...

みだれ浪漫

by user

on
Category: Documents
43

views

Report

Comments

Transcript

みだれ浪漫
・みだれ浪漫
……………………睦月影郎
・るーむめいと大混線
……………………草凪 優
1
f3 官能文庫
2006.
6.
15
号
みだれ浪漫
2
第一章
大正時代の美女館
1
﹁古い建物でしょう。でも、関東大震災でも
倒れなかったし、空襲も免れたのよ﹂
じゅん こ
淳 子が、邸内を案内してくれながら言う。
だん ろ
﹁すごく立派ですね。階段の手すりも、暖炉
のちょっとした場所にも細かな彫刻が﹂
ゆ しま
治郎は感心しながら見て歩いた。
ほんごう
ここは本郷、湯島寄りにある一角に建って
仕事はそこの番だった。展示してある数々の
お がたしん や
絵は、かつてこの洋館に住んでいた緒方伸也
の描いたものである。
現在、この館を継いでいるのは、四十五歳
になる緒方淳子一人だった。彼女は二階に住
居があり、夫や子はいないようだった。
淳子は、真面目そうな治郎をすぐ気に入っ
てくれ、親切にあれこれ案内してくれた。
ギャラリーは、一階の玄関ホールから廊下
を通り、奥の洋間まで。その壁に、油彩の人
物画や風景画が掛けられていた。
じ ろう
いる古い洋館である。今日からここが、治郎
﹁伸也の絵はあまり評価はされなかったけれ
て、一浪目に入っていた。近くのアパートに
﹁いつごろ亡くなったのですか?﹂
も展示したくて﹂
ど、私は気に入っているの。だからどうして
のバイト先となるのだった。
すぎさか
住み、予備校に通っていたが、土日だけ、こ
﹁戦時中、そこの地下室で﹂
杉坂治郎は十八歳。この春に高校を出
の洋館でバイトを募集しているというので来
﹁え⋮⋮?﹂
洋間の床の片隅に、小さな蓋があった。
ふた
てみたのだ。
洋館一階でギャラリーを開くこととなり、
f3 官能文庫
3
あか
つ
淳子は、そこを開け、灯りを点けて狭い階
段を下りていった。仕方なく、治郎も身を屈
めて入っていった。
は、思わず勃起しそうになってしまった。
しかし考えてみれば、四十五となれば彼の
母親よりも年上だ。どうせなら、自分に歳の
近いピチピチギャルと知り合って初体験をし
しょう ゆ
﹁徴兵拒否で、お醤油を飲んでこの部屋に隠
たかった。でも、こんな熟女に手ほどきを受
そんなことをあれこれ考えていたが、淳子
れ、そのうち本当に衰弱死してしまったの﹂
そんなに若くして死んだのに、これほど多
は用意してあったホウキとチリトリを彼に渡
けるのも良い。
くの見事な絵を残したのだ。何とも惜しいこ
した。
﹁じゃ、まだ二十歳ぐらい⋮⋮?﹂
とである。
﹁ここも展示場にしようか迷っているの。一
応お掃除しておいてね﹂
地下室は裸電灯が一つあるきり、天井も低
く四畳半ほどの狭い場所で圧迫感があった。
﹁はい⋮⋮﹂
﹁じゃ、私は買い物に行ってくるわ。お掃除
奥の壁に、小さな木の扉がある。
薄気味悪いが、美しい淳子と一緒なので、
くなるような、ムチムチとした肉づきだ。
の白い脹脛をそっと見た。何とも吸いつきた
ふくらはぎ
治郎は言い、狭い階段を上がっていく淳子
﹁わかりました。行ってらっしゃい﹂
治郎は別の感覚でモヤモヤしてきてしまった。 が済んだら、洋間で休憩していて﹂
顔立ちはモデルのように整い、肉感的で巨
乳だ。上品で、ふんわりと甘い良い匂いがし
ている。
彼女もおらず、キス体験もしていない治郎
4
みだれ浪漫
︵まあ、バイトしているうち親しくなるし、
