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キャピタランドグループと共同で シンガポール

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キャピタランドグループと共同で シンガポール
Special
三菱地所株式会社
キャピタランドグループと共同で
シンガポール・ラッフルズプレイスに
オフィスビル「Capita Green」を
開発
-- ビジネス中心地に立地する駐車場ビルを再開発 - 三菱地所株式会社は、 2011 年秋に三菱地所アジア社(2008 年シンガポールに設立した現地
法人)を通じて、キャピタランドおよびキャピタランドグループが運営する上場 REIT である「キャ
ピタコマーシャル・
トラスト」との共同事業として、シンガポールのラッフルズプレイスにおけるオフィ
スビル開発事業に参画した。
本事業はキャピタコマーシャル・トラストが保有し
なった。
ていた駐車場ビルを、地上約 40 階建ての大規模オ
フィスビルに建替えるというものであり、当社は、三
計画地周辺のラッフルズプレイスは、各国の都市
菱地所アジア社を通じ 、本事業の JV に約 55 億円
の Central Business District と同様 、大手企業や
を出資している ( 事業持分比率 10% 、総事業費は
金融機関 、法律事務所などが集積するビジネスの
約 920 億円 )。
中心地区である。中でも本計画地は、MRT( 地下
鉄 ) 南北線・東西線の2 路線が乗り入れる「 ラッフ
当社とキャピタランドグループが業務提携を開始
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ルズプレイス駅 」の至近であり、また今年度中に、
したのは 2000 年に遡る。これまで国内では麻布
計画地至近に MRT ダウンタウン線の新駅が開業
や六本木におけるサービスアパートメント開発や、
を予定しているなど、非常に高い交通利便性を有し
新宿の大規模複合型ビル開発、海外ではベトナム、
ている。また、本物件は、シンガポール中心部にお
シンガポールでの分譲マンション開発を共同で手が
いてオフィスビルの新規供給が少ないと見込まれて
けており、キャピタランドグループとの海外共同事
いる2014 年の竣工を予定しており、需給バランスか
業はこれで3 つ目となる。また、アジアにおけるオ
らみても、テナントの底堅い需要が期待できると考
フィスビル開発での参画は当社にとって初の試みと
えている。
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.13
三菱地所株式会社
キャピタランドグループと共同でシンガポール・ラッフルズプレイスにオフィスビル「Capita Green」を開発
再開発ビルの完成予想図
Capita Green
計画地
地図データ©2013Google
<プロジェクト概要>
所 在 地 :138MarketStreet,Singapore
交 通
:MRT(地下鉄)North-SouthLine/East-WestLineラッフルズプレイス駅至近
敷地面積
:5,478㎡
延床面積
:82,400㎡
基準階有効面積 :約 1,860㎡~ 2,320㎡(約 560 坪~ 700 坪)
建物規模
:地上 40 階建て/地上 245 m(予定)
着 工
:2012 年 2 月
竣 工 :2014 年第4・四半期(10-12 月)(予定) May-June 2013
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Special
Interview
荒畑 和彦氏
三菱地所株式会社 執行役員グローバル事業部長
(ARES マスター M0600020)
アジア事業の拡大
現在、海外事業の資産ベースでのポートフォリオ
は、欧米で 9 割強、アジアは着手して 3 年で 1 割
いがある。ベトナムで住宅事業を共同で行わない
かという誘いは同社から出たもの。
アジアは単独で簡単に参入できる市場ではない。
弱だ。この数字からもわかるように、米英が当社
そのためパートナーの存在が重要だ。アジアでは
の海外事業の基軸であり、それを継続・成長させ
“物件”
“投資できるスキーム”
“パートナー”の 3
つつ将来的にアジアの柱も育て、8 ~ 10 年後には
点が不可欠と考える。不動産はローカル産業であ
アジアの比率を更に高めていきたいと思っている。
るが、物件の見立てには当社のデベロッパーとして
2008 年にシンガポールに法人を設立し、アジア
の経験や知見が生かせる。国によっては直接投資
の市場調査を開始した。当時は中国を含めアジア
できない場合もあるので、スキームが重要になる。
全体を調査したが、一括りにアジアといっても国に
そしてパートナーについては、キャピタランドは規
より発展度合いがまったく違う。その度合いによっ
模・実績共にふさわしい相手であるが、彼らも当
て投資方法や投資対象のアセットタイプも異なって
社の哲学や街づくりのノウハウ、モノづくりへのこ
