとしたら、また同じパタ ーンになるんじゃないかな﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ ﹁このペースで行けば記録更新になるんじゃないかしら﹂ ﹁Oh⋮⋮﹂ ﹁今日時点で既にパターンも選り取り見取りだな。色々な需要を満 たせそうだ﹂ 369 ﹁Oh⋮⋮﹂ ご覧の有様である。自重すべきは先達と俺の両方だったというオ チである。但し最後の色々な需要というところだけはどうなんだそ れ。時期的にも薄い本がいろいろ出るってコトですか、まあ色事で すしねってやかましい。 そんなこんなで、いざというときのフォーメーションやら役割分 担やら買い出しやら、あと馬車の中を見て驚いて二階に上がってで っかいベッドが一基だけというのを見て顔を赤らめてという謎イベ ントを終わらせてから南の門を抜けてエルスの街を出る。そんなに 長いこと滞在していたわけではないが、出来事を振り返ると⋮⋮う ん、概ねエロいことしかしていなかった。ついでにいうと絞られて いる記憶も大半である。白濁した思い出、と書くと痴呆老人のよう だが概ねあっている。字面が酷い。 街を出てからの御者は俺が担当し、残り全員は馬車の中にいる。 追われているレーファとフローラを出すわけにはいかないし、そも そも御者が出来るのは俺かメイとフローラ、そして何でも覚えるチ ート持ちのジュリアのみである。女を見つけると下半身直結思考に なる盗賊の命を無駄に散らさない︵?︶ためにも、基本御者は男の 俺がやる予定である。メイの連れていた馬に加え、いざというとき の遊撃用の馬を加えて、贅沢にも4馬力もとい4頭体勢で馬車を引 っ張っているが、どの馬も指示したとおりに動いてくれるので簡単 だ。 御者席は前よりも広くなっていて、前列後列共に3人ずつ横並び で座ることが出来る上に、各列とも座る席の奥行きがそれなりにあ る。おまけに多頭引きでも前方の視界をとれるよう、馬の背に乗る より更に少し高い位置にあり、風防のためか腰より少し上くらいま 370 での囲いがある。だもんで。 ﹁あの、メイさんや﹂ ﹁何?﹂ ﹁何故ひっつき虫なんですかね?﹂ ﹁なんとなく?﹂ ﹁あ、そう﹂ あれだけ状況を積み重ねると対面座位でインサート中な感じがす るが、実際には俺の後ろに座ってぴちゃとこちらを抱きすくめてい るだけである。さすがのエロフも外で積極的に、というレベルには 達していないようで一安心一安心。 何故かとんちを呟きたくなる衝動に駆られながら、背中に触れる 柔い二つの感覚を楽しむ。 外部への警戒のために防音魔法を切っていることもあり、中の楽 しげな声は入り口を通って耳までやってくる。 ﹃もう少し改良するとしたらどこだろう?﹄ ﹃パパのはもうちょっとそってる感じかな﹄ ﹃やっぱり木だと少し固いから、周りを少し弾力性のある素材で覆 って少し熱を持たせて⋮⋮﹄ ⋮⋮ジュリアの持ってきたマイサン二号のことだった。 ﹁HOTテンガのバイブ版みたいだなおい! そんなものはポイし なさい、ポイ!﹂ ﹁ポイしてもまたすぐ作ると思うけど。ほら、本体一本だけだとユ キトが大変だろうし、休みがないと﹂ とんだブラック企業である。製造業なら三交代制を要求したいと 371 ころだが、誰かに任せるわけにもいかないのでどうしようもない。 そういう意味では生身の人間に寝取られるわけではない上に元が俺 なんだからよい、のだろうか。 ﹃ローターみたいに振動機能を持たせるのはどう?﹄ ﹃むしろ射精機能をつけたいですね、どっか生で保存できるように しておいて﹄ ﹃絞るのは任された。パパの弱点はばっちり﹄ ﹃え、それを教えて貰いたいんですが﹄ ﹁そこまでする必要ないだろ! つうかティアラは余計なこと教え るな! ますます干からびるわっ!﹂ 追われている人間と共に行く旅路。のんき︵?︶なセリフは飛び 交っているが、それなりのスピードは出している。車輪が道を踏み しめる音が結構響くためか、森を切り開いた街道を進む最中左右か ら時折低ランクの魔物が出てくるが、気づいた時には後ろに置き去 りにしていたり、進路上に現れた時には適当に風で刻んだり氷で貫 いたりして処理している。