った。
とチリトリを放り出し、慌てて階段へと向か
しかし揺れに合わせて、出口の蓋がバタン
そのうちチャンスがあるかもしれない。それ
に、その間に若い女性とも知り合えるかもし
の掃除を始めた。淳子がいなくなってしまう
治郎は都合の良いことばかり考え、地下室
のかもしれない。
まったのか、あるいは揺れで歪んでしまった
てしまった。締まると同時に錠がかかってし
と閉まり、下から押し上げても開かなくなっ
と、こんな場所で衰弱死したという若い画家
﹁うわあ、大変だ⋮⋮!﹂
れないな。ギャラリーに来た美大生とか︶
のことばかり思い出され、気味が悪くて仕方
治郎は焦りまくり、何度も下からドンドン
と叩いた。淳子はもう出かけてしまったのか。
がなかった。
確かに、自分だって戦争になど行きたくな
いや、この地震だ。すぐ引き返し、見に来
して、いったん階段を下りた。辛うじて電灯
そう思い、治郎は無理にでも安心しようと
てくれるだろう。
いから、どんな手を使ってでも逃げようと思
ってしまうだろう。
︵それにしても、閉じこもって衰弱死なんて、
何て愚かな⋮⋮︶
はついているし、揺れも治まったようだ。
だが、いくら待っても淳子は来てくれない。
治郎がそう思った瞬間、いきなり床がグラ
グラと揺れだした。
治郎はもう一度階段を上がって扉を押した
が、やはり開きそうになかった。
﹁うわ、地震⋮⋮!﹂
治郎は腰を抜かさんばかりに驚き、ホウキ
f3 官能文庫
5
﹁そうだ。もう一つの扉が⋮⋮﹂
治郎は思い立ち、地下室の奥の壁にある古
い木の扉を引っ張った。それは何とか開き、
石段と、上からの光が見えた。
﹁わあ、助かった。庭への出口だ⋮⋮﹂
ほこり
治郎は声に出して言い、埃っぽい階段を上
がり、外への扉を押し開けた。
﹁何者か!﹂
いきなり声がし、一人の少年が駆け寄って
はかま
きた。その姿は、着物に袴姿。
﹁え⋮⋮、君は⋮⋮、うわ!﹂
いきなり襟と袖を摑まれるやいなや、治郎
ぬかるみ
は宙を舞い、一回転して泥濘に叩きつけられ
た。
しかも少年は、そのまま治郎の腕を決めて
グイグイとのしかかってきた。
﹁え⋮⋮?﹂
すると、外は雨。
﹁い、いててて⋮⋮、放せ⋮⋮﹂
相手は十三、
四歳ぐらいだろうが、恐ろし
さっきまで晴れていたのに、庭は土砂降り
の雨だった。しかも洋館を囲む垣根の外に見
く強かった。坊主頭で眉が濃く、目の鋭い少
﹁何者かと訊いている﹂
年だ。
えていたビルが消え失せているではないか。
思わず振り返ると、古かった洋館が新品の
ように真新しく感じられた。
﹁す、杉坂、治郎⋮⋮﹂
﹁どこの杉坂だ﹂
わけが分からないが、とにかく玄関に行け
ば淳子がいるかもしれないと思い、彼はびし
﹁ろ、浪人⋮⋮﹂
う かい
﹁なに、浪人だと!﹂
ょ濡れになりながら庭を迂回しはじめた。
すると、その時である。
6
みだれ浪漫
少年が力を込めると、その時、
顔を覗き込んで言う女性に治郎は答え、本
もうろう
﹁まあ、顔色が悪いわ。十四郎、中へ入れて
じゅう し ろう
﹁十四郎!
何をしているの!﹂
りん
凛とした声が聞こえ、窓から若い女性が顔
あげて﹂
当に頭痛がして朦朧となってきた。
を出した。淳子以外に、館に誰かいるのが治
﹁しかし⋮⋮﹂
くなったのかもしれないわ。さあ!﹂
﹁大陸から来て迷ううち、この雨で具合が悪
郎には不思議でならなかった。
やがすり
しかも女性は長い髪をリボンで束ね、矢絣
に袴姿ではないか。いつの時代のコスプレな
﹁怪しい奴が庭におりました。浪人と言って
だったと治郎は思った。
﹁静乃!
