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Vol.18 2007年07月15日発行 FAJ鉢物レポート08月

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Vol.18 2007年07月15日発行 FAJ鉢物レポート08月
FAJ鉢物レポート8月
●発行日:平成19年7月15日
●発 行:(株)フラワーオークションジャパン
鉢物営業センター
Vol.18
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
Indoor Plants Contest !
6月13日開催
今年で 4 回目を迎えたインドアプランツコンテスト。特賞を受賞した作品を一挙ご紹介します。
審査総評
なお、今回より特賞に NHK「趣味の園芸」編集長賞と観葉植物普及協会会長賞が加わりました。
審査委員長 田中耕次
観葉植物の需要低迷時代が続き、これを何とか打破しよ
㈶日本花普及センター会長賞
㈳日本花き生産協会
会長賞
うという気運が生産、流通、業者が一体となって高まりつつ
ある昨今、第4回インドアプランツコンテストが開催されたこと
は大変意義深いものがある。業界全体の発展する起爆剤と
して大いに期待を持ち、審査に当たった。
審査員は市場の買参人から選ばれた、卸売、園芸店、
リース業など 12 人によって厳正に行われた。今回の出品
は 421 点、昨年に比べて約 250 点の減少であったが、不
ネオレゲリア 6 号
山本勲(愛知)
況で淘汰され生き残った栽培技術のノウハウをしっかりした
生産者の出展の感が強く、コンテストに不適な作品は1点も
なく全体的に見ごたえのあるものとなった。
「月刊フラワーショップ」賞
出展数は愛知県から 153 点、鹿児島県から 86 点、沖
縄県から 64 点であり、大鉢・特鉢が 54%、中鉢・小鉢が
フィロデンドロン 10 号
山本勲(愛知)
46%、これまでも同様であったが4~5号鉢が少なく、9%
は大と小では同じ土俵で戦っても大には到底かなわないと
㈳日本インドア・グリーン協会
理事長賞
の思いが一因しているのかもしれない。今後の審査方法も
見直す課題でもある。
ケンチャ 10 号 大沢玉政(東京)
新規に登場した植物は一見してゲッキツに似ているアグラ
ポリシャス
㈳日本家庭園芸普及協会
会長賞
フルティコサ 7号
具志弘明(沖縄)
NHK「趣味の園芸」
編集長賞
イア、新芽が赤いユーゲニア‘ロイヤルフラッシュ’、羽状葉
のノウゼンカズラ科のタベブィア、単葉のパナマソウ、各種
フィロデンドロンなど、従来からの植物も仕立ての素晴しさか
ら 35 点入賞の大半を占めた。特筆すべきは、ディジゴテ
カ、ボトルツリーに関し幹に曲をつけたものが一味異なる斬
新感で評価されそれぞれ金賞、銀賞に選ばれた。金賞は
観音竹‘綾錦’ 7 号
村松厚一(静岡)
ツピダンツス カリプトラツス 8 号
天久園芸(沖縄)
「花卉園芸新聞」賞
「農耕と園芸」賞
14 点、銀賞は 21 点、内 6 号鉢以下の入賞は僅かに 2
点のみであった。かつてバブル期では観葉植物も一時の観
賞後は使い捨ての消費傾向があったが不況に起因する反
省から、現在ではオーソドックスでも丈夫で長持ちするもの
に移行しているのではないかと思われる。
今回の最高賞インドアプランツ大賞は、栽培は古く八丈島
ディジゴテカ 8 号
登川良雄(沖縄)
で行われてきたケンチャヤシが選ばれたことが如実に物
語っている。大賞受賞の大沢玉政氏は、生産者である前に
育種家でもあり、チャメドレア セイフリジー、ストレリチア ユ
大田市場花き事業協同組合
理事長賞
ンケアなどを自分で交配し選抜固定した良品を育て、後輩
にも種子を分け与え地元八丈島の観葉植物発展のために
寄与されている。今回の受賞は、長年のご苦労があり大輪
の花を咲かせたもので八丈島の誉れでもある。
おめでとうございました。
FAJ 社長賞
観葉植物開発普及協会
