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ランチタイムセミナー 「手にとって さとの恵み」~岐阜県の食を味わう~ 飛騨高山の郷土料理体験 ころいもの煮っ転がし 七種雑穀がゆ 大根の梅酢と味噌 の当座漬け 飛騨の駄菓子 「甘々棒」 高山女性史学習会 神出 加代子 1 飛騨高山の 郷土料理を知ろう 郷土料理とは、その地域に根付いた食材を使い、そ の地域独自の調理方法で作られ、地域で広く伝承さ れている料理のこと。 飛騨高山の郷土料理の歴史の始まりは縄文時代からのよう です。その時代に貴重な火を消さないために建物を作りました。 この頃から飛騨の食文化が始まりました。 お母さんたちは、家族が病気にならないように、食材を美味し く食べられるように工夫をし料理してきました。それから長い長 い年月をかけて、親から子どもへ知恵を受け継ぎながら、現在 の形へとなってきました。 飛騨の歴史や自然、それに作物の育たない寒さの厳しい冬、 災害などを経験した先人たちのくらしの知恵と愛情によって受 け継がれてきたのが、この高山の食文化なのです。 本日の調理体験メニュー (飛騨高山の郷土料理) ・七種雑穀がゆ ・ころいもの煮っころがし ・大根の梅酢と味噌の当座漬け ・飛騨の駄菓子「甘々棒(かんかんぼう)」 2 七種雑穀がゆ 「七種雑穀がゆ」にまつわるお話し あちこちで郷土料理の編集がされるようになり、高山でも平成元年に 民俗学などの諸先生方で編集委員会が編成され、私もその一員に加 わりました。 はからずともその頃より、パックに詰められた七草が店頭に並び始め、 全国一律に昔ながらの習わしのようになってしまいました。 はたして豪雪地帯の飛騨ではどうだったのかと悩んでいたところ、粥 占いの神事が北アルプスのふもとの神社で行われると知り、吹雪の中 を行ってみたところ、女人禁制で寒い中を立ちつくしました。いろいろと 足を運んでいるうちに、その甲斐あって昭和48年発行の「旗鉾年中行 事」という冊子に出会いました。 冊子にはなんと、若菜七草でなく雑穀や木の実を入れたかゆを食べ ていたと記されており、その後、「昭和40年代頃も食べていた」という 人にも出会いました。江戸時代の食全集「本朝食鑑」にも、正月粥とは 七草がゆでなく雑穀七種で、これなら正月7日にそろえられるという記 述を見つけました。 それにしても、雑穀は今や健康食としてもてはやされていますが、先 人たちは料理本やテレビなどの情報がなくても、食べにくい雑穀を工夫 し、食していたものです。先人たちの知恵に敬服し、自然と共存した暮 らしから生まれた土着の食文化に脱帽します。次世代に伝えていきた いものですね。 ※「旗鉾」は、飛騨地方にある地名。旗鉾にある伊太祁曾神社(いたき そじんじゃ)には、今からおよそ600年前より始まると伝えられる粥占 いが今も受け継がれている。 3 七種雑穀がゆの作り方 材料は、雑穀(白穀(米)、麦、大豆、ささげ豆、小豆、粟、きび、そば、ひえ、と うもろこしなど)や木の実(干し栗、干し柿、ぎんなん、なつめなど)などですが、 この中から手に入るものを使います。 ●本日の材料(4~5人分) 雑 穀 白穀(米)・・・1合 麦・・・・・・・・・大さじ3 大豆・・・・・・・大さじ3 ささげ豆・・・40g とうもろこし・大さじ3 木の実 なつめ・・・・・ 適意 白ごま・・・・・・・・・・・・・・・・ 少々 だし昆布・・・・・・・・・・・・・・ はがき1枚大 白だし・・・・・・・・・・・・・・・・ 大さじ2 塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々 ●作り方 ① 大豆とささげ豆は、洗って一晩水につけておく ② 米と麦は、洗って水につける ③ 小豆は、洗って硬めに下茹でし、ざるにあげる ④ ぎんなん、栗は、鬼皮と渋皮をむいておく ⑤ ①を鍋に入れ、雑穀の分量に対し、8~10倍の水を 入れて中火で煮る ⑥ ⑤が沸騰して15分ほどしたら、②を入れ、沸騰後は 中火にしてふたをずらし、ふきこぼれがないように注 意して煮る(10~15分程度) ⑦ とうもろこしを入れる ⑧ 塩、白だし等で味を調える ⑨ 煮上がったら器に盛り、千切りにした干し柿とぎんな んを入れ、ごま塩をふって食べる 4 ころいもの煮っころがし 「ころいもの煮っころがし」にまつわるお話し その昔、上等な大きないもは、年貢や売り物にしてお金にかえました。 お金にならないような小さな「くずいも」も捨てずに美味しく食べられる よう工夫して食べました。 ころいも煮は、飛騨の人々の、食べ物を大切にする心と工夫から生 み出された郷土料理です。「ころいも」という呼び名は飛騨の方言で、 小さないものことをいいます。 飛騨を救ったじゃがいも 江戸時代、食料が不足して大飢饉が起こり命を落とす者が続出しま した。そんな食糧難を救ったのが「じゃがいも」です。 