手拭いを、早く﹂
女性が奥に声を駆けると、和服に可愛いエ
承不承治郎を支え、縁から中へと入れた。
女性が言うと、十四郎と呼ばれた少年は不
ます﹂
プロンをした美少女が出てきて、命じられる
のだろうか。確か、昔の女学生がこんな格好
﹁では、父を訪ねてきたのではないかしら﹂
まま甲斐甲斐しく治郎の髪や足を拭いてくれ
しず の
女性が言い、すぐに縁から下りてきた。す
﹁あ⋮⋮、自分でやります⋮⋮﹂
ると少年は、彼女が傘を差して出てくる前に、 た。
治郎を引きずり起こしてテラスの下へと連れ
拭いをもらって顔を拭いた。周囲を見ると、
とにかく中に入って座り込んだ治郎は、手
﹁あなた、だあれ?﹂
ギャラリーだったこの洋間も一変していた。
て行った。
﹁杉坂治郎⋮⋮。な、何が何だか⋮⋮﹂
f3 官能文庫
7
さに生活の匂いが溢れているではないか。
テーブルに花瓶、お茶の仕度もしてあり、ま
おり、時計も外していたのだ。だから治郎の
いだジャケットに、財布も携帯電話も入って
る。とにかく治郎は、十四郎少年が警戒する
身分を証明する物は、何一つなかったのであ
﹁わ、わかりません⋮⋮。ここは、緒方さん
中、洋間の椅子に掛けて、出された熱い茶を
﹁大陸の、どこからいらしたの﹂
のお屋敷ですか⋮⋮﹂
すすりながら懸命に落ち着こうと努めた。
︵続く︶
﹁そうよ。では、最初からここをお訪ねだっ
たのですね﹂
洋装の女性は言い、納得したように頷いた。
﹁きっと長旅でご苦労なさったのでしょうね。
つ
私と同い年ぐらいかしら、父が帰るまで、少
な
し待ちくださいね。私は奈津﹂
古風な女学生スタイルの女性が奈津と名乗
ると、書生風の少年、十四郎が念のため治郎
の服やズボンを探った。
﹁何も持っておりません。ハンケチが洋物で
す。それにしてもハイカラな服だ﹂
十四郎が言った。
確かに、ギャラリーの掃除をするときに脱
8
みだれ浪漫
9
f3 官能文庫
第一章
甘い役得
[3]
︵ああっ、いい匂いだっ⋮⋮︶
乳房を揉み、乳首を吸いたてていくと、真
希の全身はじっとりと汗ばんでいった。
甘い匂いのする汗だった。
周一はうっとりとその匂いを嗅ぎながら、
もぎたての果実のように丸々とした真希の乳
房を揉みしだいていった。円柱状に尖ってき
﹁あたしばっかり裸にして、ずるいですよ。
自分はまだ、ネクタイもほどいてないじゃな
いですか﹂
せつなげに眉根を寄せた顔で言い、ネクタ
イの結び目を指でいじる。
﹁あ、ああ⋮⋮﹂
周一はうなずき、いったん女体から手を離
して服を脱ぎはじめた。
すいぜん
手を離しても、意識は眼の前の垂涎のボデ
ィに縛りつけられていた。
これほど可愛い女の子とこれから抱きあう
ことができるなんて、いまだに信じられない。
た桜色の乳首を口に含み、舌で転がしながら
舐めしゃぶった。
とのなかった女の子なのだ。
なにしろ、ほんの三十分前には口もきいたこ
もだ
﹁ああっ⋮⋮ああんっ!﹂
か れん
真希が可憐な美貌を歪めて、悶える。両手
スーツのズボンの下で、男性器官は痛いく
らいに勃起していた。ずきずきという熱い脈
を差しだし、白いTバックパンティ一枚のボ
ディをよじらせて、抱きついてくる。
動が全身に波及し、五体を小刻みに震わせて
いるほどだった。
﹁ねえ、壺谷さん⋮⋮﹂
甘酸っぱい吐息をはずませて言う。
10
るーむめいと大混線
﹁ああんっ、すごいっ⋮⋮﹂
の表情をうかがった。
その柔らかい唇でイチモツを包みこまれて
みたいという衝動が身の底から突きあげてき
真希が眼を丸くして息を呑んだ。
膝立ちの体勢でズボンとブリーフをおろし
たけれど、真希の可愛らしい容姿とフェラチ
きし
た瞬間、周一の股間では肉茎が軋みをあげて
反りかえり、湿った音をたてて下腹を叩いた。 オはなんだか似つかわしくない。無理に求め
