...

運動部活動指導者サミット参加報告(PDF:811KB)

by user

on
Category: Documents
2

views

Report

Comments

Transcript

運動部活動指導者サミット参加報告(PDF:811KB)
平成 26 年度 第 3 回 運動部活動指導者サミット(東京会場)参加報告
主催:文部科学省
期日:平成 27 年 2 月 4 日
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター
1 開会
○主催者挨拶 文部科学省スポーツ・青尐年局参事官 日向 信和 氏
・運動部活動の意義、学校教育上の位置づけ「学校教育の一環」
「自主的・自発的な参加」
・指導者による体罰事案が報告…平成 24 年大阪市の高校生の自死→社会問題
・運動部活動における体罰防止について全国の指導者への支援として「指導のガイドライン」作成
・先日の報道発表 部活動は体罰全体の29%を占める
・体罰の撲滅と適切な指導について「指導のガイドライン」の活用を図り、今以上の取組が必要
・ガイドライン作成に関わった望月浩一郎氏の講演を通し、暴力に寄らない指導の再確認願う
2 報告
(1)第 1 回運動部活動指導者サミット報告 岩手県教育委員会
①岩手県が開催地を希望した理由
・運動部活動加入率が、全国平均より高い(中学男子 91%、女子 70%、高校も高い)
→体力・運動能力テストも全国平均より 2 ポイント高い。
・平成 28 年度には岩手国体を開催「広げよう感動、伝えよう感謝」
→震災後、国体開催を危ぶむ声もあったが、全国からの支援に感謝で応える復興のシンボルに!
②サミット開催
暴力を生まない指導のために留意すべきこと 友添秀則(早稲田大学教授)
① 指導方針の明確化と練習計画の作成
② バランスのとれた練習への配慮
③ 年間の活動の評価と次年度へのフィードバック
④ コミュニケーションの充実への努力
⑤ 選手の状況の細かく把握、適切なフォローを加えた指導
⑥ 徹底した事故防止、安全確保に注意した指導
「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書(文科省)」から友添えがアレンジ 引用
・良いスポーツの指導の特徴と指導者に求められる資質・能力について共通性がある
・
「フェアープレイ同意書」⇒選手に、指導者に、活動場面における具体点な姿を記載する。
○事例発表①(中学野球部)から
目標設定は生活面に及び、練習メニューも生徒が主体的に決定
冬季の限られた時間、自分たちを追い込む工夫、互いにリスペクトの気持ちと行動(掃除等)
○事例発表①(中学校バレー部)
より効果的な連携=「効果」と「課題」を確認→ 指導内容の共有化と指導観を同じベクトルに
部活動協議会を設置し、
「顧問」と「外部指導者」の役割の明確化
○事例発表②(中学校)
部活動の「マネジメント力」
※顧問に求められるのは技術指導だけではない
○事例発表③(高等学校)
部員確保のための工夫→初心者指導を丁寧・細やかに、観察・把握、声かけやフォロー…ほか
○分科会
3つのテーマ(校内体制の整備ほか)で情報交換→グループ発表→友添先生のアドバイス
○成果と課題
適切かつ効果的な運営・指導の一助。分科会の内容を深める工夫必要、広く参加者を集める工夫
一般の方の部活動への願いや期待は大きい…指導・監督する立場の自覚、研究と様々な取組推進
(2)第 2 回運動部活動指導者サミット報告 熊本県教育委員会
・運動部活動の加入率は高いもの、尐子化、女子生徒の加入率に課題
・県内の参加者は 229 名…県内の指導者にとっていい機会となった
○日本高野連理事 西岡宏堂氏による講演会「一人一人の生徒が輝く運動部活動を目指して」
一人一人の生徒が輝く運動部活動を目指して
西岡 宏堂 氏(日本高野連理事)
○ 指導者として
① 観察力の重要性
② スキル…時代変化に応じたスキルが必要
→同じ三振でも「言葉がけ」ひとつで生徒の一生が変わる
③ 指導者として学び続けること
④ 科学的根拠を踏まえた指導→指導に体罰は必要ない
○ 部活動を変える ① 体罰を容認する保護者の意識改革
② 学校全体でどのような生徒を育てるのか共通理解が必要
③ 自主的・自発的な活動に!!
