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Page 1 25 法律論業 第六十九巻 第三・四・五合併号 (一九九七・二

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Page 1 25 法律論業 第六十九巻 第三・四・五合併号 (一九九七・二
25
法律論叢
第 六 十九 巻
次
第 三 ・四 ・五 A口併 号
(一九 九 七 ・二 )
犯 罪 被 害 者 救 済 の問 題 状 況
目
序
(一) 量 刑参 加 の弊害
ア メリ カ に おけ る 被害 者 救 済 の背 景
(
二 )被 害 者 の権 利運 動
(一)刑 事 司法 への関 与
一 ア メ リ カ に おけ る被 害 者 救 済 の生 成 と 発展
ニ
(二) 被 害者 補 償 の弊 害
(
三 ) ファ ッタ の見 解
三 日本 にお け る被 害 者 問 題 の状 況
1、 被 害者 相 談 の状況
(一) 被 害者 救 済 の状 況
2、 警 察主 導 の補 償窓 口
(
二) 被 害 者 の救 済 と 刑事 司 法
1、 立 法 段階 で の論 点
2、 警 察権 力 の拡 大
菊
田
幸
一
2
四
序
死 刑廃 止 と被 害者 問 題
(こ 死 刑 制度 と被 害 者 感情
・刑 事 責 任 が 分 化 す る 以 前 か ら 法 制 化 し て いた と言 わ れ るよ う に古 い歴 史 を 有 す
(
二) 死 刑 廃 止 と被 害 者 支援
むすび
犯 罪 被 害 者 補 償 の歴 史 は、 民事
る 。 し か し近 代 国 家 にお いて被 害 者 補 償 を最 初 に実 現 さ せ た のは、 イ ギ リ スや ニ ュー ジー ラ ンド な ど英 米 法 系 の諸 国
叢
論
であ った。
現 在 で は ア メリ カ のほ と ん ど の州 で具 体 的 な 犯罪 被 室.者救 済 の法 制 を 確 山
並し て いゑ
そ し て 、 ・ ん にち で羨
害者
ア メリ カ に お いて 積極 的 に被 害 者 の救 済 と援 護 に関 心 がも た れ るに 至 った の は 一九 七〇 年 代 にな って から であ る。
律
融
問 題 は 刑事 司法 の実 務 お よ び研 究 者 にと っても 重 大 な 関 心 が寄 せら れ て いる課 題 であ り 、急 速 に動 い て いる。 ア メ リ
カ にお いて大 き な 関 心 がも たれ る に至 った の に は、 ア メ リ カ独 自 の状 況 が あ る。
日本 に お いて は犯 罪被 害 者 等 給 付 金 支 給法 が 一九 八 ○年 に制 定 さ れ た。 し かし 、 そ の後 に お いて、 さ し た る展 開 を
し て いな い。 た だ 民 間 によ る ﹁被 害 者救 援 ゼ ンタ ー ﹂ の設 立や 、 警 察 庁 の ﹁被 害 者 の手 引﹂ の通 達 な ど 最 近 に お いて
被 害者 問題 への関 心 が高 まり つつあ る。 いみじ く も 、 ここ に照 会 し た 日本 の官 民 の動 き は、 ア メリ カ にお け る被 害 者
問 題 への関 心 が 、 いわ ゆ る リ ベラ ル派 と保 守 派 の両者 に と って、 そ れ ぞ れ に利 害 関 係 が 一致 す る背 景 が あ る の と、 偶
'
然 と は言 え、 同 じ 背 景 が、 わ が国 にも 存 在す る こと を察 知す る必 要 が あ る ので はな いか 。
本 稿 に お いては ア メ リ カ に おけ る 被 害者 問題 の こ んに ち的 状 況 の分 析 を 通 じ、 日本 にお け る被 害 者 問 題 への今 後 の
アメリ カ にお ける被害 者救済 の生成 と 発展
展 望 に資 す る こと を 目 的 とす るも の であ る。
一
(一九 六 三 年 )・ イ ギ リ ス (一九 六 四 年 ) に 次 い で 世 界 で 三 首
と いう ・ と に な る ・
ア メリ カ に お いて、 主 とし て暴 力 犯 罪 を対 象 と す る 被 害者 補 償 制 度 が最 初 に 実施 され た の は 一九 六 五年 の カリ フ ォ
ル ニ や 州 で あ る ・ 二 ・ー ジ ⊥ フ ンド
触 発 ・れ
と い ・ても ・ そ の補 償 方 式 には 生 活保 護 型 、 労 災 補償 型な ど があ る (・れ ら の
つま で も な くイ ギ リ ス・ 二・- ・ー ラ 診
蹴
兄
製
度 新 設 に影 響 のあ ・た の二
(
-)
ア メ リ カ で は 、 そ の後 に お い て 九 二 年 に メ イ ン州 が 被 害 者 補 償 プ ログ ラ ムを 制 定 し て 、 す べ て の 州 で 制 度 化 し た 。
た も の であ る・ し か し被 害 者 藩
カ リ フ ォ ル ニや 州 で の駕
問
の
繍
罪
囎
と が必 要 であ る 。
に よ る運 動 (
リ ベ ラ ル派) と、 公 的 な施 策 (
保 守 派) によ る 影響 が ど のよ う に関連 し て進 展 し た かを 検 討 し てお く こ
し かし ア メ リ カ に おけ る 被 害者 補 償 制 度 の進 展 は、 むろ ん 両者 のす べ て が判 然 と区 別 でき る も ので はな いが 、 民間
と は危 険 で あ る。
メリ カ は 州 に よ って法 制 が 異 な る世 界 唯 一の国 であ る 。 そ れ だけ に被 害 者 補償 制 度 だけ を みても 概 括 的 に理 解す る こ
↓論 難 慕 麓 嬉 薦 顧
蕊 ﹄繰 劉 搬 蠣 繍 膿
黙火
蹴
鞠 雑穀
2
器
ア メリ カ を はじ め各 国 の被 害 者 対策 の現 状 に つ いて は、﹁現 代 の エ スプ リ ・犯 罪被 害 者 ﹂三 三六 号 (
諸 沢英 道
ど のよう に成 功 し た か、 ま た は成 功 し つ つあ る か を 、 そ の後 の動 き の主 た るも のを 列 挙 し て お総
注
(1)
編集 )参 照 。
(2) イ ギリ スで犯 罪 被 害者 補 償 制度 を 最 初 に 提唱 し た の は、 刑罰 改 良 運動 家 であ る M ・フライ 女 史 (
ζ①
﹃
αq①蔓 ﹁蔓 ) で あ った 。
そ の主 張 は 刑事 上 の政 策 よ りも 社 会福 祉 の観 点 か ら のも の であ った。 ニュー ジー ラ ンドも イ ギ リ スに触 発 さ れ 人道 主 義 理 念
に た って社 会福 祉 の観 点 か ら制 定 さ れ た (
大 谷 ・前 掲 書 五九 頁 以 下 参 照)。
七 四 頁. ・よ ぴ 蔵 書
レー ガ ン政権 下
也 ・朴 元奎 ・ア ・・ カA・衆国 にお け ・被 害 者学 ﹂ 比較 法 雑 誌二 七 巻
冨 田信 徳 ﹁ア メ リカ 合 衆国 にお け る 犯 罪被 害者 の保 護- 各 州 にお け る 立法 を 中 心 と し てl ﹂ 慶応 法 学 会 編 ・慶 応 大 学 法 学
四号 二 七 頁 以下 参 照 。
部 百 年記 念 論 文集 (一九 入 九 年三
(
3)
一
論
律
法
九 七〇 年 代 にお いて であ 蒐
度 外 視 さ れ て いた。 こう し た状 況 のな か で カリ フ ォ ル ニや州 にお いて 六五 年 に被 害者 補 償 制 度 が 最 初 に制 定 され た の
害 者 補 償 問 題 に つ い て は 触 れ て い な い。 ま た ウ ォ ー レ ン ・ コー ト に よ る ジ ュー プ ロ セ ス革 命 に 際 し て も 被 害 者 問 題 は
の 一九 六 七 年 に 出 さ れ た ﹁自 由 社 会 に お け る 犯 罪 の 挑 戦 ﹂ (
日げ① Oげ㊤=①昌
σq⑦ohO門巨 ⑦ぎ 塑 甲 ①①oQo9①ξ ) に お い て は 被
ア ・ リ カ に お い て被 害者 問 題 に公 的機 関 が関 心 を 向 け て き た の は2
(一) 刑 事 司 法 へ の 関 与
叢
'
は、 人道 主義 に基 づく 社 会 福 祉 理念 およ び政 治 的 に も レベラ ルな 立場 から 支 持 さ れ たも の であ った 。
と ころ で七 〇年 代 に入 る と り ベ ラ リズ ムか ら 保守 主 義 へと 急 激 な転 換 が政 府 指導 型 で展 開 さ れ 、 そ の余 勢 を か って
刑 事 司 法 に おけ る社 会 復 帰 思想 が後 退 し 、 犯 罪 か ら社 会 を 守 る た め に は刑 罰 を 強化 す べき であ る と の思 想 が大 勢 を 占
ト
状
題
問
漁
鰍
囎
罪
犯
29
ぬ る に至 った 。 む ろ ん、 こう し た 刑事 司法 の保 守 化 に は り ベラ ル派 あ る いは保 守 派 の いず れも 、 結 果 的 に は被 害 者 補
(2 )
償 の制 定 に、 そ れ ぞ れ に関 与 し た 。 し かし り ベラ ル派 の犯 罪 問 題 への関 与 が停 滞 し 消 極的 にな って いた時 期 に犯 罪 が
急増 し、 併 せ て人 種 問題 とも から ん で保 守 派 によ る被 害 者 問 題 関 与 が 強 行 さ れ たと いう 背 景 があ る 。
ω 連 邦 政府 は 、 一九 八 二 年四 月 、 レー ガ ン大 統領 のも と で ﹁犯 罪 の被 害者 に関す る大 統領 特 別委 員 会 (
目お Ω乾 す 同
。q①
弓霧閃寄 目Φ8 ≦ 9ぎ ωoh9 一
巳Φ) によ る勧 告 書 を 提出 し た。 そ こで は六 九 の勧 告 を し て い るが 、 注 目す べき 項 目 は 、
① 保 釈 の否 定 と予防 拘 禁 規定 、② 迅 速 な処 理 、③ 有 罪答 弁 取 引 の排 除 ま た は、 こ の点 に関 し て は被 害 者 の決 定 にま かさ
れ る べき こ と、 ④ 弁 護士 によ る被 害 者 の反対 尋 問 の最 小 限 の保 障 、 ⑤被 害者 の量 刑 への参 加、 ⑥ 被 害者 は十 分 な ﹁波
一九 八 二 年
一〇 月 に
.被 害 者 お よ び 証 人 保 護 法 ﹂ (< 8二 日 暫冨α ≦ 詳昌①ooG
o℃ 円Oけ①O訟O口 > OeOhH⑩Qo悼}< <﹃露
) が制 定
害 弁 償﹂ を受 け る べき で あ る、 等 であ る。 この勧 告 を受 け て連 邦 お よ び 州 レベ ルの被 害者 の権 利 立 法 が 制定 さ れ る に
(
3v
至 った.
