...

陰茎海綿体の解剖と勃起のメカニズム

by user

on
Category: Documents
63

views

Report

Comments

Transcript

陰茎海綿体の解剖と勃起のメカニズム
J-1
特別講演
陰茎海綿体の解剖 と勃起の メカニズ ム
東邦大学 医学部泌尿器 科学講座
永
尾
光
一
ヒ トの 陰茎 は,尿 道 海 綿 体 と一 対 の陰 茎 海 綿 体 か らな る.陰 茎 海 綿 体 は陰 茎 の背 側 に2本
あ
り中 央 で 交通 性 が あ る.陰 茎 海 綿 体 は勃 起 に関 す る組 織 で あ り,硬 い 白膜 に覆 わ れ 血 液 を充 満
させ る こ とで 陰 茎 硬 度 を増 す.陰 茎 海 綿 体 内 に血 液 を 運 ぶ 動 脈 は,内 陰部 動 脈 の分 枝 の海 綿 体
動 脈 で あ り,入 っ た 血 液 は,非 勃 起 時 に は毛 細 血 管 網 か ら白膜 下 静 脈 叢 を流 れ た の ち,後 海 綿
体 小 静 脈 よ り貫 通 静 脈 へ 流 出 す るが,勃 起 時 に は らせ ん 動 脈 よ り陰 茎 海 綿体 洞 に入 り血 液 が 充
満 す る.一 部 後 海 綿 体 小 静 脈 よ り貫 通 静 脈 へ 流 出 す るが,貫 通 静 脈 は伸 展 され た陰 茎 海 綿 体 白
膜 に絞 扼 され 血 液 の流 出 が 抑 制 され る.こ の メ カ ニ ズ ム を静 脈 閉 鎖 機 能 とい う.末 梢 神 経 の 体
性 神 経 で あ る陰 部 神 経 は陰 茎 背 神 経 を介 し て陰 茎 の 知 覚 を仙 髄 や上 位 中 枢 に伝 え,ま た,坐 骨
海 綿 体 筋 や 球 海 綿 体 筋 を支 配 し球 海 綿 体 筋 反 射 な どで 海 綿 体 内圧 を上 昇 させ る.副 交 感 神 経 で
あ る骨 盤 神 経 は仙 髄 か ら出 て 骨 盤 神 経 叢 に入 り海 綿 体 神 経 に な る.ま た,交 感 神 経 は,胸 腰 髄
か ら出 て腰 内 臓 神 経 や 上 下 腹 神 経 叢 を経 て 下 腹 神 経 とな り これ も骨 盤 神 経 叢 に入 り海 綿 体 神
経 を構 成 す る.骨 盤 神 経 は勃 起 に促 進 的 に働 き,下 腹 神 経 は抑 制 的 に働 き,射 精 に も関 与 す る.
さ らに,海 綿 体 神 経 に,NANC(非
ア ドレ ナ リ ン非 コ リ ン作 動 性)神 経 が 含 ま れ勃 起 の 発 現 に
中 心 的 に働 く.そ の神 経 終 末 で 一 酸 化 窒 素(NO)が
合 成 され,NOは
お よ び平 滑 筋 に浸 透 しグ ア ニ ー ル酸 シ ク ラ ー ゼ を刺 激 し,GTPか
cGMPはcGMP特
る.そ
らcGMPを
せ ん動 脈
産 生 す る.こ の
異 的 プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ に結 合 し,細 胞 内 の カ ル シ ウム 濃 度 を 低 下 させ
して 海 綿 体 動 脈 ・らせ ん動 脈 と海 綿 体 小 柱 の 平 滑 筋 が 弛 緩 し動 脈 血 が ス ポ ン ジ状 の海 綿
体 洞 に 流 入 し充 満 す る.そ の他 のNO合
管 や 内皮 細 胞 表 面 のM3受
cGMPを
海 綿 体 動 脈,ら
成 は,副 交感 神 経 か ら放 出 され た ア セ チ ル コ リンが 血
容 体 に結 合 し行 わ れ る.勃 起 の 消 退 系 と して は,交 感 神 経 系 の 他 に,
不 活 化 させ るホ ス ポ ジエ ス テ ラ ー ゼ(PDE)が
上あ る.陰 茎 海 綿 体 で はPDE5が
床 の場 で 活 躍 して い る.
あ り,そ の ア イ ソザ イ ム は11種 類 以
最 も優 位 で あ り,こ れ を阻 害 す る薬 剤 が 勃 起 治療 薬 と して臨
J-2
S1-1.
Regulation
of Cyclic Nucleotides
Section of Urology, Yale University
Marcia
in the Urinary
Tract
School of Medicine New Haven, CT
A. Wheeler
Cyclic nucleotide levels are controlled through their synthesis from nucleotide triphosphates
and their degradation
cyclic AMP-induced
to 5'-monophosphates
relaxation
by phosphodiesterases
Components controlling
in the urinary tract include receptors, inhibitory
proteins, isoforms of adenylyl cyclase and PDEs.
by calmodulin and by cyclic GMP.
Cyclic GMP regulates
(PDEs).
by cyclases
and stimulatory
G-
Hydrolysis of cyclic AMP by PDEs can be regulated
a number of functions, including relaxation
within the urinary tract. In the
bladder, three isoforms of nitric oxide synthase can activate soluble guanylyl cyclase. Furthermore,
natriuretic peptides can activate at least two particulate guanylyl cyclases. Soluble and particulate
guanylyl cyclase activity has been detected in the ureter and urethra. In the urethra, changes in cyclic
GMP levels via nitric oxide synthase and soluble guanylyl cyclase are responsible for non-adrenergic,
non-cholinergic relaxation.
Members of the eleven member PDE family that have been identified in the bladder
which is CaM-calmodulin
stimulated
include PDE1,
dependent and hydrolyzes both cyclic AMP and cyclic GMP, PDE2, which is
by cyclic GMP and hydrolyzes both cyclic AMP and cyclic GMP, PDE3 which is inhibited by
cyclic GMP and preferentially hydrolyzes cyclic AMP, PDE4, which is cyclic AMP specific and PDE5A1,
2 and 3 which are the inhibited by sildinifil and are cyclic GMP specific. In porcine bladder, vinpocetine,
a PDE1 inhibitor that inhibits both cyclic AMP and cyclic GMP hydrolysis, causes relaxation.
of PDE3 (milrinone),
PDE4 (rolipram)
and PDE1, 5 and 9 (zaprinast)
Inhibitors
have little effect on relaxation,
however in rabbit detrusor, the PDE5 inhibitor, sildenafil, increases relaxation.
In the ureter, PDE1, 2, 4, 5 and a cyclic AMP PDE that is insensitive to inhibition by xanthines and
papaverine (PDE7 or 8) have been identified. In the rabbit ureter, rolipram induces relaxation without
biologically significant side effects and may be of benefit for treatment of renal or ureteral colic or for
the facilitation of ureteral stone passage.
RNA transcripts for PDE1, 2, 4, 5, 7, 8, 9, 10 and 11A have been identified in the prostate.
PDE11A
hydrolyzes both cyclic AMP and cyclic GMP and has a limited tissue distribution, primarily in prostate
and skeletal muscle. Tension induced by adrenergic agonists in human prostatic tissue is partially
reversed by inhibitors of PDE4 and 5. Inhibitors of PDE1 and 2 are less potent. Inhibitors of PDE4 and
5 may be of use for treating urinary obstruction
secondary to benign prostatic hyperplasia.
In the urethra, little has been done to characterize
Additionally, zaprinast
ized female rats.
Current information
potentiates
reflex-evoked
PDE isoforms. PDE5A1, 2, and 3 have been identified.
changes in bladder and urethral pressures in anesthet-
of the role of PDE isoenzymes in the urinary tract, while limited and fragmentary,
indicates that PDEs are key components of cyclic nucleotide signaling pathways.
The large number of
components in the signaling pathways offers the possibility of determining cell specific inhibitors. Information on the molecular organization, regulation and biological function of PDEs may produce novel
therapeutics.
J-3
S1-2.
平 滑 筋 に お け るPDEと
日本 獣 医畜 産 大 学
金田
獣 医 薬理 学 教 室
剛治
細 胞 内 の サ イ ク リ ッ クAMPお
ラ ー ゼ(PDE)は
PDE2は
その阻害剤
現 在11の
副 腎 に,PDE3は
平 滑 筋 な ど に,PDE5は
よ び サ イ ク リ ッ クGMPの
制 御 に重 要 な 役 割 を示 す ホ ス ポ ジ エ ス テ
フ ァ ミ リー に 分 類 され て い る.PDE1は
血 小 板,心 臓,脂
肪 細 胞 な ど に,PDE4は
肺,血 小 板,平 滑 筋 な ど に,PDE6は
特 に 中 枢 系,心
腎 臓,生
臓,腎
殖 腺,心
臓 な ど に,
筋,肝臓,気
道
網 膜 視 細 胞 に高 い 活 性 を 示 し,PDE7か
ら11は い くつ か の 組 織 に お い て,遺 伝 子 や 蛋 白 の発 現 が 確 認 さ れ て い る.
この うち,PDE1か
ら5型 に は そ れ ぞ れ 選 択 的 な 阻 害 剤 が 存 在 す る.平 滑 筋 に お い て こ れ ら の 阻 害 剤 に
よ る弛 緩 の効 力 に は臓 器 差 が あ る こ とが 示 さ れ て き た.血
気 管 平 滑 筋 で はPDE3お
よび4型
が,膀
型 が 強 い 効 力 を 示 す こ とが 報 告 され て き た.し
り,こ れ ら のPDE阻
管 平 滑 筋 で はPDE3型
胱 平 滑 筋 で はPDE1お
よ び5型
が,陰
が 最 も 強 い効 力 を,
茎 海 綿 体 平 滑 筋 で は5
か し,消 化 管 平 滑 筋 で は 収 縮 刺 激 条 件 の 違 い な ど も あ
害 剤 の効 力 の 差 異 を明 らか に し た 報 告 は少 な い.我 々 は これ ま で に モ ル モ ッ ト回
腸 お よ び 盲 腸 紐 の 収 縮 に対 す るPDE1-5阻
型)>Ro20-1724(4型)>ミ
害 剤 の 収 縮 抑 制 効 力 を 比 較 し,回 腸 で は ザ プ リ ナ ス ト(5
ル リノ ン(3型)の
順 に 強 く,盲 腸 紐 で は ザ プ リナ ス ト>ヴ ィ ンポ セ チ ン
(1型)>EHNA(2型)>Ro20-1724>ミ
ル リノ ン の 順 に 強 く,さ ら に各 阻 害 剤 の 弛 緩 と関 連 す る 環 状
ヌ ク レ オ チ ドに つ い て 報 告 し て き た.今 回 さ ら に モ ル モ ッ ト胆 嚢 に お け るPDE1-5阻
害剤 の収縮 抑制
効 力 と各 阻 害 剤 の 弛 緩 と関 連 す る環 状 ヌ ク レ オ チ ド を 明 ら か に した.こ
を制 御 す るPDEフ
また,我
々 は平 滑 筋 弛 緩 薬 の 原 型 で あ る非 選 択 的PDE阻
で は,主 にcAMPあ
る い はcGMPを
る い はcGMPと
S1-3.
PDE阻
害 剤 のパ パベ リ ンに よる弛緩 機構 は大 動脈
介 す るが,し か し膀 胱,回 腸 あ る い は子 宮 平 滑 筋 で は 主 に ミ トコ
ン ド リア の 呼 吸 抑 制 に よ る こ と を報 告 し て き た.今
とcAMPあ
れ ら よ り,消 化 管 平 滑 筋 収 縮
ァ ミ リー の 関 与 を 検 討 し,他 臓 器 で 報 告 され て き た 成 績 と比 較 す る.
回 は こ れ ら の成 績 を も と に,各 臓 器 に お け る 弛 緩
の 関連 性 を示 す.
害 薬 と循 環 器 用 薬 剤
北海 道 大 学大 学 院 医学 研 究科 循 環 病 態 内科
佐久 間一郎
PDEは
サ ブ タ イ プ に分 か れ るが,そ
の い くつ か の 選 択 的 阻 害 薬 は循 環 器 用 剤 や 勃 起 障 害(ED)改
善
薬 と して 臨 床 応 用 さ れ て い る.た と え ば,シ ロ ス タ ゾ ー ル(プ レ タ ー ル(R))は 血 管 平 滑 筋 や 血 小 板 で
cAMPを
上 昇 さ せ,閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 治 療 薬 と し て 用 い ら れ るが,心 臓 で も弱 いcAMP増
加 作 用が あ
り,洞 性 除 脈 の 治 療 に利 用 され る こ とが あ る.キ サ ン チ ン誘 導 体 は 気 管 支 平 滑 筋 や 心 臓 でcAMPを
増
加 させ,気 管 支 拡 張 薬 や 強 心 薬 と し て使 用 され る.一 方,cGMPを
増 加 させ るPDE阻
害薬 として はジ
ピ リ ダ モ ー ル(ペ ル サ ン チ ン(R))が あ り,そ の ア デ ノ シ ンre-uptake阻
害 作 用 に よ るcAMP増
加作用
とあ い ま ち,血 小 板 凝 集 抑 制 作 用 や 血 管 拡 張 作 用 が 惹 起 さ れ る.シ ル デ ナ フ ィル(バ
イ ア グ ラ(R))は
PDE5型
の選 択 的 阻 害 薬 で あ り,陰 茎 海 綿 体 平 滑 筋 で 神 経 終 末 お よ び血 管 内 皮 細 胞 由 来 のNOに
cGMPの
増 加 を遷 延 さ せ る こ と に よ り,勃 起 が 増 強 す る.
しか る に,5型PDEは
す る.た
血 管 平 滑 筋 に も存 在 す る の で,シ ル デ ナ フ ィル はNOを
と え ば,血 管 内 皮 由 来 のNOを
よる
介 す る血 管 弛 緩 も増 強
増 加 す る こ と に よ り,血 圧 低 下 や 頭 痛,鼻
閉 といった 副作 用
が 惹 起 さ れ る.さ ら に,硝 酸 薬 は血 管 平 滑 筋 でNOを
放 出 し て 血 管 を 拡 張 す る.従 っ て,シ ル デ ナ フ ィ
ル と硝 酸 薬 が 併 用 さ れ る と,NOを
介 した 血 管 拡 張 作 用 が 増 強 され,著 明 な血 圧 低 下 が 起 こ る場 合 が あ
る.そ
の 際,健
減 少 し,心
い る.
常 者 で は冠 血 流 は一 定 に保 た れ る が,冠
筋 虚 血 を誘 発 す る危 険 が あ る.従
硝 酸 薬 以 外 に もNOを
動 脈 狭 窄 が 存 在 す る狭 心 症 患 者 で は 冠 灌 流 が
っ て,硝 酸 薬 等 と シ ル デ ナ フ ィル の 併 用 は禁 忌 と され て
放 出 す る 薬 剤 が あ り,Kチ
ャ ネ ル 開 口薬 の ニ コ ラ ン ジ ル(シ グ マ ー ト(R))やβ 遮
断 薬 の ニ プ ラ ジ ロ ー ル(ハ イ パ ジ ー ル コ ー ワ(R))が臨 床 応 用 さ れ て い る.わ
れ わ れ は,実 際 に こ れ ら 血
管 拡 張 薬 が シル デ ナ フ ィ ル と相 互 作 用 を有 し,血 管 拡 張 作 用 の 増 強 が 認 め られ る こ とを 報 告 し た.従 っ
て,こ れ ら の薬 剤 は シ ル デ ナ フ ィ ル との 併 用 は禁 忌 と な る.一 方,Caチ
ャ ネ ル 拮 抗 薬 や β2刺 激 薬 と シ
ル デ ナ フ ィ ル の 間 に は 相 互 作 用 は認 め られ ず,こ れ らは 安 全 に併 用 す る こ とが で き る .
J-4
S1-4.
PDE阻
害 薬 の 臨 床 応 用
昭和 大 学横 浜 市 北部 病 院
泌尿 器 科
佐々 木春 明
泌 尿 器 科 に お け るPDE阻
全 世 界 でEDの
害 薬 の 臨 床 応 用 は,勃
Vardenafil,Tadalafilの3種
ら,本
類 が 既 に 使 用 さ れ て い る が,本
邦 で も1999年3月
医 が 経 験 し たED治
にSildenafilが
療 と し て のPDE5阻
認 可 さ れ,5年
ボ60例,
50mg58例,
あ っ た が,投
100mg65例)で,挿
与 後 は プ ラ セ ボ 群2.17,
ラ 群 で 有 意 な 改 善 を 示 し,ま
プ ラ セ ボ 群1.72,
25mg2.97,
性 評 価 は245例(プ
ラ セ ボ62例,
(プ ラ セ ボ2例,
50mg10例,
25mg3例,
全 性 が 高 い こ と(3)使
100mg6例),視
な ど で あ っ た.そ
ら に,ア
25mg60例,
index
25mg3.52,
100mg3.60と
覚 異 常6.0%(プ
of erectile
function:
ラセ
IIEF)ス
100mg3.80と
あ っ た 投 与 前 のIIEFス
バ イ アグ
コ ア が,投
バ イ ア グ ラ 群 で 有 意 に 改 善 し た.一
100mg65例)で
100mg10例),頭
行 わ れ,ほ
痛10.9%(プ
ラ セ ボ0例,
の 後 も 国 内 外 でSildenafilの
い やす い こ
必 要 時 頓 用 の経
内 の 臨 床 試 験 は243例(プ
50mg3.83,
50mg58例,
50mg12例,
か しなが
間で われわ れ泌尿 器科
入 の頻 度 お よ び 勃 起 の 維 持 に 関 し て 評 価
た 勃 起 の 維 持 に 関 し て も1.30で
50mg3.53,
み で あ る.し
の5年
が 挙 げ ら れ る.Sildenafilは
入 の 頻 度 は 投 与 前 の 国 際 勃 起 機 能 検 査(international
コ ア は1.65で
療 薬 で あ り,
害 薬 はSildenafil,
つ い て 概 説 す る.
い や す い 最 も 理 想 的 な 投 与 経 路 の ひ と つ で あ る.国
25mg60例,
し た.挿
ED)治
邦 で はSildenafilの
効 性 が 高 い こ と(2)安
者 お よ び パ ー トナ ー の 満 足 度 が 高 い こ と の4つ
口 投 与 で あ り,使
dysfunction:
外 国 で はPDE5阻
が 経 過 し た.こ
害 薬(Sildenafil)に
理 想 的 な 治 療 薬 と し て の 条 件 は,(1)有
と(4)患
起 障 害(erectile
第 一選 択 治 療 法 と し て 不 動 の 地 位 を 確 保 し た.諸
50mg2例,
全
て り13.7%
ラ セ ボ2例,
25mg0例,
与 後 は
方,安
25mg4例,
100mg9例)
高 い 有 効 性 と 安 全 性 に 関 し て 数 多 く報 告 さ れ て い る.さ
ン ケ ー ト調 査 に よ る とSildenafilの
満 足 度 は 本 人 の み な ら ず パ ー ト ナ ー で も60.8%と
高 い評
価 が 得 ら れ て い る3).
以 上 か ら,PDE5阻
1)
白 井 将 文,塚
害 薬(Sildenafil)は
本 泰 司,佐
藤 嘉 一,他:勃
セ ボ 対 照 比 較 試 験 成 績,西
2)
Rosen,
RC,
assessment
3)
et al.: The
of erectile
佐 々 木 春 明,他:勃
理 想 的 なED治
療 薬 で あ る.
起 不 全 に対 す る 経 口 治 療 薬 シ ル デ ナ フ ィ ル の 無 作 為 化 二 重 盲 検 プ ラ
日 泌 尿,62,373-382,2000.
international
dysfunction.
index
of erectile function
Urology,
起 障 害 の 治 療 チ ャ ー ト,治
49:
(IIEF):
822-830,1997.
療,84(11),2719-2724,2002.
A
multidimensional
scale for
J-5
S2-1.
心 臓 洞 房 結 節 細 胞 の 自動 運 動
奈 良 医大 薬 理
佐藤
広康
単 一 洞 房 結 節 細 胞 は 自発 性 興 奮 を 示 す.そ の 活 動 電 位 は 特 異 的 形 状 を著 わ し,自 動 能 機 序 は 第4相
の 緩 徐 脱 分 極(ペ ー ス メ ー カ ー)電 位 に起 因 す る.ペ ー ス メ ー カ ー 電 位 に 関 与 す る イ オ ンチ ャ ネ ル は
単 独 で は な く数 種 の イ オ ン チ ャ ネ ル 電 流 が 相 互 に 複 雑 に 関 わ っ て い る.L型Ca2+チ
ャネ ル(ICaL),
K+チ ャ ネ ル の コ ン ダ ク タ ンス の 減 少(GK),持
続 性 内 向 き 電 流(ISt),遅 延 整 流 性K+電
流(IK),過
分
極 活 性化 内 向 き電 流(If),T型Ca2+チ
ャ ネ ル(ICaT),Na+/Ca2+交
換 電 流(INa/Ca),ATP感
電 流(IKATP)な
どが 挙 げ られ る.こ れ らの イ オ ン チ ャ ネ ル は 自律 神 経 の 相 反 支 配 を う け,さ
に機 能 し て い る.
受 性K+
ら に複 雑
哺 乳 動 物 間 で の 洞 房 結 節 細 胞 の活 動 電 位 形 状 に は大 差 は な く,最 大 拡 張 期 電 位(-60mV)やTTX
感 受 性 な ど共 通 点 は 多 い.し
か し,洞 調 律 と活 動 電 位 持 続 時 間 に は種 差 が あ る.洞 調 律 の 差 異 は最 も
著 明 で,体 の大 き さ(体 重)に 依 存 す る と言 わ れ て い る.我 々 の 研 究 か ら,ペ ー ス メ ー カ ー 電 位 に 貢
献 す る イ オ ン チ ャ ネ ル 電 流 に 動 物 種 間 で 差 異 が あ る こ とが 判 明 した.ラ ッ トで は過 分 極 パ ル ス に よ っ
て 出現 す る著 明 な 内 向 き 整 流 電 流(IK1)に
よ っ て,If電 流 発 現 が マ ス ク さ れ 弱 い 活 性 化 し な い こ とが
判 明 した.著
明 なIf電 流 を も つ ウサ ギ,モ
ル モ ッ ト と は,全
く異 な る.最 近 の サ ル の 研 究 で は,ラ
ッ
ト と類 似 し た イ オ ンチ ャ ネ ル の 発 現 が 観 られ,ヒ ト との 関 連 性 の 発 見 に大 き な第 一 歩 とな っ た.ま た,
IK電 流 は3種 の 電 流 成 分 か ら構 成 され て い る.多 くの 哺 乳 動 物 の 洞 房 結 節 細 胞 の 自 動 能 は早 期 活 性 化
電 流(IKr)に 依 存 度 が 大 き い.し か し,ブ タ だ け は遅 延 性 活 性 化 電 流(IKS)に 依 存 して い る こ とが 判 っ
て い る.こ れ ら は イ オ ンチ ャ ネ ル 遺 伝 子(と くに,HCNチ
ャ ネ ル)の 動 物 種 差 に よ る もの と推 測 さ れ
るが,詳
細 な 解 明 は 不 明 で あ る.
洞 房 結 節 細 胞 も最 終 的 に はbeatingで
あ り,収 縮 毎 に 細 胞 内Ca2+濃 度 を 上 昇 し 回 復 させ な け れ ば
な らな い.つ ま り,beatingと
は振 り子 運 動 で あ り,そ の 機 能 を膜 イ オ ン チ ャ ネ ル と細 胞 内 情 報 伝 達 系
が 執 り行 っ て い る.
S2-2.