○事例発表①(中学校)
・部活動発会式に動画(部活動の様子の画像をまとめたもの)を用いて意欲高揚
・保護者会総会を開催し、説明と理解
・キャプテン会議…リーダーの意識を高揚
・合同部活動…他の運動部と合同で基礎体力のトレーニングを実施 「違いを学ぶ」意欲向上
・コンディショニングトレーナー招聘…テーピング・体幹トレーニング講習会
・
『ペップトーク研修』…指導者研修:声がけ、対話、コミュニケーション能力の育成
・地域スポーツクラブの指導者と定期的に会議を開催、総合型地域 SC との連携を図る
・本県では「小学校も運動部活動」を設置、負担感の高まりから社会体育へ移行を推進
○事例発表②(高等学校)
・女子生徒多く、運動部活動加入率が低い。しかし、アンケート結果では「運動意欲は高い」
・運動機会確保に向けたアプローチ 「北陵チャレンジディ」の設置→「学校の活性化」に
→軽スポーツを中心に行う。運動部員、非運動部員にもメリット多い効果的な活動
バランスボールを使ったミニバレーとポートボール ※誰もが楽しめる教材になる可能性高い
○分科会
第一分科会…指導者の言葉がけが重要、良いところを誉める…意見多数
第二分科会…保護者とのコミュニケーション、初心者生徒に歩みよる姿勢、父親参加で運営良好
第三分科会…大分は隣接校選択制度、滋賀は隣接校で練習・指導が許可、福岡は総合運動部
3 講演
優れた選手・チームを育てるのに指導者には何が求められているか
講師 望月 浩一郎(もちづき こういちろう:弁護士 虎ノ門共同法律事務所)
課題「厳しい指導は、どこまで許されますか?」の質問に先生方はどう答えますか?
(1)体罰は、なおある!!
・
「体罰は、刑法上違法」
「民法上も違法」→そう言っても、腹に落ちない指導者多数
○ 学校教育法第十一条(昭和二十二年法律第二十六号)
「校長及び教員は、教育上必要があると認められるときは、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができ
る。ただし、体罰を加えることはできない。
」
体罰と両極にあるスポーツの世界の実話
「弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー」
(作者:高橋秀実、新潮社)
・東京大学に毎年 200 名の合格者を出す超進学校の開成高校。
・1つしかない運動部のグラウンドで野球部の練習時間は、週 1 回の3時間。
・平成 17 年の東東京予選大会で並み居る強豪を倒してベスト 16 入り。
・東大出身の監督の指示・作戦は、
「エラー良し、三振良し」
「打順は打てる順」…
・開成高校野球部の選手たちは考える。
「なぜ、打てないのか」
「なぜ、エラーをするのか」
「なぜ、勝てないのか」…
考えて、考えて、それを言語化し、消化しようとする。
著者のインタビューに、選手だけでなく、監督が自分にも人にも分かるよう説明しようとする。
・外野に赤いコーンが置きっ放しと見ると、
「それをどかせ!」と言うのではなく、
「そこにコーンを置いたヤツは、コーンを置くことの主旨を理解してない!」と叫ぶ。
・客観的かつ正確に怒り、命じるのではなく、生徒の自主性を損なわず、客観性で追い詰める。
・暴力を行使してきた指導者が、
「暴力はだめ」と主張すると、
「手の平返し…」と反論
・手のひら返しなら、まだいい方であり、今だ『暴力神話』がある。
⇒「強くするために暴力は必要」と信じてやまない指導者がいる。
・暴力に親和性がある地域、そうでない地域 体罰事案多い…長崎、大阪、大分、福岡(400 件超)
〃 尐ない…福井、愛媛(2,3 件)
○ 大阪市立桜宮高等学校における高校生の自死についての元教諭の言葉
「赴任当時の 19 年前から手を上げていた。素行の悪い生徒に手を上げることで落ち着いたこともあった。チ
ームの強化を図るにはどうすればいいか? 亡くなった彼を強化することでそうなると思い、
『なぜ、意識しないのか』
『なぜ、相手を見ないのか』一言、一言、言うたびに叩いた。
」
「彼の死後『キャプテンシバけばなんとかなると思っているのですか。毎日言われて僕は本当に何が何だかわ
からない』の手紙を見て、家族の悲しみが分かっていない自分自身の愚かさに気が付きました。
」
→ 情熱を持ち指導していた先生を 19 年間放置した協会や市教育委員会に責任はないのか?