状態がいいものや食べられるものは異空 間にポイして、残りは森林の肥やしとしてそのまま置き去りにして おいた。さすがにR−18G的なモノは改めてしげしげと眺める必 要もないだろうという判断だ。 その間もずっとメイは俺を抱きしめたままだった。ここまでぴっ ちょりされるのはちょっと珍しい。描写的には確かに二人でという 時間は足りていないが、出会ってからここまで体を重ねなかった日 はない。 ﹁どうしたのさ?﹂ 声をかけるも、抱きしめる力が強くなるだけで答えは返ってこな い。ティアラがいれば適度にボケないしは下ネタが入るからここま 372 で深刻な感じになることもないのだが、子は鎹を地でいく状態であ る。 後ろにいると話もしにくいので、うまいこと体を入れ替えて膝の 上にメイを乗せて向き合う。 ﹁なんか、ね﹂ じっと見つめているとようやく答えが返ってくる。 ﹁こうしてないと、ユキトが不意にどこかに消えちゃいそうで﹂ 何故そう思うのか。そう思わせる部分が俺にあるのだろうか? ﹁そんなつもりは全くないんだけどな﹂ ﹁でも、ほらユキトは異世界から来た人でしょ? 中にはどうにか して元の世界に戻った人もいたみたいだし⋮⋮﹂ ﹁戻れたとしても、俺は戻る気はないよ。最初の頃に言ったと思う けど、あっちにそんなに未練があるわけでもないし。今ならこっち の方がよっぽど未練があるさ﹂ ﹁⋮⋮本当に?﹂ ﹁そんなんで嘘ついたって仕方ないさ﹂ どうやら異世界偉人伝を色々と思い出したあたりで、元の世界に 戻った人の話もついでに思い出してしまったらしい。 ﹁でも、やっぱり不安なんだ。ユキトが言ってくれるのは本心だと 思うけど、急に目の前に現れたんだから、急に目の前から消えちゃ うこともあるんじゃないかって﹂ おまけに、現れたのが一目惚れするような人だったわけだし、と 373 小声で追加されたのも聞き逃すことはなかった。その気持ちは何と なくわかる。急に手に入った大事なモノは、急になくなるかもしれ ない。ふとした拍子に起きたことであればその反対もまたしかりだ。 それどころか、どれほど時間を掛けて手に入れたモノですら、一瞬 で消え失せてしまうのだから。 ﹁メイ﹂ メイには、そしてティアラ達にも、そんな悲しみを味わって欲し くない。自惚れではあるが、彼女たちにとって俺がその﹁大事なモ ノ﹂に該当しているのはよくわかる。 大事なモノをなくす悲しみを、俺の周りでは覚えて欲しくない。 俺自身が、その辛さをわかっている。未練だ何だでは済まないくら い、自分自身が無価値に思えるのだから。 名前を呼びかけて、よろよろと上げられた顔。薄紅色の唇に、自 分自身のそれを重ね合わせる。わずかな隙間から息を吸い込むと、 体温で温もった甘い匂いが肺を満たして充足感へと変えていく。煙 草よりも麻薬成分が強いんじゃないだろうか。ニコチンならぬメイ チン。オルニチンの親戚みたい、むしろどっかのグループメンバー みたいだと無駄に考えながら、ただただ赤い接合を継続する。 腕に力を込めると、こちらの身との間にある柔らかいものがつぶ れ、温かみを強く伝えてくる。不思議なことに、割と初回に抱いた 時からだがメイのおっぱい様には何故か親しみを感じる。おっぱい に親しみなんて言うとどう考えても衛生放送系の頭悪いバラエティ に出てきそうなフレーズではあるのだが、そうとしか言えない。く っついているとまるで昔から俺を抱きしめてきたかのように、安心 感を与えてくれる。ついでに性欲も。 ﹁っ⋮⋮ユキト﹂ 374 ﹁まあその、自然的生理的必然的現象です、ハイ﹂ あっさりとシリアス様がどこかに旅立ちになり、代わりに尖った 何かが凹んだどこかをノックする。何枚かの布越しだからそれだけ で快楽を得ることはないが、おっぱい様同様、まるで昔から慣れ親 しん場所に戻りたいかのように、息子さんが自己主張を強くしては そこに入りたがっている。ホームシックなのかしらん。 何も言わないままメイは少しだけ腰を上げ、ごそごそとあさって は隙間から俺のペニスを取り出し、腰を戻しながらやっぱりごそご そと触って、下着をずらして自らの中へと飲み込んでいく。いつも のように完璧に準備完了とまでは行かないまでも、飲み込み量が増 えるにつれて溢れる物が増え、先端がゴールにたどり着く頃には十 分な潤いに包まれるようになる。 ﹁ユキト⋮⋮﹂ お互いに体を動かして求め合うことはしないが、馬車が道を進む ことによる振動が、ゆるゆるとお互いを刺激し合う。スピードが出 てる中でのスローセックス。訳がわからない。 少し大きな段差を乗り越える度に、衝撃が下から上へと突き上げ、 代わりにきゅっと締め上げられる。それ以外はなにもない性行為は、 傍目から見れば初体験同士の少年少女のそれよりもどかしい物かも しれないが、昨晩もまた激しく求め合った身からすると、こういう やり方も十分満たされる。風を感じ、緑を感じ、そして息づかいと 熱を感じる。シチュエーションはやや違うが、深夜の公園で高校生 カップルが抜き差ししながら抱き合っているのと同じかもしれない。 欲棒︵誤字じゃない︶は熱さと固さを失うことなく、そのまま半 時ほどずっとメイの中に居座っていた。ゆっくりとした歩みではあ るが、睾丸から徐々に徐々に精子が送り出されていく。メイの体も それを期待しているようで、愛液は振動が伝わる度にこぼれだし、 375 一層熱を帯びていく。十分溜まりきったところで、おあつらえ向き な大きめの振動が一つ、ズドンと来て、メイの最奥を突き上げ、一 際強い締め付けに巻き込まれ、誘導されるままに膣内へと精子を吐 き出していった。 ﹁⋮⋮外なのに。ユキトって変態だよね﹂ ﹁俺は一回も動いてないから、な、一応﹂ 酷いなすりつけあいをしながらも、お互いに離れることなくまだ つながったまま。相変わらずマイサンは大きいままで、メイの中も こちらが吐き出した物以外にぬるぬると熱いものを零している。 どちらからともなく、また口付けをしあい、ここまで同様馬車の 揺れに身を任せながら、ヒトのもっとも敏感な部分同士を溶け合わ せていく。南洋諸島的なアレは確か一週間に一回とかそんな頻度の とっておきだから云々とあった気がするが、毎日どころか12時間 おきに結び合ったとしても、肉体的に、そして精神的につながり合 える気がするのは、きっと俺とメイとの相性値︵非公開パロメータ ー︶が天元突破しているせいに違いない。 しばらくの時を経て、緩やかに高みへと上り詰める。壊れた蛇口 のように大量に精液を子宮へと零し、ぴゅっと射精の勢いでペニス が跳ねる度、倍以上の強さで締め付けが行われ、また零すことを繰 り返す。何も出なくなり、痙攣が伝わることもなくなってからも、 メイは立ち上がることなく、ずっと俺を抱きしめ続けていた。どん な言葉をかけても不安を拭えることはない。出来るのは、内側から も外側からも体温を伝えることぐらいだ。 ﹁あー! パパとメイママが不純異性結合してるー!﹂ ﹁科学の実験かよ!﹂ 若干天気と同じ曇り模様の雰囲気を吹き飛ばしたのは、ちょっと 376 電波が入った娘だった。つうかグーグルさんに聞いてもありそうで なさそうな言葉の組み合わせである。もしくは理系のお父さんがお 母さんを組み敷いている時に娘に見つかった時の対応セリフとか。 いろいろ台無しである。 ﹁ティアラ、これは別に不純じゃないから。むしろ純生よ﹂ ﹁不純の反対はそれであってるのか?﹂ ﹁何だか発泡酒の名前みたいだし、純粋で良かったんじゃないかな ⋮⋮というかいつまで結合してるのー! 次はこっちの番!﹂ ﹁ちょ、ちょっと揺らすなってまだ入ってて折れる!﹂ ﹁あっ、これいいからティアラ続けて﹂ ﹁そうじゃないーっ!﹂ ﹁だから揺らすなってあっー!﹂ 逃走劇の割に賑やかにしながら、目指すは南。 377 第18話 8時だよ全員集合ただし午前︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 378 第19話 異世界の車上から︵※︶ 第19話 異世界の車上から︵※︶ ウィーリア都市国家連邦次の都市、ハーメストまではエルスから 馬車で三日の道のりである。そんな話を最近聞いたはずなのに、な ぜだか遠い昔のようにも思えるのが不思議だ。都市国家連邦内では、 都市以外には町や村が存在しない。元々森深くを切り開いた街道筋 のため、街を一から作るのが難しいのだ。無人の避難小屋のような 物はおよそ5キロごとにあるが、メイいわく大きな1Kのようなも のらしく、当然共用なのでいろいろとこちらの旅路には向いていな い。