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(レシピはこちらをクリックして下さい。(PDF:1386KB)
ランチタイムセミナー
「手にとって さとの恵み」~岐阜県の食を味わう~
飛騨高山の郷土料理体験
ころいもの煮っ転がし
七種雑穀がゆ
大根の梅酢と味噌
の当座漬け
飛騨の駄菓子
「甘々棒」
高山女性史学習会 神出 加代子
1
飛騨高山の
郷土料理を知ろう
郷土料理とは、その地域に根付いた食材を使い、そ
の地域独自の調理方法で作られ、地域で広く伝承さ
れている料理のこと。
飛騨高山の郷土料理の歴史の始まりは縄文時代からのよう
です。その時代に貴重な火を消さないために建物を作りました。
この頃から飛騨の食文化が始まりました。
お母さんたちは、家族が病気にならないように、食材を美味し
く食べられるように工夫をし料理してきました。それから長い長
い年月をかけて、親から子どもへ知恵を受け継ぎながら、現在
の形へとなってきました。
飛騨の歴史や自然、それに作物の育たない寒さの厳しい冬、
災害などを経験した先人たちのくらしの知恵と愛情によって受
け継がれてきたのが、この高山の食文化なのです。
本日の調理体験メニュー
(飛騨高山の郷土料理)
・七種雑穀がゆ
・ころいもの煮っころがし
・大根の梅酢と味噌の当座漬け
・飛騨の駄菓子「甘々棒(かんかんぼう)」
2
七種雑穀がゆ
「七種雑穀がゆ」にまつわるお話し
あちこちで郷土料理の編集がされるようになり、高山でも平成元年に
民俗学などの諸先生方で編集委員会が編成され、私もその一員に加
わりました。
はからずともその頃より、パックに詰められた七草が店頭に並び始め、
全国一律に昔ながらの習わしのようになってしまいました。
はたして豪雪地帯の飛騨ではどうだったのかと悩んでいたところ、粥
占いの神事が北アルプスのふもとの神社で行われると知り、吹雪の中
を行ってみたところ、女人禁制で寒い中を立ちつくしました。いろいろと
足を運んでいるうちに、その甲斐あって昭和48年発行の「旗鉾年中行
事」という冊子に出会いました。
冊子にはなんと、若菜七草でなく雑穀や木の実を入れたかゆを食べ
ていたと記されており、その後、「昭和40年代頃も食べていた」という
人にも出会いました。江戸時代の食全集「本朝食鑑」にも、正月粥とは
七草がゆでなく雑穀七種で、これなら正月7日にそろえられるという記
述を見つけました。
それにしても、雑穀は今や健康食としてもてはやされていますが、先
人たちは料理本やテレビなどの情報がなくても、食べにくい雑穀を工夫
し、食していたものです。先人たちの知恵に敬服し、自然と共存した暮
らしから生まれた土着の食文化に脱帽します。次世代に伝えていきた
いものですね。
※「旗鉾」は、飛騨地方にある地名。旗鉾にある伊太祁曾神社(いたき
そじんじゃ)には、今からおよそ600年前より始まると伝えられる粥占
いが今も受け継がれている。
3
七種雑穀がゆの作り方
材料は、雑穀(白穀(米)、麦、大豆、ささげ豆、小豆、粟、きび、そば、ひえ、と
うもろこしなど)や木の実(干し栗、干し柿、ぎんなん、なつめなど)などですが、
この中から手に入るものを使います。
●本日の材料(4~5人分)
雑 穀
白穀(米)・・・1合
麦・・・・・・・・・大さじ3
大豆・・・・・・・大さじ3 ささげ豆・・・40g
とうもろこし・大さじ3
木の実
なつめ・・・・・ 適意
白ごま・・・・・・・・・・・・・・・・ 少々
だし昆布・・・・・・・・・・・・・・ はがき1枚大
白だし・・・・・・・・・・・・・・・・ 大さじ2
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
●作り方
① 大豆とささげ豆は、洗って一晩水につけておく
② 米と麦は、洗って水につける
③ 小豆は、洗って硬めに下茹でし、ざるにあげる
④ ぎんなん、栗は、鬼皮と渋皮をむいておく
⑤ ①を鍋に入れ、雑穀の分量に対し、8~10倍の水を
入れて中火で煮る
⑥ ⑤が沸騰して15分ほどしたら、②を入れ、沸騰後は
中火にしてふたをずらし、ふきこぼれがないように注
意して煮る(10~15分程度)
⑦ とうもろこしを入れる
⑧ 塩、白だし等で味を調える
⑨ 煮上がったら器に盛り、千切りにした干し柿とぎんな
んを入れ、ごま塩をふって食べる
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ころいもの煮っころがし
「ころいもの煮っころがし」にまつわるお話し
その昔、上等な大きないもは、年貢や売り物にしてお金にかえました。
お金にならないような小さな「くずいも」も捨てずに美味しく食べられる
よう工夫して食べました。
ころいも煮は、飛騨の人々の、食べ物を大切にする心と工夫から生
み出された郷土料理です。「ころいも」という呼び名は飛騨の方言で、
小さないものことをいいます。
飛騨を救ったじゃがいも
江戸時代、食料が不足して大飢饉が起こり命を落とす者が続出しま