心 臓 に対 す る ペ ー ス メ ー カ ー 療 法
杏 林 大学 医 学 部第 二 内科
池田
隆徳
心 臓 は,循 環 動 態 に お け る ポ ン プ機 能 と し て の 役 割 を 担 っ て い る が,こ れ は 洞 結 節 か ら発 せ られ た
電 気 信 号 が 刺 激 伝 導 系 を介 し て心 房 か ら心 室 へ と行 き渡 り,歩 調 を 合 わ せ て一 斉 に 収 縮 す る こ とで 成
り立 っ て い る.興 奮 の発 生 源 で あ る洞 結 節 や 心 房 と心 室 を連 絡 す る 房 室 結 節 ・ヒ ス 束 な どが 障 害 され
る と,洞 停 止 や 房 室 ブ ロ ッ ク な どが 生 じ て 心 停 止 と な る た め,ペ ー ス メ ー カ ー 治 療 の 適 応 と な る.ペ ー
ス メ ー カ ー は,こ の よ う な徐 脈 性 不 整 脈 の 治 療 に 主 に用 い られ る が,心 室 頻 拍 ・細 動 や 心 房 細 動 な ど
の 頻 脈 性 不 整 脈 に対 して も使 用 され る こ とが あ る.突 然 死 の 予 防 装 置 と し て植 込 み 型 除 細 動 器 が あ る
が,こ れ も頻 拍 に対 す るペ ー ス メ ー カ ー 機 能 を備 え て い る.最 近 で は,ペ ー ス メ ー カ ー は重 症 心 不 全
の 治 療 と し て も用 い られ て お り,左 右 の 心 室 を 同 時 に ペ ー シ ン グす る こ とで 両 心 室 の 動 き を 同 期 させ,
心 臓 の 動 き の 改 善 を 図 る方 法 で あ り,心 臓 再 同 期 療 法 と呼 ば れ る.
植 込 み 型 ペ ー ス メ ー カ ー は,そ の 本 体 で あ る ジ ェ ネ レ ー タ ー と電 極 リー ドに よ っ て 構 成 さ れ る.ジ ェ
ネ レー タ ー に は,IC化
した 電 子 回 路 と小 型 大 容 量 の リチ ウ ム 電 位 が 内 蔵 さ れ て い る.ジ ェ ネ レ ー タ ー
か ら発 せ ら れ た 刺 激 は,電 極 リー ドを 介 して 先 端 の 電 極 に伝 え ら れ,そ の 電 極 に接 し た 局 所 心 筋 を興
奮 さ せ る.そ し て,そ の 興 奮 は細 胞 間 接 合 を介 し て 心 臓 全 体 に 伝 え られ,心 臓 は収 縮 す る.心 筋 に は,
ペ ー シ ン グ に 対 して 一 定 以 上 の 出 力 で な い と興 奮 し な い(刺 激 閾 値)と い う 法 則 が あ り,ま た,興 奮
終 了 後 に は い か な る刺 激 に も反 応 し な い 時 期(絶 対 不 応 期)が あ る.通 電 の た め の 電 極 に は 単 極 と双
極 の2つ が あ る.単 極 の場 合 は,1つ の 電 極 を 心 筋 に 接 触 さ せ,ペ ー ス メ ー カ ー 本 体 が 不 関 電 極 とな る.
双 極 の 場 合 は,2つ の電 極 を心 筋 に接 触 さ せ,こ の2極 間 で の 刺 激 と な る.後 者 の ほ う が 主 流 とな っ て
い る.通 電 は,陰 極 刺 激 の ほ うが 刺 激 閾 値 を低 くす る こ とが 可 能 な た め,通 常,心 筋 と の接 触 が 最 も
良 好 で あ る リー ド先 端 を陰 性電 極 と し て い る.心 筋 で は 電 極 留 置 後 に一 過 性 に刺 激 閾 値 が.上昇 す る こ
とが あ る が,こ れ は炎 症 反 応 が 生 じて,心 筋 と電 極 との 間 に 結 合 組 織 膜 が 形 成 さ れ る こ とに よ る.こ
の 現 象 は,電 極 先 端 部 に ス テ ロ イ ド剤 を付 着 した リー ドを使 用 す る こ とで,そ の軽 減 を図 る こ とが で
き る.
以 上が,心 臓 に対 す るペ ー ス メ ー カ ー療 法 の 概 要 で あ る.
J-6
S2-3.
Pacemaker
in Urinary
Activity in the Upper Urinary Tract;
Tract Smooth Muscle.
Functional Role of Nitric Oxide
Section of Urology, Yale University School of Medicine. New Haven, CT
Robert
M. Weiss, M.D.
Donald Gutherie
The function
conditions,
Professor
of the ureter
ureteral
peristalsis
and Chief
is to transport
urine from the kidney to the bladder.
begins with the spontaneous
origin of electrical
Under normal
activity
at pace-
maker sites located in the proximal portion of the urinary collecting system.
The electrical
activity is propagated
distally and gives rise to the mechanical
event of peristalsis, ureteral
contraction,
depends
that moves
the ureter's
the bolus
of urine distally.
ability to completely
Efficient
coapt its walls.
propulsion
Pacemaker
of the urinary
bolus
fibers differ from non-
pacemaker
fibers in that their resting membrane potential is less negative and does not remain
constant but rather undergoes a slow spontaneous depolarization.
If a sufficient area of the cell
membrane
referred
is depolarized
rapidly
to as the threshold
enough
potential,
to reach a critical
a regenerative
level of transmembrane
depolarization
potential
or upstroke
of an action
potential occurs.
The action potential traverses from cell to cell across low resistance
gap
junctions giving rise to a propagated
ureteral contraction.
The location of pacemaker
cells in
the upper urinary tract varies with the species, but in general pacemaker cells are located in the
proximal renal pelvis and calyces.
Fibroblast-like
cells resembling the interstitial cells of Cajal,
which serve as pacemaker
cells in the intestine, have been described in the proximal portion of
the guinea pig renal pelvis.
ed low-voltage
potentials
Morita
and associates
that appeared
(1981) , using extracellular
to be pacemaker
potentials
electrodes,
from the border
record-
of the minor
calyces and the major calyx.
They noted that the contraction rhythm varied in each calyx which
is in accord with multiple pacemakers
being present in the multicalyceal
kidney.
Spontaneous
shifts of the pacemaker
occur from one site to another
the primary
for ureteral
pacemaker
peristalsis
along the pyelocalyceal
is located in the proximal
system all regions of the ureter can act as latent pacemakers.
Nitric oxide synthase (NOS) converts
L-arginine
to nitric
border.
portion
oxide
(NO)
Although
of the collecting
that
stimulates
guanylyl cyclase activity with the resultant conversion of GTP to cGMP with resultant smooth
muscle relaxation.
NOS containing nerves have been demonstrated
in the human ureter and at the
pig uretero-vesical
junction (UVJ).
NO is involved in human ureteral relaxation
and NO is
involved in nonadrenergic,
noncholinergic
induced relaxation of the UVJ and the urethra.
There
are three
isoforms
and NADPH
dent.
There
of NOS ; neuronal
NOS
(nNOS)
and endothelial
NOS
(eNOS)
are calcium
dependent and inducible NOS (iNOS) is NADPH dependent but calcium indepenare at least two forms of NOS in the guinea pig ureter, bladder and urethra ; a
soluble form with properties
similar
to nNOS, which is involved
in urethral
relaxation,
particulate
enzyme which has properties similar to iNOS, which is found in macrophages,
may have implications in the patho-physiology
of urinary tract infections.
and a
which
J-7
S2-4.
消 化 管 の 自 動 運 動 ― ミ ュ ー タ ン トマ ウ ス 消 化 管 か ら マ ウ ス 胚 性 幹 細 胞
か らで きた
消 化 管 まで
奈 良 県立 医科 大 学
高木
都,
生 理 学 第二 講座
中川
正
消 化 管 の 運 動 は振 子 運 動 や 分 節 運 動(ま
た は そ れ らの ハ イ ブ リ ッ ド)と い う腸 管 内 容 物 を撹 拌 ・混
和 す る役 割 を果 た す運 動 と,腸 管 内 容 物 を 口側 か ら肛 門 側 へ 輸 送 す る 役 割 を果 た す 蠕 動 運 動 が 代 表 的
で あ る.振 子 ・
分 節 運 動 に つ い て は カ ハ ー ル の 間 質 細 胞(ICC)の
あ る が,蠕 動 運 動 に つ い て は 自動 運 動 か ど う か,い
ネ ッ トワ ー ク が 駆 動 す る 自動 運 動 で
ま だ 確 定 的 で な い.蠕
動 運 動 は,腸 の 法 則 に 従 っ
て 起 こ る腸 壁 内 神 経 系 を 介 す る 内反 射(蠕 動 反 射)が 消 化 管 全 体 に連 続 し て 起 こ る と考 え られ て い る.
自動 運 動 を引 き起 すICCネ
ッ トワ ー ク と,蠕 動 反 射 を 引 き起 す 腸 壁 内 神 経 系 の両 者 の 関 係 が い か な る
も の か を 明 らか に す る こ と は,消 化 管 の 運 動 制 御 機 構 を解 明 す る 上 で 重 要 な 課 題 と思 わ れ る.
そ こで,1)特
定 の カハ ー ル の 間 質 細 胞(ICC-MY)ネ
ッ トワ ー ク が 遺 伝 的 に 欠 損 し て い る ミ ュ-タ
ン トマ ウ ス の腸 管 運 動 に お け る腸 壁 内 神 経 系 の 役 割 を 解 明 す る研 究 と,2)マ
きた 消 化 管 様 細 胞 塊 に お け るICCネ
ウ ス 胚 性 幹 細 胞 か らで
ッ トワ ー ク と腸 壁 内神 経 ネ ッ トワ ー ク の 役 割 を 解 明 す る研 究 を
企 図 した.
そ の 結 果,ICC-MY欠
で き な か った が,自
損 ミュ ー タ ン トマ ウ ス の 腸 管 で は漿 膜 側 か らは 電 気 的 なslow
に一 酸 化 窒 素 性 神 経 の 強 い 抑 制 が 観 察 さ れ た.ま た,マ ウ ス 胚 性 幹 細 胞
は,ICCネ
waveは
記録
動 運 動(蠕 動 運 動 に は見 え な い)は 規 則 性 が 劣 る もの の 存 在 し,腸 壁 内 神 経 系,特
か ら で きた 消 化 管 様 細 胞 塊 で
ッ トワ ー ク が 十 分 に分 化 し,自 動 運 動 や 細 胞 塊 全 体 に 伝 播 す る 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 振 動 な ど
の 生 理 的 な機 能 が 働 い て い る こ とが 明 らか に な っ た.し
誘 導 を し な け れ ば,そ
の 分 化 は不 十 分 で あ っ た.一
不 十 分 な 分 化 の も とで も観 察 さ れ て い るが,腸
見,蠕
か し,腸 壁 内 神 経 系 に つ い て は,特 定 の 分 化
動 運 動 に 見 え る 自動 運 動 が 腸 壁 内 神 経 系 の
壁 内 神 経 系 が 十 分 に分 化 す る と ど の よ う な 運 動 パ タ ー
ン に 変 わ る か は現 在 検 討 中 で あ る.
以 上 の 結 果 か ら,消 化 管 運 動 の 発 生 機 構 に お い て カ ハ ー ル の 間 質 細 胞(ICC)ネ
経 ネ ッ トワ ー クが ど の よ う な 関 わ りを有 し て い る か に つ い て 考 察 す る.
ッ トワ ー ク と腸 壁 内 神
J-8
S3-1.
Detrusor
and Gastroinestinal
Department
of
Russell
The
(Ach)
and
M3
and
ATP
M5
greater
than
that
in
only
may
vitro
mediate
reverses
tract
and
In
the
rat
the
recent
the
normal
solely
0.1),
via
the
while
slopes
detrusor
strips
The
detrusor
carbachol
the
of
the
is
bladder.
The
studying
disease
both
from
also
being
due
study
role
of
of
detrusor
with
an
highlights
processes.
& ƒÀ3
muscle
is
far
M3-receptors,
M2-receptors
cyclase
in
M4
contraction
of
however,
the
activity
gastrointestinal
obtained
low
in
M2
importance
carbachol
in
muscarinic
These
responses
selecting
the
agonist,
as
has
the
the
bladder
with
spinal
injury.
agonist
6.57•}0.08
in
4-DAMP
the
(pKB=
obtained
in
normal
function.
with
but
suggest
mediated
muscarinic
both
values
patients
results
to
to
for
be
(pKB=9.9•}
performed
the
bladder
M2-receptor
from
to
due
to
bladder.
on
bladders
to
bladder
affinity
were
values
similar
change
of
appeared
(pKB=6.4•}0.3)
normal
performed
overactive
a high
experiments
the
been
overactive
human
having
affinity
tissues
the
the
diabetes)
have
the
In
unclear.
supersensitive
in
were
with
in
overactive
antagonist
no
still
dysfunction.
(denervation,
of
is
affinity
was
antagonists.
the
a
6.17•}0.07
to
to
in
studies
treatment
Similar
, suggesting
increase
strips
patients
the
the
activity
neurogenic
from
selective
in
few
M2-receptors
had
supersensitive
M2
to
and
a mixed
smooth
direct
models
but
4-DAMP
(pKB=5.6•}0.1)
unity)
used
antagonists).
However
again
not
M2
Ml,
receptors
resulting
disease
detrusor
these
increasing
methoctramine
and
the
M2
adenylate
systems
several
M3-antagonist
patients
(P<0.01).
M3
(ƒÀ2
contraction
are
methoctramine
from
were
on
of
tissues
in
The
the
population
some
transmitter
possess
M2-receptors,
reduction
receptor
in
to
the
the
for
muscle
tissues
increased
contraction
pEC50
plots
these
human
with
unity
the
results
is
in
antagonists
M2-antagonist
and
bladders,
sensitivity
bladder,
smooth
while
density
minor
In
main
(M1-M5).
present
the
stimulation
significantly
examined
M3-receptor
(Schild
Similar
affinity
human
tissue
9.9•}0.1)
tissue
have
obtained
the
preparations
being
the
a
is
turnover,
of
via
contraction.
occur
controlling
studies
with
overactive
density
receptor
were
Ach
and
acetylcholine
5 subtypes
muscle
predominance
b-adrenoceptor
may
contribute
subtypes
the
(Schild
are
M3
intestinal
tract).
receptor
Muscarinic
receptor
in
oxide.
muscle
mediated
normal
neurotransmitters
there
and
whereby
by
changes
may
M2
the
the
phosphate
smooth
is
involved
induced
M2
receptors
Our
UK.
maintaining
smooth
both
muscle
is
urinary
inositol
detrusor
"re-contraction"
states,
human.
but
Receptors
Sheffield,
nitric
which
Many
Despite
smooth
subtype
to
subtypes,
and
receptors.
indirect
lower
bladder
M2
M3
this
pathological
and
Sheffield,
releasing
releasing
of
coupled
receptor
of
by
cyclase.
gastric
relaxation
the
are
detrusor
an
the
Muscarinic
for
by
receptors,
adenylate
colonic,
and
of
responsible
muscle
sphincters
subtypes
muscarinic
ileal,
is
smooth
muscarinic
inhibit
intestinal
and
on
receptor
of
In
University
system
the
relaxing
acts
subtypes
itself.
In
and
it
population
in
contracting
and
receptor
of
nervous
function,
released
Science,
Muscle
Chess-Williams
parasympathetic
bladder
Biomedical
Smooth
idiopathic
without
that
been
reported
most
relevant
overactive
any
the
change
increase
in
the
animal
in
in
diabetic
model
the
tissue
rat
when
J-9
S3-2.
排 尿 機 能 の 中枢 神 経 支 配
琉 球 大 学 医学 部 泌尿 器 科
菅谷
公男
膀 胱 は 自律 神 経 支 配 臓 器 の な か で 唯 一 随 意 調 節 可 能 な臓 器 で あ る.そ の た め,下
部 尿路 の神経 性調
節 は発 達 し,排 尿 や 蓄 尿 に は多 くの神 経 反 射 の 関 与 が 報 告 さ れ て い る.排 尿 は仙 髄 に起 始 核 の あ る骨
盤 神 経 を求 心 路 及 び 遠 心 路 と し脳 幹 の 橋 排 尿 中 枢 を 介 す る反 射 で行 わ れ,大 脳 前 頭 葉 か ら橋 排 尿 中 枢
へ は抑 制 性 投 射 が あ り,蓄 尿 を 維 持 し て い る.ま た,大 脳 か ら橋 排 尿 中 枢 へ の 抑 制 性 投 射 の 解 除(脱
抑 制)で 排 尿 が 起 こ る と考 え られ て い る.橋 排 尿 中枢 は ネ コ,イ ヌ で は青 斑 核 の 腹 側 の 青 斑 核 ア ル フ ァ
に 相 当 し,ラ ッ トで は青 斑 核 の 内側 のBarrington核
制 野(橋
排 尿 中枢 の腹 内 側 の 橋 網 様 体)と,外
に相 当 す る.橋 に は 膀 胱 収 縮 を抑 制 す る橋 排 尿 抑
尿 道 括 約 筋 活 動 を増 強 させ て 膀 胱 収 縮 を抑 制 す る橋 蓄
尿 中 枢(青 斑 下 核)も 存 在 す る.仙 髄 に は興 奮 性 グ ル タ ミ ン酸 ニ ュー ロ ン と抑 制 性 グ リ シ ン ・GABA
ニ ュ ー ロ ンが 存 在 し,グ ル タ ミ ン酸 は膀 胱 及 び 外 尿 道 括 約 筋 活 動 の 増 強 に,グ リ シ ン ・GABAは
それ
らの 抑 制 に 働 い て い る.こ れ らア ミノ 酸 系 ニ ュー ロ ン は 排 尿 や 蓄 尿 の遠 心 路 の み な らず 求 心 路 に も強
く影 響 し て い る.ま た,グ ル タ ミ ン酸 ニ ュ ー ロ ン は グ リ シ ンニ ュ ー ロ ン を作 動 さ せ,グ リ シ ン ニ ュ ー
ロ ン は グ ル タ ミ ン酸 ニ ュ ー ロ ン を抑 制 す る関 係 に あ る.橋 の3ヵ 所 の 排 尿 ・
蓄 尿 関連領 域 か らは仙髄 の
グ ル タ ミ ン酸 及 び グ リ シ ン ・GABAニ
達 性 経 路 と延 髄 を介 す る 経 路 の2経
介 す る 経 路 が,橋
ュ ー ロ ン に投 射 が あ るが,橋
か ら仙 髄 へ の 投 射 に は い ず れ も直
路 が 考 え られ て い る.橋 排 尿 中 枢 か らは 延 髄 の 大 細 胞 性 網 様 核 を
網 様 体 か ら は巨 大 細 胞 性 網 様 核 を介 す る経 路 が,そ
し て橋 蓄 尿 中 枢 か ら は大 縫 線 核
を 介 す る経 路 が あ り,こ れ ら延 髄 の 領 域 は橋 か らの 投 射 を増 強 し て い る こ とが 考 え られ る.し か し,橋
内 や 延 髄 内 で は こ れ ら排 尿 ・蓄 尿 関 連 領 域 の お 互 い の 関 連 は ほ と ん どな い.大 脳 か ら は橋 の これ ら排
尿 ・蓄 尿 関 連 領 域 に投 射 が あ り,最 終 的 に は仙 髄 の グ ル タ ミ ン酸 や グ リ シ ン ・GABAニ
か し て 排 尿 や 蓄 尿 を行 っ て い る.し た が っ て,排
系,延 髄 は動 力 系,仙
S3-3.
ュー ロ ンを動
尿 の 中 枢 神 経 機 構 は,大 脳 は 随 意 調 節 系,橋
は起 動
髄 は実 行 系 と し て 捉 え る こ と が で き る.
消化管機能 の中枢神経支 配
東 北大 学 大 学院 医 学 系研 究 科人 間行 動 学
福土
審
ス トレ ス は 身 体 諸 臓 器 に さ ま ざ ま な影 響 を 及 ぼ す.下
部 消 化 管 は そ の 代 表 的臓 器 で あ る.こ の ス ト
レ ス-脳-消 化 器 の軸 に典 型 的 に見 られ る現 象 を脳 腸 相 関(brain-gut
ロ ス タ ッ ト法,脳
機 能 画 像 法,分
子 生 物 学,臨
interactions)と
呼 ぶ.消
れ つ つ あ る.脳 腸 相 関 が 病 態 の 中 心 を な す 疾 患 群 の 代 表 が 過 敏 性腸 症 候 群(irritable
drome;
IBS)で
あ る.IBSと
化管 バ
床 疫 学 的 分 析 の 進 歩 に よ り,脳 腸 相 関 の詳 細 が 解 明 さ
bowel
syn-
は,一 般 臨 床 検 査 で 把 握 さ れ る形 態 変 化 を欠 く に もか か わ らず,腹 痛 と
便 通 異 常 に代 表 さ れ る下 部 消 化 管 症 状 が 慢 性,再
負 荷 に 対 す る 消 化 管 運 動 亢 進 が 見 られ,高
外 傷 体 験 を持 つ もの の 割 合 が 高 い.こ
発 性 に持 続 す る症 候 群 で あ る.IBSで
は,ス
トレ ス
率 に不 安 ・抑 うつ を 中 心 とす る 心 理 的 異 常 を 合 併 し,心 的
の よ う な脳 か ら消 化 管 へ の 遠 心 性 信 号 だ け で な く,逆 方 向 の 信
号 の 臨 床 的 重 要 性 が 認 識 さ れ つ つ あ る.す な わ ち,消 化 管 か ら脳 へ の 求 心 性 信 号 がIBSの
病 態形成 に
果 す 役 割 が 明 確 に な っ て き た.バ ロ ス タ ッ ト法 で は,柔 ら か な 合 成 樹 脂 の バ ッ グ を消 化 管 に 挿 入 し,一
定 の低 圧 を消 化 管 に 与 え る こ とに よ り,内 腔 を 閉 塞 す る収 縮 運 動 の み な らず,内
運 動,消
化 管 壁 緊 張 の変 化,特
に 弛 緩 反 応 を検 出 で き る.ま
た,バ
させ る こ とで,消 化 管 知 覚 を 定 量 的 に評 価 で き る.脳 機 能 画 像 法 のpositron
(PET)と
module,対
大 脳 誘 発 電 位 に よ り,ヒ
応 す る脳 部 位,神
腔 を閉 塞 しな い収 縮
ッグ内圧 を さ まざまな程 度 に変化
emission
トに お け る消 化 管 知 覚 の メ カ ニ ズ ム の み な らず,刺
経 伝 達 物 質,情
tomograpy
激 下 の脳 機 能
報 処 理 パ タ ー ン,こ れ ら の結 果 と し て の 情 動 形 成 が 明 ら
か に され つ つ あ る.脳 部 位 で は前 帯 状 回 と前 頭 前 野 が,神
経 伝 達 物 質 と し て は ノ ル ア ドレ ナ リ ン,セ
ロ トニ ン,ヒ ス タ ミ ン,corticotropin-releasing
(CRH)が
IBSの
克 服 の み な らず,情
あ ろ う.
hormone
重 要 で あ る .脳 腸 相 関 の 分 析 は,
動 の機 序 な ら び に脳 と 内臓 の機 能 的 関 連 の 解 明 に 有 益 な 情 報 を提 供 す る で
J-10
S3-4.
消 化 管利 用 膀 胱 拡 大 術 後 の 膀 胱 機 能 の 経 時 的 変 化
信 州 大 学 医学 部泌 尿 器 科
井川
靖 彦, 市 野 み ど り, 関
聡, 加 藤
晴 朗, 石 塚
修, 西 沢
理
目 的: 神 経 因 性 膀 胱 患 者 の 膀 胱 蓄 尿 機 能 障 害 に対 す る消 化 管 利 用 膀 胱 拡 大 術 の 経 時 的 効 果 をS状
結 腸 利 用 群 と回 腸 利 用 群 に分 け て 検 討 した.