そして他人と雑魚寝だとパパとエッチが出来ない! とは言う までもなくティアラの弁である。ダメだこいつ、何とかしないと⋮ ⋮などというと﹁パパの精子のせいだよね﹂と言われて撃沈するの で言わない。パパの精子がこんなにやんちゃなわけがない。 逃走劇の最中なので、夜間も急ぎたいところではあるが前述の通 り御者の関係で夜間は森に隠れての停泊を余儀なくされる。まあ四 次元馬車なので快適なことこの上ないし、だだっ広いベッドのおか げでいろいろなことが捗るとはメイの弁である。もちろん搾り取る 的な意味で、だ。本家のサキュバスよりサキュバスっぽいのはどう いうことだってばよ。一泊で自分の射精回数を数えるのを止めてし まうほどである。いろいろお察しいただきたい。 ﹁交わった全員を腰砕けにした次の日、けろっとした顔で御者をし ている男を、果たして何と言えばいいのだろうな⋮⋮﹂ 379 神妙な声色でけなしてくるのはフローラ。追われてるんだから御 者をしなくていい、といってるのに顔を覆い隠す仮面をつけて俺の 横に座っている。根が真面目なのだろう、といいたいところだが、 そうではないことは、彼女のお尻に下敷きにされたこちらの右手が よく知ってる。 ﹁だったらこっちは、真面目な顔して人の手にマンコすりつけてる 護衛騎士を何と呼べばいいんだ?﹂ 読んで字の如く。下着に加えてスカート越しだが、さっきから馬 車の振動とは別に小刻みに震え、時折割れ目を押しつけてくる。つ いでに言うと少しでこぼことした感触もして嫌な予感がするし、ち ょっと痛い。 ﹁これは調教だ!﹂ ﹁いやそれ俺が言うならまだわかるが、受けている方が主張するこ となのか? プロ過ぎるだろ⋮⋮﹂ 仮面で顔の大半は隠れているが、首筋には汗が水滴となって浮か んでいる。ゆるやかな刺激だがかれこれ一時間近くはこのままなの で、大分高いところまで登っていることだろう。もう本当この話変 態しかでないのな! さすがに可愛そうだしちょとこちらからも動いてあげようか、と 思ったところで道前方左手側、大きな岩の裏に複数の気配があるの を感知。フローラも気づいたのか、腰を浮かして刺激から逃れ、剣 に手を掛け臨戦態勢である。言うまでもないが、下の方も臨戦態勢 で、立ち上がった時にスカートから指まで糸を引いていた。 ﹁もう少しだったところで寸止めの恨みをどうしてくれよう﹂ ﹁そのセリフが既に残念すぎるからな﹂ 380 やれやれとかぶりを振りながら、後ろに向けて手を振っておく。 馬車の中からメイとティアラが気配を察知して出てこようとしてい たが、オーバースペックだろう。中でゆっくりしていてほしい。 ﹁じゃ、フローラちょっと御者代わって﹂ ﹁私が剣を振るう余地は残るのか?﹂ ﹁多分ないんじゃないかなあ。それに⋮⋮自分の女が少しでも傷つ きそうなところなんて見たくないからな﹂ 三点リーダー以降は耳元で囁いてみた。意味を理解した瞬間ぼっ チェンジスペース ﹂ と顔が赤くなるあたりは純情そのものである。他は変態だが。 ﹁ 剣を手にしながら岩の裏手の更に後ろへ短距離転移すると、案の 定武器を手にした方々が馬車へと注意を払っていた。森の奥深くま で行かないと魔物が出てこないのは前述︵といっても何故か相当前 の気がする︶の通り。愉快なピクニックでもない限り、盗んでヤッ ホーな方々と推測が付く。 目に見える範囲では六人。気配探知でも六人と出ているが、隠蔽 レベルが高いやつが潜んでいる気もする。目前のやつらの武器が、 不相応に良さそうなのだ。王家パワーの馬車本体にはダメージを与 えることなど出来やしないが、御者席のフローラは別だ。優秀︵?︶ ﹂ な護衛騎士だろうが、不意打ち全てに無傷で対応できるとも思えな フリーズランサー い。もじもじ君になってもしかたないので、 ﹁氷を司る女神よ、氷の槍で敵を貫け。 氷の槍を生み出し放つと、六人のうち四人の身体に命中。岩へと 381 エアスライサー 釘付けにする。軽装の鎧も貫通し、彼らは叫び声を上げることもな く絶命した。 ﹁なっ、いつの間に!?﹂ ﹁風を司る女神よ、風の刃で敵を切り裂け。 テンプレよろしく驚いている内に飛び出しながら詠唱を重ね、牽 制の風の刃を打ち出す。