○ 各団体の体罰に対するスタンス
・日体協及び加盟団体:倫理に関するガイドラインでは「暴力行為は、直接的な暴力だけではない」
・高野連は、以前から暴力を許していない(日本学生野球憲章 2010 年全面改訂 第 2 条)
日本学生野球憲章 第1章 総則
第 2 条(学生野球の基本原理)
学生野球における基本原理は次のとおりとする。
① 学生野球は、教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする。
② 学生野球は、友情、連帯そしてフェアプレーの精神を理念とする。
③ 学生野球は、学生野球、野球部または部員を政治的あるいは商業的に利用しない。
④ 学生野球は、一切の暴力を排除し、いかなる形の差別をも認めない。
⑤ 学生野球は、アンチ・ドーピングの教育、啓発、対策への取り組みを推進する。
⑥ 学生野球は、部員の健康を維持・増進させる施策を奨励・支援し、スポーツ障害予防への取り組みを推進する。
⑦ 学生野球は、国、地方自治体または営利団体から独立した組織による管理・運営を理念とする。
○ 隠蔽される危機
・柔道ナショナルチームの問題発覚の際
JOC 各団体「同じような事案がない」
→ 調査結果 1/4 団体に暴力事案発覚
・指導者・部員の暴力事案は氷山の一角。
○ 高校入学前に、
「暴力」と「スポーツ障害」
を身に着けてくる生徒
・スポーツ障害の問題も関連付け考えたい
勝利主義・競技志向がスポーツ指導における暴力の原因ですか?
100
100
指
導
方
法
情熱
0
○ 競技団体等に求められる姿勢
「宣言」
「行動」
「教育」
「隠蔽を隠さない」
…4原則が大事
福田正博(元サッカー日本代表)
指導力=情熱×指導方法
―100
(2)指導者が体罰をふるう要因の類型化・・・4タイプ
① 確信犯型…暴力をふるうことでチームが強くなると本気で思っている。
② 指導方法わからず型…建前で分かっているが、どうすれば強くできるか分からず手を上げる。
指導力不足で、つい出ちゃう。
③ 感情爆発型…カッとなってキレてしまう。感情コントロールできない。
④ 暴力好き型…暴力を振るうことが好き。快感。指導者のストレス解消に
(3)日本の指導者が体罰をするようになったのは?
・明治時代までは、日本は体罰が尐ない先進国。寺子屋は体罰を許さなかった。
⇔欧米は中世から最近まで鞭打ちを横行
・太平洋戦争前、軍隊式の責め立てる手法が学校体育に導入。
「スポーツの夜明け」城丸影夫外・著
・朝原宣治(元陸上選手、北京五輪 4×100mR銅メダリスト)
中学時代に体罰、
「水飲むな」
、上級生から暴力を受けながらハンドボールで全中出場。
高校は陸上競技に転向。
・
「水を飲むな」=節水(無水)行軍研究は、旧帝国軍隊が戦争時の訓練・研究として実施
・戦後、スポーツにおける暴力を後押ししたのは「東洋の魔女」
「スポ根漫画」=負の遺産
・大松監督「最後にものを言うのは根性だ」
(4)体罰を容認する背景
・暴力を支持するアスリート「体罰は必要・時には必要」80%東京六大学調査(桑田)
・
「殴る監督の目に涙があった…。この監督についていこうと思った。
」⇒間違った美談
・体罰と教育は紙一重???保護者も子どもへの体罰を容認
…「愛の鞭であれば問題ない」
「愛情のこもった厳しい指導のおかげで社会に対応できた」
暴力を支える人々とのたたかい
暴力を支持するアスリート
暴力で選手を服従さ
せることで強いチー
ム、強い選手を育て
ることができるの?
暴力を支持する指導者
暴力を支持する保護者・支援者
暴力を支持する学校・自治体
※
But!2012.2.17 県立高崎商業高校女子バレーボール部暴行事件に 143 万円の支払判決
これからは…
(5)指導に必要なのは?
○ 試合に負けた時、指導者は何をすべきですか?
