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まとめ
和算とは何ぞや!
高尾将志 澤田龍潤
動機
・日本人として昔の計算の仕方を、知っておくべきだと思ったから。
・日本特有の和算が、現在の数学とどのような違いがあるのか興味を持ったから。
研究内容
◎和算の歴史
初めて日本に数学が伝わったのは飛鳥・奈良時代。江戸時代の鎖国の影響により、日本
の数学は中国のような
計算の方法別ではなく用法別に分類されるなど、独自の発達を遂げていった。
◎和算の問題
・鶴亀算
・からす算
・ねずみ算
・嫁入り・流水算
・円陣
・三角形
・円 ・旅人算
・小町算
・俵杉算
・
油分け算
・方陣
・盗人隠 ・薬師算 ・大原の
花売り
・百五減算 ・直角三角形と内接円 ・絹盗人算・外円内の円の半径・正方形と頂点の位置
関係(証明) etc.
◎解答
○ねずみ算
問)ねずみの夫婦がお正月に 12 匹の子を生みました。親子合わせて 14 匹になります。この
14 匹が 2 月に 7 組の夫婦になって、それぞれが子を 12 匹ずつ生みます。合わせて 98
匹になります。3 月には 49 組の夫婦となって、またそれぞれが 12 匹ずつ生みます。
こ の よ う に 毎 月 子 を 生 み 続 け る と 、 12 月 に は 総 勢 何 匹 に な り ま す か ?
出典:
『塵劫記』吉田光由
解答)
1 組の夫婦(2 匹)→12 匹の子+2 匹=14 匹
⇒
1 匹あたりを考えると 1 匹→7 匹
ねずみの数が毎月 7 倍になっていることより、初項14,公比7の等比数列が得られる。
n 月のねずみの数を𝑎𝑛 匹とする。 一般項𝑎𝑛 =14 ∙ 7𝑛−1 =2∙ 7𝑛
したがって𝑎12 = 2 ∙ 712 = 27,682,574,402
答)27682574402 匹(約 277 億匹)
昔の日本人の解答)
そろばんの練習用としての問題であり、毎月分そろばんで計算した。
○絹盗人算
問)盗人が橋の下で絹を分配しています。盗んできた絹を 1 人に 8 反ずつ分けると 7 反たり
ない。また、1 人に 7 反ずつ分けると 8 反余る。盗人は何人で、絹は何反あるでしょう
か。
出典:
『広用算法大全』改
解答)
盗人の数を x 人、絹を y 反とすると、 {
𝑦 = 7𝑥 + 8‐ ‐ ‐ ‐ ①
𝑦 = 8𝑥 − 7‐ ‐ ‐ ‐ ②
という連立方程式が立つ。この2式より
7𝑥 + 8 = 8𝑥 − 7
𝑥 = 8 + 7 = 15
① に代入して 𝑦 = 7
15 + 8 = 11
以上により
答)盗人15人、絹113反
昔の日本人の解答)
7 + 8 = 15 より盗人は15人
絹は 8
15 − 7 = 11
または 7
15 + 8 = 11
○外円内の円の半径
問)右図のように、直径 2R の円とその内部に
甲円と乙円がある。甲円、乙円それぞれの半径を求めよ。
作:石黒信由(越中の和算家)
解答)
乙円:2R ÷ 4 ÷ 2 =
𝑅
4
甲円:甲円の半径を x とし三平方の定理より
𝑅 2
𝑅 2
(𝑅 − 𝑥)2 + ( ) = (𝑥 + )
4
4
R2 − 2𝑅𝑥 + 𝑥 2 +
𝑅2
𝑅𝑥 𝑅 2
= 𝑥2 +
+
16
2
16
2𝑅 2 = 5𝑅𝑥
2
x= 𝑅
5
𝟐
𝑹
答)甲円: 𝟓 𝑹, 乙円: 𝟒
○正方形の頂点の位置関係
図のように辺の長さの比が1:2の甲・乙2つの正方形が
1つの頂点どうしで接している。この2つの正方形の頂点
に合わせて上下に丙・丁2つの正方形を描く。このとき
甲・丙・丁3つの正方形それぞれの頂点 P,Q,R が
一直線上にある。
出典:
『社盟算譜』白石長忠
証明方法①
5つの頂点を A,B,C,D,E、∠BAC=αとして
