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灯火親しむ
平成28年10月29日 横浜市立矢向小学校 学校だより 平成28年度 11月号 メールアドレス [email protected] 学校教育目標 わたしが、みんながかがやく矢向の森 【知】学ぶ楽しさを知り、自分の考えを深める子を育てます 【徳】自分が好き、友だちも大好きな、やさしい子を育てます 【体】心と体の健康を守り、自他の生命を大切にする子を育てます 【公】地域の人やものを大切にし、共に生きる子を育てます 【開】様々な人と自分からすすんでコミュニケーションをとれる子を育てます 灯火親しむ 校長 平石 英一 霜月晩秋。朝夕の風の気配に秋の深まりを感じます。実りの秋、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、芸 術の秋等、○○の秋と呼ばれるのも当月まで。先月はじめの暑さが嘘のように、やがて冬が足音を忍ばせて 近づいてくることでしょう。 早、今年も残すところあと2ヶ月。年齢を重ねると時間の流れが早くなるというのは単なる感覚だけでは なく科学的根拠があるそうです。医学的な見地からすると、体内時計が変化するからだと言われています。 フランスのポールジャネーは、生涯のある時期における時間に対する心理的長さは、「年齢の逆数に比例す る」と言いました。同じ1年でも 10 歳と 50 歳とでは、人生における比率 10 分の 1 と 50 分の 1 で全く 違い、歳を重ねた分、同じ時間でも短く感じるというのが彼の説で、「ジャネーの法則」と言われています。 子どもはゆっくりと流れていく時間の中で、いろいろな体験をしています。子どもの頃の実体験は、いつ までも心に刻まれ、その子の経験値を高めてくれています。人が人として生きていくうえで基礎・基本とな るのが原体験だそうです。小学生の年代に、この原体験を数多く体験させることが必要なのだそうです。 さて、空気が澄む秋は、天体観測に最適な季節でもあります。星が見えにくい都会の空ではありますが、 ゆっくり流れるお子さんの時間に合わせながら、秋の夜空を見上げ、限りなく広がる宇宙に思いを馳せるひ と時があってもよいでしょう。 『大神ゼウスにより創られた人間世界での話。古代エチオピア国王ケフェウスと王妃カシオペアは、王女ア ンドロメダを美の神より美しいと自慢します。特に母親のカシオペアは「私の娘は世界一。海の神に仕える 娘たちよりアンドロメダの方がずっと上よ。」と自慢していました。この話が耳に届いた海神ポセイドンは 大いに怒り、「思い知らせてやる!」とばかり、化けクジラをエチオピアに送り、大暴れさせました。そし て、アンドロメダを海の怪物ティアマトの生贄に差し出すよう求めます。 一方、魔女メドューサを退治した勇者ペルセウスは、天馬ペガサスに乗り故郷に帰る途中、生贄にされる アンドロメダに出会い……。』 この有名なギリシャ神話に出てくる人物は、秋の天空にそれぞれストーリー性をもって配置されていま す。明るい星が少なく、寂しげに見える秋の夜空ですが、エチオピア王家にまつわる、神々と人間が織りな す壮大な神話の世界をお子さんに聞かせながら、秋の夜空の高いところを見上げると自然と目につく 4 つ の星、ペガサス座の『秋の四辺形』をお子さんと確認し合うことも、お子さんの原体験になるのではないで しょうか。 そして、ギリシャ神話や宇宙の世界に限らず、本は私たちを過去、未来、世界中の国々、森の中、海の中、 動物や植物の世界…いろいろな場所へいざなってくれます。 灯火親しむ秋、秋冷を満喫しながら、時には活字を通して読書の素晴らしさや楽しさをお子さんとともに 味わい、ゆったりと流れる子ども時間に浸ってみてください。保護者の皆様の読み聞かせや、本を通しての 語り合いは、きっとお子さんへの素敵な原体験のプレゼントとなることでしょう。