不意打ちではないのであっさり回避される チェンジスペース ﹂ が、それで目的は達せられる。 ﹁ ﹁なっ、があっ!?﹂ もう一回短距離転移で裏に回って心臓を一突き。これであと一人。 ﹁くそっ、こいつら強いぞ!﹂ ﹁⋮⋮貴重な情報をどうもありがとう﹂ ﹁ぎゃああっ!!?﹂ 、 ライトニングドーム ﹂ 動揺している一人も突っ込んで切り捨る。セリフから察するにや マットコート っぱりもう一人いるようなので、 ﹁ 声が気こる範囲で足元を沼地に変え、同範囲を球状の雷で満たす。 ﹁あああっ!!﹂ 案の定叫び声が聞こえる。聞こえてきた背後へと振り返ると、男 が一人蹲って倒れていた。手加減して放ったので、死んではおらず 382 痙攣中だった。武器を蹴り飛ばしてから胸元を掴み上げると、ちょ うど痙攣が治ったのだろう、こちらに唾を飛ばしてくる。野郎の唾 を受ける趣味はないのでかわした後、ヘッドバットを一発、二発、 三発。 ﹁お前らのアジトに、捕まえた人はまだいるのか?﹂ ﹁へっ、もう売っちまったよ。中古の女は味見した後で、ぐっ⋮⋮﹂ 捕虜がいないことを確認後、面倒なのでさっさと首を切り離す。 残りの死体とあわせて異空間にポイ。にしてもあっさり人殺しでき る自分が怖い。現代日本でもやらかしてたかもしれないなあ、これ。 慣れたわけではないが、躊躇がないことに理論的な説明も出来るに は出来るが、やはりどこか壊れているのだろう。 しっかし、いくら何でも異世界の花形戦闘シーンがたかだか千文 字前後ってどうなんだろね。ここまでありがたいことに強敵に出く わしていないから、ちょっとばかりさくさくいきすぎて不安が残る。 ﹁何だ、やはり私の分が残っていないじゃないか﹂ 馬車が近づいてきたので御者席に飛び乗ると、早速文句が聞こえ てきた。早い仕事だ。 ﹁よく言う。スピード全然落としてないだろうが﹂ ﹁逃走中だからな。速度を落とすわけにはいくまい﹂ ﹁それ、俺がもしちんたらしてたらどうなってたんだ?﹂ ﹁短距離転移で乗ってくれば良いだろ﹂ ﹁味気ない回答どうもありがとう、どうせそうだと思ったよ!﹂ 置いてあった瓶詰めの水を口にする。一仕事終えた後の水はうま い。 383 ﹁私にもくれ﹂ ﹁へいへい﹂ 瓶をそのまま口元に持って行くと、少し顔を赤く染めて飲み出し た。間接チッスだなんだと考えているんだろうが、この人純情と変 態のバランスがおかしい。ステ振りやり直しとかした方がいいんじ ゃないですかね。 ﹁それにしても⋮⋮﹂ ﹁なんだよ?﹂ 御者の役割を取り戻して馬の制御をしていると、横から上へ下へ と観察する視線を感じる。 ﹁あ、もっと罵倒が欲しい? ちょっとごめん今品切れだから夜ま で待って﹂ ﹁それだと昼間から私が罵倒されたいみたいじゃないか! された いけどそうじゃないし罵倒って品切れするものなのか寧ろ販売中な ら喜んで買います!﹂ ﹁途中からツッコミになってないからな、それ﹂ 殺し方 しかも最後は口調が素に戻っている。キャラ作りの弱いクッ殺系 騎士なことで。 ﹁で、何だよ本当に﹂ ﹁いや、少し傷つけることを言うかもしれないが、人の がうまいな、と﹂ ﹁⋮⋮ほう、そうきましたか。また何で?﹂ ﹁どの国でもおおよそ同じだと思うが、騎士あるいは兵士という職 384 は、どの立ち位置であろうと人を殺すことを仕事の一つとしている。 当然専門の教えを受けるのだが、初めて斬り捨てなければならない 時に尻込みするものが半数以上だ。そして、回数を重ねても慣れな い者だっている。聞くところによると、異世界は日常に死が溢れて ではあるが、早くに順応しているな、と思う﹂ いるわけではないのだろう? この世界に生きる者としては必要な 能力 ﹁別に俺だって慣れちゃいないよ。慣れたらそれこそただの殺人鬼 だ。ただ⋮⋮割り切ろうとした時の割り切りは、得意かな﹂ ﹁割り切り、だと?﹂ ﹁そうさ。単純に考えてフローラと盗賊どっち取ると言われたらフ ローラを取る、それだけだ﹂ ﹁そ、そうか、そういうものなのですね⋮⋮﹂ ついきざっぽいセリフを吐いてしまったら、再度フローラが素に 戻り、赤い顔をして少し震えながら俯いてしまっていた。この人、 Mでなくて虎に変身しなければ、ぱっと見深層のお嬢様だから、ビ ジュアル的にはかなり破壊力がある。 ﹁⋮⋮今の言葉で、ほぼイキかけてしまいました⋮⋮﹂ ホント配分間違ってねえか、おい。震えたのは感じたせいかよ。 WBCのイチローより酷いコメントである。罵倒しても感じるし口 説き台詞でもイク。もはや病気の部類ではなかろうか。 ﹁形は一緒な上に入りっぱなしで声が聞こえると凄い効果が⋮⋮こ れはジュリアに報告しないと﹂ ﹁待て、どこに何が入りっぱなしだって?﹂ ﹁もちろんマイサン二・七号を私の中にだが?﹂ ﹁ドヤ顔で言うセリフじゃねえし、いつの間にかマイナーバージョ ンアップしてるじゃねえか! 何でさっきオナニーの手伝いさせら 385 れる時にでこぼこしてるのが当たるのかようやくわかったわ!﹂﹂ ﹁全部木で出来ていたのが木の樹脂を固めた物になったから、より 本物に近くなった﹂ ﹁真面目な解説いらねえよ! そんなもんいれてりゃそりゃイキか けもするわっ!﹂ ﹁多分今頃中でもティアラとレイラとジュリアが改良に向けて試し ていると思うぞ﹂ ﹁昼間っから何て日だ! そして他の奴らはちょっと止めろよ!﹂ ﹁おそらく順番待ちをしていると思うぞ﹂ ﹁飢えた男子中学生ですらそこまでしないからな!﹂ 思わず性の喜びを知りやがってと言いたいところだが、教えたの は俺だ。自業自得とも言える。 やれやれだぜ、と無理矢理ニヒル路線に持って行こうとして、悪 魔のひらめきが浮かんでしまう。浮かんでしまうとやってしまうの マイサン二・七号が急に震えだしたように感じる ﹂ が、楠木幸人という人間だ、などと事前に言い訳しておこう。 ﹁ 言霊を紡ぐように力を乗せて声を出す。 ﹁え、や、ああああああっ!﹂ こうかはばつぐんだ! 脳が勘違い 、フローラはガチイキ状態になった。ついでに悪戯心がわ 予想通り、中に入れているものが急に震えだしたと をして くわくしたので、馬車の中にも声が聞こえるように無駄に拡声魔法 を使っているので、中からも二組嬌声が聞こえてきた。回避したの はティアラだろう。 386 ﹁これだめ、とまなら、いいいいいぃぃぃっ!!!?﹂ あっという間にガチイキリターンズ。行動命令の内容に、完了動 作がないためずっと続いているのだろう。まさに悪魔の所行。これ ならフハハハハと笑っても文句は出まい。 このままだと少しヤバい領域に入りそうなので、震えが止まると の言霊を放つと、フローラは背もたれにぐったりと背を預けた。御 者台の足元にはピチャピチャとなかなかの水が滴っている。という かこっちのズボンも少し濡れた。多分中でも今頃メイあたりがタオ ルを持って四苦八苦していることだろう。すまん。 しばらくの間、だらしなく顎が上がり呆けていたフローラだった が、回復した途端キリッとこちらを睨み付けてくる。 ﹁どうしてくれるんですかこんなの気持ちよすぎるじゃないですか というかユキトさんのも普段から震えてください!﹂ ﹁言ってることが支離滅裂だしキャラがやっぱり守られてないしそ もそも俺のチンコが普段から震えてたらおしっこしにくいだろうが﹂ ﹁ユキトさんなら大丈夫﹂ ﹁だいじょばねえよ大惨事だよそんな自信捨ててしまえよそしてキ ャラ戻せっての﹂ 若干涙目のフローラだったが、立ち上がってこちらを向き、すっ かりぬれたスカートをたくし上げだした。下着の最下部には、不自 然な突起が浮かび上がり、今もその先端からぽとりぽとりと愛液が 落ちていく。 ﹁これを、取ってくれ﹂ 御者している人間に、無茶な注文を出すものである。そして恐ら く、本当の注文は違うのだろう。片手を近づけ下着越しにその突起 387 を掴み、数センチ引き出したところで再度奥へと押し込む。 ﹁はうっ!?﹂ 溢れる喜びの声。全くもって、度しがたいマゾである。 数回抜き差しした後、下着の隙間からてかりの酷いマイサン二・ 七号を取り出すと、案の定物足りなさそうな目を向けてきた。その まま自分でマンコをかき混ぜろ、といっても喜ぶのだろうが、フロ ーラのマゾ表面の奥で求めているものは少し違う。 ﹁フローラ、おいで﹂ ベルトを緩めて本物マイサンを取り出しながら意識して優しい声 で呼びかけると、コクリと頷いてフローラは下着を片足抜き取りな がら、跨がって腰を下ろしてきた。すっかり熟れた女性器の中へと、 フローラ自らペニスを沈めていく。 