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B造影MRIの最近の話題
画│繁診断の進歩 709 sublractiontechnique.Radi()1()gy.224: 145-151, sionimaging.EurRadiol.22:2729-2735,2012. 5) IkedaY,YoshimuraN,HoriY,HoriiY, Ishikawa 2002. 2) SasakiY,AbeK,TabeiM,KalsuragawaS, H,YamazakiM,NotoYall(IAoyamaH:Analysis KurosakiAandMatsuokaS:Clinicalusefulness ofdecreaseinlungperfilsionbloodvolumewith oflemporalsubtractionmetho(l inscreening(ligi- occlusiveandnon-occlusivepulmonalyembo- talchestradiographywithamobilecoml)uted radiographysystem.RadiolPhysTechnol.4: lisms.EurJRadiol.83:2260-2267,2014. 6)赤羽正束,大友邦:他i像II}構成法の違いによ る特徴と低線l,t搬影. i山i像診断32:552-559, 84-90,2011. 3) Free(ImanMT,LoSC,Seib(JIJCan(IBI・omley 2012. CM:Lungnodules: improve(ldeleclionwilhsoli- 7)PontallaF,DuhamelAPagniezJ,mohrT,Faivre warethatsuppressestheriban(lclavicleonchest JB,HachullaAL,RemyjandRemy-JardinM: radiographs.Ra(liology.260:265-273,2011. Chestcoml)utedtomograI)hyusingiterative 4) LiF,EngelmannR,PesceL,ArmaloSGIIIand reconstrucUoIIvsnltere(lbackI)rOjection (Part2): MacmahonH: Improveddetecti()11offOcalI)nell- imagequalityoflow-doseCTexaminationsin moniabychestradiographywithbonesul)1)rcs- 80patienls.EurRadio1.21:636-643,2011. 2女性骨盤領域におけるMRI診断の現状 麻谷美奈 放射線医学 3肝E()B造影MRIの最近の話題とピットフオール 高野 徹 新潟大学I民伽学総合病院放射線診断科 Diagn()sisofHepaticLesions()nGadoxeticAcid-enhancedMRImaging: Currentt()picsandPitfallsofRadiologicalFindings '1、()hruTAKA%() I)epartm(wI()fDmgTIos成心dioノ○幻4N疏融畑 Medi"/andDenlaノHoSpilaノ 要 旨 肝特異的造影剤であるG(l-EOB-I)TPA(以 ドEOB)を使川した造影M皿により,肝細胞 州の診断能は桔段に向_'九,以前では画像で柵出されなかったような前癌病変やlll期肝細胞猟 が数多くみつかるようになった.憧性肝疾忠において,EOB造形MRIの肝糺ll胞朴│で低信}ナを示 710 新潟咲'1と会雑誌第129巻第12号平成27年(2015) 1211 す病変は高率で肝細胞州とされるが,肋脈門脈短絡や脂肪没洲など,非1,蛎性病変でも肝糺││胞 机で低信号を示すものもあり注意が必要である. また, 111:細胞蝋のなかでも肝細胞相で低信号 を示さない病変があるのもわかってきた.T1強調画像で商l,;号を示すl11:細胞猟は,造影前から 信号が商く, 111:糺l1胞lllでの造彬剤取り込み低下の評il1iがしにくく,低信号として摘出されない 瓶変もあり注意が必要である. また近年EOBのトランスポーターの災糀発現を示す肝糺l111世猟 は,肝細胞相で1I.5偏号を示すことがわかってきた. こういった111:細胞ルWは悠性庇が低い傾向に あり,サブタイプの可能性が提咄されている. キーワード:肝細胞蝋,G(1-EOB-DTPAMm 鑑別疾忠として雌も砿要な病態のひとつに動脈│肌l はじめに 脈短絡(以下A-Pシャン│、)がある.EOBが登 