会長賞
パラオドラセナ 10号
山城紀男(沖縄)
タベブィア クリソリカ 10 号
クローバー&クローバー(沖縄)
「グリーン情報」賞
「日本農業新聞」賞
フィカス ウンベラータ 10号
下柳田正人(鹿児島)
カラテア ランキフォリア
7号 伊藤行道(愛知)
ザミア 7 号
王子田豊(鹿児島)
チャメドレア セイフリジー 10号
菊池立郎(東京)
シェフレラ ホンコン’ 13号
今林義照(鹿児島)
鉢物レポート Vol.18
品目分析:オリーブ
まずは鑑賞樹について
オリーブの歴史
露地で冬越しする樹木類の鉢植えを FAJ では『観賞
その観賞樹の新進気鋭といえる商品が今回紹介
てゲッケイジュとともにオリーブのスタンダード仕立て
樹』としてグルーピングしています。その観賞樹の中で、
するオリーブです。年を明けて 3 月には初めてゴー
が出現し、どちらも観葉植物として人気を博すことに
月別販売額ベスト 10 にはゴールドク
ルドクレストの上位に座り、同じく 5 月もオリーブが
なりました。ただ、生産量は限定的で、ガーデニング
レストが必ず登場します。この状態は
ゴールドクレストを抜き去るに至ったのです。
の時代には庭木や寄せ植えの素材として利用され
おそらく 20 年くらい続いており、かつ
鉢物としてオリーブが最初に注目されたのは昭和
ての大ヒット商品ゴールドクレストは定
50 年代半ばのことです。当時、ベンジャミナのスタ
番商品に居座ったといえるでしょう。
ンダード仕立てが観葉植物としてヒットしたのを受け
入荷状況
FAJにおけるオリーブの入荷数量と単価の推移 2005-2006
6,000
10 年ほど昔からです。左のグラフを見ても判るように、供給量はいまも増え
続け、何よりもいつの頃からか周年販売される商品になっています。
2,500
折れ線グラフは単価を表したものですが、単価は下落傾向にあるように見
4,000
2,000
3,000
1,500
2,000
1,000
えます。しかし、鉢サイズ別の単価を調べてみると、5 号以上では単価は維
持され、全体の単価が下落しているのは 4 号鉢が倍増しているからでした。
(円)
5,000
千(鉢)
生産量が増え始めたのは、海外から苗が輸入されるようになってからで、
3,000
2005年入荷量
2006年入荷量
2005年単価
2006年単価
るなど、その後も根強い人気が保たれていました。
主力産地
産地は今も昔も香川産が流通の過半を占めています。これは、苗の単価
1,000
が高く、製品化に年数が掛かるために、鉢物生産よりも露地を活用して植木
500
0
として生産し、仕上げで鉢上げしないとコスト的に妙味が薄いこと、露地を活
用すると適地のほうが有利であるなどの理由からでしょう。とはいえ、香川県
0
のシェアは年々下がっており、その代わりに静岡県や愛知県など、観葉植物
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
に強い産地での生産が増加傾向にあり、写真にあるような仕立てものに仕上
げることで単価を高くし、施設栽培のコストを吸収しようと努力する姿をうかが
い知ることができます。
FAJ におけるオリーブの県別入荷数量 2006
鹿児島
0.2%
茨城
0.2%
愛知
8.1%
静岡
12.6%
仕立てに工夫したものも人気。
上:風鈴つき(父の日向け・6号)
右:ツリー仕立て(6号)
東京
2.7%
上:実つきのオリーブ
(尺鉢)
千葉
1.8%
神奈川
5.3%
自家不和合性について
埼玉
3.4%
最後に、一品種では結実しにくいことを確認してお
きましょう。国内で経済生産されているのはミッショ
ン、ネバディロ・ブランコ、マンザニロの 3 品種。ミッ
ションは授粉すれば 1 鉢でも結実しますが、マンザ
ニロは他品種の花粉を授粉する必要があり、ネバ
ディロ・ブランコのように花粉をたくさん出す『授粉樹』
を用意するべきです。
Vol.6
Vol.18
自家不和合性(一品種では結実
しにくいこと)を確認しておき
ましょう!
