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Page 1 古典古代社会の救済思想及び制度の研究 一 はじめに 諸文明の

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Page 1 古典古代社会の救済思想及び制度の研究 一 はじめに 諸文明の
はじ め に
河
古 典 古 代 社 会 の救 済 思 想 及 び 制 度 の研 究
一
村
将
直
諸 文 明 の歴 史 の初 期 に溯 って、 社会 制 度 や人 間 自 体 の究 明 を 試 み る こと は、 現 在 を 生 き る 我 々 にと って重 要 な 意
味 を 持 つこと は言 う 迄 も な い。 何 と な れば 、 制 度 そ のも の の段 階 的 な創 造 的 発 展 (ヘシ オド スや プ ラ ト ソの如 く 歴
史 を カ オ ス状 態 への後 退 と 考 え る見 解 も あ る) に於 け る、 諸 現 象 の変 化 を よ り詳 細 に検 討 す る こと で、 そ れ ぞ れ の
社 会 に共 通 す る人 間 の精 神 的 ・社 会 的 ・経 済 的 な 営 み を そ こ に発 見 す る か ら であ る。 歴 史 を通 じ て幾 度 と なく 繰 り
返 され てき た闘 争 に し ても 、 同 じ 様 な 原 因 ・動 機 で以 って、 似 た様 な結 末 を造 り 出 し て いる。 時 に ﹁正義 ﹂ と いう
抽 象 的 観 念 に支 え ら れ て、 支 配 構 造 の逆 転 も 生 じ るが、 問題 は事 件 の要 因 を形 成 し て いる人 間 自 体 の、 社 会 的 関 係
のあ り方 に求 め られ る。 個 々 の社 会 的 意 識 の状 態 によ って、 歴 史 的 に早 い段階 で諸 問 題 に直 面 し た人 々 の原 初 的 な
対 応 策 は興 味 深 く 。 ま た、 所 謂 ﹁古 典 古 代 ﹂ の賢 人 達 の諸 見解 に は、 今 日 にあ って も尚 多 く の研 究 者 に光 を投 掛 け
て いる内 容 を包 含 し て い る。
一九
本 論 文 は、 時 代 的 に は古 代 ギ リ シ ア ・ロー マを 焦 点 と し てお り、 そ れ 故 地 理 的 にも 地中 海 世 界 に 限定 し て いる。
古典古代 社会 の救済思想及び制度 の研究
佛歡大學大學院研究紀 要第 十七號
二〇
そ こ で は、 人 間 が 社 会 的 関 係 の中 で産 出 し てき た 階 級 的 構 造 ・差 別 の状 態 や、 貧 困 化 の問 題 を取 り上 げ て、 古 代 社
会 が これ ら にど の様 に対 処 し、 あ る い は法 的 な 権 利侵 害 を如 何 に し て 回避 し てき た か を、 全 般 的 に人 問 の生 存 に関
係 す る阻 害 の状 況 か ら の救 済 施 策 と し て促 え て いる。 ま た、 合 わ せ て、 人 間 文 化 の諸 側 面 を 政 治 ・経 済 ・宗 教 等 の
古 代奴 隷 制 社 会
諸 分 野 か ら 考 察 し、 古代 社 会 の全 体 的 な把 握 を試 み たも の であ る。
二
古 代 社 会 に於 い て は、 一般 に比 較 的 閉 鎖 的 な 血 縁 集 団 の内 部 で伝 統 的 に 継 承 さ れ てき た慣 習 や生 活 構 造 から 、 よ
り開 かれ た地 域 的 文 化 の形 成 段 階 へ移 行 す ると いう 社 会 的変 動 が 見 ら れ た。 そ れ は個 々 の価 値 体 系 が 基 礎 と な って、
漠 然 と し た浮 動 的 な も のが 確定 的 な も の へと変 化 す る過 程 でも あ る。 それ 迄 古 代 社 会 は、 宗 教 的 ・形 而 上 学 的 ・科
学 的 な も のが 混 然 一体 と な って、 人 間 の生 活 向 上 の目的 意 識 を実 現 し よう と いう 社 会 的 諸 力 を 生 み出 し てき た 。獲
得 経 済 か ら 生産 経済 への移 行 と いう 薪 石 器 革 {tt Neoli
thi
c rev°篝 凶
島 ーボ そ の 産 物 であ る・ し か し ・ や が て
様 々な試 行 は明 確 な機 能 分 化 を経 験 し、 近 代 文 明 を 構 築 す る幾 つか の要 素 を 次 々と 崩 芽 さ せ てゆ く。
﹁古 典 古 "﹂ classi
calant
i
qui
ty (す ぐ れ た 古 典 を 生 んだ 時 代 の意 で、 古 代 ギ リ シ ア ・ロー マの総 称 ) の時 代 、
地 中 海 沿 岸 で は、 諸 民 族 の雑 多 な 社 会 集 団 の相 互 の関 係 や 異 文 化 の交 流 を 土 台 に、 利 害 関 係 の葛 藤 を は ら み なが ら、
地 域 的 統 一体 、 即 ち群 、 州 、 国 家 (ポ リ ス 註 却の) が 漸 次 形 成 さ れ て いる。 次第 に拡 大 す る共 同 体 組 織 と ﹁個 ﹂ の
意 識 の発 達 は、 村 落 共 同 体 を 変 容 さ せ 、 ポ リ ス社 会 にあ って は各 人 の利 益 を調 整 す る た め の何 ら か の制 度 を 構 じ る
必 要 を 生 じ さ せた 。 つま り、 ポ リ ス の構 成員 の生 活 利 益 の保 守 的 行 動 と し て、 権 利 や 自 由 あ る い は平 等 と い った 諸
意 識 が前 面 に 押 し 出 さ れ てき た のであ る。 そ の結 果 、 政 治 への強 い関 心 と 要 望 から 社 会 的 参 加 が 計 ら れ、 ま た法 的
な 社 会 秩 序 の整 備 、 そ の他 の知 的 ・文 化 的活 動が 活 発 化 し て、 人 間 生 存 の諸 条 件 の確 保 を 指 向 す る 制 度 的 基 盤 が醸
成 さ れ る の であ る。
と こ ろが、 種 々 の諸 制 度 を支 え て いる社 会 構 造 そ のも の はと 言 う と 、 極 め て勢 力 的 関 係 の確 定 し た厳 格 な る 階層
的支 配 の形 態 を 示 し、 下部 諸 集 団 を土 台 に、 弱 者 (敗 者 ) に対 す る抑 圧 と 搾 取 を 正 当 化 す る こと で成 立 し て いる と
いう特 殊 な 性格 を有 し て いる。 対 外 的 な国 家 間 の利 害 紛 争 や 先 住 民 征 服 、 及 び そ の統 治 な ど 、 野蛮 に獲 得 さ れ た戦
利 品 は、 物 に 限 らず 人 間 (被 征 服 民 ) 存 在 自 体 を 制 度 的 にあ る い は私 的 に所有 し て 、 社 会 の経 済 的 基 盤 を 主 に担 わ
さ せ て いた のであ る。
これ が 所 謂 ﹁奴 隷 制 社 会 ﹂ であ り 、 古 代 社 会 全 般 に見 ら れ た 極 端 な 差 別 的 人 問 阻害 の状 況 であ る。 奴 隷 (ド ウ ロ
ス き2。り) の概 念 は、 コ 種 の生 あ る所 有 物 ﹂、 生活 のた め の存 在 (ア リ スト テ レ ス ﹃政 治 学 ﹄ 一二 五 三 ・b ・三
二) であ り、 道 具 や 動 産 の 一種 と し て、 所 有 の客 体 た る ﹁物 ﹂、 生 産 用 具 の 一部 類 と し て利 用 さ れ て いた 。
し か しな が ら 、 奴 隷 の価 値 は こう した ﹁物 ﹂ と し て の概 念 自 体 よ り も、 寧 ろ人 間 と し て の能 力 の上 に設 定 され て
おり 、 判 断 力 や 一定 の知 識 技 能 の所 有 こそ が 奴 隷 に そ の価 値 を付 与 し て い る の であ る。 一方 で は徹 底 し た人 格 否 認
ヘ
へ
を さ れ な が ら 、 他 方 利 用 上 は家 畜 以 上 の優 れ て 人 間 特有 の能 力 に依 存 す る、 使 役 す る側 (主 人 動零ま 選 り
) に絶 体
的 権 能 が 帰 属 す る 使 用 価 値 の源泉 だ と 言 え よ う。 と こ ろが 、 奴 隷 は物 的 使 用 価 値 を 持 った 人 問 であ るが 故 に、 使 用
者 はそ の取 り扱 いに常 に 意 を 注 が な け れば な ら な か った こ とも 事 実 であ る。 プ ラ ト ソ 自渇警 § は ﹃法律 ﹄ の中 で
ヨ ﹁彼 ら のた め だ け で な く、 よ り い っそ う自 分 た ち自 身 の た め に、 彼 ら に思 いや り を 示 し、 正 しく 扱 ってや る こと で
二 一
(﹃オ デ ュ ヅ セ イ ア ﹄ 二 二 ・四
す 。﹂ (七 七 七 .D .二∼ 三 ) と 述 べ て お り 、 奴 隷 に 対 す る 暴 力 的 行 為 に は 反 対 を 唱 え て い る 。 し か し 、 そ れ 以 前 の
ホ メ ロス 、
、
O爻耄 。の の 時 代 に は 、 主 人 に 対 し て 不 誠 実 な 奴 隷 は 残 酷 に 殺 さ れ て い た
古 典 古 代 社 会 の救 済 思 想 及 び制 度 の研 究
佛教大學大學院研究紀要第十七號
二二
(
4)
六五 以 下 )。 主 人 は奴 隷 を所 有 し、 奴 隷 労 働 を通 し て生 活 必 需 品を 確 保 す る目 的 に使 用 す る上 で、 そ の労 働 力 に全
面 的 に依 存 す る限 り 、 彼 等 に対 す る 扶養 を 軽視 す る わ け に は いか な い。 奴 隷維 持 に は、 や は り 投下 資 本 が 必要 であ
る し、 奴 隷 も ま た 資 本 と な る わ け だ が 、 これ ら を 死 を 以 て喪 失 し て し ま って は何 に も な ら な い のであ る。 一方 奴 隷
達 に し て みれ ば 自 分 達 の待 遇 の質 的 水 準 の上 下 は常 に主 人 の主 観 的 判 断 に頼 ら ざ る を 得 な い状 態 に あ る。 .
