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Vol.53 2010年9月15日発行 FAJ鉢物レポート10月

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Vol.53 2010年9月15日発行 FAJ鉢物レポート10月
FAJ鉢物レポート10月
●発行日:平成22年9月15日
●発 行:(株)フラワーオークションジャパン
企画課
Vol.53
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
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F
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r!
甘 い香りのするキクの新品種
“アロマム”シリーズ
中部電力株式会社が、国立法人広島大学と
共同で開発したキクの新品種のご紹介です。
名前は「Aroma(芳香・香り)+Mum(キク)」の
造語であり、今までのキクにはないフルーティ
な甘い香りから名づけられました。
アロマムには、香りの他にも注目すべき特徴
があります。それは高い環境浄化能力です。
シックハウス症候群の原因物質であるホルムア
ルデヒドや、大気汚染の原因である二酸化窒素
を吸収する能力に優れています。
アロマムは小輪多花性で可愛らしく、キク=仏花とい
う今までのイメージを脱し、室内などでも気軽に楽し
めます。
愛知県の蟹江町鉢物部会・アロマム会より出荷中!
このラベルが目印!
おすすめ花苗
今が植え時!!おすすめ野菜苗
夏野菜の収穫も終わり、今度は冬野菜をスタートするのに最適な時
期です!この時期オススメな野菜は、ハクサイとレタス。どの野菜も
「植え時」はありますが、ハクサイ・レタスは9月下旬~10月上旬のこの
時期がまさに植え時です。
ハクサイは暑すぎるうちに苗を定植してしまう
と害虫の被害も受けやすく、逆に定植が遅い
と、寒さに当たる前に十分生育できず、
うまく結球しなくなってしまうのです。
レタスは冷涼な気候を好みます。
高温長日の条件になると、花芽が
形成され結球せずに伸びてしまい
ます。(とうが立つといいます。)
どちらも虫が好んで食べる
葉ですので、害虫対策を
忘れず、家庭菜園を
楽しんでみてください!
JFIトレードフェア
写真㊦
ハクサイの苗を選ぶ際
は、双葉に加え、緑色の
張りのある本葉が5~6枚
ついている苗がよい。
写真の品種は「黄ごころ
85」
2010秋
写真㊨
“初恋草”の名前でおなじみの
レケナウルティア。霜は避けたほう
がよいですが、寒さに比較的強い
のも魅力です。この時期出始める
ガーデンシクラメンやエリカなどと
寄せ植えにして楽しんではいかが
でしょう。水のやりすぎには注意で
す。
写真㊧
ヨーロッパでも大人気のダイアンサス
“かほり”、寒さにも強く、秋に植えつける
と春には左のようなボリュームある姿にな
ります。この“かほり”の育種者であり生
産者のMSKガーデンさんを巻末で特集し
ています。ぜひご覧ください。
のお知らせ
来る10/22(金)-10/23(土)、弊社におきましてJFIトレードフェアを開催いたします。JFIトレードフェアは出荷者の皆様に
商品を展示していただき、注文受注や商談の場としてご利用いただいております。また、生産者同士やお客様との情報交換の場と
してもご活用いただいております。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
日程:10/22(金) 9:00-17:00
10/23(土) 9:00-14:00
場所:東京都中央卸売市場 大田市場花き部
㈱フラワーオークションジャパン 新館2階
鉢物レポート Vol.53
園芸店の基礎知識その 49
落花・落蕾のメカニズム
よく、胡蝶蘭などで、「花が一輪落ちている」といったクレームを聞きます。胡蝶蘭に関わらず、植物にとって花が落ちるというのは生理現象
のひとつではありますが、商品としての価値は落ちてしまうのが現状です。今回はその落花・落蕾のメカニズムについてご紹介します。
今年の夏は記録的な猛暑となりました。その結果、流通商品には例年見られないような品傷みがみられました。
暑さに弱い熱帯植物??