香川
65.7%
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
園芸店の基礎知識その18
~葉食性害虫とフェロモントラップ~
4 月号、5 月号の 2 回に分けて、汁液を吸うことでウイルス病を伝染させる吸汁性害虫を紹介しました。今回は葉などを食害する葉食性
害虫の話しをまとめましょう。
◆葉食性害虫とは
ヨトウムシはヨトウガ科の害虫で、孵化したばかりは
の総称です。また、最近大量発生しているタバコガ
サトイモやサツマイモなどのイモ類の葉を好んで食べま
葉裏で群れをなしていますが、脱皮して齢が進むと
も同じヤガ科の害虫です。ケムシは蛾や蝶の幼虫で
す。その他、シャクガ科の幼虫であるシャクトリムシも馴
分散し、昼間は土に潜り込み、夜になると這いだし
身に毛をまとうものの総称です。チャドクガに代表さ
染みの葉食性害虫です。
て葉を食害します。ネキリムシも昼間は土中に隠
れるドクガ科、マダラガ科やイラガ科の幼虫は毒をも
葉食性害虫の大半は昆虫の一種、蝶や蛾などを含
れ、夜に活動しますが、卵は葉裏にひとつずつ産み
ちますが、意外にもアメリカシロヒトリなどケムシの多く
む鱗翅目(りんしもく)の幼虫です。見つけ次第、捕殺し
付けられ、大きな幼虫は地際の茎を食害するように
は無毒といいます。最後のアオムシはご存じの通り
たり、殺虫剤をまいて駆除したりするのが一般的な駆
なります。ちなみに、ネキリムシはヤガ科のカブラヤ
モンシロチョウ(シロチョウ科)の幼虫で、アブラナ科
除法です。加えて、最近は新たな駆除法が開発され、
ガ、タマナヤガなど茎を食害するヤガ科の蛾の幼虫
の植物を食草とし、イモムシはスズメガ科の幼虫で、
普及しつつあります。
◆BT剤による駆除
最近、注目されているが BT 剤と総称される農薬
び、芽胞は好適な環境になると発芽し、盛んに細胞
殺虫剤の場合、長く使用されると必ずといってよいほど
です。農薬とは言うものの、その中身は薬でなく、バ
分裂を始めます。この BT 菌は芽胞を作るとき、細
農薬耐性をもつ系統が出現して、農薬が効かなくなり
チルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis /
胞内に特異な結晶タンパクを作ります。この結晶タ
ますが、細菌そのものである BT 剤の場合は抵抗性を
BT 菌)という細菌(バクテリア)の芽胞です。芽胞と
ンパクそのものは無毒で、またほとんどの動物はそ
もつ系統が出現しにくく、何かと嫌われる農薬にあっ
はある種の細菌にみられるもので、
れを分解できないのですが、鱗翅目の昆虫には分
て、近年注目を集めるようになりました。
温度や湿度など環境が悪くなったと
解する能力があります。幼虫の体内に入った結晶タ
ちなみに、細菌や糸状菌、天敵となる昆虫などを病
きに作られる特殊な構造の細胞の
ンパクは分解されて他の物質に変わりますが、その
害虫の防除や除草に使うとき、生物を使う農薬という
ことで、高温や乾燥などにきわめて
物質には毒性があり、幼虫の腸壁を破壊し、幼虫を
ことで『生物農薬』と呼びます。そして生物農薬の多く
強いことから耐久型や休眠型と呼ば
死に追いやります。以上のメカニズムが判明し、害
は、BT 剤同様に選択性が強く、抵抗性が生まれにく
れることもあります。芽胞を作る細菌
虫の駆除に利用されるようになったのはアメリカで、
いという特徴があります。
を有芽胞菌または芽胞形成菌と呼
すでに 30 年の歴史があります。化学物質を使った
◆フェロモントラップ
次にフェロモンを利用した害虫駆除法です。フェロ
群れ全体が興奮状態に陥り、スズメバチに突進して
あるということになります(現実には複数の化学物質を
モンとは、正確にいえば『動物や微生物の体内で生
ゆくことになります。このように、フェロモンは個体間
使い、その構成比率を変えることで種の独自性を出し
成された化学物質が対外に分泌され、他の個体に
の情報伝達に活用される化学物質であり、わずか
ている)。そのために、汎用性の高いフェロモントラップ
一定の行動をとらせたり、発育の変化を促したりす
な量で効果を現すという特徴があります。
はなく、特定の害虫のための商品として供給されてい
る生理活性物質』となります。蛾の雌が雄を集める
このフェロモンを害虫駆除に利用する方法が見出
ます。多いのはタバコガやハスモンヨトウ用などですが、
のに使っているのがフェロモンで、交尾を助ける性
されています。もっとも普及するのは性フェロモンで
農場の四隅にぶら下げるだけでかなり高い効果が望め
フェロモンがよく知られています。また、ゴキブリの場
おびき寄せた雄を捕殺するというものです。選択的
ます。
合、多数の個体が一カ所に集まる性質があります
に雄を捕らえてしまえば雌は卵を産むことが出来