ω
さ れ た・ こ の法 律 は・ 文 言 ど おり 被 害 者 .証 人を 保 護 す るも の であ る が ・ そ の北旦 示に は犯 罪被 害 者 が被 害 に あ ・ても
報 復 を お それ て警察 に報 告 し な いケー スが増 加 し て いる こと に対 処 す るも の であ る。 同法 では法 廷 に出 席す る被 害 者 、
(4 )
証 人 そ の直 接 の家 族 に対 し ホ テ ルを 準 備 し 食事 を提 供 し 、 ギ ャ ング や 麻 薬 取 引組 織 から身 の安 全 を 防 衛 す る こと が意
図 さ れ て い る 。 同 法 に よ り 、 そ の後 の 州 立 法 に お い て 量 刑 段 階 に 被 害 者 の参 加 す る こ と が 認 め ら れ 、 同 時 に 被 害 弁 償
制 度 の促 進 に寄 与 し た こと が 注目 さ れ る。
(
Oo日 雇 ①げΦロ。。ぞ①○ユ日① >9 0h目㊤。。癖) の 第 一四 章 に 置 か れ て い る 。
(5 )
③ 一九 八 四 年 に レ ー ガ ン大 統 領 は ﹁犯 罪 被 害 者 法 ﹂ (
∩
[げ①<一
〇e一
日 ①Oh∩浮一
日①︾OθOhH㊤Qo幽りく色
Q>) に 署 名 し た 。 同 法
は 、 一九 八 四 年 包 括 的 犯 罪 統 制 法
同 法 の 施 行 に よ り 同 時 に ﹁犯 罪 被 害 者 基 金 ﹂ (
9 巨 ①≦ 。酔巨 ω田σ暮 畠) が 連 邦 政 府 に よ り 創 設 さ れ 、 同 基 金 に よ り 入
30
一
叢
六 年 か ら被 害 者 法 を 制定 し た州 は基 金 の四〇 パー セ ント の交 付 を 受 け る こと とな った。 し か し、 そ の基 金 の大部 分 は
連 邦 犯 罪者 の罰 金 、 賠 償金 、 追 徴 金 な ど の収益 から 賄 わ れ て いる。 同 基 金 は初 年 度 は 一億 ド ルであ った が、 九 四 年度
(
6)
で は 一 ・五 億 ド ル と な っ て い る 。
さ ら に 議 会 で は 、 こ れ と 平 行 し て 八 四 年 に ﹁刑 事 罰 金 執 行 法 ﹂ (
色
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陣
H
ロ一
昌㊤一国一
昌①閏}
昌帥︾円
O①巴
P①昌酔>O酔OhHりQ
Oら) を 制 定 し
(7 )
た 。 こ れ は 個 人 と 法 人 の軽 犯 罪 に つ い て 最 高 で 千 ド ル か ら 一万 ド ル 、 重 犯 罪 に つ い て は 二 五 万 ド ル か ら 五 〇 万 ド ル の
罰 金 を 科 す こ と が で き る も の で あ る 。 ま た 未 納 者 に は 九 〇 日 を 越 え る と 罰 金 の 二 五 パ ー セ ント が 加 算 さ れ る 。
犯 罪被 害 者 基 金 の四 分 の三 は こう し た 罰金 で賄 う も の とさ れ て いる・ ま た保 釈 金 も 基金 の第 二 の大 き な 財 源 と な ・
て い る ほ か 、 V O C A で は 独 自 に 軽 犯 罪 者 か ら は 二 五 ド ル、 重 犯 罪 者 か ら は 五 〇 ド ル 、 法 人 か ら は 二 〇 〇 ド ルを 徴 収
の 制 定 を 受 け て 、 そ の 後 は 多 く の 州 で 刑 事 司 法 に お け る 被 害 者 ・証 人 の権 利 を 保 護 す る 立 法 が 制 定 さ
(8 )
で き るも のとし て いる。 さ ら に
VO C A は犯 罪 から 得 ら れ た著 作 の印税 "
G。8 0hoQ窪目 " (
サ ム の 息 子 ) や そ の他 の 利
論
益 はす べ て基 金 に供 託す るも のと し て いる。
州 レ ベ ル で は 一九 八 ○ 年 に ウ ィ ス コ ン シ ン州 で最 初 の 権 利 章 典 が 制 定 さ れ 、 九 三 年 現 在 で は 四 九 州 に お い て こ の 種
れ た . ・ れ ら は し ば し ば ﹁被 害 者 の権 利 章 典 ・ (
≦ 9冒 .
。。bu旨 。。oh空 σ
q巨 。
・
) と呼 ば れ て いる.
ω VW P A
律
法
一
のも の が 制 定 さ れ て い る 。 こ の権 利 章 典 に お い て 重 要 な 点 は 、 ﹁被 害 者 の意 見 陳 述 権 ﹂ を 認 め て い る 点 で あ る 。 た と え
(
9)
ば ミ シ ガ ン 州 の ﹁犯 罪 被 害 者 の権 利 法 ﹂ で は ﹁被 害 者 は 被 告 人 の 量 刑 手 続 き に 出 席 し 、 衝 撃 に 関 す る 陳 述 を 口 頭 で 行
う 権 利 を 有 す る も の とす る﹂ (
第 一五 条 ) と あ る 。
被 害 者 が 量 刑 に な ん ら か の 形 で 関 与 す る こ と の評 価 に つ い て は 賛 否 両 論 が あ る 。 こ の点 に つ い て は 別 に 項 を 改 め て
検 討 す る が 、結 論 だ け 述 べ て お く と 、 レ ! ガ ン政 権 下 に お い て 被 害 者 擁 護 の も と に と ら れ た 政 策 の 結 果 と し て の被 害 者
一
見
ヘ
マ
蹴
問
勧
の量 刑 関与 であ り、そ れ が 現実 の量 刑 に予想 され た よう な影 響 がな いにし ても保 守 派 によ る 刑 罰強 化 、もし く は選 挙 む
⋮
・
⋮
﹀霞
畢
9 3①≦ .・
冨
鷺
①F
監
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甚
・謬
り・・
≦ 9a 。。 9 0 ﹃三 ∩円 く ざ 自 ヨ oδ σq∼
・・三邑
三 号参照.
霧望。。℃..
ざ奮 薗昌二軍 碧 .
.
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①9 g ψ。.τ胃 .
ヨ.昌.
他 ・前 掲
衆 国 に おけ る刑 事 手 続 で
9 巨 ・暮
﹀■
国営洋 島 u犀
⋮
則 ・ア ・ リ 客
⋮g ・
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法 の照 会 と し て中 野暴
。。目零 ⇒.,
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昌-q9 .
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ヨ.
一︾ ..⋮
の現 状﹂ 死刑 停 止 二 ・支
続 への参 加 ・法 学新 報 九 四巻 六 .七 .八号 (冗 入八 年 ) = 六1 = 三 頁 、票
謹
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・ま : 豪
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q匿 ω"ぎ 国α ぎ巴 ・げ気 団 N国鉾
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U網目話
六 二頁 以 下 、 一二六 号 三号 六六 頁 以 下。 藤 本 哲也 ・朴 元 奎前 掲 論 文 等 の紹 介 が あ る。
ムが発 足 し た。 な お河 合幹 雄 ﹁
ア メリ カ に おけ る被 害 者 の権 利運 動1 そ の主 張 と背 景1 ﹂ (一) (
二) 法 学 論 叢 一二五 巻 六 号
一九 七 〇年 ま で に カリ フ ォ ル ニア、 ハワイ 、メ リー ラ ンド 、 マサ チ ュー セ ッツ、 ニュー ヨー ク の各 州 で被 害者 補 償プ ログ ラ
け の被 害者 側 つま り 体制 側 に迎合 し た施 策 の 一つであ る こ とは 、 これ ま で の経 緯 か ら容 易 に想 定 さ れ る と ころ であ る。
注
(
1)
(2 )
(
・)
(・)
の繁 .
者 の役 割 、整 .者 の刑 筆
輩
論 文 のほ か、 菊 ・ ・ア ・リ カ に おけ る 犯 罪被 害 者藩
鰍
鈎 ,
襲
前 掲 、 富 田 、栗
(三
論 文 二入 頁 、 六 六頁 参 照。
撒
(6) .誌
この利 益 は 一九入 九 年 の犯 罪 被害 者 基金 と し て予定 され たけ れ ども 将 来 にわ た って意 味 あ る財 源 と は期 待 さ れ て いな い。な
ε .
鼻 もb
富 田信 穂 ・訳 ﹁
現 代 の エ スプ リ ﹂ 三 三六 号 二 三 六頁 以 下所 収 。
お各 州 にお け る ﹁
サ ム の息 子﹂ の扱 いに つい て、 富 田 ・前 掲論 文 三 八五 頁 以 下 参 照。
(
8)
(9)
(7)
↓
書
31
叢
論
律
法
一
32
(二) 被害 者 の権 利 運動
カリ フォ ルア州 にお いて はじ め て犯 罪被 害者 補 償 制 度 が制 定 さ れ た のは福 祉 型 のも の であ った こ と は前 述 し た。 そ
の 後 に お い て 、 ア メ リ カ で は 、 た し か に 公 的 機 関 に よ る 被 害 者 問 題 へ の積 極 的 な 関 与 に 助 け ら れ て 、 い わ ゆ る 被 害 者 補
償 は 急 速 に 展 開 し た こ と は 事 実 と し て 認 め な く て は な ら な い。 と こ ろ が 、 そ の カ リ フ ォ ル ニア に お い て も 被 害 者 補 償
は 、 そ の 後 に お い て 、 ひ ろ い意 味 で の 被 害 者 の 権 利 運 動 と し て 刑 事 司 法 の保 守 化 の 流 れ に 合 流 す る 傾 向 が 顕 著 で あ る 。
9
であ 蒐
そ の歴 史 に よ る と 一九 八 ○ 年 に 一三 歳 にな る 少女 が交 通事 故 死 し た・ 四 日後 に犯 人 は 逮 捕 さ
そ の第 一に あ げ な け れ ば な ら な い の は 、 カ リ フ ォ ル ニア に お い て 一九 八 ○ 年 に 創 設 さ れ た M A D D (
ζ o夢 Φ閉 ﹀σQ巴霧 a
U毒 7穿
れ 飲 酒 運転 であ った。 加害 者 は ほ か にも 飲 酒運 転 で事 故 を お こし て い たが 、 こ の事 件 では 飲 酒 を 理由 に裁 判 では 実刑
(
創 始 者 の キ ャ ンデ ィ i ・ラ イ
判 に怒 り を 持 ち、 M AD D の運動 を 始 めた . 一九 九 二年 現 在 、 四 六 州 で
では な く キ ャ ンプ 入 り を命 ぜら れ 一年 後 に 釈放 され 、 再 び 運転 す る資 格 が 与 え られ た。
墜 暑 少女 の母 親 は 、飲 酒運 転 に寛 大 裏
αq巨 口頭 ︺ は 一九 八 五 年 に 引 退 し て いる )。 九 ・
二 年 の年 間 経 費 は 約 五 千 万 ド ル で あ っ た が 、 ほ と ん ど の
四 〇 〇 以 上 の 支 部 が あ る 。 メ ン バ ー の 大 部 分 が ボ ラ ン テ ィ ア の女 性 で 占 め ら れ て い る
トナー ︹
O窪 身 =
金 は 個 人 の献 金 で あ る と 報 告 し て い る 。
こ の団 体 の評 価 に つ いて は飲 酒 運 転 の防 止 が目 的 であ って 、加 害 者 への刑罰 の強 化 が ほ ん ら いの目 的 でな い こと は
理 解 でき る。 し かし 、他 方 で は同 団 体 のメ ンバー が被 害 者 にな った とき は法 廷 の成 り行 き に重 大 な関 心 を も つこと も 、
活 動 方 針 の 一つ と し て 挙 げ て い る と こ ろ が ら す る と 、 ﹁被 害 者 を 効 果 的 な 政 治 的 シ ン ボ ル に し た て よ う と す る 保 守 派 の
況
轡
胞
救
者
害
撒
ロ
↓
ヨ
3
(2 )
を 存 続 さ せ る 組 織 と し て N O V A (Z雲 δロ巴 O門σq塑巳 Nρ誠o昌 ♂ 同≦ 8 >ω。。蓉 窪 8 ) が 設 立 さ れ た 。
(
≦ 。二日 \≦ .