方 法: 対 象 はClam法
は,S状
に て 消 化 管 利 用 膀 胱 拡 大 術 を施 行 し た 神 経 因 性 膀 胱 患 者35例
結 腸 利 用 群(S群)が26例,回
央 値18)歳,I群9∼76(中
6∼57(平 均31.7)か
(MCC),排
腸 利 用 群(I群)が9例
央 値21)歳),性
月,I群10∼49(平
別 に2群
均30.4)か
尿 筋 コ ン プ ラ イ ア ン ス(Comp),律
最 大 収 縮 圧(UICmax)を
結 果: MCCは,S群
で 術 前 平 均180mLか
ら術 後3か
術 後1年
ら術 後3か
月387mLに,I群
ら術 後3か
月24.6mL/cmH2Oに,い
後1年
大膀 胱容 量
よび そ の
で 術 前218mLか
で術
ず れ も有 意 に増 大 し,両 群 間 で こ れ ら の効
両 群 と も に 術 後3か
以 上 の 時 点 で の 評 価 で は,S群
月 の 時点 で の値 とほ ぼ同等 で あ っ
で25.1mL/cmH2O,I群
月 に比 べ て さ ら に漸 増 す る傾 向 を認 め た が,両
動 性 収 縮 波 の 出 現 率 は,術 後3か
ら術 後3
月20.5mL/cmH20に,I群
以 上 の 時 点 で の 評 価 も追 跡 で きた23例(S群18例,I群5例)
に つ い て長 期 的 な効 果 を み て み る と,MCCは
と,両 群 と も に術 後3か
の 内訳
後 経 過 観 察 期 間 はS群
ラ メ ー タ ー と し て,最
動 性 膀 胱 収 縮 波 の 出 現 時 の 膀 胱 容 量(VUIC)お
で 術 前5.6mL/cmH2Oか
果 に 有 意 差 を認 め な か っ た.術
た が,Compは
間 で 有 意 差 は な か っ た.術
月 で あ っ た.パ
で,そ
術 時 年 齢(S群5∼58(中
検 討 した.
か 月400mLに,Compは,S群
前12.0mL/cmH2Oか
で あ っ た.手
で27.5mL/cmH2O
群 間 で 有 意 差 は な か っ た.律
月 の 時 点 で は,S群46%(11/26例),I群33%(3/9例)と,S群
お い て や や 多 く出 現 す る 傾 向 が あ っ た が,統 計 学 的 な 有 意 差 を認 め な か っ た.VUICお
両 群 間 で 有 意 差 を認 め な か っ た.律
動 性 収 縮 波 が術 後1年
に
よびUICmaxに
以 降 も残 存 し て い た 例 は3例
あ っ た が,い
ず れ も尿 失 禁 は な く,術 後 早 期 に お い て も,律 動 性 収 縮 波 の有 無 と尿 失 禁 の 残 存 と の 間 に相 関 は な か っ
た.
結 論: 膀 胱 拡 大 術 は,S状
結 腸,回 腸 の い ず れ を利 用 し て も,術 後3か
筋 コ ン プ ラ イ ア ン ス を有 意 に 増 大 させ,期
待 し た効 果 が 得 られ,術
れ る律 動 性 収 縮 波 を 認 め る こ とが 少 な くな い が,そ
問 題 と は な らな い もの と考 え る.
月 ま で に膀 胱 容 量 お よ び排 尿
後 早 期 に は 腸 管 蠕 動 に よ る と思 わ
の 大 半 は術 後1年
以 内 に 自 然 消 退 し,臨 床 的 に は
J-11
P-1.
メ タ リ ッ ク ス テ ン トの 歴 史 的 考 察:開
発 の 経 緯 か ら最 新 の 動 向 ま で
慶 應義 塾 大 学 医学 部 放射 線 診 断科
橋本
統, 栗 林
幸夫
管 腔 臓 器 内 面 を 金 属 で 補 強 す る とい う発 想 は,1960年
代 に,Interventional
Radiologyの
父 と呼 ば
れ るDotterが,初
め て こ の世 に示 し た も の で あ る.そ の 後,ス テ ン トは,1980年
代 中 盤 に,テ キ サ ス
の 二 人 の 放 射 線 科 医GianturcoやPalmazな
ど に よ っ て,臨 床 の 場 に 導 入 し う る具 現 性 を与 え られ
た.本 講 演 に お い て は,ス テ ン トの 語 源 を 含 め,現 代 に お け る ス テ ン ト隆 盛 の 礎 を 築 い た 偉 大 な 先 達
た ち に まず ス ポ ッ トを あ て,そ の 偉 業 を紹 介 す る.
ス テ ン トの 臨 床 応 用 は,当 初,腸 骨 動 脈 ・
冠 状 動 脈 に お い て 進 め られ,腎 動 脈,大 腿 ・膝 窩 動 脈,頚
動 脈,透 析 用 シ ャ ン ト血 管,大 静 脈,腕 頭 ・鎖 骨 下 静 脈 な ど,全 身 の 血 管 系 へ と応 用 範 囲 が 拡 大 し,さ
ら に,そ の優 れ た 管 腔 構 造 保 持 機 能 は,胆 道 ・気 道 ・消 化 管 ・尿 道 な ど,他 の 管 腔 臓 器 へ の適 応 拡 大
を も可 能 と した.
血 管 狭 窄 の 治 療 に ス テ ン トを 用 い る こ と に よ り,バ ル ー ン カ テ ー テ ル を用 い た 血 管 形 成 術 施 行 時 に
お け る初 期 成 功 率 低 下 の 二 大 要 因 で あ っ たelastic recoilと 解 離 を克 服 し う る と い う事 実 が 判 明 し た
こ とが,そ の 後 の 爆 発 的 な 普 及 に 繋 が っ た が,一 方 で,ス テ ン ト留 置 が 刺 激 と な っ て 生 じ る 中 長 期 の
再 狭 窄 の 問 題 が 表 面 化 し,薬 剤 溶 出性 ス テ ン トに代 表 さ れ る 如 く,こ れ に対 す る様 々 な 打 開 策 が 産 み
出 され る に 至 っ て い る.本 講 演 に お い て は,こ の よ う な 沿 革 お よ び,再 狭 窄 撲 滅 の た め の 取 り組 み の
最 前 線 に つ い て も紹 介 す る.
ま た,ス テ ン トに人 工 血 管 の 素 材 を組 み 合 わ せ た ス テ ン トグ ラ フ トが 派 生 し て 誕 生 し,現 在 で は,大
動 脈 疾 患 を 中 心 と し て,急 速 な 適 応 拡 大 が 進 み つ つ あ る.本 講 演 で は,日 本 か ら発 信 され る数 少 な い
医 療 材 料 の1つ で あ り,厳 密 な位 置 調 整 が 可 能 で あ る,優 れ た 瘤 シー ル ド効 果 を 有 す る,一 体 型 分 枝
付 きが 留 置 可 能 で あ る,高 い 柔 軟 性 の た め 急 峻 な屈 曲部 に も適 合 す る,伸 縮 可 能 な 蛇 腹 構 造 を有 す る
た め 留 置 後 の 血 管 形 態 の 変 化 に も対 応 し う る な ど,数 々 の 先 進 性 に満 ち あ ふ れ た 井 上 式 ス テ ン トグ ラ
フ トに つ き紹 介 す る.
最 後 に,将 来 展 望 と し て,夢
を 促 した い.
P-2.
・
理 想 の ス テ ン ト/ス テ ン トグ ラ フ ト像 を描 き,こ の 領 域 の益 々 の 発 展
腹 部 か ら四 肢 血 管 の ス テ ン ト治 療
奈 良県 立 医科 大 学
吉川
放射線科
公彦
血 管 性 病 変 に対 す る ス テ ン トに よ る治 療 は 閉 塞 性 疾 患 に対 す る ス テ ン トを 用 い た 経 皮 的 血 管 拡 張 術
(PTA)と
動 脈 瘤 に 対 す る ス テ ン トに人 工 血 管 を 巻 い た ス テ ン トグ ラ フ トに よ る ス テ ン トグ ラ フ ト治
療 に大 別 され,両 者 共,低 侵 襲 な治 療 法 と して 著 し い進 歩 を 遂 げ て い る.本 講 演 で は 腸 骨 ・大 腿 動 脈
の 閉 塞 性 動 脈 硬 化 症(ASO)に
対 す る ス テ ン ト治 療 な ら び に 腹 部 大 動 脈 瘤 に 対 す る ス テ ン トグ ラ フ ト
治 療 の 現 況 と問題 点 に つ い て,自 験 例 を 呈 示 し な が ら概 説 す る.
1. 腸 骨 動 脈ASO
本 邦 で は 腸 骨 動 脈 領 域 で3種 類 の ス テ ン トが 認 可 さ れ,バ ル ー ン カ テ ー テ ル に よ る 血 管 拡 張 術(バ
ル ー ンPTA)後
の 残 存 狭 窄 や 内 膜 解 離,あ る い はバ ル ー ンPTA後
の再 狭 窄 例 を 中 心 に ス テ ン ト治 療
が 行 わ れ,良 好 な 治 療 成 績 が 報 告 さ れ て い る.最 近 で は治 療 技 術 の 進 歩 と相 ま っ て,従 来 血 管 内 治 療
の 適 応 外 と さ れ て き た 長 区 域 の 完 全 閉 塞 例 に も ス テ ン ト治 療 が 適 応 さ れ る よ う に な りつ つ あ る.筆 者
ら は139病 変 の腸 骨 動 脈 完 全 閉 塞 に 対 して ス テ ン ト治 療 を行 い,初 期 成 功 率99%,一
次 開 存 率89.1%,
二 次 開存 率97.1%と
良 好 な 成 績 を 得 て い る.
2. 大 腿 動 脈ASO
大 腿 動 脈ASOに
対 す る ス テ ン ト治 療 の初 期 成 功 率 は95-100%と
良 好 で あ る が,3年
開 存 率 は6366%と
満 足 の い く長 期 成 績 が 得 られ て い な い の が 現 状 で あ り,適 応 も限 定 さ れ て い る.し か し,最 近
nitinol stentを 用 い て2年 開 存 率84%と
す る 報 告 も あ り,ま た 冠 動 脈 領 域 で す で に臨 床 応 用 が 始 ま っ
て い るdrug
eluting stentの 初 期 成 績 は 良 好 で あ り,大 腿 動 脈 で も ス テ ン ト治 療 は今 後 発 展 す る可 能
性 が あ る.
3. 腹 部 大 動 脈 瘤
大 動 脈 瘤 に対 す る ス テ ン トグ ラ フ ト治 療 は21世 紀 の 低 侵 襲 治 療 と し て 最 も期 待 さ れ て い る 治 療 法
の 一 つ で あ り,腹 部 大 動 脈 瘤 に対 して は 欧 米 を 中 心 に 数 種 類 の ス テ ン トグ ラ フ トが 認 可 さ れ,本 邦 で
は2種 類 の ス テ ン トグ ラ フ トが 治 験 中 で あ る.初 期 成 績 は 良 好 で あ るが,endoleakや
ス テ ン トグ ラ フ
トの 変 形,破 損 等 の 問 題 点 もあ り,長 期 に わ た る 経 過 観 察 が 必 要 で あ る.
J-12
P-3.
頸 動 脈 ス テ ン ト留 置 術 の 現 状 と今 後
神 戸 市立 中央 市民 病 院脳 神 経 外 科1,先 端 医 療 セ ンター脳 血 管 内 治療 部2
坂井
信 幸1,2, 坂 井
千 秋2, 黒 岩
輝 壮2, 森 実
飛 鳥1, 石 原
秀 行1, 中 尾
哲1, 菊 池
晴 彦1
【目 的 】 高 度 の 頸 動 脈 狭 窄 症 は 内 科 治 療 を 行 っ て も脳 卒 中 発 作 を効 果 的 に防 ぐ こ とが 難 し く,こ れ ま
で は 頸 動 脈 内膜 剥 離 術(CEA)が
ク リニ カ ル エ ビ デ ン ス に基 づ き行 わ れ て き た.CEAの
し て 始 ま っ た 頸 動 脈 ス テ ン ト留 置 術(CAS)は,器
高危 険群 に対
材 の 開 発 改 良 と経 験 の 蓄 積 に基 づ き 今 後CEAに
取 っ て 代 わ る 低 侵 襲 血 行 再 建 術 と し て 大 き な 期 待 が か け られ て い る.CAS開
始 以 来 の 変 遷 を も とに,
現 在 の 標 準 的 治 療 戦 略 と今 後 の 展 望 を 自験 例 の分 析 を 交 え て を報 告 す る.
【対 象 と方 法 】1997年2月
(67.8±7.2)歳,390病
のCASを
にCASを
変;症
行 っ て きた.当
開 始 以 来 これ まで に368症
候 性-195,無
初CEA高
症 候 性-199,平
例;男
性-304,女
性-64,年
齢50-84
均 狭 窄 率-78.1±12.4%に,395回,397手
危 険 群 と血 管 解 離 ・大 動 脈 炎 ・FMDな
技
ど を対 象 と した が,2年
前
か ら第 一 選 択 の 治 療 と して い る.局 所 麻 酔 ・大 腿 動 脈 ア プ ロ ー チ ・ガ イ デ ィ ン グ カ テ ー テ ル 留 置 ・控
え め の 前 拡 張 ・ス テ ン ト留 置 ・後 拡 張 を行 う手 技 は 一 貫 し て い る.使 用 し て き たstentはPalmaz
Easy
Wallstent,
loonを,現
SMART
在 はPercuSurgeを
stent, ACCULINK,
PRECISEな
主 に し なが らArteriA,
ど で,protectionに
AngioGuardXPを
【結 果 】 治 療 に起 因 す る合 併 症 の 全 体 成 績 は死 亡1(0.25%:過
位 塞 栓),minor
stroke-8
(2.02%:遠
位 塞 栓)で,一
再 治 療 は 合 併 症 な く完 了 し,症 候 の 再 発 は2例
用 い て い る.
潅 流),major
stroke-3
過 性 の 症 候 を呈 した18例(4.5%)の
脈 低 血 圧 に起 因 す る血 行 力 学 性 の も の が 含 まれ て い た.再 狭 窄 は248例
stent,
は 当 初 はNaviBal-
中18例(7.3%)に
(0.76%:遠
半数 は徐
見 られ た が
に と ど ま っ た.
【結 語 】 す で に頸 動 脈 専 用 ス テ ン トや 種 々 のprotection
deviceの
開 発 が 進 ん で お り,今 後 急 速 に 治 療
の 安 全 性 と確 実 性 の 向 上 が 期 待 で き る.器 材 や 手 技 は年 々 進 歩 改 良 し続 け て お り,CASの
果 に 関 す る ク リニ カ ル エ ビ デ ン ス の 蓄 積 に よ り本 格 的 なCAS時
初期 治療 結
代 の 到 来 は 目 前 と考 え られ る.
J-13
P-4.
ス テ ン トに よ る 気 道 確 保
東 京都 済 生 会 中央 病 院
野守
呼 吸 器外 科
裕明
気 道 狭 窄 に 対 して 使 用 さ れ る ス テ ン トの種 類 は大 き く分 類 す る と シ リ コ ン ス テ ン ト と金 属 ワ イ ヤ ー
ス テ ン トが あ る.そ れ ぞ れ 利 点 と欠 点 が あ り,そ れ に よ り適 応 疾 患 が 概 ね 決 ま っ て い る.狭
して は 主 に腫 瘍 に よ る 浸 潤 性 狭 窄 と圧 排 性 狭 窄,炎
種 ス テ ン トの 適 応 と限 界,お
回各
よ び 高 度 気 道 狭 窄 に対 す る ス テ ン ト挿 入 法 を 中 心 に発 表 す る.
シ リ コ ン ス テ ン トに は 主 に 以 前 よ り使 用 さ れ て い る 気 管 切 開 孔 に 固 定 す るT-tubeと10数
ら使 用 さ れ 始 め た 遊 離 型 のDumon
られ る.シ
窄疾 患 と
症 に よ る 肉 芽 性 狭 窄 と瘢 痕 性 狭 窄 が あ る.今
stentとDynamic
stentの3種
年前か
類 が あ り,狭 窄 部 位 に よ り使 い 分 け
リ コ ン ス テ ン トの 利 点 は ほ とん どす べ て の 種 類 の 気 道 狭 窄 に 適 応 が あ る こ とで あ る.欠 点
と し て 気 道 内 腔 全 周 を シ リ コ ン が 覆 うた め 気 道 上 皮 の 繊 毛 運 動 を 障 害 し排 疾 機 能 を悪 化 す るた め,咳
嗽 能 力 の 弱 い 患 者 に は 肺 炎 や 無 気 肺 を生 じ る こ とが あ る.ま たDumon
性 鏡 や 専 用 の 金 属 鉗 子 を使 用 す る た め 全 身 麻 酔 を要 し,ま
stentやDynamic
stentで は硬
た そ れ ら の 手 技 に 慣 れ な い 医 師 に とっ て は
挿 入 が 困 難 で あ る.
金 属 ス テ ン トに は 主 にZ-型
のexpandable
metallic
stentと メ ッ シ ュ型 のultraflex
そ の 利 点 は喉 頭 と気 道 内 の 局 所 麻 酔 の み で 挿 入 が で き,そ
stentが あ る.
の 手 技 も簡 単 な こ とで あ る.ま
た金 属 ワ イ
ヤ ー の 隙 間 が あ る た め 気 道 上 皮 の線 毛 運 動 は ほ とん ど傷 害 され ず 排 疾 機 能 の 障 害 を来 さ な い.欠
点 は
腫 瘍 の 浸 潤 性 狭 窄 や 炎 症 の 肉 芽性 狭 窄 に 対 して は ワ イ ヤ ー の 隙 間 よ り腫 瘍 や 肉 芽 の増 生 を 生 じ再 狭 窄
を来 す こ とが あ る.ま
た 挿 入 後 の 抜 去 は ほ と ん ど不 可 能 で あ る.そ
の た め 適 応 疾 患 は主 に 腫 瘍 に よ る
圧 排 性 狭 窄 に 限 ら れ る.
日 常 診 療 に お い て 気 道 狭 窄 に よ る呼 吸 困 難 は し ば し ば急 激 に 生 じ る.気 道 狭 窄 症 状 が 切 迫 して い る
場 合,全
身 麻 酔 を 要 す る シ リ コ ン ス テ ン ト挿 入 は 危 険 な こ と も多 い.我
は気 管 切 開 を 行 い 気 管 チ ュ ー ブ を 挿 管 し,狭
々 は そ の よ う な症 例 に 対 し て
窄 部 位 で カ フ を 膨 ら ませ る こ と に よ りブ ジ ー を 数 日 間
行 っ て か ら ス テ ン トを挿 入 して い る.同 方 法 は ス テ ン ト治 療 に 慣 れ な い 医 師 で も簡 単 で確 実 に 気 道 確
保 が 行 え,ブ
ジ ー の 後 に 専 門 医 に ス テ ン トを挿 入 し て も ら え ば 済 む の で是 非 知 っ て お い て 頂 き た い 方
法 で あ る.
以 上,良
まれ,気
性 気 道 狭 窄 は も と よ りIV期
肺 癌 の 気 道 狭 窄 患 者 で も窒 息 に よ る 苦 痛 は解 除 す る こ と が 望
道 狭 窄 の 開 大 法 は 多 くの 医 師 が 知 っ て お くべ き 治 療 法 で あ る.各 種 ス テ ン トの 適 応 と高 度 気
道 狭 窄 に 対 す る ア プ ロ ー チ を 中 心 に述 べ る.
J-14
P-5.
消 化 管 狭 窄 に 対 す る ス テ ン ト治 療
星 ヶ丘 厚生 年 金病 院
放射 線 科1,奈 良 医大
田中
幸 子1, 福 住
健 寛1, 三 浦
放射 線 科2
明 夫1, 吉 川
公 彦2
ス テ ン ト治 療 は,手 術 不 能 悪 性 食 道 狭 窄 に対 す る 姑 息 的 治 療 と して そ の 地 位 を確 立 した と言 っ て も
過 言 で な い.現
る.ス
在 で は,食 道 以 外 の 消 化 管 に も応 用 が す す め られ,対
テ ン ト治 療 の 適 応,有
用 性 と問 題 点 に つ い て 食 道,小
腸,大
象 疾 患 や 使 用 方 法 も広 が っ て い
腸 に分 け て,自
験 例 を 中 心 に解 説
す る.
1)
食道
手 術 不 能 悪 性 疾 患 の食 道 狭 窄 に よ る 嚥 下 困 難 や 瘻 孔 閉 鎖 に対 し て,QOLの
改 善 を 目的 に ス テ ン ト治
療 が 行 わ れ る の が 一般 的 で あ り,保 険 適 応 の ス テ ン トが 市 販 さ れ て い る.瘻 閉 鎖 や 再 閉 塞 防 止 の た め,
膜 付 き の ス テ ン トが 使 用 さ れ る こ とが 多 い.留 置 成 功98-100%,臨
66-100%と
報 告 さ れ,他
床 的 有 効 性72-100%,瘻
孔 閉鎖 率
に選 択 で き る治 療 法 が な く,そ の 有 用 性 は広 く評 価 さ れ て い る.留 置 後 の 合
併 症 で あ る ス テ ン トの 逸 脱,出
血,痺 痛,気 道 閉 塞,穿 孔 な どの 防 止 が 課 題 で あ り,我 々 は,spiral
Z-
stentを 用 い て 移 動 の し に くい カ バ ー ス テ ン トを独 自 に 開 発 し,臨 床 応 用 を 行 っ て きた.良 性 疾 患 に 対
し て は留 置 後 の ス テ ン ト逸 脱 や 再 閉 塞 が 問 題 とな り,適 応 は 限 られ て お り,抜 去 を 前 提 と し た 一 時 的
留 置 や 生 体 吸 収 さ れ る材 質 で 作 製 され た ス テ ン トの 開 発 が 進 め られ て い る.
2)
小腸
悪 性 疾 患 に よ る 胃 十 二 指 腸 閉 塞 で,バ
床 的 有 効 性80-100%と
イパ ス 術 が で き な い 例 が 適 応 とな り,留 置 成 功94-100%,臨
報 告 さ れ て い る.食 道 用 の ス テ ン トで は,経 口的 な 留 置 が 困 難 で,専 用 の ス テ
ン トや 留 置 シ ス テ ム の 開 発 が 必 要 で あ る.
3)
大腸
手 術 適 応 の な い 悪 性 疾 患 に よ る閉 塞 に対 し て,人
工 肛 門 を 回 避 す る た め に ス テ ン ト治 療 を行 う場 合
と術 前 処 置 と して イ レ ウ ス の 寛 解 な ど を 目的 に す る 場 合 が あ る.大 腸 用 の ス テ ン トは な く,食 道 用 や
自作 の も の が 使 用 さ れ て い る.ス テ ン ト留 置 成 功 は82-100%で,非
が 回 避 で き,術 前 処 置 で は,83-100%で
る.こ
閉 塞 が 解 除 され,一
手 術 例 で は,75-100%で
人工 肛 門
期 的 手 術 が 可 能 とな っ た と報 告 さ れ て い
れ ら の ス テ ン ト治 療 は,従 来 行 わ れ て い る人 工 肛 門 造 設 術 や 経 肛 門 イ レ ウ ス チ ュ ー ブ な ど との
比 較 検 討 が 課 題 で あ る.良 性 疾 患 は食 道 と同 様 に,適 応 が 限 られ,手
用 され て い る.
術 不 能 例 や ク ロ ー ン 病 な ど に使
J-15
P-6.
尿 道 領 域 の ス テ ン ト治 療
東 邦 大 学医 学 部 泌尿 器 科 学講座
原
啓
尿 道 に対 す る ス テ ン ト治 療 に つ い て 概 説 す る.一
日 の う ち に僅 か 数 分 し か フ ロ ー の 無 い管 腔 臓 器 で
あ る.し か し排 尿 とい う重 要 な 生 理 現 象 を担 っ て お り,患 者 のQOLを
如 何 に 高 め て 行 くか が,今 泌 尿
器 科 医 に求 め られ て い る.
高 齢 化 社 会 の 到 来 を 迎 え,前
る.ま た 多 くの 高 齢 者 で,手
立 腺 肥 大 症 な どの 下 部 尿 路 通 過 障 害 に よ る 排 尿 障 害 患 者 が 急 増 し て い
術 適 応 が あ りな が ら心 血 管 障 害 や 呼 吸 器 疾 患 な どの 合 併 症 に よ り,止 む
を得 ず 尿 道 留 置 カ テ ー テ ル や 間 欠 的 自己 導 尿 で 管 理 さ れ て い る 患 者 も数 多 くい る.し か し 自排 尿 に対
す る欲 求 は臨 床 の 現 場 で 非 常 に 強 い も の が あ り,こ
に よ り,自 排 尿 が 可 能 とな りQOLの
う した 患 者 に 対 して 尿 道 ス テ ン トを留 置 す る こ と
向 上 につ な げ る こ とが 可 能 とな っ て い る.