ハイビスカスはエチレンの曝露により落花、落蕾す
ところが、この7月中旬以降に、店頭で落花、落
花や蕾が落ちてしまいます。高温時は朝だけ日に
ることが知られています。その昔は、市場に到着して
蕾するのは何故かとの問い合わせが幾度かあり
当てて半日陰に置くのがベストな管理ということで
一晩を過ごしたハイビスカスが落花し始め、店頭に並
ました。エチレンによる害は商品が市場にあるとき
した。
ぶと落蕾することが時々見られました。トラック内でエ
より兆候が現れますが、落花の様子などを聞くと
ちなみに、中米から南米北部に原産するアンスリ
チレンの曝露を受けたことに生理落花であることがわ
エチレン障害ではないと判断できました。さらに調
ウムも暑さに弱いことが知られています。直射に当
かり、今は出荷前にSTS(チオ硫酸銀錯塩)で処理す
べると、高温・強光による生理落花という結論にた
てる人はいないと思いますが、盛夏は室内や半日
るようになり、市場での落花、落蕾は皆無になってい
どり着きました。ハイビスカスは熱帯花木を代表
陰に置いてあっても、花つきが悪くなり、花が小さく
ます。ハイビスカスのほか、ゼラニウムやインパチエ
するものですが、意外にも暑さに弱く、また日照不
なり、過湿に管理すると根腐れが起こります。
ンスなどが同じ原因で落花、落蕾し、出荷前の落下
足で花つきが悪くなり、できるだけ日に当てるもの
防止剤の散布が行われています。
と認識していましたが、高温下で強光に当たると
高温時に増える花飛び
この夏は、花飛びによるファレノプシスの返品が例
に入り、花粉を食べることによって花飛びが発生
年になく多い年でした。1花茎につく花は株元ほど古
するという説もあります。花飛びは夏に多くなりま
く、先に行くほど新しく、正常であれば株元から順番に
すが、ウイルス説なら「高温で生育が衰えること
花が老けて萎れます。ところが、花茎の中ほどにある
でウイルスの害が発現しやすくなる」という理由
花が真っ先に老けて萎れることがあり、この現象を花
付けが可能になり、アザミウマ説では「アザミウマ
飛びと呼んでいます。流通途中や和紙を取り除くとき
は高温乾燥で多発するから」という説明になるで
に葯帽を傷つけると、その花は1週間ほどで萎れてし
しょうか。近年、ミカンキイロアザミウマやミナミキ
ました。花飛びはシンビジウムやオンシジウムなどラ
イロアザミウマが被害を広げており、私的にはア
ン科植物全般に見られる現象ですが、ファレノプシス
ザミウマ説の信憑性が高いと思っています。
は高額なギフト商品ということもあり、数10輪ある小花
なお、夏になると花茎の先端にある蕾が黄化し
の1輪が萎れただけでクレームの対象となっていま
て落ちることが多くなります。これも高温によって
す。
生育が衰えることが主因だろうと推測できます
花飛びの最大の原因は、花の中心部にある蕊柱の
が、その発現は生産者によって差があり、コンポ
先端にある葯帽が傷つくことによりますが、それ以外
ストの違いや出荷直前に植え替えをしたかどうか
の原因もあるといわれています。ひとつはウイルス説
等が違いを生んでいると推測されます。
です。ウイルス病に罹った株は花飛びが現れやすい
というものです。また、アザミウマ(スリップス)が葯帽
写真㊤
1日花のイメージの強いハイビスカスだが、花保ちのよい
品種も流通するようになった。写真はハイビスカス「Newロ
ングライフシリーズ」。
写真㊨
花茎の先端にある
蕾のみが黄色くなり枯
れてしまったファレノプ
シス。30℃近い高温
下の場所で展示した
際に見られた。
写真㊦
シンビジウムの葯帽が傷ついたことにより、花老けしてし
まった例。㊦写真は同一品種。㊧写真が通常の花、㊨写真
は葯帽が何らかの原因で傷つき花老けしてしまった花。リッ
プが赤みを増し、花弁が萎れている
のが見てとれる。
夏に多い落花・落蕾
落花や落蕾は高温時ほど多くなります。その原因
は次のように幾つかあります。
