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米国住宅市場の調整が景気と REIT に与える影響
投資家の皆さまへ 2006 年 10 月 10 日 米国住宅市場の調整が景気と REIT に与える影響 大和証券投資信託委託株式会社 米国住宅市場の調整が景気と REIT に与える影響について、Q&A形式でまとめました ので、ご参照いただければ幸いです。 「住宅市場」とは? 米国の住宅市場は「一戸建て住宅の売買市場」を指します。家の売買ですから、何十万 ∼何百万ドル(数千万∼数億円)の単位です。「住宅価格が下落している」という記事を読 んだら、この値段が下落しているということを念頭に置いてください。販売件数は新築で 120 万戸、中古で 600 万戸前後です。 住宅市場調整の影響を受けるのは誰ですか? 大きく分けて、二つのグループが影響を受けます。一つはいわゆる宅地開発や建売住宅 の建設を積極的に行なっている住宅建設会社です。開発した宅地や建設した住宅が売れな ければ「不良在庫」になってしまいます。 もう一つは住宅価格の値上がりを担保にして銀行から借り入れを行なっていた消費者で す。米国では住宅は自ら住むだけではなく「投資物件」であり、住宅価格が上昇すると、 それを担保にして銀行から借り入れができます。この借り入れをもとに行なわれた消費は、 これまで米国経済のけん引役の一端を担っていました。 それでは、住宅関連の REIT の収益は何ですか? REIT の基本的な性格は「不動産の賃貸料を得る」ということになります。したがって、 住宅建設会社のように、宅地や住宅を転売して収益を得ることが主要業務ではありません。 REIT の収益はあくまでも賃貸料が得られるかどうかです。 住宅 REIT の賃貸料収入は「物件(部屋)ごとの家賃×入居率」です。家賃の値上げ、 もしくは入居率の上昇(空室率の低下)があれば、賃貸料収入の上昇につながります。 住宅市場の調整が REIT に影響を与える可能性はありますか? REIT の収益が悪化するとすれば、上記の式から(1)家賃が下がる(2)入居率が下が る(=空室率が上がる)のどちらか(もしくは両方)が起きたときになります。 ■当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的として大和証券投資信託委託株式会社によって作成されたものであり、勧誘を目的としたものではありま せん。投資に関する最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願い申し上げます。■当資料は、各種の信頼できると考えられる情報源から作成しており ますが、その正確性・完全性が保証されているものではありません。 ■当資料の中で記載されている内容、数値、図表、意見等は当資料作成時点のものであ り、将来の成果を示唆・保証するものではなく、また今後予告なく変更されることがあります。 このような状態はすなわち「景気後退」のときです。住宅市場の調整が直接 REIT の収益 に影響することはありません。 住宅市場の調整はすでに起こっているようですが、悪化する可能性はありますか? 住宅市場はここ数年非常に好調だったため、建築件数の減少や価格の下落はある程度予 想されていました。今後、予想以上の調整になる要因としては「家を買う余裕がなくなる ほど収入やその見込みが減る」または「住宅ローンをためらうような高金利になる」が考 えられます。 しかし米国では現在、雇用の拡大と所得の上昇がみられます。また、金融政策は引締め 基調でしたが、長期金利はそれほど上がらず最近は低下しています。ですから現状では住 宅市場や景気の大幅な調整の可能性は低いと思われます。 住宅市場の調整が景気に与える影響はどのように考えたらよいですか? 住宅建設の減少や販売価格の下落が起きているのは事実です。そして(1)住宅建設業 界や不動産業での売上減少と雇用の削減、(2)家電製品や家具の需要減少、 (3)値上が りした住宅価格を担保にした借り入れによる消費の減少、などが景気を鈍化させる要因と して懸念されています。 経済全体に対する影響は FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長も注視してい ます。10 月4日の講演では「住宅建設の減少は景気減速の主因の一つだ」と指摘しました。 一方で、「雇用や所得の底堅い伸び、まだ低い住宅ローン金利などが住宅市場を下支えす る」「住宅以外の部門は力強さを維持している」と述べています。 全体的にはインフレ懸念が後退して長期金利が安定しているため、経済の軟着陸と堅調 な企業業績が見込まれています。これらは最近の米国株式市場上昇の要因にもなっていま す。 【ご参考】 10 90 住宅市場指数と住宅ローン金利 80 % 住宅市場指数(左目盛) 9 70 8 60 50 7 40 住宅ローン金利(右目盛) 6 30 (出所)全米住宅建築業者協会(National Association of Home Builders)、FRB 20 5 91 94 97 00 03 06 以上 ■当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的として大和証券投資信託委託株式会社によって作成されたものであり、勧誘を目的としたものではありま せん。投資に関する最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願い申し上げます。■当資料は、各種の信頼できると考えられる情報源から作成しており ますが、その正確性・完全性が保証されているものではありません。 ■当資料の中で記載されている内容、数値、図表、意見等は当資料作成時点のものであ り、将来の成果を示唆・保証するものではなく、また今後予告なく変更されることがあります。