前 立 腺 部 尿 道 に対 す る ス テ ン トに は,永 久 留 置 型 と一 時 留 置 型 に大 別 さ れ る.永
ロル ー メ 」 「メ モ サ ー ム 」が あ り,メ ッ シ ュ タ イ プ で 尿 道 上 皮 粘 膜 に被 覆 さ れ,原
る.結 石 形 成,位
置 の 移 動,尿
久 留 置 型 に は 「ウ
則 的 に永 久 留 置 と な
道 上 皮 の 過 増 殖 な ど で は抜 去 も検 討 し な け れ ば な らな い.一 時 留 置 型
に は 「プ ロ ス タ カ ス 」 「メ モ カ ス 」が あ り,6ケ
月 か ら1年 で 交 換 す る.「 メ モ カ ス 」 はニ ッ ケ ル チ タ ン
の 形 状 記 憶 合 金 製 ス テ ン トで,適 切 な位 置 に 固 定 後50℃
の 温 水 で 拡 張 し留 置 さ れ,抜 去 時 に は10℃
の
冷 水 を注 入 す る こ と に よ り軟 化 し,容 易 に 抜 去 が 可 能 とな る.
い ず れ の ス テ ン ト も留 置 中 の違 和 感 は軽 微 で,重
の 増 殖 な どが 管 理 上 問 題 とな る.そ
の 点,一
篤 な合 併 症 は認 め られ な い.結
時 留 置 型 で は,状
石 形 成,尿
道 上皮
況 に 応 じて 抜 去 が 容 易 に 可 能 で あ り有
用 で あ る.い ず れ に し ろ留 置 直 後 か らの 自 排 尿 が 可 能 とな り,患 者 の 満 足 度 が 高 い 治 療 で あ る.
また 若 者 の オ ー トバ イ 事 故 な ど に よ る尿 道 断 裂 や 尿 道 外 傷 は術 後 の 尿 道 狭 窄 の 治 療 に 苦 慮 す る.こ
う した 前 部 尿 道 の 狭 窄 に対 し て 尿 道 ス テ ン ト(メ モ カ ス)を 留 置 し て 我 々 は 良好 な経 過 を 得 て い る.内
視 鏡 下 尿 道 形 成 術 後 に 尿 道 ス テ ン トを留 置 す る こ と に よ り,術 直 後 か ら良 好 な 排 尿 が 回 復 さ れ る.ま
た,従 来 は術 後 の 尿 道 狭 窄 に対 し て 定 期 的 な尿 道 拡 張 術(尿
双 方 に 苦 痛 の 多 い 疾 患 で あ っ た.尿
道 ブ ジー 法)が
必 要 と な り,患 者 医 療 者
道 ス テ ン トで は 留 置 中 に 良 好 な 排 尿 が 維 持 さ れ,約
時 に は尿 道 の 十 分 な拡 張 も確 保 さ れ て い る.
一年 後 の抜 去
J-16
教 育 セ ミ ナ ー1.
α1ア
ドレナ リン受 容 体 の ゲ ノム 薬 理
京都 大 学 大 学 院
辻本
薬 学研 究 科
ゲ ノム 創薬 科 学 分野
豪三
カ テ コ ー ル ア ミ ン は歴 史 的 に 最 も古 くか ら知 られ て い る神 経 伝 達 物 質 で あ り,そ の 受 容 体 で あ る ア
ドレ ナ リ ン受 容 体 の研 究 は古 くか ら行 わ れ て き た.ア
ドレ ナ リ ン受 容 体 の研 究 は,初 期 の 薬 物 親 和 性
に よ るサ ブ タ イ プ 分 類 か ら,1980年
代 後 半 か ら90年
代 に か け て の 遺 伝 子 ク ロ ー ニ ン グ を機 に,遺 伝
子 ・蛋 白質 レベ ル へ の 理 解 へ と,よ
り詳 細 に 拡 が りつ つ あ る.ゲ
ノ ム 科 学 の 進 歩 に よ っ て,遺 伝 子 レ
ベ ル で α ア ド レナ リ ン受 容 体 の 情 報 伝 達 機 構 は明 らか と さ れ つ つ あ り,ま た,よ
り治 療 効 果 の 高 い サ
ブ タ イ プ 特 異 的 作 動 薬 ・拮 抗 薬 の 開 発 が 可 能 と な っ て い る.今 後 の 研 究 の 進 展 に よ り,現 在 不 明 な 点
が 多 く残 さ れ て い る組 織 レベ ル,さ
的 意 義,病
ら に は個 体 レベ ル で の α1ア ドレ ナ リ ン受 容 体 サ ブ タ イ プ の 生 理
態 との 関 連 の 解 明 が 期 待 され る.
教 育 セ ミ ナ ー2.
膀 胱 平 滑 筋 と抗 コ リ ン 薬,そ
の 現 状 と 未 来 ― ア トロ ピ ン 抵 抗 性 収 縮 と
その 問題
熊 本大 学 大 学 院 医学 薬 学研 究 部
吉田
泌 尿 器病 態 学 分 野
正貴
下 部 尿 路 機能 障 害 は大 き く蓄 尿 障 害 と排 出 障 害 に分 け られ る.一
状 を 中 心 と した 症 候 群 と し て,過
活 動 膀 胱(overactive
す る 関 心 が 高 ま っ て い る.OABの
bladder:
昨 年,国
OAB)が
際 禁 制 学 会 に よ り蓄 尿 症
定 義 さ れ,こ
の 疾 患 に対
治 療 は 薬 物 療 法 が 主 流 で あ り抗 コ リ ン剤 が 汎 用 さ れ て い る.
膀 胱 平 滑 筋 の 収 縮 に は コ リ ン作 動 性 神 経 か ら放 出 さ れ る ア セ チ ル コ リ ン と非 ア ド レ ナ リン,非 コ リ
ン(non-adrenergic,
non-cholinergic:
NANC)性
神 経 伝 達 物 質 が 関 与 して い る.NANC神
経伝 達物
質 に よ る膀 胱 収 縮 は ア トロ ピ ン抵 抗 性 収 縮 と呼 ば れ,そ
phate
(ATP)と
考 え ら れ て い る.ATPは
の 主 要 な 神 経 伝 達 物 質 はadenosine
プ リ ン 受 容 体 の う ちP2X受
triphos-
容 体 を介 し て,細 胞 外 の カ ル シ
ウ ム を 細 胞 内 に 移 行 す る こ とに よ り収 縮 反 応 を惹 起 す る.正 常 ヒ ト膀 胱 で は この ア トロ ピ ン 抵 抗 性 収
縮 は全 体 の 数%と
さ れ て い る が,各
種 病 態(神
経 因 性 膀 胱,前
立 腺 肥 大 症,間
質 性 膀 胱 炎)や
加齢 で
は こ の ア トロ ピ ン抵 抗 性 収 縮 の 割 合 が 増 加 す る と報 告 され て い る.我 々 の 検 討 で,ヒ
ト膀 胱 の ア トロ
ピ ン抵 抗 性 収 縮 は加 齢 に よ る増 加 す る こ とが 明 らか とな っ た.ま た 最 近,特 発 性OABの
患者膀 胱 で は
P2×2受
OABに
容 体 を 介 す る収 縮 反 応 の 亢 進 も報 告 され て い る.
使 用 さ れ る抗 コ リ ン剤 は膀胱 の ム ス カ リ ン受 容 体 に よ る 収 縮 機 構 を阻 害 す る こ とで 排 尿 筋
過 活 動 を抑 制 し,尿 意 切 迫 感 や 頻 尿 な どの 症 状 を 改 善 す る と考 え ら れ る.抗
コ リ ン 剤 に は現 在 使 用 さ
れ て い る塩 酸 オ キ シブ チ ニ ン や 塩 酸 プ ロ ピベ リ ン の 他 に も,数 種 類 の 薬 剤 が 現 在 治 験 中 あ る い は 申 請
中 で あ る.こ れ ら の薬 剤 は,純
粋 に 抗 ム ス カ リ ン作 用 だ け の も の と,抗 ム ス カ リ ン作 用 に 加 え カ ル シ
ウ ム 拮 抗 作 用 を有 す る もの の2つ
に 分 類 さ れ る.高 齢 者 で は 過 活 動 膀 胱 の 有 病 率 が 高 く,膀 胱 収 縮 の
ア トロ ピ ン 抵 抗 性 収 縮 が 増 加 す る こ と,過 活 動 膀 胱 患 者 の 膀 胱 で は プ リ ン 作 動 性 収 縮 が 亢 進 す る こ と
な ど を 考 慮 す る と,抗 ム ス カ リ ン作 用 の み の薬 剤 に 比 較 し て カ ル シ ウ ム 拮 抗 作 用 を併 せ 持 つ 薬 剤 の 方
が よ り有 効 に膀 胱 収 縮 を抑 制 す る可 能 性 が 考 え られ る.
今 回 は,膀 胱 平 滑 筋 収 縮 機構 の 変 化 の 中 で,特
用 機 序 な ど を 中 心 に話 題 を 提 供 し た い.
に ア トロ ピ ン抵 抗 性 収 縮 の 意 義 と,抗
コ リ ン剤 の 作
J-17
1.
リ ゾ フ ォ ス フ ァ チ ジ ン酸 に よ る 気 道 平 滑 筋 の 遊 走 はA-キ
ナ ー ゼ に よ っ て抑 制 され る
九 州 大 学大 学 院 ・医 学研 究 院 ・生体 情 報薬 理
大池
正 宏, 平 川
雅 和, 辛 島
裕 士, 伊 東
喘 息 患 者 に お け る気 道 壁 の リモ デ リ ン グ は,繰
生 じ る構 造 的 変 化 と考 え られ て い る.活
祐之
り返 す 炎 症 に よ る気 道 平 滑 筋 の遊 走 と増 殖 に よ っ て
性脂 質 リゾ フ ォ ス フ ァ チ ジ ン酸(LPA)は
障 害 を受 け た 気 道
上 皮 で産 生 さ れ,気 管 支 喘 息 等 の 原 因 の ひ とつ で あ る 可 能 性 が 指 摘 され て い る.本 研 究 で 我 々 は,LPA
が ウ シ 気 道 平 滑 筋 の 遊 走 能 に お よ ぼ す 影 響 と,そ の 薬 物 に よ る改 善 の 可 能 性 を検 討 した.LPAに
小 分 子G蛋
白RhoAの
コ ン フ ル エ ン トに培 養 し たBTSMCを
ろ,LPAは
より
活 性 化 が 生 じ,ま た こ れ に引 き続 き ア ク チ ン細 胞 骨 格 の 重 合 が 生 じ た.さ ら に,
擦 過 して 無 細 胞 野 を作 り,そ こに 遊 走 す る細 胞 を計 数 し た と こ
これ を有 意 に 増 大 させ た.ま た 遊 走 境 界 部 分 を ア ク チ ン染 色 で 観 察 す る と,遊 走 起 始 部 に
は 強 い ア クチ ン の 重 合 を認 め た の に 対 して 遊 走 し た 細 胞 に は ほ とん ど ア ク チ ン線 維 を認 め な か っ た.
従 っ て,ア
ク チ ン の重 合 は 気 道 平 滑 筋 細 胞 の遊 走 開 始 機 構 と し て 重 要 で あ る と考 え られ た.こ
の 反 応 へ の 薬 物 の 作 用 を 次 に検 討 した と こ ろ,Rho-キ
ナ ー ゼ 阻 害 薬Y27632に
クチ ンの 重 合 と細 胞 遊 走 が 抑 制 さ れ た.ま た,細 胞 内cAMP濃
度 を ジ ブ チ リルcAMP,フ
ン ま た は テ オ フ ィ リ ン に よ っ て 増 加 させ る と,LPAに
よ るRhoAの
走 の 全 て が 抑 制 さ れ た.A-キ
これ らのcAMP濃
した が,Y27632の
ナ ー ゼ 阻 害 薬KT5720は
の一連
よ るア
ォル ス コ リ
活 性 化,ア ク チ ン の 重 合,細 胞 遊
度 上 昇 薬 に よ る作 用 を 阻 害
作 用 に は影 響 を与 え な か っ た.以 上 の 結 果 よ り,cAMP/A-キ
る気 道 平 滑 筋 細 胞 の遊 走 を,RhoAの
よ っ てLPAに
ナ ー ゼ はLPAに
よ
活 性 化 とそ れ に 続 くア ク チ ンの 重 合 を 阻 害 す る こ と で抑 制 す る
と考 え られ た.こ の こ と は,気 道 壁 の リモ デ リ ン グ をcAMP上
昇 作 用 が あ る薬 物 で 阻 害 で き る 可 能 性
を示 唆 す る もの と考 え られ た.
2.
モ ル モ ッ ト気 管 平 滑 筋 に お け るcarbachol及
るJNK阻
びendothelin-1に
よ る収 縮 反 応 に 対 す
害 薬 の作 用
日本大 学 ・薬 ・機 能形 態 学 研究 室1,東 邦 大 学 ・薬 ・薬理 学 教 室2
齋藤
清 茂1, 木 澤
【目 的 】Mitogen-activated
(ERK),
ERK5,
類 され,細
p38 MAPK及
胞 増 殖,分
化,ア
靖 夫1, 小 池
protein
びc-Jun
勝 夫2, 草 間
kinase
(MAPK)は,extracellular
NH2-terminal
ポ トー シ ス,ス
貞1
kinase
JNK阻
signal-regulated
kinase
の サ ブ フ ァ ミ リー に 分
ト レス 応 答 な ど多 くの 生 命 現 象 に お い て 重 要 な役 割 を果
た して い る こ とが 知 られ て い る.平 滑 筋 収 縮 に お い て もMAPKの
やp38MAPKを
(JNK)の4つ
関 与 が 示 され て お り,近 年,ERK
介 し た 経 路 と ミオ シ ン軽 鎖 リ ン酸 化 非 依 存 性 収 縮 と の 関 連 が 示 唆 され て い る.一 方,
害 薬 は 喘 息 治 療 薬 と して の 応 用 が 期 待 さ れ て い るが,気 道 平 滑 筋 の 収 縮 反 応 に対 す る作 用 は ほ
と ん ど 報 告 さ れ て い な い.本 研 究 で は,受 容 体 作 動 薬 に よ る気 管 平 滑 筋 の収 縮 反 応 に対 す るMAPK,
特 にJNKの
寄 与 に つ い て 検 討 し た.【
方 法 】Hartley系
モ ル モ ッ トか ら摘 出 した 気 管 を 実 験 に供 し
た.筋 の 張 力 変 化 は 等 尺 性 に記 録 した.【 結 果 及 び 考 察 】 モ ル モ ッ ト気 管 平 滑 筋 に お い て,carbachol
(CCh,1μM)及
びendothelin-1(ET-1,10nM)は
あ るSP600125
(3-30μM)は,p38MAPK阻
を強 く抑 制 した.こ れ に対 し,ERK
よ りCCh収
pathwayを
持 続 的 な収 縮 反 応 を 引 き起 こ した.JNK阻
害 薬 で あ るSB203580(25μM)と
阻 害 す るPD98059(25μM)及
縮 は抑 制 さ れ な か っ た.一 方,ET-1収
縮 はSP600125,PD98059及
著に 抑 制 さ れ た.以 上 よ り,モ ル モ ッ ト気 管 平 滑 筋 に お い て,JNK
pathwayが
収 縮 反 応 に お い て 重 要 で あ る こ と,収 縮 に 関 与 す る シ グ ナ ル 伝 達 が
CCh
とET-1と
で は 異 な る可 能 性 が 示 唆 さ れ た.
害薬で
比 較 す る とCCh収
縮
びUO126(25μM)に
びSB203580に
よ り顕
両 受容体 作動 薬 に よる
J-18
3.
Heat
shock
protein
20の 相 性 平 滑 筋 ス キ ン ド フ ァ イ バ ー に 対 す る 二 相 性 効 果
東 京 医科 大学 ・生 理学 第 一 学講 座1,九 州 大 学大 学 院 医学 研 究 院 ・薬 理 学講 座 ・臨床 薬 理 学分 野2
吉野
Heat
恭 正1, 森 本
shock
121)は
protein
20
幸 生2, 渡 辺
(HSP20)は
賢1
ア クチ ン結 合 能 を 持 ち,そ
トロ ポ ニ ンI抑 制 領 域(骨 格 筋;残
基104-115)と
位 由 来 の合 成 ペ プ チ ド(HSP20p110-121)が
て,Ca2+活
モ ル モ ッ ト盲 腸 紐 平 滑 筋 トリ トンX-100処
性 化 最 大 収 縮 を抑 制 す る一 方 で,収
回 日 本 平 滑 筋 学 会 総 会 で 発 表).こ
縮 のCa2+感
のHSP20pの
検 討 す る 目的 で,今 回,我 々 はCa2+活
理 標本 におい
受 性 を増 強 す る こ と を見 い だ した(第45
ス キ ン ド平 滑 筋 に対 す る 二 相 性 効 果 の メ カ ニ ズ ム を
影 響 に つ い て 検 討 を 行 っ た.HSP20pはCa2+活
オ シ ン軽 鎖 リ ン 酸 化 量 を増 加 す る が,リ
濃 度Mg2+に
基110-
性 化 収 縮 時 の ミオ シ ン軽 鎖 リ ン酸 化 量 と,高 濃 度Mg2+に
リ ン 酸 化 非 依 存 性 収 縮 に対 す るHSP20pの
時 に,ミ
の ア ク チ ン結 合 部 位(残
相 同 性 が 高 い.我 々 は この ア ク チ ン 結 合 部
ン酸 化 量 あ た りの 収 縮 張 力 を 減 少 させ た.さ
よ る リ ン酸 化 非 依 存 性 収 縮 張 力 をHSP20pは
が ミオ シ ン軽 鎖 リン 酸 化 を促 進 す る一 方 で,ク
よる
性化 収 縮
らに高
有 意 に減 少 さ せ た.以 上 の結 果 は,HSP20p
ロ ス ブ リ ッ ジ に直 接 的 に働 き ア ク チ ン ー ミオ シ ン相 互
作 用 を抑 制 す る こ と を示 唆 す る.
4.
May-Hegglin異
常症 と非 筋 ミオ シ ン変 異
北 里 大 学 ・医 ・内科IV1,マ
宮暗
浩 二1,
May-Hegglin異
中舘
サ チ ュー セ ッツ大 学 ・医 ・生理 学2,北 里 大 学 ・医 ・小児 科3
尚 也3, 渡 辺 真 理 子1, 平
美 也 子1, 池 辺
光 男2, 東 原
正 明1
常 症 は,巨 大 血 小 板 を有 す る 血 小 板 減 少 症 と好 中 球 の 特 徴 的 な 細 胞 質 内 封 入 体 を
もつ,常 染 色 体 優 性 遺 伝 形 式 の 遺 伝 疾 患 で あ り,近 年 非 筋 ミオ シ ン重 鎖 遺 伝 子(MYH-9)の
て お こ る こ とが 報 告 され た.今 回,わ れ わ れ はMay-Hegglin異
析 を行 った.第
1841番
変異 に よっ
常 症 の 異 な る2家 系 を経 験 し遺 伝 子 解
一 例 め は,母 親 と二 人 の 娘 が と もに 本 疾 患 を 有 して い た.MYH-9の
目 の グ ル タ ミ ン酸 が リジ ン に 点 突 然 変 異 して い る こ とが3人
遺 伝子 解析 にて
共 に認 め られ た.次 に 末 梢 血 塗 沫
標 本 を 抗 ミオ シ ン抗 体 に て 免 疫 蛍 光 染 色 し た と こ ろ,好 中 球 の 封 入 体 が 強 く染 色 さ れ ミオ シ ン の 存 在
が 確 認 され た.ま
た,同
時 に ア ク チ ン線 維 をphalloidin染
色 した と こ ろ,そ
の封入体 の中心部 分 が染
ま り,ア ク チ ン 線 維 が 封 入 体 中 心 部 分 に 存 在 し て い る こ とが 示 さ れ た.こ れ まで に 電 子 顕 微 鏡 に て,本
封 入 体 は フ ィ ラ メ ン ト構 造 を呈 し て い る こ とが 分 か っ て い た が,そ
こ に ミオ シ ン の み な らず ア ク チ ン
線 維 も存 在 し て い る こ とが,今
の 点 突 然 変 異 を有 す る ミオ シ ン を
回 初 め て 明 らか に な っ た.ま
た,こ
大 量 発 現 さ せ 生 化 学 的 に フ ィ ラ メ ン ト形 成 能 を調 べ た と こ ろ 高 塩 濃 度 に お い て も重 合 が 解 離 しな か っ
た.細
胞 内 封 入 体 は この よ う な 変 異 ミオ シ ン の 生 化 学 的 性 質 を反 映 して い る と考 え られ た.第
は,非 筋 ミオ シ ン重 鎖 の 遺 伝 子 解 析 に て,あ
二例 目
き ら か な変 異 は 認 め ら れ な か っ た.こ
れ まで にわが 国で
報 告 さ れ た 中 で,遺 伝 子 解 析 の な さ れ た もの は,国 島 ら に よれ ば こ れ ま で に約30症
例 に お よ ぶ.し か
し,そ
の 全 て に ミオ シ ン重 鎖 に 異 常 を認 め て い る.本 疾 患 の病 態 が,一 例 め の 変 異 ミオ シ ン で 示 さ れ
た よ う に ミオ シ ンの フ ィ ラ メ ン ト形 成 能 に 関 係 す る な ら ば,本 症 例 の 原 因 遺 伝 子 解 析 は ミオ シ ン重 合
の メ カ ニ ズ ム に 関 与 す る他 の 分 子 の存 在 の 可 能 性 が あ り,き わ め て 興 味 深 い.今
の 解 析 を進 め る予 定 で あ る.
後,遺
伝 子変 異部 位
J-19
5.ト
ロ ポ ニ ンI抑
制 領 域 由 来 ペ プ チ ドは 平 滑 筋 の ラ ッ チ 形 成 を 促 進 す る
東 京 医科 大 学 ・医 ・生 理学 第 一講座
渡辺
賢,吉
野
恭正
横 紋 筋 ト ロ ポ ニ ンI抑 制 領 域(心
LRRVR-NH、)は,平
筋 型;領
域136-147)由
滑 筋 ス キ ン ド標 本 収 縮 を,ミ
す る.ミ オ シ ン結 合 能 を持 た な こ とか ら,Tnlpは
ブ リ ッ ジ 形 成 を抑 制 す る と考 え られ た(Watanabe
るTnlpの
Tnlpは
作 用 を 明 らか に す る 目 的 で,ス
来 ペ プ チ ド(Tnlp;Ac-GKFKRPT-
オ シ ン軽 鎖 リ ン酸 化 に影 響 を与 え る こ とな く抑 制
細 い フ ィ ラ メ ン ト機 能 に 影 響 し て,平 滑 筋 の ク ロ ス
et al.,2003).今
回,ク
ロ ス ブ リ ッ ジ解 離 に 対 す
キ ン ド標 本 の 弛 緩 経 過 に対 す るTnlpの
効 果 を検 討 した.
弛 緩 速 度 を速 め る 一 方 で,完 全 な 弛 緩 を妨 げ 張 力 を一 定 状 態 に 保 持 させ た.弛 緩 時 に 解 離 す る
早 い ク ロ ス ブ リ ッ ジ の 一 部 は遅 い サ イ ク ル の ク ロ ス ブ リ ッ ジ(い わ ゆ る ラ ッチ)に 移 行 す る(Kuhll
al.,1990)と 仮 定 す る と,Tnlpは
ジ へ の 移 行 を共 に 促 進 す る た め に,弛
起 こ し た と考 え られ る.今
et
早 い サ イ ク ル の ク ロ ス ブ リ ッ ジ解 離 と,遅 い サ イ ク ル の ク ロ ス ブ リ ッ
緩 速 度 の 上 昇 と ラ ッ チ の 形 成 とい う,一 見 相 反 した 現 象 を 引 き
回 の 実 験 結 果 は,細
い フ ィ ラ メ ン トが ラ ッ チ の 形 成 に 決 定 的 な役 割 を 果 た
す こ と を示 唆 す る.
