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新興国市場をめぐる冒険の旅 - フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ

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新興国市場をめぐる冒険の旅 - フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ
MOBIUS BLOG
新興国市場をめぐる冒険の旅
マーク・モビアス著
投資の適正時期とは(2013/06/19)
私は世界各国の投資セミナーなどでお話する機会を多くいただきますが、併せて投資家の皆様から色々な質
問をいただきます。その内容は、ある特定の市場の見通しから高度に洗練された投資理論まで様々です。テン
プルトンの創始者である故ジョン・テンプルトン卿の晩年のことですが、私はカナダで開催されたある講演会に
同行しました。その講演会で若い女性が一見単純に聞こえるものの、普遍的な質問をしました。それは、「私は
祖父から遺産を相続したのですが、いつ投資するのがベストでしょうか?」といった質問でした。壇上のテンプ
ルトン卿は少し間をおいてから実に明快に回答しました。「お嬢さん、それはあなたがお金を手にしたときです
よ」と。聴衆からは少し笑いが漏れました。私は彼の返答に納得しましたが、彼の回答について深いレベルで真
に意味するところに興味を持ち、調査してみました。
過去の市場動向を検証した結果、新興国株式市場には 2 つの重要なトレンドがあることがわかりました。それ
は、歴史的に見て強気相場における市場の上昇率は弱気相場での下落率を上回っていることと、強気相場の
期間は弱気相場よりも長いということです。もし、あなたがドルコスト平均法(長期にわたり毎月または毎四半期
決まった金額を投資し続けること)で投資しているならば、長期的に見れば、あなたは弱気相場よりも長い期間、
強気相場の中にいたことになります。1 そして、過去の運用実績は将来の運用成果等を保証するものではあり
ませんが、歴史を振り返ってみると、投資資金の運用実績は弱気相場での下落率より強気相場での上昇率の
方が大きいことを示しています。さらに、弱気相場の期間にも毎月決まった額で投資するこのドルコスト平均法
で投資を続けた場合、同じ金額でより多くの株式を購入することができることになります。
長期的な見方の重要性
弱気相場の下での投資は言うほど簡単ではありません。弱気相場の時期に投資することは心理的に容易では
ないことは私自身も認めるところです。足元の悪いニュースに目を向けるのではなく将来の市場回復の可能性
に目を向ける必要があると考えます。もし、あなたの友人や周りの人すべてが株式投資を諦めた時、あなたも
同じように株式投資をやめることは簡単なことです。このようにほかの人と同じ行動をとろうとすることを行動経
済学の分野では「ハーディング現象」と呼びます。
新聞で市場環境がいかに悲惨であるか、そしてその状況が今後さらにどれだけ悪化するかなどの報道が繰り
返されると、「ウィップソウ」(短期間で相場のトレンド転換が繰り返し起こること)による影響を受け、売買のタイ
ミングを誤ることがあります。このことは 2008 年後半から 2009 年初頭に米国のサブプライム問題が嫌気され、
株式市場で多くの投資家が相場の底値近辺でパニック売りに走ったことでもおわかりいただけるでしょう。そし
1
ドルコスト平均法は利益を保証するものでもリスクを排除するものでもありません。また、市場の下落局面や安値水準で投資家
が売却した際の損失を防ぐものでもありません。この投資法を採用する前に、株価の低迷期や景気変動期にも継続して投資可
能かどうかを考慮する必要があります。
巻末の「ご注意点」を必ずご覧下さい。
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て、株式市場が 50%以上上昇した後に投資家はボートに乗り遅れたことに気づき、再び市場に戻ることを決意
したのです。しかも相場の天井で。
もしあなたがこうした行動パターンをとるならば、お金を失うことは目に見えているでしょう。
長期的な見通しを持たない場合、あなたは弱気相場で投資を続ける覚悟はできないしょうし、将来の強気相場
を待つこともできない可能性があります。
分散投資
もし、あなたが投資資金を得て、長期的な見通しを持ち、そして相場のタイミングを気にしない投資家だとしたら、
どこにどのように投資しますか?この答えも簡単です。分散投資です。投資家の中には一つの企業への投資
から多額の利益を得た人がいるといった話を聞いたことがあると思います。しかし、こうした例は稀なのです。
「全てのたまごを一つのバスケットに入れたなら(全財産を一つの株式に投資したなら)、あなたは常に注意を
払わなければなりません。」―私はこの格言を思い起こしました。ほとんどの人は企業の動きを常に追いかけ
るだけの時間も能力も持ち合わせていないと思います。プロの投資家でさえも実際に経営に参加していない限
り、想定外の出来事によって投資が失敗に終わる可能性があることを認識しています。分散投資を行うことに
よって利益獲得や損失回避が保証されるわけではありませんが、市場変動による影響を軽減することに役立
つ可能性があると考えます。
分散投資する上で重要なことは、個別企業の分散だけでなく、投資対象の業種や国の分散を図ることであると
