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児童文化研究部
児
童
文
化
研
究
部
「心豊かな児童の育成をめざして」
∼学級経営や学校行事に生かせる児童文化的手法の習得∼
1.はじめに
「心豊かな児童」の一面には、友達やその場に居る人の前で、自分の身体を動かし、友達
と一緒になってゲームに興じたり、全員で劇を創りあげたりして自分の存在を他との協調の
中で表現できることも含まれると捉えています。ただ、児童がゲームや表現の楽しさや心地
よさを体験していないと素直には飛び込めないことも現実として存在します。
そこで大切なのは、教師自らがゲームや表現の楽しさを児童に上手に出会わせることでは
ないでしょうか。そのためには、教育活動の様々な場面で、児童が夢中になれるゲームを教
師自らが身に付けていること、また、児童が全員一丸となって表現活動に取り組むための指
導のポイントを習得していることが必要ではと考えています。
そこで今年度も、1学期と3学期に「ゲーム実技研修会」、2学期に「劇指導のポイン
ト実技研修会」を実践し、研修を重ねました。
2.今年度の年間活動の概要
(1)1学期の活動
4月19日(水)
上板橋第二小学校
・ゲーム講習会
・組織づくり
[ゲーム実技研修会]
《講師》
二本松
はじめ先生(つながりあそび・うた研究所所長)
今年度の活動も二本松先生のご指導で始まりました。定刻には参加者も少なく寂しい感
じでしたが、先生の元気溢れるご指導が始まり20分も経った頃には50名近い先生方の
熱気で会場が包まれていました。
今回も数々のオリジナルの歌や遊びを次から次へと紹介いただき、参加者からは「子ど
も達と実践してみたい。」という声が聞かれました。
4月ということで、集団作りに役立つ、ゲームや歌(振り付き)を中心に以下のような
流れでご指導いただきました。
1.ジャンケン席取り
2.歌「朝はみんなに」
晴れてもおはよう
雨でもおはよう
朝はみんなにやってくる
おはよう
曇っていてもおはよう
〃
〃
〃
3.歌「誕生日って」に手話をつけて
4.ジャンケン遊び
①負けたら動け
②あいこで90度
③グループ戦
5.記念写真「ハイポーズ」
6.歌「行こう行こう」で「何みつけた?」で見つけたものの文字数でグループ作り。
7.2人組で
①「熊がでた」
②フルーツバスケット
③だるまさんが転んだ
8.歌「夢わかば」
※
遊び方・歌の歌詞や楽譜や振り付けの詳細については、児童文化研究部員にお尋
ねください。
- 1 -
(2)2学期の活動
9月8日(金)
上板橋第四小学校
・劇指導のポイント講習会
・運営委員会
[劇指導のポイント実技研修習会・「子どもと作ろう!楽しい芝居」∼台詞は行動だ!∼]
《講師》
松田
祐慈郎先生(上板橋第四小学校教諭)
松田先生には、自らが劇団俳優として培われている理論と実践を通し、学校劇における
指導の押さえるべき要点を実技研修という形で参加者に教えていただいています。
今年は、参加者の自己紹介を兼ねた「子供に劇指導する上で困っていること」の発表で
始まり、それに応える内容を実技を通しながら、「台詞は行動だ!」に迫る2時間でした。
<動きの指定はしてはいけない。欲求行動は台詞の中から>
目的のない動きはつらいものです。例:ただ「舞台を歩いて」と指示されても、見られ
ているという恥ずかしさが先に立つてしまいます。同じ歩くでも「イスを取ってきて」と
指示されれば、イスを取りに行く、持ってくるという目的があるために動き、集中と解放
がでて伸び伸びとしてきます。つまり、「ああしなさい。」「こうしなさい。」と動きを指定
するのではなく、台本の台詞の中から欲求行動(なぜ、その行動があるか)を探させ、動
きの目的を持たせ演じさせましょう。
<台詞を行動とするために>
(注)下述4は松田先生の当日資料より付け足しました。
[前提] 子どもたちの声が小さいのは仕方がない(体が小さいのだから)ことです。大
きな声を要求するのではなく、音をきっちりと出す(口の開け方)訓練をしてあげるこ
とが大切です。例えば「谷川俊太郎の詩・カッパ」を毎日練習し、うまくなっていく過
程でしっかりと誉めてあげましょう。口が正しく開くようになれば、小さい声でも聞き
