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1.複素数 2.複素数の計算 重要ポイント1 重要ポイント2 11章 複素数と
本科 / Z Study サポート / 数学 高1(一貫)見本 11章 PM05A1-Z1J1-01 複素数と方程式1:ポイント整理 学習時間のめやす 20分 1.複素数 複素数は新しい数の概念であるが,基本的な計算は実数の計算とあまり変わらない.ただし,い くつか重要なルールがあるので,しっかり理解した上で演習を行ってほしい. 重要ポイント1 正の数 負の数の平方根 に対して,− の平方根は ± − =± 1−1 は虚数単位, = −1 複素数 複素数とは,実数 , と虚数単位 を用いて + と表される数のことであり( これより,実数も複素数である) , 0のとき,この数を虚数といい, = 0かつ いう.とくに 1−2 , をこの複素数の実部, を虚部と 0のとき純虚数という. 複素数の相等 , , + が実数のとき = + = かつ = である.すなわち,2つの複素数が等しいとは 実部,虚部がともに等しい ことである.これより + =0 = 0かつ =0 であることも理解できるだろう. 2.複素数の計算 重要ポイント2 複素数の四則演算 複素数の加減乗除は,複素数を虚数単位 についての整式とみなし,通常の計算を行う.た だし, が現れたら,それを −1と置き換える. 2−1 複素数の加法,減法,乗法 これより,複素数の加法,減法,乗法の計算方法は次のようになる( 除法については, ポイント 整理2−3 で紹介する) . 加法 + + + = + + + 減法 + − + = − + − 乗法 + + = − + + 一般に, < 0, < 0のときは = が成り立たないことに注意しよう.たとえば, −2 −3を計算する場合に −2 −3= −2 −3 = 6 とするのは誤りである.正しくは −2 −3= 2 3 = 6 =− 6 である. 88 PM05A1-Z1J1-02 2−2 共役な複素数 複素数 α= + は実数 に対して, − , を αと共役な複素数といい, αで表す. このとき αα= + − = − + − = + となり,ααは実数になることがわかる. なお,複素数 α,β に対して,次が成り立つことも押さえておこう. α+β= α+ β, α−β= α− β,αβ= α β, αは実数 α= α, αは純虚数または 0 α= −α 11章 複素数の除法 複素数の除法では,次のように, + + 除法 + + = 母, 子に − − = 3.2次方程式の解の 母と共役な複素数をかけて計算すればよい. + + + − + 式 重要ポイント3 次方程式の解の + 実数係数の2次方程式 + = 0の解は,解が虚数になる場合も含めて,次のよう に表される.これを2次方程式の解の = − ± −4 式という. ………………………………………………( *) 2 +2 ′+ = 0の解は,次のように表される. また,2次方程式 = 式 − ′ ± ′− (例)2次方程式 3 −5 +6= 0を解く. 解の 式より = − −5± −5 −436 5 ± −47 5± 47 = = 23 6 6 なお,実数係数の2次方程式 = + + = 0において −4 を,この2次方程式の判別式という. 2次方程式の解と判別式 判別式 については,次のことが成り立つ. >0 異なる2つの実数解をもつ =0 重解( ただ1つの実数解)をもつ <0 異なる2つの虚数解をもつ は,解の については,判別式 4 式(*) の根号の中身に他ならない.もちろん,2次方程式 の符号の代わりに = ′− の符号を考えてもよい. 89 +2 ′+ = 0 複素数と方程式1:ポイント整理 2−3 α α = , α= α, β β PM05A1-Z1J1-03 4.2次方程式の解と係数の関係 4−1 次方程式の解と係数の関係 + 2次方程式 + と因数 + = 0の2つの解が α, βのとき + = −α −β 解される.ここで 右辺 = − α+β +αβ = − α+β + αβ となるので,両辺の係数を比較することにより次の式を得る. 重要ポイント4 + 2次方程式 次方程式の解と係数の関係 + = 0の2つの解を α, βとすると α+β= − ,αβ= が成り立つ.