フ ラト ン
の言 に見 る如 く 、 主 人 の奴 隷 に対 す る 慈 悲 息躍& 曾 § へ黛 の観 念 に つ いて述 べ る と、 解 放 を 許 可 す る と いう 特 別 の
場合 を除 いて、 隷 属 的 関 係 を維 持 し て い る範 囲 に於 い て は、 ほと んど エ ロス 書e謎 の 的 行 為 の結 果 と し て のそ れ で
あ った と 理解 さ れ る。 帝 政 ロー マで は、 厳 格 な法 的 身 分 に緊 縛 され て奴 隷 達 は虐 待 も さ れ たが 、 これ に比 較 す れ ば
(5)
ア テ ナイ 人 の奴 隷 に対 す る接 し方 が 、 比 較的 恩 恵 的 であ った と は 言 え る。 タ ッカ ー ↓° ○° Tucker は、 ﹁奴 隷
に獨 す る人 道 愛 が 、 ア テ ー ナイ 人 の場合 よ り優 れ て ゐ た 民 族 と て は、 唯 ユダ ヤ人 種 だ け であ った。﹂ と 述 べ、 貴 族
と 奴 隷 の関 係 が 妥 協 的 ・協 調 的 だ った と 評 価 し て いる。
(6)
古 代 ギ リ シ ア社 会 の重 装 歩 兵 市 民 層 は、 大 な り 小 な り の規 模 で斯 く の如 く奴 隷 を使 役 し、 独 立自 営 の農 民達 は自
給 自 足 の家 内 生 産 に携 わり 、 不 自 由 人 の労 働 によ る 経 済 活 動 に従事 し て いた。 これ を オ イ コス ミ零り 経済 と 言 う。
エ ル ガ
ス テ ー リ オ
ソ
(7 )
民 主政 期 ア テ イ ナ で は、 購 買 制 度 のも と 奴 隷 労 働 力 は広 く 農 業 ・手 工業 ・鉱 業 な ど の分 野 で利 用 さ れ、 国 家 の自
己需 要 の為 の国 有 奴 隷 製 作 所 書k§ 電 ミミ の発 展 な ど が 見 ら れ る。 公 共 事 業 そ の他 の非 熟 練 奴 隷 労 働 に よ る経 営 に
つ いて、 ウ ェー バ ^ M ax W eber は次 の様 に説 明 し て いる。
C >
コ 般 に 大 経営 に お け る奴 隷 の使 用 は、 ただ 土 地 が 良 質 であ って奴 隷 市 場 の価 格 水 準 が 低 いば あ い に の み、 実
際 に相 当 の利 益 を あげ る ことが でき た。L
しか し、 現 実 の奴 隷 価 格 の変 動 は激 し く、 例 えぽ 戦 争 に伴 い大 量 の奴 隷 が 供 給 可能 な 時 に は 四 ド ラク マイ だ った
も のが 、 平 和 時 に は供 給 減 のた め数 百 ド ラ ク マイ にも 上 昇 す る。 一方 、 肉 体 労働 を中 核 とす る 大経 営 で は比 較 的 奴
隷 の死 亡 率 も 高 く 、 潤 沢 な る供 給 確 保 が 必 要 と な る。 つま り、 斯 か る経 営 は 明 ら か に奴 隷 市 場 の供 給 に左 右 され る
限 界 を 持 って いた 。 長 期 に渡 る 供 給 停 止 の場 合 に は奴 隷 に家 族 を も た せ て、 奴 隷 資 本 の再 生 産 を 彼 等 に転 嫁 し た形
でな さ れ た の であ る 。
さ て、 次 に古 代 ロー マの奴 隷制 を簡 単 に 説 明 し て お こ う。 ロー マは共 和 政 期 、 強 大 な 家 父 長 権 社 会 のも と 家 内 奴
ξ
ぎ
ωの ﹃
内聾
は、韲
飜
し て耋
蠏夥
を形 成
と焚 。した大規模な農叢 隷制
者が土地を籍
霆 書 α言
を見 ると・ 幕
髴
隷 制 を 発 展 さ せ、 異 民 族 (シリ ア、 ユダ ヤ、 ギ リ シ ア、 エジプ ト、 ガ リ ア等 ) 征 服 に よ る領 土 の拡 大 に件 って奴 隷
た点 にある。 ア ・ピ ア三
が漸増した。ギリ シアに対する ・← 奴 隷 の嬢
が発譬
し、 農 業 生産 の労働 力が 従 来 の自 営 農 民 に代 わ り奴 隷 労 働 が 主 力 と な って い った こと が 分 か る、 古 代 ロ
ー マの奴 隷
servos,servos は公 共 奴 隷 と 私有 奴 隷 に 大 別 さ れ、 前 者 は 主 に家 事 、 育 児 、 商 工業 、 医 師 、 文 人 と し て使 用 さ れ 、
後 者 は 町奴 隷 fami
l
i
a Urbana と 田舎 奴 隷 fam i
li
a rusti
ca と に分 け ら れ て主 に牧 畜 ・農 業 に使 用 さ れ て いる。
奴 隷 は総 体 的 に経 済 基 盤 を形 成 す る生 産 労 働 の担 い手 であ り 、 しか も 彼 等 は児 童 や 老 人 の扶 養 、 あ る い は病 人 看 譲 、
家事 そ の他 の諸 サ ー ビ スの提 供 者 でも あ った。 勿 論 、 そ れ は 一般 的 に主 体 性 と は無 関 係 に、 法 規 範 の身 分 的 拘 束 力
に支 配 さ れ、 使 用者 と の友 愛 的 関 係 を望 め な い限 り に於 て、 ほと んど 外 部 か ら の強制 力 を 以 って引 き 出 さ れ る性 格
のも のであ る。
以上 の様 に、 奴 隷 は隷 属 関 係 の支 配 の内 で、 衣 ・食 ・住 を 最 低 限 確保 し て いく た め に は、 生 涯的 に被 支 配 を屈 辱
二一
ご
的 であ っても 受 け 入れ 、 支 配 者 に服 従 し、 自 ら の所有 す る能 力 と価 値 を 全 て 吸収 さ れ て いく こと を余 儀 なく され て
いる存 在 な の であ る。
古典古代社会 の救済思想及び制度 の研究
自 由 ・正 義 ・権 利 の意 識
佛教大學大學院研究紀要第十七號
三
二四
法的 身 分 に関 す る ﹁市 民 団 11自 由 民 / 奴 隷 H不 自 由 民 ﹂ の対 概 念 は、 地 中 海 世 界 に於 て 一般 的 に両 極 を 示 す 言 葉
エレフ セリ ア
であ る。 そ も そ も自 由 瓮霆黷ミ8 登 o
智 鳶 零 へ奚 と 言 っても 、 集 団 や 社 会 を 無 視 し て享 受 でき た わ け でも な く 、 寧
ろ厳 格 な る都 市 国家 の管 理規 制 は働 いて いた。 私 的 生 活 に目 を や れ ば 、 ま ず 宗 教 の 自 由 は ア テ ナイ で は見 ら れ ず 、
エレフセ リ ア
国 家神 た る 神 々 への冒漬 は大 敬 罪 と さ れ、 ソク ラ テ ス M袰 嵐 選 の など は、 斯 か る罪 故 に処 刑 さ れ て い る。
ま た、 教 育 の 自 由 は ス パ ル タ に はな く、 共 同体 的 軍事 組 織 化 の目的 に支 配 され 、 都 市 が 選 定 し た教 育 が 実 施 さ
ロ れ て いた 。 そ の他、 .
フ ラ ト ソ は ﹁男 子 二〇 歳 に達 し た な ら、 三 五歳 ま で に結 婚 しな け れ ば な ら な い。 さ も な け れ ば
ね 罰 金 と 市 民 権 剥 奪 の刑 を う け るも のと す る。﹂ (﹃法 律 ﹄ I V ・七 二 一 ・B) と 述 べ、 国 家 統 制 と 相 対 的 な 市 民 の義
務 は 、 結 婚 、 産 児 制 限 に よ る 人 口 調 節 (﹃法 律 ﹄ V ・七 四 〇 ・C ∼ 七 四 一 ・A )、 養 育 等 諸 事 に 互 って い る 。
エレフセー ア
(
13)
.
フ ラ ト ソ の 描 く 理 想 国 家 で は 、 児 童 の 自 由 は制 限 す べ き も の (﹃国 家 ﹄ I X ・五 九 〇 .E ∼ 五 九 一 .A ) と し
て掲 げ ら れ 、 次 の様 な 説 明 を し て いる。
﹁す ぐ れ た 人 々 の 子 供 は 、 そ の 役 職 の 者 た ち が こ れ を 受 け 取 って 囲 い ︹
保 育 所 ︺ へ運 び 、 国 の 一隅 に 隔 離 さ れ
(﹃法 律 ﹄ V 豆 ・七 九 五 ・D ∼ 七 九 六 .D )
(η )
(﹃法 律 ﹄
(﹃国 家 ﹄ V .四 六 〇
て 住 ん で い る 保 母 た ち の 手 に 委 ね ら れ る だ ろ う 。 他 方 、 劣 った 者 た ち の 子 供 や 、 ま た 他 方 の者 た ち の子 で 欠 陥 児
が 生 ま れ た 場 合 に は 、 こ れ を し か る べ き 仕 方 で 秘 密 の う ち に か く し 去 って し ま う だ ろ う ﹂
ぬ ・U )
(16)
(﹃法 律 ﹄ H ・六 五 三 ・D )、 体 育
こ う し て 徹 底 し た エリ ー ト 主 義 に 基 づ い て 選 別 さ れ た 児 童 に 対 し て 、 読 み 書 き ・竪 琴 ・算 数 ・天 文 学
(15)
V H ・八 〇 九 ・C ∼ D )、 音 楽 ・芸 術
エレフ セリ ア
等 が 都 市 国 家 より 提 供 さ れ る仕 組 にな って いる 。
つま り 、 都 市 国 家 に於 け る 自 由 と は、飽 迄 も ポ リ ス社 会 の範 囲 内 に制 約 さ れ た、 体 制 に合 目的 的 な統 治 理 念 に
支 配 さ れ て付 随 す るも のと 理 解 さ れ る。 と は言 っても 、 一般 に 市 民 団 の構 成員 達 が 受 容 し て い た エ郎 曲 ,ガ る意 識 に
は、 も っと 簡 明 な 意 味 が 包 摂 さ れ て いた 点 も 指摘 でき る。 即 ち、 スパ ルタ に代 表 され る先 住 民 であ る ヘイ ロー タイ
s
鳶c
ozat の如 く 、 所有 地 を 主 人 のた め に耕 作 し強 制 的 に収 穫 の 一部 を貢 納 さ せら れ た・ 移 住 す るエ齢 齢 ,ダ 奪 わ れ 土
地 に縛 り つけ ら れ た 人 々に 対 す る概 念 を指 称 し て い た事 実 であ る。 これ ら の諸 点 を 考 え 合 わ せ て み る と、 ﹁市 民
団 11自 由 民/ 奴 隷 " 不 自 由 民﹂ の法 的 身分 の相 対 的 図 式 に 示 され る両 極 身 分 に は、 隷 属 的 度 合 いが あ り、 こ れ に
エレフ セリ ア
の度 合 いが 比 例 し て いる 関 係 が 成 立 す る こと に な る。 そ し て、 これ を決 定 し て いる諸 要 因 は、 諸 権 利 (移
エレフ セリ ア
自由
動 の 自 由、 労働 果 実 に対 す る権 利 、 家 族 を持 つ権 利 、 兵 役 義 務 等 ) であ り、 そ れ ら が 社会 的 に許 容 さ れ る度 合 い
デイケ じ
が バ ロメ ー タ ーと な って 両 極概 念 間 で の位 置 が 決 め られ る の であ る。
(﹃イ ー リ
で は、 古代 ギ リ シ ア人 に と って権 利 勲§ の意 識 と そ れ が 意 味 す る も の はど の様 な も のだ った のだ ろ う か。 彼 等
デ イ ケ に と って権 利 と は、 元 来 社 会 の中 で 個 人 に割 り当 て ら れ た地 位 であ り、 事 実 上 は請 求 権 を 意 味 し て いた
より 後 の時 代 に は訴 訟 (事 件) や 正 義 の意 と な って い菊
麿
L ・
oり書
鼕 §
§
竃
委
の神 耄
§ ㌧゜℃ ・
§ 爻§
で・ オリ ラ
腎 、ミ動§
二五
°り は
喚8§ 瀚 w(下 線 筆 者 )・
墾 よう・ 高 貴 な女 神 じ
例 えば ・ ヘシ オド ス ・
寅§
ア ス﹄ 一九 .一五 五 以 下)。 ま た ﹃オデ ュ ヅセイ ァ﹄ に 於 て は、 方 法 あ る いは慣 習 の意 味 に用 い られ て お り (一四
・五 九 他 )、 ホ メ 呈
躄
お い で な さ る・ ゼ ウ ス の姫 挈
﹃仕 事 の日﹄ に於 て、 正 義 に つ いて 論述 を な し次 の様 に述 べ て い る。
・・§ 藻 勇
藩 き 乙 女 の ﹃正
i
ht
義
k
.
