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市民政治レポート8・9月合併号

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市民政治レポート8・9月合併号
市民政治レポート
2014年9月1日
編集発行:菅直人を応援する会 http://www.n-kan.jp
東京都武蔵野市中町1-2-9 サンローゼ武蔵野302
〒180-0006 TEL:0422(55)7010
2014 年
8・9 月合併号
<もくじ>
今後の政治展望 ……1~3
鹿児島・川内を訪問-広がる再稼働反対の動き- ……4・5
滋賀県知事選勝利の意義と展望-嘉田由紀子前滋賀県知事に聞く- ……6・7
鴨川や堺で講演 ……7
伊方・松山を訪問 ……8
パーティーのご案内 ……8
今後の政治展望
1年9カ月の安倍政権
夏休みが終わり9月末には臨時国会が開かれる。2012年末の総選挙で自民党安倍政権が誕生して1
年9カ月が経過した。一般的に政権交代が繰り返されることは健全な議会制民主主義の姿だと考えて
きたが、安倍政権のやり方は歴代自民党政権とは明らかに違う異常なものだ。つまり原発を含むエネ
ルギー政策や集団的自衛権など憲法に関わる重要な政策を国会の議決によらず閣議で決めるという強
引なやり方を続けている。このままでは議会制民主主義自体が崩壊しかねない。来年に向けての政治
展望を述べてみたい。
被災者との対話
総理退任後の3年間は脱原発と自然エネルギーの普及をめざして、国内外の視察・講演を中心に活
動してきた。今年はそれに加えて、国会での質疑や質問主意書、地元3市で「原発事故の真実を語る
会」開催など活動を多角化してきた。
特に放射能汚染のため避難を余儀なくされた方々と対話を重ねている。それまで農業や酪農で生計
を立てていた家族が、突然住まいを追われ仕事を奪われバラバラになることがどれほど理不尽か。原
発事故被災者に対する政治の対応について不満や抗議もたくさん聞き、十分に対応できなかったこと
は率直に謝った。放射能被害はこれから長く続く課題で、国を挙げて取り組んでいく必要がある。
こうした活動を広く知らせるため、今年から紙によるレポートとインターネットの両面で発信を強
化した。市民レポートは毎月または隔月とし、ウェブではホームページ、ブログに加え、Twitter、
Facebook、動画による発信も始めた。質問主意書やその答弁書、原子力規制委員会や東電の資料など
国会議員として得られた重要な情報はできるだけインターネットに掲載している。
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市民政治レポート
2014年9月1日
今後についての危機感
総理退任後は政局に関する発言を控えてきたが、最近の内外の出来事を見ていて、そうも言ってい
られないと危機感を持っている。
一つは原発である。福島原発事故を経験し、今なお多くの被害を出し続けている現状を知りながら、
「原発ゼロはポピュリズム、現実的でない」と平気で言う政治家、経済人、マスコミがかなり多いと
いう事実。この日本で5千万人が避難しなければならなくなる瀬戸際の原発事故が実際に起き、今も
大規模な放射能汚染が続いているにもかかわらず、そのリスクに目をつぶり、原発推進が「現実的」
だという感覚が私には理解できない。
国民の多くが脱原発に賛成しているのに逆に国会議員の多くは原発容認である。次回選挙の当選を
考える議員は、脱原発の世論は知りながら、リアルな力を持つ原子力ムラには刃向いたくないという
心理が働いている。それは原子力ムラの資金に加えて関係者を動員してのポスター掲示やビラ配布な
ど選挙運動支援がある。脱原発候補に対する原子力ムラに負けない選挙支援体制が求められる。
好戦的な安倍総理
もう一つは言うまでもなく集団的自衛権である。今年は太平洋戦争に敗れて69年。私が生まれたの
は敗戦の翌年で、母親からは暮らしていた宇部が爆撃された際、焼夷弾から姉を連れて海岸に逃げた
話を聞いて育った。住んでいた家の近くに落ちた焼夷弾の先端に、重りとして取り付けられた鉄の塊
が、我が家の漬物石として長く使われていた。
戦後69年間にわたって、日本が戦争をせず自衛隊が敵に一発の弾も撃たなかったのは、考えように
よっては奇跡とも言える。世界はこの69年間、第3次世界大戦こそ回避したが、朝鮮戦争、ベトナム
戦争から湾岸戦争、イラク戦争に至るまで数多くの戦争が戦われ今日も続いている。