詳口窃 。。 ﹀。。
。。o。す島o口
働 き か け に よ って 全 米 の 注 目 を 集 め 、 保 守 派 と 結 び つ い た 団 体 で あ る ﹂ と す る 指 摘 も 根 拠 のな いも の で は な い。
勺)
全 米 に お い て 第 二 に 大 き な 組 織 と し て 、 一九 七 五 年 に ロー カ ル な 被 害 者 援 護 活 動
写 oσq冨 β ︿ \鐸
(
3 ∀
NO VA は 私 的 で、 非 営 利 の団 体 で あ り 、 そ の目 的 は 、① 全 国 組 織 で被害 者 の権 利 を 擁 護す る こと、 ② 犯 罪 お よ び
急 場 の被 害 に 直 接 の援 助 を 準 備 す る こと、 ③被 害者 援 助 仲 間 も 訓 練 を援 助す る こと 、 等 を挙 げ て いる。 いう ま でも な
①馨
者および証人娃 脅迫と危害から防御される権利 を有す ゑ ②被害者 および証人無
嚢
同 団 体 は 一九 九 五年 を ﹁被 害 者 人権 週間 ﹂ と し て 同団 体 が 一九 入 ○ 年 に掲 げ た犯 罪 被 害者 の七 つの原 則宣 言を 新 た
く VO C A か ら の援 助を 受 け て いる。
確認し て竜
判 手 続 き に関 す る情 報を 受 け る権 利 を有 す る。 ③被 害者 およ び証 人 は 、 弁 護 人を 依 頼 す る 権 利 を有 す る。④ 被害 者 お
よ び証 人 は 、 賠 償 を 受け る権 利 を 有 す る。 ⑤ 被 害者 お よ び証 人 は 、 財 産 お よ び雇 用を 確 保 さ れ る権 利 を 有 す る。⑥ 被
害 者 およ び証 人 は、 刑事 裁 判 にお け る 適 正手 続 の権 利 を有 す る。⑦ 被害 者 およ び証 人 は、 尊厳 と同 情 を も って扱 われ
る権 利 を 有 す る 。
こ れら の宣 言 内 容 に お いて特 色 のあ る の は、 被 害者 の裁 判 への参 加 と いう 点 にあ る 。 河 合論 文 で は、 こ の点 に つい
(5 )
.て ﹁被 害 者 ・証 人 を 援助 す る と いう 精 神 よ りも 、 む し ろ被 害 者 の裁 判 への参 加 と いう 精 神 を前 面 に押 し 出 し て いる点
(
6)
であ る ⋮ ⋮被 害 者 の権 利 運 動 を 、 犯 罪被 害 者 救 済 か ら 峻別 し て理 解 す るう え で重 要 な 鍵 を与 え るも のと 考 え ら れ る﹂
と 述 べて いる。
(7 V
そ の 他 、被 害 者 の損 害 賠 償 請 求 援 助 や 救 済 活 動 を し て い る C V L A I (
9 巨 ㊦≦ 。二日 。・U①αq巴 ﹀α<08 。望 ぎ 。。け一
ε 二8 )、
一九 入 五 年 に 設 立 さ れ た ﹁全 米 被 害 者 セ ン タ ー ﹂ (
Z㊤島8 巴 ≦ 。二目 O①暮 ①♪ Z<○) 等 が あ る 。
る
3
叢
論
律
法
注
(1 )
(2 )
(3 )
こ の 団 体 の 紹 介 と 評 価 に つ い て 河 合 ・前 掲 論 文
ピ■
Z﹁国①ロユ①冨oP
い署
閃①≦ ①∼
HりQ
。α}6 記 メ
(一) 六 六 頁 以 下 が あ る 。 な お 筆 者 の 友 人 、 カ リ フ ォ ル ニ や 州 サ ン ・ マテ オ
.
.
弓げ① ≦ ぼoロσq oh≦ o銘ヨ 、
。
。国 o
q暮 。・.
、}oQ厨 口♂ a
在 住 の ζ 幹① 昏 Z窪 騨 コ ω。げ臼 夫 妻 か ら 多 く の 資 料 の 送 付 を 受 け た 。 こ こ に 感 謝 の 意 を 表 し て お き た い 。
河 合 ・前 掲 論 文 六 六 頁
﹁ア メ リ カ の被 害 者 政 策 ﹂ ﹁現 代 の エ スプ リ ﹂ 三 三 六 号 所 収 、
の た め に 被 害 者 家 族 に 同 伴 す る こ と 、 ④ 加 害 者 の 判 決 前 に ﹁被 害 者 の 衝 撃 陳 述 ﹂ の 援 助 を す る こ と 、⑤ 被 害 者 の集 会 を 支 持 す
署 b 雪 占 8 財 M A D A の パ ン フ レ ッ ト に よ る と 被 害 者 を 支 援 す る た め ① 被 害 者 の 権 利 の主 張 、 ② 司 法 機 関 へ の 申 立 、 ③ 申 立
N O V A に つ い て は 冨 田 ・前 掲 論 文 三 七 三 頁 以 下 、 安 田 貴 彦
る こ と、 等 を 挙げ て いる。
(一) 六 九 頁 以 下 に 紹 介 が あ る 。 な お 九 一年 一〇 月 三 日 、 N O V A 事 務 局 長 マ リ ー ン ・ヤ ング 氏 が 来
﹁ア メ リ カ 合 衆 国 に お け る 犯 罪 被 害 者 救 済 ﹂ 警 察 学 論 集 四 四 巻 一二 号 一三 頁 以 下 所 収 。
一八 六 頁 以 下 、 河 合 論 文
目 し講 演 し た
河 合 ・前 掲 論 文 七 七 頁 。
N O V A Z①ミ。。冨 8 ♪ <σξ ヨ ① 目メ Zβ日 げ①﹃ら (o= 卜⊃ ♂ 。。器 。。y μ㊤㊤α七 ■い
河 合 ・前 掲 論 文 六 八 頁 。
(4 )
安 田 ・前 掲 論 文 一八 五 頁 。
(5 )
(7 )
ア メ り カ に お け る被 害 者 救 済 の 背 景
(6 )
ニ
ア メ リ カ に お い て被 害者 救 済 が国 お よ び市 民 の両 者 によ り急 速 に進 展 し た 背景 に は、 そ の第 一の要 因 に合 衆 国 の高
い犯 罪率 とそ れ に対 す る被 害 者 の憤 り が あ る。 被 害 者 にと って は身 体 的 な 被 害 は も とよ り 、 恐 怖感 や精 神 的 損 害 が あ
る。 さ ら に刑 事 司 法 機 関 に対 し ても 、 加 害者 を 訴 追 す る か 否 か に つい て被 害 者 は な ん の権 限 も な い。 被 害 者 の意 見 や
主 張 が量 刑 に反 映 さ れ る こ と はな い。 裁 判 官 は被 害 者 が いか に苦 し い体 験 を し た かを 理解 し て いな い、 等 の不 満 が市
ト
状
題
問
漁
緻
害
被
罪
民 の声 と し て出 てき た。
こ う し た 被 害 者 の 不 満 を 敏 感 に と ら え て 報 告 し た の が 一九 八 二 年 の
﹁大 統 領 特 別 委 員 会 報 告 書 ﹂ (
ご三 審α ω鼠 富。・.
勺冨 。。
己 ①暮 、
ω弓田 貯 ㌍ 零①8 ≦ 。けぎ ・
。・ohO二日 ρ 団ぎ巴 幻①℃o円月 H㊤。。N) で あ る 。 こ の 報 告 書 に お い て 被 害 者 の 刑 事 司 法 過
(1 )
程 へ の 参 加 を 提 示 し た こ と が 各 州 の そ の 後 の 立 法 に と り 入 れ ら れ る に 至 った 。 い わ ゆ る 刑 事 司 法 過 程 へ の被 害 者 の 復
権 であ る。 ま さ に保 守 派 によ る り ベラ ル派 の抱 き 込 み作 戦 は た やす く 成 功 し た の であ る。
し か し 河合 論 文 は、 こ のよう な 状 況 を 次 のよう に分 析 し て いる。 ﹁両 者 の被 害 者 の捉 え 方 は 、非 常 に異 な って いる。
リ ベラ リ スト は 、被 害 者 を広 く 捉 え て、あ ら ゆ る犯 罪 の被 害者 から 、消 費者 な ど の犯 罪 に当 たら な い行為 によ る被 害 者
ま でを も含 め て、被 害 者 の権 利 運 動 を 考 え て いこう とし て いる。 ま た被 害 者 の性質 に つ いて は 、親 に虐 待 さ れ る 子供 、
ハ九 頁 ).
者 は 、 暴 力 犯 罪璽 口者 のみ を 問題 とし 、 そ の
見も 知 ら ぬ者 か ら暴 行 を 受 け る 鉦⋮
垢 な者 を 念 頭 に 置 いて いる﹂ (
河 合 ・(一三
夫 に殴 ら れ る妻 な ど、 弱 者 を イ メ ー ジし て いる。 そ れ に対 し 、保 守 義
性格づけ戦
河 合 論 文 に お いてほ 、 そ の他 、具 体的 な例 を あ げ て両 者 の相 違 を 指 摘 し て いる。要 す る に保 守 派 によ る ﹁法 と 秩序 ﹂
こう し た 視 点 か ら は犯 罪 者 への政府 の介 入 は 公 平 な処 遇 と 不 必要 な苦 痛 を 与 え るも の であ っては な ら な いこ とと な
いと いう 視 点 に あ る。
これ に対 し 、 リ ベ ラ ル派 の基本 にあ るも のは 犯 罪者 の人 権 擁 護 と とも に被 害者 の人権 も ま た 擁 護 し なけ れば な ら な
利 擁 護 のた め に は 犯 罪者 の刑 罰 が 強化 され な け れ ばな ら な いと いう こ と にな る。
各 人 は自 ら 犯 罪防 止 に努 め る べ き であ る。 か く し て犯 罪 者 は被 害 者 の ため に罰 っせら れ る べき で あ り、 被 害 者 の権
諾 撃 義 鹸鑓蝶鏑雛 鶴瀬ビ
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論
律
法
(
2)
る。
と ころ が被 害 者 の擁 護 と いう 点 に お いて は両 者 の結 論 が 一致 す る。 そ の結 果 と し て被 害者 救 済 は急 速 に進 展 し た。
し かし 当 然 な が ら犯 罪 者 に対 す る刑 罰 の強 化 と いう 面 で は保 守 派 が成 功 し た。
(1 )
﹀巳 冨 ≦ 区﹀ 国三 国Z⋮○ユヨ ①≦ 。二日。・一ωa ①α.目㊤㊤①も .
HN 著 者 は 第 三 の 立 場 と し て 急 進 的 ・批 判 的 犯 罪 学 の 立 場 を 照 会 し
国お N"国.
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D①耳 ①昌oぎ σq"国げ08 ユo 窪目自 切㊦巴 詳零 ﹄○ロ毎 9一〇h(
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注
(2 )
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然 に 犯 罪 問題 だけ で
(一)量 刑参 加 の弊 害
被 害 者 個 人 に よ る加 害 者 への報 復 と いう 時代 を乗 り 越 え 、 近 代国 家 に お い ては 犯 罪 の訴 追 は 国家 が行 う も のと さ れ
てき た 。 と こ ろ が ﹁被 害 者 の刑事 司法 への復権 ﹂ は 一歩 を 間 違 え る と時 代 を 逆 行 さ せ、 古 い時 代 の応報 的 、 復 習 的 刑
罰 に逆 行す る結 果 とな る 。
従 来 から アメ リ カ では被 害者 が量 刑 に参 加 す る手 段 と し ては判 決 前 調査 制度 が確 立 し て いる。 こ の制度 の主 旨 はプ ロ
ベー シ ョンを有 効 なも のと さ せ るた め のも のであ って、量 刑判 断 におけ る個別 化 を補 助す る も の とし て定 着 し てき たも
の であ る。と ころ が八 二年 のV WP A にお いては、 こ の判 決前 調 査書 に ﹁被 害者 影 響調 査 ﹂(
≦ 註 日 一日冨 9 ω富8日Φ暮)
を 導 入 し、 さら に ﹁
被 害 弁 償 ﹂を 独 立 の刑 とし 、裁 判 官 が これ を 併 科し な いとき は理 由書 を 提 出 さ せ るも のとし た 。 こ
(1 ∀
う し た モデ ル のも と に現 在 は 多 く の州 でな んら か の形 で量 刑 への参 加 を 可 能 にし て いる。
被 害 者 の量 刑参 加 の利 点 とさ れ る 点 は、 ① 当 事者 の地 位 を 得 た いと いう 願 望 を 認 識 さ せ る こ と が でき る。② 刑 事 司
(2 )
法 への参 加 によ り 裁 判 の効 率 を高 め る。③ 被 害者 の精 神的 苦 痛 に比 べて加 害 者 と の不 平 等 を 減少 さ せる こと が でき る。
④ 訴 追 の効率 を 高 め制 裁 を確 実 に し、 抑 止 力 に 役 立 つ。
第 一の刑 事 裁 判 への参 加 によ り 何 が得 ら れ る かに つ いて検 討 し てみ る と、 そ の背 景 に は 、犯 罪行 為 に対す る地 域 社
た目
星型
の圧 力 を かけ る 。 と にあ る .