﹄ の禁
ゃ QL
・
藁
古典古代社会 の救済思想及び制 度 の研究
デ イ ケ デ イ ケロ
佛教大學大學院研究紀要第十七號
デイ ヶ 二六
こ の記 述 よ り、 明 ら か に権 利 は正 義 と いう 概 念 と 密 接 に関 係 し て いた こと が分 る。 つま り、 市 民 団 の構 成 員 た る
マ ア ト
ぬ 当 事 者 の上 に立 つ者 が 正 義 (適 法 的 正 義 ) を 基 と し て判 決 を 下 す ので あ る。 そ こに は各 個 の法 的 権 利 の所 有 観 念 が
確 認 さ れ る わ け であ るが 、 正義 の概 念 自 体 は オ リ エ ント の、 と り わ け 古 代 エジ プ ト の正 義 maat思 想 よ りも 、 バ ビ
ロ ニア社 会 のそ れ に近 く 、 更 に高 度 で客 観 的 な も のと し て効 力 が 表 出 さ れ て い ると 言 え る 。 と 言 う の は、 こ のデ ィ
ケ ー はポ リ ス内 部 の法 的 身 分 の差 別 状 況 下 、 被 抑 圧者 を 保 護 し権 力 者 に対 抗 す る法 的 請 求 権 と し て機 能 し 、 優 れ て
自 由 市 民 間 の社 会 的 関係 に於 け る基 盤 を造 成 し て いる か ら であ る。 所 謂 、 古 代 民 主 政 治 と 称 さ れ 、 ア テ ナイ に実 現
ク
レコ ロ
ス
デ イ ヶ 戔曽 8 が 平 等 に 分 配
さ れ た 段 階 的 な 政 体 や ス パ ル タ の軍事 的 都 市 国 家 で さえ 、 デ イ ケ ー に より 貫 徹 さ れ た 精 神 は自 由 意 識 と 並 び 敬 せ ら
れ た も のと 理解 でき る。 そ の表 わ れ と し て例 えば 、 前 六世 紀 の スパ ルタ で は 一定 の持 分 地
つま り ・ 市 民 権 の所有 は箜
前 提 であ るが 、 そ こか ら派 生 す る諸 権 利 は配 分 的 正 蓬
支・
巻 れ て、
せら れ て、 市 民 は皆等 し く 市 民権 を持 ち、 重 装 歩 兵 と し て出 陣 の義 務 を 負 ったが 、 民 会 に出 席 し て国 政 参 与 の権 利
を有 し て い梅
イ ソ ス
お ℃彗ユ錠 9 巴同
ω旨 二ω 家 族 の構 成 に類 似 す
経 済 面 や国 政 参 与 の政 治 面 及 び 軍 事 面 な ど 自 然発 生 的 に付 与 さ れ、 そ れ こそが 共 同 体 的 な ポ リ スを 一団 と な って支
え て い る諸 個 人 間 に ﹁平 等 ﹂ 意 識 を 目 覚 めさ せ て いる のであ る。
そ も そ も、 古代 ギ リ シ ア の家 族 共 同 体 の形 態 は、 セ ム語 系 の家 父 長 制
るも の であ るが 、 前 九 世 紀 ま た は前 八 世 紀 か ら始 ま る シ ュノイ キ ス モ ス (集 住 6uvoc
嚢o
桔 s) に よ る都 市 国 家 の形
成 に見 ら れ た社 会 形 態 は、 古 代 オ リ エン ト の官 僚制 国 家 体制 や、 他 の アジ ア の専 制 君 主的 国 家 体 制 と は別 種 のも の
と 言 え よ う。 こ こ に見 られ る ﹁国 家 と し て の共 同 体 ﹂ は、 階 級 関係 や 国家 権 力 を支 え る下 部 構 造 と し て の共 同 体 で
は なく 、 階 級 的 支 配 の具 と し て の国 家 機 構 11市 民 の共 同 体 と いう機 能 形態 を有 し た も のな のであ る。 ま た、 古 代 ギ
リ シ ア社 会 に 於 け る貴 族 と平 民 の関 係 は、 中 世 封 建 社 会 の領 主 と 領 民 と の荘 園 制 Grundherschaft 的 関 係 と も 異
ケロ
イ ソ ス
エレ フセリ ア
デイ
な り、 両者 の関 係 は相 対 的 で支 配 ・被 支 配 で捉 え ら れ な いも のが あ る。 何 と な れば 、 上述 の如 く 市 民 の 自 由 と 権
古 代 社 会 の貧 困 問 題
利 (正義 )、 平 等 と い った 社 会 的 諸 意 識 が 個 人 間 に強 く介 在 し て い た か ら であ る。
四
し か し なが ら、 譬 え中 ・下 層 市 民 が 独 立 自 営 の農 民 、 商 人 、 手 工 業 者 と し て 共 通 の諸 権 利 の所 有 者 であ っても 、
市 民 問 に貧 富 の差 が 歴 然 と し て存 在 し て いた こと も 事 実 であ る。 そ れ 故、 社 会 に於 け るデ ィ ケー に つ いても う少 し
暑 ・息 ) だ と 説
検 討 し て み る必 要 が あ る。 プ ラ ト ンは、 正 義 は人 間 にと って 最 大 の価 値 を持 つ善 のイデ ア (相 ・実 相 ・形 相 ・容 相
ム (25 )
i
6E
a) で あ る と 言 い (﹃ク リ ト ン﹄ 五 三 ・C ∼ D 、 五 四 ・B )、 万 人 が 分 け 持 つ べ き ア レ テ ー (徳 性
(特 殊 的 正 義 ) を 、
明 し て い る (﹃プ ロタ ゴ ラ ス﹄ 三 二 二 ・C ∼ D 、 三 二 三 ・A ∼ B 、 三 二 五 ・A 、 三 二 九 ・C )。 一方 、 ア リ ス ト テ レ
ス 、
﹂bミ ま 9 篭 の は こ れ を 身 体 的 に 分 類 し て お り 、 一定 の 市 民 当 事 者 間 で の み 問 題 と な る 正 義
と に分 け て い
(一)共 同 作 業 や 共 同 事 業 に よ る 利 益 の ﹁配 分 的 正 義 ﹂ 鋤§ 器§ 黛亀 ℃ (﹃ニ コ マ コ ス倫 理 学 ﹄ 一 二 二〇 ・b ) と (二 )紛
争 当 事 者 間 、 利 害 関 係 が 直 接 対 立 す る 当 事 者 間 で の 問 題 と な る と こ ろ の ﹁矯 正 の 正 義 ﹂ 勲。篤 § ミ9
(26)
る C1 11
1
二 ・a)。
斯 く の如 く 、 ア リ ス ト テ レ ス の正 義 思 想 に関 し て 認 識 で き る こと は、 近 代 社 会 にあ って強 調 さ れ た社 会 的 正 義 の
観 念 が 脱 落 し て い る点 であ る。 配 分 的 正 義 にし ても、 複 数 の市 民 の利 益調 整 と な り得 ても 、 主 と し て社 会 的 弱 者 や
貧 困 者 の救 済 措 置 に意 を 注 いだ も の で はな か った 。 市 民 団 に内 包 さ れ て存 在 す る貧 困 者 達 は、 言 わば 共 同 体 的 ポ リ
ス社 会 か ら の脱 落 者 であ ると 看 做 さ れ 、 貧 困 そ のも の は勤 労 を奨 励 す る都 市 国 家 にあ って は怠 惰 の結 果 以 外 の何 も
二七
の でも な か った。 ヘシ オド ス 曰く ﹁﹃飢 え﹄ は怠 惰 な 人 間 に、常 に 必ず つき まと う 恰 好 の伴 侶 な のだ 。﹂ (﹃仕 事 の 日﹄
古典古代社会 の救済思想 及び制度 の研究
シ ア で は・ 貧窮 化 し て 行 く 者 巌
佛教大學大學院研究紀要第十七號
三〇 二∼ 三〇 調 ・ 古 代 ず
しく戒める蕎
二八
観 を有 し ・ ﹁貧 困 ﹂ は禦
ウ ス N匏
が 下 し給 う 天罰 と し てあ った。 ただ し、 脱 落 者 に対 し て制 裁 ℃鑑巳 ωず8 ①暮 ℃帥δm巴 ω9づ〇二8 が 用 意 さ れ て い るわ
(29 )
け でも なく 、 神 ゼ ウ スは貧 困 者 に仕 打 ちを 加 え る者 にも 天 罰 を与 え ら れ る と信 じ ら れ て いた (﹃仕 事 の 日﹄ 三 二七
∼ 三 三 三)Q
し か し なが ら、 個 々 の内 在 的 倫 理 観 や人 道 主 義 的 な 側 面 と は別 に、貧 困 と いう 問題 が 量的 に拡 大傾 向 にあ って、
隷民化 に於け る、 無産者警
策も その ; であ葡
これ は最早・ 諸個人間 の倫 理的 ゜人道
極 め て社 会 的 に広 範 囲 な事 象 と し て現 われ る場 合 、 社会 的 正義 が 様 々な形 で登 場 し て 来 る。 例 え ば、 ソ ロ ー ン
蠶 § が 手懸 けた霧
主 義 的 な 相 救 を望 み得 な い深 刻 な社 会 的 問 題 と し てあ り 、 そ れ 故 彼 の対 策 も 政 治 の場 で検 証 さ れ 政策 ・立 法 を 以 っ
て対 処 さ れ て いる。
の利 用 が 開 始 さ れ て後 は、 手 工 業 者 e
S
r
e
ovpr6sS内 にも 貧 富 の差 が 徐
デ じ ミウ ルゴ ス
一方 、 貧 困 化 現 象 は続 発 し、 前 七 五〇 年 頃 か ら の地 中 海 及 び 黒 海 沿 岸 の植 民 地 活 動 の結 果 、 ギ リ シ ア で は海 上 交
易 が 進 展 し、 そ の過 程 で殊 に鋳 貨 ξ寒q糞
ス
auzovpr6S にも 債 務 者 が 現 われ 、 無 産 者 に な る者 も 出 て来 た の であ る。 そ の原 因 に つ
々 に拡 ま って い った。 貴 族 及 び 上 層 平 民 は製 陶 ・金 属 加 工 に携 わ り富 を蓄 積 し、 仲 介 商 業 を 独 占 し たが 、 都 市 に於
アウ ト ウユ ル ゴ
て オ イ コス的 な賊 役 労 働 者
いて エソゲ ル K Friedri
ch Engel
s は ﹃家 族 ・私 有 財 産 ・国 家 の起 源 ﹄ の中 に説 明 し て い る。
﹁最 盛時 に全 ア テ ナ イ の自 由 市 民 は、 女 ・子 供 を 含 め て約 九 万 人 か ら な り、 これ と な ら ん で 三 六万 五千 人 の男
女 奴 隷 と、 四 万 五 千 人 の居 留 民ー 外 国 人 と 解 放 奴 隷 が い た。 した が って、 成年 男 子 市 民 一人 に つ いて、 す く なく
と も 十 八 人 の奴 隷 と 二人 以 上 の居 留 民が いた わけ であ る。 奴 隷 の数 が 多 か った の は、 彼 ら の多 くが 工寡 静 螂ち島欝
で、 広 い室 内 で監 督 者 のも と に ま と ま って労 働 し て い た こと に よ る。 し か し、 商 工業 の発 展 に つれ て、 少数 者 の
手 への蓄 積 と集 積 が 、 自 由 市 民 大 衆 の貧 困 化 が 生 じ た。 自 由 市 民 に残 さ れ た 選 択 は、 自 分 の手 工業 労 働 に よ って
さ も な け れ ば ル ンペ ン化 す る か、 いず れ か であ った。 彼 ら は、 当 時 の事 情 のも と で は
奴 隷 労 働 と競 争 す る か、 そ し て これ は、 屈 辱 的 な 下 賤 な こと だ と み な さ れ て お り、 ま た ほと んど 成 功 を 約 束 さ れ
お な い こと であ ったが 、 ー
必 然 的 に後 者 を 選 んだ 。﹂
。霆
①ω豆
量 りと化 している・榔藤
と は ﹁主人 の昔目
莚
聴き従う者﹂ の意で・
.耨
農 民 .商 人 の何 れ に せよ 、 一部富 裕 特権 階 級 と も 言 う べき 債 権 者 、 つま り自 由 貴 族 への富 の集 中 によ り 、無 産 者
とな るかあ るい疵 藤
pat
ri
ci の所 領 に居 住 す る 従 属 的農 民 であ るが 、 今 日社 会 事 業 の現 場 で使 用 さ れ て い る ﹁ク ライ エン ト﹂ 6一
δ暮 の
語 源 を な す も のであ る (た だ し、 ケー ス ・ワ ー ク casework で用 い ら れ て いる用 語 は これ と は全 く 別 義 であ る)。
馨
や粟
に従事 した畠
人と して龜 殿とも暴
る・彼籏 靉 籔 響
して城砦虫
貝族 と 蓬
的 な縷
繋
と され て い る。 被 護 民 は言 う な れ ば 、 平 民 豆 Φびωと奴 隷 の中 間 に位 置 し、 主 に市 域 外 に居 住 し てお り 、市 域 内 の
プ レじブ ス
そ の指 示 で投票 を 行 な い、 必要 な とき に は経 済 的 にも 負 担 を 負 った。﹂
お ム) の義務 を有 し、 有 力 者 の世 話 を し、 従 者 と し て随 行 し、 戦 時 に はそ の指 導 のも と に従 軍 し、 選 挙 のさ いに は
自 発 的 に身 を 投 じ て被 護 者 と な り、 生活 上 の保 護 と法 的 な庇 護 を 求 め た ⋮⋮ そ の か わ り 、 献 身 (オプ セ ク ィウ