今、安倍総理の下で進められている安保政策は、戦争を起こさない努力、そして戦争を無くす努力
ではなく、日本を戦争ができる国に変える努力である。その根底には日中戦争から太平洋戦争に至っ
た当時の政治に対する反省が無く、逆にそれらの戦争を正当化しようとする安倍総理の怨念に近い思
いがある。それは終戦記念日の安倍総理の話に「不戦の誓い」や「反省」の言葉がないことに如実に
表れており、安倍総理に対して米国までが懸念するのはこの点だ。
安倍総理の好戦的な政治姿勢を国民の多くは心配している。特に戦争体験世代は危機感を強く持っ
ている。国会ではリベラルなベテラン政治家が急激に少なくなり、それに代わって「ネトウヨ」的発
想の議員が多くなっている。その頂点にいるのが安倍総理である。
この構図を打ち壊さなくてはならない。そして注目すべき点は、脱原発を求める人々と安倍総理の
好戦的姿勢を心配する人々は大半が重なっており、安倍総理の交代を望んでいるのである。ここに来
年にかけての政治展望を開くカギがある。
民主党の役割はリベラル勢力の再建
自民党内でリベラル勢力の発言が少なくなった理由に、小選挙区制の影響を指摘する意見がある。
確かに小選挙区では公認権や政党助成金の配分など党執行部の権限が強く、かつて派閥単位であった
多様な意見が表明できなくなった面はある。さらにこの数年に誕生した新党には自民党タカ派以上の
国家主義的政党もありリベラルな政治家は少数だ。今必要なのはリベラル派の政治勢力を国会内に再
建することだと考える。
9月末の臨時国会開会までに安倍内閣と自民党執行部の大幅な改造が確実な情勢だ。これに対して
民主党の体制を確立しなければならない。政党はだれが党首であるかは重要だが、それ以上に政治ス
タンスが重要である。第一に脱原発と自然エネルギー推進、第二に憲法解釈の変更による集団的自衛
権は認めないというスタンスを明確にすることだ。海江田代表は7月末の両院議員懇談会で続投する
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市民政治レポート
2014年9月1日
決意を改めて表明した。元々リベラルな考えを持つ海江田代表だから違和感はないはずであり、民主
党として国会でのリベラル勢力の再建を主導すべきである。
自治体議員が重要
国会でのリベラル勢力の再建を目指すには、全国の自治体での活動が重要だ。特に来年は統一地方
選が予定されており、自治体の場での争点設定が求められる。脱原発と安倍総理の安保政策に反対と
いう二つの課題で共闘できる自治体議員の全国ネットワークが生まれつつある。国会議員の半数近く
を占める若手議員の多くは党首人気で当選した政治運動経験の少ない議員なだけに、政治経験のある
自治体議員の役割が期待される。
すでに全国各地の自治体議員が、
自らの議会で自治体から250km圏内にある原発再稼働反対の決議に
取り組んでいる。日本は沖縄を除いてすべての都道府県がいずれかの原発の250km圏に含まれる。福島
原発事故の際、当時の原子力委員長は最悪250km圏の避難が必要になると意見具申し、福井地裁は5月
の判決で250km圏の住民は原発事故の被害を受ける可能性があるとして原告の資格を認めている。
250km圏に住む住民には原発に反対する権利があり、
その声を全国の自治体議会から上げることができ
れば大きな力になる。
さらに原発の是非が争点となる選挙として注目されるのは10月の福島知事選。自民党本部は滋賀県
知事選の二の舞いを恐れて、原発の是非を争点にしないように姑息な相乗りを考えている。しかし、
福島原発事故に遭遇し、大きな被害を受けている福島県民にこそ、今後の日本の原発の是非を真正面
から判断してもらう選挙にしなくてはならない。
ホームページをご覧ください
本人書き込みのブログ「今日の一言」に加えて、
動画やスタッフによる「活動報告」の掲載など内容
を充実しています。原発や自然エネルギーをめぐる
動向、なかでも国会議員として質問主意書や国会質
疑で得られた原子力規制委員会や東電などの情報を
広く伝える役割を果たしていきます。
このレポート号外をお読みの方々から、関心をもつ
知人・友人にご紹介ください。
発行お知らせメールの配信を始めました
このレポートの発行お知らせメールの配信を始めました。
ご希望の方はウェブサイトの「ご意見箱」より事務所にお知らせください。
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市民政治レポート
2014年9月1日
鹿児島・川内を訪問
-広がる再稼働反対の動き-
8月7・8日と、最も早い再稼
