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第1回輸出ビジネスモデル戦略策定検討会 議事要旨

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第1回輸出ビジネスモデル戦略策定検討会 議事要旨
第1回
輸出ビジネスモデル戦略策定検討会
議事要旨(速報版)
(1)本事業の概要
西岸委員長:資料 1P.10 の対香港への花卉輸出では問題意識・仮説・検討課題を整理して
いるが、レベルの異なる課題が列挙されていると思われる。一番の問題はコストの問
題。輸送効率(パッキング)の話では実践的なところをつめていかなければいけない。
一定量のロット確保のための体制については具体的に検討する必要がある。品種につ
いてはFAJが予め絞れるのではないか。その上で相手国にヒアリングすることが重
要。パッキング、ロットは連動して考えてほしい。FAJ としての提案があって、香港
側でつめることが基本となる。先の問題かもしれないが、香港だけでなく中国を含め
た切花輸出の可能性について検討する必要があるのではないか。
小竹委員:輸出相手国を探す必要があるかどうかは疑問。香港では切花は中国、オランダ
から輸入している。競争相手国の価格についても調査項目に入れて検討してほしい。
柴田委員:植木輸出は EU よりも中国(特に北部)向けが多い。中国向けの対策も一緒に
検討していければよい。
西脇委員:輸出に関して積極的に取り組む気のある生産者、及び品種がはじめに想定され
てからはじめて香港で話を詰める必要があると思うが、FAJ では具体的な品種につい
て考えているのか。
上西委員:切花輸出ではいろいろな壁にぶつかっている。輸出コスト等すべて高い。香港
では限界あるかもしれないが、まずは香港で成功事例を作っていきたい。コスト、品
質保持等ボトルネックをクリアしていきたい。香港は朝と夜の便があるため、夜間時
間帯に出発すれば、鮮度保持もクリアできるのではないかと考えている。資料1の P.3
の図にあるように、香港への花卉輸出は多い。香港経由で他国に輸出されている可能
性がある。9 月から 10 月はじめまでに試験輸出を行いたいと考えている。EU 向け植
木輸出については、諸問題について検討を進めていただきたい。
キッテンベルガー委員:①何処に売るか、②何を売るか、が最大の問題。15 年位前には
じめて岩手からヨーロッパにりんどうを送った。りんどうの輸出ではパッキングに関
する問題がある。また、詰め込む切花の本数がパッキングに関係する。本数により強
度のある箱を使う。香港への輸出に関しては、植物防疫は簡単、輸送コスト安い、便
数多いという特徴がある。香港市場は大きくないので、切花輸出の練習にはちょうど
よい対象地域である。欧州は国により花の購入に関して傾向が異なる。ドイツは安い
花を家のために買う。イギリスは高い花をたくさん買う。東ヨーロッパは値段に関係
なく品質のよいものを買う傾向がある。スペインも高額な花を買う傾向がある。輸送
コストが高く高額な商品でも品質がよければ売れる。欧州でも南と東の地域ではもと
もと高い。オランダから欧州中に配達できる。輸出を行う場合は、どの花を、何本、
どのくらいの期間で用意できるかが問題となる。
高畑委員:岩手県からオランダ経由で各国にりんどうを輸出している。本来は輸出するよ
りも、国内でもっと買ってほしいと言うのが本音。リンドウの出荷は岩手県からの出
荷が 7 割を占めているが、地元ではあまり知られていない。身近なところでPRが不
足している。日本産花きのファンを内側から増やしていくことが重要。本検討会の検
討スケジュール等について異論はない。
山本委員:香港は上海、台北と同様に、やり方によっては輸送コストを切り詰めることは
可能である。どの種類の切花をターゲットにするか、アイテムによって戦略は異なる。
品種は絞ってから検討するほうがよい。