なお、性フェロモンを高濃度に漂わせれば、雄は雌
が、これにもフェロモンが関係しており、そのフェロモ
ず、害虫の密度は月日を経るとともに低くなり、害虫
を探せなくなり、捕殺しなくても効果の高いことが判っ
ンを集合フェロモンと呼びます。蟻が行列をつくって
の被害を軽くできます。これをフェロモントラップとよ
てきました。個体間の情報交換を妨害する、妨害電波
歩くのは、餌を見つけて興奮した蟻が発した道標
び、すでに商品として販売されています。ただ、フェ
みたいなものです。
フェロモンをたどった結果ですし、スズメバチに襲わ
ロモンは特定の種同士で情報交換を行うものです
れたニホンミツバチは警報フェロモンを発することで
から、原則、害虫の種類だけ異なる性フェロモンが
◆不妊雄の利用
もうひとつ、ユニークな害虫駆除法があります。そ
れましたが、ウリミバエは誘引力の強い性フェロモン
世界一の施設が作られ、約 500 億匹の不妊雄が放
れは不妊にした雄の害虫を大量に放つというもので
が見つからず、替わりにコバルト 60 から出る放射線
たれたと言います。
す。奄美諸島以南にはかつてミカンコミバエとウリミ
を照射して作り出される不妊となった雄を自然界に
バエという 2 種類の外来害虫が蔓延していました。
放つという手法がとられました。これはプロジェクト X
ミカンコミバエは、性フェロモンと殺虫剤を含ませた
でも採りあげられましたから、知る人も多いと思い
テックス板をばらまき、雄を誘殺する方法で駆除さ
ますが、沖縄には毎週 2 億匹の不妊雄を育てる
このふたつの手法は海に囲まれる島ゆえに成功した
ものです。
(次号に続く)
鉢物営業センターからのお知らせ
8 月 26 日~ 9 月 1 日 敬老の日向け商材の展示 中央通路
を予定しております。
FAJ 鉢物レポート
生産者紹介
8 月号は千葉県特集。松戸園芸 松戸衛さんと清勝ファーム 市原勝吉さんのご紹介です。
㈱松戸園芸
松戸衛さん
松戸園芸さん九十九里海岸に近い温暖な東金市でリーガースベゴニアの栽培を中心
に、今年で生産をはじめて 32 年目になります。
生産品目とおすすめ商品
リーガースベゴニア 4 号 11 入、4.5 号
8 月下旬からリーガースベゴニアの出荷が
6 入のバスケットや 3.5 号のポット苗など
始まります。赤や黄、ピンク、オレンジ、バイカ
の周年栽培を行っています。春はカリブラ
ラーなど花色が大変カラフルです。一般向け
コア(‘カリモア’、‘ノア’)や八重咲きイン
やイベントアレンジ・寄せ植え、また 9 月の敬
パチェンス(‘ムシカ’、‘ウィリー’)を出荷
老の日用などいつでもありますので、ぜひ使っ
しています。
てみてください。
松戸衛さんと従業員のみなさん。
生産に対するモットー
注文いただいた商品がお客様
また、寒いときには寒さに強い品目・品種
の使用する場所で一番良い状態
を、暑いときには暑さに強い品目・品種を選ん
になるように気を使っています。
で栽培するつもりです。
松戸さんから一言
どんなことでも気がついたことがあったら、ぜひご連絡くだ
さい。
上)9月出荷予定のリーガースベゴニアの現在
の状態です。4.5バスケット
左)春に出荷していたカリブラコア‘カリモアシリーズ’と
‘ノアシリーズ‘
清勝ファーム
市原勝吉さん
清勝ファームは千葉市緑区で花壇苗を中心
に就職(3年)し、用土の開発及びポッティングマ
に生産を行っています。パンジーやベゴニア、ペ
シンの担当をしていました。営業で全国各地の
チュニア、プリムラ、ガーデンシクラメン等、年間
生産者を訪問した際に、農業の魅力を感じ、退
を通じて 70 品目以上を生産しています。
職後 2 年半の研修を経て就農しました。
市原勝吉さんは大学卒業後資材関係の会社
生産品目とおすすめ商品
8 月からのおすすめは商品はペンタスやベゴニ
ア・センパフローレンス、コスモス、インパチェンスな
どです。冬からはガーデンシクラメンやプリムラ、
シルバーレースや白妙菊などを出荷しています。
清勝ファーム 市原勝吉さん(左から2人目)
のご家族とご両親
生産に対するモットー
季節や品目、生育ステージに合わせて用土の配
合や肥料バランスを調節して生産しています。ま
た、 コンパクトな仕立てやボリュームを強調した作り
など、品目の特性を活かして生産しています。
市原さんからさんから一言
マーケティングの勉強や毎年新品目を積極的
夏のおすすめ
ベゴニア センパフローレンス
に導入するなど、ニーズに合わせた生産を心が
けています。意見やアドバイスをどんどんよせてく
ださい。
http://www.faj.co.jp
ペンタスもこれからの
時期におすすめです。
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