} ムエの反 動 を 直 接 的 に 司法 判 断 に反 映 , せ 、 べき 、 い、
つ感 情 が示 , れ て い、. 被 害 者 、 し て の、 いわ ば 世 論 を背 景 、し
第 二 の裁 判 の効 率 に関 し て は、 ・れ ま で に刑 事 裁 判 は とも す る と 長 期化 し、 そ れ に反 比 例 し て墜 .老 の生 の感 情 が
慨
罷
裁 判 に反 映 さ れな いと す る傾 向 を 、被 害者 が直 接 法 廷 に でる こと によ ・て解 消 さ せ る こ と が でき る と いう も の であ る 。
はま れ にす ぎ な いと言 わ れ て いる。 そ の原 因 の 一つは、 刑 事 事件 の九 〇 パー セ ント が答 弁 取 引 で 処 理 さ れ て いる か ら
判 に出 廷 す る こと が でき る こと を告 知 し 、 弁 護 士を 同 伴 さ せ る こ と が でき る。 し か し実 際 に被 害者 が法 廷 に でる こと
(4 ∀
があ ると し て いる。裁 判 所 に は、同 事件 の記 録 とな る被 害 者 の発 言 を 考慮 す る こと が要 求 され て いる。検 察官 は量 刑審
同 法 では、 犯 罪 の被 害 者 も し く は被 疑 者 が 死 亡し て いる と き は、 そ の親 族 がす べ て の同 犯 罪 の裁 判 に出 廷 す る権 利
oh国 σq暮の) を参 考 とし 検 討 し て おき た い。
(3 )
事 司 法 過 程 で の被 害 者 の役 割 に つ い て 一九 入 二 年 に カ リ フ ォ ル ニア 州 で 発 効 し た ﹁被 害 者 権 利 章 典 ﹂ (
≦ 。二日 ㎡ bd已。。
こ れ ら の 、 い わ ゆ る 保 守 派 の 被 害 者 の 権 利 運 動 は 、 と う て い近 代 司 法 過 程 に お い て 受 入 れ ら れ る も の で は な い が 、刑
であ る.
第 三点 、 第 四 点 も 同 じ く、 加 害 者 に対す る被 害 者 の反 動、 つま り 抑 え つけ ら れ てき た 応 報感 情 の復 活 を 目 指す も の
爾
救
者
害
撒
一 犯
37
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8
3
﹁
叢
論
律
で あ る。 も っとも 新法 で は重 大 な 刑 事事 件 で は答 弁 取 引 を禁 じ て いる が、 いぜ んと し て 第 一審 で は行 わ れ て いる 。新
法 の制 定 によ り 被 害者 が刑 事 裁 判制 度 に ど のよ う な 影響 を与 え た かは 現在 のと ころ 不確 定 であ る。 し かし 、 いく つか
の問 題を 提 起 し て いる。
そ の第 一は 、 犯 罪学 的 見 地 か ら は 、中 、 上 級 階 級 の者 が本 人 や 代 理 人を 法 廷 に出 す傾 向 が強 く 、 量 刑 や パ ロー ル決
定 に参 加 す る こと で量 刑 に不 公 平 が生 じ る こと の懸 念 であ る。 ま た 、 もし パ ロ! ル で釈放 さ れ たな ら 社 会 を 不安 にす
駕
し た・ 充 七 七 年 七 月 に定 期 刑 と な ・て いら いカ リ フ ォ ル ニア の刑 務 所 人 。昼
光丞 二
る と いう ポ ー ズ を と る か どう か が考 慮 の対 象 と な る な ら、 き わ め て不 安 定 な も のと な る。 いず れ にし て も新 法 が制 定
され てか ら施 設収 容 寡
年 ま で に七 五 パー セ ント 、 約 二 万 人 から 三 万 七 千 人 ま で増 加 し た 。
第 二 に、憲 法 上 の問 題 と し て量 刑 への被 害者 の参 加 ジ ュー プ ロセ ス の問 題 が あ る が、 こ こ では 省 略す る。 若 干 の政
治 的 問 題 があ る。
大 衆 は被 害 者 の要 求 や 関 心を 刑 罰 に反 映 さ せ る こ と に共 鳴 し が ち であ る。 そ の結 果 とし て伝 統 的 な証 人 や陪 審 員 の
法
﹁ 役 割 を 整 て墜 .者 に刑事 司法 過 程 に関 与 さ せ るも のと な る . そ れを 支 え て いるも のは、 犯 罪 を 嫌 悪す る ・ と が政 治
的 に有利 であ ると す る 政策 にあ る。 言 う ま でも なく 、 刑 事 司 法 への大 衆 の政 策 決定 過程 にお け る 支持 と関 与 は公 平 で
な ぐ て はな ら な い。 積極 的 な 政 治 機能 が優 先す る こと は 望 ま れ ると ころ で はな い。 む ろ ん被 害 者 が量 刑 審 判 に 出席 し 、
陳 述す る こ と は被 害感 情 を 少し でも 和 ら げ る効 果 はあ る 。 し かし カリ フ ォ ル ニア州 にお け る ﹁被害 者 の権 利 章 典 ﹂ に
(
5)
限 っ て 言 え ば 保 守 的 犯 罪 コ ント ロー ル を 背 景 と し て 成 立 し た も の で あ っ て 、 そ の主 た る 目 的 は 、 刑 事 被 告 人 の
.
選 択 の予
(
6)
知 を 限 定 し 、 量 刑 と 犯 罪 者 の 釈 放 に 強 力 な コ ン ト ロー ルを 確 保 す る こ と を 目 的 と し た も の で あ る こ と が 明 ら か で あ る 。
被 害 者 は 、 肉 体 的 ・物 質 的 被 害 の 回 復 も さ る こ と な が ら 、 不 幸 に も 被 害 者 と な っ た が 故 に 、 そ の結 果 と し て 精 神 的
.
卜
にも ろ も ろ の苦 難 を 味 わな け れ ば なら な い (
第 二 次被 害 )。 と こ ろ が レー ガ ン大 統 領 の特 別 委 員 会報 告 に はじ ま り全 米
で展 開 さ れ た 一連 の施 策 は 、 基金 と いう 裏 付 け を も伴 い、 被 害者 の苦 悩 を う ま く 利 用 す る こ と によ り 市 民 の支持 を 得
(7 )
い る 。
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橋 編 訳 ・犯 罪 被 害 者 と 刑 事 司 法 二 五 〇 頁 参 興
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な お 同 論 文 は 、 ア メ リ カ に お け る 刑 法 に お け る 被 害 者 の役 割 か ら 刑 事 司 法 に お け る 被 害 者 問 題 を 批 判 的 に 論 じ た
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(5 )
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る こ と に成 功 し た か のよ う であ る が、 一連 の施 策 は、 いま や 刑事 司法 の ﹁破 壊 工 作 馬 ﹂ (
訂o宣旨 げo窃㊦) と ま で言 われ
て
注
(1 )
(2 )
状
陥
. (3 )
被
罪
↓
て いた こと が判 明し て いる。 そ の直 接 の原 動 力 の 一つは 資金 であ る。 そ の資金 は国 民 の税金 を使 わな いと いう 触 れ 込
ア メ リ カ に お いて被 害者 補 償 の立 法 が 急速 に進 展 し た背 景 に は、 保 守 派 によ る、 き わ め て 政治 的 な 原 動 力 が関 係 し
(二)被 害 者補 償 の弊 害
琵 鋸 藁 コ"
や悼
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漁
39
0
4
一
み で スタ ー ト し て いる。 そ の反 動 とし て加 害者 か ら罰 金 を 徴 収す る と とも に、 加 え て被 害 者 への直 接的 な 損 害 賠 償 を
義 務 づ け る な ど の施 策 がと ら れ た。
と こ ろ で 、 こ こ に 欠 落 し て い る 重 大 な 問 題 は 、 被 害 者 が 不 幸 で あ る と と も に 、 加 害 者 も 一面 に お い て 社 会 的 被 害 者
で あ る と いう 視 点 が 欠 落 し て い る こ と に あ る 。 一連 の 重 刑 罰 化 は 犯 罪 が 割 り の 合 わ な いも の で あ る こ と を 見 せ つけ て
き た 。 し か し 、 そ れ が 犯 罪 の抑 止 力 に な って い る な ら 問 題 は 単 純 で あ る 。 そ う で な い こ と を 、 こ れ ま で の 歴 史 が 示 し
て き た。
さ ら に 問題 は・ た し か に当 面 にお いて は被 害 者 の権 利 が 回復 し たか の満 足を 得 る こと は 可能 であ る・ し か し ・ そ れ
も 一時 的 で あ り 、 自 ら も 加 害 者 に な る こ と が あ る と いう 基 本 的 な 認 識 が 欠 落 し て.
い る。 た と え加 害 者 に具 体 的 に な ら
な く と も 、 被 害 者 と の関 連 に お い て 加 害 者 が 、 現 在 あ る 社 会 的 存 在 を 犯 罪 と いう 行 為 に よ り 根 本 的 な 面 に お い て 阻 害
叢
詮
被害者感情・刑罰 の関係 に つ
さ れ る な ら ば 、 そ の責 任 の 一端 は 被 害 者 に も あ る こ と が 理 解 さ れ る に つけ 、 被 害 者 の権 利 運 動 で 得 た も の よ り も 、 実
般 の公衆に比 べて 一 驚 的 であ・・い電
は失 ったも のが 、 ど れ だけ 多 いか に気 付 く 時 が必ず や ってく る。
レ かし被害者 の多全
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律
↓
いて は、 死刑 存 廃 に おけ る ﹁死刑 と世 論﹂ と の関 係 にも 似 た と ころ があ る。 こ こで想 起 し な け れ ばな ら な いの は、 ﹁為
政者 は自 ら の施 策 を世 論 に加 担 し て実 効 す る ﹂ と いう こ と であ る 。
第 一に、 迅速 な 裁 判 であ る か否 か は別 にし て も、 刑 の量 定 は 専 門的 ・科 学 的 であ る べき であ ワ 、 そ れ でも 多 く の問
題 を 現 実 の裁 判 で は抱 え て いる。 被 害 者 も し く は証 人 の資 料 は 、 そ れな り に重 要 で はあ る が、 こん に ち ま で の刑 事 法
学 にお け る成 果 は、 犯 罪 行 為 と とも に行 為 者 を ど のよ う に将 来 に向 け て考 慮す る か にあ る。 被 害者 の要 求 はそ の思 考
に必 ず し も添 う も の では な い。
況
鰍
醐
撫
舗
撒
犯
41
第 二 に 、 一般 大 衆 は刑 罰 を 受け た加 害 者 が 、 そ の後 にお いて ど の よう な 末 路 を 辿 って いるか を 知 らな い。
第 三 に 、 事件 が 凶悪 であ れ ば な お の こと 、 量 刑段 階 に お いて は、 加害 者 の状 況 よ り むし ろ被 害 者 の感 情 と社 会 的 反
響 が裁 判 に強 く 影響 し て いる 。 ま た現 実 の裁 判 の場 に お いても 検察 官 は、 そ の凶 悪 性 のみを 強 調 し が ち であ る。
量 自 註 a 日・§ け
巨 霧 雲 g.