被 護 民 と は ﹁神 々 の前 で解 消 でき な いか た ち で誓 約 を 結 ん で、 保 護 者 (バ ト ロー ヌ ス) と な る有 力 者 のも と に
柴 田光 蔵 氏 の解 説 に よ ると 、
警
クリ エソテほ ラ
cl
i
e
nt
e
l
a を結 んだ者達 であ り、 そ の相 互関係 は伝統的 か つ固定化 した倫 理法典 (
例えば+ 二表法 ×H
寡 § 塵
によ って規 制 さ れ て いた。 被 護 関 係 に服 す る こと は、 無 産 化 した 者 達 に開 か れ た 救 済 の道 で あ った と 言 え る。 彼 等
二九
は主 人 に対 し、 経 済 的 危 急 時 に際 し援 助 や保 護 、 特 に訴 追 に対 す る 保 護 を 要 求 でき る な ど、 生存 を確 保 す る諸 条 件
古典古代社会 の救済思想及び制度 の研究
佛教大學大學院研究紀要第十七號
ム
ネ
三〇
ラ
ク リ エソテ ス
を取 得 でき た。 そ の代 わ り、 主 人 に対 す る尊 敬 と 服 従 は固 よ り、 ポ リ スに 対 し て も対 国家 義 務 彎 ⊆づ奠 9 を負 う こ
と にな る。
ク リ エソテ ラ
ホ メ ロス の時代 よ り、 ロ ー マだ け で なく サ ピ ナ人 や エト ルリ ア人 、 ギ リ シ ア の古 代 氏 族 に散 見 さ れ た 被 護 民 であ
肇
達 は主人 の領地
patronus と 神 々 の カ リ タ ス
の為 の所有権 護 定 して いる・即 ち、時代 の経過と共 に、徽叢
る が 、 先 の ソ ロ ー ソ な ど は、 一歩 進 め て 隷 民 化 し た 下 層 市 民 を 既 成 の 被 護 関 係 か ら も 脱 却 せ し め 、 彼 は テ ル 、
、
、ヌ ス
の神聖な る万主 の土地 に縷
バ ト ロロ ヌス
で の耕 作 と いう 地 位 の従 属 か ら解 放 さ れ る こと を願 う よ う に な り、 次 に 保 護 者
バ ト ロロ ヌス
クリ エソ テ ス
cari
tas S御 蔭 で地 代 納 入 を 条 件 に土 地 の占有 を 許 可 さ れ、 折 柄 の債 務 隷 民 化 問 題 に直 面 し て ソ ロー ンに より そ の
所 有 権 を獲 得 でき た の であ る。
と ころが 、 従 来 氏 族 に従 属 し て い る時 代 に は、 そ の保 護 者 に扶養 さ れ 生活 上 の必要 性 を満 た し て い た解 放 被 護 民
達 は、 微リ
齧ソ
騒,
辮 を解 消 す る や否 や生 活 上 の必 要 と 困 難 、 つま り 新 た な 生 存 の阻害 状 況 に直 面 す る こと に な った。 貧
富 の差 は歴 然 と し て増 加 し て、 前 七世 紀 後 半 から のギ リ シ ア に於 て見 ら れ た 中 小 農 民 の没落 は激化 の 一途 を辿 って
息慧 き
な るも のを めぐ って展 開 さ れ て行 く 。 貧 者 達 は集 会 の出 席 や 裁判 で の判 決 に対 し報 酬 を
いる 。 そ し て 以 後 民 主政 ポ リ スにあ って、 貧 困 層 の富 裕 階 級 への抵 抗 は、 そ の政 治 的機 構 を媒 介 にし て、 と り わけ
投 票 権 q舞ミ e誌
求 め たり 、 投 票 権 の売 買 を 行 った。 投票 の機 会 が 多 か った の で、 彼 等 はそ れ に より 生 活 す る こと が 可能 だ った ので
ム エ ラじ ル キ ア
の祖 税 が 課 せ ら れ た。 リ シア ス トq
q登 の は ﹁七年 に わ た って私 は 三段 橈 船 奉 仕 を 務 め、 七 タ ラ ソ
ト リ
あ る。 民 主 政 期 、 ギ リ シ ア で は貧 困 に喘 ぐ 下層 階 級 は、 富 者 に対 し て公 共 の出 資 を 要 求 し、 中 層 以 上 の者 に は臨 時
財 産 税 無愚 。嵐
ト を支 払 った。 ⋮そ し ても う 一度 は四 〇 〇 〇 〇 ド ラク マの臨 時 財 産 税 を払 いも し た。﹂ と 語 って い る。 そ れ は富 の
再 配 分 的 な 効 果 を な す 、 共 同 体 的 ポ リ ス の 一つ の特 徴 を 示 し て いる。 し か し、 ギ リ シ ア人 達 は こう し て絶 対 的 多 数
の投 票 によ る 政策 の掌 握 の結 果 生 じ た、 富 者 の財 産 を法 的 に没 収 す る可 能 性 に目 覚 め る と、 次 に 社会 を 大き く変 革
み す る 手 段 に訴 え た。 メガ ラで は財 産 を没 収 され た富 者 は国 外 へ追 放 さ れ 、 扇 動 政 治 家 は有 産 者 を捕 へ 一部 を虐 殺 す
る挙 に出 て、 富 者 の財 産 を貧 者 に分 配 し た。 ポ リ スは修 羅 場 と 化 し、 そ の結 果 政 体 は変革 さ れ、 富 裕 層 の寡 頭 政 治
鶏rapxia §.
Z
t
ze/a は、 貧 困 下 層 階 級 が 主 と し て支 配 す る僣 主 政 治 讐ミ ミ へ
のき 却爲へ
黛 へと 移 行 す る。 ソ ロー ソの
改 革 後 、 アテ ナイ に生 じ た 三党 派 の主 導 権 争 いは ペ イ シ スト ラ ト ス 自§ へ
q竃 § 。の 一族 の僣 主制 に帰 着 し、 そ の支
配 は前 五 四 六年 に確 立 し て 1
1
1
0 年 余 り続 く こと に な る。
アリ ス トテ レ ス の ﹃アテ ナイ人 の国 制 ﹄ に よ ると 、 ペイ シ ス ト ラ ト ス は ﹁緩 和﹂ で ﹁博 愛 ﹂ で ﹁寛 容 ﹂、 ﹁生 計
あ に苦 し む者 に は仕 事 のた め に金 を前 貸 し し て農 業 に よ って暮 ら し て行 け る よ う に し た﹂ り、 ﹁常 に 平 和 を 促 し﹂
テ ユラ ニス
﹁決 し て自 己 の利 益 を計 る こと が な か った﹂ と 称 讃 の言 を 幾 つも 織 込 ん で いる。 し か し、 ペ イ シ スト ラ ト スの後 を
継 承 し た息 子達 の執 政 は そ う は行 か な か った様 であ る。 都 市 に於 け る僣 主 の権 力 に は 限 りが な か った た め、 そ れ
は容 易 に専 横 的 な人 民 支 配 へと 変 貌 し、 合 法 的 な人 民 の 財 産 没 収 を さ え な し 得 た。 そ し て 遂 に リ ュク ル ゴ ス
d鬢ovproS の改 革 を 境 に し て、 再 度 貴 族 政 治 暑 へ
q8も § 慰 笥曵 § 登 へと 変 革 せ しめ ら れ た ので あ る。
さ て 次 に特 筆 す べき は ペ リ ク レ ス 自 超へ
廴曽 の民 主政 動ミ 毳禽 ミ黛 であ る。 前 五世 紀 初 頭 の ペ ルシ ア戦 争 以 後 の
彼 の 一連 の施 策 は、 下 層 市 民 に政 治 参 加 の道 を 開 く も の であ った 。 こ こに アテ ナイ は マケド ニア に支 配 され る迄 、
デ コ ミウ ルゴ ス
所 謂 ﹁完 全 民 主政 治 ﹂ 嫡瓮8の 動謹 霧ミ 蔑黛 を 実 現 し て いる 。 ペ リ ク レ スは まず 、 宗 教 的 公 共 事 業 と も 言 う べき 神 殿
建 築 (イ オ ニア式 の エレク テ ウ ス 、
肉鳶慧 &の や パ ルテ ノ ン I
ZapBs
vc
;
v) に着 手 し、 様 々 な分 野 で手 工業 者 に職 と 報
酬 を支 給 し、 無 産 者 を含 め多 く の人 々が 手 に技 を 持 って工 人 と な った。 一日 一人 一ド ラ ク マで、 当 時 で は 四、 五人
一
一
=
の家 族 が 何 と か生 活 を 維 持 でき る額 であ った 。 これ は サ ラ ミ ス海 戦直 後 に発 足 し た対 ペ ルシ ア攻 守 同 盟 、 即 ち ﹁デ
古典古代社会 の救済思想及び制度 の研究
お 佛 教大學 大學 院研究紀要第十 七號
三二
お ロ ス ﹂戔 8 同 盟 ﹂ を通 じ、 そ こに寄 せ られ た莫 大 な 寄 金 を 財 政 的 基 盤 と し て、 労 働 者 の報 酬 が支 払 わ れ て いる。
テ
オ
リ
カ
れ オ
リ
カ
等 が 支 給 さ れ て いる点 であ る。 観 覧 手 当 は、 特 に貧 困 市 民 を
テ
中 でも 特 徴 的 な の は各 種 の手 当 制 度 であ り、 法 廷 ・評議 会 ・民会 への出 席 手 当 、 大 デ ィオ ニ ュー ソ ス 昏転ミ8 の 祭
の附 属 行 事 と し て の悲 劇 、 喜 劇 の観 覧 手 当 黷 eミミ
限 定 対 象 と し て年 二 回、 ニオボ ロス (三分 の 一ド ラ ク マ) 支 給 さ れ て いた。 し か し後 に は祭 事 以 外 の時 にも 分 配 さ
れ、 受 給 者 制 限 も なく な って い る。 一家 族 の生 計 を充 足 でき る よ う な も ので はな いが 、 貧 困者 の生 活 を 補 助 す る 一
面 を持 った 国家 に よ る扶 助 手 当 と 言 え よう 。 国 庫 の余 剰 金 が こ の制 度 の基 金 と な って お り、 そ の国 庫 は主 に鉱 山 よ
り の収 入 や中 層 以上 の富 裕 者 の助 力 に よ るも の で、 大 多 数 の下 層 市 民 はそ の負 担 を 一切 負 って いな か った。
れ 伊藤 貞 夫 氏 に よ れば 、 それ は ﹁国 庫 に余 剰 が 生 ず るな ら ば、 そ れ も 市 民 全 員 の共 有 物 ゆ え、 分 配 し て然 る べき
だ と す る観 念 は、 市 民共 同 体 と し て の ポ リ ス の本 質 に由 来 す る考 え方 ﹂ であ る と し て いる。
何 れ にし て も、 貧 困 者 に対 す る意 識 や救 済 に関 す る社 会 的 アプ ロー チ の仕 方 は、 度 重 な る政 体 の変 革 を経 験 す る
共 和 政 期 ロー マ社 会
こと によ って、 ヘシオ ド ス の時 代 に比 べ ると 、 発 展 的 に変 化 し て来 て いる ことが 窺 え る。
五
ラ テイ フソデ ユウ ム
都 市 国 家 ロー マの市 民 団 の中 枢 は完 全 武 装 能 力 を 持 ち、 そ れ 故 武装 費 用 負 担 の可能 な中 産 身 分 的 性 格 の農 耕 市 民
バ ト リキ 層 であ った 。 既 述 の大 土 地所 有 制 は、 も と も と 第 二次 ポ エ ニ戦 争 に伴 う イ タリ ア農 業 の荒 廃 下 、 荒 廃 地 を 活 かす た
め に、 ロー マ市 民 に占有 地 を開 放 し た国 家 施 策 に端 を 発 し、 占 有 地 経 営 のた め の資 本 を有 す る富 裕 貴 族 の買 い占 め
によ り 始 ま って いる。 そ れ は兵 士 と し て戦 場 に赴 い た農 民 達 の農 地 の買 い取 り と 合 わ せ て 行 わ れ、 占 有 地 は世 襲 さ
れ る内 に い つし か 私有 地 に変 わ って行 った の であ る。 や が て、 戦 争 捕 虜 と し て奴 隷 の流 入 が 激増 す る と、 これ を大
量 に労 働 力 と し て投 入 し経 営 基 盤 と す る こと で、 大 土 地 所有 制 度 が 成 立 し て い るσ
と ころが 反 面 、 量 的 に豊 富 な 奴 隷 労 働 力 の活 用 に押 さ れ て生 活 を漸 進 的 に阻 害 され た、 従 来 の経 済 基 盤 た る農 民
層 は次 々と 没 落 し て行 く 。 斯 か る状 況 の深 刻 化 を憂 え て、 前 二 三 二年 か ら土 地 改 革 に着 手 し た のが テ ィベリ ウ ス ーー
Cam)
Cam)
グ ラ ,ク K Ti
beri
usGracchus であ る。 プ ルタ ー ク Pl
utarch に よ ると 、 彼 は大 土 地 所 有 に対 し、 公有 地占 有 量
を 制 限 し、 土 地 を 貧 民 に分 配 す る 再建 策 を取 った。 それ は ロー マの散 文 家 リヴ ィウ ス いぞ ξωが ﹃建 国 以 来 ﹄に示 し
て いる、 前 三 六 七年 の法 定 以 上 の占 有 地 を 貧 民 に分 配 せ んと し た 、 リ キ ニウ ス ・セク ステ ィウ ス法 いo× = 9巳 ?