6.チ
ロ シ ン キ ナ ー ゼ 関 連 メ カ ニ ズ ム は 平 滑 筋Caチ
ャ ネ ル を β ア ドレナ リ ン受 容 体 刺 激
心 筋 チ ャ ネ ル モ ー ドに す る
名 古 屋大 学
中山
大学 院 医 学 系研 究 科
晋 介,上
心 筋 のCaチ
條
厚
ャ ネ ル と は対 照 的 に,一 般 的 に 平 滑 筋Caチ
ャ ネ ル に は β ア ド レ ナ リ ン受 容 体 刺 激 に
よ っ て 大 き な 活 性 化 は 認 め られ な い.心 筋 と平 滑 筋 に お け る β 受 容 体 サ ブ タ イ プ は そ れ ぞ れ β1,β2
に分 類 さ れ るが,ど ち ら もcyclic AMPカ
ル は 同 一遺 伝 子 のsplice variantで
に類 似 し たCaチ
ス ケ ー ドを 活 性 化 す る.さ らに,心 筋 と平 滑 筋 のCaチ
あ り,95%の
相 同 性 が あ る.ど の よ う な メ カ ニ ズ ム が,こ
ャ ネ ル に 生 理 学 的 機 能 の 差 異 を 与 え る の で あ ろ う か?今
ャネ
のよう
回 の膀 胱平 滑 筋 を用 いた
第 二 の 開 口状 態 に 関 す る実 験 に よ り,チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ 関 連 メ カ ニ ズ ム が この 重 要 な役 割 に 寄 与 す る
こ とが 結 論 され た.
J-20
7.胃
機 能 か らみ た 潰 瘍 性 大 腸 炎 の 病 態
日本 歯 科 大 学 ・歯 ・外科 学 講座1,日 本 大 学 ・医 ・外 科学 講 座 外科1部 門2
富田
涼 一1,池
田
太 郎2,五
【目的 】 潰 瘍 性 大 腸 炎(UC)で
十 嵐 誠 悟2,丹
よ う に な っ た.し か し,UCの
頻 便 は 胃 ・小 腸 通 過 時 間 の 促 進 に起 因 す る可 能 性 が 示 唆 さ れ る
胃排 出 機 能 を検 討 した 報 告 で は,正 常 例 と変 わ らな い,あ
ど と相 反 す る 結 果 が 報 告 さ れ,UCと
未 だ 報 告 さ れ て い な い,UC症
性10例,女
性4例,女
性4例,24-46歳,平
トー プ 法)と 液 体 食 胃 排 出 機 能(ア
と も に,UC例
る い は,促 進
胃排 出 機 能 の 関 連 は不 明 で あ る.そ こ で,本 邦 で は
例 の 胃排 出 機 能 を 明 らか に す る こ とを 目 的 に本 研 究 を行 っ た.【 対 象 と
方 法 】 全 大 腸 炎 型 活 動 期UC5例(男
14例(男
勝 久2
は,大 腸 ば か りで な く,胃 や 小 腸 な どの 上 部 消 化 管 運 動 機 能 異 常 も
存 在 す る こ とが 指 摘 さ れ て お り,UCの
し て い る,な
正
性1例,29-49歳,平
均35.8歳)を
均38.6歳)に
対 照 に,半
つ い て,健 常 人
固 形 食 胃排 出 機 能(ラ ジ オ ア イ ソ
セ トア ミノ フ ェ ン法)を 検 討 し た.【 成 績 】 半 固 形 食 お よ び 液 体 食
が 対 照 例 よ りや や 排 出 機 能 が 低 下 を 示 し た が,有 意 差 は認 め られ な か っ た.そ し て,UC
で の 半 固 形 食 お よ び 液 体 食 の 胃排 出 曲線 は と もに,対 照 と類 似 の 排 出 パ タ ー ン を示 した.【 結 論 】 全 大
腸 炎 型 活 動 期UCの
8.モ
胃排 出 機 能 は 正 常 で あ り,頻 便 に は関 与 して い な い と思 わ れ た.
ル モ ッ ト胃 輪 走 平 滑 筋 の 自 発 電 気 活 動 に お よ ぼ す ボ ル ボ ー ル エ ス テ ル の 作 用
名 古屋 市 立 大学 大 学 院 ・医 学研 究科 ・細胞 機 能 制御 学
中村
江 里,鈴
木
光
モ ル モ ッ ト胃体 部 か ら摘 出 し た 輪 走 平 滑 筋 小 組 織 は緩 や か な 脱 分 極 電 位(Slow
的 に 発 生 し て い る.こ の 電 位 に 及 ぼ すProtein
体 抑 制 薬(2-aminoethoxy
幅 に はPKCとIP,が
Phorbol
diphenylborate,
を変 化 さ せ る と考 え られ る.そ
発 的 に 発 生 す るSlow
(1-10nM)のPDBuやPMAは
平 滑 筋 学 会 総 会 に お い て報 告).
potentialsに
及 ぼ すPDBuやPMAの
頻 度 や 振 幅 を 増 大 させ,そ
potentialsの
作 用 はChelerythrineで
(0.HμM)のPDBuやPMAは
膜 を僅 か に 脱 分 極 さ せSlow
potentialsの
濃度
拮 抗 さ れ た.ア
制薬 や
減 弱 した.高 濃 度
律 動 的 発 生 を抑 制 した の
性 の 律 動 的 変 動 が 伴 っ て い る と考 え た.高 濃 度 のPDBuは
ン に よ る興 奮 作 用 も減 弱 さ せ た の で,PKCが
し て い る こ とが 推 察 さ れ た.
頻度
発 生 頻(度 を 増
れ らの 作 用 は それ ぞ れPKC抑
IP、受 容 体 抑 制 薬 で 拮 抗 され た.ア セ チ ル コ リン に よ る興 奮 作 用 はPDBuやPMAで
で,自 発 活 動 発 生 に はPKC活
potentialsの
作 用 を検 討 した.低
静 止 膜 電 位 を変 化 させ る こ とな くSlow
potentialsの
容
頻 度 と振
出 胃輪 走 平 滑 筋 細 胞 か ら ガ ラ ス 微 小 電 極 を用 い て細 胞 内 記 録
加 さ せ た が,そ の振 幅 は 変 化 させ な か っ た.PDBuやPMAの
セ チ ル コ リ ン はSlow
potentialsの
活 性 化 させ る作 用 を 有 す る の で,Slow
こで,摘
律動
制 薬(Chelerythrine)やIP3受
どの 効 果 か ら,Slow
そ れ ぞ れ 関 与 し て い る こ とが わ か っ た(第45回
esters(PDBu,PMA)はPKCを
を お こ な い,自
kinaseC(PKC)抑
2-APB)な
potentials)を
アセ チル コ リ
ム ス カ リ ン 受 容 体 を 介 す る興 奮 発 生 の調 節 機 構 に も 関 与
J-21
9.腸
神 経 か ら のacetylcholine遊
channelの
離 に お け るsmall
conductance
Ca2+-activated
K+
役割
大 阪 府 立大 学 ・大 学 院 農 学生 命 科 学研 究 科 ・応 用 薬理 学 研 究 室
竹 内
正 吉,末
永
清 剛,篠
種 々 の 消 化 管 機 能 へ のsmall
崎 亜 也 子,藤
conductance
田
秋 一,畑
Ca2+-activated
い る。 今 回,腸 神 経 叢 か らのacetylcholine
(ACh)遊
文明
K+(SK)
離 へ のSK
channelの
関与 が示 唆 され て
chanllelの 関 与 を調 べ た 。 【
方 法 】壁
内 神 経 叢 の 付 着 した モ ル モ ッ ト回 腸 縦 走 筋 標 本 を電 気 刺 激(EFS)あ
る い は ニ コ チ ン刺 激 し,浴 液 中 に
遊 離 して く るAChをHPLCで
ッ ト消 化 管 で の 局 在 を免 疫 組 織 化
定 量 し た 。SK2の
学 的 手 法 に よ り調 べ た 。 【結 果 】 自 発 性ACh遊
抗 体 を 作 成 し,ラ
EFSに
離 はapamin(100nM)に
よ り影 響 さ れ な か っ た が,
よ る遊 離 は僅 か だ が 有 意 に増 加 した 。 ニ コ チ ン刺 激 誘 発 性ACh遊
で 著 し く増 加 した 。 一
一方,BKchannelの
阻 害 剤 で あ るiberiotoxinは,こ
ん ど作 用 を 示 さ な か っ た 。TetrodotoxinはEFSお
した 。Ryanodineは
離 を 増 加 した 。以 前 に 抗SK3抗
局 在 を調 べ,平 滑 筋 とgap結
か に した 。 今 回,抗SK2抗
合 を 持 つ 飾roblast様
体 を作 成 し,SK2の
用 い て 調 べ た と こ ろ,SK2に
体 を用 い て,ラ
神 経 節 で のSK2の
ッ ト
細 胞 に 発 現 し て い る こ とを 明 ら
局 在 を調 べ た 。抗SK2抗
体 の 特 異 性 を,HEK細
特 異 的 で あ る こ とが 確 認 で き た 。ラ ッ ト消 化 管 で はSK2の
が 免 疫 電 顕 に よ り分 か っ た 。 【考 察 】 以 上 の 結 果 か ら,SKchannelは
離 には ほ と
離 を 著 し く抑 制
内 神 経 叢 内 の 神 経 節 に 認 め ら れ た 。更 に,神 経 細 胞 を 取 り囲 む グ リア 細 胞 にSK2が
体 の 活 性 化 に よ るACh遊
上 のapalnil1
れ ら のACh遊
よ び ニ コ チ ン刺 激 誘 発 性ACh遊
ニ コ チ ン刺 激 誘 発 性ACh遊
消 化 管 で のSK3の
離 は30nM以
胞を
免 疫 反 応 は壁
発 現 してい るこ と
細 胞 体 に存 在 す るニ コチ ン受 容
離 に重 要 な 役 割 を 持 っ こ とが 示 唆 さ れ た 。 グ リア 細 胞 に お け る 局 在 か ら腸
コ リナ ー ジ ッ ク神 経 へ の 関 与 が 示 唆 さ れ た が,更
10.Hirschsprung病
に詳 細 な検 討 が 必 要 で あ る。
ラ ッ トの 無 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 に お け る 収 縮 特 性 に 関 す る 研 究
九 州大 学 ・大 学 院 ・医学 研 究 院 ・小 児外 科
中辻
隆 徳,家
【目 的 】Endothelin
呈 しHirschsprung病
入
里 志,秋
吉
潤 子,水
B受 容 体(EDNRB)遺
田
祥代
伝 子 欠 損 ラ ッ トのhornozygous
の モ デ ル 動 物 と して 知 られ て い る.こ
る が,平 滑 筋 の収 縮 特 性 や細 胞 内 情 報 伝 達 機i構に着 目 した 研 究 は 少 な い.そ
ラ ッ トの 無 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 にお け る収 縮 時 の 細 胞 内Ca2+濃
週 齢 のEDNRB遺
伝 子 欠 損 ラ ツ トのhomozygous
の 正 常 腸 管 平 滑 筋 条 片 を 用 い て,そ
([Ca2+]i)と
遺 伝 子 欠 損 ラ ッ トのhomozygous
た.holnozygous
び 発 生 張 力 を そ れ ぞ れ0%及
typeの
び100%と
typeの 無 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 で は10μMの
type
度
び60mMK+
した.【 結 果 】EDNRB
カルバ コール刺 激 に よ る
あ っ た.一 方,wildtypeの
昇 と発 生 張 力 の 最 大 値 は そ れ ぞ れ145.6%と269.6%で
正 常 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 に 比 べ て[Ca2+]i上
な っ た[Ca2+]i上
伝子 欠 損
無 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 条 片 お よ びwild
ル バ コ ー ル の ア ゴ ニ ス ト刺 激 を 加 え た 場 合,homozygous
はwildtypeの
て,異
こでEDNRB遺
度 変 化 に つ い て検 討 し た.【 方 法 】34
れ ぞ れ に お け る カ ル バ コ ー ル の 収 縮 機 序 を 細 胞 内Ca2+濃
昇 と発 生 張 力 の 最 大 値 は そ れ ぞ れ106.5%と175.5%で
平 滑 筋 に お け る[Ca2+]i上
μMカ
無神経 節腸 管 を
張 力 の 同 時 測 定 法 を 用 い て 比 較 検 討 した.コ ン トロ ー ル と し て5.9mMK+及
に よ る刺 激 を行 い そ の 際 の[Ca2+]i及
[Ca21]i上
typeの
typeは
れ まで に も多 数 の 研 究 報 告 が な さ れ て い
正 常腸 管
あ っ た.【 結 論 】10
typeの 無 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 に お い て
昇 は低 値 を 示 し,張 力 も 同様 の傾 向 を認 め
無 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 に お い て は,wild
typeの 正 常 神 経 節 腸 管 平 滑 筋 と比 べ
昇 の メ カ ニ ズ ム を 有 す る可 能 性 が 示 唆 さ れ た.
J-22
11.マ
ウ ス 胃底 部 輪 走 筋 の持 続 性 弛 緩 の メ デ イエ イ タ ー
大 阪府 立 大 学 ・大学 院 農 学 生命 科 学研 究 科 ・応 用薬 理 学研 究 室1,大 阪 大学 ・大 学 院 ・薬 学 研 究科 ・神
経 薬理2
向井
和 則1,竹
内
正 吉1,新
谷
紀 人2,橋
本
均2,馬
場
明 道2,畑
文 明1
胃 の 神 経 性 反 応 と し て,内 容 物 の 貯 留 に 関 与 す る受 容 性 弛 緩 が 特 徴 的 で あ る.本 研 究 で は マ ウ ス 胃
底 部 条 片 を 用 い て,経
壁 電 気 刺 激(EFS)に
【方 法 】 マ ウ ス(PACAPK.O.マ
よ り現 れ る持 続 性 弛 緩 の メ デ ィエ イ タ ー を 検 索 し た.
ウ ス とそ のwildtypeマ
ウ ス)か
マ グ ヌ ス法 で,EFS(20V,0.5msecduration,1-10Hz)に
マ ウ ス に お い て,EFSに
を生 じた.阻
よ り,一 過 性 の 弛 緩 とそ れ に 続 く収 縮 が 生 じ た.EFS終
続 性 弛 緩 はPACAP受
よ り完 全 に抑 制 され た.PACAPK.0.マ
の 持 続 性 弛 緩 が 生 じた.こ の 弛 緩 は抗PHI抗
も 完 全 に抑 制 さ れ た.外
wild
typeマ
PACAPとPHIに
体 に よ り,resting
toneが
容 体 ア ン タ ゴ ニ ス トの
ウ ス に お い て,EFSに
よ り,wildの
半 分程 度
体 に よ り著 し く抑 制 さ れ た.ま たPACAP6-38に
か ら適 用 し たPHIに
ウ ス の持 続 性 弛 緩 は抗PHI抗
よ び 抗PHI抗
了 後 も持 続 性 の 弛 緩
害 薬 を用 い た 実 験 か ら,一 過 性 の 弛 緩 と そ れ に続 く収 縮 は,そ れ ぞ れ 一 酸 化 窒 素 とACh
に よ り メ デ ィエ イ トさ れ て い る こ とが 示 さ れ た.持
PACAP6-38に
ら胃 底 部 輪 走 筋 層 の 条 片 を作 成 し,
よ る 反 応 を記 録 し た.【 結 果 】wildtype
よ る 弛 緩 はPACAP6-38に
体 に よ り抑 制 され た.両
よって
よ り完 全 に 抑 制 さ れ た.
マ ウ ス に お い て,PACAP6-38お
著 し く上 昇 し た.【 考 察 】 マ ウ ス 胃底 部 で の 持 続 性 弛 緩 は
よ りメ デ ィエ イ トさ れ て い る こ とが 示 唆 され た.ま た,両 伝 達 物 質 が 常 に一 定 の 抑
制 的 な 制 御 を か け て い る こ と も示 唆 さ れ た.な お,PACAP6-38はPHIの
作 用 を も阻 害 す る こ と が 示
され た.
12.糖
尿 病 モ デ ル ラ ッ トの 胃 運 動 に 対 す る エ ン ドセ リ ン ー1の
効果
名 古屋 市 立 大学 大 学 院 ・医 学研 究 科 ・臨床 機 能 内 科学
今枝
憲 郎,加
藤
岳史
【目 的 】 糖 尿 病 モ デ ル ラ ッ ト を 用 い て 胃 自 動 運 動 に 対 す るET-1の
ラ ッ トにStreptozotocin(STZ)を
効 果 を 検 討 し た.【 方 法 】SD
腹 腔 内 投 与 し糖 尿 病 モ デ ル ラ ッ ト(STZ群)を
力 測 定 法 で 胃前 庭 部 輪 走 平 滑 筋 切 片 の 自動 運 動 を 測 定 し,ET-1とsarafotoxin
較 検 討 し た.【 結 果 】C群(n=22)で
0.16±0.01gで
でC群(n=11)は
あ った.STZ群(n=12)で
は 筋 緊 張 度 は0.16±0.01gで
は い ず れ もC群
0.19±0.02g;後0.97±0.10g,p<0.05)の
み が 有 意 に 充 進 した.一
0.05),振
幅(前0.24±0.02;後0.31±0.04g,p<0.05)す
(前0.18±0.03g;後1.83±0.20g,p<0.05)の
幅
与
自動 運 動 の 頻 度(前2.6±
方,STZ群(n=6)で
は 筋 緊 張 度(前
投 与 で はC群(n=
度(前2.7±0.1/min;後3.2±0.1/min,p<
べ て 有 意 に 充 進 し た が,STZ群
み が 充 進 し た.【 結 語 】ET-1はET。
自動 運 動 を 充 進 し て お り,糖 尿 病 モ デ ル ラ ッ トで はET。
れ た.
自動 運 動 は頻(度2.6±0.1/min,振
み が 有 意 に充 進 した.S6c(10nM)の
8)は 筋 緊 張 度(前0.17±0.03g;後0.52±0.04g,p<0.05),頻
尺性 張
効 果 を比
と有 意 差 は な か っ た.ET―1(10nM)投
筋 緊 張 度(前0.17±0.02g;後0.83±0.08g,p<0.05)と
0.1/min;後2.9±0.1/min,p<0.05)の
作 製 した.等
S6c(S6c)の
で は筋 緊張度
受 容 体 を 介 して 胃
受 容 体 を介 し た 反 応 が 減 弱 し て い る と考 え ら
J-23
13.モ
ル モ ッ ト慢 性 腰 仙 随 破 壊 モ デ ル に お け る 直 腸 直 腸 お よ び 直 腸 内 肛 門 括 約 筋 反 射
奈 良 県立 医 科 大学 ・第 二生 理 学1,同
児島
祐1,勝
井
錬 太1,中
・消化 器総 合 外 科2
川
正1,藤
井
久 男2,中
島
祥 介2,高
木
都1
【目的 】 モ ル モ ッ ト慢 性 腰 ・仙 随 破 壊 モ デ ノ
レを作 製 し,白 律 神 経 損 傷 後 の 排 便 反 射 と 自 動 運 動 の経 時
的 変 化 を 調 べ,同
時 に,直 腸 の 壁 内 神 経 系(以 下ENS)と
化 を 調 べ た.【 対 象 と方 法 】 第1∼4腰
g,雄
性)を 作 成 し,術 後2,4,6,9日
傷 のControl群(n=10)と
腸 を 採 取 し,PGP9.5,ACK45を
日 に はControlよ
0.05),そ
目 に増 加(P<0.01)す
るが,そ
か し,直 腸 反 射 性 収 縮 の 大 き さ は,2日
り も増 大 し た(P<0.01).内
り も増 大 し た(P<0.01).し
の他 はControl群
日 口 以 降 低 下 し,6日
ら な か っ た.免 疫 染 色 に よ る,ENSとICCの
目 に はControlよ
り も減
目 に一 度 減 少 す る が,次 第 に増 大 し,91―1
目に は
目 の 直 腸 反 射 が 減 弱 した の み で(P<
た,直
腸 伸 展 時 に受 動 的 に 発 生 す る 内 圧 は4
り も低 下 し た(P<0.01).一
方,自 動 運 動 の 頻 数 は 変 わ
観 察 で は,無 傷 のcontrol群
ら か な 形 態 学 的 変 化 は認 め られ な か っ た.【 考 察 】 反 射 回 数,反
れ た 経 時 的 変 化 と,免 疫 染 色 でENSやICCの
自動 運
射 測 定 終 了 後 に直
肛 門 括 約 筋 反 射 性 弛 緩 も,次 第 に 増 大 し,9日
目 に はControlよ
形 態変
形 態 を共 焦 点 顕 微 鏡 で 観 察 し
の 後 減 少 し,9日
か し,ReHexareaは,2日
と有 意 差 を 認 め な か った.ま
目,9日
下ICC)の
ル モ ッ ト(体 重350∼450
比 較 検 討 した.反
用 い て 免 疫 染 色 を行 い,ENSとICCの
た.【 結 果 】 反 射 回 数 は,2日
Controlよ
カ ハ ー ル の 問 質 細 胞(以
随 破 壊(以 下PITH)モ
目 に排 便 反 射(直 腸 直 腸 お よび 直 腸 内 肛 門 括 約 筋 反 射)と
動 を 測 定 し(PITH群,各n=7),無
少 した(P<0.05).し
随 と第1∼3仙
と比 べ て,PITH群
射 反 応 の 大 き さ,ReHex
で,明
areaで
み ら
形 態 変 化 が 認 め られ な か っ た こ とか ら,自 律 神 経 損 傷 後
も腸 壁 内 神 経 系 が 機 能 的 変 化 を遂 げ,排 便 機 能 を維 持 し て い る と思 わ れ る.
14.モ
ル モ ッ ト小 腸 力 バ ー ル の 介 在 細 胞(ICC)の
三次 元的構築
早 稲 田 大学 ・人 間科 学 部 ・健 康 福 祉科 学 科1,福 井大 学 医 学部 ・解 剖 学第 一講 座2
小室
輝 昌1,堀
口
カ ハ ー ル の 介 在 細 胞(ICC)が
す る こ と は,既
成 果,例
和 秀2
消 化 管 蠕 動 運 動 の ペ ー ス メ ー カ ー お よ び 平 滑 筋 へ の 興 奮 伝 達 機 能 を有
に 周 知 の 事 実 とな っ た が,そ
え ば,各
の 一 方,多
種 ニ ュー ロ ン の 支 配 領 域,投
年 に渡 っ て 蓄 積 さ れ て 来 た 腸 管 神 経 系 の研 究
射 方 向 な ど を 示 す 回 路 図 に対 応 さ せ,運
包 括 的 に 考 察 す る ま で の 充 分 な成 果 は 得 られ て い な い.本
た め,モ ル モ ッ トの 小 腸 を材 料 と し て,ICC各
試 料 は全 載 伸 展 標 本 と し てc-Kitお
研 究 で は,こ
型 の 三 次 元 的構 築,数 量 的 特 徴 に つ い て検 索 を 試 み た.
よ びPGP9.5免
疫 組 織 化 学 染 色 を施 し,共 焦 点 顕 微 鏡 に よ り観 察
し た.生 後6週
令,腸 管 の 円 周 約20mmの
そ700∼800ミ
ク ロ ン の 間 隔 で 配 列 して お り,筋 層 問 神 経 叢 のICC―APは
り巻 い て い るの が 明 瞭 に観 察 さ れ た.こ
動 物 の 空 腸 で は,筋 層 問 神 経 節 は腸 の長 軸 に 対 して,お
周 あ た りの 数 は 約130個
の 円 周 か ら起 る と考 え る と き,少
よ
個 々 の 神 経 節 を カ ゴ 状 に取
れ は,腸 壁 の 一 部 平 面 上 にICC-APが
を意 味 す る.多 極 性 の 細 胞 の 突 起 問 の距 離 は し ば し ぼ200μmを
μmで,円
動制御 機構 を
の よ う な基 本 的 デ ー タ を 得 る
重複 して存在 す る こ と
越 え,円 周 に 沿 っ た 長 さ は平 均 約150
で あ っ た.こ の こ とは,蠕 動 運 動 が 腸 管 の 長 軸 上 の 一 点 を 通 る 腸 壁
な く と も約130個(∼260)のICC-APが
定 され る.深 部 筋 神 経 叢 のICC-DMPは
同 時 に発 火 す る可 能 性 が 推
同 じ く多 極 性 の細 胞 で あ るが,突 起 は輪 走 筋 に 沿 っ て 走 行 す
る た め,円 周 方 向 の 突 起 の 長 さ は約200∼300μm,円
周 あ た りの 数 は 約80個,腸
管長軸 方 向の細 胞列
の 間 隙 は 平 均50μmで
あ っ た.ま た 輪 走 筋 層 内 のICC-CMは
輸 走 方 向 に 平 行 に位 置 す る 長 さ約250
∼350μmの
双 極i生の 細 胞 で
,非 常 に ま ば ら に観 察 さ れ た.継 続 「Pの観 察 結 果 を 含 め,ICCネ
ッ トソ ー
ク の 示 す 意 義 に つ い て 考 察 す る.
