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循環器病棟で よく使用する薬剤とケア
6 6. 循環器病棟でよく使用する薬剤とケア 特集 循環器病棟で よく使用する薬剤とケア 竹内史江 1),浅香えみ子 2) 冠動脈や全身の静脈・動脈の拡 こることがあります。継続投与 血圧変化を観察していく必要が 張作用があり,前負荷,後負荷を で症状が軽減することが多いと あります。 軽減します。狭心症や心不全の治 いわれていますが,痛みの程度 3)皮膚吸収型の亜硝酸薬は,皮膚 療に使用されます。亜硝酸薬とし や 持 続 期 間 を 観 察 し, 症 状 が 刺激やかゆみ,発赤などの皮膚 悪 化 し た と き, 軽 減 が み ら れ トラブルが生じやすいため,交 な い と き は 医 師 へ 相 談 し, 投 換時には必ず皮膚の観察を行 与方法の検討依頼をする必要 い,同一の場所には貼布しない があります。 ようにします。必要時には軟膏 ® てニトログリセリン・ニトロール ・ ® シグマート ,カルシウム拮抗薬と ® ® してアダラート ・ ヘルベッサー ・ 1)獨協医科大学越谷病院 心臓血管外科・呼吸器外科・HCU 2)獨協医科大学越谷病院 副看護部長 / 救命救急センター・心臓血管外科・循環器内科・ICU・HCU 師長 POINT 血管拡張薬 これだけはマスターしよう!新人循環器ナース必修講座 ® ノルバスク があります。 1)血管拡張薬,亜硝酸薬使用によ り,脳血管拡張に伴う頭痛が起 薬剤の作用,相互作用を理解することで,安全な薬剤投与を行うこと ができる。 2)血管拡張薬使用により急激な血 などを使用し,症状が悪化しな 圧の低下を起こしやすいため, いようにします。 カテコールアミン系薬剤 投与量によって期待される効果が異なる薬剤があり,管理が重要である。 カテコールアミン系薬剤として, 循環器治療薬のなかには半永久的に服用する薬剤もあるため,投薬管 理が必要である。 ドパミン塩酸塩・ドブタミン塩酸塩・ ノルアドレナリンがあります。 利尿作用 1)ドパミン塩酸塩には 3 つの作用 心筋収縮力の増強 体刺激作用・α1 受容体刺激作 用)(MEMO1)があり,投与量 (MEMO2)により効果が異なり ます( ● 図1 心筋収縮力の増強 少量(~ 2γ):ドパミン受容体を 0 刺激し,腎臓や内臓血管の血流が 循環器領域で使用する薬剤は数多 疾患の有無によっても,投与薬剤の に行うためには,適切な操作方法が くありますが,そのなかには作用の 種類と効果は異なります。薬剤投与 重要になります。的確な薬剤投与と 加えて,β 1 受容体刺激作用によ 強い薬剤も多く,使用量を少しでも によって起こる身体への影響・変化 統一した安全な看護ケアを理解し提 る心筋収縮力増強作用が得られ 誤れば生命の危機的状態につながり についての正確な知識を持ち,異常 供することが,大切です。 ます。 ます。臨床では看護師が薬剤投与や の早期発見や副作用出現を予測し, 投薬中の管理を行います。そのた 出現時には迅速な対応を行う役割が もに,α1 受容体刺激作用により め,看護師は薬剤の用法,用量,副 あります。看護師は医師の指示によ 血圧が上昇します。 作用など取り扱いについて正確な知 り薬剤投与や管理を行いますが,適 識を持ち,的確な管理を行うことが 切かどうかを判断することも必要で 必要になります。疾患の状態や基礎 す。また,点滴,ルート管理を確実 ・ HEART 2012/4 Vol.2 No.4 ドブタミンの血中濃度と薬理作用 )。 増加し,利尿作用が得られます。 380 血圧の上昇 (ドパミン受容体刺激・β1 受容 点滴,ルート,カテーテル管理を確実に行うことで,安全な薬剤投与 を行うことができる。 はじめに 肺動脈楔入圧上昇 ドパミンの血中濃度と薬理作用 ● ● 中 等 量(2 ~ 5γ ): 利 尿 効 果 に 5γ以上:心筋収縮力の増強とと 2)ドパミン塩酸塩は不整脈を誘発 図1 2 5 10 15 20 (μg/kg/分) 薬剤投与量による薬物効果の違い(文献1) 交感神経にはα(α1,α2)受容体と,β(β1,β2)受容体 があり,心臓はβ1 受容体によって支配されています。 ● β1 受容体:心臓の収縮と拍動の上昇 ● β2 受容体:気管支拡張と降圧作用 MEMO 1 HEART 2012/4 Vol.2 No.4 ・ 381