バ トリ キヨ
Sexti
a を 継 承 す る 内 容 を 有 し、 国 防 の中核 た る農 民層 の育 成 を 目的 と す るも の であ った 。 貧 困 化 の原 因 は異 な る
と は言 え 、 ほと んど ソ ロー ンの改 革 に類 似 し た 施 策 だ った と認 識 さ れ る。 し か し、 これ に対 す る共 和 政 の貴 族 達 の
反 対 は、 中 小 農 民 の救 済 者 た る グ ラ ック ス の暗 殺 に よ り 示 さ れ、 前 一 一 一年 に彼 が 苦 労 し て制 定 し た農 地 法 は徹 廃
コミ テイ ア
n ー マ の 公 有 地 簿σq興 O節言 冨 鬘 ω を 貧 窮 ロ ー マ市 民 二 万 人 に 一〇 ユゲ ラ ず つ分 配
され て い る。 そ の後 同 様 の農 地 法 が 施 行 さ れ た 例 と し て は カ エサ ル 09①ω奚 の時 代 のも のが あ る (前 五九 年 ユリ ア
農 地 法 Lex Jul
i
a agrari
al
し た )。
バ トリ キな
セ ナ ツ ス
マジ ス ト レ タ ス
ロ ー マ の政 策 は 、 市 民 団 の 総 意 を 表 明 す る 場 ' 即 ち 民 会 (curi
ata,cent
uri
ata,tri
buta 等 ) で は な く 、 大 土 地
せ 所 有 の新 旧貴 族 を代 表 す る特 権 的 元 老 院 ω9 彗 離ω に掌 握 さ れ、 統 治 に は軍 司令 官 で もあ る政 務 t
a
umagi
st
rat
usを
配 し コソ ト ロー ルし て いた。 何 と な れ ば 、 グ ラ ック ス の自 営 農 民 層 の救 済 再建 策 を 圧 殺 し た こ と は、 彼 等 の特 権 を
利 用 し て の自 己利 益 追 求 の結 果 に他 なら な い。 と こ ろが 、 そ んな 彼 等 も 軍 隊 の統 制 を怠 った た め、 つま り兵 士 の給
与 は低 く、 退 役 後 の生 活 を保 障 す る制 度 す ら 定 めら れ て いな か った こと が、 兵 士達 の不満 を募 ら せ彼 等 は有 力 な 将
三三
軍 マリ ウ K M ari
us、 ス ヅラ ω巳 冨、 ポ ンペ イ ウ ス 殖o目 b①貯 ω、 カ エサ ル等 の私 兵 と な って、 覇 権 を 巡 って内 乱 を
古典古代社会 の救済思想及び制度 の研究
あ 佛教大學大學院研究紀要號十七號
セ ナ ツ ス
コミテ イア
三四
生 起 し帝 政 期 へと 雪 崩 込 む こと にな る。 初 代 元首 アウ グ スト ゥ K Augustus はそ れ 故 、 退 職 軍 人 への退 職 金制 度
セ ナ ツ ス
お を 設 置 し、 そ のた め の金 庫 を創 設 し た のであ る。 彼 は大 権 を元 老 院 と 民 会 に 一旦 返 還 し て、 そ の上 で国 政 の責 任 を
元 老 院 と 分 担 し て い る。
バ ト リキ プ レユゾ ス
パ トリ キロ
そ も そ も 、 共 和 政 は恣 意 的 権 力 者 (王) の存 在 を否 認 し、 市 民 団 統 括 の責 任 者 を 互 選 す る自 治 の原 則 を 打 ち立 て
プ レ ブ ス
たが 、 実 際 の体 制 は貴 族 によ り支 配 さ れ た も のであ った。 平 民 は貴 族 の反 動 に抵 抗 し続 け 、 徴 兵 ・従 軍 を 拒 否 し た
バ トリ キー
(狙 ) 。フレーブ ス
パ トリキ ー
り、 市 外 退 去 (前 四九 四年 、 軍 事 負 担等 の理由 で債 務 に苦 しむ 平 民 が 不 満 を 爆 発 さ せ、 一団 と な って ロー マ市 外 の
プ レ ヨブ ス
丘 に立 籠 り、 貴 族 が そ の要 求 を 受 け 入 れ た事 件 ) を実 施 し た。 平 民 は、 貴 族 と の政 治 的 同 権 を 主 張 す る 富 裕 上層 部
プ レロブ ス
パ トリキ コ
プ レニブ ス
プ レセブ ス
と、 生 活 の安 定 (債 務 奴 隷 制 の廃 止、 土 地獲 得) を求 め る下 層 部 に 二分 し て い た こと も 事 実 であ るが 、 平 民 上 層 は
も プ レロブ ス
他 の平 民 を リ ード し て貴 族 に様 々な 譲 歩 を迫 る存 在 であ った。 平 民 が 期 待 を 寄 せ て い た の は、 平 民 のみ が 就 き 得 る
ト リ ブ
ス
マジ ス ト レロタ ス
セ ナ ツ ス
ポ スト と し て設 置 され て い た護 民 官 ↓同ま口巳 コ α玄 ωであ る。 平 民 .
にと って救 いと な った の は、 保 証 人 の獲 得 及 び
ス
バ ト リキ プ レ さブ ス
provocati
o に援 助 を 与 え る こと も でき
oo曾 9鉱α に基 づ く 強 制 処 分 から 平 民 を 救 済
プ レなゾ ス
負 債 関 係 の訴 訟 に於 て援 助 9⊆×籃 貯白 を し て く れ る者 であ った。 護 民 官 は全 政 務 官 の職 務 活 動 、 元 老 院 決 議 に対
マジ スト レ タス
ト リ ゾ
し て発 効 を停 止 さ せ る拒 否 権 く⑦8 を 有 し 、 政 務 官 の持 つ強 制 権
i
us auxi
l
i
um )°
appel
l
ati
o す る た め に努 力 し て いた の であ る 。 ま た、 護 民 官 は平 民 裁判
た (援 助 権
バ トリ キコ
プ レ ブ ス
ノ ビ レコ ス
以 上 の様 に、 古 代 ロー マの身 分 闘 争 はギ リ シ ア のそ れ と は異 な り、 即 ち上 層 貴 族 対 下 層 平 民 の階 級 闘 争 で はな く、
共和 政 期 を通 し て貴 族 と 並 ぶ社 会 的 ・経 済 的 地 位 にあ る 平 民 の 一部 上 層 (これ を新 貴 族 nobi
lesと 言 う) が 中 心 と
ゆ な って、 そ の同 権 を 主張 す ると い った言 わ ば ﹁権 力 闘争 ﹂ と呼 べ るも のであ った。 階 級 闘 争 と し て生 じ た の は、 奴
隷 の反 乱 (スパ ルタ ク スの反 乱 ) や 、 小 農 民 が 加 わ った 六 万 人 に よ る シチ リ ア の武 装 奴 隷 の反 乱 等 が 挙 げ ら れ る だ
古 代 ギ リ シア の結 社 的 相 互 扶助
ろ う。 し か し、 斯 かる 反 乱 は残 酷 に鎮 圧 さ れ て いる。
六
現 代 社 会 にあ って は、 無 数 の集 団 が 存 在 し同 時 に複 数 の集 団 に分属 す る特 徴 を持 って お り、 こう し た所 属 作 用 を
通 じ て 個 人 の社 会 性 も 発 達 す る よ う に な る。 し か し、 古 代 社 会 であ って も、 生 活 上 の相 互 扶 助 機 能 を有 す る集 団 的
結 合 は、 国 家 共 同 体 組織 の中 に のみ見 い出 さ れ る と いう わ け で は な い。 そ こ に は無 数 の , 集 団 reference gro-
鎧悔 が 存 在 し て い た。 基 礎 集 団 よ り派 生 す る機 能 集 団 が 、 こう した コミ ュ ニテ ィを 土 台 と し て 器官 的 ア ソ シ エー シ
ョソを 形 成 し て いる。 そ れ が結 社 な のであ る。
ラK I
IuBaYopaS な ど も 、 秘 教 的 な 数 術 に よ る 哲 学 大系 を彗
輕
を懇
し て鞠
の場 と し て 、 あ る い は友 交 的交 誼 の場 と し て機 能 し て い た。 ご フト ソ に多 大 轟
が 、 医 学 の分
響を及ぼ し
古 代 ギ リ シ ア に は、 こ の様 な 結 社 が多 数 存 在 し、 国 法 に抵 触 し な い範 囲 内 で公 然 と 、 そ う でな い場 合 に は秘 密裏
な ピ ュ各
に、 集 会 ・祭 祀 ・爨
た耄
野 で・ そ の起 源 的 存 在 と し て こ こ で見 てお き た い の は、 ア スク レビ オ ス 、
﹀異 き 笥"
誇 医 師 団 であ る。 そ れ は結 社 と
言 う よ り も、 歴 と し た医 療 機 関 と し て把 握 さ れ るが 、 ア ス ク レビ オ ス神 殿 を中 心 に アテ ナイ に は前 四 八〇 年 に建 設
さ れ、 最 盛時 に は ギ リ シ ア全 土 に 四〇 〇 ケ所 も 設 置 さ れ て いた (後 にキ リ ス ト教 の影 響 に よ り衰 退 し て いる)。
そ の特 徴 は何 と 言 って も、 お籠 治 療 と呼 称 され る 一種 の心 霊 的 療 法 であ る。 病 人 は神 殿 内 で 祈 り を 行 な い、 そ し
て眠 って いる 問 に、 ア ス ク レビ オ ス神 が 夢 中 に現 出 し て治 療 を す ると いう も の で、 治 療 後 、 治 った 者 達 は、 疾 患 に
三五
もc§ 、 ソ ←
qeミ
と、
犯 さ れ て い た部 分 の模 型 を感 謝 を 込 め て奉 納す る と いう習 慣 であ った。 そ の模型 は各 地 の遺 跡 か ら多 数 発 掘 さ て
い る ・ こ れ は 言 う な れ ば 、 ギ リ シ ア の ゴ芬 法 と 呼 ば れ る 、 即 ち ヌ ー ス ξ 8 、 プ シ ュ午
古典古代社会 の救済思想及び制度 の研究
佛 教 大學 大學 院 研究 紀 要 號 十 七號
こ れ に 対 応 し た ロ ー マ の ラ テ ン語 、 ス ピ リ ト ゥ ス
(精 神
spiri
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ア ニ r
三六
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(肉 体
ー チと し て も、
コ ルプ ス
corpus) の相 互 の関 係 と 作 用 に 着 目 し た 治 療 法 で あ り 、 夢 と の 関 連 を 介 し て の 精 神 分 析 学 的 ア プ ロ
今 日 注 目 さ れ て い る 。 例 え ば ユ ン グ O°○°Jung も こ う し た 研 究 を 代 表 す る 人 物 で あ る 。
し、それを治療 痣 用 してい構
ま
だが・当時 睾 リ シア人 は重病看
`
H pG勲さ り に 於 て 始
(脳 ) な疾 患 に伴 う病 気 と を区 別 し て い癖
、
>q丸 唱ミ & ミ の人 々 の 中 に は か の 有 名 な ヒ ッポ ク ラ
も含 ま れ て いたが 、 彼 は呪 術 的 な治 療 と 生 理 的
こ の ア ス ク レ ビ オ ス の 流 れ を 汲 む 、 所 謂 ア ス ク レ ビ オ ス派
テス .