肝特異的造影剤であるG(1-EOB-・DTPA(以 場する以前のlll:MII胞蝿の診断は, ダイナミック 下EOB)は,通常のMmの造影剤であるG(I- Crの、│菟術相におけるwash()ut, もしくは肝肋脈 DTPAにEOB(eth()xybellzyl) ノIfが付〃llしたもの 造形下CT(以│、.CTrA)の第2相におけるコロナ である. EOB隙注20分後に樅影すると (Ill:細llu 様淡染をもって肝糺ll胞撫と診断していたが,微小 相),正湘lf細胞に造影剤が取り込まれ,多くの1K な病変に│11してはA-Pシャントとの鑑別は│水│雛 癌は取り込みが低下するので,肝臓と1K癌のコン であった. しかし, EOB造影MRIの肝糺ll胞相で トラストがlf1上し,肝細胞機能を反映した画像が は肝細胞州は低偏↓},A-Pシャントは信号変化 えられる. この造影剤に綴j淵によりlll:MII胞獅の〃 を示さないことから, i'lj=行の鑑別は多くの病変で 〈I診断能は格段に向上し,悩性lll:疾患において肝 容易にできるようになった(図l). 細胞相で低信号を示す充実性結節は商率でlll:細胞 また肝細胞HIで低偏り)を示す乏血性病変が商頻 蝿と診断できる.動脈優位NIで商信号を示す多lll 度にみつかるようになり.慢性肝疾悠において肝 性肝細胞ル輔は,生物学的に悪性と考えられるので 細胞州で低信号を示す充実性ll亜瘤は,当初はほと 治旅の対象となる.一方肋脈似位N1で低もしくは んどがlll:MII胞撫とされていたが,簸近になり前撫 群信号を示す乏血性III:MII胞獅の多くは, !│砿秘をき 病変や非II蛎性病変も含まれることがわかってき たす可能性は低く,経過観察が可能な病変である. た. {ijl:班の報告によればl),肝細胞相で低信号 このように,肝EOB造影MRIは肝糺ll胞癌の診療 を示す乏Ⅲl性結節で糸II織診断がついた病変をみる の中心となっているが,近年IH:MII胞NIで低偏号を と, 80%以上が肝糺ll胞撫で10%くらいに'l!−低 示す非II!脚蕩性病変, lll:細胞棚で低信号を示さない 分化肝細胞撫を含むとされる.臨床のjルでは肝細 肝細胞癌といった非典型的な病変もかなりの頻度 胞相しか柵I')されない病変も高頻度でみられる でみられることがわかってきた.今Inl,EOB造影 が,他の1曲i像ガイド l,.でのアプローチができない MRIの肝細胞癌の診断の現況と診'新上注意を要 ため,生検や手術が│イ《l雌な症例が多い. こういっ する病変について述べるとともに,雌近の話題に たll織診断が附雌なりI)j変もふくめると,かなり多 ついてもふれることとする. くの境界柄変や分化庇が伺い乏血性lll:細胞猫がみ つかるようになったと椎illllされる.治旅方針を立 EOB造影MRIの肝細胞癌の診断の現況 てる上で多Im化する頻哩とリスクが亜喫になる が,近年の乏lil性結節の多lil化に関する報f'fによ 肝EOB造影MRIのlll:MII胞朴│はすぐれた淡度分 ると2)−5),多lil化率は11.9-35.1%,多lll化のリ 解能を有するため,微小な多lll性病変の診断能は スクIAI子は1K甥僅15mm以上,脂肪変性を有す 向上した.悩性肝疾忠の場合,多血性肝細胞焔の る,拡散強調1曲i像でI矧喬号,T2強調画像で商偏号 IIIi像診断の進歩 f今■I 魎。1 711 国 且 "K 万β顧 鴎唾 心 ザ 夢3 麹 駒 11 黙遵 評? ロ 雨 叩 画 声 ● β P〃 串令 十: ざ一心翫一﹃ ﹃マ Lヨヒ■ニーー−.F一P 熱 ﹃画酉ごロロ画面、︲も * 1 L 4j 羽 ■ 図1 a) III:動脈造影下CT(CrA)では多lil性瓶変が多発してみられ,主病巣(=)と微小な多血性病 変(→)が多発してみられる. l))肝細胞相では主病巣は低信号を示し(‐)肝荊ll胞猫と診断でき,微小な多lil性病変はいずれ jI1:細胞相では信号変化はなくA-Pshuntと診断できる. を示すとされる. リスク因子のない肝細胞相での ない肝細胞癌である.T1強調画像で高信号を示 み描出される結節に関しては多血化率は16.7% す結節は肝細胞相での信号低下の評価が難しく, とされる6). 肝細胞癌でも低信号にならない場合がある. 