J-24
15.犬
モ デ ル を 用 い た 消 化 管 運 動 元 進 薬 物 の検 討
東 京慈 恵 会 医科 大 学 ・外 科
仲吉
朋 子,川
矢永
勝彦
崎
成 郎,中
【
背 景 】 セ ロ トニ ン5HT4受
田
浩 二,石
橋
由朗,鈴
木
裕,古
川
良 幸,羽
生
信 義,
容 体 に選 択 的 に作 用 す る ク エ ン酸 モ サ プ リ ド,お よ び ドー パ ミンD2受
容 体 拮 抗 作 用 とア セ チ ル コ リ ンエ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 を あ わ せ もつ 塩 酸 イ トプ リ ドは い ず れ も臨 床 的
に 広 く用 い ら れ て い る代 表 的 な 消 化 管 運 動 賦 活 剤 で あ る.それ ぞ れ の 薬 物 の 消 化 管 運 動 に 対 す る 作 用
様 式 を 知 る こ と は薬 物 の選 択 に 有 用 で あ る.【 目 的 】 イ ヌ を 用 い た 慢 性 実 験 モ デ ル を 作 成 し ク エ ン酸
モ サ プ リ ドお よ び 塩 酸 イ トプ リ ドの 消 化 管 運 動 効 果 を記 録 し比 較 ・検 討 す る.【 方 法 】 対 象:ビ
犬4頭(体
重10-12kg).全
下 部 結 腸 の 計7ケ
身 麻 酔 下 に開 腹 し 胃 体 部 ・胃前 庭 部 ・十 二 指 腸 ・空 腸 ・回 腸 ・上 部 結 腸 ・
所 に にStrain
Gauge
Force
Transducer
外 頚 静 脈 よ り中 心 静 脈 カ テ ー テ ル を 挿 入 した.約2週
塩 酸 イ トプ リ ド20mgを
度:い
ー グル
(SGT)を
縫 着 した.薬
物 投 与 路 と して 右
間 の 回復 期 間 の後 に ク エ ン酸 モ サ プ リ ド2rng,
そ れ ぞ れ 投 与 し消 化 管 運 動 に 及 ぼ す 効 果 に つ い て 観 察 し た.【 結 果 】 収 縮 強
ず れ の 群 に お い て も薬 物 の 投 与 直 後 に全 消 化 管 に お い て 同 時 性 の 強 い 収 縮 波 を 観 察 した.強
縮 様 収 縮 は い ず れ も通 常 のIMCと
比 べ て50-100%と
の 強 収 縮 様 収 縮 の 収 縮 頻 度 は通 常 のIMCと
与 に よ る収 縮 は 全 て のaction
十 分 な 強 さ の収 縮 で あ っ た.収
縮 頻 度:各
収
群で
ほ ぼ 同 様 で あ り,い ず れ の 薬 剤 を 用 い た場 合 で も薬 物 投
縮 時 間:ク
エ ン酸 モ サ プ リ ドの 投
与 に よ る収 縮 は 小 腸 か ら結 腸 を 含 む 下 部 消 化 管 に対 し て よ り長 く作 用 した.塩
potentialに
乗 っ た もの で あ っ た.収
酸 イ トプ リ ドの 強 収 縮
様 収 縮 は 胃 に お い て ほ か の 部 位 よ り も よ り長 く持 続 す る傾 向 が 見 られ た.【 結 語 】 ク エ ン酸 モ サ プ リ
ド と塩 酸 イ トプ リ ドは い ず れ も全 消 化 管 部 位 に 対 して の 運 動 充 進 作 用 を示 した が,ク
ド は結 腸 輸 送 な ど の下 部 消 化 管 に対 す る効 果,塩
エ ン酸モ サ プ リ
酸 イ トプ リ ドは 胃 の排 出 遅 延 の 改 善 効 果 な どに,よ
り効 果 的 に 作 用 す る可 能 性 が 示 唆 さ れ た.
16.内
在 神 経 に よ る ラ ッ ト食 道 横 紋 筋 運 動 の 制 御 機 構
岐阜 大 学 ・応 用 生物 科 学 部 ・獣 医 学講 座
椎名
貴 彦,志
水
泰 武,松
山
勇 人,武
脇
義
【背 景 と 目的 】 食 道 平 滑 筋 の 運 動 は,中 枢 由 来 の 外 来 神 経 に 加 え て,壁 内 の 内在 神 経 に よ っ て も制 御
さ れ て い る こ とが 知 られ て い る.し か し,食 道 横 紋 筋 で は,内 在 神 経 の 存 在 が 形 態 学 的 に は明 ら か に
な っ て い る も の の,そ
の 機 能 学 的 研 究 は あ ま り行 わ れ て い な い.本
研 究 は,筋
層が横 紋筋 の みか らな
る ラ ッ トの 食 道 を用 い て,食 道 横 紋 筋 運 動 に対 す る 内 在 神 経 の 役 割 を解 析 した もの で あ る.【 材 料 と方
法 】Wistar系
ラ ッ トか ら食 道 を分 離 して,オ ル ガ ンバ ス に セ ッ トした.フ
を 用 い て,食 道 運 動 を等 尺 性 に記 録 し た.ま た,3H-cholineを
ォ ー ス トラ ン ス デ ュ ー サ ー
用 い て,食 道 標 本 か ら のACh放
出量 を
測 定 した.【 結 果 と考 察 】 まず,食 道 を支 配 す る迷 走 運 動 神 経 を単 パ ル ス 電 気 刺 激 した と こ ろ,食 道 標
本 は単 収 縮 し,そ の収 縮 反 応 はd一 ツ ボ ク ラ リ ン に よ っ て 完 全 に消 失 し た.ま た,こ
の単収 縮 はカ プサ
イ シ ン投 与 に よ っ て抑 制 さ れ た.カ プ サ イ シ ン は知 覚 神 経 を 刺 激 す る こ とが 知 られ て い る.そ の た め,
この 結 果 は,ラ
ッ ト食 道 に は横 紋 筋 運 動 を抑 制 す る 内在 神 経 反 射 経 路 が 存 在 し,カ プ サ イ シ ン は そ の
反 射 経 路 を興 奮 させ る こ と を示 唆 して い る.こ の カ プ サ イ シ ン に よ る単 収 縮 抑 制 効 果 は,NK1レ
タ ー ア ン タ ゴ ニ ス トや 一 酸 化 窒 素(NO)合
動 神 経 を電 気 刺 激 し た 食 道 標 本 か らのACh放
少 させ た.こ
れ ら の結 果 は,食
成 酵 素 阻 害 薬 の 投 与 に よ っ て 阻 害 さ れ た.さ
ら に,迷 走 運
出 量 を 測 定 し た と こ ろ,カ プ サ イ シ ン はACh放
出 を減
道 横 紋 筋 運 動 を制 御 す る内 在 神 経 反 射 経 路 に は タ キ キ ニ ン お よ びNO
作 動 性 神 経 が 存 在 し て お り,そ の 反 射 経 路 は,ACh放
と を示 唆 し て い る.
セプ
出 を介 し て,食 道 横 紋 筋 運 動 を制 御 し て い る こ
J-25
17.IL-1β
に よ る消 化 管 平 滑 筋 運 動 機 能 障 害 の 分 子 機 構
東 京大 学 ・院 ・獣 医薬 理 学
堀
正 敏,尾
崎
博
【背 景 】 炎 症 性 腸 炎 疾 患(IBD)発
症 時 に 認 め られ る消 化 管 運 動 機 能 障 害 は,腸
内 フロー ラの異 常 を
介 し て エ ン ド トキ シ ン暴 露 な どに よ り炎 症 を悪 化 さ せ る悪 循 環 を きた し,臨 床 上 大 き な 問 題 と な っ て
い る.し か し,筋 層 で の 炎 症 応 答 と消 化 管 運 動 機 能 障 害 機 構 に 関 す る情 報 は極 め て 少 な い .【 目的 】 炎
症 性 サ イ トカ イ ンで あ るIL-1β
に 着 目 し,IL-1β
に よ る 消 化 管 平 滑 筋 の運 動 機 能 障 害 機 構 に つ い て 解
析 した.【 方 法 】 ラ ッ ト回 腸 筋 層 組 織 標 本 を 無 菌 的 に 作 製 し,IL-1β
方,TNBS誘
発 回 腸 炎 モ デ ル ラ ッ トな らび にDSS誘
の筋 層 標 本 を用 い てIL-1β
理 ス キ ン ド フ ァ イ バ ー を用 い て 収 縮 蛋 白系 のCa感
理 やGTP+CChに
よ るCa感
よ る収 縮 性 が 顕 著 に減 弱 し た.ま た,α 毒 素 処
受 性 に つ い て 検 討 し た 所,IL-1β
発 回 腸 炎 モ デ ル ラ ッ トな ら び にDSS誘
ら摘 出 した 回腸 組 織 や 結 腸 組 織 に お い て も,CChに
激 に よ る リ ン酸 化CPH7
発 潰瘍性 大腸 炎 モ デ ルマ ウ スか
よ る収 縮 性 は 減 少 し,IL-1β の 発 現 に 伴 っ てCPI-
17蛋 白質 の発 現 量 は顕 著 に減 少 して い た.【 結 論 】IBD発
機 構 の 一 つ と し て,IL-1β
受 性増 加
受 性 の 脱 リ ン酸 化 酵 素 阻 害
蛋 白 発 現 量 が 顕 著 に減 少 し,そ れ に伴 っ てCCh刺
発 現 量 も減 少 した.TNBS誘
処 置 した 標 本 で
受 性 増 加 作 用 が 抑 制 さ れ て い た .そ こで,Ca感
作 用 に 関 与 す る収 縮 蛋 白 系 分 子 群 の 発 現 に つ い て 解 析 し た と こ ろ,PKC感
蛋 白 質 で あ るCPI-17の
間 器 官 培 養 し た.一
や 標 的 分 子 の 発 現 量 や 運 動 機i能に つ い て 解 析 し た .【 成 績 】IL-1β 処 置 を
し た 器 官 培 養 回 腸 組 織 標 本 で は,カ ル バ コー ル(CCh)に
は,GTPγS処
存 在 下 で3日
発 潰 瘍 性 大 腸 炎 モ デ ル マ ウ ス を作 製 した.こ れ ら
症 時 に 見 られ る 消 化 管 運 動 機 能 障 害 の 分 子
に よ る脱 リ ン酸 化 酵 素 阻 害 蛋 白 質CPI-17の
発 現量 低 下 を介 した収縮 蛋 白
系 のCa感
受 性 増 加 機 構 の 抑 制 が 重 要 で あ る こ とが 示 唆 さ れ た.
18.形
状 記 憶 合 金 バ ル ブ に よ る便 失 禁 治 療 ― イ ヌ を用 い た 基 礎 的 検 討 ―
東 北大 学 大 学院 ・医学 系研 究 科 ・生 体 調節 外 科1,
同 ・工 学 研 究科 ・バ イ オ ロ ボテ イ クス 専攻 ・ロボ テ イ クス講座2
柴田
長南
近1,長
尾
宗 紀1,舟
山
裕 士1,佐
々木
巌1,石
橋
和 彦2,田
中
真 美2,
征 二2
【は じ め に】 形 状 記 憶 合 金 は尿 失 禁 治 療 へ の 応 用 が 考 え られ て い る.今 回,わ れ わ れ は,形 状 記 憶 合
金 を便 失 禁 治 療 に応 用 す る た め の 基 礎 的 検 討 を行 っ た.【 方 法 】 まず,摘 出 した イ ヌ 大 腸 の 内 外 径,壁
の 厚 さか ら,イ ヌ 大 腸 の 内 腔 開 閉 に 適 した 形 状 記 憶 合 金 バ ル ブ を 作 製 した .バ ル ブ は常 温 で は 閉 鎖 し
て い る が,熱 が 加 わ る と開 放 す る仕 組 み と し た .作 製 した バ ル ブ を用 い,麻 酔 下 の イ ヌ で 実 験 を 行 っ
た.バ
ル ブ を イ ヌ の直 腸 に 取 り付 け,ま
死 等 の 悪 影 響 が な い こ とを 確 認 し た.バ
ず,無
理 な く取 り付 け られ る こ と,閉 鎖 した 状 態 で 大 腸 に壊
ル ブ の 口側 大 腸 内 腔 で 内圧 測 定 を行 い な が ら,さ
らに口側 の
大 腸 か ら潅 流 用 の カ テ ー テ ル を 内 腔 に留 置,固 定 した.ま た,バ ル ブ の肛 門 側 大 腸 に小 切 開 を お き,バ
ル ブ を通 り抜 け た 内 容 物 を 観 察 出 来 る よ う に した .内 圧 を測 定 しな が ら潅 流 用 カ テ ー テ ル か ら生 食 を
浦 ドさ せ,バ
ル ブ か ら肛 門 側 へ 内 容 物 が 漏 れ て し ま う 内 圧 を測 定 した(バ ル ブ の 耐 圧 試 験).そ
で 潅 流 を 中 止 し,内 圧 が 一 定 とな っ て 内容 物 が 漏 れ な くな っ た 時 点 ま で 待 ち,バ
の時点
ル ブ に 熱 を加 え バ ル
ブ温 度 と 内圧 の 関 係 を 測 定 し,か つ 内 容 物 が バ ル ブ よ り肛 門 側 に漏 れ 始 め た 時 期 を記 載 し た .【 成 績 】
バ ル ブ の 耐 圧 は,300mmHgで
あ り,そ の後 潅 流 を 中止 した と こ ろ,200mmHgま
で 内圧 が低下 して
一定 とな った
.こ こ で バ ル ブ の温 度 を 上 昇 させ る と,42度
とな っ た と こ ろ で 急 激 に 内 圧 が 低 下 して 内
容 物 が バ ル ブ の 肛 門 側 へ と流 れ 始 め る こ とが あ き らか とな っ た.【 結 論 】 こ れ ら の 結 果 か ら,今 回 作 製
し た バ ル ブ は 実 験 上 は十 分 な 性 能 を有 し て い る と考 え ら れ た.た
ぎ て 実 際 に は 使 い に くい た め,今
行 く必 要 が あ る と思 わ れ た.
だ し,今
回 作 製 した バ ル ブ は大 き す
後 は 同 様 の 性 質 で さ ら に 小 型 化 した バ ル ブ を 作 製 し,実 験 を重 ね て
J-26
19.シ
ク ロヘ キ サ ノ ン 誘 導 体 の ラ ッ ト閉 塞 膀 胱 に 対 す る 作 用
鳥 取 大 学 ・医 ・病 態 解 析 医 学 ・分 子 薬 理 学 講 座1,明
治 乳 業 ・医 薬 事 業 部2,
鳥 取 大 学 ・医 ・器 官 制 御 外 科 学 講座 ・腎 泌 尿 器 学 分 野3
齊藤
源 顕1,鈴
佐藤
慶 祐1
木
啓 仁2,山
田
昌 司2,木
下 ゆ か 子1,祝
部
大 輔1,宮
川
征 男3,
【目的 】 シ ク'ロヘ キ サ ノ ン誘 導 体 は神 経 細 胞 の誘 導,分 化 お よ び 保 護 作 用 が 知 られ て い る.膀 胱 頚 部
閉 塞 に よ り過 活 動 膀 胱 モ デ ル を作 成 し,シ
の 雌SDラ
ク ロヘ キ サ ノ ン誘 導 体 の 作 用 を 検 討 した.【 方 法 】10週
ッ トを用 い て マ イ ル ドな 下 部 尿 路 閉 塞 モ デ ル を作 成 した.3群(A:コ
部 尿 路 閉 塞 群,C:下
部 尿 路 閉 塞 に シ ク ロ ヘ キ サ ノ ン誘 導 体(8mg/kg)を
各 群6週
間 飼 育 し た(n=
6-8).各
群6週
間 飼 育 し,メ
の 膀 胱 内 圧 測 定(CMG)を
タ ボ リ ッ ク ケ ー ジ を 用 い たvoiding
施 行 し た.ま
た,摘
組 織 の 割 合 を 算 出 した.【 成 績 】 膀 胱 重 量 はB群
た.voiding
behavior
れ た が,C群
で は優 位 に 改 善 さ れ た.ま
が 観 察 さ れ た が,C群
studyで
はB群
がA群
behavior
が,A群
たCMGで
の約1.5倍
で あ っ た が,C群
の 排 尿 回 数,1回
はB群
で はA群
study,ウ
レ タ ン麻 酔 下 で
色 し,全 体 に対 す る結 合
で軽 度 改 善 さ れ
排 尿 量 の 著 名 な低 下 が 認 め ら
で は 最 大 膀 胱 内 圧 の 上 昇 と膀 胱 容 量 の低 下
で 優 位 な 改 善 が み られ た.膀 胱 体 部 に 対 す るH&E染
に比 べ 膀 胱 平 滑 筋 の 肥 大 が 認 め られ た.膀
観 察 さ れ た がC群
連 日腹 腔 内投 与 群)に 分 け
出 した 膀 胱 体 部 をH&E染
の 約2倍
齢
ン トロ ー ル 群,B:下
色 で は,B群
胱 体 部 に対 す る 結 合 組 織 の 割 合 で は,B群
で は他 の 群
で優位 な低 下が
の レ ベ ル まで 著 明 に 改 善 さ れ て い た.【 結 論 】 シ ク ロ ヘ キ サ ノ ン誘 導 体 は
膀 胱 頚 部 閉 塞 に よ る過 活 動 膀 胱 を改 善 す る 作 用 を有 す る こ とが 示 唆 さ れ た.
20.モ
ル モ ッ ト膀 胱 平 滑 筋 の 自 発 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 に お け る ギ ャ ッ プ 結 合 と 間 質
細 胞の役割
名 古 屋 市 立大 学 大 学院 ・医 学研 究 科 ・細 胞 機能 制 御 学
橋谷
光,矢
内
良 昌,鈴
木
光
モ ル モ ッ ト膀 胱 平 滑 筋 標 本 を 用 い て,自
発 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 の細 胞 間 伝 達 機 構 に つ い て
ギ ャ ッ プ結 合 と問 質 細 胞 に 着 目 し て 検 討 し た.カ ル シ ウ ム 蛍 光 色 素Fura-2負
束 の最 外 側 よ り発 生 し対 側 に伝 搬 す る カ ル シ ウ ム 信 号 が 観 察 さ れ た.こ
18β-glycyrrhetinic
acid(18β-GA,40μM)に
ム 濃 度 上 昇 が 観 察 さ れ た.カ
ァ ゾ ン酸(10μM)や
よ り抑 制 さ れ,筋
線 維 束 の 最 外 側 に 限 局 した カ ル シ ウ
ル シ ウ ム 伝 搬 は 細 胞 内 カ ル シ ウム 貯 蔵 部 位 の 機 能 を抑 制 す るサ イ ク ロ ピ
ラ イ ア ノ ジ ン(100μM)に
よ っ て 影 響 を 受 け な か っ た が イ ノ シ トー ル3リ
に よ る カ ル シ ウ ム 遊 離 を 阻 害 す る2-APB(50-100μM)に
よ っ て 抑 制 さ れ た.し
内 電 位 記 録 法 に よ り計 測 し た細 胞 間 の 電 気 的 結 合 を も阻 害 した.カ
ン(10μM)に
よ っ て も抑 制 さ れ た.C-kit抗
筋 線 維 束 の 外 側 に沿 っ て 存 在 し た が,線
Fluo-4負
荷 標 本 に お い て,筋 線 維
の伝搬 はギ ャップ結合 阻害 剤
か し2-APBは
ン酸
細胞
ル シウム伝 搬 の同期 はニ フェ ジ ピ
体 を用 い た 免 疫 蛍 光 染 色 に よ り同 定 した 問 質 細 胞 は 平 滑
維 束 問 の 結 合 組 織 に よ り多 く見 られ た.カ
ル シ ウム蛍光 色素
荷 標 本 に お い て 問 質 細 胞 の 自発 カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 は 平 滑 筋 細 胞 の そ れ とは 同 期 して お ら
ず,低 頻 度 で 発 生 し時 間 経 過 は非 常 に緩 や か で あ っ た.ま た 平 滑 筋 細 胞 の カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 は ニ フ ェ
ジ ピ ン(10μM)に
よ り完 全 に 抑 制 さ れ た が 問 質 細 胞 の 反 応 は ほ とん ど影 響 を 受 け な か っ た.以
上 の結
果 か ら モ ル モ ッ ト膀 胱 に お け る 自発 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 上 昇 の伝 搬 は ギ ャ ッ プ 結 合 を介 した 電 気 的 連 絡
とL型
カ ル シ ウ ム チ ャ ネ ル の 自己 再 生 的 活 性 化 に よ り起 こ り,細 胞 内 カ ル シ ウ ム貯 蔵 部 位 の 関 与 は ほ
とん ど な い と考 え られ た.ま
た 消 化 管 組 織 な どで 自 発 活 動 の発 生 に 関 わ っ て い る 間 質 細 胞 に類 似 した
細 胞 は膀 胱 に も存 在 した が ペ ー ス メ ー カ と し て の 役 割 を 支 持 す る 結 果 は得 られ な か っ た.
J-27
21.ウ
サ ギ 尿 道 に お け る 自発 細 胞 内 力 ル シ ウ ム濃 度 上 昇 の機 構
大 同病 院 ・泌 尿 器 科1,名 古 屋 市 立大 学 大 学 院1矢学研 究 科 ・細胞 機 能1}孟ll御
学2,同
矢内
良 昌1,橋
谷
光2,郡
健 二 郎3,鈴
木
・腎泌 尿 器 科学3
光2
尿 道 平 滑 筋 に お い て は細 胞 内貯 蔵 部 位 か ら の カ ル シ ウ ム 放 出 に よ り活 性 化 さ れ る カ ル シ ウ ム 依 存 性
塩 素 イ オ ンチ ャ ネ ル 電 流 と こ れ に対 応 す る 一 過 性 自 発 脱 分 極 の 存 在 が 知 ら れ て お り,尿 禁 制 の た め の
尿 道 平 滑 筋 の 持 続 的 な 緊 張 に関 与 して い る と考 え られ て い る.し
か し現 在 まで これ らの 電 気 現 象 と細
胞 内 カ ル シ ウム 濃 度 上 昇 お よ び 筋 収 縮 の 関 係 は 十 分 に解 明 さ れ て い な い.そ
こ で今 回 我 々 は ウ サ ギ 尿
道 輪 走 筋 標 本 を 用 い て 自発 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 の機 構 に つ い て検 討 した.カ
Fura-2を
負 荷 した 標 本 に お い て,2種
1∼3回 程 度 起 こ り約10秒
ル シ ウム蛍光 色素
類 の 自発 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 上 昇 が 観 察 され た.1つ
は1分
間に
ほ ど持 続 す るバ ー ス ト状 の カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 で カ ル シ ウ ム チ ャ ネ ル 阻 害
剤 で あ る ニ カ ル ジ ピ ン(1μM)に
よ り強 く抑 制 され た.も
う一 つ は 様 々 な 振 幅 と時 間 経 過 を も っ て よ
り高 頻 度 で起 こ る 単 発 の カ ル シ ウム 濃 度 上 昇 で ニ カ ル ジ ピ ン存 在 下 で も観 察 され た.こ
の カル シ ウム
濃 度 上 昇 は,細 胞 内 電 位 記 録 法 に よ り記 録 し た 一 過1生自発 脱 分 極 と同 様 に細 胞 内 カ ル シ ウ ム貯 蔵 部 位
の機 能 を抑 制 す る サ イ ク ロ ピ ア ゾ ン酸(10μM)や
ラ イ ア ノ ジ ン(50μM)に
の カ ル シ ウ ム を 除 去 す る こ と に よ り完 全 に 抑 制 され た.消
て い る 問 質 細 胞 に 特 異 的 なc-kit抗
よ り消 失 し,ま た 細 胞 外
化 管 組 織 に お い て 自発 活 動 の 発 生 に 関 わ っ
体 を 用 い た 免 疫 蛍 光 染 色 法 に よ り,尿 道 平 滑 筋 組 織 に はKit陽
の 細 胞 が 数 多 く分 布 して い る こ とが 示 さ れ た.以
性
上 の 結 果 か ら,ウ サ ギ 尿 道 に お い て は 平 滑 筋 細 胞 か
ら起 こ る と考 え られ る電 位 依 存 性 カ ル シ ウ ム チ ャ ネ ル に依 存 し た 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 の ほ か
に,細 胞 内貯 蔵 部 位 か ら の カ ル シ ウ ム 遊 離 に依 存 し た カ ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 が 起 こ っ て お り,こ の 反 応
へ の 間 質 細 胞 の 関 与 が 推 定 され た .
