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学習メモ
生物基礎 テレビ学習メモ 第6回 今回学ぶこと 生物が細胞の中で、酸素を使って有機物 呼吸 を水と二酸化炭素に分解し、エネルギーを 取りだす過程のことを「呼吸」といいます。 細胞内で行われる呼吸は、燃焼とは異なり、 酵素のはたらきで体温程度の低い温度でも 監修講師 反応が進みます。取り出されたエネルギー 奥脇 亮 は ATP という物資の形で細胞内に蓄えら れます。このような酸素を使った呼吸の反 調べておこう・覚えておこう 応は、細胞の中のミトコンドリアという細 ATP/有機物/化学エネルギー/ 酵素/ミトコンドリア Point 胞小器官で行われます。 なぜ酸素が必要か 肺で体内に取り込まれた酸素は、血液によって運ばれ、最終的に細胞の中へと運ばれる。細胞 ▼ の中では、酸素を使って有機物が水と二酸化炭素に分解され、その際に発生した化学エネルギー が ATP という物質の形で蓄えられる。 私たちは体をつくるの物質を合成したり、動いたり、神経を活動させて考えたり、生きていく ために大量の ATP を必要とする。私たちが生きていくために必要な多くのエネルギーを生み出 すために、酸素は必要なのである。 Point 呼吸という反応 有機物と酸素が、最終的に水と二酸化炭素になり、そのときエネルギーが発生するという意味 では、燃焼も呼吸も同じ反応である。 しかし、燃焼では反応を始めるのに高い温度が必要だが、呼吸では体温程度の温度でも反応が 始まる。これは体内には酵素が存在し、低い温度でも効率よく反応が進むからである。 − 11 − 高校講座・学習メモ 生物基礎 呼吸 また、燃焼では反応によって大きな熱エネルギーが一気に放出されるが、私たち生物は熱エネ ルギーを基本的には利用することができない。呼吸では何段階にも小分けにして反応を進めるこ とによって、生物の利用できる化学エネルギーの形でエネルギーを取り出している。 Point ミトコンドリアの構造とはたらき 細胞内で酸素が使われるのは、ミトコンドリアという細胞小器官の中である。 ミトコンドリアは、外と内の二重の膜で包まれており、この膜の中に呼吸に必要な酵素が含ま れている。 呼吸に関係する酵素が、膜に区切られた場所に集中して存在することにより、効率よく呼吸の 反応が進んでいくのである。 ▼ 光私たちに必要なエネルギーを細胞内でつくり出してくれているミトコンドリ アという細胞小器官は、もともとは独立した別の微生物が、私たちの細胞の column もう半歩 先に 中に取り込まれてできたのだと考えられている。この過程を細胞内共生という。 ミトコンドリアはエネルギーを生み出す重要な細胞小器官なので、ミトコンドリアに不具合が生 じると病気になる場合があることが知られている。ミトコンドリアは私たちの健康にもかかわる重 要な細胞小器官なのだ。 参考文献 黒岩常祥著「ミトコンドリアはどこからきたか―生命 40 億年を遡る」(2000) NHK ブックス NHK「サイエンスZERO」取材班/太田成男 編著「ミトコンドリアの新常識」(2011) NHK 出版 − 12 − 高校講座・学習メモ