丶§ 意 §
あ 養 生法 蠡 練法 を耋
た 、 ア ス ク レ ビ オ ス派 に 見 ら れ な か った 付 き 添 い 看 護 を 用 い る 継 続 的 療 法 は 、 ヘ ロi
h イ nK
ま っている。彼 纏
者 に は療 養 よ り も 死 を与 、
兄て や った方 が 、 本 人 の為 にも 国 家 の為 にも な る と し 、 これ が ア スク レビ オ ス派 に よ って
流 布 さ れ た 一般 的 な世 論 だ った の であ る (﹃国家 ﹄ 四〇 七 ・C ∼ 聡い。
シ ア の結 社 績
合 の起 源的 存
であ るが・ 先 の ヒ ・ポ ク ラテ ス の
古代 イス一
フ エル社 会 にも ・ 同業 蘊
例 えば オ ルゲ オ ネ ス ミ § 。の 結 鸛 厂
結社 の色 彩 を帯 び て来 て い華
し て、 宗 教 的-
さ て、 話 を 典 型 的 な ギ リ シ ア の結 社 集 団 に戻 し て、 そ の研究 に造 詣 の深 い高 山 一十 氏 の論 を 参 照 し少 し加 へてみ
た い。
ず
時 代 に は若 干 変 化 し てお り、 鑾
在 と し て の ヒ ラ ム の王 立 手 工業 者 集 団が あ ったが ギ リ シ ア の結 社 も ま た構 成 員 の大 部 分 は独 立 の自 営 業 者 であ り、
言 わ ば後 に中 世 ヨー ロ ッパ社 会 で発 達 し た同 職 組 合 の社 会 的 な 発 生 現 象 と 言 え よ う。 当 時 の職 業 結 社 にあ って は、
﹁同 一の職 業 に従 事 す る人 々を 共 同 の崇 拝 と 社 交 的 友 交 の場 に結 集 し、 友 愛 と共 感 の精 神 を養 う 機 会 を 与 え た﹂。
ー メ テ ー ルを 崇 拝
相 互扶 助 の精 神 で貫 ぬ かれ 、 構 成 員 は存 命 中 に互 い の便 宣 を計 り、 そ れば か り で なく 死 ん で後 も 死 後 の成 員 の結 び
つき を 信 じ 、 葬 儀 及 び 共 同 墓 地 は全 て基 金 か ら負 担 され て い た。 中 に は女 性 だ け の結 社 (女 神 デ
ノス
す る ﹂黙爻ミ 聴 の 結 社) や 子供 の入会 を許 し た ア テ ナ イ の 、
丶巷§ 8ミ (バ ヅカ ス神 を信 奉 ) 結 社 、 あ る い は ペ ル ガ モ
ン の 暑 ピeq。へ (聖 歌 歌 手 の) 結 社 な ど が あ った。 驚 く べき は、 奴 隷 に よ る奴 隷 の た め の結 社 (ス ニオ ン の エラ
Epavos) も存 在 し て いた のであ る。 こ の様 に 一口に結 社 と 言 っても 、 種 々様 々な範 疇 によ り 結 成 さ れ て いた。
結 社 の多 く が 会 費 を 徴 収 し て い る こと か ら し て 、 まず 支 払 能 力 のあ る者 が 入会 を 許 可 さ れ た であ ろう し、 そ の生
活 保 障 的 機 能 や 相 互 の扶 助 を 期 待 す る 者 にと って は、 そ の諸 サ ー ビ スは受 益 者 側 の負 担 を 伴 う 民 間 団 体 と も 言 え る。
しか し、 邪 教 的 狂 信 的 結 社 はと も か く、 一般 に オ ープ ンで、 人 間 尊 厳 的 な 宗 教 倫 理 規範 を 支柱 と す る崇 高 な も のが
げ 多 か った と 理解 さ れ る。 高 山 氏 曰 く ﹁ギ リ シア世 界 に結 社 の流 行 し た時 代 は、 政 治 の貧 困 化 の時 代 であ る。 国 破 れ
帝 政 期 ロー マ の ア リ メ ン タ制 度
て山 河 あ り 、 政治 す た れ て社 会 が 求 め ら れ る﹂ 時 代 であ った。
七
前 二 三 ご年 のグ ラ ック ス の改 革 に始 ま る 共和 政 期 の内 乱 、 殊 に前 八 八年 以降 の軍閥 の勢 力 争 いと各 地 の奴 隷 の反
乱 は、 言 わば 旧 体 制 と し て の都 市 国 家 が世 界 ロー マ へと変 貌 し て行 く過 渡 期 であ った。 氏 族 団 体 や家 産 制 的 な 大 家
族 も 解 体 傾 向 にあ り 、 政 治 上 の結 果 や 国家 への献 身 の気 風 は崩 れ、 各 自 はそ れぞ れ の生 活 を守 護 す る た め に奔 走 し
て い た。 そ う し た社 会 情 勢 の中 で生 ま れ て来 た児 童 達 も ま た、 悲 惨 な状 態 に放 置 され 、 次 世 代 を 担 う 者 達 であ るが
故 に、 社 会 の将 来 は誰 の目 にも 不安 こ の上 な いも の であ った の であ る。 カ ー ル ・カ ウ ヅキ i KarlK autsky は、
当 時 の様 子 を 次 の様 に説 明 し て い る。
﹁孤 児 達 は、 取 り 分 け 此状 態 の為 に苦 し んだ 。 両親 を失 ふ事 は、 今 や彼 等 を 無 防 備 のも のと した 、 彼 等 の世 話
三七
を す る者 は誰 も いな い の であ る。 快 く扶 養 す る親 類 を有 し な い多 く の子 供 達 は、 一般 的 窮 乏 と 犠 牲 の精 神 の低 下
古典古代社会 の救済思想 及び制度 の研究
佛教大學大學院研究紀要號十七號
三八
お と が 家 族 的負 担 を逃 避 す る者 の数 の増 加 を 招 来 し つ つあ った事 実 によ って、 一層 数 を 増 し た 。﹂
セ ナ ツ ス
や が て、 地 中 海 世界 を 統 合 す る こと に成功 し た アウ グ スト ゥ スが 直 属 の軍 隊 の統 師 権 を 掌 握 、 ま た 元 老 院 と の共
ロ 同 統 治 形 態 を 持 つ元 首 政 pri
nci
pat
us を実 現 し、 共 和 政 期 は崩 壊 す る。 そ れ 以後 の帝 政 期 は、 ﹁ロー マ の 平 和
Pax Romana﹂ と称 さ れ る時 代 を招 来 し て い る。
そ こ で、 内 乱 後 の体 制 の建 直 し政 策 の 一環 と し て ア ウグ ス ト ウ スが 着 手 した の は、 上 述 の児童 達 、 即 ち親 類 縁 者
の扶養 を 得 ら れ な い児 童 や貧 困家 庭 の少 年 少 女 達 を 何 と か救 済 す るた め の措 置 (al
mus) を実 施 す る こと であ った。
そ れ は労 働 力 と 兵 士 と し て の必 要 性 か ら、 将 来 的 展 望 を有 す る ロー マ帝 国 の基 盤 固 め に不 可 欠 な 施 策 と し てあ り、
貧 窮 児 童 の救 護 育 成 を 国 家 主 導 の下 に実 施 す る こと にあ った。 これ を アリ メ ソタ al
imenta制 度 と いう 。 例 、
兄ば 、
ア ウグ ス ト ウ ス の時 代 のも のと し て は、 次 の様 な養 育 施設 への寄 付 が あ った。
﹁奉 行 職 だ った ヘルギ ウ ス ・バ ジ ラ は、 ラ テ ィウ ムな る アテ ナイ の市 民 に、 不幸 に し て其 数 は記 し て いな いが 、
或 数 の児 童 に穀 物 を供 給 す る為 に、 八万 八千 マル クを 遺 贈 し た 。﹂
貧 困 児 童 の扶 養 にあ た って の財 源 は、 大 別 し て公 立 と 私 立 の基 金 が 設 置 さ れ て い る。 こ の施 策 は次 の皇 帝 ネ ルヴ
ァ 之奠 く9 にも 継 承 さ れ て おり 、 更 に ト ラ ヤ M K Trai
anus帝 の時 代 に至 り拡 張 整 備 さ れ て い る。 ロー マ市 内 に於
て五 千 人 近 い児 童 が 、 皇 帝 金庫 か ら直 接的 に支 出 さ れ た基 金 で扶 養 さ れ て い た。
以 下 は、 当 時 の実 態 を 示 す 、 ウ ェレイ ア の アリ メ ソタ碑 文 (一〇 九年 ) であ り、 公 立 の制 度 に関 す る記 録 であ る。
﹁総 額 一、 〇 四 四、 ○ ○ ○ セ ス テ ル テ ィウ スに達 す る 不 動産 債 務 関 係 、 これ に よ って 至高 に し て最 善 な る元 首
゜最 亠
咼司令 官 ・カ エサ ル ・ネ ルヴ ァ ・ト ラ ヤ ヌ ス ・アウ グ ス ト ゥス ・ゲ ル マ ニク ス ・ダ キ ウ スの寛 大 な る思 召 に
従 い、 少年 少 女 た ちが 訣 養 費 を以 下 の よう に受 け 取 るよ う に。
嫡出男子
(年 額 )
二 四 五 名 月 額 一人 当 り
小計
十 六 セ ス テ ル テ ィウ ス
四 七 、〇 四〇 セ ステ ルテ ィウ ス
小計
(年 額 )
(年 額 )
= 一〇 セ ス テ ル テ ィウ ス
一四 四 セ ス テ ル テ ィ ウ ス
四、 八 九 六 セ ステ ルテ ィウ ス
十 ニ セ ス テ ル テ ィウ ス
一名 小 計
(年 額 )
三 四 名 月 額 一人 当 り
庶出男子
一名 小 計
嫡出女子
庶出女子
こ れ ら の 総 計 は 五 二 、 二 〇 〇 セ ス テ ル テ ィウ ス、 こ れ は上 記 の 元 金 の 五 パ ー セ ン ト の 利 率 に あ た る 。
ガ イ ウ ス ・ウ ォ ル ム ニウ ス ・メ モ ル と ウ ォ ル ム ニ ア ・ア ル ケ は 彼 ら の解 放 奴 隷 ウ ォ ル ム ニウ ス ・デ ィ ア ド ゥ メ
ヌ ス を 通 じ て 、 ク ィ ソ テ ィ ア ク ス と ア ウ レ リ ア ヌ ス の農 地 と 、 森 のあ る ム レ タ ス の 丘 を 登 録 し た 。 こ の 区 域 は 、
ウ ァ レ イ ア 領 内 の ア ム ビ ト レビ ウ ス 区 に あ り 、 マ ル ク ス ・モ ム メ イ ウ ス ・ペ ル シ ク ス の 所 領 、 公 道 に 隣 接 し て い
(以 下 略 )
る 。 評 価 額 一〇 八 、 ○ ○ ○ セ ス テ ル テ ィ ウ ス 。 彼 は 八 六 九 ニ セ ス テ ル テ ィ ウ ス を 受 け 取 り 、 上 記 の 所 領 を 抵 当 と
し て設 定 す べき であ る。
(一〇 二 年 以 前 か ら の 債 務 関 係 )
同 様 に 、 コ ル ネ リ ウ ス ・ガ リ カ ヌ ス に よ って な さ れ た 不 動 産 債 務 関 係 は 総 額 七 二 、 ○ ○ ○ セ ス テ ル テ ィ ウ ス に
達 す る 。 こ れ に よ って 、 至 高 に し て 最 善 な る 元 首 ・最 高 司 令 官 ・カ エサ ル :不 ル ウ ァ ・ト ラ ヤ ヌ ス ・ア ウ グ ス ト
三九
ゥ ス ・ゲ ル マ ニク ス の 寛 大 な 思 召 に 従 って 、 少 年 少 女 た ち が 扶 養 費 を 以 下 の よ う に 受 け 取 る よ う に 。 嫡 出 男 子 、
古 典 古 代 社 会 の救 済 思 想 及 び 制 度 の研 究
(月 額 ) 一人 当 り 十 六 セ ス テ ル テ ィ ウ ス 、 小 計
佛 教 大 學 大 學 院 研 究 紀 要 號 十 七號
一八 名 、
(61)
四〇
(年 額 ) 三 、 四 五 六 セ ス テ ル テ ィウ ス に な る 。 嫡 出 女 子 、
(月 額 ) 一ニ セ ス テ ル テ ィ ゥ ス、 両 者 の 総 計 は 三 、 六 〇 〇 セ ス テ ル テ ィゥ ス に な り 、 上 記 の総 計 に 対 す る 五 パ ー
セ ソ ト の利率 に相 当 す る。 (以 下 略 )﹂
ま ず ﹁寛 大 な る 思 召 に従 い﹂ と いう記 述 が 目 に つく が 、 これ は古 代 エジ プ ト の ﹁教 訓﹂ 書 簡 類 に見 ら れ た、 あ る
い は古 代 .