A.罰走を与える
B.負けた原因の分析とその対策をする
○ 指導に必要なのは、
『科学的なエビデンスに基づいた指導力』&『コミュニケーション能力』
何が必要か。スポーツにおける真の勝利
・暴力に頼り服従させる指導
・暴力で強制・服従させ、ロボットや兵士のように自分で解決方法
を考えず、指示待ち選手をつくる指導
・「俺についてこい!!」と命令する指導
・失敗させないためには罰が有効だとする指導
・「はい」と返事をする選手を求める指導
・指導者の経験に頼る指導
・選手の心に火をつける指導
・自分で考え、指示がなくても先を見通し行動できる選手
を育てる指導
・「なぜ、この練習をするか」選手に理解させる指導
・「失敗はあり得る」とし、失敗を少なくさせ、失敗の次を考
えさせる指導
・選手を「待つ、信じる、許す」ことができる指導
・指導者自身が研鑽し、常によりよい指導を探求する
どっちの術式を選びますか?
暴力に頼る指導
暴力に頼る指導
・暴力の中で生き残った勝ち組の体験談
・その影に暴力が嫌でスポーツから離れた者が何人いるか?
・手間はかからないが成功例は少数。1 年生の部員は10人。3 年
生まで残ったのは 2 人。
・暴力に頼ることなく、強い選手・強いチームをつくれる。
・暴力に頼ることは指示待ち選手しかつくれない。本当に強い選
手・強いチームをつくるには暴力は有罪。
・手間はかかるが 10 例全部で成功する術式。
(6)一流の指導者の指導を目指して
○ 田島 幸三 氏(サッカー 日本サッカー協会副会長) 著書「言語技術が日本のサッカーを変える」
・J リーグ発足時、8割は外国人監督。日本人監督は外国選手に指導ができない=「説得できない」
○ 平井 伯昌 氏(競泳 日本代表ヘッドコーチ)
著書「見抜く力―夢を叶えるコーチング」
・中学時代の彼は、指導者に「なんでですか」を連発し、指導者から禁止令を出される
○ 栫(かこい)裕保 氏(滝川二高サッカー部監督)
・試合前は選手一人ひとりと握手。練習試合でも指示はしない。黒子に徹する。
○ 田中ウルブェ京 氏(ソウル五輪シンクロナデュエット銅。鹿屋体育大学客員教授スポーツ心理学)
・
「こうしろ、ああしろ」選手が駒ではだめ。厳しい練習は(言われてではなく)自分からやるもの
・監督の指示で判断は一瞬遅れる。試合はハプニングがつきもの。本当に強くなるのは、自ら考えること
○ 古賀 俊彦 氏(バルセロナ五輪、柔道金。環太平洋大学教授)
・選手自身に考えさせる指導。世界の強豪との違い=選手自ら考え工夫する…暴力では育てられない
○ 桑田 真澄 氏(元プロ野球選手、野球解説者)
・
「絶対に仕返しされない」上下関係の構造で起きるのが、体罰
・三振した子、次の打席に萎縮してはいるか、工夫してはいるか???
○ 山口
香 氏(ソウル五輪、柔道銅。筑波大学准教授)
・失敗が許されるのが、本来のスポーツの姿。市民マラソンの普及は、自分のペースで楽しめるから
○ エディージョーンズ 氏(ラグビー日本代表ヘッドコーチ、オーストラリア出身)
・ハードワークと規律を重視。
・長時間(5~6時間)の練習も目的意識が欠けていては無駄。科学的にスマートに。
○ ウイリアム・ウォード 氏(教育学者、アメリカ出身)
「平凡の教師は言って聞かせる。良い教師は説明し、優秀な教師はやってみせる。
最高の教師は、子どもの心に火をつける。
」
○ 権藤 博 氏(元プロ野球選手、野球評論家)
米マイナーリーグ視察時に”Don’t over teach”(教え過ぎない)を学ぶ。教えられたことは忘れるが、自分
で経験した(学んだ)事は忘れない。日本経済新聞スポーツ欄コラム「悠々球論」
(2014.4.3)
○ 荒井 直樹 氏(前橋育英高校野球部監督)
「ロボットのような指示待ち人間は作りたくない」をポリシーに指導。
時間を無駄にしない…ベンチで「次、どこ打つと思う」守備時のポジションどりが上手くなる。
○ 仁志 敏久 氏(U12 侍ジャパン監督)
「ああしなさい」
「こうしなさい」大人が先回りしては、子どもは考えようとしなくなる。
選手を信じて待つ。
「失敗してもいいよ」
「失敗しないようゆっくりやってたら絶対上手くならないよ」
○ 佐々木 洋 氏(花巻東高校野球部監督)
1年入学時に肘のレントゲンで骨端線をチェックし、個々の指導法を見極める。
経験ではなく、科学的根拠に基づいた指導を行う。
「考える力」を養う指導
京都パープルサンガ FC コーチの池上氏は、小学校現場に出向き指導・普及
「サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす 11 の魔法」
(作者:池上 正)
・拍手の数だけ仲間集めゲーム「コミュニケーション能力」を養い、
子どもに問いかけ考えさせる。 「なぜ仲間が集められなかったの?」
・鬼ごっこで範囲外に出て逃げる子どもがいたらどうするか?