取れるようになります。
[台本から台詞へ]
1.素読みをしましょう。(何の感情も入れずに読む)
①正しい日本語で。声の大きさ、滑舌、発音、アクセント一音一音のチェック。②句読
点にこだわらず。意味がわかるところで息継ぎを。※よく出来ていることを誉めよう。
2.表現読みをしましょう。
①その人物が何をしたいのか。台詞の裏の意味、欲求行動を表現。②だれに向かってい
る台詞なのか。③相手役との絡みの表現。④人間性を作る。※できるだけ子どもが読み
たいように読ませましょう。
3.立ち稽古
①登退場を考える。(欲求行動を持って)
だれに台詞をかけているのか。
②だれと絡んでいるのか。
③台詞の欲求行動を体で表現。
主役は、まわり(脇役)が主役にする。
④脇役はとても大事。
⑤稽古は場割りして計画的に。※子どもたち
を自由に伸び伸びと解放させましょう。
4.舞台稽古(通し稽古)
①スタッフや役者の出入り、小道具や衣装の置場確認。②細かい指導はしない。途中で
切ることは絶対やめましょう。③リハーサルはスタッフのためのものと割り切る。細か
い指導をすると子どもは自信をなくします。※通し稽古では、一つのドラマをみんなで
創り上げているのだという意識を持たせましょう。
[運営委員会]・東京都小学校児童文化研究会主催「連合学芸会」への参加校の募集につ
いての準備検討。・3学期の研修会の内容検討
- 2 -
(3)3学期の活動
1月17日(水)
上板橋第二小学校
・レクリエーション研修会
・運営委員会
[レクリエーション研修会・「∼自然・仲間つながって∼」]
《講師》
荒牧
光子先生(遊び塾″はらっぱ〟主宰)
荒牧先生は、幼児から高齢者までを対象として、レクリエーション研修会・工作教室・
遊びの教室・ミニミニシアター等の活動を展開しておられます。昨年度も指導いただき、
好評でしたので今年度も講師をお願いしました。
参加者が椅子席の後ろの方に固まっていたので、ジャンケンで荒牧先生と違うものを出
したら一つ前の椅子へ移動する。ということから始まりました。「前へつめてください。」
とついお願いしたくなる所を、簡単なゲーム化で全員が前の方に座るとともに実技研修会
の雰囲気も出来上がりました。
遊びの一部を紹介します。
<1>仲良くなろう(アイスブレーキング)
○手遊び「いのしっしー」(10人のインディアンのメロディで)
1の指で鼻をあげて
4と4で耳をすませて
2と2で牙を出して
5と5で前足かいて
3と3でひげを伸ばして
いのししだ
しっしー
この他に、手遊び「とこやさんと石やさん」。他人になりきって紹介しあう「名刺
交換」を実践しました。
<2>自然の中で仲間を感じるゲーム
○ストレッチ
★かがみ・・・2人組で、1人が人間一人が鏡役になり、鏡役の人は人間の動作が
鏡に映っているように動く。
★エルボータッチ・・・2人組で対面し、相手の肘を触ったらOK。自分は触られな
いように防御しつつ相手の肘を狙う。足は肩幅位に開き動かしては
いけない。(結構ハードで参加者息切れ続出)
この他に、一定の広さの中で行う「3種タッグ」。一定の距離の中で回数を競う「
チューリップゴルフ」。どんでん返し付きの宝探し「ハンティングゲーム」。自然にあ
るものを使ってグループで創り上げる「モンタージュ」を実践しました。
<3>子どもたちが自主的に遊べるゲーム
○バナナ鬼・・・バナナ星人につかまるとバナナ(両手を頭上であわせて直立)に
なって固まってしまう。固まった仲間を助けるには2人組で「バナ
ナ」と言いながら、皮を剥いて(手を下ろさせて)あげなければな
らない。全員バナナにしたらバナナ星人の勝ち。
この他に「天下まいた」というゲームもあり、参加者が真剣に天下をとろうと熱
くなつた中で実技研修を終了しました
3.年間を振り返って
今年度の研究も「教師が児童文化的手法を幅広く多様に身に付ける」ことを目的として、3
回の研修会を実施しました。参加いただき一緒に研修を深められた先生方は児童文化的手法の
財産が増えたのではないでしょうか。身に付けた手法を実践している場面を提供できるように
今後検討を進めていきたいと考えています。
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