柴田委員:せん虫は主なもので 8 種類いる。せん虫の種類、密度等の調査が必要。試験場
で 2 年前に一定の成果を出したが一時しのぎのものであり、根本的な解決に向け現在
取り組み中である。土をそっくり洗って輸出する試みもあるが労力の面で一般的では
ない。半年で方向性を出すのは困難であり、結論は 2~3 年先になるだろう。
金田検疫官(技術情報提供):欧州の植物検疫当局からはセンチュウ等の発見により不合
格となった旨の輸出国通報を受けている。ただし、この通報の情報が検疫をパスでき
なかったすべての事例をカバーしているかはわからない。2005年以降では、最近
ベルギーからセンチュウ発見の通報事例が多い。現時点で、輸出事業者は判明してい
るものの、生産圃場を特定できるような情報提供は受けていないことから、ベルギー
側により詳細な情報の提供を求めているところ。
上西委員:FAJ でも把握していないが、コンテナ 2~3 本/年が焼却処分という話を聞い
ている。
西岸委員長:高品質、高級品を対象として検討を進めていく事でよいのではないか。パッ
キング、輸送効率については、具体的な方法、結露の問題等、国内でも検討できるか
もしれない。
(2)花き輸出を取巻く現状について
①上西委員からの発表
・ 欧州での花き需要はあるが、ネマトウダのために植物検疫を通過しない。その理由を
解明したい。
・ 花き輸出の第一段階としては、植物防疫の障壁が比較的少ない香港から始めたい。
・ ネマトウダ以外のことがボトルネックになっている可能性もある。
②小竹委員からの発表
・ 千葉県では 20 億円の輸出がある。その多く中国向けであり、EU 向けは 1 億円程度。
・ 米国、中国での現地コンサル発注で市場調査を行った。取引先調査、会社の信用調査
を行った。中国ではランクBの事業者が出てきた。ほとんどは香港経由の中国への輸
出。本年 3 月に初めて日本から中国に輸出したということが公に公表された。
・ 盆栽の輸出では年間 2 回の栽培地検査が必要。
(販売先が決まっていなくても先に検査
しておく必要あり。)
・ 販売額の 10~20%程度が輸出にかかるマージン。
・ EU が侵入を恐れる病害虫は、さび病、せん虫が問題。
・ 40ft のリーファーコンテナには大きい植木を約 30 本詰め込むことができる。
・ 千葉県で輸出に取り組む生産者はわずか。一歩を踏み出せない生産者が多い。
・ EU だけでなく、アメリカの市場にも魅力を感じている。
・ 今後は国内向けよりも輸出のほうに芽があると考えている、
③高畑委員からの発表
・ りんどうは八幡平市、西和賀町の生産が多い。
・ 日持ちがよく、荷痛みが少ない、重量の割に単価が高いことが特徴で輸出向きの商品。
・ 出荷時期をずらして長期に出荷できるようにしている。
・ ピンクりんどうの生産も行っており、敬老の日にプレゼントしようという戦略で売り
込んでいるがまだ認知度は低い。
・ ニュージーランドの生産者が欧米向けにりんどうを輸出しており、
「なぜ安代は輸出し
ないのか」と問われたことが、岩手から輸出するきっかけとなった。
・ 安代りんどうについては、平成 20 年度の輸出は前年度比 1.6 倍の見込み。
・ 輸出にかかるコストが問題。当初のりんどう 1 本あたり航空運賃は 135 円。
(りんどう
自体は 100 円)で赤字であったが、パッキング効率向上等の努力により現在 17 円にま
で単価を抑えている。その結果、昨年黒字を達成。ユーロ高ということもあり、1本
あたり 33 円の利益を実現した(国内販売での利益は一本あたり 28 円)。
・ 台湾への輸出では検疫が難しい。薫蒸処理により商品の荷痛みが激しかったが、よい
ところのみを現地販売した。消費者ニーズがあることを確認しているが、植物検疫が
厳しいことがネック。
・ 鮮度保持に関しては、平成 19 年から 3 年間、農林水産省の補助事業を活用した、流通
技術改善の取組を行っている。昨年台湾に輸出したが、アザミウマがいて薫蒸処理を