私は何も言わない。
「だれが気づけばいいか?」
「だれが困ったか?」を問う。子どもに考えさせる。
・
「ちゃんと座りなさい」は、どうしてか説明できるか?
「後ろの人が見にくくなるから」⇒「納得!!」 Jr.時代に「自分で考え、気づかせる」体験。
・スポーツは(能動的に)基本的にプレイヤーが楽しまなくてはならない。
・先生のルール=子どもに手助けをしてはいけない ※シンプルな指導を心がける。
課題「厳しい指導は、どこまで許されますか?」の質問に先生方はどう答えますか?
選手が、その練習が必要であることを理解し、自発的に行うものであれば問題はない。
4 パネルディスカッション
テーマ
「今後の運動部活動のあり方」
観 点
・円滑な運動部活動のために必要なこと
・中学校、高校の運動部活動の連携のあり方
・競技力向上だけでない多様な運動部活動のあり方
コーディネーター
佐藤
豊(鹿屋体育大学教授教授)
パネラー
尾縣
貢(筑波大学教授・日本陸連専務理事)
小野
力(全国高等学校体育連盟会長)
菊山 直幸(日本中学校体育連盟専務理事)
千田 幸喜(岩手県教育委員会主任指導主事)
山口 隆文(日本サッカー協会特任理事)
(1)コーディネーターから
a. スポーツ基本法前文からとらえる「スポーツの位置づけ」
b. 学習指導要領上の運動部活動の位置づけの3つの視点
「自主的自発的な参加」
「学校教育の一環」
「運営上工夫」
c.「運動部活動の指導のあり方に関する調査研究報告書(ガイドライン)
」
(H25.7.)7つの事項
(2)パネリストの基本提案
① 尾縣
貢 氏
○ 運動部活動は、日本の競技力を支えてきた。世界にも稀な日本独特の文化
○ 人間力なくして競技力の向上なし(ソチオリンピック選手団のテーマ)
・人間力と競技力は車の両輪。
・人間力は「知力、実践力、体力、コミュニケーション力、気力」
→スポーツは、これら全ての要素を育成できる
○ 日本スポーツ界は、大きな転換期を迎えている
・2020 五輪招致決定の「TOKYO!!」のコールは、日本スポーツ界の新たなスタート
・新たなレガシー(遺産)の構築の必要性に迫られている
・私たちは未来から「スポーツ」を託されている、新しい時代にふさわしいコーチング
→指導者として自負をもちたい
○ スポーツ活動における問題点
勝利至上主義の横行、発育無視の過度なトレーニング
ゆとりのない活動、閉鎖的社会の形成
指導者主体の活動
○ 「帰属意識」と「有能感」を持たせた指導方法を考えたい
② 小野
力 氏
○ 高体連の主な業務…インターハイの実施、研究大会、体罰根絶全国ルール
○ 高体連加盟競技の部員数の推移
・500万人(1994 年)→300万人(2006 年)→123万人(2014 年)
・近年、加入率が上昇傾向を示しているのは、現場の先生方の努力
(増加)バドミントン(男)
、弓道(男)
、テニス(男)
、アーチェリー(男)
(10%内減)陸上(男)
、卓球(男)
、サッカー、バドミントン(女)
、弓道(女)
(減尐)体操(女)
、柔道(男・女)
(激減)スキー(男・女)…男子 1,708 名、女子 867 名(平成 26 年度)
○ 運動部活動の魅力
…顧問と生徒が毎日 3 時間活動=年間 700 時間を共にする=そんな教科は学校にはない
○ 部活動の加入率の増加を目指して
・
「教育的価値を再度、周知」…協力者のさらなる拡大を
・
「関連制度の柔軟な運営」…教員の職務を守るため足枷になる部分を柔軟に
③ 菊山 直幸 氏
○ 運動部活動の魅力 ⇒ 今後も大事にすべき学校文化の一つ
・教員と生徒の「ふれあいの場」