22.摘
出 ヒ ト膀 胱 平 滑 筋 に 対 す るsolifenacinの
作 用
熊 本 大学 ・大 学 院 ・医 学薬 学 研 究部 ・泌 尿器 病 態 学
桝永
浩 一,吉
田
正 貴,稲
留
彰 人,大
谷
将 之,上
田
昭一
【目 的 】 頻 尿 ・尿 失 禁 治 療 薬 と し て 開 発 さ れ たsolifenacinは,M1,
M3受
性 を 示 す とさ れ て い る.今 回,摘 出 ヒ ト膀 胱 平 滑 筋 に対 す るsolifenacinの
容 体 に対 し て 比 較 的 親 利
薬 理 学 的特 性 に つ い て 検 討
した.
【方 法 】 膀 胱 腫 瘍 に て膀 胱 全 摘 術 を受 け た 患 者 か ら摘 出 した 膀 胱 の 正 常 体 部 か ら平 滑 筋 条 片 を作 製
し,こ れ をKrebs-Henseleit液
(CCh),80mM
KC1,5mM
を 満 た した 筋 浴 槽 内 に 懸 垂 固 定 し,張 力 変 化 を記 録 した.Carbachol
CaCl、 及 び経 壁 電 気 刺 激(EFS)に
よ る収 縮 に対 す るsolifenacinの
川 を検 討 し た.更 に,平 滑 筋 条 片 に透 析 プ ロ ー ブ を 貫 通 させ,Ringer液
析 液 を 回 収 しな が ら経 壁 電 気 刺 激 を行 い,ACh放
【
結 果 】Solifenacinの
前 処 置 はCChの
縮 を ほ と ん ど 抑 制 し な か っ た.CChの
(slope:1.13±0.05)で
あ っ た.ま
た,80mM
出 量 に 対 す るsolifenacinの
影 響 も検 討 した.
用 量 反 応 曲 線 を右 方 に させ た が,高 濃 度 の前 処 置 で も最 大 収
用 量 反 応 曲 線 に 対 す るsolifenacinのpA,値
KC1及
び5mM
は7.79±0.08
CaCl、 に よ る収 縮 に対 し てsolifellacin
は ほ とん ど影 響 を示 さ な か っ た.経 壁 電 気 刺 激 に よ る 周 波 数 反 応 曲 線 に対 し てsolifenacinは
性 に収 縮 反 応 を抑 制 し た.ま た,経 壁 電 気 刺 激 に よ るatropine抵
よ る 膀 胱 平 滑 筋 か らのACh放
た が,高
前 処 置 に よ りACh放
濃 度(10-6M)のsolifenacinの
制 す る こ とが 示 さ れ,頻
用 量依 存
抗 性 収 縮 に対 してsolifenaci11は
な 抑 制 作 用 を 示 さ な か っ た.更 に,EFSに
【結 論 】Solifenacinは
作
を透 析 液 と して 灌 流 さ せ た.透
有意
出量 は周波数 依存 性 に増加 し
出 量 は抑 制 さ れ た.
ヒ ト膀 胱 平 滑 筋 の 受 容 体 及 び副 交 感 神 経 終 末 の 両 方 に作 用 し,膀 胱 収 縮 を 抑
尿 ・尿 失 禁 治 療 薬 と し て 有 用 で あ る可 能 性 が 示 唆 さ れ た.
J-28
23.男
性 ホ ル モ ン に よ る 早 期 不 活 性 化K+チ
ャネ ル 発 現 制 御
名 古屋 市 立大 学 ・大 学院 薬 学研 究 科 ・細 胞 分 子薬 効 解 析学 分 野
大矢
進,伊
藤
克 倫,加
藤
香,村
木
克 彦,今
泉
祐治
性 ホ ル モ ン分 泌 は 性 周 期 や 病 態 に よ り変 化 し,イ オ ンチ ャネ ル 活 性 調 節,発
る.輸 精 管 平 滑 筋 に お い て 早 期 不 活 性 化K+電
サ ブ ユ ニ ッ トはKv4.3Lで
あ る(Ohya
るKChlPs,NCS1,DPPXはKv4チ
流(IA)は
現 制 御 に も関 与 し て い
活 動 電 位 発 射 の 調 節 に寄 与 して お り,主 な α
S et al.,1997).ま
た,Kv4チ
ャ ネ ル の β サ ブ ユ ニ ッ トで あ
ャネ ル の 細 胞 膜 移 行 や 電 流 特 性 を修 飾 す る.本 研 究 で は,睾 丸 摘
出 及 び テ ス トス テ ロ ン処 置 に よ る ラ ッ ト輸 精 管 平 滑 筋 に お け るIAの 電 流 特 性 及 びKv4.3Lと
サ ブ ユ ニ ッ トの 発 現 変 化 に つ い て検 討 した.3週
ス テ ロ ン処 置 群 に は 睾 丸 摘 出 後,メ
去 勢 群,テ
ス ト
チ ル テ ス トス テ ロ ン を毎 日経 口投 与 し た(100mg/kg).sham群,
ス トス テ ロ ン 処 置 群 の7週 齢 雄 性 ラ ッ トよ り輸 精 管 平 滑 筋 を摘 出 し,単 離 輸 精 管 平 滑 筋 細
胞 を 用 い て ホ ー ル セ ル ク ラ ン プ 法 に よ りIA電 流 特 性 の 変 化 に つ い て 検 討 し た.ま
PCR法
その β
齢 の雄 性 ラ ッ トよ り睾 丸 を摘 出 し(去 勢 群),テ
た,リ
及 び ウエ スタ ン ブ「
ロ ッ ト法 を 用 い て ラ ッ ト輸 精 管 平 滑 筋 に お け るKv4.3L及
トの 発 現 変 化 を検 討 し た.そ
の 結 果,IAの
電 流 密 度 は去 勢 群 に お い て 有 意 に 減 少 し,テ ス トス テ ロ ン
処 置 群 に お い て ほ ぼ 完 全 に 回 復 した.ま た,Kv4.3L,KChlP3の
群 に お け るKChlP3発
現 のdown-regulationが
ス トス テ ロ ン はKv4.3L発
Kv4.3Lの
アル タ イム
び β サ ブユ ニ ッ
発 現 量 も同 様 に 遷 移 し た.特 に,去 勢
顕 著 で あ っ た.し た が っ て,輸 精 管 平 滑 筋 に お い て,テ
現 をup-regulationさ
せ る と と もに,KChlP3発
細 胞 膜 移 行 を促 進 す る こ と に よ り,Kv4.3Lの
現 もup-regulationさ
せて
機 能 的 発 現 を 強 力 に 増 大 さ せ る と考 え られ
る.
24.マ
ウ ス膀 胱 平 滑 筋 に お け る興 奮 収 縮 連 関 に つ い て の 検 討
名 古 屋市 立 大 学大 学 院 ・薬 学 研 究 科 ・細胞 分子 薬効 解 析 学
森村
浩 三,大
矢
進,村
木
克 彦,今
平 滑 筋 で は脱 分 極 刺 激 時 に 電 位 依 存 性Ca2+チ
る が,筋
小 胞 体(SR)膜
離 機 構(CICR)に
泉
祐治
ャ ネ ル か ら流 入 す るCa2+に
上 に存 在 す る リア ノ ジ ン受 容 体(RyR)が
よ る 細 胞 内Ca2+濃
よって収 縮 が 惹 起 され
活 性 化 され るCa2+誘
度 上 昇 が ど の程 度 収 縮 に 寄 与 す る か に つ い て は不 明 な 点 が 多 い.
当 研 究 室 で は モ ル モ ッ ト膀 胱 平 滑 筋 細 胞 で 脱 分 極 刺 激 直 後 に 細 胞 膜 近 傍 で のCICRに
Ca2+濃 度 上 昇"Ca2+ホ
い て 検 討 し た.単 離 膀 胱 平 滑 筋 細 胞 に30msの
近 傍 の局 所 部 位 でCa2+ホ
態 お よ び平滑 筋組 織 の収 縮 反応 につ
脱 分 極 刺 激 を与 え た 時,刺 激 開 始 後10∼20msで
ッ トス ポ ッ トが 発 生 し,脱 分 極 刺 激 終 了 後 もCa2+ウ
に緩 徐 に 伝 播 し た.一 方,5msの
し な か っ た.刺 激 時 間 を 延 長 す る とス ポ ッ ト発 生 数 は 増 大 し,20∼30msの
エ ー ブ と して 細 胞 全 体
刺 激 で は ス ポ ッ ト発 生 数 も
エ ー ブ が 伝 播 す る事 を見 出 した.さ ら に通 電 刺 激
に よ る活 動 電 位 発 生 時 に もホ ッ トス ポ ッ トの発 生 と細 胞 全 体 へ の 伝 播 が 観 察 さ れ た.ま
に よ る収 縮 反 応 に 対 す る30μMリ
徐 なCICRが
た筋直 接刺 激
ア ノ ジ ンの 作 用 を検 討 した 結 果,収 縮 が ほ ぼ 抑 制 され る事 を 見 出 し
誘 起 され る 自発 的 収 縮 も30μMリ
ウ ス 膀 胱 平 滑 筋 に お い てRyRを
細 胞膜
脱 分 極 刺 激 で も ホ ッ トス ポ ッ トは少 数 発 生 し た が 細 胞 全 体 へ は伝 播
頭 打 ち に な り,こ れ ら の ホ ッ トス ポ ッ トか らCa2+ウ
る膜 直 下 の 特 定 のSRで
よる局 所 的 な
ッ トス ポ ッ ト"が 発 生 す る こ と を報 告 して い る.膀 胱 平 滑 筋 の 興 奮 収 縮 連 関 に
つ い て さ ら に 検 討 す る た め に マ ウ ス膀 胱 平 滑 筋 の 細 胞 内Ca2+動
た.ま た15mMK+で
発 性Ca2+遊
介 し た2段
ア ノ ジ ン で 抑 制 さ れ た.以 上 の 結 果 よ り,マ
階 のCICR,即
生 じ る 緊 密 なCICR,さ
ら にCa2+ウ
ち 脱 分 極 直 後 に ホ ッ トス ポ ッ トを発 生 させ
エ ー ブ と し て 細 胞 全 体 のSRへ
興 奮 収 縮 連 関 に お い て極 め て 重 要 な機 能 を 果 た し て い る こ とが 示 唆 さ れ た.
広 が る緩
J-29
25.
正 常 と肥 満 マ ウ ス に お け る前 立 腺, 膀胱 収 縮 反 応 の 比 較
東 邦 大 学 ・医 ・泌 尿 器 科学1,東 京 医 科 歯科 大 学 ・難 治 疾 患研 究 所 ・分 子 神経 化 学2,
昭和 大 学 ・保健 医療 学 部 ・作 業療 法学 科3
上村
修 一,
片岡
和 義1, 青 木
中島
耕 一1, 栗 田
稔1, 永 尾
石井
延 久1, 浜 崎
浩 子2, 坂 井
雅 一,
加藤
聡 彦1,
光 一1, 原
田中
祝 江1, 出 口
正 夫1,
啓1, 森 田
隆1, 三 浦
一 陽1,
泰3
【目 的 】 糖 尿 病 患 者 で は,前 立 腺 肥 大 症 の 有 無 や,程 度 に関 わ らず 尿 意 切 迫,排 尿 困 難 の よ う な 前 立
腺 肥 大 症 様 の 症 状 を訴 え る場 合 が あ る.そ の た め 糖 尿 病 患 者 の 前 立 腺 で は ア ドレ ナ リン レ セ プ タ ー の
増 加 な ど排 尿 障 害 を き た す 変 化 を生 じて い る の で は な い か と考 え た.そ
こ で我 々 は2型 糖 尿 病 に 多 い
肥 満 の モ デ ル と して ボ ンベ シ ン レ セ プ タ ー ノ ッ ク ア ウ トマ ウ ス(以 下BRS-3欠
胱,前
立 腺 組 織 を用 い て,ア
56∼84週
のBRS-3欠
ド レ ナ リ ン,ム
ス カ リ ン受 容 体 の 分 布,機
損 マ ウ ス と正 常 マ ウ ス の 膀 胱,前 立 腺 を用 い て 比 較 検 討 した.膀 胱 は カ ル バ コ ー
ル に対 す る 収 縮 の 比 較 と カ ル バ コ ー ル 収 縮 下 の βagonistに
ン に対 す る 収 縮 の 比 較 と α1A
antagonist下
腺 の α1A, Dの 発 現 をRT-PCRに
ウ ス に 比 較 しBRS-3欠
腺:フ
よ る 弛 緩 の 比 較,前
損 マ ウ ス で 有 意 に 強 く,βagonistに
antagonist下
立腺 は フェニ レ フ リ
の フ ェニ レ フ リ ン に対 す る収 縮 の 比 較 を し た.ま
よ り検 討 した.【 結 果 】 膀 胱:カ
た 前立
ル バ コ ー ル に 対 す る収 縮 は正 常 マ
よ る 弛 緩 に 有 意 差 は認 め な か っ た.前 立
ェ ニ レ フ リン に 対 す る収 縮 は 正 常 マ ウ ス に 比 較 しBRS-3欠
め な か っ た.α1A
損 マ ウ ス と略 す)の 膀
能 に つ い て 検 討 し た.【 方 法 】
損 マ ウ ス で 強 か っ た が 有 意 差 は認
の フ ェ ニ レ フ リン に 対 す る収 縮 は 正 常 マ ウ ス に比 較 しBRS-3欠
ウ ス で 有 意 に抑 制 さ れ た.【 考 察 】 現 在RT-PCRに
損マ
よ り前 立 腺 の α1A, Dの 発 現 を調 べ て お り当 日 は
そ の 結 果 も踏 ま え総 合 的 に考 察 す る 予 定 で あ る.
26.
ヒ ト膀 胱 に お け るRho/Rho-kinaseの
局 在 と排 尿 筋 収 縮 へ の 関 与
獨 協 医科 大 学 ・泌 尿器 科
釜井
隆 男, 山 西
【目 的 】Rho/ROCK経
友 典,
中西
公 司, 古 谷
信 隆, 吉 田 謙 一郎
路 は ア ク ト ミオ シ ン系 を 制 御 し,細 胞 周 期 や 癌 の 進 展 と関 連 し て い る ほ か,
種 々 の 平 滑 筋 の 収 縮 に も関 与 し て い る こ とが 報 告 され て い る.今 回 ヒ ト膀 胱 平 滑 筋 のCarbachol収
に お け るRho/ROCKの
に て 膀 胱 全 摘 術,前 立 腺 癌 に て 前 立 腺 全 摘 出術 を 行 っ た 症 例 の う ち,患 者 の 同 意 の 得 られ た20例
き,非 癌 部 の膀 胱 全 層 を 採 取 し た.12例
で は 粘 膜 を取 り除 き,8例
片 標 本 を 作 成 した.Western
と免 疫 組 織 染 色 法 に てRho/ROCKの
organ
bathを
応(Emax:
blotting法
用 い,Carbacholの
与 した 後,2nd
carbachol
CRCを
80mMKClで
濃 度-収 縮 曲 線(CRC)を
作 成 した.Y27632のCarbachol収
は 同 一 で あ っ た.Emaxは,粘
Emaxは60.5(11.8%と
膜 の 非 付 着 切 片 で は143(11.7%,付
た,粘
れ な か っ た.【 結 論 】Carbacholの
で 発 現 す る こ と が 判 明 し た.
た
投
の 変 化 に よ り検 討 し
ン ト ロー ル で は,2つ
膜 の 付 着 切 片 で は,Y27632投
な り投 与 前 に比 べ て 有 意 に低 下 し た が(p=0.0274),非
後 で 有 意 差 は 見 られ な か っ た.pEC50値
(Y27632)を
縮 反 応 に対 す る効 果 を,最 大 反
に お け るEmax,
有 意 差 を 認 め た(P=0.0264).ま
inhibitor
(-logEC50)値
筋 層 よ り も粘 膜 に優 位 に 高 発 現 を示 し た.コ
pEC50値
発 現 を 検 討 し た.ま
作 成 し,ROCK
の 最 大 収 縮 反 応 に対 す る%),pEC50
につ
で は膀 胱 粘 膜 を付 着 した ま ま筋 切
た.【 結 果 】Rho/ROCKは
で は89.7(7.1%で
縮
役 割 を,膀 胱 粘 膜 の 存 在 ・非 存 在 下 に お い て検 討 した.【 方 法 】 浸 潤 性 膀 胱 癌
は,粘 膜 の 付 着 の 有 無,Y27632投
のCRC
着 切片
与後で は
付 着 切 片 で は,投 与 前
与前 後 で有意 な変化 はみ ら
ヒ ト膀 胱 に対 す る 作 用 は粘 膜 の 非 存 在 下 で は発 現 せ ず,粘 膜 存 在 下
J-30
27.
膀 胱 平 滑 筋 過 形 成 を 呈 す るnNOS遺
伝 子 欠 損 マ ウ ス に 対 す る テ ス トス テ ロ ンの 効 果
帝 京 大学 ・医 ・泌 尿 器 科
武藤
智, 岡 田
【目的 】neuronal
呈 す る.こ
弘, 堀 江
Nitric oxide
重郎
synthase
(nNOS)遺
の マ ウ ス に対 し てtestosteroneを
法 】 雄 のnNOS遺
伝 子欠 損マ ウス は膀胱 平滑 筋過形 成 や頻尿 を
投 与 し,排 尿 状 態 の 変 化 を 検 討 した の で 報 告 す る.【 方
伝 子 欠 損 マ ウ ス お よ び野 生 型 の排 尿 量,排 尿 回 数,一 回 排 尿 量 を 測 定 した.ま た,テ
ス トス テ ロ ン投 与 に よ りそ れ ぞ れ の マ ウ ス に お け る排 尿 状 態 の 変 化 を検 討 し た.【 結 果 】nNOS遺
子 欠 損 マ ウ ス は,野
生 型 と比 べ て有 意 に 頻 尿 で あ っ た(6.3
尿 量 に差 は 認 め ら れ な か った.野
日排 尿 回 数,夜
の 改 善(4.1
vs 4.2times/day,
生 型 に テ ス トス テ ロ ン を投 与 した 場 合,排
間 排 尿 回 数)に 有 意 な 変 化 は認 め られ な か っ た が,nNOS遺
vs 6.3, P=0.0018)が
認 め ら れ た.尿
中 のNOx排
P=0.006)が,一
尿 状 態(一
伝
日排
日排 尿 量,一
伝 子 欠 損 マ ウ ス で は頻 尿
出 量 は野 生 型,nNOS遺
伝 子欠 損 マ ウ
ス と も に テ ス トス テ ロ ン投 与 に よ る影 響 は認 め ら れ な か っ た.【 結 論 】 膀 胱 平 滑 筋 過 形 成 に と も な う
頻 尿 に 対 す る男 性 ホ ル モ ン の 関 与 が 示 唆 さ れ た.
28.
α2ア ゴ ニ ス トに よ る ラ ッ ト門 脈 輪 状 標 本 の 収 縮 に お け る 内皮 性 調 節 に つ い て
北 海 道 医療 大 学 ・薬 ・臨 床薬 理 毒 理
木村
真 一, 鳥 羽 美 由 起, 大 橋
敦 子, 島 村
佳一
【緒 言 】 門 脈 輪 走 筋 の 収 縮 は,内 皮 細 胞 か ら放 出 され る一 酸 化 窒 素(NO)に
よ り抑 制 さ れ て い る が,
ア ゴ ニ ス ト刺 激 時 に お け る 平 滑 筋 の 収 縮 の 内 皮 に よ る調 節 に つ い て は 不 明 な 点 が 多 い.本
ラ ッ ト門 脈 の 輪 状 標 本 を 用 い,α2ア
研究で は
ゴ ニ ス ト刺 激 に よ る 内 皮 依 存 性 収 縮 に つ い て検 討 し た.【 方 法 】
麻 酔 し た ラ ッ ト よ り門 脈 を 摘 出 し,幅 約1mmの
タ イ ロー ド液 中 で 等 尺 性 張 力 を 測 定 した.内
内 皮 正 常 お よ び 内 皮 除 去 輪 状 標 本 を 作 成 し,370Cの
皮 除 去 標 本 の 作 成 は0.75%
deoxycholateで
内腔 を短 時
間 処 理 した.α2ア ゴ ニ ス ト と してclonidineを
用 い た.【 結 果 ・考 察 】 内 皮 正 常 門 脈 輪 状 標 本 に10-8
∼10-6Mの
clonidineを 作 用 させ る と濃 度 依 存 性 に収 縮 高 が 増 加 し た .clonidineに よ り増 大 した 収 縮
はyohimbineに
生 させ た.L-NNA存
で はclonidineに
よ り抑 制 さ れ た.NO合
成 阻 害 薬L-ニ
在 下 にclonidineを
トロ ア ル ギ ニ ン(L-NNA)は
作 用 さ せ る と,さ ら に緊 張 性 収 縮 が 増 大 し た.内 皮 除 去 標 本
よ る緊 張 性 収 縮 は 発 生 し な か っ た.clonidineに
抑 制 さ れ な い が,エ ン ドセ リ ンETB受
よ る 緊 張 性 収 縮 はCOX阻
害薬では
容 体 拮 抗 薬 に よ り抑 制 され た.以 上 よ りラ ッ ト門 脈 輪 状 標 本 の
α2ア ゴ ニ ス ト刺 激 に よ る 緊 張 性 収 縮 に は 内 皮 由 来 エ ン ドセ リ ン がETB受
こ とが 明 ら か に な っ た.
緊張 性収 縮 を発
容 体 を介 して 関 与 し て い る
J-31
29.
Functional role of TRPC6/TRPC7
smooth muscle cells
heteromultimeric
channels
in vascular
カル ガ リー 大学 ・医 ・薬 理 学
丸山
良亮
Transient receptor potential (TRP) channels are thought to be Ca2+-permeable non-selective
cation (NSC) channel activated by G protein-coupled receptors. TRPC6 channel is a candidate
for [Arg8]-vasopressin (AVP)-induced NSC channel in A7r5 vascular smooth muscle cells.
The pharmacological properties of AVP-NSC current ; e.g. blockade by Gd3+ and SKF96365 and
augmentation by fulfenamate are similar to those of heterologously expressed TRPC6 channels
(in HEK293 cells). However, we found that AVP-NSC currents of A7r5 cells were suppressed
by extracellular Ca2+ in physiological range whereas TRPC6 currents were enhanced. TRPC
channels are known to assemble into heteromultimeric channels within two major TRPC subfamilies ; TRPC1/4/5 and TRPC3/6/7.
TRPC heteromultimeric channels exhibit different properties compared to their homomultimeric channels. We tested hypothesis that AVP-NSC channels of A7r5 cells are due to heteromultimeric rather than homomultimeric TRPC6 channels. To
suppress the TRPC6 homo- and heteromultimeric channel currents, we utilized dominant negative TRPC6 pore mutant (L678F679W680
to A678A679A680),
which form non-conductive homo- and
heteromultimeric channels. AVP-NSC currents were suppressed by the dominant negative
TRPC6 indicating a role for TRPC3/6/7 channels. RT-PCR revealed the expression of TRPC6
and TRPC7, but not TRPC3 in A7r5 cells. Extracellular Ca2+ suppressed TRPC7 and TRPC6/
TRPC7 heteromultimeric channel currents. These results suggest that the AVP-NSC channels
of A7r5 cells may due to the expression of TRPC6/TRPC7 heteromultimeric channels.
30.
