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第6学年 道徳学習指導案 授業者 教諭 高橋 聡子 1 主題名 男女の友情

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第6学年 道徳学習指導案 授業者 教諭 高橋 聡子 1 主題名 男女の友情
第6学年
道徳学習指導案
授業者 教諭 高橋 聡子
1 主題名
男女の友情と協力 2-(3)
2 主題設定の理由
(1)主題について
高学年の内容項目2-(3)は,
「互いに信頼し,学び合って友情を深め,男女仲よく協力し助け合
う。
」というものである。
人間関係を結びつけ,社会生活を成立させる基本は信頼である。信頼関係が築かれていれば,互い
に相手を認め,協力し合い,助け合う関係が生まれ,人間尊重につながる。児童にとって友情を築く
ための土台は信頼である。友達同士の信頼関係の下に,学び合う活動を通して互いに磨き合い,真の
友情を育てることが求められる。
この時期に利害関係のない純粋な友情を大事に育てたい。さらに男女の正しい友情の芽を育て,友
情は性別を超えたものであることに気付かせたい。そして,責任ある立場を自覚し,みんなから信頼
される人間になるよう努力することの大切さに気付かせたいと考え,本主題を設定した。
(2)児童の実態(10名)
最高学年となり,学校のリーダーであることを自覚して日々の活動に積極的に取り組む姿が見られ
る。本学級は男子7名,女子3名の少人数学級である。1年生から同じ学級で共に過ごし,お互いを
よく知っている仲間である。4月に転入生を迎えたことで,学級の雰囲気がさらに明るく活気あるも
のとなった。
本主題に関する児童の実態を把握するために意識調査を行った。結果は次の通りである。
(a~g男子,h~j女子)
① 友達とは,どんな人だと思いますか。
a普通の人 b困ったときに助けてくれる人 c苦しい時は助け合い,楽しい時は一緒に笑う人
dやさしい人 e遊んだり話し合ったり協力したりする人 f仲良く楽しい人 g仲の良い人,
信頼できる人 h一緒に話をしたり,遊んだりする人 i分かり合える人,一緒に笑える人
j相手のことをよく分かる人,助け合う人
② どんな時,友達はいいなと思いますか。
a遊ぶ時 b友達と笑っている時,楽しい時 c一緒に遊んで楽しいと思う時 d困った時助け
てくれる,遊ぶ時 e励ましてもらったり一緒に遊んだりする時 f自分が困っている時に助け
てくれる時 g遊んでくれた時,協力してくれる時 h分からない時や困ったときに助けてくれ
る時 i励ましてくれる時,遊んでいる時,優しい時,一緒に笑っている時 jいろいろな悩み
を聞いてくれる時,助け合って活動する時
③ よい友達であるためには,どんなことが大切だと思いますか。
a普通にしている bけんかをせず,仲良くする c友達がいやがることをしない,友達が苦し
んでいる時は助けてあげる。 d仲良くする e仲良くする,けんかをしてもすぐあやまる
f友達の話をよく聞き,自分勝手な行動はしない gけんかをしない,うそをつかない,信頼す
ること,いやなことを言わないこと h優しさ iうそをついたり,相手がいやな気持ちになら
ないようにする j思いやり
④ 男女ともに仲良くしていますか。
ア している(i)
イ していない(a,b,c,d,e,f,g,h,j)
(理由)
ア(i自分から話しかけ,話題をつくったりしているから)
イ(a遊びが合わない b話しかけたりしない c話が合わない d興味や見ている番組が違う
eあまり遊ばない f一人で本を読んでいることが多い g話や遊びのきっかけがない
h話したり遊んだりしていない j話をしたりしていない)
⑤ 信頼される人になるには,どんなことが必要だと思いますか。
a約束を守る b優しさ,約束を守る c優しい心,思いやりのある心 d何でもがんばること
e友達に優しくする f約束を破らず,人に優しさをもって接する gうそをつかない,頼りに
なる h優しさ,すぐにむつけない iうそをつかない j思いやり
児童は友達として楽しさや優しさ,思いやり,一緒にいて楽しい人を求めている。また,悩みを聞い
てくれたり,困ったときに助けてくれたりすることも必要なことと考えている。一方,自分が良い友達