御者、といっても割と賢い馬たちなので放っておいてもかってに 進んでくれるのは昨日のメイとの常時で確認済みだ。何故か馬にや れやれという視線を向けられた気がしたが、忘れることにして両手 でフローラをかき抱く。ほら、余計に赤くなった。なんやかんや言 って、この子は優しくされたい子なのだ。今まで優しくされる機会 があまりなくいて飢えてたんじゃないんですかね。普通はマゾだが。 今更だが異空間収納からシーツを一枚取りだし︵昨日気づかなか ったのは失敗だった。誰ともすれ違わなくて良かった。すれ違って いたら思わず、いやこれ以上は止めよう︶、二人を包み込むように 巻き付ける。顔だけがぽこんと出る形になって思わずてるてる坊主 を思い出す。でもこのてるてる坊主はきっと御利益がない。現在進 行形で雨が降っているし、これから降り注ぐし。 ゆるゆると腰を前後に揺さぶりながら、わずかに出ている首筋の 汗を舐め取る。 388 ﹁や、あっ、そんな、汚いです⋮⋮﹂ ﹁そんなことないよ﹂ 舐める時のおなじみのセリフ集。汗だからしょっぱいが、嫌に思 うことなどない。そういや汗とおしっこって同じ成分だって話だが ⋮⋮よく考えたらほとんど全員のを浴びてるな、俺。それを助長す る称号もあった気がするがそっ閉じしておこう。 ﹁んっ、はあっ﹂ 激しいストロークは望むべくもないが、前に後ろに動かすと、入 りっぱなしの欲棒が膣内の形を変えていく。先端は子宮口に密接し た状態で、口と口が触れ合った状態でもっとも大きな性感帯を刺激 していく。これぞまさにディープキス。首筋を探検していた舌も、 耳、頤と進んで、最後は少し仮面をずらしながら薄紅色の唇に到達。 舌を差し込むと、ちょん、ちょんと突き返される。突かれる度に腰 を押し出すと、段々とそのサイクルが短くなってきた。学習能力が 高い。 ﹁ああっ、ああっ、ダメ、イクっ﹂ マイサン二・七号の強攻撃もあって、フローラはあっさりと絶頂 する。こちらの下半身もぴっちょりと熱い液体で濡れるが今更の話 だ。洗濯当番のアリサには申し訳ない⋮⋮と思ったけど魔法でどう にかなるか。 絶頂を迎えた膣内は激しくこちらを締め付けてくるが、まだ射精 までは届かない。なので固く勃起したままのペニスを締め付けるこ とで、フローラが続けて感じてしまっている。前準備で亀頭がぴく んぴくんと跳ねる度に、ぴゅっと出てくるのだからなかなかのモノ 389 だ。イキ続けているフローラの膣内を蹂躙していると、ようやく精 液が駆け上ってくる。 ﹁フローラ、出すぞ⋮⋮っ﹂ 出る瞬間に頑張って縦の動きを繰り出して、フローラの奥深くに 密接させるように射精する。 ﹁ああっ、熱いのが、びゅーって、ああああっ!﹂ 二度三度と欲望を解き放ち、着弾と共にフローラもまた一際大き な高みへと登っていった。隙間から精液と愛液が混じり合ったモノ がつーっと流れ落ちて、わずかに空いた襟元からは籠もった淫臭が 立ちこめてくる。 力の抜けたフローラを持ち上げて結合を解除した後、くるりと回 してこちらに背中を向けさせてから、太股の上へと下ろす。出しっ 放しのマイサン︵本物︶がスカートをめくり上げて内側を残り液で 汚すが、致し方あるまい。もう既にそれ以上の汚れまみれになって いる。 腰のあたりに手を回し、こちらへと体重を掛けさせる。柔らかい けど奥底にはやはり騎士として必要卯なのだろう、筋肉の存在を感 じられる。服の隙間から手を這わせると、みっちりと、引き締まっ た身体であることがよくわかる。 ﹁⋮⋮女性の体つきとは言えませんよね﹂ 意識を取り戻した第一声はこれだった。素のキャラにはまだ戻せ ない様子。 ﹁そんなことないさ。よく鍛えられているけど、女の子の身体だよ。 390 レーファを守るために必要だったんだろう? 誇りこそあれど、自 らけなす必要はない。大事なモノを守るためなら、力は絶対に必要 なことだから﹂ 身体が少し震え、聞こえないはずの微笑みの声が聞こえた気がし た。腰元の俺の手に、彼女の手が重ねられる。剣を握ってきた手も また固いが、彼女の勲章を示している。 ﹁不思議な人です。姫やメイ王女、他の皆さん⋮⋮そして私も、ユ キトさんに身を委ねたくなるのがよくわかります﹂ ﹁自分自身はそんなたいそうな人間だとは思ってないんだけどなあ。 