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論文紹介

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論文紹介
論文紹介
ダイナミックレンジ補償機能を付加した
200万枚/秒30万画素単板式放送用超高速度カラーカメラ
映像情報メディア学会誌,Vol.66, No.7, pp.J221­J226(2012)
新井俊希,米内 淳,北村和也,大竹 浩,林田哲哉※1,並木 純※2,吉田哲男※2
※1 NHK­ES ※2(株)
日立国際電気
ダイナミックレンジを補償した最高撮影速度200万枚/sの30万画素単板式超高速度カラーカメラを開発した。超高速度カメラ
では各画素にCCDメモリーを持たせて200万枚/sの超高速度撮影を実現している。しかし,50万枚/s以上の撮影速度において
は,映像のダイナミックレンジが低下するという課題があった。今回,この原因をシミュレーションで解析して,50万枚/s
以上の撮影速度においては,CCDメモリーの電極容量とそれを駆動する配線の抵抗によってCCDメモリーに加える駆動波形
になまりが発生し,CCDメモリーに蓄積できる電荷量が減少することを明らかにした。そこで,超高速撮影時には駆動パル
スの電圧振幅を高く設定し,駆動波形のなまりを補償して蓄積電荷量の減少を防ぐダイナミックレンジ補償駆動方式を新規に
開発した。撮影実験の結果,200万枚/s時の映像のダイナミックレンジは41.5dBであり,ダイナミックレンジを最大4.7dB改善
することができた。
韻律に寄与する音響特徴量を用いた聞きやすい高速話速変換技術
映像情報メディア学会誌,Vol.66, No.7, pp.214­220(2012)
今井 篤,田澤直幸※1,岩鼻幸男※1,都木 徹※1,清山信正,田中敏明※2,伊福部達※2
※1 NHK­ES ※2 東京大学
オーディオブックやICレコーダーなどで,録音された音声を高速で聞きやすく再生するための適応的な話速変換技術を提案す
る。いわゆる「斜め読み」で文字を速く読むことはできるが,音声を速く聞くことはできないという課題がある。そこで,一
定の速さで音声を高速再生するのではなく,発話内容を理解するために重要と考えられる部分を聞き取りやすく再生する方法
を考案した。日本語では韻律(声の高さやイントネーションなど)に発話意図が現れるので,声の大きさ(音圧)と声の高さ
(基本周波数)の時間変化に着目し,共に高い部分ほどゆっくりと再生して聞き取りやすくし,逆の場合には速く再生したり
削除したりしてメリハリのある再生を実現した。高速音声に日常的に接している視覚障害者を対象に聞き取り実験を行ない,
再生時間の等しい一様伸縮音声と比較した結果,3倍速を超える高速音声の聞き取りにおいて,高い有効性が認められた。ま
た,2つの音響特徴量の重み付けを可変にすることで,日本語だけでなく外国語への適用の可能性も示唆された。
Seamless, Synchronous, and Supportive : Welcome to Hybridcast
IEEE Consumer Electronics Magazine, Vol.1, No.2, pp.43­52(2012)
馬場秋継,松村欣司,三矢茂明,武智 秀,藤沢 寛,浜田浩行,砂崎俊二,加藤久和
放送と通信のそれぞれの利点を生かした放送通信連携サービスを実現するための技術基盤の構築を目指してHybridcast®の研
究を進めている。本論文では,放送番組からVOD(Video On Demand)番組へ誘導するサービスや番組の視聴方法をカスタ
マイズするサービス,SNS(Social Networking Service)と連携したサービス,スマートホンやタブレットなどのモバイル端
末とテレビを連携するサービスなど,多様で多機能な放送サービスを実現するためのシステム構成を提案した。更に,想定す
るサービスを支える要素技術として,放送と通信コンテンツの高精度同期技術や端末連携技術などを提案し,サービス提供サー
バーやプロトタイプ受信機などで構成される検証システムに組み込んで各種サービスの実現性を示した。現在,放送通信連携
サービスのための技術仕様の標準化が進められており,Hybridcastの技術によって魅力的なサービスが近い将来に実現するこ
とが期待される。
Analysis of the Influence of Sputtering Damage to Polymer Gate Insulators
in Amorphous InGaZnO4 Thin−Film Transistors
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.51, pp.044105.1­044105.5(2012)
中田 充,佐藤弘人,中嶋宜樹,辻 博史,藤崎好英,武井達哉,山本敏裕,藤掛英夫
シート状の大画面スーパーハイビジョンディスプレーを実現するためには,駆動用の高速な薄膜トランジスター(TFT:Thin
­Film Transistor)と,耐熱温度の低いプラスチック基板を適用するための低温形成技術が必須である。そのために,従来の
非晶質シリコンTFTよりも約20倍の高速駆動が可能な酸化物半導体In­Ga­Zn­O(IGZO)を用いたTFTの低温形成技術の研
究開発を進めている。今回,TFTのゲート絶縁膜に塗布型ポリマーを用いて,従来のゲート絶縁膜(SiOx)を用いた場合よ
りも大幅に低温(130℃)でTFTを形成することに成功した。また,IGZO膜の形成工程がポリマー膜に与えるダメージを分
析し,TFT構造の最適化を行った。ゲート絶縁膜上に半導体を形成するボトムゲート構造では,IGZO膜を形成する際に金属
元素がポリマー膜中に拡散し過剰電子を誘起するので,十分に電流を制御できないことが分かった。そこで,半導体上にゲー
ト絶縁膜を形成するトップゲート構造とした。これによりポリマー膜へのダメージを防ぐことができ,低温形成で良好なTFT
特性が得られることを明らかにした。
NHK技研 R&D/No.137/2013.1
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