∠PQB と∠RQD をαを使って表し
∠PQB+∠RQD=90°となることを証明する。
証明方法②
正方形[甲]を基準に複素数平面を利用し
3 点 P,Q,R の座標を求め、ベクトルを使って
⃗⃗⃗⃗⃗ = 𝑘𝑅𝑄
⃗⃗⃗⃗⃗ となることを求める。
𝑄𝑃
AB を実軸、AH を虚軸におき、B(1,0)とする。
まず C(2 cos 𝛼 , 2 sin 𝛼)よりC=2 cos 𝛼 + 2𝑖 sin 𝛼
π
C を B 中心に − だけ回転した R の座標を求める。
2
C′ =C-B = 2 cos 𝛼 − 1 + 2 sin 𝛼
R′ = −i(2 cos 𝛼 − 1 + 2i sin 𝛼) = 2 sin 𝛼 + (−2 cos 𝛼 + 1)𝑖
R=R’+B=2 sin 𝛼 + 1 + (−2 cos 𝛼 + 1)𝑖
より
R(𝟐 𝐬𝐢𝐧 𝜶 + 𝟏, −𝟐 𝐜𝐨𝐬 𝜶 + 𝟏)
π
次に C を A 中心に2だけ回転した F を求め
π
さらに F を H 中心に2だけ回転した P を求める。
F = i(2 cos 𝛼 + 2𝑖 sin 𝛼) = −2 sin 𝛼 + 2𝑖 cos 𝛼
F’=F − H = −2 sin 𝛼 + (2 cos 𝛼 + 1)𝑖
π
F’を原点中心に2だけ回転した点 P’
P ′ = i{−2 sin 𝛼 + (2 cos 𝛼 + 1)𝑖} = −2 cos 𝛼 − 1 − 2𝑖 sin 𝛼
P = P ′ + H = −2 cos 𝛼 − 1 + (−2 sin 𝛼 − 1)𝑖
より
𝑃(−2 cos 𝛼 − 2, −2 sin 𝛼 − 1)
⃗⃗⃗⃗⃗⃗
𝑹𝑸 = ⃗⃗⃗⃗⃗⃗
𝑹𝑶 + ⃗⃗⃗⃗⃗⃗
𝑶𝑸 = (𝟐 𝒔𝒊𝒏 𝜶 + 𝟏, −𝟐 𝒄𝒐𝒔 𝜶 + 𝟏) + (−𝟏, 𝟏) = (𝟐 𝒔𝒊𝒏 𝜶 , −𝟐 𝒄𝒐𝒔 𝜶 + 𝟐)
⃗⃗⃗⃗⃗⃗
𝑸𝑷 = ⃗⃗⃗⃗⃗⃗
𝑶𝑷 − ⃗⃗⃗⃗⃗⃗
𝑶𝑸 = (−𝟐 𝒄𝒐𝒔 𝜶 − 𝟏, −𝟐 𝒔𝒊𝒏 𝜶 − 𝟏) − (𝟏, −𝟏) = (−𝟐 𝒄𝒐𝒔 𝜶 − 𝟐, −𝟐 𝒔𝒊𝒏 𝜶)
⃗⃗⃗⃗⃗ = 𝑘𝑅𝑄
⃗⃗⃗⃗⃗
𝑄𝑃
(−2 𝑐𝑜𝑠 𝛼 − 2, −2 𝑠𝑖𝑛 𝛼) = (2𝑘 𝑠𝑖𝑛 𝛼 , −2𝑘 𝑐𝑜𝑠 𝛼 + 2𝑘)
𝑥: 2𝑘 𝑠𝑖𝑛 𝛼 = −2 𝑐𝑜𝑠 𝛼 − 2
𝑘=
−2 𝑐𝑜𝑠 𝛼 − 2
・・・①
2 𝑠𝑖𝑛 𝛼
𝑦: (−2 𝑐𝑜𝑠 𝛼 + 2)𝑘 = −2 𝑠𝑖𝑛 𝛼
左辺に①を代入すると
(左辺) = (−2 𝑐𝑜𝑠 𝛼 + 2)
−2 𝑐𝑜𝑠 𝛼 − 2 4𝑐𝑜𝑠 2 𝛼 − 4 −4𝑠𝑖𝑛2𝛼
=
=
= −2 𝑠𝑖𝑛 𝛼 = (右辺)
2 𝑠𝑖𝑛 𝛼
2 𝑠𝑖𝑛 𝛼
2 𝑠𝑖𝑛 𝛼
よって𝑘 =
−2 cos 𝛼 − 2
のとき
2 sin 𝛼
⃗⃗⃗⃗⃗ = 𝑘𝑅𝑄
⃗⃗⃗⃗⃗ が成り立つ。
𝑄𝑃
したがって
3点 P,Q,R は一直線上にくる。
感想・反省
・昔の人は、公式などがない中で、たくさんの難しい問題を解いていたと思うと、とても
感動しました。
・ねずみ算はそろばんの練習台として地道に計算していたと知り、びっくりしました。
・現在では和算が見直されてきて、小学校の教科書などにも問題が載っているので、みん
なにも和算に興味を持ってもらいたいと思った。
・大学の先生方が、結構話題に出していたので、うれしかった。
・今回の課題研究では数問選んで解いてみたが、まだ日本には数えきれないほど和算があ
るので、解いてみたいと思った。
・課題研究はとてもいい機会だった。
・相方に結構任せっきりだったことは、反省したい。
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