くる。例えば、シンガポールは、金融機関やプロ
だわり、グローバルに事業展開している実績など
フェッショナル系など賃料負担力の高いテナントの
を評価し、それらを通じてデザインやマネジメント
集積が日本より高く、オフィスビルなどを保有する
のスキルを得られる点に当社との提携のメリットを
ビジネスモデルが十分成り立つ。一方、ベトナムで
見出しているのではないか。
あれば、都市化が始まり都市部への人口流入が増
上海で現在手掛けている「嘉定プロジェクト」で
加し、住宅に対するニーズが高い。人口増を背景
は、先に挙げた 3 点が成り立っている。本プロジェ
とした中進国・発展途上国では、資金を短期で回
クトには中国で継続して事業を行い住宅分譲事業
収することを優先し分譲住宅が適していると結論
ノウハウのある丸紅が加わっている。現状では当
づけた。
社は中国での経験が浅く、学んでいる最中だ。将
パートナーの活用
アジアでの初の事業はベトナムで、2010 年にキャ
ピタランド社と GIC の関連会社と共に住宅開発事
業に参画している。アジア有数のデベロッパーで
あるキャピタランドとは、2001 年に都内で分譲マン
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ション事業を共同で行って以来 10 年以上の付き合
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.13
来的に主体となり事業を行うことを視野に入れてい
るが、それなりの時間と経験を積み重ねる必要が
あると考えている。
“SkyHabitat”の開発
現在シンガポールのビシャン地区で開発を進めて
三菱地所株式会社
キャピタランドグループと共同でシンガポール・ラッフルズプレイスにオフィスビル「Capita Green」を開発
いる“Sky Habitat”は国有地の 99 年リースを入札
パートナーと出会えるか、がカギとなる。常に物件
した案件。キャピタランドから声がかかり、共同で
の調査はしており、マレーシアやタイの企業など数
事業に参画した。キャピタランドは、特に大規模
社とは情報交換はしている。キャピタランド以外と
物件を得意とし、練った設計をして物件を仕上げ、
も組んで海外事業を行う可能性もある。だが、一
購買対象を絞って丁寧に売るという戦略をとってお
朝一夕には進まない。
り、モノづくりにこだわる当社の方針に合致してい
商業施設の可能性
ると感じている。
Sky Habitatの設計・施工は日本企業、
モデルルー
可能性はもちろんある。しかし中国やベトナムは
ムの一部は当社子会社が手掛け日本のテイストが
“区画を分譲して終わり”というケースが多く、そ
入っている。日本の技術や表現力に高い期待が寄
うした物件の管理は難しい。キャピタモールは中国
せられている証左といえる。
でも多くの商業施設を扱っており、彼らとは意見交
ラッフルズプレイスのオフィスビル
「CapitaGreen」開発
概要でも紹介しているが、キャピタランドグルー
プとキャピタランドが運用する REIT「キャピタコ
マーシャル・トラスト」との共同事業で開発に参加
換もしている。案件によっては共同事業の誘いもあ
るが当面の優先順位は低い。とはいえ、中国にお
ける大規模住宅開発には通常商業施設が付いてい
るので、手がける可能性はある。
現在の中国の住宅トレンド
する。もともとは、
“Market Street Car Park”と
中国では都市間の差が大きいが、上海の一部高
いうラッフルズプレイスの駐車場ビルで REIT の
級マンションではマネジメントの価値が評価されは
ポートフォリオの一つに組み込まれていた。シンガ
じめている。
“マネジメントについて学びたいので
ポール REIT は総資産の一定割合まで開発可能な
一緒に事業をしたい”という話を持ちかけられるこ
ため、オフィスビルに建て替えを行うこととなった。
ともある。普通のマンションでは管理費の徴収も難
事業持ち分比率は 10%。開発後はキャピタコマー
しいが、高級物件ではしっかりとした管理が求め
シャル・トラストが持分全てを取得する優先権を
られはじめている。通常、中国はスケルトンで販
持っている。
売するが、高級物件は内装付のものが増えてきて
東南アジア各国における
取り組み
いる傾向がある。
タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアは、
アジアの物件に
証券化活用は可能か
GDP 伸び率や人口動態などからも今後の成長がか
売却の相手先の 1 つとして REIT は有力だ。現
なり期待できる。一方、その国固有のカントリーリ
状ではアジアで開発・保有している物件はそう多く
スクやオペレーションリスクが異なるので、十分に
ないが、将来、日本の REIT が購入していただけ
調査を進めて判断をしていきたい。事業を行う際
るなら、売り手側としての選択肢が増えるので、と
には、繰り返しになるがパートナーが必要だ。良い
ても良いことだと思う。
May-June 2013
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