1) エチレン障害
2) 環境ストレス
3) 病気
して挙げられます。ブーゲンビレアの場合はトマト
トーンなどの処理によって落花を防ぐことが可能
葯帽
で、現在はほとんどの出荷物において出荷前に薬
剤処理がなされています。ベンジャミナで見られる
落葉は、流通途中の水切れによる落葉と室内な
と考えられます。現実に、雨天
エチレン障害については、温度上昇によって呼吸が
どの弱光に適応するための落葉の何れかの原因
に輸送されたもので落花が発
盛んになり、エチレン生成そのものも盛んになりやす
で発生します。弱光下での落葉はひと月ほどで落
生しやすく、入手後に殺菌剤を
く、逆に冬はエチレン生成の条件が整っていても生成
葉が止まります。
散布することでその発生を予防
量そのものが少なく、障害が現れにくくなります。STS
病気による落花・落蕾の例はそれほど多くありま
処理が有効ですから、最近はあまり大きな問題に
せんが、昔からシコンノボタンで問題になってきた
なっていません。
ものです。花茎などに黒い斑点が現れて落花する
環境変ストレスとしては前記のように、ハイビスカス
ものです。シコンノボタンは茎や葉にたくさんの毛
の高温・強光による落花、ブーゲンビレアの落花・落
蕾、フィカス・ベンジャミナにみられる落葉などが例と
があり、その毛が水遣りや雨による水を留めやす
く、その水が胞子の発芽を促し、病気が発生する
できます。
写真㊨
観葉植物として定番のフィカス・
ベンジャミナ。明るい室内に置きま
しょう。
最後に、原因不明の落花などの障害があるときは遠慮なくお問い合わせしてください。あちこち問い合わせするなどして原因を調べます。今回取り上げた落花・
落葉もそのメカニズムは不明なものが多いのが現状で、どの植物がどのような原因によりどのような症状を現すか、データを積み上げることが必要です。
Vol.53
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
Halloween
特集
もともと、キリスト教とケルト人の伝統行事から発生されたとされるハロウィン(Halloween)。日本でも10月に
なると雑貨店などで仮装グッズが販売されたり、ハロウィンのパッケージに彩られたお菓子なども売られ、ハロ
ウィンは多くの世代に知られるイベントとなっています。花市場でもおもちゃかぼちゃなどが多く流通する時期
となります。(本年のFAJにおけるかぼちゃ大市は10/1-10/2に開催)
今回はそんなハロウィンを花業界の新たなビジネスチャンスに!といった興味深い記事がありましたのでご紹介
いたします。
<参考>ハロウィンはビジネスチャンス!
Q.
お客様が花や植物に接して期待することは、
「ハロウィン」で花を
飾ってみたいと思うか?
「気持ちを盛り上げてくれる癒し」だけでな
く、「季節感を感じるためのもの」も8割以
上の方が求めているニーズです。これは、ど
(女性のみ516名、2010年7月に
アンケート実施)
の年齢層でも同様に約8割以上の高いニーズ
があります。他業種では、季節ごとに店頭の
イメージを変えているところがよくあります
が、花業界では意外と少ないのが現状です。
秋は季節感を感じやすく、そのイメージを
出しやすい時期です。特にアンケートによる
と、「ハロウィン」は普段花を買わない20
~30代の若い女性が花を飾ってみたいと思
う物日です。新規顧客獲得の絶好のチャンス
です!積極的に「季節感」を全面に出した店
づくりを始めましょう!
著:財団法人
日本花普及センター
おすすめ!ハロウィン商品!
写真㊧
オレンジ色の花がまる
で、ハロウィンのかぼ
ちゃのランタンのような
シーマニア!
キュートなハロウィン仕
様のポットに入っていま
す。
写真㊤
観葉植物もハロウィンピックがついて、
季節感がアップ!
写真㊧㊤
ディスプレイBOX付の、プリザーブドフラ
ワー。飾りやすくて、日持ちもするので
ちょっとしたギフトに最適です!
