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那須烏山都市計画 都市計画区域の 整備、開発及び保全の方針
那須烏山都市計画 都市計画区域の 整備、開発及び保全の方針 平成28年3月 栃 木 県 - 目 次 - 1. 都市計画の目標 .............................................1 1-1 目標年次及び都市計画区域の範囲・規模 .................................... 1 (1) 目標年次 ............................................................. 1 (2) 都市計画区域の範囲・規模 ............................................. 1 1-2 本区域の現状及び課題 .................................................... 1 (1) 位置・地勢等 ......................................................... 1 (2) 都市の状況 ........................................................... 2 (3) 本都市計画区域の広域的な位置づけ ..................................... 6 (4) 本都市計画区域の課題 ................................................. 8 1-3 都市づくりの基本理念 .................................................... 9 (1) 暮らしやすくコンパクトな都市づくり ................................... 9 (2) 誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり ........... 9 (3) 環境にもやさしいエコな都市づくり ..................................... 9 (4) 地域の魅力や強みを活かした都市づくり ................................ 10 1-4 本区域の将来都市構造 ................................................... 10 1-5 地域ごとの市街地像 ..................................................... 10 (1) 拠点地区 ............................................................ 10 (2) 基盤構造 ............................................................ 11 2. 区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針 ..........14 3. 主要な都市計画の決定の方針 ................................15 3-1 土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針 ............................. 15 (1) 本区域における土地利用の考え方 ...................................... 15 (2) 主要用途の配置の方針 ................................................ 15 (3) 土地利用の方針 ...................................................... 16 3-2 都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針 ....................... 20 (1) 交通施設の都市計画の決定の方針 ...................................... 20 (2) 下水道及び河川の都市計画の決定の方針 ................................ 21 (3) その他の都市施設の都市計画の決定の方針 .............................. 23 3-3 市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針 ....................... 23 3-4 自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針 ............. 25 (1)基本方針 ............................................................. 25 (2) 主要な緑地の配置方針 ................................................ 25 (3) 実現のための具体の都市計画制度の方針 ................................ 26 (4) 主要な緑地の確保の方針 .............................................. 26 3-5 都市防災に関する方針 ................................................... 28 4. 本区域における都市づくりの実現に向けて ....................29 4-1 実現に向けての基本方針 ................................................. 29 4-2 都市づくりの実現化方策 ................................................. 29 (1) 暮らしやすくコンパクトな都市づくり .................................. 29 (2) 誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり .......... 30 (3) 環境にもやさしいエコな都市づくり .................................... 31 (4) 地域の魅力や強みを活かした都市づくり ................................ 31 (5) 医療や福祉、産業、環境など各種施策と連携した都市政策の展開 .......... 32 (6) 多様な主体と協働・連携した都市づくり ................................ 32 (7) 都市の評価分析 ...................................................... 32 那須烏山都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の変更 (栃木県決定) 都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を次のように変更します。 1. 都市計画の目標 1-1 目標年次及び都市計画区域の範囲・規模 (1)目標年次 都市づくりの基本理念、将来の都市構造については平成 42 年を想定し、土地利用、都市 施設などの決定の方針については、平成 32 年を目標年次として作成します。 (2)都市計画区域の範囲・規模 本区域の範囲及び規模は次のとおりです。 都市計画区域 市 町 名 範 囲 那 須 烏 山 都市計画区域 那 須 烏 山 市 行政区域の一部 1-2 本区域の現状及び課題 (1)位置・地勢等 ① 位置・地勢 【位置図】 本区域は、栃木県の東部に位置し、県都宇都 宮から北東に約 29km、首都東京から約 125km の距離にあります。区域の北は那珂川町、南は 市貝町と茂木町、東は茨城県常陸大宮市、西は さくら市と高根沢町に接しています。 また、那珂川や荒川などの河川、八溝山系の 山々、市街地近郊の丘陵地の森林、清流や里山 に代表される田園風景などを有する自然豊か な都市です。 