これを2次方程式の解と係数の関係という. これより,2数 α, βを解にもつ2次方程式は,α+β= ,αβ= − + =0 とすると は0でない定数 となる. (例) = 1± を解にもつ2次方程式. 1+ + 1 − = 2, 1 + 1 − = 1− = 2 であるから,求める方程式は −2 +2 = 0 4−2 は0でない定数 次方程式の解の符号 2次方程式の解と係数の関係を利用すると,次のことがいえる. 重要ポイント5 + 2次方程式 + = 0の2つの解を α, βとし,判別式を (Ⅰ)α> 0,β> 0 ≧ 0,α+β> 0,αβ> 0 (Ⅱ)α< 0,β< 0 ≧ 0,α+β< 0,αβ> 0 (Ⅲ) αと βが異符号 αβ< 0 いずれも (Ⅰ) 次方程式の解の符号 が成り立つのは明らかであるから, とするとき が成り立つことを示しておこう. ≧ 0であるから, α, βは実数である.よって,αβ> 0と合わせると, α, βは同符号 であることがわかる.ここで,α+β> 0であるから,α> 0,β> 0を得る. (Ⅱ)(Ⅰ)と同様に α, βは同符号であるから,α+β< 0より α< 0,β< 0を得る. (Ⅲ)解と係数の関係より αβ< 0 であるから,この両辺に <0 > 0 をかけると < 0 ………………………………………………………………………( *) ここで = −4 > ≧0 ∵ * であるから, α, βは実数である.よって,αβ< 0のとき, αと βは異符号になる. 90 PM05A1-Z1J1-04 5.剰余の定理,因数定理 まず,剰余の定理を紹介しよう. 重要ポイント6 整式 を1次式 また, を1次式 = 剰余の定理 −α で割ったときの余りを とすると α ′ = + ′ とすると で割ったときの余りを − 複素数と方程式1:ポイント整理 11章 この定理は,次のように考えると容易に導かれる. を −α で割ったときの商を = −α ,余りを とすると + = α を代入すると が成り立つ.したがって,両辺に α= + となるわけである. + = で割る場合は − − であるから, = − を代入すればよい.つまり,割りたい1次式について 1次式 = 0 という方程式の解を に代入すれば,余りが得られるわけだ. (例) +1を 2 +1で割ったときの余り. 2 +1= 0を解くと − =− 1 であるから, 2 = +1とおくと求める余りは 1 1 1 127 = − +1= − +1= 2 2 1 2 8 128 次の因数定理は,剰余の定理において余りを0とすることで導かれる. 重要ポイント7 の整式 因数定理 に対して が1次式 −α を因数にもつ + が1次式 (例) + + が − −2= であるから, = α =0 − を因数にもつ − −2で割り切れるときの定数 , =0 の値. +1 −2 + + とおくと, は +1, −2で割り切れる.よって,因数 定理より −1 = 1 − + = 0, 2 =6 4+2 + = 0 これらを連立させて解くと = −2 1, = −2 2 91 複素数と方程式1:重要例題 PM05A1-Z1J1-05 学習時間のめやす 各10分 例題1 重要ポイント2 α= 2−3 ,β= 1 + とするとき,次の各問に答えよ.ただし, = −1とし, は と 共役な複素数を表すものとする. (1) α を計算せよ. β (2) + = 1をみたす実数 α β 着眼 , の値の組を求めよ. (1)複素数の計算規則についての確認問題.複素数の除法では, 領で, 母と共役な複素数を 母, 子の両方にかけ, (2)複素数の相等についての理解を試す問題. 母の有理化と同じ要 母を実数に直せばよい. 母を払って両辺を整理するのが第一歩.あとは, 2つの複素数が 等しい とは,実部どうし,虚部どうしがそれぞれ一致することだから…. ( ) α= 2 −3 = 2 +3 , β= 1 + = 1− , が実数のとき + であるから = − α 2 +3 = β 1 + = 2 +3 1 − 1 + 1 − 母 βと共役な複素数 β を 2 −2+3−3 = 1 − 母と 子の両方にかけ = る.