月から新しいコーナー登場
「花にまつわるちょっといい話」
財団法人花普及センターが主催する「花ってい
いよね。キャンペーン」の一環として「花にまつ
わるちょっといい話」が一般公募されています。
今月号より、昨年の入賞作品の中から1話ずつ皆
様にご紹介していきます。
ふっと誰かに花を贈り
たくなるような、心
あたたまるストーリー
をご紹介していきます。
平成21年度 優秀賞
(題なし)
息子からの初めての母の日のプレゼントは赤いカーネーションではなく、黄色いバ
ラの花だった。何気なく黄色いバラが好きだと言った私の言葉を覚えていてくれたの
だ。たった一輪の花が私を誰よりも幸せにしてくれた。あれからもう30年近くがた
ち、息子はもう忘れているだろうと思っていた。ところが、今年の私の還暦にと息子
から大きな花束が届いた。今度は数え切れない程のたくさんの黄色いバラの花だっ
た。体調を崩し塞ぎがちだった私の心が久しぶりに華やいだ。幸せだと思った。
東京都
井上薫子
FAJ 鉢物レポート
生産者紹介
今月号は、千葉県でなでしこの育種・生産を手がけていらっしゃる、MSK ガーデンさんのご紹介です。
MSK ガーデン 宍戸和幸さん
約25年間のサラリーマン生活から一新し、11年前に千葉県新規就農者として生産農家と
なりました。特徴のある経営をしたいと考え、初めから育種を手掛けオリジナルで勝負をし
ています。種苗業界に在籍していた関係で、世界の種苗会社の各クロップの育種状況の
様子を知る機会が多かったため、そういった会社と競合しない品種群の中から、3つのク
ロップを手掛け、最終的に「なでしこ」を選択しました。また私の目指す性質を得るために、
比較的都合の良い栽培環境でもあったと思います。(夏非常暑い場所です。)
おすすめ商品
1.‘かほり’
非常に生育が早く日当たりが良い場所であれば良く育つ品種
です。また芳香種であり、特に冷涼期には甘くやさしい香りを
放ちます。草丈10~15㎝の矮性種です。
写真㊤
37cmのボール鉢に
秋口に苗を3つ植えると・・・
来春には見事な姿に!!
ヨーロッパでも人気の品種です。
2.花はなシリーズ3品種(ローズ・ライトピンク・スカーレット)
花首が非常に短い品種です。花の咲きがらを摘む必要がなく
芝生の様にカーペット状に栽培が可能です。また、耐暑性も
抜群で極矮性ですので、駐車場の床面のコンクリートの割れ
防止の隙間にも植えることができるユニークな品種です。
現在3色ですが、追加予定があります。
写真㊤ :宍戸和幸さん
オランダのホームセンターにて、‘かほり’と共に
写真㊤
花首が短いのが特徴の
花はなシリーズ
写真㊧
“花はな
スカーレット”
生産のモットー
写真㊧
“花はな
ローズ”
誰もが楽しめる丈夫な品種の育成と、花苗であって食する対象では無くても、減農薬栽培にこだわっています。
国内の猛暑のハウスで育種選抜して、栽培してくださる方々を裏切らない品種づくりに励んでいます。
<宍戸さんより一言>
「なでしこ」と一言でいっても色々な品種群があります。
今後、原種を含め少しずつ皆さまへ紹介する品種を広げ、多くの方々に「なでしこ」を楽しんで頂けるように
頑張っています。そうなるように夢を見ています。
2010 New!
写真㊧
“花はな
ライトピンク”
秋の花の代名詞のひとつである「菊」。
鉢植えやガーデンなどでも「マム」として色や形が豊富にあり、秋の商材として幅広く
流通していますが、今世界でも注目されている「超」珍しいマムをご存知ですか?
それは、JFS受賞品種の「フライングカーペットマム カーペットサーフ」です。
花は普通のマムで、色もこれもよくある白色ですが、このマムは何と言っても世界的に
見ても珍しい四方八方に横へ横へと広がっていくほふく性のキクです。
枝分かれが多く、一枝が60cm以上にも伸びます。グランドカバーとしてのみならず、
プランター等に植えて、枝垂れ咲くようにハンギング仕立ても可能です。キクが本来
持つ環境に対する強さと花持ちの良さに加えて、今までにない新しい草姿が高く評価
されています。
優れた新品種を認定しているジャパンフラワーセレクションでは、世界的に見ても
新しい価値観を生み出した品種として高く評価し、ニューバリュー特別賞を授賞
しました。
この品種の花色は白色ですが、新しく黄色やオレンジ色も出荷されています。ガーデナー
としても花の少ない秋の時期にデザインの幅が広がります。
今後大ブレークが期待される世界に誇れるマムとして、ぜひとも知っておきたい品種
です。
http://www.faj.co.jp
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