した。そんな食糧難を救ったのが「じゃがいも」です。
じゃがいもは、1745年に第8代代官として飛騨にやってきた「幸田善
太夫」によって伝えられたそうです。そこから、この方の名前をとって「せ
んだいも」と呼ばれています。
せんだいもは、寒い地域から暑い地域まで幅広い範囲で栽培でき、
短い期間で収穫できます。
また、長期間保存することができるので、一年中食べることができま
す。このいものことを別名「お助けいも」とも呼ばれ、せんだいものおか
げで飛騨の人々は助けられたそうです。
5
ころいもの煮っころがしの作り方
●材 料(4~5人分)
・ころいも・・・・・ 500~600g
・塩(下茹で)・・・ 大さじ1
・調味料
しょう油・・・・大さじ3 砂糖・・・・・ 大さじ3
黒砂糖・・・・・大さじ1 油・・・・・・・ 大さじ1.5
味加減を見て仕上げに
しょう油・・・・大さじ1 水あめ・・・・大さじ1
●作り方
① ころいもを良く洗う(たわしでこすり、ザルにあげる)
② 鍋にころいもと水、塩を入れて、湯煮する
(ふたをしてグラグラしてから10分間)
③ ザルにあげ、水分を良く切る
④ 鍋に油を入れて熱し、ころいもを入れて炒める
(全体に油がからむようにゆすりながら)
⑤ 水をひたひたに入れ、調味料を全部入れて煮る
⑥ コトコト煮込む(中火)
⑦ 煮汁が半分ほどになった時に、仕上げの調味料
を入れる
⑧煮汁がほとんどなくなったら完成
※煮込み始めて、約1時間少々で完成
6
大根の梅酢と味噌の当座漬け
忙しい農家の知恵が満載
物の流通がなかった時代、豆腐や味噌なども家庭で作るの
が一般的でした。
大根の梅酢と味噌の当座漬けは、梅干しを漬けた汁や、自家
製の味噌を使って大根を漬け、ご飯のおかずの一品にすると
いった農家の知恵から生まれました。
味噌は、味噌樽の上の部分に付いた少しかびたようなものを
使い、無駄なく消費していたようです。
調味料や漬ける時間を調節し、自分だけの味を見つけましょ
う。
冷蔵庫で保存すれば、1週間以上楽しめます。
7
大根の梅酢と味噌の当座漬けの作り方
●材 料
・大根
・梅干しが漬けられている赤梅酢
(市販のものでOK)
・味噌
(市販のものでOK)
・砂糖・・・・・・・・ お好み
・酢・・・・・・・・・・・お好み
・みりん(使用はお好みで)
●作り方
①大根の皮をむき13cm程度の輪切りにし、縦に四
つ切りにする
②赤じその混じった梅干しの残り汁1に対し、酢2を
加える。砂糖はお好みで(梅酢の漬け汁の完成)
③味噌大さじ3に対し、みりん大さじ1を混ぜ、のばす
(味噌漬けの元の完成)
④梅酢に切った大根を入れ、軽い重石をし、3~4時
間すれば完成
⑤のばした味噌漬けの元をビニール袋に入れ、そこ
に切った大根を加える。半日くらい漬ければ食べら
れる
8
飛騨の駄菓子
「甘々棒」
「甘々棒」にまつわるお話し
甘々棒は、飛騨地方の駄菓子としてお土産屋さんで見かけることが
多いですが、もともとは「子どもに栄養があり、少しでも甘いお菓子を食
べさせたい」という飛騨のお母さん達の思いから考え出されたものです。
砂糖を煮詰めて、きなこと混ぜて練ったものが甘々棒です。大豆から
作られる駄菓子として他には、「げんこつ」「こくせん」「まめいた」があり
ますが、これらは砂糖の煮詰め具合によって作り分けられています。
飛騨のお母さんの知恵が詰まったおやつです。
大豆の栽培をすすめた金森長近
金森長近は戦国時代に飛騨国の領主で、城山に高山城を築きました。
そして、高山を住みよい豊かな町にするために農業を広めようと、大豆
の栽培をすすめました。大豆の栽培をした結果、土地が肥え作物が良
くできるようになりました。
金森長近は、1585年、現在の福井県大野市から飛騨にやってきま
した。大野市には、昔から「けんけら」と呼ばれる「こくせん」によく似た
お菓子がありました。この「けんけら」が飛騨に伝わり、「こくせん」という
名で親しまれるお菓子になりました。
飛騨の駄菓子 「甘々棒」
9
甘々棒の作り方
●材 料(4~5人分)
・きなこ・・・・・・・・・150g+とり粉50g
・水あめ・・・・・・・・ 120g
・黒砂糖・・・・・・・・ 100g
・水・・・・・・・・・・・・・大さじ2~3
●作り方
① ボールにきなこを入れておく
② 鍋に湯をわかし( 鍋の半分くらい)、水あめを湯せ
んにして柔らかくする
③ 鍋に黒砂糖と水を入れ、火にかけて煮溶かす
④ ③に水あめを入れて、沸騰させる
(大きな泡が立ち、少しねばりが出てくるまで)
<ここからの作業はスピードが大事です!!>
⑤ きなこの入ったボールに④を一気にいれ、手早く
木しゃもじでかき回す
⑥ 少し冷めたら手でたたきこむように良くこねる
⑦ だいたいまとまったら、きなこをふったまな板の上
でよく練る
⑧ すぐ冷めて固まるので、形を整え包丁で好みの長
さに切る
※切る際は、力を入れず2~3回押して引いてみると、断面が丸
くなります。
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