であるためには,相手に求めることを自分も理想とし,心がけていこうとしていることが分かる。相手
に対して誠実な態度で信頼されることが大切であることを自覚している。しかし,日常の態度や友達関
係を見ていると,分かっていても自己中心的な態度で相手に接してしまうこともある。また,ほとんど
の児童が男女があまり仲良くしていないととらえている。理由として遊びの好みや興味が男女で違うこ
とが挙げられているが,第2次性徴期に入る児童にとって,異性に対する正しい理解と男女間の友情を
育てていくことが課題であるといえる。さらに,一緒にいて楽しいだけではなく,励まし合い忠告し合
ったりしてお互いを切磋琢磨する真の友情に発展させていくことが求められる。
(3)資料について
① 資料名
言葉のおくりもの (東京書籍
道徳 明日をめざして 6年)
② 資料の取り扱い
すみ子と仲の良いところをたかしに見られ,からかわれたり,周りに言いふらされたりするの
をいやがる一郎は,すみ子をわざと避けようとする。小さなことにこだわらない明るい性格のす
み子は,たかしのリレーでの失敗を許し,一郎の誕生日には,すばらしい「言葉のおくりもの」
をする,という内容である。
揺れ動くこの時期の男女関係を,明るいすみ子,明るい学級の様子を中心に現実の問題として
描き,児童をひきつけてくれる資料である。主人公の考えや行動に共感しつつ,お互いに信頼し
合って友情を深め,男女相互に理解し,協力する態度を養うのに適した資料であると考える。
③ 資料分析(別紙1)
(4)指導にあたって
① 総合単元の構成の工夫とその関連(別紙2:第6学年総合単元的な道徳学習構想表参照)
○ 事前の学校行事である「運動会」
「修学旅行」など,友達と協力して行ってきた体験とのか
かわりを意識させ,他教科との関連を図り,心情を高め,実践への意欲が継続するように支援
していきたい。
○ 事後の学級活動において,グループエンカウンター「言葉のおくりもの」を行う。友達の良
いところをお互いに見つけるためにエクササイズを行い,活動を通しての感想を振り返って共
有し,友情を深め広げていこうとする心情を高める。
○ 日常の生活において,児童が協力し励まし合って物事に取り組み,友情をはぐくむ場面は数
多くある。日常の各場面において,児童がお互いに信頼し,助け合うことの大切さに気付かせ
るような支援に心がける。また,学級全員で遊ぶ活動やお互いの良さに目を向けて伝え合う活
動を意図的に設定することを通して児童の意識を高めていきたい。
② 資料の選択について
○ 同年代の児童が登場し,身近に起こりうる問題を取り上げており,児童が興味をもって読み
進め,自分の経験と重ね合わせながら学習に取り組むことができる資料である。
○ 児童が主人公に共感し,自己の体験を想起しながら意欲的に価値を追究していくことができ
る資料である。
③ 学習過程の工夫について
○ 「気づく」段階では,友達がいてよかったと思った経験を話し合う。事前の意識調査をもと
に意図的に指名し,価値への方向付けを図る。
○ 「つかむ」段階では,心の葛藤の多い一郎の気持ちを中心に話し合う。一郎,すみ子,たか
しの顔の絵を提示し,3人の心の動きを捉えやすくする。また,中心発問では書く活動を導入
し,資料の中の登場人物の心情をつかみやすくする。
○ 「見つめる」段階では,男女仲良くするためやよい友達であるために,どんなことが大切か
を記入し,話し合う。考えを発表させることでお互いの考えや体験を交流し,実践化へつなげ
られるようにする。事前の意識調査と比較し,児童一人一人の心情の変化を読み取る。
○ 「あたためる」段階では,本時の学習を振り返り,詩を紹介して自分なりに味わわせ,余韻
を残して終わる。
3 ねらい
互いに信頼し合って友情を深め,男女相互に理解し,協力する態度を養う。
4 準備物
<教師> 資料,事前の意識調査,登場人物の顔の絵,ワークシート,
<児童> 資料,事前の意識調査,筆記用具
5 学習過程
段階 学習活動と主な発問・予想される児童の反応
気
づ
く
教 師 の 支 援
※ 評価(方法)
・準備物
1 友達がいてよかったと思った経験を話し合 ・ 事前の意識調査をも ・事前の意識調査
う。
とに意図的に指名し,
