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日本語 TeX のサンプル 茶川蛇ノ介 1906 年 6 月 10 日 3 目次 第1章 LATEX/TEX の技紹介 5 1.1 はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 1.2 それから . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 1.3 プログラムのソースを印刷する . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 画像やグラフを貼りこむ 7 2.1 Postscript の画像を取り込む . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 2.2 図を figure 環境で利用する 8 第2章 第3章 3.1 付録 A . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . その他の機能 9 ハイパーリンクとしおりの作成 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9 あとがき 11 5 第1章 LATEX/TEX の技紹介 1.1 はじめに まず,TEX ではじめにやってみたいのは数式です。なんといっても\frac1a だけで 1 a のように分数が書けるというのは感激です。 E = mc2 x= (1.1) E= 1 mv 2 2 −b ± √ b2 − 4ac 2a (1.2) (1.3) なお,式 (1.1) の \frac12 は分数を表現するやり方ですが,正式な形は \frac{1}{2} です。TEX の文字処理では,英字以外の数字や記号は個別のばらばらの文字として処理 されるために,複数の数字をまとめるためには{}でくくる必要があるのです。たとえば \frac1234 は 12 34 となりますが,\frac{12}{34}は 12 34 となります。 数式を美しく書けるだけが TEX の強みではありません。式の番号を参照する機能があ ります。次の文章をみてください。 式 (1.1) はアインシュタインの相対性理論の有名な式です。式 (1.2) はニュートン力学 の運動エネルギーの式です。どっちかというと式 (1.1) のほうが有名かも知れません。 ここに現れている式の番号は,ソースの中には直接には現れません。次のようになって いるのです。 式 (\ref{einstein}) はアインシュタインの相対性理論の有名な式です。 式 (\ref{kinetic}) はニュートン力学の運動エネルギーの式です。 どっちかというと 式 (\ref{einstein}) のほうが有名かも知れません。 6 第 1 章 LATEX/TEX の技紹介 1.1.1 まじめに ふまじめにしてはいけません。 1.1.2 なにげに さりげに いきましょうよ。 1.2 それから 夏目漱石の作品は,『それから』のころからペシミスティックになっていきます。 1.2.1 三四郎 こいつはわりと滑稽味のある作品で,ユーモアとペーソス溢れる青春小説です。 1.2.2 坊ちゃん いわずとしれた初期の人気作です*1 。 1.3 プログラムのソースを印刷する プログラムのソースの印刷というのは,簡単そうで難しいものです。TEX はもともと プログラミングの教科書を作るために D. Knuth が開発したものですから,その点に関 しても抜かりはありません。verbatim 環境というのが用意されています。verbatim 環 境は\begin{verbatim} と書かれた行と\end{verbatim} が書かれた行の間にソースの テキストを挟んだ形で利用します。すると次のようにきれいにソースを表示できます。 verbatim 環境の中では,特殊な記号もそのまま等幅で出力されることになっているので す。下に C の簡単なソースを verbatim 環境で出力したものを示します。 #include <stdio.h> main(){ printf("Hello World!\n"); } *1 悪役の赤シャツと野太鼓に対する坊ちゃんと山嵐の連合が負けてしまうストーリーです。 7 第2章 画像やグラフを貼りこむ 2.1 Postscript の画像を取り込む 2.1.1 Postscript が TEX の標準画像フォーマット TEX は PostScript(PS) 画像を標準として採用しています。したがって,原則としてそ れ以外のフォーマットの画像もいったん PS に変換してから取り込みます。PS を TeX で処理するためには,GNU によるフリーの処理系として Ghostscript が提供されている ので,これも TEX と一緒にインストールしないといけません。 画像フォーマットを変換するためにはフリーのドローツールである GIMP を利用する のが手ごろでしょう。なお,PS ファイルには EPS(encapusulated PostScript) という フォーマットがあり,可能なら EPS で扱うほうがよろしい。GIMP で PS に変換すると きには,オプション画面で EPS を指定してください。 2.1.2 画像取り込みの例 具体的な画像の取り込みは,次のようにします。取り込みたい画像ファイルが tiger.ps であるとしたら,次のように TeX のソースに書いてください。これをコンパイルすれば 画像が取り込まれています。 \includegraphics[width=45mm,clip]{tiger.ps} 実際に取り込んでみたのが下の例です。この見事な虎の絵は Ghostscript と一緒に配布 されているもので,完全なベクターフォーマットなのでいくらでも拡大できます。上のサ イズ指定を変更してみるとおもしろいでしょう。 なお,絵を出力する位置を中央にするには,\begin{center} と\end{center} の間 に画像出力命令を挟んでやります。また,figure 環境の中に取り込みを記述して図番号を 管理したり,wrapfig.sty というスタイルファイルを使って図の横に文章を回り込ませ たりすることも可能です。 8 第2章 画像やグラフを貼りこむ \includegraphics[width=55mm,clip]{tiger.ps} 2.2 図を figure 環境で利用する 文章の中に使われる図は,キャプションがあり,また本文から参照するための番号がつ けられる必要があります。例として,図 2.1 を見てください。この図の番号はラベルに よって本文と相互参照されるので,図を増やしたり削除したりしても,対応が狂うことは ありません。このような相互参照は TEX の強力な版組の機能のひとつです。 図 2.1 虎の図:これは Ghostscript のサンプルとして公開されている有名な虎である。 9 第3章 その他の機能 3.1 ハイパーリンクとしおりの作成 この文書では hyperref.sty を取り込んでいるので,栞が自動的に作成され,また相互参 照をクリックでたどることができます。 また,つぎのように記述すると,PDF 文書の中にハイパーリンクを設けることができ ます。 小波のホームページ これらの機能を付与しているのは,プリアンブルの中の下の部分です。 \usepackage[dvipdfm,bookmarks=true,bookmarksnumbered=true,% bookmarkstype=toc,colorlinks=true,linkcolor=blue,urlcolor=blue]% {hyperref} \usepackage{pxjahyper} 11 付録 A あとがき \tableofcontents だけで目次が生成したり,ラベルを使って式や図の番号などの参 照が動的に行われたりするのも,LATEX の便利なところです*1 。 1.2 節は夏目漱石の評論でした。 とりあえず簡単なサンプルとしてはざっとこんなものですが,LATEX の実力はまだまだ すごいのです。 *1 索引の自動生成機能もあります。