那珂川の段丘、山林や丘陵地間の平地部に市 街地や集落が形成されています。 -1- 規 模 約 12,792 ha ② 都市の変遷 本区域は、那珂川、荒川及び江川の流域を中心に古くから開けた区域であり、東山道跡、 長者ヶ平遺跡、烏山城跡や国の重要無形民俗文化財である山あげ祭、塙の天祭及び烏山和 紙といった歴史・文化資源に恵まれた区域です。 昭和 24 年に烏山地区市街地を、平成 10 年に南那須地区全域を都市計画区域に指定し、 平成 17 年の旧烏山町と旧南那須町の合併により「那須烏山市」となりました。その後、市 町村合併に伴う都市計画区域の再編により、平成 23 年に区域統合を行い「那須烏山都市計 画区域」となりました。 市街地は、烏山地区を中心に発達しており、昭和 53 年に用途地域が定められ、平成 26 年4月1日現在では、約 162ha が用途地域に指定されています。 【都市の主な変遷】 都市計画区域 年次 範囲 都市計画の内容 昭和24年 烏山地区市街地 都市計画区域を指定 昭和50年 烏山地区の一部 那須烏山 昭和53年 烏山地区 都市計画区域 平成10年 南那須地区 都市計画区域を指定 用途地域の決定 都市計画区域を指定 平成23年 那須烏山全域 都市計画区域の統合 (2)都市の状況 ① 人口及び人口構成の推移 本区域を構成する那須烏山市の人口は昭和 60 年をピークに減少に転じ、平成 12 年の 32,790 人から平成 22 年では 29,206 人と 10.9%減少しており、今後も減少が続くことが見 込まれています。平成 32 年には 25,617 人と平成 22 年と比べて 12.3%減少し、平成 42 年 には 22,098 人と 24.3%減少すると推計され、この減少率は県平均 10.4%に比べて大きな 値となっています。 人口減少と同時に高齢化も急速に進行しており、平成 22 年の高齢化率は 28.2%と県平 均の 21.8%を上回り、平成 42 年には 41.1%と 10 人に4人以上が 65 歳以上の高齢者にな ると推計されています。また、生産年齢人口(15 歳~64 歳)の割合は平成 22 年の 60.3% から平成 42 年には 50.5%まで減少すると推計されています。 平成 22 年の都市計画区域内人口 25,117 人のうち、用途地域内人口は 6,140 人と都市計 画区域全体の 24.4%にとどまっており、用途地域内の人口密度は 37.9 人/ha、用途地域外 の人口密度は 1.5 人/ha と一定の集積が見られる状況にあります。 -2- 【行政区域の人口・人口構成比】 那須烏山市 0~14歳 年齢別内訳 15~65歳 65歳~ 栃木県 0~14歳 年齢別内訳 15~65歳 65歳~ 実 績 値 推 計 値 増減率(%) 平成2年 平成12年 平成22年 平成32年 平成42年 人口 構成比 人口 構成比 人口 構成比 人口 構成比 人口 構成比 H22/H12 H32/H22 H42/H22 (人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%) 33,699 32,790 29,206 25,617 22,098 △ 10.9 △ 12.3 △ 24.3 6,471 (19.2) 4,699 (14.3) 3,339 (11.4) 2,440 (9.5) 1,844 (8.3) △ 28.9 △ 26.9 △ 44.8 21,471 (63.7) 20,343 (62.0) 17,619 (60.3) 13,808 (53.9) 11,166 (50.5) △ 13.4 △ 21.6 △ 36.6 5,757 (17.1) 7,748 (23.6) 8,248 (28.2) 9,369 (36.6) 9,088 (41.1) 6.5 13.6 10.2 1,935,168 2,004,817 2,007,683 1,926,237 1,799,782 0.1 △ 4.1 △ 10.4 380,087 (19.6) 306,905 (15.3) 269,823 (13.4) 231,478 (12.0) 191,015 (10.6) △ 12.1 △ 14.2 △ 29.2 1,316,576 (68.0) 1,353,406 (67.5) 1,299,664 (64.7) 1,134,958 (58.9) 1,030,632 (57.3) △ 4.0 △ 12.7 △ 20.7 238,505 (12.3) 344,506 (17.2) 438,196 (21.8) 559,801 (29.1) 578,135 (32.1) 27.2 27.8 31.9 (国勢調査、H27 以降は国立社会保障・人口問題研究所(H25.3 月推計結果)) 【都市計画区域の人口・人口密度】 都市計画区域 人口(人) 増減率 都市計画区域との構成比 人口密度(人/ha) 平成2年 平成12年 平成22年 H12/H2 H22/H12 平成2年 平成12年 平成22年 平成2年 平成12年 平成22年 16,097 28,154 25,117 74.9% △ 10.8% 100% 100% 100% 1.3 2.2 2.0 用途地域 6,882 5,879 6,140 △ 14.6% 4.4% 42.8% 20.9% 24.4% 42.5 36.3 37.9 用途地域外 9,215 22,275 18,977 141.7% △ 14.8% 57.2% 79.1% 75.6% 0.7 1.8 1.5 (栃木県都市計画基礎調査) 【DID 人口・面積・人口密度】本区域は平成 12 年に DID 地区の要件を満たさなくなった 人口(人) 平成2年 人口集中地区 5,441 平成12年 平成22年 0 0 H12→H22 増減 平成2年 - 120 面積(ha) 平成12年 平成22年 0 0 人口密度(人/ha) H12→H22 増減 平成2年 平成12年 平成22年 - 45.3 - - (国勢調査) -3- ② 産業の状況 産業就業者数は、平成 22 年では総数 13,865 人であり平成 12 年に比べ 18.3%減少して います。また、産業別では、第1次産業、第2次産業は大幅な減少傾向にありますが、第 3次産業は 3.5%とわずかな減少にとどまっています。 農業では、稲作、養豚、乳用牛や肉用牛などの畜産が盛んとなっており首都圏の食糧基 地としての役割を担っていますが、農業産出額は平成 15 年の 111 億円から平成 18 年には 108 億円と約 2.7%減少しています。 工業では、烏山和紙などの伝統的工業をはじめとし、富士見台工業団地などへの企業進 出により平成 20 年には製造品出荷額等が 647 億円まで増加しましたが、製造拠点の海外進 出傾向や経済不況の影響などもあり、平成 21 年に減少に転じ、その後は概ね横ばい傾向で 推移しています。 商業では、人口減少や周辺都市での大型商業施設の立地、モータリゼーションの進展に よる生活圏の広域化により、市外へ購買が流出していることから、商業販売額は平成 19 年 で 266 億円と平成9年から約 27.8%減少しています。 【産業別就業者数】 栃木県 平成12年産業別就業者数(人) 総数 第1次 第2次 第3次 1,031,252 75,214 373,403 582,635 那須烏山市 16,963 2,166 6,982 平成22年産業別就業者数(人) 総数 第1次 第2次 第3次 937,703 54,746 300,422 582,535 7,815 13,865 1,593 4,729 H12-H22増加割合 総数 第1次 第2次 △ 9.1% △ 27.2% △ 19.5% 第3次 0.0% 7,543 △ 18.3% △ 26.5% △ 32.3% △ 3.5% (国勢調査) 【産業別構成比】 栃木県 那須烏山市 平成12年産業構成率 第1次 第2次 第3次 7.3% 36.2% 56.5% 12.8% 41.2% 46.1% 平成22年産業構成率 構成割合の推移(H22-H12) 第1次 第2次 第3次 第1次 第2次 第3次 5.8% 32.0% 62.1% △ 1.5% △ 4.2% 5.6% 11.5% 34.1% 54.4% △ 1.3% 注)四捨五入のため、合計しても 100%にならない場合がある。 △ 7.1% 8.3% (国勢調査) 【農業産出額】 那須烏山市 栃木県 平成15年 11,140 278,680 平成16年 12,350 276,910 平成18年 10,840 260,920 (百万円:生産所得統計) 注)平成 18 年以降は市町別の集計データなし 農業産出額 那須烏山市 (億円) 300 那須烏山市 2,787 栃木県 (億円) 栃木県 3,000 2,769 2,609 250 2,500 200 2,000 150 100 1,500 111 124 108 50 500 0 0 平成15年 -4- 1,000 平成16年 平成18年 【製造品出荷額等】 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 那須烏山市 栃木県 558 566 637 647 461 462 83,522 87,279 92,453 92,792 76,797 84,591 (億円:工業統計) 製造品出荷額等 那須烏山市 (億円) 那須烏山市 栃木県 (億円) 栃木県 1,000 100,000 900 800 83,522 87,279 92,453 92,792 637 647 84,591 700 558 600 80,000 76,797 566 60,000 461 500 462 400 40,000 300 200 20,000 100 0 0 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 【商業販売額(卸売業・小売業)】 卸売業 小売業 計 栃木県 商業販売額 平成9年 平成11年 平成14年 平成16年 平成19年 9,240 7,224 5,337 5,406 6,036 27,637 24,028 22,145 22,720 20,583 36,877 31,251 27,482 28,126 26,619 6,143,160 6,055,821 5,646,459 5,472,396 5,650,311 (百万円:商業統計) 那須烏山市 (百万円) 卸売業 小売業 30,000 25,000 27,637 24,028 20,000 22,145 22,720 5,337 5,406 6,036 平成14年 平成16年 平成19年 20,583 15,000 10,000 9,240 7,224 5,000 0 平成9年 平成11年 ③ 土地利用の状況 都市計画区域内の土地利用の状況では、農地が 30.7%、山林が 43.1%など自然的な土 地利用が 81.2%を占め、住宅・商業・工業用地、公益用地や道路用地などの都市的な土地 利用の割合は 18.8%となっています。 用途地域内の土地利用状況では、住宅・商業・工業用地が 47.3%、公益用地や道路用地 などが 25.7%を占めていますが、農地や山林などのいわゆる低未利用地も 27.0%残存して います。 【土地利用現況別構成比】 (平成 25 年度栃木県都市計画基礎調査(H23.3.31 現在) ) 注)四捨五入のため、合計しても 100%にならない場合がある。 -5- ④ 都市基盤の状況 本区域は、JR 烏山線や各種バス路線に加え、(国)293 号や(国)294 号、(主)宇都宮那須 烏山線などを軸とした交通ネットワークが形成されています。 都市施設の整備状況は、都市計画道路の整備率が 79.2%、都市計画公園・緑地の供用率 が 59.9%、下水道の供用率は 52.7%となっています。 鉄道及び路線バスが希薄で都市が拡散していることから、鉄道・バスカバー率は 59.6% と低い状況にあります。 平成 24 年からデマンド交通の試験運行を進めており、自動車による移動手段を持たない 高齢者などの重要な公共交通手段となっています。 注)鉄道・バスカバー率:鉄道及び路線バスのサービス圏域(鉄道:駅から 1.5km、路線バス:バス系統(運行回数6回 (3往復)/日以上)から 300m)に含まれる人口の総人口に対する割合。 【都市施設整備状況】 都市計画道路(km) 計画 那須烏山 都市計画区域 14.0 整備済 都市計画公園・緑地(ha) 整備率 11.1 計画 79.2% 20.0 ※整備済=改良済+概成済 供用済 12.0 供用率 59.9% 都市計画下水道(ha) 計画 188 供用済 99 供用率 52.7% (平成 25 年度都市計画現況調査(H25.3.31 現在) ) (3)本都市計画区域の広域的な位置づけ 本区域と他都市とのつながりを見ると、通勤・通学による人口動態については、宇都宮 市、那珂川町への流出が多い状況にあり、流入においては那珂川町、高根沢町が多い状況 にあります。 また、購買動向による商圏においては、宇都宮市、さくら市への流出が多い状況にあり ます。一方、日用品の区域内購買率は 95.5%と日常的な生活機能は概ね自区域内で充足し ています。 このことから、本区域は烏山地区と南那須地区の2つの市街地を核として、既存の交通 機能や都市機能を活かしながら、宇都宮都市計画区域や那珂川都市計画区域、さくら都市 計画区域との広域的な連携が図られている区域と位置づけられます。 -6- 【通勤・通学及び購買動向】 通勤・通学(流出) ※( )内は、自市町に居住する通勤・通学者のうち 自市町内に通勤・通学している人の割合を示す。 通勤・通学(流入) ※( )内は、自市町に居住する通勤・通学者に対す る自市町内に通勤・通学している人の割合を示す。 出典)平成 22 年国勢調査 ※都市計画区域外がある市町は都市計画区域外も含んだ流動状況である。 購買動向(流出) ※( )内は、自市町の居住者のうち、自市町内で買 い物をしている人の割合を示す。 購買動向(流入) ※( )内は、自市町の居住者に対する自市町内で買 い物をしている人の割合を示す。 出典)平成 21 年度地域購買動向調査(栃木県) ※都市計画区域外がある市町は都市計画区域外も含んだ流動状況である。 -7- (4)本都市計画区域の課題 本都市計画区域の課題は次のとおりです。 ① 都市機能の集積促進と街なかへの居住(集住)の誘導 本区域の人口は減少傾向にあり、また日常的な都市機能は充実していますが、市街地中 心部では居住人口の減少や空き店舗の増加などにより、都市の空洞化や活力の低下が生じ ています。 こうした都市の現状のまま、人口減少・超高齢社会が進行した場合、「人口密度の希薄 化」や「高齢化率の上昇」により、既存の市街地にある店舗などは利用者が減少して撤退 などを余儀なくされ、日常生活の利便性がますます低下していくことが予想されます。ま た、自動車を運転できない高齢者などの交通弱者は、自立した日常生活を送ることが困難 になることが懸念されます。 このため、誰もが暮らしやすい都市づくりのためには、市街地の無秩序な拡散を抑制し ながら、既存の市街地などを中心に、徒歩や自転車で行ける範囲内に日常的な都市機能を バランス良く集積させることにより利便性を高め、街なかへの居住(集住)を誘導してい くことが課題となっています。 ② 公共交通による拠点間の連携強化と移動の円滑化 本区域では、JR 烏山駅や JR 大金駅周辺の市街地に加え、広範囲に住宅地や集落などが 田畑と混在しながら低密度に分布しています。このため、拠点地区となる市街地や集落、 周辺都市との連携強化により、都市機能を効率的に利活用していくことが課題となってい ます。 また、本区域は人や物の移動の多くを自動車交通に依存しており、自動車を運転できな い高齢者などは移動の手段確保に支障が生じています。このため公共交通を充実すること により拠点間の連携を強化し、誰もが安全でスムーズに移動できる都市づくりが課題と なっています。 ③ 都市経営の効率化、地球規模での環境問題などへの対応 人口減少・超高齢社会の進行により、医療・福祉などの社会保障費が増大するとともに、 生産年齢人口の減少による都市活動の低下や税収の減少が懸念されています。このため、 社会資本整備やその更新・維持管理にかかる行政コストの縮減など、更なる都市経営の効 率化が課題となっています。 また、地球温暖化やエネルギー需給の変化など地球規模での環境問題への対応に加え、 地震や豪雨などによる自然災害への備えなど、住民が将来にわたって安全で安心して暮ら せる都市づくりが課題となっています。 -8- ④ 魅力や強みを活かした都市づくり 本区域は、JR 烏山線や南北軸の(国)294 号、東西軸の(主)宇都宮那須烏山線などにより 交通網が形成され、南那須地域の中心都市として宇都宮市や周辺都市などと強いつながり があります。 このため、本区域の発展のためには周辺都市との広域的連携の強化や産業の集積、都市 機能の更なる充実を図ることが課題となっています。 