まあ、過分なことに多くの愛情を注がれているのはわかっているか ら、何とか返したいとは思っているけどさ﹂ 返答はない。だが、重なり合った手に力が入るのがわかる。中に たっぷりと注いだ精液を愛おしそうに、こちらの手を使って撫でだ した。 かぽかぽ、からからと馬の歩みや車輪の音だけが聞こえる世界︵ 情事の最中から気づいていたが、馬車の中からは未だ嬌声が聞こえ てくるのだが、それは無視︶。 ﹁私は⋮⋮騎士としての全ては、姫に捧げている。そしてこれを変 えるつもりは一切ない。だが⋮⋮私と姫を救ってくれたあなたに、 わずかばかりですが、女としての全てを捧げます﹂ そう言って微笑む彼女の表情は仮面に隠れて全てが見えたわけで はないが、とても美しいモノだとわかったし、より愛しさが溢れて くるのだった。 391 ﹁あの、フローラ、中がかなり大変なことになっているのに、ユキ トさんといちゃつきすぎではないですか⋮⋮?﹂ ﹁ひ、姫!?﹂ まあもちろんかっこよく終わるわけがなく、ちゃんとオチも付く。 ﹁そんなにユキトさんのモノに執心しているなら、私がちゃんと体 験させてあげますよ﹂ 馬車の中で目の据わったレーファ姫の手には、姫が持つにはふさ わしくない、見慣れたオチンポ様。このわずかな間でバージョンア ップが施されたのだろうか、うねうねと動いてる。 ﹁や、ちょっと姫、お待ちください、さすがに今それを挿されると、 とんでもないことになりますから!﹂ ﹁ユキトさん⋮⋮フローラを、馬車の中に。でないと⋮⋮﹂ レーファ姫の視線が、何だか俺の尻に向いているようで、いや、 それはちょっと勘弁願いたい。フローラが涙目でこちらを見てくる チェンジスペース ﹂ が、申し訳ないが俺の処女と比べると。その、すまん。 ﹁ やったことなかったが、フローラを馬車の中に短距離転移。ちょ うどレーファに向けて、ケツを向けるように出現させる。 ﹁な、自分以外を短距離転移なんて賢者でも難しいことをあっさり と、って、姫、今スカートめくらないでください! 垂れてますか ら!﹂ 392 ﹁いいじゃないですか。この出来上がったばかりのマイサン三・零 号で、ユキトさんの精液ごと中をかき混ぜられなさい!﹂ ﹁あ、そんな、いいいいいっっっっ!﹂ せめてもの騎士の情けと、俺は前を見る。まだ十分に火の付いて いたフローラは、バイブレーション機能付きマイサンを突っ込まれ てあっさりと絶頂させられたことだろう。背中にいろいろ液体が飛 んでくるのは、無視、無視。 あぉっ、激し ﹁ほらほら、こんなに卑猥にくわえ込んで、お漏らしばっかりして、 これで私の騎士が勤まるんですか?﹂ ﹁ぁああああぉ、そんにゃ、ぁああああぉぁあああ く動かしたら、またいぃくっ!﹂ おかしいな、この度、今絶賛ぷちSMプレイ中の姫と騎士の逃走 劇も兼ねてるはずなんだが。みさくら語的な喘ぎ声が響き渡ってる んだが、まあいいか。気にしたら負けって偉い人も言っていた! 393 第19話 異世界の車上から︵※︶︵後書き︶ お読みいただきありがとうございます。 394 PDF小説ネット発足にあたって http://novel18.syosetu.com/n5175cl/ 異世界で俺はエルフといちゃいちゃする旅に出る 2017年1月3日06時25分発行 ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。 たんのう 公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、 など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ 行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版 小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流 ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、 PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。 395