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講話・事例発表・まとめ講義の要点
森林づくり活動ワークショップ (講話・事例発表・まとめ講義の要点) <県南会場> 平成27年1月15日(木)9:30~11:45 ○ 講話【谷本先生】 ・ 従来から入会地管理など、地域の寄り合いの中でボランティア活動が行われ てきた。今は、地域における入会地利用などが衰退している状況。 ・ 森林ボランティア活動は、林業全体を担えるわけではないが、最後はグルー プで地域の森林施業を担っていくような形にもっていけたらよい。 ・ 本ワークショップでは、技術的な課題も浮き彫りにされるとよい。 また、森林づくりには時間がかかるため、長期的な視点も必要である。 ・ 今回のような取組を通じて、地域の森林ボランティアのあり方を探り、「ふ くしま方式」という形で進めていければいい。森林づくり検討委員会の提言に 具体的な方策が追加される形がよいと思っている。 ○ 事例発表 【山本光子さん】 ・ 震災前は里山での活動だったが、震災後は室内でのモノづくりの活動を実施。 ・ うつくしま育樹祭は、第1回から参加している。 ・ 現在取り組んでいる花いっぱい運動は、幼稚園・保育園の親子が中心となっ ている。 ・ 白河関の森公園では、除染が進んでいたので、植樹祭を実施し、幼稚園児に 育ててもらった木を植えた。 ・ 作業時間を短くするなどにより、地域ボランティアの方々が里山整備を行っ ている。 ・ 森林での作業は、5感を使うことから、感性が豊かになる。 ・ 今後は赤面山のスキー場跡地で、木もれ日倶楽部や福島県緑の協力隊と共同 活動を実施していく予定。 【進士徹さん】 ・ 東京生まれ、東京育ち。鮫川村での山村留学がスタート。所有森林で活動し ている。 ・ 「ぽんた山元気楽校」を主宰し、一年間の参加実数350人となっている。 ・ 今では、県南建設事務所と提案型の交流事業を行ったり、振興局から「農的 暮らしセミナー」の依頼があるようになっている。 ・ 首都圏の若者向けに「あなたの1年の7日間を農山村の時間に・・・」をテ ーマに「365日7daysライフシェアリング」を提案している。 【金川喜久さん】 ・ 毎日森林づくり(森林整備)をしている。 ・ 今は針葉樹であるが、広葉樹の森林づくりも必要ではないかと考えており、 「ふくしま森林再生事業」などで取り組めたらよいと思っている。 ・ 作業員不足が課題。若い人がやりたがらない。小学校に森林づくりの話をし にいっても増えない。高性能林業機械を導入したら若い人がくるかと思って導 入したが、来ないのでオペレーターがいない。 ・ これからも地域の森林づくり活動に参加したい。 ○ まとめ講義【谷本先生】 ・ 最近、学生でもボランティアでも女性の方が多い。生活の中での食材などを 通じて「森林」が大事だと思っているのかもしれない。 ・ 本日は、実のある発表だった。もりの案内人は森林への理解を進めるのに役 立っている。 ・ 今回、技術的な課題は出なかったが、例えば技術的な話題としては樹木の密 度がある。薪炭林は伐った方が萌芽で本数が増え、ビール瓶の太さで1万本/h aになることから、効率的に利用できる。しかしながら、本来広葉樹では50cm の直径で両側30mの樹冠幅が必要になる。そういう意味では戦後人工造林を進 めるときに針葉樹で3千本/ha程度の植栽は住宅資材の生産という目的から合 理的だったのではないかと思う。どうして問題のある森林になったのか、技術 の背景がどうだったのかなど、森林づくりの伝承ができたらよいと思っている。 ・ また、発表では資金の問題もでていた。 ・ 今回の参加者は意識の高い方であったが、仲間を増やすのも重要。できるだ け仲間を増やして、みんなで森林が大事という意識をもてるようになるといい。 全国植樹祭をきっかけにしたPRは発展の原動力になると思う。 <南会津会場> 平成27年1月15日(木)14:30~16:45 ○ 講話【谷本先生】 ・ 森林づくり検討委員会の提言を紹介すると、森林ボランティア、緑の少年団 など様々な主体の活動を促進することとしている。 ・ 森林は、針葉樹なのか広葉樹なのかや川上から川下までなど、様々なテーマ があり、いろんな学問分野にわたる幅広いものである。 ・ 森林ボランティア活動は、従来は共有林のように地域での生活のための管理 活動であり、収入を得る「稼ぎ」とは別のものだった。今は地域活動が停滞し ている状況。 ・ 森林ボランティア活動は、地域活動に端を発して奥地でのセミプロまで発展 するものになるといいと思うし、地域資源を活かしていくものなど様々なタイ プがあると思う。 ・ 会津地域では比較的森林資源があるので、フィールド確保、資源の活用方策 などの視点から、意見交換を通じて活動の基礎となる課題を把握できたらよい と思う。 ○ 事例発表 【平野健一さん】 ・ 「じね~ん」という言葉は、南会津の方言で「じねんとやろう」というのが あり、あせらず、ゆっくりという意味。 ・ もりの不思議の答えとしては、森林ボランティア活動を通じて、クロゲンゴ ロウやモリアオガエルなど貴重な生き物が森林に現れたことが答えだと思う。 【河原田信弘さん】 ・ 事業としての森林づくりを行っている。南会津管内は面積の92%が森林で、 多面的機能を発揮しているが、木材価格が低迷し、お金をかけてまでは森林づ くりをしないということにつながっている。 ・ そこで所有者の同意書のみで個人負担がないよう集約化事業を進めている。 