働が心配される九州電力川内原発
のある鹿児島県を訪問した。現地
を訪ねるまで、県知事も立地自治
体の薩摩川内市長も強固な原発推 原発ゲート前で取材をうける
進派で、反対派の力は大きくないと聞いていたが、実際には反対運
動が活発になるなど状況は変わりつつある。原発から30km圏に大半
が含まれるいちき串木野市では緊急の反対署名が市民の半数を超え
る約1万5千人に達しているほか、30km圏にかかる姶良市議会は再
稼働に反対し廃炉を求める意見書を圧倒的多数で可決した。さらに
会談した薩摩川内市長は「住民の安全には国が責任を持つべきで、
再稼働についてはまだ結論を出していない」
と慎重な物言いだった。
県知事も国の責任を明確化するよう主張し始めたようだ。9月28日
には鹿児島で全国規模の反対集会が予定されており、原発の是非は
保革のイデオロギーとは関係なく、鹿児島のように保守地盤の強い
地域でも運動が広がっていることを心強く感じた。
南日本新聞2014年8月9日
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市民政治レポート
2014年9月1日
朝日新聞(鹿児島版)2014年8月9日
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市民政治レポート
2014年9月1日
滋賀県知事選勝利の意義と展望
-嘉田由紀子前滋賀県知事に聞く-
7月13日に投開票された滋賀県知事選挙で、
「チームしが」と
して嘉田由紀子知事と二人三脚で戦った三日月大造前衆議院議
員が勝利した。
県知事として2期8年、無駄な公共工事をやめて借金を削減
三日月大造新知事にバトンタッチ
するとともに、隣の福井県にある原発の「被害地元」として「卒
原発」を訴えてきた嘉田さんに、
「チームしが」誕生の経緯などを伺った。<収録:8月18日>
菅 今日は嘉田さんに二つのことで話を伺いたいと滋賀までやってきました。一つは政権交代後、自
民党の推す候補が勝つ選挙が続いてきた中で、滋賀では嘉田さんが後継指名された三日月氏が、自民
党が全力で応援した候補を破り、見事知事に当選した。そのことについてです。もう一つは、知事を
辞め自由になった嘉田さんが卒原発など今後どんな活動をされるつもりかです。
嘉田さんは8年前知事選に出られたとき、もったいない運動とか新幹線の駅を止めるとか、まさに
土建国家的なやり方を止めようとして立ち上がられた。今回そうしたものが三日月氏にうまくつなが
った理由は何でしょうか。
嘉田 私は三日月さんにバトンを渡そうとしたとき、2006年に誕生した嘉田県政8年のバトンではな
い。1974年の武村(正義)県政の誕生から始まる40年間のバトンだと気が付いたんです。1970年代以
降、政治は3段階の動きをしてきました。まず冷戦時代の共産主義か自由主義かというイデオロギー
の対立する「ハイポリティクス」の政治。続いて高度成長時代の利益を軸にした「インタレストポリ
ティクス」
。そして高度成長時代の反省に立ち、福祉や環境を重視する「ライブリーポリティクス」
。
政治学者の篠原一先生が提唱されていました。ご存知ですよね。
菅 若いころからいろいろ教えてもらいました。
嘉田 「ライブリーポリティクス」の理想を私が知事として2006年に目指せたのは、実は武村さんが
すでに1974年に始めていたからです。1974年に当時の上田金脈の汚れたお金と、それから琵琶湖総合
開発で環境などほとんど配慮せずにダム化しようとしたことに武村さんが反旗を翻して、
8,000票差で
40歳の若い武村知事が誕生した。それが滋賀でのライブリーポリティクスの原点です。武村さんがそ
の時せっけん運動から富栄養化防止条例などいっぱい政策を進められました。その中で琵琶湖研究を
自前でやるための琵琶湖研究所が1986年に発足し、私は社会学者として手を挙げて研究員になりまし
た。ですからライブリーポリティクスを滋賀は40年前から実践をしてきたのです。
今回の県知事選でも滋賀県民はそうしたライブリーな政策を受け入れる風土が育っていたことが大
きかったと思います。2009年に民主党が掲げた子ども手当や高校授業料無償化の政策はライブリーポ
リティクスに根差したもので、理念は決して間違っていなかったと思います。ただガバナンスに問題
があり、しかも本当は自民党が責任を負わなければならない原発事故が起きて、菅さんが時の総理と
して責任を取らされるというのは歴史の不条理だと思います。人口減少時代の「コンクリートから人
へ」も正しい。私はそれを実践しました。6つのダムも止めました。国のダム3つと県のダム3つ。