考えます。プロの運用者が運用する運用戦略が世界的に人気である理由の一つは、個人投資家にとって分散
投資が可能となり、個人では適切な企業調査や直接投資できない多様な銘柄に投資できる点であると考えま
す。残念なことに、多くの個人投資家のポートフォリオは、自国市場である 1 ヵ国に限定されていることが多く、
このことは大きな間違いと言ってもよく、彼らは世界中の投資機会を見逃していると考えます。また、そのような
世界中の投資機会を見出すことが私や私のチームの仕事なのです。
我々は 1988 年から 2012 年までの 25 年間における世界 72 の株式市場を調査しました。その調査結果による
と、この間 2 年連続騰落率 1 位となった市場は一つもありませんでした。2 過去 25 年間で年間の騰落率が 4
度1位となった市場が一つだけありました。それはトルコでした。そして同期間に年間の騰落率が 2 度1位となっ
た市場はロシアとアルゼンチンだけでした。
トルコ(4 度: 2012 年、1999 年、 1997 年、 1989 年)
ロシア(2 度: 2001 年、1996 年)
アルゼンチン(2 度: 2010 年、1991 年)
残りの 69 ヵ国のうち、17 ヵ国は、以下の表に示すように年間上昇率が 1 位となった年が 1 度だけありました。
その他の 52 ヵ国では 1 度もありませんでした。面白いことに、中国と米国は以下のリストにありません。このこ
2
出所: MSCI Indexes. MSCI データは全て原データにて提供されています。上記データは、MSCI が何ら保証するものではなく、
いかなる場合にも、ここに掲載されている MSCI データに関連する責任を負うことはありません。MSCI のデータを他の指標、有
価証券、金融商品へ複写・転載することは固く禁じられています。このレポートは MSCI によって承認、論評、作成されたもので
はありません。運用実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。上記のインデックスは実際
に運用されているものではなく、インデックスへ直接投資することはできません。
巻末の「ご注意点」を必ずご覧下さい。
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とは投資を成功させるためにもう一つ忘れてはならないことを思い起こさせます。それは、皆と同じことをしない
ということです。もし、皆が投資しているからという理由で投資するならば、それは正しい投資先ではない可能
性があります。あまり注目されていないところへの投資が成功のカギになるでしょう。そして適切な投資時期に
ついては、全ての時期がそうなり得ると考えます。
市場
年間上昇率が1位となった回数
トルコ
4
ロシア
2
アルゼンチン
2
ブラジル
1
コロンビア
1
クロアチア
1
エジプト
1
ギリシャ
1
インドネシア
1
イスラエル
1
ヨルダン
1
ケニア
1
モーリシャス
1
パキスタン
1
ポーランド
1
韓国
1
スリランカ
1
スイス
1
トリニダード・トバゴ
1
チュニジア
1
出所:フランクリン テンプルトン インベストメンツ、MSCI インデックス
MSCI インデックスは各市場のインデックス(米ドルベース、配当込み)を使用しています。
巻末の「ご注意点」を必ずご覧下さい。
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ご注意点
●当資料は、フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ株式会社がマーク・モビアス博士のブログを抜粋・
翻訳したものです。オリジナルの英語版につきましては http://mobius.blog.franklintempleton.com/をご覧
下さい。
●当資料は、マーク・モビアス博士の意見や分析を抜粋・翻訳したものであり、情報提供のみを目的として
作成されたものです。当資料に記載されている内容は、英語版原文の投稿時点のものであり、市場や経
済環境の変動により予告なく変更されることがあります。当資料に記載されている意見等はいかに証券
等を分析しているかについての説明を目的としており、投資助言や特定の証券、戦略、もしくは投資商品
の推奨を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いい
たします。
●すべての投資はリスクを伴い、投資元本を割り込むことがあります。特に外国証券への投資は、為替変
動、経済や政治情勢の変化などの影響を受けます。新興国市場への投資に当たっては、同様のリスクが
高まるとともに、市場規模が小さいこと、流動性に乏しいこと、証券市場を支える法的、政治的、商慣行
的、社会的な枠組みが十分ではないことなどのリスクを伴います。こうした投資においては年ごとに大き
な値動きを伴う可能性があります。株式等の有価証券の価格は、個別企業、特定の業種、全般的な市場
環境に影響を与える様々な要因により、急激に変動することがあります。
●当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性、完全性を保
証するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料に関する一切の権利は引用部分を除き当社に帰属し、いかなる目的であれ、当資料の無断複
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