価値への方向付けを図 ※これまでの経験
どんなとき,友達はいいなと思います
る。
を想起し,本時の
か。
学習への興味が高
・ 楽しく遊び,笑い合うとき。
まったか。
・ 困っているときに励ましたり助けてくれ
(発表・表情)
たりする。
2 資料「言葉のおくりもの」を読んで話し合 ・ 一郎,すみ子,たか
う。
しの顔の絵を提示し, ・資料
(1)すみ子に怒った態度をとった時の一郎の 3人の心の動きをとら ・顔の絵
えやすくする。
気持ちを考える。
つ
か
む
一郎がすみ子に怒った態度をとったの
はどういう気持ちからでしょうか。
・ 経験を想起し,日頃 ※冷やかされたく
・ また,たかしに冷やかされる。
の自分たちの男女の仲 なくて冷たい態度
・ すみ子と仲がいいと思われるのはいやだ。 についての気持ちを素 をとってしまう主
・ こんなことでからかわれたくない。
直に出せるようにす 人公の気持ちに気
る。
付くことができた
(2)たかしをかばい,力づけるすみ子に対し
か。
(発表)
ての一郎の気持ちを考える。
リレーで失敗したたかしをかばい,力
づけるすみ子を一郎はどのように思った
でしょうか。
つ
か
む
見
つ
め
る
あ
た
た
め
る
・ 一郎のすみ子に対す
る本当の気持ちをとら
えさせる。すみ子の寛 ※すみ子の寛容な
容な態度に気付くこと 態度に気付くこと
・ 失敗したたかしをかばうなんて。
ができるようにする。 ができたか。
・ 失敗を許せるすみ子は心が広い。
(発表)
・ 誰に対しても優しく思いやりをもって接
している。
(3)すみ子の「言葉のおくりもの」に対して ・ すみ子の男女を超え
の一郎やクラスの友達の気持ちを考える。 た友達を思うすがすが
しい態度についてじっ
誕生日のすみ子の「言葉のおくりも
くりと考え,味わえる
の」に,一郎やクラスの友達はどう思
ようにする。
ったでしょうか。
・ 個人の関係だけにと
どまらず,学級全体に目
・
(一郎)すみ子の自分への励ましはうれしく を向け,明るい学級づく
ありがたい。
りへの自覚を高める。
・
(一郎)これまでの自分の態度が恥ずかしい。 ・ ワークシートを活用
これからもっと男女仲良く明るい友達でい し,一人一人がじっく
たい。
りと考える時間を与
・
(たかし)ちょっとしたことを冷やかしたり え,多様な考えを引き
して悪かった。すみ子の言うようにみんな 出せるようにする。
で明るい学級をつくりたい。
・ワークシート
3 男女仲良くするためやよい友達であるため ・ 考えを発表させるこ
に,どんなことが大切か,話し合う。
とでお互いの考えや体
験を交流し,実践化へ
男女仲良くするためやよい友達であ
とつなげる。
るために,どんなことが大切だと思いま
・
事前の意識調査と比
すか。
較し,児童一人一人の
・ ちょっとしたことを冷やかしたりしない。 心情の変化を読み取
る。
・ よさをお互いに見つけ,認め合う。
・ 相手の気持ちを考えて行動する。
・
4 学習を振り返り,詩を味わう。
※すみ子のすがす
がしい態度に共感
し,学ぼうとする
気持ちをもつこと
ができたか。
(発表・ワークシ
ート)
※自分の生活を振
り返り,積極的に
話し合うことがで
きたか。
(発表・ワークシ
ート)
・ 活動を振り返り,詩
を読み,余韻を残して ※詩を味わい,意
終わる。
欲が高まったか。
(観察)
6 評価
○ 主人公の気持ちに共感し,互いに信頼し合って友情を深め,男女相互に理解し,協力しようとす
る心情が高まったか。
(意欲・関心・態度)
○ 男女関係なく,相手を認め信頼し助け合おうとする意欲をもつことができたか。
(意欲・関心・態度)
7 板書計画
すみ子
たかし
怒った態度
一郎
言葉のおくりもの
失敗をかばう
冷やかす
よい友達で
あるために
言葉のおくりもの
一郎さん、誕生日おめでとう。わたしは、
・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・一郎さん、がんばってください。
男女仲良く
するために
〔別紙1:2-(3)-③ 資料分析〕
資料名 「言葉のおくりもの」
2-(3)信頼友情,男女の協力
関連 1-(4)誠実,明朗
2-(2)思いやり,親切
ねらい