更に、人口減少の進行が推計されるなか、魅力や強みを活かした都市づくりを進め、定 住人口の確保や交流人口を増加させることが課題となっています。 1-3 都市づくりの基本理念 今後、本格的に訪れる人口減少・超高齢社会においても、誰もが快適・便利に暮らしや すい、また環境にもやさしく都市経営コストの面からも持続可能な集約型の都市への転換 を図るため、以下の基本理念のもと、都市づくりを進めていきます。 (1)暮らしやすくコンパクトな都市づくり 本区域においては、徒歩や自転車で移動可能な範囲で、商業や医療、金融など日常生活 に必要な都市的サービスを手軽に受けられるように、拠点となる市街地や集落への居住(集 住)を促進し、暮らしやすくコンパクトな都市づくりを進めていきます。 また、安全で安心して暮らすことができるように、災害に対する予防や発生時における 応急対策(防災・減災) 、更には速やかな復旧・復興などを可能とする災害に強い都市づく りを進めていきます。 特に、本区域は南那須地域の中心都市であることから、JR 烏山駅周辺地区における既存 都市機能の活用と強化により拠点性を高め、周辺都市とも連携した効率的な都市づくりを 進めていきます。 (2)誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり 鉄道やバスなどの公共交通を基本とし、地域の特性やニーズに応じた交通ネットワーク により拠点地区や周辺都市を連結するとともに、歩行者や自転車の利用環境を向上してい くことで、誰もが安全でスムーズに移動し多様なサービスを享受できるネットワーク型の 都市づくりを進めていきます。 また、これらのネットワークを活用し、各拠点地区の都市機能の広域利用や相互補完に よる効率的な都市づくりを進めていきます。 (3)環境にもやさしいエコな都市づくり 都市経営の効率化に加え、地球温暖化やエネルギー需給の変化など地球規模での環境問 題に対応した、持続可能で環境にも優しいエコな都市づくりを進めていきます。 市街地の形成においては、周辺営農環境との健全な調和を図りながら、自然環境への負 荷の少ない低炭素で循環型の社会の構築や計画的な土地利用を進めていきます。 -9- また、豊かな自然環境や恵まれた地域資源を活かしながら、水と緑の自然景観の形成や 地域の特性にあった美しい景観づくりにより、環境と共生した魅力ある都市づくりを進め ていきます。 (4)地域の魅力や強みを活かした都市づくり 本区域では、宇都宮都市計画区域などにおける産業集積地との連携や、(国)294 号や(主) 宇都宮那須烏山線などの広域的な交通網を活用し、既存の工業団地中心に企業誘致に努め、 人口の定住・交流を促進し活力ある都市づくりを進めていきます。 また、山あげ祭や塙の天祭をはじめ、地域の有する歴史・文化などの貴重な資源を活用 しながら、地域の魅力や強みを活かした都市づくりを進めていきます。 1-4 本区域の将来都市構造 人口減少・超高齢社会に対応するため、 ○店舗や病院など日常生活に必要なサービスを手軽に受けることができるよう、既存の 市街地や拠点となる集落などを中心として、その規模や役割に応じて必要な都市機能 や居住機能をバランスよく集積した拠点地区(広域拠点、地域拠点、生活拠点など) を形成 ○自動車交通に加え、公共交通ネットワークや徒歩・自転車の利用環境を充実させ、拠 点地区や周辺都市との連携強化や都市機能の相互補完を図り、誰もが安全でスムーズ に移動し、多様なサービスを享受できる暮らしやすく効率的な都市に再構築 ○省エネ技術・情報通信技術の導入、水環境やみどり空間の保全・活用による環境負荷 の低減 これらにより、快適・便利で暮らしやすい、また環境にもやさしく都市経営コストの面 からも持続可能な多核ネットワーク型の都市構造「とちぎのエコ・コンパクトシティ」を 目指します。 1-5 地域ごとの市街地像 (1)拠点地区 市街地の規模や役割に応じて、必要な都市機能を集積した拠点地区(広域拠点、地域拠 点、生活拠点、産業拠点、観光レクリエーション拠点)づくりを進めるとともに、拠点地 区間や周辺都市との連携による相互補完により、効率的な都市機能の利活用を図ります。 ① 広域拠点地区 都市機能や人口の集積を一層促進し、これらの都市機能を周辺都市と共有、利活用でき るよう公共交通を基本とした交通ネットワークを充実・強化する「広域拠点地区」として 次の箇所を位置づけます。 ○JR 烏山駅周辺地区 -10- ② 地域拠点地区 徒歩や自転車圏内に日常生活機能と居住機能を集積させ、人口密度を維持していくとと もに、日常的な都市機能の維持・充実により、日常生活の利便性の向上を図る「地域拠点 地区」として、次の箇所を位置づけます。 ○JR 大金駅周辺地区 ③ 生活拠点地区 広域拠点地区や地域拠点地区周辺の住居系市街地、月次地区、表・城東地区、野上地区、 鴻野山・福岡地区などの既存集落や概ね小学校区などの規模でコミュニティの中心となる 地区を「生活拠点地区」として位置づけます。 生活拠点地区では、日常生活に必要な店舗や診療所などの生活利便施設を誘導するとと もに、地域の多様な生活に配慮しつつ地域コミュニティの維持を図ります。また、生活の 利便性を向上させるため、公共交通の充実を図ります。 ④ 産業拠点地区 周辺環境に配慮しながら、産業や研究開発機能の集積を図る拠点として次の箇所を位置 づけます。 ○富士見台工業団地 ⑤ 観光レクリエーション拠点地区 自然環境や歴史的な地域資源を活かして、広域的な観光の集客を促進するための魅力向 上を図る拠点として次の箇所を位置づけます。 ○龍門の滝、太平寺、龍門ふるさと民芸館などがある滝地区、那珂川県立自然公園、那 珂川や荒川の沿川 (2)基盤構造 必要な都市機能を集積した各拠点地区の形成とともに、拠点地区間や宇都宮市、那珂川 町などの周辺都市との連携を強化する多核ネットワーク型の都市を構築します。 ① 広域連携軸 広域的な移動や連携の促進を図る軸として位置づけます。 ○鉄道・バス等:JR 烏山線 ○道 ② 路:(国)293 号、(国)294 号 都市間連携軸 広域拠点地区の形成を支援するとともに、周辺都市との移動や連携の促進を図る軸とし て位置づけます。 ○鉄道・バス等:JR 烏山線、路線バス -11- ○道 路:(主)宇都宮那須烏山線、(主)那須烏山御前山線、(主)那須烏山矢板線 (主)那須黒羽茂木線、(主)真岡那須烏山線、(主)宇都宮向田線 (一)小川大金停車場線 ③ 都市内連携軸 地域拠点地区、生活拠点地区の形成を支援するとともに、拠点地区間や周辺地域との移 動・連携の促進を図る軸として位置づけます。 ○鉄道・バス等:JR 烏山線、路線バス ○道 路:(主)常陸太田那須烏山線、(一)熊田喜連川線 など その他、都市内連携軸となる主要な市道などについては、市が策定する「都市計画マス タープラン」などで位置づけます。 ※(国)は一般国道、(主)は主要地方道、(一)は一般県道、(市)は市道を示します。 -12- 【将来市街地像図】 -13- 2. 区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針 本区域においては、区域区分を定めないこととします。 なお、区域区分を定めないとした根拠は、次のとおりです。 今後、人口減少・超高齢社会が進行するなか、 「とちぎのエコ・コンパクトシティ」の実 現に向けて、市街地の拡大を抑制し、人口や都市機能の集積により、集約型の都市を目指 すことが求められています。 これを踏まえ、目指すべき都市構造の実現及び都市づくりの課題への対応として、区域 区分の必要性について、 「①拠点市街地の形成状況」 「②都市の拡大・拡散の可能性」 「③自 然的環境保全の必要性」 「④隣接都市計画区域への影響」 「⑤他制度による規制の可能性」 の観点から、都市の評価を行いました。 [5つの観点からの評価の概要] ①市街化区域設定基準(人口密度 40 人/ha 以上など)を満たす市街地が形成されていな いことから、区域区分以外の制度を活用した拠点市街地の形成が必要である。 ②人口及び産業就業者数は減少傾向にあり、用途地域外においても人口が減少傾向にあ るものの、農地転用件数は県の非線引き都市計画区域の用途地域外の平均値より高く、 開発などにより市街地が拡散する可能性がある。 ③市街地周辺部や郊外部に存する平地林面積について過去 10 年間の増減を見ると、平成 3年に比べ約2%の減少が見られることから、 「自然的環境の整備又は保全の観点から 土地利用の規制が必要である」と判断される。 ④隣接する都市計画区域との縁辺部で、世帯数の増加が一部で見られるが、人口の増加 は見られず、開発により隣接する都市計画区域に影響を及ぼす可能性は低い。 ⑤市街地のまとまりの形成や拡散の抑制については、都市計画法に基づく用途地域や特 定用途制限地域などを活用することにより、適切な土地利用規制及び誘導が可能であ る。また、区域区分以外の都市計画制度や他法令の活用により維持・保全することが 可能である。 以上の観点から評価した結果、市街地が拡散する可能性があるものの、市街化区域設定 基準を満たす市街地が形成されておらず、今後も人口減少が見込まれていることから、区 域区分の必要性は低いと判断し、区域区分は定めないこととします。 なお、区域区分は定めませんが、市街地のまとまりを維持し、無秩序な市街地の拡散を 防止するために、都市計画法に基づく用途地域や特定用途制限地域、都市再生特別措置法 に基づく立地適正化計画、また、農業振興地域の整備に関する法律や森林法、自然公園法、 自然環境保全法などの他法令も活用しながら、土地利用の適切な規制、誘導を行っていく こととします。 -14- 3. 主要な都市計画の決定の方針 3-1 土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針 (1)本区域における土地利用の考え方 拠点地区への都市機能の集積を図りながら街なかへの居住を誘導し、暮らしやすくコン パクトな都市づくりを推進するため、公共交通や道路、下水道、公園などの既存都市施設 の有効活用を図るとともに、その機能に支障が生じないよう都市施設などの整備と整合し た計画的な土地利用を図ります。 また、交通利便性に優れた幹線道路沿線や既存の工業団地などに新たな工場や物流施設 の誘導を図るとともに、都市構造に大きな影響を与える大規模集客施設については、郊外 部への立地を抑制し、用途地域内への誘導を図ります。 更に、定住や就業の場にふさわしい都市的土地利用と丘陵地、農地などの自然的土地利 用との調和を図ります。 (2)主要用途の配置の方針 ① 住宅地 住宅地は、周辺土地利用などを考慮した良好な環境形成の可能性や公共公益施設、医療・ 福祉、商業サービスなどの日常利便機能並びに公共交通の利便性が確保され、集約的な都 市構造の実現に寄与する地区を基本に配置します。 広域拠点地区では、生活の場と商業、業務などの産業・経済活動、文化の集積が良好な 関係で共生する住宅地の形成を目指し、既存の施設や環境を活かしつつ良好な居住環境の 維持・形成や中心市街地の賑わいの創出を図ります。 地域拠点地区では、都市基盤整備の充実や文化スポーツ機能の強化などにより居住機能 の向上を図ります。 生活拠点地区である月次地区や表・城東地区、烏山市街地南部の大規模住宅開発地及び 野上地区では、周辺の農林業や自然環境との調和を図りながら、都市施設の整備や適正な 土地利用の誘導により良好な居住環境の形成を図ります。 その他の地域については、田園環境との共生を目指し、農林業施策との連携を図りなが ら居住環境の整備を進めます。 また、住宅地の外延化を抑制し、エコでコンパクトな市街地の形成を図るため、拠点地 区内の空き地などの低未利用地、空き家や公的不動産などの既存ストックの有効活用を図 ります。 ② 商業地 商業地は、都市の動向、人口減少・超高齢社会への対応、鉄道やバス、道路などの交通 基盤の状況を考慮しながら、拠点地区を中心として必要な規模を適切に配置します。 広域拠点地区では、伝統文化を活かした観光的な商業機能を強化し、都市の賑わいを生 む商業地を配置します。 -15- 地域拠点地区では、商業施設の集積を活かし市民のニーズに応えられるよう適切な土地 利用への誘導を図りながら、魅力ある日常的商業地を配置します。 また、表・城東地区などでは防災機能の整備により、中心市街地との適切な役割分担と 連携を図りながら商業地を適切に配置します。 なお、都市の拡散を誘発し、新たな基盤整備を必要とする大規模集客施設の郊外配置は 抑制します。 ③ 業務地 業務地は、都市活動全般にわたる都市機能が集積する広域拠点地区や地域拠点地区を中 心に配置することとします。 公共公益施設については、高齢者などの利便性や周辺環境に配慮するとともに、都市の 拡散を誘発しないよう拠点地区を中心に適切な位置に配置・誘導します。 ④ 工業地 工業地は、産業の高度化への対応と生産活動の効率化を図るため、現在及び将来の工業 生産の規模並びに周辺住宅地などに及ぼす影響を踏まえ、緑地空間などのオープンスペー スの確保など周辺環境に配慮しながら配置します。 産業拠点地区では、現状の操業環境を守りながら、緑化など周辺の自然環境に配慮し、 今後とも、工業の利便性の維持増進を図る工業地を配置します。 本区域の雇用促進を図るため、宇都宮テクノポリス地域との関連が深い(主)宇都宮向田 線沿いでは、周辺の自然環境との調和を図りながら、新たな工業地形成の検討を行います。 ⑤ 公園・緑地ゾーン 公園・緑地ゾーンは、将来の都市化動向やレクリエーション活動の需要に対応し、都市 の環境向上、景観の保全、災害の防止などの機能を総合的に発揮できるよう適正な規模を 配置します。 ⑥ 田園集落ゾーン 用途地域外における田園地帯などを、自然環境や営農環境に配慮しつつ集落の維持・保 全を図るゾーンとして位置づけます。 ⑦ 自然環境保全ゾーン 国有林などの森林、松倉山・小塙の自然環境保全地域、河川の水辺空間などを将来にわ たって保全を図るゾーンとして位置づけます。 (3)土地利用の方針 ① 土地の高度利用に関する方針 広域拠点地区や地域拠点地区では、空き地などの低未利用地、空き家や公的不動産など -16- の既存ストックの有効活用を図りながら、街並みの形成に配慮した良好な商業、居住空間 などの中密度の土地利用を図ります。 広域拠点地区、地域拠点地区の周辺の生活拠点地区では、コンパクトな市街地の形成を 目指すため、既存の都市基盤を活かしつつ、良好な居住環境の維持・改善に努めます。 また、郊外の生活拠点地区では、日常的に必要となる都市機能を維持できる人口密度を 確保します。 ② 用途転換、用途純化又は用途の複合化に関する方針 広域拠点地区や地域拠点地区では、地域の核として必要な各種都市機能の立地を誘導す るとともに、街なかへの居住を促進するため、適切な用途への転換や複合化を検討します。 都市基盤の整備に合わせた都市機能の集積・誘導のための用途転換や良好な市街地保全 のための地区計画などにより、適切な土地利用を図るとともに、地域の実情の変化や社会 的ニーズに応じた用途地域の見直しを検討します。 輸送機械関連の部品工場などの立地が多く見られる住居系用途地域内では、必要に応じ て地区外への工場の集約化を図るなど、良好な住環境を確保するため、必要に応じて用途 の純化を図ります。 ③ 居住環境の改善又は維持に関する方針 広域拠点地区や地域拠点地区及びその周辺の生活拠点地区では、道路や公園などの都市 基盤の優先的な整備を進めるとともに、地区計画や建築協定、緑地協定などを活用し街並 みの形成を誘導するなど、良好な居住環境の創出を図ります。 郊外の生活拠点地区などでは、従来の生活様式を尊重し、道路や公園などの既存都市施 設を活かしながら居住環境の維持・改善を図るとともに、地域コミュニティの維持に努め ます。 高齢者向け住宅やバリアフリーに対応した住宅、社会インフラの整備により高齢者など に負担が少ない居住環境を確保します。 空き家などの既存ストックの適正管理に努めるとともに、有効活用を図るための仕組み づくりを検討します。 ④ 都市内の緑地又は都市の風致の維持に関する方針 本区域は、烏山市街地から東方に眺める雄大な山並みや那珂川県立自然公園、荒川、江 川沿川の田園風景、更には烏山市街地中心部を横断する清水川など緑豊かな区域です。こ れらの自然環境は景観的にも人に安らぎを与え、都市の活性化を促す重要な資源でもある ことから、これらの保全を図るとともに有効な整備・活用を図ります。 ⑤ 優良な農地との健全な調和に関する方針 本区域の大桶・中山・滝田・谷浅見・神長・三箇・藤田・南大和久・高瀬・上川井・下 川井・熊田地区に広がる優良農地の維持・保全に努めます。 -17- 用途地域外では営農環境と農地の集団性を確保するため、農村集落の振興に配慮しなが ら優良な農地の維持・保全に努めます。 ⑥ 災害防止の観点から必要な市街化の抑制に関する方針 大雨時における浸水や土石流、がけ崩れなどによる災害の発生の恐れがある区域につい ては、新たな市街化を抑制します。 ⑦ 自然環境形成の観点から必要な保全に関する方針 本区域の代表的な自然空間である那珂川県立自然公園、八溝県民休養公園及び自然休養 村を中心とした里山、八溝山系が連なる那珂川以東の山間部及び旧烏山町域南部、広域的 にも貴重な水辺空間である那珂川や地域のシンボルでもある荒川、江川などの自然環境の 保全に努めます。 ⑧ 計画的な都市的土地利用の実現に関する方針 良好な生活環境の維持と産業の振興を促進するため、周辺地域の農林業などと調和した、 計画的な都市的土地利用を図ります。 既に市街化が進行している地区では、用途地域や地区計画などにより、計画的な市街地 の形成を図ります。 用途地域外への無秩序な市街地の拡散を抑制するため、必要に応じて用途地域や地区計 画、特定用途制限地域などの活用により、適切な土地利用への誘導を図るとともに、地域 の実情にあった建築物の形態規制(建ぺい率、容積率)を行います。 地域拠点地区については、住宅地、日常的商業地の土地利用を推進するため、用途地域 の決定や都市施設整備のための事業手法を検討するとともに、文化スポーツ拠点の整備を 検討します。 表・城東地区では、(国)294 号バイパスの開通後、商業施設や住宅の立地がみられるた め、地区計画などの活用により適切な土地利用を検討します。 富士見台工業団地においては、工業系用途地域の決定を検討するなど適切な土地利用の 誘導を図ります。 -18- 【土地利用構想図】 -19- 3-2 都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針 (1)交通施設の都市計画の決定の方針 ① 基本方針 【交通体系の整備の方針】 拠点地区の形成や拠点地区間及び都市間の連携にあたっては、自動車交通に加え、鉄道・ バスなどの公共交通による地域特性に応じた交通ネットワークを構築し、誰もが安全でス ムーズに移動できるネットワーク型の都市づくりを進めます。 本区域は、近接する宇都宮都市計画区域や那珂川町、更には県内外との広域的な連携に より産業や観光の振興を図ります。 本区域においては、広域拠点地区や地域拠点地区を核に大小様々な拠点地区が位置づけ られています。これらの拠点地区間の連携を強化するため、広域的な連携軸を基軸としな がら既存の鉄道・バスなどの公共交通機関を活用しつつ、幹線道路網の整備を推進し総合 的な交通体系の構築を図ります。 公共交通は、JR 烏山線を基軸としてバス路線やデマンド交通が整備されていますが、周 辺都市間や区域内交通では自動車の依存度が高く、道路を主とした交通体系が構築されて います。このため、複数の交通手段間の連携や交通結節点などの整備により、利用者の交 通手段の選択肢を増やすなど、円滑な都市交通を確保しながら、公共交通の利用促進を図 ります。 また、歩道や公共交通機関などのバリアフリー化や自転車の利用環境の充実を図り、歩 いても暮らせる都市づくりを進めます。 ② 主要な施設の配置の方針 【道路】 本区域の道路網としては、烏山市街地の中心で交差する南北軸の(国)294 号と東西軸の (主)宇都宮那須烏山線、(主)那須烏山御前山線、(主)常陸太田那須烏山線を中心に、南那 須市街地を通過する東西軸の(主)宇都宮那須烏山線と南北軸の(主)那須烏山矢板線、(主) 真岡那須烏山線、(一)熊田喜連川線、(一)小川大金停車場線を中心に市街地と集落及び周 辺市町の連携を担っています。 (国)294 号や(主)宇都宮那須烏山線は、烏山市街地と周辺市町を結ぶ地域の大動脈であ るとともに、日常生活にも欠かせない道路であることから、交通機能の向上を図るととも に、市街地における沿道の街並みづくりを推進します。 (主)那須烏山矢板線などの都市間連携軸については、本区域の発展を促す路線として充 実を図り、周辺市町と連携強化を図ります。 広域拠点地区において、都市づくりの観点から重要となる都市計画道路の整備を検討し ます。地域拠点地区については、都市間・都市内連携軸の整備を目指します。 また、産業の振興や地域の更なる発展につながる物流ネットワーク、災害時の緊急輸送 道路となる広域的な道路ネットワークを構築します。 更に、都市経営コストの軽減を図るため、長寿命化修繕計画などに基づき既存ストック -20- の適切な維持管理や有効活用を図ります。 【鉄道・バス等】 JR 烏山線の利便性を向上させるため、JR 烏山駅や JR 大金駅の交通結節機能を強化する とともに、バスやデマンド交通を含めた交通機関相互の連携や機能の充実・強化により効 率的な交通基盤を確立し住民の利便性の向上を図ります。 また、人口減少・超高齢社会に対応し、郊外の既存集落などからも拠点地区にある生活 利便施設をより使い易くするため、地域特性に応じた公共交通ネットワークのあり方を踏 まえながら、バスなどの運行円滑化や利便性向上、駅へのアクセスの強化を図る施設の整 備を進めます。 併せて、モビリティマネジメントなどにより公共交通の利用を促進し、自動車交通から 公共交通への移動手段の転換を図ります。 【その他の施設】 道路の整備や鉄道・バスなどの公共交通ネットワークの構築に併せて、歩道や公共交通 機関のバリアフリー化、自転車利用環境の充実など、誰もが安全で安心して移動できる移 動空間の整備を進めます。 ③ 主要な施設の整備目標 概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業は、次のとおりです。 【広域連携軸】 広域連携軸として、以下に挙げる道路の整備を推進します。 ○(国)293 号、(国)294 号 【都市間・都市内連携軸】 都市間・都市内連携軸として、以下に挙げる道路の整備や公共交通の充実を図ります。 ○(主)宇都宮那須烏山線、(主)那須烏山矢板線、(主)那須黒羽茂木線、 (一)熊田喜連川線、(一)小川大金停車場線 など ○バスなどの地域公共交通の充実 (2)下水道及び河川の都市計画の決定の方針 ① 基本方針 【下水道及び河川の整備方針】 下水道については、市街地などにおける生活排水などの汚水を効率的に処理し、生活環 境の改善、河川など公共用水域の水質保全を図るため整備を促進します。また、区域内の 緑地、空地の減少などに伴う雨水流出量の増加による市街地の浸水を防止するため、河川 計画と整合のとれた効率的な整備を促進します。 -21- 河川については、流域内の開発などに伴う自然の保水及び遊水機能の減少などによる雨 水の流出増に対応するため、河川改修など適切な治水対策を推進するとともに、自然環境 などに配慮した良好な水辺空間の整備を進めます。 【整備水準の目標】 下水道については、効率的・効果的な汚水処理を行うため、新栃木県生活排水処理構想 に位置づけられた下水道事業、農業集落排水事業、浄化槽整備事業などの適正な役割分担 のもと、下水道の全体計画に基づき整備を促進します。 河川については、河川の特性や地域の風土・文化・住民の意見などを反映させた河川整 備計画に基づき、効率性、経済性を踏まえながら、個性を活かした魅力ある河川の整備を 進めます。 ② 主要な施設の配置の方針 【下水道】 市街地については、生活排水などの汚水を適正に処理し、雨水による浸水を防ぐなど快 適な都市生活環境の充実を図り、将来的な土地利用と整合した下水道などの整備を促進し ます。整備にあたっては、烏山中心市街地部などの用途地域内における整備を優先すると ともに、効率的な施設整備により処理区域の拡大に努めます。 都市経営コストの軽減を図るため、長寿命化計画などに基づき既存ストックの適切な維 持管理や有効活用を図ります。 【河川】 那珂川は、本区域のシンボルといえる河川であり、関東最後の清流として広く親しまれ ていることから、歩道やサイクリングロードの整備により、ウォーキングトレイルの幹線 軸としての役割を持たせるなど、環境に配慮した整備を進めます。 また、荒川及び江川などの河川については、計画的な整備を図り、自然環境に配慮した 治水対策を推進するとともに、親水空間、散策路などを憩いの場としての活用に努めます。 ③ 主要な施設の整備目標 概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業は、次のとおりです。 【下水道】 下水道については、以下に挙げる地区において整備を促進します。 ○烏山地区中心部の中央地区 など 本区域における平成 32 年度末までの下水道処理人口普及率の目標を概ね 25%とします。 【河川】 荒川及び江川の計画的な整備を進めます。 -22- (3)その他の都市施設の都市計画の決定の方針 ① 基本方針 人口減少・超高齢社会や産業構造の変革、更には循環型社会への対応などによりライフ スタイルの多様化が進行することが予想されます。 