日常 診療で比較的よく遭遇する注意すべき病変として EOB造影MRI診断におけるピットフォール A-Pシャン│、,脂肪浸潤,不明瞭化する病変,T1 強調画像で高信号を示す結節について述べること EOB造影MRI診断におけるピッl、フォールと とする. してまず考えられるのは肝削11胞棚で低信号を示す 非l匝傷性揃変,及び肝細胞イ│:│で低信号を示さない 1 . A-Pシャント 肝糺1l胞癌である.A-Pシャント,脂肪浸潤, 1梛脈 A-Pshul1tは通常正常ル│:MI1胞が存在するため, 還流異常,門脈閉塞性胆管炎や胆管閉塞,肝動脈 肝細胞相では周囲肝実質と等信号を示す点で)'1:細 化学塞栓療法やラジオ波焼却,照射といった治搬 胞癌と雛別できるとされていた. しかし,近年 後,炎症性偽l匝瘍が報告されている7).また,経 A-Pシャン│、が肝細胞相で低信号を示す場合も 過中に縮小もしくは不明瞭化する原因が証明でき あると報告がされるようになった. SunIYらの ない病変もしばしば経験する.次にピッl、フォー 報告では2%8),本杉らの報告では肝動脈造影下 ルとして考えられるのは肝削ll胞相で低信号を示さ Crにおける多血性偽病変(多くはA-Pシャン 新潟医学会雑誌第129巻第12号平成27年(2015) 12月 712 凸 A 塾 』 r 度 I b W 坐 皇 f ググ餓心 廟 凸可I日 蹄0 1 凸 'l b! I T 箔 −− ,. .■■、岸−.‐ "』 型 図2 慢性肝疾怨を有する症例でS8に肝細胞相(a)で低信号を示す病変があり,拡散強調画像(b), T2強調画像(c)では高信号であった.乏血性病変であったため経過観察となったが, 8ヶ月後の 肝細胞相では消失した(d). 卜)のうち15%で肝#IlI胞相で低信号を示したと であったり,形状がいびつであったり喫状であっ している9). さらに本杉らは,肝細胞相における た場合はA-Pシャントの可能性を考える. 多血性偽病変と周囲肝実質の信号比を測定し, A-Pシャントよりも肝細胞猫のほうが有意に低 2.脂肪浸潤 いとしている.すなわち,A-Pシャントのほうが 脂肪肝では肝細胞相でのEOBの取り込み低下 周囲の正常実質に近い信号を示す.肝細胞相で低 があり,脂肪浸潤による肝細胞機能障害が原因と 信号を示す多血性病変を見た場合,淡い低信号域 考えられる10)11) また,SukKeuYeumらは、限 画像診断の進歩 一宮 戸 -"-= 曲 一 ︾ 可 可§ 1 q ■ 一一 一 = ﹃ 妄﹁︲ 一 _d) r’’ ﹄BIB■■F I4当二一一一一 ?|和や 一 彦邑 岫届14 ■川W 源ぞ ぬ=冥口 6) 1 b) L , a卓w668岨皿晒Ⅲ出■704刷肌刷 『 ■■﹃︼■ ロ■ −毎J ■ a)!" 四 零Ⅶ、 衙 713 一 ぃ 4 " 可 LDQ − FLI 可 ⅡI l や 1 ぅ 1 l j L T 一 一 F' l@ j」 │ "一画 . 一■服蜘一J・伽↑ リロ 堂■17 巳 1 雨『 ﹄r︲ 11 F LOV , p lll j“ Wr l I ’ ’ '一 陸 ー L 図3 肝外lllll区に'n強調画像で高信号(a),動脈優位相で高信号(b)を示し,多血性結節と考えられ るが,肝細胞相では等信号となっている(c).アルコール性肝硬変の症例であり,過形成結節が疑 われ経過観察となった1年後増大し,肝細胞相で低信号を示すことから肝細胞猫の診断となった (d-f) 局性脂肪沈着の77.8%が肝細胞,II: Iで低信号を示 が,他の10結節は原因不Iリ1であった腫瘍性病変 し,このうち57%が類円形を示したと報告して との鑑別は困雌であるが,このような原因不Iリ1で いる12). このような病変は脂肪を含む肝糺ll胞癌 縮小,消失する病変も存在することを認識すべき との鑑別は困雌であり,他のモダリティーと合わ である. せた評mliが必要である. 4. Tl強調画像で高信号を示す結節 3.縮小もしくは不明瞭化する病変 T1強調画像で高信号を示す結節は肝細胞相で 肝糺ll胞相で低信号を示す乏血性病変を経過観察 低信号となるかどうか評illiが難しい病変をしばし すると,縮小もしくは不明瞭化する病変にしばし ば経験する(図3).T1高信号結節72結節を検討 ば遭遇する(図2).まとまった報告はないが,自 したところ,44/72結節(61%)が肝細胞癌もし 験例によると111結節中16結節(14.4%)にみ くは経過観察後肝細胞癌となる病変であった.こ られた. このうち6結節は脂肪浸潤と考えられた の中で肝細胞相で低僧号を示す病変は22結節し 新潟医学会雑誌第129巻第12ツナ平成27年(2()15) 12)1 714 かなく, lll:細胞癌もしくは将来肝細胞癌となる病 ofhypovascularhepaticnodulesrevealingno 変の半分は肝細胞相で低信号を示さなかった.T1 gadoxeticaciduptakeinpatientswithchronic 高信号結節は肝細胞相で低信号を示さなくても恢 liverdiseaase・JMagnResonlmaging34:88-94, 亜な経過観察が必要である. 