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oQ①・。。・胃
.死 刑 と世 論 (一九 九 三 年 )参 照.
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響
昏 出 ﹂ 区 ①門口㊦焦 国 画。・・
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こ れら の検 討 から 得 ら れ た 結 論 の 一つは 、 ア メ リ カ の 一連 の被 害 者 補 償 とそ れ に関 連 し て とら れ て いる 諸施 策 は、
注
(1 )
死 刑 と 世論 の関 係 ・ つい ては 、菊 田垂
ア メ リ カに おけ る 被害 者 補 償 問題 の急速 な 進 展 に対 し、真 向 か ら批 判 的 見解 を 表 明し て いる 学者 の代表 とし て ファ ッ
(
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(閏}
NN塑け︾・
閏㊤けけ塑げ) を あ げ な け れ ば な ら な い。
(三) フ アッタ の見解
(
2)
葺
多 く の被 害 者 を 将 来 に わ た って、 満 足 さ せ るも のと は な り難 いと いう こと であ る。
タ
か れ の主 張 す る と こ ろ に よ る と 、 こ ん に ち で は 、 被 害 者 の 権 利 の主 張 は 巨 大 な 力 と な っ て い る 。 そ の 背 景 に は "被
害 者 の た め の 正 義 " (﹄一
﹂
ω酔一
〇ΦbQ円く一
〇叶一
5PQO) が 誇 張 さ れ て 存 在 し 、 正 義 の バ ラ ン ス を 是 正 す る と い う 名 目 で被 害 者 問 題
が お どろ く ほ ど論 議 さ れ る こと なく 、 無 批 判 に 強調 さ れ て き た。 そ の結 果 と し て長 期 にわ た り確 立 され てき た法 的安
定 が 危 険 に さ ら さ れ て いる 状 況 に つ い て の 論 議 、 た と え ば 刑 務 所 収 容 者 の 増 加 、 収 容 期 間 の 長 期 化 、 条 件 付 釈 放 の否
是 等 への影響 に つい て論 議 さ れ て いな い。 立 法 は異 常 な 安 易 さ と、 お どろ く べき速 さ で議 会 を 通 過 さ せ、 論 議 や対 決
の機 会 も な く高 度 の政 治 的 配慮 が優 先 し た こと は異 常 であ る 。
む ろ ん 犯 罪被 害 者 は 、 これ ま で権 利 を 剥奪 さ れ たま ま であ った こ と は事 実 で あ る。 犯 罪 被 害者 は、 ひ ど い痛 み、 傷
害 、死 、精神 的 外 傷 、屈 辱、 恐怖 、物 的 損 失等 々 の被 害 を 受 け る。 こ れら の被 害 者 を 援 助し 保 護 し よう と す る の は当 然
政 策 のた め に人 質 と し て取 り入 れ ら れ て いる・
の こと であ り 、 これ に反対 す る 理由 は何 も な い。.
し か し 、被 害者 問題 に政 治 が優 先 し た こと か ら被 害 者 への関 心 が 本
(
2)
物 の人間 性 と公 平 無 私 の原 理を 取 り 入 れ た か どう か は 疑 問 であ る。 被 害者 問題 への関 与 が 一方 で は "法 と 秩 序 " (
﹃ミ
。量
まず 善 と悪 と の壮 絶 な闘 いと いう も のを 想定 し 、被 害者 は、そ の殉 教者 に仕 立 て 上げ ら れ て いる。し か し善 と 悪 、有
実 と無 実 、 いい子 と悪 い子、 略 奪 者 と 犠 牲者 と いう も のは、 つね に判 然 と 区別 でき るも の では な い。 両 者 には つね に
共 通 性 と重 複 があ る こと に気 付 かな け れ ばな らな い。 む し ろ多 く の場 合 に 両者 は重 複 し て いる。 被 害 者 と 騙 す 者 は不
・ご 蕊 e山霧①詳" 応 報 刑 理論 た る古 典 的 刑 罰論 を 復 活 さ せ た。
回復 さ せ た。
(
3)
・フ ァー マン事 件 の最 高 裁 判 決 (死 刑違 憲 判 決 ) 以 後 に お いて、 ア メ リ カ の若 干 の州 に死 刑 を復 活 さ せ、 死 刑執 行を
いわゆ る保 守 派 と思 われ る、 被 害者 の権 利 を 強 調 す るグ ルー プ は次 のよう な 成 果 を 主 張 し て いる。
と こ ろ が 不 幸 に も 犯 罪 被 害 者 へ の情 感 が 近 年 に お い て は 犯 罪 者 へ の 刑 罰 強 化 に 連 動 し て い る 。
も の で あ る 。 し か し 、 こ れ ら の情 感 は 情 感 に と ど ま って い て は な ら ず 、 実 用 的 ・政 治 的 に 達 成 さ れ な け れ ば な ら な い 。
変 のも の で はな く 、 ダ イナ ミ ック であ り、 包 括 的 で変 化 に富 むも の であ る。 昨 日 の被 害 者 が 今 日 は加 害 者 と な る こと
法
一 も想 定 し な け れ ば な ら な い. 同 債 共感 は人 間 の価 値 あ る感 情 であ り 、不 幸 な 整 .者 への纏 は 人間 社 会 に不 可 欠 の
律
論
一 罠
羨
42
卜
・定 期 刑 の復 活 、 量 刑 の裁量 範 囲 を 限 定 す る量 刑指 針 によ る特 定 犯 罪 の絶 対 刑 の導 入 と パ ロー ルを多 く の州 で廃 止 に
持 ち 込 ん だ。
・施 設 収 容を 拡 大 し 、 長 期 間 の刑 務 所 収 容 と 、 そ の結 果 と し て の刑罰 施 設 の過 剰 拘禁 。
・社 会 復 帰 概念 への非 難 と 処 遇プ ログ ラ ムを 無 効 とす る主 張 。
・刑 罰 機 能 の主 た る目 的 と と も に 、刑 務 所 の機能 も 無 能 であ る こと の強 調 。
・重 要 な 社 会 問 題 であ り 研 究 対象 であ る とし て犯 罪 の恐 怖 を 提 起 し て いる。
(
≦ σ邑 碧 ) は す で に 一九
罪よ り 、 む し ろ伝 統 的 な 犯 罪 に焦 点 が お か れ て き た. さ ら に危 険な ・ と は、 被 害者 の権 利
そ れ も ホ ワイ ー ・カ ラ 苑
・若 年 の犠 牲 者 と 子供 への身 体 的 ・性的 虐 待 への誇 大な 宣 伝 。
状
題 ・ 刑 事 司法 の近 年 の変 遷 に お い て確 認 さ れ る べき こと は、 被 害 者 の権 利 奪 回 の緊 急 性 が 政治 問 題 と し て 、 ま た政 治 的
問
渤 関 心 に結 び つ いて促 進 さ れ て いると ころ にあ る。 そ の結 果 と し て刑 法 お よ び刑 事 司 法 が 刑罰 的 、応 報 的傾 向 を 強 め た。
鰍
﹂ (
Oげ臨α 暫げ二ω①) 問 題 を 挙 げ る こ と が で き る 。 ウ エ ック ス ラ ー
を 強 調す る余 り ・ 犯 罪者 の権 利 を 生 け 蟄 にす る危 険 性 のあ る ,芝 であ る・
や
緊 急 の 場 合 は ワ ー カ ー は 裁 判 所 の命 令 に よ ら な い で 一時 的 に そ の よ う な 措 置 を と る こ と も で き る 。 現 実 に も 、 傷 つ き
(
5)
す い 骨 の 病 気 を も つ幼 児 を 両 親 の 虐 待 に よ る も の で あ る と の通 報 で 、 子 ど も を 隔 離 さ れ た 事 例 が 生 じ て い る 。
虐 待 と お も わ れ る ケ ー スを 通 報 す る こ と が で き 、 裁 判 官 は 、 そ の通 報 に よ り 子 ど も を 家 庭 か ら 引 き 離 す こ と が で き る 。
に よ る 通 報 を 虐 待 発 見 の 手 段 と す る こ と に よ る 弊 害 に つ い て 指 摘 し て い る 。 ソ ー シ ア ル ・ワ ー カ ー は 個 人 的 な 判 断 で
立 法 を 急 ぐあ まり 、 安 易 に 故意 ま た は過 失 に よ る虐 待 概 念 を導 入 す る 結 果 と な る と警 告 し て いた。 さら に彼 は 、 匿名
(4 )
八 五 年 代 に 、 子 ど も 側 に た っ た 被 害 者 の 権 利 の主 張 に よ り 、 構 成 要 件 を 不 明 確 に し た ま ま 一連 の ﹁こ ど も 虐 待 防 止 法 ﹂
そ の例 と し て ﹁こ ど も 虐 待
囎
曝
↓
3
4
44
第 二 の例 と し て 、 性 的 虐 待
(
ω①×ロ巴 pげ島 o) 問 題 が あ る 。 い わ ゆ る 性 的 虐 待 の 誇 張 さ れ た も の で 、 子 ど も に 物 理 的 に
(6 )
接 触す る こと が性 的虐 待 に当 た る とす るも のであ る。子 ども の世話 を し て いるグ ループ では、子 ど も への性的 虐 待 であ
る と し て通報 され る のを 恐 れ て、子 ど もを 抱 く ことを 避け る ケー スが増 え て いる と言 わ れ る。ま た離 婚 ま た は別 居 し て
いる 父親 が子 ども を 抱 く と きや 、 汚れ たお む つを 交 換す る にも 性的 虐 待 の中 傷 を 受 け る こ と の恐 れを 抱 く と いわれ る。
こう し た、 あ る 意 味 で は被 害 者 問 題 の急 激 な 提 起 に 伴う 弊 害 の背 景 には 、加 害 者 と被 害者 と いう 区 分 し た 認 識 が決
と ころ が現 実 の刑事 司法 にお いて は・ こ し た背 景 への考慮 に欠 け る ・
定 的 な要 因 とし て存 在す る。 と ころ が 現 実 に は、 被 害者 と加 害 者 はお ど ろ く べき 共 通 性 を も って いる。 と く に身 体 犯
一 で あ る暴 力 犯 に お いて は・ そ れ が 顕著 であ 範
フ ァ ッタ は か く し て "被 害 者 の た め の正 義 " と い う 命 題 が 、 こ ん に ち で は 犯 罪 者 の 重 刑 罰 化 と い う 言 葉 に 代 え ら れ 、
人 道 主 義 、 正 義 、 教 育 刑 思 想 が 忘 れ ら れ 、 放 棄 さ れ 、 刑 罰 主 義 と 応 報 思 想 が そ れ に と って 代 え ら れ た 。 被 害 者 援 助 グ
叢
論
ル ー プ の 挑 戦 的 な 宣 伝 が 、 い っそ う 重 い刑 罰 、 刑 務 所 の多 用 、 長 期 収 容 と いう 方 向 へ仕 向 け た も の で あ る こ と は 疑 い
な い。
律
法
﹀ 句 p暮露戸 くざユ日 ω ㊤コα <ざ江ヨ 07
弓7① ℃o一
三 〇㎝ oh< ざ寓目 勺o=oざ ピk冨コ①
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田 露国げ(
㊦α) 犀 ≦p﹃ら。噂 即 Oユ島o円 くざ寓目 巳 2σq3 目㊤O悼. 同 書 で は 、 国NN暮
一σ乙 ●
}Ψ 巨 。
ら自 説 を 展開 す る 。
2.