て嫌われるくらいなら、見つめられるだけで
ところが真希は、それが当然とばかりに小
たしかにすごかった。
た様子は自分でも驚くばかりで、鈴口から噴
さな手のひらを勃起の根元に伸ばしてくると、
もかまわない。
きこぼれたカウパーが大量すぎて恥ずかしい
慣れた手つきで、すりっ、すりっ、と肉茎を
血管をぷっくりと浮かせて太々とみなぎっ
くらいだった。
跳ねかえらせた。
とうめいて腰を反らし、勃起をぴくぴくと
﹁ううっ!﹂
らず、周一は、
しごいた。ほんの軽い刺激だったにもかかわ
いになって、可憐な美貌を
﹁大きいんですね⋮⋮﹂
真希が四つん
肉茎に近づけてくる。反りかえった男のシン
ボルに熱い視線をからませ、妖しい微笑を口
許に浮かべる。瑞々しいサクランボのような
﹁ふふっ。大きいだけじゃなくて、元気もい
みずみず
唇をぺろりと舐める。
いんですね﹂
真希は悪戯っぽく笑い、サクランボの唇を
いたずら
︵フェ、フェラしてくれるのかな⋮⋮︶
周一は期待と不安にひきつった顔で、真希
f3 官能文庫
11
るようにぺろぺろと舌を躍らせ、興奮に赤く
充血した亀頭部を、瞬く間に唾液まみれにし
可愛く尖らせると、鈴口からしたたるカウパ
ーを、ちゅうっと吸った。
ていく。
﹁ぅんっ⋮⋮ぅんんっ⋮⋮﹂
﹁うううっ!﹂
周一はのけぞった。
そのうえ、吸ったカウパーを味わうように
上目遣いで周一を見あげながら、さもおいし
は大胆だった。チャーミングな鼻を上に向け、
振りまく鼻息は可憐でも、舐めしゃぶり方
口内で転がすと、白い喉を上下させて嚥下し
そうに男の欲望器官を味わっている。
躊躇のない吸い方だった。
た。なんてすけべな女の子なのだろうと、周
︵か、可愛い顔して、なんてエッチなんだよ
えん か
一はあんぐり口を開く。
⋮⋮︶
Tバックパンティ一枚の裸身を四つん
いに
表情の変化もたまらなくそそったが、白い
を見開いていた。
周一は圧倒されながら、興奮で血走った眼
﹁溜ってるんじゃないですか?
ずいぶん濃
い味﹂
真希は湿った声でささやくと、サクランボ
のような唇を割りひろげ、ピンク色の舌を差
しだした。
周一は息を呑んだ。
り、剝き卵のようにつるつるした尻の双丘を
だった。舌を躍らせながらくびれた腰をよじ
わせたボディも、身震いを誘うほど悩殺的
亀頭の裏側に、生温かい舌の感触が襲いか
揺らしている。膝立ちで震えている周一を、
﹁むううっ!﹂
かってきた。真希はソフトクリームでも舐め
12
るーむめいと大混線
亀頭が導かれたのは、喉奥のひどく狭いと
真希の小さな頭を両手でつかんだ。
﹁ぅんっ⋮⋮ぅんぐぐっ⋮⋮﹂
ころで、締めつけられるような感覚があった。
興奮の淵に追いこんでいく。
真希が亀頭を咥えこんだ。
根元は唇によってぴっちりと包まれているか
くびれまでをすっぽりと包みこんでいく。
いるのだ。
ら、先端と根元を二段構えで締めつけられて
くわ
まったりとした口内粘膜が、敏感なカリの
﹁むうううっ⋮⋮﹂
﹁ぅんぐぐっ⋮⋮﹂
真希がゆっくりと肉茎を吐きだしていく。
周一は快感に顔を歪め、首に筋を立てた。
真希はその様子を挑発的に眺めながら、唇を
吐きだしては、また呑みこむ。
肉茎が出し入れされるたびに潤いを増してい
真希の口内は唾液の分泌がかなり盛んで、
収縮させはじめる。
ぬるぬるした唇の裏側でカリ首をしごきつ
つ、ゆっくりと顔を上下に動かした。
に、けれども確実に真希の口のなかに呑み
い顔で、じゅるっ、じゅるるっ、と らきわ
吸いたててきた。双頰をくぼませたいやらし
く。やがて、肉棒を吐きだすときに唾液ごと
こまれていく。どうやって肉茎を収めてい
まりない音をたてた。
はちきれんばかりに勃起した肉茎が、徐々
るのか不思議なくらい小さな口なのに、余裕