2011. 4)Akai,etal:FateofhypointenselesionsonGdEOB造影MRIの最近の話題 EOB-DTPA-enhancedmagneticresonance imagingEurJRadiol81:2973-2977,2012. 近年EOBの肝細胞への取り込みにはOATP8 というトランスポーターが関与しているのがわか ってきた13).組織の分化度が低くなるほど OATP8の発現は減少し,分化度が低くなるほど 5)KimYKetal :Hypovascularhypointensenodules onhepatobillialyphasegadoxeticacidenhanced MRImaginginpatienlswithcilThosis:Potential DWimaginginpre(lictingprogressiontohyper- 肝細胞NIの信号が低くなる.一方肝細胞相で高信 vascularHCCRadiology265:104-114,2012. 6)伊東ら:Gd-EOB-DTPA造営MRI肝細11"1 号を示す肝細胞癌も5−15%でみられ, こういっ で低信号を呈する乏1il性結節の多血化率とその た病変はOATP8の発現が異常に増加しているこ 肱l子日独医報58巻2号:34-41,2013. とがわかってきた13).肝細胞相で高信号を示す 7)谷本ら:代表的な脈瘤性病変のEOB・プリモ 肝細胞癌の臨床的な特徴として,肝細胞相で低信 ビス│、造影MR画像 号を示す肝細胞癌と比較して分化度が高く,腫瘍 66−72, マーカー淡度が低い傾向にあり,生物学的に悪性 度の低いsubtypeの可能性が捉咄されている. 日独医報54巻2号: 8) SunHY,etal:Gadxeticacid-enhancedmagnetiC resonanceimagingibrdiltrenciatingsmallhepatocellularcarcinomasfromarterialenhancing ま とめ 肝EOB造影Mmにより,微小な多血性病変や pseudolesion:specialempahsisonhepatobilialy phase.InvestRa(liolFeb45:96-103,2010. 9)UMotosugietal:DistinguishingHypervascular PseudolesionsoftheLiverh・omHypervascular 乏血性病変の診断能が向上したが, −.方で肝細l胞 HepatocellularcarcinomaswidlGadoxeticAcid- 相で低信号を示す非腫瘍性瓶変や等から高信号を enhancedMRImaging.Radiology:Volume256: 示す肝荊ll胞描も存在し,診'析には注意を要する. 肝細胞相で高信号を示す肝細ll幽撫は悪性度が低い 傾向にあり, subtypeである可能性がある. Nol-Julyl51-158,2010. 10)ガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA) 肝細胞相で取り込み低下を認めた限局性脂肪1II: の1例中野ら 参考文献 l臨床放射線Vol55No.3:460- 464,2010. 11)坪山ら:Gd-EOB-DTPAの非腫瘍性取り込み 1)泉ら : Gd-EOB-DTPA造影MRIによってみ られた肝癌診療の変化及び今後の助向日独恢 報58巻2号:6-13,2013. 低下についての検討鋪681ul日本放射線学会 総会抄録集:S287,2009. 12)SukKeuYeum,elal :Focalfatdepositionatlivcr 2)KumadaT,etal:Evolutionofhypoinlensehepa- MRIwithgadbenatedimenglumineandgadxetic tocellularnodulesobservedonlyinUlehepatobil- acid: Quantiativeandqulitativeanalysis. liaryphaseofGdvetatedisodium-enhanced MRI.AJR197:58-63,2011. 3)MoIosugiU, IchikawaT,SanoK,etal:Outocome MagneticResonancelmaging31:911-917,2013. 13)北尾ら: Gd-EOB-DTPA造影Mm肝細胞造 影相で高信号を呈する肝細胞癌(OATP81i叶性 肝細│胞撫) :肝胆11W65:1133-1139,2012.