これでスイッチが入ったが、次に国土調査が行われておらず境界がわからない という問題がでてきたので、森林組合が所有者立ち合いの下、境界杭を打ち測 量を行った。 ・ さらには、同意書により、道づくり、間伐・搬出を行っている。 ・ また、道は単なる搬出路ではなく、森林散策路としても活用していきたい。 ・ 間伐材をチップ化、ボイラ-燃料にしており、1㎥=軽トラ2台程度を1万 円で買い取っており、2年で軽トラ700台分運んだ地区もある。「森林づくりは いつやるの?今でしょ!」ということで進めている。 【関根健裕さん】(関根木材工業) ・ 「山と森林を使って地域に潤いを!」ということで取り組んでいる。 ・ 会員20社+準会員5社で、素材生産業者から薪ストーブまで様々な活動を行 っており、筑波大学の先生も入っている。 ・ 事業の4本柱は、①薪の販売、②森林認証(針生地区SGEC認証)、③公共物 件活用、④イベント(馬搬フェスタ)であり、地域にお金を残す取組をしてい る。 ・ 会員の活動では、 ・ 「家」について、NPO法人南会津針生里の会がタテログで中目丸太を活用して いる。 ・ 「家具」について、オカムラ製作所、アファンの森とタイアップで製作して いる。 ・ 「食器」について、ろくろ塗りに取り組んでいる。 ・ 「玩具」について、(株)マストロ・ジェペットがガラガラを制作し、グッ ドデザイン賞を受賞した。 ・ 「エネルギー」について、薪ストーブの推進に取り組んでいる。 ・ ものづくりからネットワークを広げていこうとしている。 ・ 筑波大学との協働での森林づくりとして、針生地区の鴫沼周囲で間伐を実施 し、搬入することで商品券にしている。 ○ まとめ講義【谷本先生】 ・ 福島県は、平成12年森林づくり懇話会が「県民憲章」を作り、森林づくり活 動、ボランティアの意識づくりができていると思う。原発事故、風評問題など 難しい課題はあるが、全国植樹祭に向けてブラッシュアップして、発展してい ってもらえればいい。 ・ 事例発表やグループ討議の発表を聞いて、南会津地域では活動が目指すもの として、森林資源の有効利用を期待したいと思っていることが伝わってきた。 ・ 森林ボランティア活動は、全国的にみれば都市近郊の共有林的な共同活動と 同じ役割に位置づられるが、会津地方では資源利用の視点があるので心強い。 自然があるのは財産であり、地域おこしにつながるとよいと思う。 <いわき会場> 平成27年1月16日(金)12:45~15:00 ○ 講話【谷本先生】 ・ このいわき地区が3箇所目で、この2日間で県南、南会津の会場でワークシ ョップを行ってきたが、どの会場でもその地域ごとの課題があり、その課題に ついて議論することはとても意義がある。 ・ 森林づくり活動には森林組合などのプロがやるものとそうでないものがあ り、ボランティアが行う場合においても、目的や森林の特性などを考え、森林 整備活動をしていくことが大切である。 ○ 事例発表 【松崎和敬さん】 ・ 2001年に開催された「うつくしま未来博の森のネイチャーツアー&森の 学校」のいわき版を作ることと、放置されている里山を市民の手によって再生 して、その里山において市民が安全に気軽に楽しく利用できることを狙いとし て「いわきの森林に親しむ会」を発足させた。現在、NPO法人として会員1 36名。 ・ 2005年からはいわき市林業研究センター湯ノ岳山荘の管理を行いなが ら、周辺の森をフィールドとしていろいろな活動を展開している。 ・ 震災以降は従来の活動に加えて県外から来られる多くのボランティアと一緒 に海岸林の再生整備にも取り組んでいる。 【平子作麿さん】 ・ 私が所属しているグリーンフォレスターの会は会員が50名程度、資格者が 100名程度いる。 ・ 主な活動としては、「うつくしま育樹祭」への指導協力や地域における実践 的な森林整備等を行っている。 ・ 森林ボランティアのための森づくり安全技術マニュアルの作成に関わること ができた。森づくりを実施する場合、安全対策は基本となっている。 【松崎正信さん】 ・ いわき市森林組合の組合員数は3,800人となっている。 ・ 民有林における森林づくりには、所有者自ら行う森林整備もあるが、造林補 助制度による森林整備に森林組合として関わってきた。平成25年度の実績と して406haの間伐等を実施した。 ・ 津波で被害を受けたいわき市の海岸防災林の再生に向けた取組として、平成 26年11月8日に企業の森林づくり活動「みずほの森プロジェクト」での植 樹活動の支援を行った。約150名の参加者があった。 ・ 「みずほの森プロジェクト」の参加者の皆さんは、半日ほどではありました が、明日の業務に支障がでるのではないかというくらい一生懸命植栽に取り組 まれました。 ○ まとめ講義【谷本先生】 ・ 本ワークショップは、皆さんに課題や解決策を話し合って共有してもらう意 味もあるが、皆さんがどんな考えを持って何を求めているのかを行政側に伝え るという意味や、行政側が事業や補助制度について皆さんへの情報提供できた ということでも大変意義のあるものになったのではないかと思う。 ・ 森林整備を行うにしても、これから5年先、10年先に向けてどのような森 林にしたいのか、目的を持った活動をしなければならない。 ・ 目的もなく、ただボランティアに参加しました、楽しく植栽しました、では 意味のない取組になってしまう。 ・ 県南地区、南会津地区、いわき地区とも共通して、皆さんが森林に対して熱 い想いを持っていることを知ることができ安心した。さらに、今回のワークシ ョップを通じて、ボランティアの方の貴重な意見や森林づくり活動の課題やそ の解決策を共有できたことに大きな意味がある。