︵た、たまんないよ、これは⋮⋮︶
しゃくしゃく
希の唇が伝えてくる痺れるような快美感を受
周一は膝立ちの躰をしきりによじらせ、真
綽 々で根元まで唇を到達させてしまう。
︵す、すげえっ⋮⋮︶
衝撃的な刺激に耐えるため、周一は思わず
f3 官能文庫
13
けとめた。
周一は、いまどきの二十二歳にしては、ひ
﹁こ、こんなに気持ちいいフェラ、されたこ
とないっ⋮⋮初めてだよっ⋮⋮﹂
ほほえ
ねっとりと湿った声でささやくと、再び肉
﹁壺谷さんも、お口がお上手ね﹂
真希は満足げに微笑み、
どく貧しい女性経験しかもちあわせていない。 ﹁ふふっ﹂
経験人数はふたりだけだし、そのふたりと
も、恋人というわけではなく、酔った勢いで
ベッドインしただけだった。
今度は先ほどのようなゆっくりと濃厚なし
茎を口唇で咥えた。
ちひとりはフェラチオさえしてくれず、もう
ゃぶり方ではなく、リズミカルに唇をすべら
成りゆきの関係だったからか、ふたりのう
ひとりはしてくれることはしてくれたが、真
せてきた。
鼻先から荒々しく息を振りまき、白濁した
希のような熱烈なやり方ではなく、どこか投
げやりなムードが漂っていた。
真希がいったん肉茎から口を離して訊ねて
舌を使う。鈴口の切れ目を、くすぐるように
を振りたててくる。振りたてながら、口内で
唾液を口角からこぼしながら、一心不乱に頭
くる。うかがうような眼を向けつつ、唾液と
ねろねろと舐める。
﹁気持ちいい?﹂
カウパーでびっしょりに濡れた亀頭を手のひ
﹁むっ⋮⋮むむむっ⋮⋮﹂
いった。
周一の顔は茹でたように真っ赤に上気して
ゆ
らで撫でさする。
﹁き、気持ちいいよっ⋮⋮﹂
周一は上ずりきった声で答えた。
14
るーむめいと大混線
まるで女膣そのもののようにぬめりを帯び
た口内粘膜の感触に、全身の血が沸騰してい
うず
く。腰の裏側で、射精欲が疼きだす。
﹁ま、真希ちゃんっ⋮⋮﹂
切羽つまった声をあげ、栗色の髪を振りた
フローリングの床に倒れた。
膝に残っていたズボンとブリーフが引っか
かったのだ。
︵カ、カッコ悪いな、俺⋮⋮︶
泣きたい気分であらためて全裸になってい
く周一を、真希は愉しそうにくすくすと笑い
たの
てている頭をつかんだ。
ながら眺めていた。
︵続く︶
﹁そ、そんなに⋮⋮そんなにしたら、でっ、
出ちゃうよっ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮んぐっ﹂
真希は眼を丸くして、肉茎を吐きだすと、
﹁そんなあ。まだまだ出すには早いですよぅ﹂
こ わく
蠱惑的な眼を輝かせ、唇からあふれた唾液
ぬぐ
を指で 拭 った。
﹁でも、ほら⋮⋮真希ちゃんの口、あんまり
気持ちいいからさ⋮⋮なあ、今度は僕にさせ
てくれよ﹂
周一は早口で言い訳し、誤魔化すように女
体にむしゃぶりつこうとして、ばたんっ、と
f3 官能文庫
15
【著者略歴】
睦月影郎(むつき・かげろう)
昭和31(1956 )年1 月2 日生まれ。山羊座、B 型。神奈川県横須賀市出身。
県立三崎高校卒業後、看板屋、工員、飲食店勤務などを経て、23 歳で官能作
家デビュー。
熟女もの少女ものに関わらず、匂いのあるフェチックな作風を得意とする。本
名の奈良谷隆では戦記やアクション小説を書き、また、ならやたかし名義ではマ
ンガやイラストも描く。
草凪 優(くさなぎ・ゆう)
1967 年東京生まれ。日本大学芸術学部中退。シナリオライターを経て、2004
年『ふしだら天使』(双葉文庫)で官能小説家としてデビュー。めくるめく濃密
な官能シーンと軽妙なストーリー展開で注目を集め、気鋭の新人としてファンが
急増している。『桃色リクルートガール』(双葉文庫)が『この文庫がすごい! 2005 年版』で官能文庫大賞を受賞。
16
Fly UP