・部活動での人間関係の構築や活動が、教科指導、学級指導、生徒指導場面に大きな成果
・学校のまとまりを強め前進のエネルギー
・生徒が学校生活に夢中になる活動、人間形成に大きな影響
・卒業後の人生にも影響、良き思い出に
・意図的に人間関係を学ぶ機会、社会人になるべき資質・能力の育成
・元気・つながりのもと
○ 教員にとっての運動部活動
・専門外の教員にとっても、自分自身を高める活動に(指導法の研究、指導力の向上)
・生徒の些細な変容が見て取れる
・他校教員とのつながりができる
・生徒や保護者とのつながりが持てる
○ 日本中体連主催「運動部活動指導者研修会」
(文部科学省委託事業)
・
「競技力の向上」と同時に「人間力の向上」を図る場に
運動部活動の価値
強靭な精神力の獲得
感情をコントロールする力
人
間
力
の
向
上
自分を客観視できる力
競
技
力
の
向
上
自分を律する力
自分に負けない力
③ 千田 幸喜 氏
○ 岩手県の取組
・実態把握、各研究団体の充実、文科委託事業実施→本県のさらなる運動部活動の充実に向けて
・岩手県 2600 人の顧問の 3 割は、
「指導に自信がない」
・
「運動部の活動で考え、話し合う機会があるか」
(全国体力・運動能力運動習慣等調査)
…岩手県は全国平均と比べて高く、良い傾向と捉えている。
・研修体制の充実を図るため、運動部活動指導者研修会を実施、指導マニュアルを HP に掲載
・外部指導者と連携し効果的な指導・運営の実践事例を収集。
④ 山口 隆文 氏
※都立久留米高校サッカー部監督時代、中村謙吾(川崎フロンターレ所属、元日本代表)を育てる
○ 協会はクラブチーム下部組織だけをターゲットにしてはいない。⇒部活動の価値を認めている
・ユース・ジュニア世代の 99.3%は、中・高の部活動でサッカー。
・ザックとアギーレ Japan の代表選手は、2 人…クラブ 10 人…中体連 11 人…高体連を経験。
・部活動経験者には、本田、長友、長谷部ら人間力が極めて高い選手を輩出。
○ 部活動指導者における課題
・教員の勤務が忙しく、協会主催の研修会に参加しにくい。参加してもほぼ 100%年休で参加。
⇒改善が「スポーツ=文化」として認められること捉えている。
○ 体罰に関して
・JFA 公認指導者登録有資格者が 75,000 人の再教育について検討したい。
・JFA にも体罰の窓口…これまで 123 件の事案が寄せられている。
(ビデオ含む)
・大阪市の事件から2年が経過し意識が希薄化してはいないか?出てくる事案は氷山の一角。
(3)ディスカッション
(菊山 中体連専務理事)
○ 『ジャスティスは、中庸』にある
Ex)道徳教育において…
徳目主義
従順な(性格)生徒を育てる
Justice
↓
中 庸
子どもの志向性を大切に
社会的に馴染みにくい
○ 2009 年東京都の生徒へのアンケート調査から
・Q1「中学校3年間で有意義(または、どちらかと言えば有意義)なことは?」
1位 学校行事 79% 2位 部活動 78%
・Q2「部活動でよかったこと」
1位 技能・体力が身についた 80%
2位 人間関係の構築 70%
⇒ 中学校時代の部活動を肯定的にとらえている生徒は高校進学後も部活動に加入する。
(小野 高体連会長)
○ 高校の部活動加入率を上げるために…
・中・高での合同練習もやってきた。多くの子は高校でも活動したいと思っている。
⇒高校での部活動のイメージが希薄⇒高校の部活動の情報を広く公開する必要性
Ex)神奈川県教育委員会「
(高校の)部活動に入ろう!」PR
・部活動!夢のかけ橋キャンペーン!「部活動作文集」
Fly UP