バビ ロ ニア の ハソ ム i
hピ Hamm prapi王 の法 規 集 の序 文 及 び 結 文 を 想 起 さ せ る。 支 配 者 の上 か ら の強 烈
な 慈 恵 観 念 を 示 す 言 に等 し い。 ま た、 支 給 額 の男 女 差 別 等 は、 家 父 長 権 社 会 に典 型 的 な 社 会 意 識 の表 出 と し て、 更
に これ に関 係 し て、 嫡 出 か庶 子 か の違 いに基 づ く 支 給 年 額 の差 異 等 も 、 伝 統 的 価 値 観 や そ れ に伴 う 社 会 構造 に 帰 因
し て い ると 言 え る。 し か し、 ロー マ帝 政初 期 の生活 費 に於 て、 一般 に年 収 が 一万 四〇 〇 〇 セ ス テ ル テ ィウ ス、 月額
に し て約 = 一
〇 〇 セス テ ル テ ィウ ス で、 つま し く暮 せ た こと。 ま た麦 粉 一モデ ィウ ス (四升 七 合 ) に つい て 一〇 セ
ステ ルテ ィウ ス。 年 に 一人 で 六〇 モデ ィウ ス、 月 に直 し て五 モデ ィウ ス食 す ると 言 う から 、 金 額 で は 一人 五〇 セ ス
テ ルテ ィウ スか か る。 つま り、 食 費 と し て最 低 必 要額 の三分 の 一∼ 四分 の 一し か満 た し て いな いと いう 低 劣 な 支 給
水準 であ った し、 そ う し て み ると 様 々な 価 値 観 に由 来 す る支 給 額 上 の差 別 も激 し か った と言 わざ るを 得 な い。 ネ ル
パ ・ト ラヤ ヌ ス の時 代 に は、 こ の様 に国 家 が 直 接 数 個 の所領 を購 入 し、 そ れ ら を転 貸 し た り、 あ る いは低 当 に し て
譲 渡 せ し め る と いう 方 法 で、 賃 貸 料 ま た は抵 当 の利 子 で以 って施 設 を 運 営 し て いた のであ る。
で は次 に、 私 的 な ア リ メ ソタ制 度 に関 し て、 資 料 と し て は 二世 紀 の タ ッラキ ナ の文書 を引 用 し て お こう。
﹁ガイ ウ ス の娘 カ エリ ア ・マク リ ナ は遺 言 に よ って 三〇 万 セ ス テ ル テ ィウ ス で こ の記 念碑 が建 立 さ れ る よ う に
命 じ た 。 そ の装 飾 と維 持 のた め に ⋮ ⋮ セ ステ ル テ ィウ スを 遺 した 。 ま た 同 様 に、 彼 女 の息 子 マケ ル の思 い出 のた
め に、 タ ッラキ ナ の人 々に 一〇 〇 万 セ ステ ルテ ィウ スを 遺 し た。 これ は、 そ の金 額 から 利 子 収 益 によ って、 一〇
○ 人 の少 年 (と 一〇 〇 人 の少 女 と ) に扶 養 を 目 的 と し て、 毎 月 在 住 少 年 一人 当 り 五デ ナ リ ゥ ス、 毎 月 在 住 少 女 一
(6
2)
人 当 り 四デ ナリ ウ スを 、 少 年 は十 六歳 ま で、 少 女 は十 四 歳 ま で、 費 用 が 与 え ら れ る た め であ る。 か く のご と く 、
一〇 〇 人 の少 年 と 一〇 〇 人 の少 女 が 相 次 い で絶 え ず 受 け 取 るべ き であ る。﹂
セ ナ ツ ス
マク リ ナが 、 貧 困 児 童 の救 済 資 金 に当 て る目 的 で寄 贈 した 一〇 〇 万 セ ステ ルテ ィウ スと いう 額 は、 当 時 の上流 社
会 層 、 即 ち 元老 院 階 級 の資 格 財 産 に等 号 す る額 であ る 。 因 に、 中 流騎 士階 級 の資 格 財 産 が 四 〇 万 セ ステ ルテ ィウ ス
であ った。 ロー マ の資 産 家 の中 に は、 そ の後 継 者 のあ るな しを 間 わ ず 、 相 続 す べ き 財 産 の使 途 は、 所 謂 ﹁不幸 な る
子 供 達 の為 に﹂ と い った慈 悲 的観 点 か ら児 童 扶 養 の諸 制 度 へ、 あ る い は ﹁社 会 の為 に﹂ と いう 公 共 面 で役 立 て る用
途 を 願 って、 自 ら の財産 を贈 与 す る者 が 出 て来 て いる。 斯 か る現 象 は今 日 でも 見 ら れ る こと だ が、 制 度 的 に 歴史 上
展 開 さ れ てく る のが、 帝 政 期 以降 の ロー マ社 会 や中 世 期 の ヨー ロ ッパ社 会 であ り 、 殊 にキ リ ス ト教精 神 の滲 透 に伴
い、 宗 教 色 を混 合 し て漸 進 的 に拡 大 し て い った 私 的 な 慈 善 ・救 済 行 為 と 言 え よ う 。 そ し て、 こう し た私 的 な ア リ メ
ン タが 、 先 の公 的 な アリ メ ン タ制 度 の低 劣 な給 付 水 準 を始 めそ の他 の運 営 諸 経 費 を 補 足 す る こと で、 ロー マのア リ
結 語 に代 え て
メソ タ制 度 は成 立 し て いた の であ る。
八
ヨー ロ ッパ文 明 を 形 成 し、 そ の社 会 経 済 史 の基 盤 と な る潮 流 は、 オリ エン ト世 界 と 地 中海 世 界 よ り発 し て い る。
、
﹀計恕 &鳶 の の世界 帝 国 の建 設 に伴 い実 現 し て い る。 地 中 海 の領 域 国
(63 )
両 者 の文 化 的 ・社 会 構造 的 な差 異 に つ いて は、 本 論 文 中 にも 若 干 触 れ て いる が 、 斯 か る 両世 界 の融 合 は、 北 方 マケ
ド ニア の大 王と 呼 ば れ た ア レ ク サ ンド ロス
四一
家 に導 入 さ れ た オリ エソ ト的 思 想 や社 会 様 式 は、 ヘレ ニズ ム世 界 と し て開 花 す る。 更 に そ れが 、 後 に ゲ ル マ ンの上
古典古代 社会 の救済思想 及び制度 の研究
佛教大學大學院研究記要號十七號
四二
代 社会 と キ リ スト教 精 神 に色 彩 られ て、 中 世 に至 り ﹁ヨー ロ ッパ 世界 ﹂ の原 型 は固 め ら れ て行 く 。
所 謂、 古 典 古 代 と称 さ れ る古 代 ギ リ シ ア ・ロー マの両 時 代 、 都 市 国 家 の段 階 に到 達 し た共 同 体 原 理 は、 オ リ エソ
ト諸 民 族 と は異質 で 固有 のも のであ った。 個 の意 識 に支 え ら れ た 市 民 権 そ の他 の権 利 の主張 を有 す る ギ リ シ ア .ロ
ー マの社 会 に見 ら れ た構 成員 の結 合 は、 オ リ エント の専 制 君 主 下 の共 同 体 的 結 合 に 比 較 す る と、 よ り民 主的 に映 じ
る。 し か し、実 際 デ モ ク ラ シ ー の名 の下 に展 開 され る奴 隷 制 の社 会 形 態 は、 本質 的 に極 端 で矛 盾 し た人 間 の内 面 の
露 骨 な 表 出 に他 な ら な い。 強 者 が ﹁英 雄 ﹂ 視 され る武 装 市 民 団 にあ って、 人 間 の利 害 関 係 の葛 藤 を 武 力 に訴 え、 敗
者 は容 赦 な く 勝 利 者 の足 下 に踏 躪 ら れ隷 属 的 に緊 縛 さ れ る現 実 。 奴 隷 と いう 使 用 価 値 が 設定 さ れ た 人 々に於 て は、
最 早 生 き る術 は自 ら の労働 力 の拒 否 不 可能 な状 況 下 で の提 供 し かな い。 こ の点 で は オリ エソ トと 地 中 海 の両世 界 の
クリ エソテ ス
別 は なく 、 古 代 社 会 に共 通 す る典 型 的 な 人 間 の生 存 阻 害 を示 し て お り、 社 会 の下 部 構 造 の持 つ 一面 と 言 え る。
一方 、 古 典 古 代 の社 会 に於 け る貧 困 化 の現 象 は、 何 ら か の扶 養 を受 け る こと の でき た 奴 隷 や 被 護 民 よ り も、 寧 ろ
独音 営の畠 下層市民や蟹 された覊 鷹鼓 隷 の走 生じている。彼等は富禽 嘗 の勢力的な利蕪 求の余
波 を、 直 接 的 に被 った者 達 であ った。 農 民 達 は大 土 地 所有 制 の前 に没 落 し、 無 産 者 と な る か、 債 務 のた め に隷 民 化
バ ト リキ ロ
し て行 く 。 ま た、 生 産 の諸 条 件 を 土 地 所 有 以 外 に、 貨幣 経済 の滲 透 す る過 程 で、 手 工業 や 対 外 貿 易 の中 に生 業 を 見
出す 者 も、 都 市 を中 心 に増 加 し て い った。 だ が 彼 等 と て農 民 と 同様 に、 奴 隷 労 働 力 の大 量 流 入 に よ る貴 族 の独 占 商
業 のた め に、 無 産 者 へと 埋没 し て しま った者 達 であ った。
も と も と、 都 市 共 同体 の内 部 で は、 怠 惰 以 外 の名 誉 あ る戦 死 者 や 戦 傷 者 に対 し、 生 活 の困 窮 に際 し親 族 相 救 の望
め ぬ場 合 に は、 市 民 共 同体 の相 互 扶 助 を ポ リ スが 中 心 にな って機 能 行 使 し て いた が、 よ り広 範 囲 な貧 困 の社 会 問 題
化 に は、 構 成 員 の脱 落 防 止 のた め に 蜘灘 措 置 が と ら れ た。 それ は時 に債 務 関 係 の法 的 な解 消 と し て実 施 さ れ たが 、
テ ユラ ン ニス
榔 澱 策 の ほ と んど は土 地 の分 配 に よ る生 産 手 段 の実 質 的 提 供 に集 中 し て いるひ あ る い は、 力 鵑 係 の支 配 す る 社 会 に
あ って、 し かも 政 治 機 構 が 重 要 な 役 割 を 果 し得 た 段 階 に は、 これ を媒 介 に し た社 会 的 変 革 が 生 じ 、 僣 主 な る 者 が 一
時 的 な救 済 者 と し て登 場す る こと も あ った。 更 にギ リ シ ア で は民 主政 の完 成 期 に 至 り、 都 市 に於 け る貧 困 層 を 対 象
に職 の提供 や扶 助 手当 が 、 国 庫 か らそ の支 金 が 供 出 さ れ 、 ポ リ スを 主体 と し て実 施 され て い る。 貧 民 の救 済 は今 や
バ トリ キ ユ
体制 維 持 に 不 可欠 な政 策 の 一つと し て、 ロー マの如 く アリ メ ン タ の名 称 で制 度 化 の実 現 が 見 ら れ た の であ る。
ほ 最 後 に 、 古 典 古 代 の盛 時 の経 済 は 、 ロ ー マ貴 族 の ラ テ ィ フ ン デ ィウ ム経 営 に し て も 、 エジ プ ト に 見 ら れ た 様 な 製
油 業 の国 家 の独占 に し て も、 言 わば それ ら は オ イ コス経 済 の拡 大 形態 だ と 言 え る。 商 工業 の同 職 組 合 的 結 社 な ど も 、
バ トリ キユ
ノ コビ レ ス
生 産 的 庶 民 の自 発 的 団体 と し てあ ったが 、 合 理 的 企 業 に展 開 す る こと も な か った。 そ れ ら は階 級 的 支 配 の中 で、 国
家 に統 制 さ れ た 経済 と し てあ った の であ る。 ま た、 戦 争 ・略 奪 によ る 一部 特権 的貴 族 や新 貴 族 に蓄 積 され た資 本 は、
企 業 や 国 民 的 ・生産 的産 業 資 本 に転 化 さ れ る こと も なく 、 主 と し て祖 税 請 負 ・高 利 貸 ・宝 石商 等 の金 融 業 の非 生 産
bb° 55- 76°
consti
tu ti
on, 1961, L ondon,
John
W arrington, A ri
stotles's
V . G . Chi
lde, W hat
.happened i
n hi
story, N ew
Transl
ated by A °E.T aylor,Plato,T he Law s,
Transl
ated by S°ρ
A ndrew ,Hom er'
s Odyssey,
四三
セ イ ア ー ﹄ 下 巻 、 岩 波 文 庫 、 三 〇 九 1 11
11O 頁 。
1967, London, p.289. 呉 茂 一訳 、 ホ メ ロ ス ﹃オ デ ュッ
(4 )
十三巻、岩波書店、三七入頁。
1969,London,p° 一〇9 (以 下 、 ℃H) ﹃プ ラ ト ソ 全 集 ﹄ 第
(m )
的 な 投 資 が な さ れ、 結局 、 地中 海 世 界 の資 源 の消 耗 を 招 来 し て、 都 市 は没 落 し て行 く のであ る。
注
( )
Y ork , 19Q。ρ
by
A th enian
T ransl
ated
一〇 頁 。
(以 下 、 諺 触) ﹃ア リ ス ト テ レ ス 全 集 ﹄ 第 十 五 巻 、
Pol
iti
cs and
(2 )
℃D 一ρ
岩 波 書 店 、
古 典 古 代 社 会 の 救 済 思 想 及 び 制 度 の 研 究
(5 )
佛 教 大 學 大 學 院 研 究 紀 要 號 十 七號
(一九 四 六 年 、 全 国 書 房 、 六 〇 1 六 一頁 )。
田 中 秀 央 訳 、 T ・G ・タ ッ カ ー ﹃古 代 ア テ ー ナ イ 人
の生活 ﹄
(6 ) T ransl
ated by R. I° Frank, M ax W eber, The
A grari
an Soci
ol
ogy of Anci
ent Ci
vi
li
zati
on, 1976,
]
≦ °乏 ゜p, 55.