国①巳 ①田 o員 日﹃①≦ .δ ロα
q喝・oh≦ 。寓目 げ 空 σq匿 。。.な ど = 一編 の 論 文 が 掲 載 さ れ て い る 。 本 項 で は こ れ ら の論 文 を 紹 介 し な が
0電 一白 ﹃① 開窓 訂 餉
5 α 序 ① 勾げ①けoユP 幻oげ①円け 国自霧 一ぐく三 67 < 8翫日 ]
≦ o<①ヨ ①ロ馬
国NN鉾
そ の結 果 、 被害 者 に補 償 す べき 予算 が非 生 産 的 な施 設 収 容 に浪 費 さ れ、 とく に財 産 犯 の被 害 者 にと って 唯 一の被 害
一
(
8)
感 情 回 復 のた め の手 段 たる 損 害 賠償 を 刑 務 所 収 容 に よ って妨 げ さ せ て いる と主 張 す る。
注
(1 )
(2 )
一
概
爾
勘
緻
密
撒
巳
↓
5
4
(3 )
壽
一げ置 ; ワ ω-α.
8
。剛 芽 ① ・匡 α 。。p話 ﹃ω占 。 8 巴 `・ し・騒
冒
爵 ①≦ 宥
品 2。
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目 冨
牢 。αq門①。・。。一くρ
6 G
。∬ 。
。①でξ
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旨 . こ の 当 時 ニ ュー ヨー ク 州 で は 四 三 、 カ リ フ ォ ル ニや 州 で は }○ ○ を 下 ら な い法 案 が 準 備 さ れ て い た 。 む ろ ん 、 こ れ ら の
邑 ㊦♪ 即 ぎ く匿
(4 )
日 本 で も 報 じ ら れ た 、 小 学 生 の 子 ど も が 同 級 の女 の 子 の 頬 に キ ス し た こ と が セ ク シ ャ ル ・ ハラ ー ス メ ン ト と し て 罰 金 の 対
寄 算 巴ど 。や 鼻 も .
旨 ●
法 案 に は 体 罰 の 禁 止 等 、 子 ど も の権 利 保 護 に 向 け た 条 項 も 予 定 さ れ て い る 。
(5 )
(数 日 後 に 撤 回 ) 話 題 と な っ た 。 (Z①≦ さ 爵 目 ヨ 窃 }ωΦ℃計 悼刈' 69 )
日 本 に お け る被 害 者 問 題 の状 況
一
げ己 こ℃ぴド
寄 算 p互 。℃.
。詳も や ω甲 自 ■
象 とな り
(6 )
(7 )
(8)
三
は、 いわ ゆ る 墨
金 の籍
のも ので萱
檀
一九入 ○年 五 月 一日 、 ﹁犯 罪 被害 者 等 給 付 金 支 給法 ﹂ が 制 定 さ れ、 諸 外 国 に な ら ん で被 害 者 補 償制 度 が発 足 し た が 、
(1∀
に限 界 があ る .も とよ り 犯 罪 墜 .
者 に対 す る措 置 は被 害 者 補
そ の堤
償 等 の金 銭問 題 に とど ま るも の では な く 、 精神 的 な カ ウ ンセ リ ング を は じ め刑 事 裁 判 への関与 な ど多 方 面 に わ た るも
の であ る。 本 項 に お いて は、 同 法 の制 定 後 に お いて関 心 の高 ま った、 わ が国 の被 害 者 問 題 に関 し、 ど のよう な 動 き が
犯罪 被 害 救 援 基金 と いう 制 度 が スター ト し て いる。 同基
あ る か を 検証 しな がら 、 刑事 司法 への影 響 を、 これ ま でに検 討 し てき た ア メ リ カ にお け る 経緯 を視 野 に入 れ な が ら問
題 点 を 探 索す る こ と にす る。
被 害 者 給付 金 支 給 法 と は 別 に 八 一年 一〇 月 か ら財 団 法 人
金 は犯 罪 被 害者 の 子弟 に対 す る奨 学 金 、 傷 害 見舞 金 を 中 心 と し た援 助 活 動 が中 心 であ る 。 同 基金 は全 国 の警 察官 のポ
6
4
叢
論
律
一
法
ケ ッ ト マネ ー な ど で作 ら れ た 基 金 で あ る と 言 わ れ て い る が 、 警 察 庁 主 導 で の 財 堺 か ら の 寄 付 が 大 部 分 を 占 め て い る こ
九 五年 の支 給 額 は遺 族 支 給 額 が 一、 〇 七九 万 円 、 傷 害給 付 金 が 一、 二七 三 万 円 と な って いる。 制 度 が スタ ー ト し てか ら 九 五
被 害 者 給 付金 は スタ ート 時 には九 六 件 であ った が、 二年 目 に二 〇 〇件 と な り、 そ の後 は 毎 年 二〇 〇件 前 後 で推 移 し て いる。
と に 注目 し てお く 必要 があ る。
注
(1)
年 ま で の 一四 年間 に三 、 三 三 〇人 の被 害者 が支 給 を 受け て いる , 総額 約 七 五億 入 、 八 ○ ○ 万円 とな る が 、 一人平 均 では 二 二
七万 円 であ る。
(一) 被 害 者 救 済 の 状 況
1、被 害 者相 談 の状 況
警 察庁 は九 六年 二月 に被 害 者対 策 要 綱 を制 定 し 、事 情 聴取 の際 の配 慮 や 事件 の情 報提 供 な ど 、被 害 者 の精 神 面 で の ケ
アに 重点 を お いた対 策 を 進 め るよう 指 示 し 、愛知 、岐 阜 、富 山 県警 等 では 、す で に専 門部 署 が 設 置 され て いる。埼 玉 県
警 では 犯 罪 ホ ット ラ イ ンを 設け 、 カウ ン セリ ング 技 能 の研修 を受 け た婦 人 警 官 が被 害 者 、 遺 族 ら の悩 み や困 り ごと の
相 談 に応 じ 、近 く心 理 カ ウ ンセラ ー を職 員 と し て採 用す る方 針 と の こと であ る (
東 京新 聞 、九 六年 六 月 一四 日、朝 刊 )。
(1 )
ま た九 六年 六 月 には 、 容疑 者 逮 捕 後 の刑事 手 続 き や 、 被 害者 への救 済 制 度 を解 説し た ﹁被 害 者 への手 引 ﹂ の モデ ル
案 を全 国 の警 察 本 部 に通 達 し て い る。
卜
槻
題
問
画
鰍
罪
囎
警 察 庁 は九 七 年 度 から 長官 官 房 に犯 罪 被 害者 対 策 室 を 設 置す る予 定 であ る と報 じ ら れ て いる (
朝 日新 聞 九 六 年 一月
= 日朝 刊 )。具 体 的 に は① 刑事 手 続 き や事 件 の捜 査 状況 から各 種 の相 談 窓 口ま で、被 害 者 にと って有 用 と思 われ る 情
報 の積極 的 な 提 供 、② 犯 罪 の被 害者 が警 察 の事情 聴取 に協 力す る過 程 で受 け る精 神 的苦 痛 、被 害 の軽 減 な ど、 であ る。
同 時 に全 国 の警 察 署 に は、 被 害連 絡 担 当 係 や 性 犯 罪捜 査 指 導 官 を新 設す ると さ れ て いる。
民 間 でも 九 三 年 四月 から 東 京医 科歯 科 大 学 に犯 罪被 害 者 相 談 室 が 設 置 され カウ ン セリ ング が実 施 さ て いる が、 同 相
談 室 は、 先 に 述 べ た 財団 法 人 犯 罪被 害 救 援 基 金 の援助 で実 施 さ れ て いるも の であ る。
(
2)
こ れ に対 し 、 水 戸被 害 者 援 助 セ ンタ ー は純 粋 に民 間 ボ ラ ンテ ィ ア に よ るも の で、 九 五年 七月 にア メリ カ のN O VA
は 同法 の実 行 に つ いて は必ず しも 熱 心 では な か ・た・ 被 害 者 に対 し て同 法 の存 在 を 通 知す
が先 行 し て いる感 があ る . し か し被 害 者 給 付 金 制度 が発
を参 考 に① 情 報 提 供 、② 危 機 介 入、③ 関 係機 関 への紹介 、④ カ ウ ンセリ ング 、⑤ サ ポ ート ・グ ルー プ の組 織 と 支 援等 を
(
3∀
任務 とし て発 足 し た 。 これ に続 い て東 京 で も民 間 によ る相 談 室 の発 足 準 備 がす す めら れ て いる。
年 いら い・ 婁
・ のよう に被 害 者 対 策 への着 手 は、 ・れ ま で のと ・ろ 婁
足した盛
与 し てき たと いう 指摘 は不 可 能 では な い。
て よ い。 こ の事 件 の手 遅れ に ついて市 民 は警 察 へ大 きな 不 信 を 抱 いて いる。 そ の反 動 と し て被 害 者 支 援 に積 極 的 に関
る と いう 一般 的 な指 摘 は論 拠 のな い こと で はな い。 少な く と も オ ウ ム真 理 教 への捜査 の手 遅 れ は素 人 目 にも 非 難 さ れ
つ いて論 証 す る こ と は困 難 であ る が、 横 浜 の弁 護士 一家 殺 害 事件 の捜 査 の手 遅 れ が、 地下 鉄 サ リ ン事件 に関 連 し て い
な ど、 オウ ム真 理教 によ る 一連 の事 件 以 後 にお いて であ る。 何故 に警 察 庁 が こ こに お いて被 害 者 支 援 に注 目 し た か に
↓ る赫 験 離 籍 難 燃 聾 ω辣 監 製 嶽 解 地下鉄サリン事件や松本サリン事件
4
4
叢
論
律
↓
九 七年 六 月 に開 設 の予定 で準 備 され て いる ボラ ンティ ア によ る相 談室 であ る。 東 京 犯 罪被 害者 支援 セ ンタ! (
仮 称 )。 そ の
日 本経 済 新 聞 、九 六年 七 月 二六 日朝 刊、 なお 九 六年 一 一月 五 日、 東 京 で ﹁
犯 罪被 害者 支援 フ ォー ラ ム
﹂ が 開 か れ た。
同 セ ンタ ー は 、常 磐 大 学 内 に セ ンタ ー を置 き 、 学長 の諸 澤 英道 教 授 が 主導 し て いる (
九 五 年 七 月発 足 )。
注
(
1)
(2)
他 、 八三 年 九 月 に ﹁東 京 強姦 救 援 セ ンター ﹂ が 設 立 され て いる。
(3)
2 、 警 察 主 導 の補 償 窓 口
と ころ で警 察 が被 害 者 の支援 に ど こま で関与 す べき か、 あ る いは関 与 でき る か に つ いて検 討 し てお か なけ れ ばな ら
な い。 ア メ リ カ で は独 立 の行 政 機 関 や 刑 事 裁 判所 ま た は検 事 局 が担 当 す る な ど 、 さ ま ざま であ る 。 イ ギ リ スやド イ ツ
の例
を み ても 警 察 が窓 ・と な ・て いる 所 は 世 界 に例 がな い・ わ が国 に お い て給付 金 支 給 のた め の認定 機 関 が都 道 府 県
公安
せ
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行、
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付刑金事制司度法はに
、対本す質る的国に民はの
見信舞頼金感での
あ確り保、
(
1)
にあ る﹂ とさ れ て いる。 こ の点 で損 害 賠償 型 でも 生 活保 護型 でも な い。
こ の論 拠 か らす れ ば、 わ が国 の給付 金 制 度 は、 警 察権 力 が市 民 の安 全 を確 保 す る こと に 失 敗 し た、 いわ ゆ る 犯 罪被
害 者 に対 し、 法 秩序 への信 頼 を回 復 さ せ る と ころ にあ る と いう も の であ る。 こ のよう な と ころ に論 拠 を 求 め るな ら ば 、
わ が国 の給 付金 の窓 口 が警 察 に あ る こ と の説 明 と 直結 す る こ とは 可能 かも 知 れ な い。
