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心臓バイパス手術 - 新潟医療センター
「心臓バイパス手術」のお話 副院長(心臓血管外科)齊藤寛文 か ん どうみゃく 心臓バイパス手術とは、正式には冠動脈バイパス術といいます。心臓の筋肉(心筋) に血液と酸素を供給する動脈を冠動脈といって、左冠動脈と右冠動脈があります。 1~1.5mm の太さです。心臓を頭とすると、その表面を覆うようにあるので「冠」とい う字があてられています。 この冠動脈が、高血圧症や糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙、飲酒などが原因で動脈 硬化のために狭くなったり閉塞してしまうと、これまでは何ともなかった日常生活で 胸が痛くなったり、重い感じ(圧迫感)や絞めつけられる感じ(絞扼感)がするよう になります。左肩や左腕や歯の痛みや、胃のあたりの不快感の場合もあります。病状 が進行すると、安静にしていてもこのような症状が出ます。このような病態を狭心症、 急性心筋梗塞といいます。 冠動脈バイパス術は、狭くなったり閉塞してしまった冠動脈の末梢の部位を 7-8mm タテに切開し、ここに別の血管を縫いつけて、たくさんの血液が流れるようにする手 術です。新潟市にも新新バイパスがありますね。市内を通る道路が大渋滞していても、 そこを迂回するバイパス道路を通れば、その先にスムーズに行くことができますね。 冠動脈バイパス術も発想はこれと同じです。 ないきょうどうみゃく い バイパス道路に相当するものが腕にいく動脈の枝である内胸 動脈や胃の動脈(胃 た い も う どうみゃく と う こ つ どうみゃく だ い ふ く ざ い じょうみゃく 大網動脈) 、腕の動脈(橈骨動脈)や足の静脈(大伏在 静 脈 )です。以前は人工心肺 という器械を使い、心臓を停止させて手術していましたが、現在はほとんどが心臓を 動かしたままで手術を行っています。このため手術後の経過は他の外科手術とあまり 変わりなく、多くの場合、人工呼吸の管は手術当日に抜けて水を飲み始め、翌日には 食事を開始し、歩いて集中治療室を出ることができます。手術後 3~4 日目には全身シ ャワーも使用できるようになります。 当科では手術の様子は集中治療室にあるモニターでご家族にみていただき、録画も 自由にしていただいています。ご家族には必要な時に手術室から電話をかけ、画面を 見ていただきながら手術の経過を説明しています。患者様も、元気になられてからご 自分の心臓手術を録画で見ることができ、改めてご自身が受けた手術の内容について、 さらに理解を深めていただいています。 以上、冠動脈バイパス術についてご紹介いたしました。心臓手術にはこの他にもい ろいろあります。詳しくは 新潟医療センターのホームページ (http://www.niigata-medical.jp/)から「診療科のご案内」 、 「心臓血管外科」にア クセスしてご覧下さい。