(一九 八 七 年 、
(一九 七 三 年 、 岩 波 書 店 )
﹃西 洋 古 代 史 料 集 ﹄
﹃世 界 歴 史 ﹄ 古 代 2
b℃°42- 43° (以 下 、 ζ ゜ ≦ )
(7 )
(8 )
古山正人他編訳
四〇七頁。
(9 )
例 え ば 、 児 童 の教 育 に関 し て、家 庭教 師 は解 放奴 隷
東 京 大 学 出 版 会 ) 一二 五 1 = 一六 頁 。
(10 )
( )
国 .T he Law s,p° 一b。ω゜
PI.T he Law s,p° 一8 °
﹃ロ ー マ
から 選 択 さ れ 、 教 養 の深 さ か ら 、 特 にギ リ シア 人 が好 ん
で 用 い ら れ た (藤 沢 直 郎 訳 、 1 ・モ ソ タ ネ ッ リ
(12 )
T ransl
ated by A.D .Li
ndsay,Pl
ato'
s Republ
ic,
の 歴 史 ﹄、 中 央 公 論 社 ) 十 三 頁 。
( )
(16 )
(15 )
(14 )
松 坂 佐 一 ﹃プ ラ ト ソ と 法 律 ﹄
コ .T he Laws, pp. 17Q。1 一Q◎O°
コ .T he Laws, p.30.
コ .T he Law s, p.194.
国 ゜Republi
c, pp° 149- 150°
1969, London, p°bの㊤Q◎°
(17 )
( 一九 八 七 年 、 名 古 屋
(18 )
大 学出 版 会 ) 七頁 。
OxFord,pp°202- 203°
四四
(19 ) Liddl
e and Scott,G reek-Engl
ish Lexicon, 1986,
﹃古 典 期 ア テ ネ の 政 治 と 社 会 ﹄
(一九 八 二
S ?° E. A. W al
l
is Budge,
(以 下 、 国Φ) 松 平 千 秋 訳 ﹃仕 事 の 日 ﹄、 岩 波 文 庫 、
Hesiod,W ork and Days, 1979,N ew York,pp.29︲
(20 ) 原 典 が 掲 載 さ れ て ; rC
a°Edited by T .A .Sinclair,
。。9
ri
ght and truth
四 二頁 。
(N )
伊藤貞夫
Egyptian Language,London,p.227.
(22 )
住 民 の移 動 が あ り 、 小 共 同 体 は よ り 大 き な ポ リ ス共
年 、 東 大 出 版 社 ) 六 二頁 。
同 右 、 ㎎ 一四 〇 、 一四 一、 一四 四 ー 一四 五 、 一五 三
前載
同 体 に統 合 さ れ た。
(23 )
(24 )
﹃.
フ ラ ト ン 全 集 ﹄ 1 一四 七 - 一四 八 、 一四 九 頁 。
(25 )
T ranslated by D avid Ross, The Nicom achean
- 一五 四 頁 。
騨 ミ 愈 q晉 兮 ミ の
Ethics of Ari
stotl
e,1972,O xford,p. 111.
(N
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°)
He, P°ω心゜ ミ 葛 の 誌 為 ↓ミ 同鉢喰論§
av8pi°
(N )
(28) ギ リ シ ア神 界 の最 高 神 、 神 話 で は テ ィ ー タ ー ソ の ク
ロ ノ スと レ ア ー の子 (高 律 春 繁 訳 、 アポ ロド ー ロス ﹃ギ
リ シ ア神 話 ﹄、 岩 波 文 庫 、 二九 ー 三〇 頁 )。
(N )
He,pp.50- 51°
Oo諺 鉱ε 什陣
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s, Der U rsprung der Fam il
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(30 ) 諺 さ 諺 § Φ巳 穹
des Pri
vatel
gentum s and des staats, 1977,Berli
n,
(; )
(4
2)
Donal
d D udley, Rom an Soci
ety, 1985, N ew
同 右 、 一二 六 頁 。
前載
﹃西 洋 古 代 史 料 集 ﹄、 二 二八 頁 。
(M4 )
( 一九 八 七 年 、
( )
弓 削 達 ﹃ロ ー マ帝 国 の 国 家 と 社 会 ﹄
York,pp.37-41.
(45 )
(48 )
(47 )
前載
前載
﹃年 代 記 ﹄ 上 、 三 九 六 頁 。
﹃ロ ー マ法 概 説 ﹄' 1X10 頁 。
年 、 岩 波 文 庫 ) 一四 頁 。
国 原 吉 之 助 訳 、 タ キ ト ゥ ス ﹃年 代 記 ﹄ LlC 1九 入 六
岩 波書 店 ) 九 頁 。
0りω゜ 133- 134. 戸 原 四 郎 訳 ﹃家 族 ・私 有 財 産 ・国 家 の 起
源 ﹄、 岩 波 文 庫 、 一五 七 頁 。
クリ エソス
(46 )
﹃ロ ー マ法 概 説 ﹄
バト ロヌス
︹そ の ︺ 庇 護 民 を 欺 き し
( 一九 八 一年 、 玄 文 社 )
八頁 。
(32 ) 柴 田 光 蔵
=
場 合 は 、 呪 わ る べ し ﹂。
(33 ) 第 八 表 第 二 一 ﹁保 護 主 も し
い る カプ ア の剣 闘 士 奴 隷 養 成 所 に いた ス パ ルタ ク ス の蜂
ア ツ ピ ア ノ ス 諺 b域 碧 oの の ﹃内 乱 史 ﹄ に 詳 述 さ れ て
前載
起
(49 )
A r.Pol
iti
cs,p° 置 。。°
﹃西 洋 古 代 史 料 集 ﹄、 一二 四 頁 。
(34 )
﹀ ﹃°A thenian consti
tuti
on, pp. 258-259°
﹃西 洋 古 代 史 料 集 ﹄ 一四 二ー 一四 三 頁 )。
(35 )
鈴 木 幹 也 訳 、 ジ ャ ン ・プ ラ ン ﹃ソ ク ラ テ ス 以 乢
朋 の哲
(一九 七 九 年 、 朝
﹃古 い 医 術 に つ い て ﹄
﹃医 学 思 想 と 人 間 ﹄
( 一九 八 五 年 、 白 水 社 ) 11
1九 - 五 八 頁 。
一五 頁 。
村 上 陽 一郎 編
小 川 政 恭 訳 、 ヒポ ク ラ テ ス
(53 ) コ ゜Republi
c,p°8 °
﹁神 と 英 雄 を 称 え て 集 合 す る 人 々 ﹂ の 意
(54 ) コ ゜Republi
c,pp.91-92°
リ シ ア 社 会 史 研 究 ﹄、 二 六 ニ ー 二 六 三 頁 )。
(55 )
四五
(前 掲
﹃ギ
(一九 八 五 年 、 岩 波 文 庫 ) 三 八 - 五 八 頁 、 五 九 - 八 四 頁 。
(52 )
倉 書 店 ) 一四 -
(51 )
学﹄
(前 掲
(36 )
﹁デ ィ オ ニ ュソ ス﹂
GreekEngl
i
sh Lexi
con, pp.364-365.
(50 )
Antony A ndrews, Greek Soci
ety, 1984, New
の 生 地 、 ホ メ ロ ス の時 代 に は 神
(37 )
York,pp°120-121°
アポ ニソ 、
﹂ま 爻 §
事 同 盟 、 僣 主 の時 代 は海 洋 国 家 同 盟 の会議 場 と な っ た
へ38 )
﹃ギ リ シ ア 社 会 史 研 究 ﹄、 未 来 社 、 一六 五 頁 )。
(吉 田 敦 彦
パ ッ コ ス と も 言 う 。 ト ラ ー キ ア ・ マ ケ ド ニ ア の宗 教
(高 山 一十
(3
9)
前載
﹃思 想 ﹄ 六 六 一号 、 岩 波 書 店 、 五 入 ー 七 五 頁 。
的 な 狂 乱 を 伴 う 儀 式 の神
(° )
﹃古 典 期 ア テ ネ の 政 治 と 社 会 ﹄、 一二 七 頁 。
(41 )
古 典 古 代 社 会 の救 済 思 想 及 び制 度 の研究
佛教大學大學院研究紀要號十七號
四六
(60 )
前掲
前掲
﹃西 洋 古 代 史 料 集 ﹄、 一七 四 - 一七 五 頁 。
﹃基 督 教 の 発 生 と 古 代 無 産 階 級 ﹄、 一九 七 頁 。
(R om an soci
ety,pp°189-192°)
(61 )
同 右 、 一七 五 頁 。
ニヌ ス) の治政
﹁徒 弟 制 度 ﹂ に伴 って 、 家 族 以 外 の弟 子 に も伝 授 さ れ る
在 位 前 三 三 六 - 三 111
11
年
(56) こ の頃 、 家 族 内 に 限 ら れ て いた秘 密 技 能 は、 所 謂
よ う にな った 。 ギ リ シ ア時代 は医師 の免 許 制 度 が な か っ
(62 )
攻)
トボ ス
コユ メ (大 学 院 社 会 学 研 究 科 博 士 課 程 後 期 ・社 会学 ・社会 福祉 学 専
理 さ れ て いた (前 掲 ﹃西 洋 古代 史料 集 ﹄、 八 ニー 八 四頁 )。
(64) 生 産 から 販 売 ま でが 県 ・群 ・村 の官 僚 機 構 に独 占 管
ノモス
﹃英 雄 伝 ﹄ 武 将 の巻 、 第 一書 房 、 五 ー 一 一七 頁 )。
く鶴 見 祐 輔 訳 、 プ ル タ ー ク
(63 )
た の で、 医 学 の知 識 を 有 し 医 術 の経 験 を有 す る者 は自 由
に開 業 す る こと を 許 可 さ れ た 。 た だ ア テ ナ イ に関 し て は、
官 医 は市 民 会 議 で選 出 さ れ て いる 。
(57) 前 掲 ﹃ギ リ シ ア社 会 史 研 究 ﹄、 一五 一頁。
(58) 近 藤 宗 男 訳 、 カ ー ル ・カ ウ ッキ ー ﹃基 督 教 の発 生 と
古 代 無 産 階 級 ﹄ (一九 二九 年 、 社 会 評論 社 ) 一九 五 頁。
ン ト ニヌ ス Hピ ウ ス ・マル ク ス ーー アウ レリ ウ スーー ア ソト
(59) 五賢 帝 (ネ ルヴ ァ ・ト ラ ヤ ヌ ス .ハド リ ア ヌ ス ・ア
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