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第1号
2009 年 URL http://izumi-math.jp/sanae/ E-mail 第 1 号(09/04) [email protected] 【第 1 回】発刊に当たって 今年君達の数学を受け持つ早苗です。よろしくお願いします。 数学と聞いただけで顔をしかめる人もいるかもしれません。しかし,数学にはとても大きな魅力があり,と ても美しい学問だと,私は思っています。数学が嫌いな人も多いかもしれませんが,最近では社会人で再度数 学を勉強する人が増えているように,隠れた“数学ブーム”というのもおこっています。 学校の授業では足りない,または扱わない,そんな数学のごく一部を数学マガジンとして紹介していきたい と思います。内容も連載ものを少しずつ変えて工夫していきたいと考えています。できるだけ週刊を目指しま すが,そうならないときはごめんなさい。 ちなみに題字の「マスファイター」は,大学時代の先輩で現在フリーのジャーリストをしている日垣隆さん のメルマガ「ガッキィファイター」をもじってつけました。(先輩ごめんなさい) ついでですが先生のホームページ「数学とソフトウエア」 (http://izumi-math.jp/sanae/)もよろしくお願いしま す。特に Web 型数学通信「数学玉手箱」は高校生でも読みやすいように書いていますので是非ご覧下さい。 【第 1 回】GRAPES を使ってみよう 大阪教育大学附属高等学校池田校舎の友田勝久先生が作られ た フ リ ー ソ フ ト 『 GRAPES (Graph Presentation & Experiment System) 』を使うと,与えられた関数をグラフ化しさまざまな角 度から調べることが簡単にできます。 最も大きな特徴は,陽関数,陰関数,基本図形の描画をマウス 操作によって簡単に描画,操作できる点です。そのため初心者に 優しく設計されているといえます。 このソフトを使うと見えない問題もイメージすることができ ます。受験問題を解く際にも助けてくれること間違いなしです。 スクリプトや 3D 機能まで備えてフリーとは,まさに驚きのソフ トといえます。そんなソフトについて長期にわたって紹介してい きます。 まずはつぎのページからソフトをダウンロードしてください。 「WelCome To GRAPES」 (http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~tomodak/grapes/) ダウンロード後に自己解凍ファイルを実行すると,関連ファイルをすべて格納した“GRAPES”フォルダが 作成されます。(このフォルダーは何処へ移動しても構いません。)フォルダ内の「GRSPES.EXE」をダブルク リックすると起動します。 まずは右側のデータパネルで「陽関数→作成」をクリックしてみましょう。関数電卓画面で,マウスだけで a x 2 +b x + c と入力して,最後に「定義終了」をクリックします。プロパティ画面で「色,太さ,線種」を決定して OK を 押します。図のような状態になりますね。データパネルでパラメータ a,b,c を変化させるとグラフも変化し ます。あまりの簡単さにやみつきになること確実です。次回から更に奥深さを追求していきます。 【第 1 回】アルキメデス (287B.C.~212B.C.) アルキメデスはシチリア島のギリシアの都市国家シラクサに生まれ,数学や物理学さらには機械装置の設計 に半生をささげました。特にテコの原理,浮力の原理など,静力学の研究においても大きな功績を残しました。 アルキメデスが入浴中,浮力の原理を発見し,喜びのあまり「エウーリカ!(発見したぞ!)」と叫びながら裸 のまま飛び出したという話しは有名です。 ニュートン,ガウスと並んで 3 大数学者に数えられるアルキメデスが活躍した紀元前 3 世紀ごろには,紙どころか筆記用具さえ自由に手に入らない時代でした。 紀元前 212 年,侵入してきたローマの兵士がアルキメデスに「お前はだれか」と尋ね ましたが,地面に幾何学の図をかいて研究していたアルキメデスは「幾何の邪魔だ。そ こをどけ」といって,殺されてしまいました。 「球に外接する円柱の体積と球の体積との比や,表面積の比はともに 3:2 である」 ことを発見したアルキメデスは,その美しい性質に感銘し,自分の墓の上には球に外接 する円筒を立てて,そこに球の表面積と体積についての公式を刻むよう遺言を残してい たといいます。 図形 円錐 球 円柱 体積 2 V = π r3 3 4 V = π r3 3 V = 2π r 3 比 1 2 3 【第 1 回】TeX とは みなさんワープロで数式を扱うときはどうしていますか。「Word」の数式エディタを用いる人が多いかと思 います。ではメールで数式を相手に伝えるときはどうしますか。とても困りますよね。 現在最も共通で数式を作成できる環境にあるのが「TeX」ではないかと思います。フリーのソフトで,数式 をテキストで作成していけるという点で,最も共通の土台を持っているでしょう。 TeX(テック,テフ)とは世界中で広く使われている組版ソフトをいいます。組版とは書籍や新聞などの様々 な活字を組んで印刷するときの過程をいいます。TeX はテキストファイルと文章に埋め込まれたコマンド(マ ークアップ)を解釈して組版を行います。ワープロソフトと目的は同じですが,処理方式が少し違うといえま す。イメージとしては「プログラミングするワープロ」といったところでしょうか。ホームページのソースフ ァイルも HTML というマークアップ言語を用いています。 TeX の特徴としては,次のようなものがあります. • フリーである • UNIX・DOS/Windows・MacOS など様々な OS や機種で使う事が出来る • テキストファイルなので文書の機種依存がない • 数式がきれいである • 書籍編集に優れている • 様々なマクロを継承できる そんな TeX を次回から紹介していきたいと思います。 【第 1 回】コッホ曲線 まずはフラクタルの代表選手「コッホ曲線」の画像を紹介しましょう。いま、一定の長さと回転角(時計と 反対方向を正)をもった4本の線分をつなげて 1つの基本図形を考えます。この基本図形をジ ェネレータといいます。 その4つの線分のそれぞれに基本図形を縮 小して埋め込みます。この図形を2次の再帰図 形といいます。さらに、今できた図形の各線分 に基本図形を縮小して埋め込みます。これで3 次の再帰図形ができあがります。 この操作を無限に繰り返すとき、無限次の 「コッホ曲線」が得られるのです。 (参考)「Java でものみながらふらくたるたいむ」(http://izumi-math.jp/M_Sanae/Fractal/Fractal.htm)