内皮 細 胞 の 小 コ ン ダ ク タ ンス ・K+チ ャネ ル でEDHFに
名 古 屋市 立 大学 ・看 護 学部 ・生 理学 研 究 室1,同
山本
喜 通1, 鈴 木
よ る過 分 極 は 説 明 で きる か
・大 学 院 ・医学 研 究科 ・細胞 機 能 制御 学2
光2
モ ル モ ッ ト腸 間 膜 動 脈 か ら 内 皮 細 胞 層 を 剥 離 し,側 底 膜 面 を 上 に し て カ バ ー グ ラ ス に 固 定 し た.
ギ ャ ッ プ 結 合 に よ り等 電 位 と考 え ら れ る隣 り合 っ た2個
の 細 胞 に各 々 パ ッ チ電 極 を 適 用 し,一 方 の 電
極 で 電 流 固 定 下 に膜 電 位 を測 定 し,他 方 の 電 極 でcell-attached
を記 録 した.そ
た 内 皮 細 胞 の 静 止 膜 電 位 は-10mVよ
K+濃
patch-clamp下
に単一 チ ャネル 電流
の パ ッ チ 膜 電 位 は 他 方 の 電 極 で測 定 した 膜 電 位 を使 っ て 希 望 電 位 に 固 定 した.単
り浅 く,ア セ チ ル コ リ ン に よ る過 分 極 反 応 は 発 生 せ ず,細
度 が 低 下 して い る と考 え られ た.そ
こ で150mM-K+液
で10∼15分
間 灌 流 して か ら再 び 通 常 の
灌 流 液 に 戻 す と,静 止 膜 電 位 に 変 化 は な か っ た が 過 分 極 反 応 が 回復 し,cell-attached
な 電 流 を 流 す チ ャ ネ ル 活 動 が 観 察 さ れ た.こ の チ ャ ネ ル は4∼5pSの
は-50mVよ
り深 く,K+チ
細 動 脈 標 本 の 場 合,内
た,こ
で あ っ た.ギ
の 標 本 内 の す べ て の 内 皮 細 胞 と平 滑 筋 細 胞 を-45mVの
た め に は,約20,000個
は小 さ
長 さ0.7mmの
ャ ッ プ結 合 で 電 気 的 に 連 絡 し
静 止 膜 電 位 か ら20mV過
分極 させ る
の チ ャ ネ ル が 同 時 に 開 く必 要 が あ る と計 算 され る.こ の 標 本 に存 在 す る 内 皮 細
胞 の 総 数 を仮 に1,000個
う る こ と に な る.こ
patchに
コ ンダ ク タ ン ス を持 ち,逆 転 電 位
ャネ ル と考 え られ た.一 層 の 平 滑 筋 層 を持 つ 直 径70μmで
皮 細 胞 か ら見 た 入 力 抵 抗 は4.6MΩ
離 し
胞 内
とす れ ば,細 胞1個
あ た り20個
の チ ャ ネ ル の 同 時 開 口 で 過 分 極 反 応 を起 こ し
の チ ャ ネ ル の 観 察 さ れ る頻 度 は 必 ず し も高 くは な い が,こ
応 を 生 じ さ せ て い る可 能 性 は高 い と考 え られ る.
のチ ャネル が過分 極反
J-32
31.
高 濃度 イ ンス リン慢性 投与 時 にお け る糖尿 病 ラ ッ トの収 縮反 応増 強 に対 す るア ンジオ テ ンシ
ン受容 体拮抗 薬 の効果
星 薬 科 大学 ・医 薬研 ・機 能形 態
林
優 子, 小 林
恒 雄, 松 本
貴 之, 鎌田
勝雄
【目 的 】 イ ン ス リ ン は1型 糖 尿 病 の 治 療 に必 須 で あ る が,streptozotocin
(STZ)誘
発糖尿 病 ラ ッ ト
に慢 性 投 与 す る と内 皮 細 胞 機 能 障 害 を 改 善 す る 一 方 で,収 縮 反 応 を増 強 させ る とい う事 が 報 告 さ れ て
い る.ま た,angiotensin
II (Ang II)は 強 力 な 血 管 収 縮 因 子 で あ る と と も に,他 の 血 管 作 動 性 物 質 の
調 節 因 子 で あ り,近 年,イ
ン ス リ ン と の相 互 作 用 が 注 目 され て い る.そ
投 与 時 に お け る血 管 収 縮 増 加 とAngIIの
こ で,高
濃 度 イ ン ス リ ン慢 性
関 与 に つ い て 検 討 し た.【 方 法 】STZ投
与 後,10週
間後 の動
物 及 び対 照 動 物 を 用 い,高 濃 度 の イ ン ス リン,イ ン ス リ ン及 び ニ ュ ー ロ タ ン(Ang II受 容 体 拮 抗 薬)を
2週 間 慢 性 投 与 した 後,胸 部 大 動 脈 を摘 出 し,収 縮 反 応 を 測 定 し た.ま た,ア ン ジ オ テ ン シ ン変 換 酵 素
(ACE)
mRNAの
はcontrol群
発 現 に つ い て はRT-PCR法
に 対 しSTZ群
る収 縮 反 応 は,STZ群
を 用 い て 比 較 検 討 し た.【 結 果 】ACE
で 増 加 し,イ ン ス リ ン慢 性 投 与 に よ り,さ
に対 しSTZ+イ
ン ス リ ン群 で 有 意 に増 強 した.ニ
縮 反 応 の 増 強 は抑 制 さ れ た.control群
収 縮 反 応 は,STZ群
発現
よ
ュ ー ロ タ ン を併 用 す る と,収
で は イ ンス リ ン慢 性 投 与 に よ っ て,NEに
ら れ な か っ た.内 皮 細 胞 除 去 標 本 に お け るNEの
mRNAの
ら に発 現 が 増 加 した.NEに
よ る 収 縮 に 影 響 は見
に対 しSTZ+イ
ン ス リ ン群 で 有
意 に 増 強 し,ニ ュ ー ロ タ ン の併 用 に よ り有 意 に抑 制 さ れ た.AChに
お け る 内皮 細 胞 依 存 性 弛 緩 反 応 は,
STZ群
に お い て 減 弱 が 見 ら れ,イ ン ス リ ン慢 性 投 与 に よ っ て 改 善 した.ニ ュ ー ロ タ ン の 併 用 は,イ ン
ス リ ン慢 性 投 与 と同 程 度 の 弛 緩 反 応 を 示 した.収
STZ群
に お い てNE収
縮 反 応 を生 じ な い 濃 度 に お け るAng
Iの 前 処 置 は,
縮 の 感 受 性 を増 加 した.【 考 察 】 糖 尿 病 ラ ッ トに お け る高 濃 度 イ ン ス リ ン 投 与
に お い て 認 め ら れ る血 中 の 高 イ ン ス リ ン状 態 は,血 管 収 縮 の増 加 を 生 じ,こ の 増 加 に はACE
の 発 現 増 加 に 伴 うAng
32.
mRNA
IIが 関 与 して い る の か も しれ な い.
イ ヌ 脳 底 動 脈 の伸 展 誘 発 性ERK1/2活
性 化 に お け る プ ロ テ イ ンキ ナ ー ゼCδ の 関 与
について
静 岡 県立 大 学 ・薬 ・薬 理 学教 室
小原
一 男, 見 立
絢 子, 中 山
貢一
【目的 】 血 管 平 滑 筋 で は伸 展 な ど の 力 学 的 刺 激 に よ り細 胞 増 殖 や 肥 大 な ど に よ る病 的 な 組 織 再 構 築
が 誘 導 さ れ,こ
れ に はMAPキ
ナ ー ゼ の 一 種 で あ るERK1/2
(extracellular
tein kinase)の
関 与 が 示 唆 され て い る.し か し,伸 展 刺 激 に よ るERK1/2活
signal-regulated
性化 機序 につい ては十 分
に解 明 さ れ て い な い.本 研 究 で は,イ ヌ 脳 底 動 脈 に お け る伸 展 誘 発 性ERK1/2の
検 討 し た.【 方 法 】 雌 雄 雑 種 成 犬(体 重10-18kg)か
械 刺 激 装 置 を 用 い て1mm/secの
持 した.PKC,
Rhoお
お よ び η の4種
酵 素 に よ り抑 制 さ れ た.PKCδ
Rhoの
RGDペ
の活 性 化 はPKCδ
抑 制 され た.ま た,PKC阻
類 の ア イ ソ フ ォ ー ム が 存 在 し,こ の う ち緩 徐 伸
活 性 化 さ れ た.PKCδ
プ チ ドお よ びRhoの
よ り,PKCδ
ら に,伸 展 刺 激 に よ りERK1/2が
プ チ ドお よ び ロ トレ リ ン で 抑 制 さ れ た.ま た,MEK阻
お よ びRho
活 性 を 阻 害 す る ボ ツ リヌ スC3
阻 害 薬 の ロ ト レ リ ン お よ びRhoキ
害 薬 の カ ル ホ ス チ ンCに
活 性 化 は影 響 を う け な か っ た.さ
間維
ム ノ ブ ロ ッ ト法 を 用 い て 測 定 し た.
の み が 活 性 化 され た.ま た,緩 徐 伸 展 に よ りRhoも
活 性 化 は イ ン テ グ リ ン の 活 性 を 阻 害 す るRGDペ
Y-27632で
に 緩 徐 伸 展 を加 え,そ の 伸 展 量 を15分
活 性 化 はSDS-PAGE,イ
【
結 果 】 イ ヌ脳 底 動 脈 に はPKCα,δ,ζ
展 に よ りPKCδ
活性 化機 序 につ いて
ら摘 出 し た 脳 底 動 脈 よ り作 製 し た リン グ 標 本 に 機
速 度 で 初 期 筋 長 の1.5倍
よ びERK1/2の
pro-
ナーゼ 阻害 薬 の
の 活 性 化 は抑 制 さ れ た が,
活 性 化 さ れ,そ の 活 性 化 は
害 薬 のPD98059に
よ りERK1/2の
活性
化 は 強 く抑 制 され た.【 考 察 】 イ ヌ 脳 底 動 脈 に お い て,伸 展 刺 激 は イ ン テ グ リ ン に よ り受 容 さ れ,Rho/
Rhoキ
ナ ー ゼ 系 を 介 してPKCδ
示 唆 され た.
を活 性 化 し,引
き続 きMEKを
介 してERK1/2を
活 性 化 す る こ とが
J
33.
cGMPを
介 した血 管 弛 緩 反 応 機 構 の 検 討
東 邦 大 学 ・薬 ・薬 理 学 教 室1,同
田 中 芳 夫1,
Toro
滝沢
景2,
・薬 物 学 教 室2,UCLA・
山下
庸 子1,
八巻
医 ・麻 酔 科3
史 子1,
胞 内cGMP濃
弛 緩 反 応 機 構 の 一 部 に は,Kチ
重 要 性 が 示 さ れ て い る.し
作 用 をMaxiKチ
小池
勝 夫1,
ャ ネ ル の 活 性 化 が 関 与 し て お り,冠 動 脈 で はMaxiKチ
か し,ラ
Song
Min3,
ッ トの 動 脈 を用 い て,ニ
ャネル の役割 の
トロ グ リ セ リ ン(NTG)とANPの
弛緩
ャ ネ ル の 選 択 的 阻 害 薬 で あ る イベ リオ トキ シ ン の 抑 制 効 果 を指 標 に し て 解 析 し た と
こ ろ,腸 間 膜 動 脈 で はMaxiKチ
て い た た め,何
ャ ネ ル の 活 性 化 の有 意 な 関 与 が 認 め られ た が,大 動 脈 で は そ の 関 与 は
らか のKチ
大 動 脈 弛 緩 作 用 は,高 カ リウ ム に よ り顕 著 に 減 弱 し
ャ ネ ル が 関 与 す る 可 能 性 が 考 え られ た.本 研 究 で は,ラ
弛 緩 作 用 に 関 与 す るKチ
た.【 結 果 】1)NTGとNOR3の
ャ ネ ル の サ ブ タ イ プ に つ い て,さ
ン,テ ル チ ア ピ ン,E-4031に
弛 緩 作 用 は,グ
ら に検 討 す る こ とに し
リベ ン ク ラ ミ ド,ア パ ミ ン,カ
よ っ て は影 響 を 受 け な か っ た が,高 濃 度 の4-ア
トラ エ チ ル ア ン モ ニ ウ ム に よ り顕 著 に抑 制 され,Kv2.1の
ス タ ン ブ ロ ッ トに よ る蛋 白定 量,PCRに
よ るmRNAの
発 現 が 認 め ら れ た.【 考 察 】cGMPを
ネ ル は,腸 間 膜 動 脈 で はMaxiKチ
で あ る こ とが 示 さ れ,血
ッ ト大 動 脈 に お け
弛 緩 作 用 は,可 溶 性 グ ア ニ ル 酸 シ ク ラ ー ゼ の 選 択 的 阻 害 薬(ODQ)で
著 明 に抑 制 さ れ た.2)NTGとANPの
34.
弘 毅2,
度 の 上 昇 を介 し て 血 管 弛 緩 反 応 を 引 き起 こ す.こ の
全 く認 め られ な か った.た だ し,NTGとANPの
け るKv2.1の
重信
Ligia3
【背 景 と 目 的 】NOとANPは,細
るNTGとANPの
-33
リ ブ ド トキ シ
ミ ノ ピ リ ジ ン も し くは テ
関 与 が 示 唆 さ れ た.3)免
疫 組 織 染 色,ウ
ェ
発 現 実 験 結 果 か ら,ラ ッ ト大 動 脈 平 滑 筋 に お
介 し た ラ ッ トの 血 管 弛 緩 反 応 に 関 与 す るKチ
ャ ネ ル,大 動 脈 で は,4-ア ミノ ピ リ ジ ン感 受 性Kvチ
ャ
ャ ネ ル(Kv2.1)
管 部 位 に よ る サ ブ タ イ プ の 差 が 認 め られ た.
血 管 平 滑 筋 に お け る カ ル シ ウ ム依 存 性 収 縮 お よ び カ ル シ ウ ム 非 依 存 性 収 縮 に 対 す る
EPA (eicosapentaenoic
acid)の 作 用 の 違 い
山 口大学 ・医 ・医 学 科 ・器 官制 御 医 科 学講座 ・分子 細 胞 生理 学1,
北 海 道大 学 大学 院 ・水 産 科 学研 究 科 ・生命 資 源 科学 専 攻 ・生 物 資 源化 学 講座2
津本
麗 奈1, 岸
三 輪 さ お り1, 小 林
Rho-kinaseを
博 子1, 野 口
亮 子2, 宮 下
和 夫2, 王
虹 艶1, 最 上 紀 美 子1,
誠1
介 す る血 管 平 滑 筋 の カ ル シ ウム 非 依 存 性 異 常 収 縮 は,血
と し て 注 目 さ れ て い る.我 々 は こ れ ま で に,SPC
細 胞 質 カ ル シ ウ ム 濃 度 を変 化 させ る こ と な く,Srcフ
ム 非 依 存 性 収 縮 を 特 異 的 に 阻 害 す る 物 質 と し て,n-3多
(eicosapentaenoicacid)を
同 定 した.今
効 果 を検 討 した.方
ら に,こ
荷 ブ タ 冠 状 動 脈 平 滑 筋 条 片 を 用 い,細 胞 質
激 と し て,SPC,高
これ らの 刺 激 に よ る 張 力 が 最 大 に な りか つ 安 定 した 時 点 で,EPAを
ム 濃 度 を変 化 さ せ る事 な く張 力 を増 加 さ せ る の に対 し,高
カ リ ウ ム脱 分 極,U46619を
投 与 し た.SPCは
よ びU46619に
カ リ ウ ム脱 分 極 に よ る収 縮 を 抑 制 し な か っ た.興
に よ る細 胞 内 カ ル シ ウム 濃 度 上 昇 に 対 して は抑 制 作 用 を 示 した が,高
用 い,
細 胞 内 カル シ ウ
カ リウ ム 脱 分 極 お よ びU46619に
は,細 胞 質 カ ル シ ウ ム 濃 度 の 上 昇 を伴 っ て 観 察 さ れ た.EPAはSPCお
よる収 縮
よ る収 縮 に は 抑
味 深 い事 に,EPAはU46619
カ リ ウム 脱 分 極 に よ る細 胞 質 カ
ル シ ウ ム 濃 度 上 昇 に対 し て は抑 制 作 用 を 示 さ な か っ た .更 に,我 々 はEPAの
作 用 との 関 係 に つ い て も検 討 した の で,こ
の経路 に よ るカル シ ウ
価 不 飽 和 脂 肪 酸 の 一 種 で あ るEPA
回我 々 は,血 管 平 滑 筋 の 細 胞 質 カ ル シ ウ ム 濃 度 お よ び 張 力 に
法 と し て は,fura-2負
カ ル シ ウ ム 濃 度 と張 力 の 同 時 測 定 を 行 っ た.刺
制 効 果 を示 し た が,高
管平 滑筋 の
ァ ミ リー チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ,お よびRho-killase
を 介 して カ ル シ ウ ム 非 依 存 性 異 常 収 縮 を 引 き起 こす 事 を見 出 し た.さ
対 す るEPAの
管 攣 縮 な どの 血 管 病 の 原 因
(sphingosylphosphorylcholine)が,血
立体構 造 とこれ らの 血管
れ ら の結 果 に つ い て も本 会 で 報 告 す る.
J-34
35.
血 管 平 滑 筋 のSphingosylphosphorylcholine
の 重 要 性 と,membrane
raftの
(SPC)反
応 性 に対 す る コ レス テ ロー ル
関 与 の 可能 性
山 口大 学 ・医 ・医学 科 ・器 官 制 御 医科 学講 座 ・分 子細 胞 生 理 学1,
同 ・医 学研 究 科 ・応 用 医工 学 系 ・デ ジ タル情 報 制 御 医学 講 座 ・デ ジ タル細 胞 制御 学2
岸
博 子1,2, 森 景
則 保1, 津 本
麗 奈1,2, 周
峰1, 最 上 紀 美 子1, 小 林
高 脂 血 症 は 心 血 管 イ ベ ン トの 主 要 な リ ス ク フ ァ ク タ ー で あ る.こ
phorylcholine
kinase
(SPC)が
(Src-TKs)お
れ ま で 我 々 はsphingosylphos-
血 管 平 滑 筋 の カ ル シ ウ ム 非 依 存 性 収 縮 を引 き起 こ し,Src
よ びRho-kinaseが,こ
は,血 管 平 滑 筋 のSPC反
誠1,2
family
tyrosine
の シ グ ナ ル 伝 達 に 関 与 す る事 を 報 告 し て きた.今 回 我 々
応 性 に対 す る コ レ ス テ ロ ー ル の 関 与 に つ い て,ヒ
培 養 血 管 平 滑 筋 細 胞 を 用 い て 検 討 し た.手
トお よ び 動 物 モ デ ル,更
ロー ル食 負 荷 ウ サ ギ の 腸 間 膜 動 脈 平 滑 筋 で,血
中 コ レ ス テ ロ ー ル 濃 度 とSPC反
応 性 は正 の 相 関 を示
し,高 脂 血 症 治 療 薬 で 血 中 コ レ ス テ ロ ー ル 濃 度 を正 常 範 囲 内 に 低 下 させ る と血 管 平 滑 筋 のSPC反
は 消 失 した.更
に,高
コ レ ス テ ロー ル 食 負 荷 ウ サ ギ の 腸 間 膜 動 脈 平 滑 筋 を β-cyclodextrin
で 処 理 し て コ レ ス テ ロ ー ル を 除 去 す る と,血 管 平 滑 筋 のSPC反
に お い て,SPCはSrc-TKsの1つ
で あ るfynお
し,こ れ らの 蛋 白 がmembrane
cholera toxin subunit
よ りcaveolin-1が
るfynお
B
(CT-B)と
よ びRho-kinaseの
細 胞 膜 へ のtranslocationを
共 局 在 す る事 が 観 察 さ れ た.細
誘発
raftを 標 識 す る
胞 を β-cdx処
理 す る と,細 胞 膜
よ る標 識 も著 し く低 下 した が,こ れ らの 細 胞 で はSPC刺
細 胞 膜 へ のtranslocationは
応性
(β-cdx)
応 性 は 消 失 した.培 養 血 管 平 滑 筋 細 胞
よ びRho-kinaseの
raftの 局 在 蛋 白 で あ るcaveolin-1や,membrane
除 去 さ れ,CT-Bに
に
術 で 摘 出 さ れ た ヒ ト腸 間 膜 動 脈 平 滑 筋 お よ び 高 コ レ ス テ
激 によ
消 失 し た.以 上 よ り,血 管 平 滑 筋 の カ ル シ ウ
ム 非 依 存 性 収 縮 の シ グ ナ ル 伝 達 に コ レ ス テ ロ ー ル お よ びmembrane
raftが 重 要 で あ る事 が 示 唆 さ れ
た.
36.
IP受 容 体 な ら び に β-ア ド レ ナ リ ン 受 容 体 を 介 し た 平 滑 筋 の 弛 緩 反 応 に お け る
cAMP非
依 存 性 機 構 に つ い て:MaxiKチ
ャネ ル の 役 割 とそ の 活 性 化 機 序
東邦 大 学 ・薬 ・薬 理 学教 室
八巻
史 子, 山 下
【目 的 】 我 々 は,プ
cAMP量
庸 子, 堀 之 内 孝 広,
田中
ロ ス タ サ イ ク リ ン 受 容 体(IP受
の 上 昇 を伴 う機 構 に 加 え,組
織cAMP量
研 究 で は,IP受
容 体 と同 様,Gs蛋
勝夫
容 体)を 介 した 血 管 平 滑 筋 の 弛 緩 反 応 に は,組
の上 昇 を伴 わ な い 機 構(cAMP非
関 与 す る こ とを 見 出 し,そ の 機 序 の 一 部 に は,MaxiKチ
た.本
芳 夫, 小 池
ャ ネ ル の 活 性 化 が 関 与 す る こ と を報 告 して き
白 共 役 型 受 容 体 に 分 類 さ れ る β-ア ド レ ナ リ ン受 容 体(β 受
容 体)を 介 した 平 滑 筋 の 弛 緩 反 応 に対 す るcAMP非
依 存 性 機 構 の 関 与 とMaxiKチ
らか にす る と と も に,IP受
ャ ネ ル の 活 性 化 機 序 を検 討 した.【
定 実 験 と組 織cAMP量
容 体 を 介 したMaxiKチ
の 定 量 に は,モ
ャ ネ ル 電 流 測 定 に は,酵
【結 果 】1)β2,β3受
容 体 へ の 刺 激 に よ り組 織cAMP量
(ibTx)に
よ り抑 制 さ れ た が,β3受
容 体 の 刺 激 は,GTP依
の効 果 は ア デ ニ ル 酸 シ ク
依 存 性 弛 緩 反 応 の 一 部 は,iberiotoxin
容 体 を 介 し た 反 応 は,ibTxに
よ り影 響 を受 け な か っ た.3)IP受
ャ ネ ル 電 流 を増 加 さ せ た.ま た,コ
チ ャ ネ ル 電 流 を 増 加 させ る と と も に,ibTx感
cAMP非
は 有 意 に 増 加 し,こ
か し,β2,β3受 容 体 を 介 し た 弛 緩 反 応 は,SQ22,536
容 体 を 介 し たcAMP非
存 性 にMaxiKチ
レ ラ トキ シ ン は,MaxiK
受 性 の 平 滑 筋 弛 緩 作 用 を 引 き 起 こ し た.【
依 存 性 機 構 は,β 受 容 体 を 介 した 弛 緩 反 応 に も関 与 す る も の の,MaxiKチ
度 は,β 受 容 体 の サ ブ タ イ プ に よ っ て 異 な る こ と,2)cAMP非
し たMaxiKチ
方法 】機 能測
素 処 理 に よ り得 られ た 胸 部 大 動 脈 平 滑 筋 細 胞 を使 用 し た.
よ り抑 制 さ れ た.し
に よ り影 響 を 受 け な か っ た.2)β2受
ャネル の役割 を明
ル モ ッ トか ら摘 出 した 各 種 平 滑 筋 組 織(胃 底 ・
十 二指腸 ・
気管・
胸 部 大 動 脈)を,チ
ラ ー ゼ 阻 害 薬(SQ22,536)に
織
依 存 性 機 構)も
依 存 性 機 構 の 一 部 に は,Gs蛋
ャ ネ ル へ の 直 接 的 な 活 性 化 制 御 機 序 が 関 与 す る,こ
とが 示 さ れ た.
考 察 】1)
ャネル の関与 の程
白を介
Fly UP