菅 すごいなあ。ところで知事を退任されて自由になられた嘉田さんに卒原発の実現など私はいろい
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市民政治レポート
2014年9月1日
ろ期待しているのです。
先日、川内原発のある鹿児島県に出かけました。県知事も立地している薩摩川内市長も強硬な原発
推進派で難しいと聞いていましたが状況はかなり動いています。30km圏の、いちき串木野市では市民
の半数を超える再稼働反対署名が集まり、姶良市議会は再稼働反対・廃炉を求める決議を圧倒的多数
で可決しました。
嘉田 原発による利益を何も受けていないのに事故が発生すると被害が出る地域を、私は環境社会学
の経験から「被害地元」と名付けました。環境問題で「地元」が何を指すかは大問題です。函館も京
都もそして滋賀も被害地元です。被害地元の連携が大きなパワーになると思っています。
菅 脱原発の動きも幅広いネットワークまでは出来ています。細川、小泉両元首相も参戦。司法も従
来の行政任せとは異なる姿勢を示しています。また各地の原発再稼働に反対する運動も広がっていま
す。
しかし現在の
「一強多弱」
と言われる国会の状況を変えるような政治的パワーにはなっていません。
次期国政選挙までに何とかできないか。2016年7月には参院選、2016年12月は衆院の任期満了です。
総選挙は2015年中にはあると思います。
民主党も内部的な力だけでは脱皮できません。今日の嘉田さんの話を聞いてライブリーポリティク
スの原点に立って再結集を図る。その中に民主党の大半が入っていく。そうしたきっかけになるよう
なライブリーポリティクスの旗を嘉田さんに立ててもらいたいと期待しています。
嘉田 そう期待なさらないでください。私は「未来の党」で失敗しておりますので(微笑)
。私は、今
は、若者を育てる教育も大変重要と思っておりますので大学学長職を引き受けました。ただ、原発再
稼働反対というだけでなく、どういう政治パワーにしていくかは社会的課題です。普通の政党は何十
項目もある政治イシューについて意見が微妙に食い違い、まとまるのに苦労している。特にリベラル
な人ほど違いを強調しがちです。そこで共通なイシューを最初から項目を絞って政党を作ればいいの
ではないでしょうか。私は「原発と平和と子育て」という三つのイシューでまとまった政党なら、好
戦的でマッチョなおじさんたちの政党に対抗できると思います。
菅 今日は貴重なお話をありがとうございました。
鴨川や堺で講演
7・8月は古い友人の主催する会合で
講演した。
7月12日はジャーナリストの高野孟さ
んが主催する「大山村塾」に招かれ、千
葉県鴨川市で講演し、終了後は参加者や 自治体議員勉強会
スタッフの皆さんと親睦を深めた。
8月4日は堺市議会議員の長谷川俊英さんが主催する自治体議員勉強会に
て、地方自治体議員や市民の皆さんに講演。多くの熱心な質疑に答えた。
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大山村塾
市民政治レポート
2014年9月1日
伊方・松山を訪問
7月25・26日に四国電力伊方原発のある愛媛県を訪問した。
25日は佐田岬半島の付け根に瀬戸内海に面して建てられた伊方原発、事故時に住民避難に使われる
道路やトンネルなどを視察し、その後に伊方町内で原発に反対する地元の皆さんと意見交換した。
26日は松山市で『
「3.11」とこれからの日本を語る-首相官邸と飯舘村で、
「あの時」何が起きたか
-』との集会で講演を行い、福島県飯舘村で酪農業を営み、原発事故後は避難されている長谷川健一
さんと対談した。
愛媛新聞2014年7月28日→
↓愛媛新聞2014年7月27日
パーティーを開催します
インテリジェンスの専門家として外交分析に定評のある佐藤優さんを
ゲストにお迎えし、東日本大震災や原発事故をはじめ、関連する内外の
諸課題について語っていただきます。
日 時
場 所
ゲスト
会 費
2014年11月25日(火)17:00~講演会 18:30~懇親会
ホテルニューオータニ「鳳凰」
佐藤優さん(作家、元外務省主任分析官)
20,000円
この催物は、政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティーです。
※詳細は次号でご案内します。お問合せは菅直人を応援する会(0422-55-7010)まで。
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