し かし 、わ が国 に おけ る被 害 者 救 済 の運 動 の中 心 と な った のは、 ほ んら い諸 外国 の例 と 同 じく 市 民 運 動 に はじ ま る。
(2 )
一つは七 四 年 に殺 人被 害 者 遺 族 が 中 心 とな って結 成 さ れ た ﹁被 害 者補 償制 度 を 促 進 す る会 ﹂ であ り 、 他 の 一つは、 七
三年 に同 じ く 被害 者 と遺 族 が中 心 と な って結 成 さ れ た ﹁被 害 者 補 償制 度 を促 進 す る 会 ﹂ で あ る。 こう し た 市 民運 動 の
始 ま った時 期 の }九 七 四年 八 月 三 〇 日 に三 菱 重 工 ビ ル爆 破 事 件 が発 生 し、 翌年 に法 務 省 が 要綱 案 を 発 表 し 、 公 明党 も
七 五年 に ﹁犯 罪被 害 者補 償 法 案 ﹂、 日 弁連 も ﹁刑事 被 害 補償 法 ﹂ を発 表 し た。 こう し た 立法 化 の動 き を背 景 と し て警 察
鵜
祭
贈
被害者間馬
心の集中する動讐 なったと同じ丸 日本でも重大事件の
庁 は 七九 年 八 月 に ﹁犯 罪被 害 者 に対 す る 給付 金 の創 設 に つ いて﹂ と 題 す る制 度 案 の骨 子 を 示 し、 これ を も と に政 府 案
議
し かし 、被 害 者 補 償 の管 轄機 関 が警 察 庁 に結 び つく 必 然性 は必 ず し も な い。 わ が国 の給 付金 制 度 が、 結 果 的 に 見舞
ト が簾 稟
状
題
問
瀞
金 程 度 で出 発 し た ・と と 、 見舞 金 であ る ・と か ら付 せら れ た論 拠 から 警 察 庁 と結 び つい たも のであ る にし ても 、 市 民
発 生 が直 接 の力 とな った 点 で類 似 し て いる 。
謝
わ れ わ れ は、 む し ろ警 察 によ る 市 民社 会 への無 用 な関 与 に拒 絶 反応 を示 さ な け れ ばな らな い。 こ のよう な 指 摘 の前
存 し て いるも の では な い。 警 察 で問 題 とす る犯 罪 は無 限 に存 在す る 犯 罪 の 一部 に関 与 す る にす ぎ な い。
言 え ば、 警 察 が犯 罪 の防 止 と犯 罪者 の検 挙 を 直 接 の責 務 とす る こと は でき ょ う が、 そ れら の責 務 のす べ てを 警 察 に依
のも の であ り 、 個 人責 任 のも と で堅持 され る も のであ る。 これ を 犯 罪行 為 と いう 違 法 行 為 と いう外 形的 現 象 に ついて
いこ とも 言 う ま で もな い。 むろ ん象 徴 的 には 可能 であ ろ う が 、 わ れ わ れ市 民 の権 利 ・自 由 ・財 産 は 、 そ れ自 体 が 固有
囎 から の運 動 に ・ いち早 く 婁 庁 が骨 子 を 示 し ・ 警察 庁 が権 力 行使 拡 大 の 。実 と し て先 鞭 を つけ た き ら いがあ る・
罪
犯
そ こ で、 そ の論 拠 であ る 警察 庁 と の結 び つき に つい て検 討 し て み る と、 法 秩序 の維 持 に直 接 か か わり のあ る のが 警
一 票 庁 であ る こと は言 つま でも な いが・ 犯 罪 の発 生・ つま り被 害者 への責 任 が こと ご とく 婁 庁 に あ る と いう も の でな
4
法
一
律
論
一
叢
50
に は、 そ も そ も 犯 罪 と は何 であ る か に つ いて論 じ な け れ ばな ら な いが 、 ここ で はそ の余 裕 が な い。 現 在 の警 察権 力 の
実体 から 言 え ば、 警 察 が関 心 を も つ犯 罪 は主 と し て市 民 によ る道 路 上 の犯 罪 (
ω
e﹃
①①けO門一
コ口
O) に向 け ら れ て おり 、 大企
業 に よ る犯 罪 に対 し て は無 気 力 であ る。 ほ んら い警 察権 力 が働 き かけ なけ れば な ら な い、 いま だ不 毛 の分 野 は無 限 と
言 ってよ いほ ど あ る はず であ る 。 こう し た認 識 に立 て ば 少な く と も 警 察 が 犯罪 被 害 者 に ま で配 慮 を す る 、 性 急 な結 び
つき は存 在 し な い。
・墜 暑 相 談 を 受 け る のに都 合 がよ いと の籍
があ 奄
し か し・ そ れ 自 体 が市 民 の柔
的 人権 の擁 護 に
わ が国 の警 察 、 とく に全 国 に張 り めぐ ら さ れ た 交 番 は、 市 民 間 に溶 け 込 み、 市 民 の苦情 の 駆け 込 み場 と し て の役 割
を担 ・てぢ
益 し て い るか どう か に つ いて論 じ ら れな け れ ば な ら な い問題 であ る。
被 害 者 が事 件 後 も っとも 接 触 す る のが 警察 であ る こ と は言 う ま でも な いが、 被 害 者 補 償 の窓 口と な る べき 機 関 は、
こ と の性 質 上 、 警察 であ っては な ら な い。 警 察 にそ のよう な 権 限 を 与 え る こ と は近 代国 家 に相 応 し く な い。 と ころ が
警 察 庁 は上 述 のよう に、 カウ ン セラ ー の採 用 な ど 、 ます ます 警 察 ほん ら い の業 務 か ら遊 離 し た と ころ に予 算 を計 上 し
て いる. 九 六 年度 は全 国 の警 察 官 が約 三 千 人 増 員 さ れ た. ま す ま す 警 察国 家 の色 彩 を 強 め て いる. 被 害 者 関 与 の名 目
がす で に警 察 官 の増 員 に 一役 買 って いる。
給 付 金 制 度 と 同時 に設 立 さ れ た 犯 罪被 害 援 護 基金 は、 それ 自 体 が警 察 の主 導 のも と に 運 用 され て いる 。 被 害者 支 援
は事 件 直 後 よ り も、 そ の後 の多 様 な ニー ズ に答 え な く て はな ら な い。 そ れ だけ に民 間 ボ ラ ンティ ア活 動 が 中 心 と な る
大 谷 実 ・斉 藤 正 治 ・犯 罪被 害 者 給付 制 度
四 六頁 。
必要 があ る。 警察 は そ れ への情 報 の提 供 な ど 側 面 的 な協 力 に とど ま る べき であ る。
注
(
1)
況
駄
醐
(
2)
大 谷 実 ・犯 罪被 害 者 と補 償 に詳 細 に記 述 さ れ て いる 。
(二)被害 者 の救済 と 刑事 司 法
被 害 者 の救 済 が刑 事 司法 に いか な る影 響 を 与 え る か に ついて は、 これま で に紹 介 し た ア メリ カに お け る 状況 を 踏 ま
段 階 で の論 点
え 、 わ が国 の現 状 に つ いて考 察 し て お く こ とが 肝 要 であ る。
-、 妾
勾 留 を でき るだ けす みや かにす る要 請 に つな が る。 さら に重 刑 罰 化 と な る こ とも 理 由 のな い こと で はな い。 ﹁し た が っ
こう し た 消極 的 ・批 判 論 に対 し 、 被 害者 補 償 を 推 進 し た大 谷 教 授 は 、被 害 者 の悲 惨 な 状況 を 強 調 す る こと は逮 捕 や
重 刑 罰 化 を招 来 す る こと は避 け ら れ な い ことを 指 摘 し た。.
勾 留 の拡 大 、保 釈 許 可 の峻 厳 化 に転機 を 与 え る とす る 。さ ら に被 害 者 の人権 を 守 る と いう 要 請 が 、処 罰 範囲 を 拡 大 し、
同 教 授 は、 従 来 の刑事 司法 に おけ る人 権 問 題 は、 被疑 者 ・被 告 人 の人権 であ った が、 被 害 者 補 償 の提起 は、 逮捕 、
繍
老
害
支 給法 制 定 段 階 に お いて、 す で に人権 保 障 の立 場 か ら消 極 的 意 見 が で て いた。 そ の論者 の 一人 であ る井 戸 田侃 教 授
被
・
(
-)
曝 は ﹁人権 保 障 の問 題 は、 ことば のう え で はな く 、 原 点 に たち 戻 って 考 え る必 要 があ る﹂ と し、 被 害 者 ・被 告 人相 方 の
オ
一 人 権 問 題を 厘 ・ ベ ル の問題 とし て、 処 理す る のは 誤 り であ ると の疑念 を達 し て いた.
51
5
て、 そ の道 は 二 つ、す な わち 、 刑 事 司法 に おけ る犯 罪 抑 止 の強 化 か、 悲 惨 さ の解 消 か の いず れ かを 選 択 し な け れ ばな
(
2V
ら な いL とし て いる。
井 戸 田教 授 の指摘 が、 こ ん にち のア メ リ カ にお いて顕 著 に具 体 化 し て いる こ と は前 述 のと お り であ る 。 そ こで問 題
は、大 谷 教 授 のよ う に、 いわば 二者 択 一的 に割 り 切 る こ とが 妥当 か否 か であ る 。私 は、 ア メリ カ にお け る被 害 者 問 題を
保 守 派 と り ベラ ル派 の両 者 の流 れ と し て とら え、 そ の現 状を 紹 介 し た。保 守 派 の被 害者 問 題 への対 処 に対 し 、批 判 を加
え る り ベラ ル派 の主 張 の中 核 を な す も のは、 前 者 の立場 で欠 落 し て いる の は、 加 害者 と被 害 者 を 整 然 と 区 分 け でき る
と認 識 し て いる と ころ にあ る・ と ころ が 現実 には ・両者 は区 分け でき な い・そ の時 の状 況 に お いて・あ る いは 加害 者 と
なり 、 あ る いは被 害 者 とな る のが 、 いわゆ る通 俗 的 な犯 罪 であ る 。 と ころ が保 守 派 の被害 者 論 は、 自 ら は つね に被 害
者 とな る危 険性 だけ があ り 、間 違 っても 加 害 者 に な る こと はあ り 得 な いと認 識 し て いる と ころ に救 い難 い誤 り があ る。
一
叢
論
問 題 は 、 二者 択 一的 に考 え る ので はな く 、 被 害者 問題 に取 り 組 む こと が 一連 の刑 事 司法 の強 化 な し に は不 可能 か否
から 当 然 に引 き出 さ れな け れ ば な らな い結 論 であ る。
か に関 心 が 向 け ら れ る べき であ る。 そ れ は当 然 な が ら、 加 害 者 と 被 害者 が対 立 関 係 であ る と認 識 し ては な ら な い立 場
律
法
そ のあ る べき 対 策 に つ いては後 に譲 る こと とし 、 こ こ で結論 に至 る表 題 だけ を 提 示 し て おく な ら ば、 ﹁加 害者 と被 害
者 が いか に 共 に生 き るか ﹂ の方策 を 、 社 会 が いか に模 索 す る か に あ る。 少な く と も 現 状 の警 察 主 導 型 の被 害 者 支 援 体
制 では 、 か よう な目 的 に向 かう こ と は困 難 であ る こ と だけ を 指 摘 し て お こう 。
な お 大 谷 教授 の択 一的 論 理 に つ いて付 言 す れ ば、 被 害 者 の悲 惨 の解 消 と刑 事 司 法 の犯 罪抑 止 の強 化 の いず れ かを 優
先 さ せな け れ ば なら な いと いう 論 理 に組 す る こと は でき な い。 こ の点 に つい ては 、 そ の最 先 端 の問 題 であ る死 刑 制 度
と被 害 者感 情 の問 題 とし て 項 を改 め て検 討 す る。 .