これらに対応して、健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動を確保するために必要 な都市施設を都市計画に位置づけ、整備を進めます。 ② 主要な施設の配置の方針 廃棄物処理施設については、循環型社会の実現に向け栃木県廃棄物処理計画や市の一般 廃棄物処理計画に基づき、必要な施設の確保を図ります。 ③ 主要な施設の整備の目標 概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業は、次のとおりです。 ○廃棄物処理施設については、効率的な運営の確保と再生利用の促進を図るため、広域 的な観点での整備を促進します。 3-3 市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針 都市基盤が未整備のため土地の有効利用が図れない市街地においては、土地区画整理事 業などの導入を図り、道路などの都市基盤の整備改善を図るとともに、都市機能の更新、 土地の有効利用を進め、必要に応じ建築物の不燃化や耐震化により都市防災機能の向上を 図ります。 本区域においては、泉地区で土地区画整理事業が既に完了しています。今後は、JR 烏山 駅周辺地区や南那須市街地において、必要に応じ地域住民の合意形成を図りながら市街地 開発事業を検討します。 -23- 【都市施設構想図・市街地開発事業構想図】 -24- 3-4 自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針 (1)基本方針 本区域は、那珂川をはじめとする水辺や八溝山系の森林に代表される緑など豊かな自然 に恵まれた区域です。 これら本区域の各地に残された貴重な自然環境、自然景観を今後も積極的に保全し、次 代の子供たちに引き継いでいくとともに、これら水と緑の資源を有効に活用した都市づく りを進めます。 (2)主要な緑地の配置方針 ① 環境保全系統 ○本区域の代表的な自然空間である那珂川県立自然公園、八溝山系が連なる山間部、広 域的にも貴重な水辺空間である那珂川や地域の顔でもある荒川、江川などの自然環境 の保全に努めます。 ○本区域の景観を代表する農村風景や豊かな丘陵の森林などの自然環境は、後世に残す べき貴重な資源であることから、将来にわたって保全に努めます。特に、八溝県民休 養公園や自然休養村を中心とした里山については、緑地空間として積極的な保全に努 めます。 ○本区域の豊かで美しい田園環境を守るため、自然環境の保全に努めます。 ○特徴的な地形や景観として、小塙自然環境保全地域の保全に努めます。 ② レクリエーション系統 ○那珂川県立自然公園や八溝県民休養公園などをレクリエーション拠点として保全・活 用を図ります。 ○河川の親水施設、大桶運動公園、市街地の公園・広場などは、身近なスポーツ・レク リエーション活動、地域のふれあい・活性化拠点として有効活用を図ります。 ○観光拠点でもある龍門の滝周辺をレクリエーション空間と位置づけ、保全・活用を図 ります。 ③ 防災系統 ○地震、火災など災害時の避難場所として地区公園、総合公園などの適正な配置を図る とともに、これらの公園や学校などへ接続する道路を適切に配置し、避難路のネット ワーク化を図ります。 ○本区域は、山間部、丘陵地及び一部急峻な地形を有していることから斜面林の保全に 努めるとともに、急傾斜地などの安全を確保しつつ緑地保全などを図ります。 ④ 景観構成系統 ○那珂川や荒川、江川の水辺及び県立自然公園の八溝の山並み、田園地帯に広がる農村 風景などはふるさとの景観を構成する重要な要素であることから、これらの保全に努 -25- めます。 ○栃木県景観条例に基づく一定規模以上の建築物などの届出制度や、屋外広告物条例の 適切な運用などにより、“ふるさととちぎ”の美しい自然や、歴史・文化を活かした 良好な都市景観の保全・創造を図ります。 (3)実現のための具体の都市計画制度の方針 ① 公園緑地などの整備目標及び配置方針 日常生活圏や地理的条件、市街化の動向などを考慮し、身近な運動や休養の場及び地震 や火災時の避難地として、街区公園などを適正に配置します。 また、休養、休息、運動、教養、自然や文化とのふれあいを通じて、住民の健康の維持・ 増進、文化活動の普及のため、有機的連携を図りながら、総合公園などを適切に配置しま す。 【公園緑地など】 公 園 緑 地 の 種 別 配 置 の 方 針 街 区 公 園 近 隣 公 園 安全で潤いのある日常生活圏の形成に資するため、市街地規模、住区構成、分断要素等を踏 まえ、適切に配置します。 地 区 公 園 南那須運動場・荒川水辺公園及び清水川公園は、住民の交流拠点として充実を図ります。清 水川公園については、山あげ会館との一体的利用により、イベント開催等の観光拠点として 地域活性化に資するため充実を図ります。 総 合 公 園 大桶運動公園、緑地運動公園は、住民の健康増進と今後、増加する余暇活動に対応する屋外 スポーツ、レクリエーションの拠点として充実・拡充を図ります。 市街地環境や景観を守る上で重要な要素となっている丘陵部については、シンボルである烏 山城址、愛宕周辺及び自然休養村周辺について風致公園の指定を、河川部については、河川 そ の 他 の 整備に伴い、河川敷等を活用した緑地公園を検討します。 公 園 緑 地 等 また、鴻野山地内の長者ヶ平遺跡は、東山道の駅家跡として全国的にも歴史的価値の高い遺 跡となる可能性が高いことから、史跡公園としての位置づけを検討します。 ② 風致地区などの指定目標及び指定方針 優れた自然環境を保全すべき緑地については、風致地区などの指定を検討するとともに、 市街地及びその周辺部の重要な緑地については適切に保全し、良好な都市環境の形成を図 ります。 (4)主要な緑地の確保の方針 概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業はありませんが、今後は必要に応じ 緑地の確保について検討します。 -26- 【自然環境整備・保全構想図】 -27- 3-5 都市防災に関する方針 これまでの災害の教訓を活かし、被害を未然に予防する防災対策や、災害が発生した場 合であっても被害を最小限に抑える減災対策、速やかな応急対策、復旧・復興などにより、 災害に強い都市づくりを進めます。 また、栃木県地域防災計画や市の防災計画との整合を図りつつ、災害時における都市機 能の維持・確保、適切な都市施設の配置とそれらのネットワーク化、建物の耐震化、水害・ 土砂災害対策などを進めます。 本区域においては、土砂災害警戒区域などが存在することから、これまでの管理施設の 整備と併せ、災害の恐れがある危険箇所への情報提供を行い、住民の防災意識の向上に努 めるとともに、安全な土地利用を図ります。 更に、計画規模を上回る洪水や地震などの大規模災害が発生した場合にも壊滅的な被害 とならないように、危機管理体制の充実に努めます。 ① 防災拠点の整備とネットワークの形成 災害時における防災拠点間の連携や災害応急対策に必要な人員・物資の輸送などに資す る緊急輸送道路や減災ネットワーク道路を確保します。 都市における避難場所や防災拠点として機能する都市公園の適正配置や防災機能の確保 を図ります。また、必要に応じて河川緑地などの大規模なオープンスペースにも避難地と しての機能を持たせるとともに、避難路の整備を進めます。 災害時においても重要な役割を果たす都市施設やライフラインについては、その機能を 維持するため代替性・補完性を確保します。 人口減少・超高齢社会の進行を踏まえて、災害時における効率的な応急対策や復旧・復 興、生活や経済活動の継続性を確保するため都市のコンパクト化の推進や地域コミュニ ティの維持を図ります。 ② 都市の耐震化・不燃化 大規模災害発生時に防災拠点となる公共施設、道路や上下水道などのライフラインの耐 震化を推進します。また、再生可能エネルギー導入促進など災害時の生活維持や防災力の 向上を図ります。 都市の防災機能の向上を図るために、住宅などが密集する市街地において市街地開発事 業を実施するとともに、公園などのオープンスペースや避難路及び延焼遮断帯となる道路 空間の確保を図ります。 建物の耐震診断や耐震補強に対する助成などにより耐震化を促進するとともに、更新に 合わせた不燃化・難燃化を図ります。 空き家などを適切に管理・活用することにより、防災・防犯対策を促進します。 ③ 水害・土砂災害対策 台風や集中豪雨などによる浸水被害を低減するため、河川改修や遊水地の設置、下水道 -28- の整備、道路の冠水対策などを推進します。また、土砂災害の危険性の高い区域において は、砂防施設の整備や急傾斜地対策などを進め、住民の安全を確保します。 これらのハード対策と併せて、浸水想定区域・土砂災害警戒区域の指定や、ハザードマッ プの活用、洪水予報・土砂災害警戒情報の発表などのソフト対策を充実させ、住民の防災 意識の向上や警戒避難体制の強化を図ります。 更に、適切な土地利用を誘導するため、大雨時における浸水や土石流、がけ崩れなどに よる災害の発生の恐れのある区域については、新たな市街化を抑制します。 ④ その他 防災の観点を考慮した市の都市計画マスタープランの策定を促進することとし、県及び 市は住民の協力を得て、災害に強く安全性の高い都市づくりを進めます。 4. 本区域における都市づくりの実現に向けて 4-1 実現に向けての基本方針 「1-4 本区域の将来都市構造」の実現を図るため、これまで築いてきた既存ストッ クの有効活用を図りつつ、必要な方策を講じていきます。 また、拡散型の都市構造を助長する開発の抑制に努め、持続可能で暮らしやすい都市環 境の形成を図るため、エコでコンパクトな都市構造への転換を目指します。 4-2 都市づくりの実現化方策 (1)暮らしやすくコンパクトな都市づくり ① 日常生活に必要な都市機能の集積の促進 拠点地区への不足する機能の配置や拠点地区間の相互補完を考慮しながら、日常生活に 必要な都市機能の集積を図ります。 特に、拠点地区においては、都市基盤の優先的整備などを進めるとともに、市街地の無 秩序な拡大を抑制するために、用途地域外における適切な土地利用規制を検討します。 ② 街なかへの居住(集住)の促進 都市機能の集積と併せて、街なか(拠点地区)への居住を誘導し、都市機能や居住の一 層の集積による相乗効果により、都市の拠点性を高めていきます。 特に、商業機能と居住機能の複合化や高齢者向けの住宅など、多様なニーズに対応した 都市づくりを進めます。 ③ 空き家など既存ストックの有効活用 都市機能の集積や街なかへの居住を誘導するにあたっては、空き家や空き地、公的不動 産の有効活用を図ります。 特に、空き家の有効活用に向けた支援制度について検討します。 -29- ④ 都市の防災・減災機能の強化 安全で安心して暮らすことができるように、災害に対する予防や発生時の応急対策、復 旧・復興に資する都市施設の整備を進めます。 特に、防災拠点となる公共公益施設の耐震化や防災機能を有する公園、避難路などの都 市施設の整備を推進するほか、空き家などを適正管理するための制度について検討します。 【主な取組】 ○用途地域や特定用途制限地域を活用しながら、適切に土地利用規制・誘導を行います。 ○拠点地区を中心に、既存ストックなどを有効活用しつつ日常的な都市機能の集積や街 なかへの居住を促進します。 ○都市基盤整備においては、土地区画整理事業や地区計画などの活用について検討しま す。 ○都市計画道路をはじめとする都市施設、土地区画整理事業などの面的整備と連携した 用途地域の変更などにより都市機能の適切な誘導を促進します。 ○街区単位の土地利用と自然・歴史・文化・景観などの地域特性にあった都市づくりを 推進するため地区計画の活用を図ります。 ○郊外に立地している公共公益施設などについては、施設更新にあわせ拠点地区への誘 導を図ります。 ○大規模集客施設については郊外への立地を抑制し、用途地域内への誘導を図ります。 ○災害発生時における円滑な救助・救援活動及び緊急物資輸送のための代替性・多重性 のある道路ネットワークや避難所周辺道路の確保及び強化を図ります。 ○防災の観点を考慮した市の都市計画マスタープランの策定を促進します。 ○都市機能の集積や街なかへの居住を誘導するため、立地適正化計画の策定を促進しま す。 (2)誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり ① 拠点間を結ぶ公共交通ネットワークの充実・強化 誰もが安全スムーズに移動できるように、自動車交通に加え、鉄道やバス、デマンド交 通などの公共交通による地域特性に応じた交通ネットワークを形成していきます。 特に、公共交通については交通事業者との連携を図りながら、地域の特性やニーズに応 じた公共交通手段(コミュニティバス・デマンド交通など)の確保・充実に取り組みます。 また、公共交通の利便性を向上させるために、駅前広場の整備などを進めます。 ② 徒歩や自転車による移動性の向上 歩道や公共交通機関などのバリアフリー化や自転車の利用環境の充実を図り、安全でス ムーズに移動できる環境づくりを進めます。 -30- 【主な取組】 地区名 整備路線等 目 的 等 JR烏山駅周辺 公共交通機関 利用環境の充実 JR大金駅周辺 公共交通機関 利用環境の充実 (3)環境にもやさしいエコな都市づくり ① 環境負荷の少ない低炭素な都市づくり 拠点地区への都市機能の集積や集約、公共交通の利用促進を図ることにより、エネルギー 消費を抑制した効率的な都市を構築します。 また、地球温暖化やエネルギー需給の変化など地球規模での環境問題に対応した未利 用・再生可能エネルギーの有効活用、省エネ技術・情報通信技術の導入などによるエネル ギー利用効率の向上を図ります。 更に、都市部における緑化を推進するとともに、郊外部における農地や山林などの緑地 を保全し、持続可能で環境負荷の少ない低炭素な都市づくりを進めます。 ② 都市経営コストの低減 拠点地区への都市機能の再配置や効率的な利活用、公共投資の重点化、社会資本の長寿 命化などの適切な維持管理により、都市経営コストの低減を図ります。 特に、公共施設については拠点地区への集積に伴う再配置など効率的な整備を行うとと もに、長寿命化計画を策定し、適切な維持管理に努めます。 【主な取組】 ○集約型の都市構造への転換、公共交通の利用促進を図ります。 ○下水道施設などにおける未利用エネルギーや太陽光、水力、バイオマスなどの再生可 能エネルギーの活用を促進します。 ○社会資本の長寿命化計画を策定します。 (4)地域の魅力や強みを活かした都市づくり ① 恵まれた立地環境や優れた交通ネットワークを活かした産業の振興 宇都宮市から約 30km、東京から約 125km に位置する地理的優位性を活かしながら、烏山 和紙など伝統的工業に加え、既存工業団地への機械や電気工業などの産業集積、稲作や畜 産を中心とした農産品の生産などにより、産業の振興を図ります。 特に、物流拠点や高速道路 IC へのアクセス道路の整備などにより、効率的な物流ネット ワークを構築するとともに、工場跡地も含め産業団地への工場などの集積を図ります。 -31- ② 地域資源を活かした観光の振興 那珂川や荒川、八溝山系の山々などの豊かな自然環境や、山あげ祭、塙の天祭及び烏山 和紙といった豊富な歴史・文化資源を活用しながら、県内外との交流人口を増加させ、地 域の魅力や活力を高めていきます。 特に、公共交通を活用した観光地へのアクセス性、周遊性を向上させるとともに、風致 地区や景観地区などを活用しながら、豊かな自然や景観、歴史・文化などの地域資源の保 全と活用を図ります。 (5)医療や福祉、産業、環境など各種施策と連携した都市政策の展開 医療や福祉政策、商工業・農林業などの産業政策、教育や文化政策、環境政策、交通政 策などと連携し、店舗や病院などの多様な都市機能の集積や産業振興・企業誘致、地球環 境の保全、都市景観の形成などを進める総合的かつ戦略的な施策展開を図ります。 (6)多様な主体と協働・連携した都市づくり 地域のニーズに応じた都市機能の集積や都市的サービスの提供を将来にわたって行うた めに、積極的な住民参加を促し、適切な情報の提供を行いながら、住民、NPO、企業、大学、 行政などの多様な主体と協働・連携した都市づくりを進めます。 更に、それぞれの役割と責任を明確化しながら、一体的に事業を推進していくための仕 組みづくりや、主体的に都市づくりを進める人材育成に取り組んでいきます。 (7)都市の評価分析 都市計画基礎調査などにより都市の現状や課題の把握を行うとともに、客観的な評価指 標などを用いた都市の評価分析を行っていきます。 -32- 那須烏山都市計画区域の将来都市構造イメージ図 (集約型都市構造イメージ図) 【拠点地区形成の考え方】 「とちぎのエコ・コンパクトシティ」の実現を図るために、都市機能の集積や街なかへ の居住を促進する「広域拠点」「地域拠点」「生活拠点」の具体的な区域設定について検討 します。 -33-