互いに信頼し合って友情を深め,男女相互に理解し,協力する態度を養う。
《 場 面 》
《主人公の言動・心情》
・ また,たかしに冷やかさ
れる。
・ 手伝ってもらうとかえっ
てめいわくだ。
・ 一緒にいるところを見ら
れたくない。
子供会の
リレーで,た
かしがバト
ンをおとし
てしまうが,
すみ子はそ
れをかばう。
・ 失敗したたかしをかばうな
んて。
・ 失敗を許せるすみ子は心が
広い。
・ 誰に対しても優しく思いや
りをもって接している。
一郎の誕
生日。すみ子
も言葉のお
くりものを
する。教室の
あちこちか
ら拍手が起
こる。
・ すみ子の自分への励ましは
うれしくありがたい。
・ これまでの自分の態度が恥
ずかしい。これからもっと男
女仲良く明るい友達でいた
い。
・ すみ子の言うようにみんな
で明るい学級をつくりたい。
リレーで失敗したたかし
をかばい,力づけるすみ
子を一郎はどのように思
ったでしょうか。
誕生日のすみ子の「言
葉のおくりもの」に,一
郎やクラスの友達はどう
思ったでしょうか。
思いやり、親切
植木鉢を
落とした一
郎にすみ子
が手伝おう
とするが,断
る。
一郎がすみ子に怒った
態度をとったのは,どう
いう気持ちからでしょう
か。
誠実、明朗
・ こんなことでからかわれ
たくない。
・ すみ子と仲がいいと思わ
れるのはいやだ。
・ あまり近寄るな。
・ ゆううつだ。
内容項目
信頼・友情、男女の協力
一郎の消
しゴムを拾
ったすみ子
に感謝の気
持ちを表し
たことで冷
やかされる。
《 主な発問 》
別紙2:2-(4)-① 第6学年総合単元的な道徳学習構想表
内容項目
ねらい
月
意識の
流れ
2-(3)信頼友情,男女の協力
1-(4)誠実,明朗
2-(2)思いやり,親切
互いに信頼し合って友情を深め,男女相互に理解し,協力する態度を養う。
5
6
7
いいところを 見つけ
一緒に活動してみると楽し
お互いに助け合い,励まし
何事も力を合わせてが
り組み,成功させ
てもらうとうれしい。
い。友達の良さを再発見で
合うことが大切だな。信頼
んばっていこう。より
よう。
いい友達でいたい。
きた!
される人になりたい。
よい学級にしたい。
力を合わせて取
道徳
行事(5)
「運動会」
「言葉のおくりもの」
行事(5)
「修学旅行」
学級活動(1)
(信頼友情,男女の協力)
「言葉のおくりもの」
道徳
「明日香と弥生」
総合(2)
「キャップハンディ体験」
(信頼友情,男女の協力)
昼休み(継続)
「学級のみんなで遊ぼう」
総合(6)
(エンカウンター)
指導
「シエスタへの
訪問」
帰りの会(継続)
国語(16)
「環境を守る工夫
を
「言葉のおくりもの」
行事(5)
「金成地区水泳大会」
行事成功のためにめあてを
道徳で心を耕し,学活でエク
もたせ,協力して取り組める
ササイズを実践。相手の良さ
共に活動していく中で,相
一緒にいて楽しいだけでなく,真の
力を合わせ認め合って,さ
ように励ます。過程を大切に
に目を向 ける姿勢を大切に
手の良さに気付いていけ
友情とは何かを考えさせる。励まし
らに楽しい学級をつくっ
し,一人一人のよさを認めて
し,良さを認めてもらう心地
るような支援に心がける。
合い,お互いに高めあっていくこと
ていけるように意欲を高
励ます。
よさを体験させる。
常時活動へと発展させる。
も大切であることに気付かせる。
め,継続していく。
道徳ノート・心のノートの活用,学級通信による紹介,朝の会・帰りの会での紹介や励まし
道徳
ノートの
活用
その他の体験
・取組の中で感じたこ
・ワークシート活用により,自
とを記録し交流させ
分の考えを深めさせる。記述か
る。よさを認めて次の
ら,担任が児童の意識の変化を
活動への意欲づけ。
見取る。
・体験を通して感じたこと
を記録させる。よさを紹介
して交流し意欲を高める。
・道徳でワークシート活用
・体験で感じたことの記録
一人一人への励まし。
・個々の記録を累積し,意
識の変化を見取る。学級全
体としての取組の継続。
・ワークシートや日記への朱書による励ましや称賛,全体への紹介
授業,係・当番活動,掃除,遊び,朝の会・帰りの会,休み時間
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