井 戸 田侃 ﹁
犯 罪 被 害者 保 障 制 度 を めぐ る 若 干 の基 本 問 題﹂ 立 命 館 法学 一二 一 ・}二四 合 併号 三八 五 頁 以 下。
注
(
1)
大 谷 実 ・被 害 者 の補 償
一 一九 頁。
(
2)
2 、 警 .察 権 力 の 拡 大
な性 格 であ る が故 であ ろう か、 同 法 の発 効 後 にお いて、 そ れ と の関 連 で直 接 的 に刑事 司法 にな んら か の影 響 が表 れ て
給 付 金 制度 発 足 以降 にお いて 刑 事 司法 に いか な る動 き があ る か を概 観 し てお く 。 た だし 前 述 のよう に 同法 が恩 恵 的
況
状
閥
に 明白 か つ直 接的 でな い だけ に ・国 民 の自 覚 す る
いる こ と の検 証 が でき る段 階 では な い.
こと が遅 れ が ち で あ る。 そ れ だ け に 陰湿 であ る 。
行 政 権 力 の被害 者 への関 与 と そ の背 景 は・ ア メリ カ に おけ る 考
陶
翻
害
被
罪
社 会 内 処 遇 を 担 当す る法 務 省 の保 護 観察 官 の定 員 が、 全 国 で約 千 人 に満 たな い こと と 比較 す れ ば 、 いか に 巨大 な 数 字
る。そ の 一例 と し て、 先 にも 紹 介 し た よう に九 六 年度 に お い ては 警察 官 が約 三 千 人増 員 さ れ た。 こ の数 字 は犯 罪 者 の
問題 は被 害 者 補 償 に積 極 的 な 姿 勢 を 示し な がら 、 そ の反 面 にお いて着 々 と警 察 権 力 の強 化 が図 ら れ て いる こと であ
レー ト に直 結 し て いる例 とし て挙 げ る こ と が でき る。
害者 の面 会 強 要 ま た は威 迫 す る 言 動 を 刑罰 の対 象 とす るも のと し て いる。 被 害 者 への補 償 と加 害者 の刑 罰強 化 が スト
↓た
徽 灘 霧 鷲 雑 響酵 飽惚糖 蜜鷲嫉蔵.
態 鯵髄 韓講
53
叢
論
律
法
54
であ るか が 理解 さ れ よ う。 行財 政改 革 の声 のな か で、 これ だ け の単 年 度 の増 員 が 認 めら れ た背 景 には、 サ リ ン事 件 の
発 生 が関 連 し て いる。 未曾 有 の事 件 を 背 景 に 警察 庁 は増 員 を 確保 し、 他 方 では 被 害者 問 題 へのア ピー ルも平 行 し て意
図 的 に積極 的 にな さ れ てき た。 一方 では オ ウ ム真理 教 への破 防法 の適 用 が姐 上 に のぼ って い る。
こう し た治 安 維 持 を 名 目 とし た警 察 権 力 の強化 が、 一方 では、 被 害 者 への施 策 の宣 伝 と パラ レ ルに 、 いわ ば硬 弱 が
使 いわ け ら れ国 民 生 活 を 浸食 し て い る。 し か も、 こ こ で指 摘 し た 動き は単 な る 表 面的 な 現 象 にす ぎ な い。 警 察 権 力 の
拡 大 は わ れ わ れ の察 知 でき な いと ころ で着 実 な も の とさ れ て いる。 留 置 施 設 法 案 の可決 が図 ら れ て いる こ とも 、 そ の
一例 であ ろう 。
一方、 法 務 省 は ﹁組 織 犯 罪 に対 処 す.
る た め の法 整 備 ﹂ と 称 し て、 電 話 盗 聴 の合法 化 を 含 む法 改 正 を 次 期国 会 に提 出
す る も のと決 定 し たと 伝 え ら れ る。
井 戸 田教 授 が懸 念 し た被 害 者 補 償 の警 察 庁 に よ る窓 口 の害 悪 が、 同 法 制 定 後 二 〇年 にし て、 こ こに 具 体的 に国 民 の
死刑廃 止 と被害 者 問題
前 に 示 さ れよ う と し て いる。
四
被 害者 問題 にお いて 最先 端 にあ る のは 、 殺 人 によ る被 害 の問題 であ る。 被 害者 救 済 問 題 が 死 刑 問 題 と ど のよ う な か
かわ り が あ る か に ついて検 討 し てお か な け ば な らな い。
卜
(一)死 刑制 度 と被 害者 感 情
死 刑 存 置 の根拠 の 一つに被 害者 感 情 があ る。 そ の根 拠 は 二 つあ る。 第 一は 、被 害 者 感 情 を 満 足 さ せ る ため に死 刑 が
止 むを 得 な いとす るも の であ り、 第 二 は、 貧 弱 な被 害 者 対 策 の現状 に お いて は 死 刑廃 止 は 時 期 尚早 であ ると す る も の
であ る。 し か し 、 こ の理 由 の いず れも 論 理 的 な 根拠 にな り 得 な い。
らな 一 と も 悲 し み と苦 し み に耐 え て いる。 被 害者 の ため に死 刑制 度 があ ると の論 拠 は墜 暑 を 欺 騙 し て いる。
第 一の根 拠 は 、・
そ の実 体 を 示 し て いな い。 まず 年 間 仮 に1 0 0 0 人 の殺 人 者 が いた とし て、 そ のな か で現 実 に死 刑
状
題
問
漁
の感 情 は相 手 が 処 刑 され るか 否 か で解 消 さ れ る 性質 のも ので は な い。
第 二 の根拠 は、さ ら に理 不 尽な 論 拠 であ る 。犯 罪被害 者 の救 済
と死 刑 問題 はほ んら い別 個 の問 題 であ る。仮 に関 係 あ
(1)
刑論 に譲 る。
命 の根 本 問 題 を 単 な る感 情 問 題 と し て 処理 す る こと に賛 同 す る も のでな い。 な お 、 これら の諸 問 題 に つ いて は私 の死
死刑 と被 害 者 関係 は論 理 の世 界 では なく 、 感 情 の世界 であ る と の指 摘 も あ る。 し か し私 は、 死 刑 と いう 、 人 間 の生
害者 の満 足 が 死 刑廃 止 と どう 結 び つく か に ついて も、 論 理 的 整 合性 はな い。
る と し ても 、 被 害者 対 策 が充 分 に な さ れ る と言う のは、 いか な る 状況 を 指 す のか も不 確 か であ る。 さ ら に問 題 は 、 被
板 に加 害 者 が 処刑 され れ ば 被 害者 は満 足 し 、 事件 のす べて を 過去 のも のと す る ・と が でき る と の錯覚 があ る. 遺 族
にな る者 は 最 終 的 に は 0 ・0 ー パー セ ント にも な らな い。 そ の他 の大 部 分 の殺 人 の被 害 者 の遺 族 は加 害 者 が死 刑 にな
散
害
被
曝
↓
55
法
律
論
(一一
) 死 刑廃 止 と被 害者 支 援
死 刑廃 止論 者 が被 害 者 支 援 を主 張 す る こと は 、 死刑 廃 止 の障 害 であ る被 害 者 問 題 に 理解 を示 す こと で、 死刑 廃 止 賛
同 者 を 獲 得す る手 段 と し て いる と の指 摘 が あ る。 率 直 に言 って そ れを 否 定 す る 必 要 も な い。 本 質 的 には 、 そ のよ う な
姑 息 な 発想 で はな く 、ア メ リ カ の仲介 理論 (
竃 ㊦畠一
費e一
〇口)、﹁加 害 者 ・被 害者 和解 プ ログ ラ ム﹂ を 刑 罰 の最 先 端 であ る死
る。 被 害者 支 援 は死 刑廃 止論 者 に課 せら れ た使 命 でも あ ろう 。
害 者 と被 害者 は人 間 が 異 な る と の無 意 識 の意 識 が根 底 にあ る か ら であ る。 と ころ が被 害 者 も 加 害者 にな る可 能 性 があ
う のが 大方 の見 解 であ る 。 し かし 、 死 刑 存 置論 者 は真 の被 害者 支 援 者 とな る こと は で きな い。 な ぜ な ら存 置 論 者 は加
し か に通 俗的 に は、 被 害 者 への支 援 者 が、 同時 に加 害 者 への支援 者 であ る こと は 、感 情 的 に両 立 す る はず がな いと い
被 害者 支援 を 強 調 し 、 実 践す る こと は死 刑廃 止 と同 一の理 念 のな せ るも ので あ り、 そ の逆 であ ろ う はず がな い。 た
も の であ る かを 論 じ てき た。
かんず く 死刑 復 活 を 支 持 す る こ と に結 合 す る危 険性 があ る。 し か し、 そ のよ う な 排他 的 発 想 が いか に本 質 を 間 違 え た
と ころ が本 稿 で アメ リ カ の状況 とし て紹 介 し たよ う に、 保 守 派 によ る被 害 者救 済 が、 そ の反 動 と し て重 刑 罰 化 、 な
生 き る路 を、 いか に模 索 す る か が現 代 を 生 き る わ れ われ に課 せ ら れ て いる命 題 であ る と考 え る から にほ かな らな い。
一 刑 と そ の被 害 者 毒 に見 出 そう とす るも の であ る・
叢
殺 人者 と被 殺 人 者 (
具 体的 に は そ の遺 族 ) は 、対 立関 係 で捉 え ら れ る べき 存 在 で は な い。 殺 人 者 と被 殺 人者 が共 に
56
一
慨
注
(1)
目
者 補 償 の管 轄 は警
菊 田幸 一・いま、 な ぜ 死刑 廃 止 か (
丸 善 出 版 )、死 刑1 そ の虚 構 と 不 条 理 (
== 書 房) 等 を 参 照 さ れた い。
まと め
被 害者 救 済 は ど、
・あ る べ き か . ア ・ リ カ の 失 敗 を 他 山 の 石 と し 、 現 時 占⋮
で 葦 目す べ 第 一は 、 堅
場 合 に お いて犯 罪 被 害 の対象 とな る犯 罪 は加 害 者 と被 害 者 が・ と も に 不 幸 な運 A叩と不 運 の結 末 とし て発 生 し
て い る 。 そ の 両 者 が あ る と き は 加 害 者 で あ り 、 あ る と き は 被 害 者 と な る 。 言 う な ら ば 共 に 社 会 的 弱 者 の生 き ざ ま で あ
多あ
察 庁 に ふさ わ し- な い. 救 済 を基 軸 とす る も のとし て厚 生 省 な ど他 に移 管 す べ き であ る.
る. 加 害 者 も 被 害者 も 犯罪 行 為 を 介 し て、 さら な る不 幸 に聾
隔
の
済
救
護
で
者 も 、 も に、 い 。そ つ不 幸 に追 いや る危
警
し て いる. そ の裏 に あ る権 力 犯 罪 は 、被 害 対 象 と は無
締
、
関係 に存 在 し て いる. そ の根 本 問 題 を追 求 し つづけ なけ れば な ら な い. む ろん 、 そ の課題 は途 方 も な 函
し かし 大 事 な ・・ は、 整 口者 問 題 に 目を 向 け る 。、 で、 聖 目
者 も馨
を 警 告 し て いる の であ る。 官 民 一体 の被 害 者 支援 と いう 言葉 に踊 ら さ れ て はな るま い。
(一九 九 七 年 一月 一五 日記 )
める べき だ と主 張 し て いる ので はな い。 官 庁主 導 の被 害者 支 援 に、 そ の反 動 に は かり 知 れ な い危 険 が潜 ん で いる こ と
険 性 に気 づく べき こと であ る。 し か し 誤解 さ れ ては な ら な いの は、 市 民主 導 型 の被 害 者 支 援を 、 そ の危 険 性 のた め止
あゑ
職
ロ
↓
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