行ったため鮮度に関するデータが取得できなかった。岩手県でも 9~10 月に試験輸出
を行いたいと考えている。
④金田検疫官(技術情報提供)からの発表
・ 植物検疫の輸出検査件数・数量は盆栽、庭木ともにそれほど増加していない。
・ 盆栽はオランダなどの EU 向けが多い。庭木で中国は 9 番目。
・ 植物検疫については、各国が輸出国との病害虫の違いに基づき独自の検疫措置を設け
ており、グローバルスタンダードは存在しない。
・ 日本産の五葉松はそもそもEUにおいて輸入が禁止されているものであるが、条件付
きで日本からの輸出が可能となっている。
・ 国内での検疫に合格し検疫証明書がついていて現地で合格にならない理由は、検査で
センチュウが検出されたことによると考える。
・ EU 向けについても土そのものは禁止扱い。ただし、輸出条件の中で庭木等が生息する
ための最小限の土は許容される。
・ 近年はベルギーからの通報が多く、2005 年からの通報回数は 27 件。すべてセンチュ
ウが付着していたとの報告。
・ ベルギーからの通報情報では、せん虫の属までしか同定されていない為、それが検疫
対象病害虫となる欧州未発生の種であるか否かを特定することは出来ない。
・ 輸出前に消毒を行っているが、根の中に寄生しているせん虫を完全に除去する技術は
できていないのが現状。
・ 欧州までの輸送に約2ヶ月かかることから、輸送中に内部からせん虫が発生、増殖し
ている可能性がある。今後は国内の輸出検疫ももっと厳しくする必要があるのかもし
れない。
・ イタリアの検疫が通りやすいのは、輸入時に消毒を行うことで合格とし、センチュウ
検査はしないと関係者から聞いているので、そのことが要因かと考えられる。
・ 実生から育成するなど、センチュウがつかない生産環境を創りだすことがもっとも理
想的。
⑤質疑応答
柴田委員:FAJ では根巻きの土量を減らすという植物防疫所からの要望を実行しているの
か。根巻きが小さいと乾燥してしまう。植物検疫について、ネコブセンチュウのよう
に、EUにおいて既に発見されているせん虫が見つけられた場合は、その場で防虫処
理をし、再検査に合格すれば輸入が許可されると聞いていたが本当か。
金田検疫官(技術情報提供):イタリアでは輸入時に荷口全てを消毒し、センチュウ検査
は実施していないとの話を関係者から聞いている。国によって土壌のサンプルのとり
方が違うことが影響しているのではないか。
小竹委員:オランダは民間に委託していると聞いているが他国にも同様のケースがあるの
か。
金田検疫官(技術情報提供):輸出検査は民間が行っていても輸入検査は国が行っている
ことが多い。
農林水産省:大型の植木の“大型”とはどの程度か?
上西委員:大人の胴回りよりも太いレベル。
事務局:りんどうは主にオランダに輸出されているが、切花の輸出に際して問題ないのは
なぜか?
高畑委員:安代りんどうは既にブランド化されており、マーケットが確立している。現地
での評判も良い。鉢物・苗の需要もあるが、検疫が通らないときいている。したがっ
て、検疫の問題がない切花を輸出している。
西脇委員:オランダはりんどうの検疫はしていない。品目により検疫が要請されるものと
そうでないものがある。
キッテンベルガー委員:りんどうは雨に弱い。雨が多い季節では、商品に水分が付着する
と到着時には変色していることがある。
農林水産省:FAJ資料で中国からオランダは天国とあるがどういう意味か。日本が厳しす
ぎるというのは、輸入検疫が厳しすぎるということか輸出検疫が厳しすぎるということか
どういう趣旨か分からないが、どういう関係があるのか。
上西委員:ピートモスでないものでも中国からオランダへの輸出は問題なく行われている。
中国は欧州よりも日本のガードのほうが厳しいという認識を持っている。
以上
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