研究内容

急性・慢性放射線障害に対する肝再生医療の応用
研究代表者プロフィール
浅原 利正
Toshimasa
imasa Asahara (M.D.,P
(M.D.,Ph.D.)
広島大学大学院医歯薬学総合研究科
大学院医歯薬学総合
Toshimasa Asahara
26
1971
に勤務後,198
985
学院教授(
進功労）．
1984
1999年から教授，
年から
2002年大
)．2000年広島
広島医学会賞受賞，2001年厚生労働大臣感謝状（臓器不全対策推
生労働大臣感
肝臓は生体内で優れた再生能を持つことから，
その再生現象を利用した臨床例として生体部分肝
移植としてすでに多くの肝疾患に対して実施され
ている。生体部分肝移植はこれまで世界で約５
000例，日本で2500例以上が実施されており，わ
が国で発展し，世界に普及した再生医学の臨床応
用例としての極めて優れた医療である。肝臓が優
れた再生能を有するがゆえに移植された部分肝は
再生し，短期間でその個体にふさわしいサイズに
肥大する。一方，一部を切除した提供者の肝臓も
速やかにもとのサイズに肥大する。この優れた医
療にも健常な提供者にメスを加えるという倫理的
な問題がある。これを克服するには体外での肝再
生を実現しなくてはならない。
私どもはラットで成功した方法を応用し，ヒト
肝細胞のin vitro増殖培養に成功した。その要点は
ヒト血清の添加，非実質細胞との共培養などであ
る。このin vitro増殖培養ヒト肝細胞を用いて，侵
襲の少ない治療としての肝細胞移植を放射線性急
性・慢性肝疾患に応用することを研究課題とする。
被爆により発症した肝障害はゲノム障害に起因
しており，新たに障害のない細胞を移植すること
で治療可能である。移植された肝細胞が生体内で
機能維持，再生することで治療が完成する。安全
な肝細胞採取やin vitroでの肝細胞の効率的な増殖
培養を達成し，臨床応用することを目指す。
まずラットの急性肝不全モデルを作成し，この
モデルに採取した新鮮肝細胞を経脾的に移植し，
救命効果を指標として評価する。さらにin vitro培
養増殖させた肝細胞を用いて，その救命効果を新
鮮肝細胞と比較する。移植する肝細胞の数，種類，
移植時期，免疫学的問題などについて検討し，効
率的な肝細胞移植法の開発，臨床応用に繋げる。
さらに同種肝細胞移植における免疫学的問題の検
討を行い，同種移植の完成を目指す。これらの検
討を十分行った後，ヒト肝細胞移植を倫理委員会
の許可を得た上で，実施する。
The application of liver regenerative medical
techniques to treat acute and chronic hepatic radiation
damage
The liver has an excellent ability to regenerate in vivo
and is the only organ clinically used in live donor liver
transplantations. However, this excellent technique has
an ethical problem of putting a scalpel into a healthy
donor. In order to overcome this problem, the
actualization of in vitro liver regeneration is necessary.
Liver damage caused by radiation is attributed to
genomic mutations and can be treated by transplanting
new healthy hepatocytes into the body.
We
successfully applied an in vitro rat hepatocyte growth
technique that was also successful for in vitro human
hepatocyte growth. The purpose of this research is to
apply allografts using human hepatocytes grown in
vitro to treat radiation-induced acute and chronic
hepatic diseases.
Our experimental model consists of several steps . We
will create acute hepatic failure rats as a model, graft
hepatocytes to the rats via the spleen, and evaluate the
transplants using rat survival rates as indices. Then,
we will evaluate the immunological problems
associated with allografting hepatocytes in an effort to
perfect the allografting procedure. After adequate
investigation, human hepatocyte allografts will be
performed upon the approval of an ethics committee.
E-mail : [email protected]
Radiation
Radiatio
on Casua
Casualty
研究分担者：吉里勝利（広島大学大学院理学研究科・教授）
研究協力者：田中友加，周 聞笛（以上 大学院生
COE RA）
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