じゃがいもは、1745年に第8代代官として飛騨にやってきた「幸田善 太夫」によって伝えられたそうです。そこから、この方の名前をとって「せ んだいも」と呼ばれています。 せんだいもは、寒い地域から暑い地域まで幅広い範囲で栽培でき、 短い期間で収穫できます。 また、長期間保存することができるので、一年中食べることができま す。このいものことを別名「お助けいも」とも呼ばれ、せんだいものおか げで飛騨の人々は助けられたそうです。 5 ころいもの煮っころがしの作り方 ●材 料(4~5人分) ・ころいも・・・・・ 500~600g ・塩(下茹で)・・・ 大さじ1 ・調味料 しょう油・・・・大さじ3 砂糖・・・・・ 大さじ3 黒砂糖・・・・・大さじ1 油・・・・・・・ 大さじ1.5 味加減を見て仕上げに しょう油・・・・大さじ1 水あめ・・・・大さじ1 ●作り方 ① ころいもを良く洗う(たわしでこすり、ザルにあげる) ② 鍋にころいもと水、塩を入れて、湯煮する (ふたをしてグラグラしてから10分間) ③ ザルにあげ、水分を良く切る ④ 鍋に油を入れて熱し、ころいもを入れて炒める (全体に油がからむようにゆすりながら) ⑤ 水をひたひたに入れ、調味料を全部入れて煮る ⑥ コトコト煮込む(中火) ⑦ 煮汁が半分ほどになった時に、仕上げの調味料 を入れる ⑧煮汁がほとんどなくなったら完成 ※煮込み始めて、約1時間少々で完成 6 大根の梅酢と味噌の当座漬け 忙しい農家の知恵が満載 物の流通がなかった時代、豆腐や味噌なども家庭で作るの が一般的でした。 大根の梅酢と味噌の当座漬けは、梅干しを漬けた汁や、自家 製の味噌を使って大根を漬け、ご飯のおかずの一品にすると いった農家の知恵から生まれました。 味噌は、味噌樽の上の部分に付いた少しかびたようなものを 使い、無駄なく消費していたようです。 調味料や漬ける時間を調節し、自分だけの味を見つけましょ う。 冷蔵庫で保存すれば、1週間以上楽しめます。 7 大根の梅酢と味噌の当座漬けの作り方 ●材 料 ・大根 ・梅干しが漬けられている赤梅酢 (市販のものでOK) ・味噌 (市販のものでOK) ・砂糖・・・・・・・・ お好み ・酢・・・・・・・・・・・お好み ・みりん(使用はお好みで) ●作り方 ①大根の皮をむき13cm程度の輪切りにし、縦に四 つ切りにする ②赤じその混じった梅干しの残り汁1に対し、酢2を 加える。砂糖はお好みで(梅酢の漬け汁の完成) ③味噌大さじ3に対し、みりん大さじ1を混ぜ、のばす (味噌漬けの元の完成) ④梅酢に切った大根を入れ、軽い重石をし、3~4時 間すれば完成 ⑤のばした味噌漬けの元をビニール袋に入れ、そこ に切った大根を加える。半日くらい漬ければ食べら れる 8 飛騨の駄菓子 「甘々棒」 「甘々棒」にまつわるお話し 甘々棒は、飛騨地方の駄菓子としてお土産屋さんで見かけることが 多いですが、もともとは「子どもに栄養があり、少しでも甘いお菓子を食 べさせたい」という飛騨のお母さん達の思いから考え出されたものです。 砂糖を煮詰めて、きなこと混ぜて練ったものが甘々棒です。大豆から 作られる駄菓子として他には、「げんこつ」「こくせん」「まめいた」があり ますが、これらは砂糖の煮詰め具合によって作り分けられています。 飛騨のお母さんの知恵が詰まったおやつです。 大豆の栽培をすすめた金森長近 金森長近は戦国時代に飛騨国の領主で、城山に高山城を築きました。 そして、高山を住みよい豊かな町にするために農業を広めようと、大豆 の栽培をすすめました。大豆の栽培をした結果、土地が肥え作物が良 くできるようになりました。 金森長近は、1585年、現在の福井県大野市から飛騨にやってきま した。大野市には、昔から「けんけら」と呼ばれる「こくせん」によく似た お菓子がありました。この「けんけら」が飛騨に伝わり、「こくせん」という 名で親しまれるお菓子になりました。 飛騨の駄菓子 「甘々棒」 9 甘々棒の作り方 ●材 料(4~5人分) ・きなこ・・・・・・・・・150g+とり粉50g ・水あめ・・・・・・・・ 120g ・黒砂糖・・・・・・・・ 100g ・水・・・・・・・・・・・・・大さじ2~3 ●作り方 ① ボールにきなこを入れておく ② 鍋に湯をわかし( 鍋の半分くらい)、水あめを湯せ んにして柔らかくする ③ 鍋に黒砂糖と水を入れ、火にかけて煮溶かす ④ ③に水あめを入れて、沸騰させる (大きな泡が立ち、少しねばりが出てくるまで) <ここからの作業はスピードが大事です!!> ⑤ きなこの入ったボールに④を一気にいれ、手早く 木しゃもじでかき回す ⑥ 少し冷めたら手でたたきこむように良くこねる ⑦ だいたいまとまったら、きなこをふったまな板の上 でよく練る ⑧ すぐ冷めて固まるので、形を整え包丁で好みの長 さに切る ※切る際は、力を入れず2~3回押して引いてみると、断面が丸 くなります。 10