一般に,複素数 = 2 −3 −1+ −2 +3 1 − −1 = 5 + 2 + , は実数 に対 して = + = − − = + は実数であるから,この操 = 作によって ( 答) 母を実数に直 せる. ( ) を −1に置き換える. + =1 α β 両辺に αβをかけて β+ α= αβ 1 − + 2 −3 = 2 −3 1 − 母 を払う. − +2−3 = 2 −2−3+3 3 = 3 −1 = −3 +2 + − −3 = −1 −5 であり, , は実数であるから,複素数の相等より +2 = −1 , − −3 = −5 , , が実数のと き + これらを連立させて解くと , , = + = ( 答) 92 かつ = PM05A1-Z1J1-06 例題2 重要ポイント4 −5 +8= 0の2つの解を α, βとするとき,次の各問に答えよ. 2次方程式 (1)次の各式の値を求めよ. (ⅰ)α+β (ⅱ)α+β (2)α−1,β−1を2解とする 着眼 の2次方程式のうち, の係数が1であるものを求めよ. 2次方程式の解と係数の関係についての確認問題. (1)与えられた2次方程式を解き, α, βの値を求めて代入することも可能だが,やや 計算が面倒である.そこで,値を求めるべき式は αと βの対称式(αと βを入れ替えても値の変わ らない式)であること,解と係数の関係より基本対称式 α+β,αβの値がわかることに着目し,処 (2)α−1,β−1を2解とする − α−1 の2次方程式のうち, の係数が1であるものは − β−1 = 0 と表せる.ここで,左辺を整理して解と係数の関係を利用すると…. ( ) α+β= − α+β = α+β −2 αβ = 5−28 ) ,αβ= ( 答) に, αと βの対称式は,基 α+β = α+β −3 αβ α+β 本 対 称 式 α+β,αβで 表 = 5−385 せる. =1 2 5 −1 2 0= ( + = この変形がポイント.一般 =2 5 −1 6= ( + 0の2解が α, βのとき −5 8 = 5,αβ= =8 1 1 α+β= − ( 2次方程式 )解と係数の関係より ( 答) )α−1と β−1の和および積は 2数 を解にもつ の α−1+ β−1 = α+β−2 2 次 方 程 式 の う ち, の =5 −2= 3 係数が1であるものは α−1 β−1 = αβ− α+β +1 − =8 −5 +1= 4 − の の係数が1であるものは よって, + , 与えられた2次方程式を解くと − −5± −5 −418 5 ± −7 5± 7 = = 21 2 2 となるので,(1) では α+β = 5 + 7 2 + 5 − 7 2 ,α+β = 5+ 7 2 + 5− 7 2 を計算すればよく,(2) では − 5 + 7 −1 2 − + 5 − 7 −1 = 0 2 の左辺を整理すればよい.ただし,計算が面倒であり,得策とはいえない. 93 =0 の値を 求めることを考える. ( 答) = =0 − + であるから,解と係数の関係より,α−1,β−1を2解とする 2次方程式のうち, , 11章 複素数と方程式1:重要例題 理の仕方を工夫してみよう. PM05A1-Z1J1-07 例題3 重要ポイント6 次の各問に答えよ. (1)整式 −4 +3で割ったときの余りが 5 +2のとき, を を −3で割 ったときの余りを求めよ. (2)整式 +1で割ったときの余りが4であり, −4で割ったときの余りが −1 を であるとき, −3 −4で割ったときの余りを求めよ. を 整式の割り算における余りを求める問題. 着眼 (1)剰余の定理より, 3 の値を求めることが目標になるが, ていないので,すぐにはこの値を計算できない.そこで, を として, を割る式 −1 = 4, (2)剰余の定理より, ある. −4 +3,商 を の式は与えられ −4 +3で割ったときの商 ,余り 5 +2で表すことから始めよう. 4 = −1とわかるが,これらの利用の仕方がポイントで −3 −4で割った余りは1次以下の整式または0であるから,この余り を2次式 は文字係数を用いて具体的に表すことができ,この文字係数を決定することを目標にすればよい. やはり, −3 −4で割ったときの商を を ( −4 +3で割ったときの商を を ) として,条件を立式してみよう. と すると,余りは 5 +2であるから = −4 +3 = −1 −3 +5 +2 = −3で割ったとき を とす + −4 +3を 因 数 解す る. 3 = 3 −1 3 −3 3 +53 +2 ) で割ったと ,余りを ると +5 +2 と表せる.よって,剰余の定理より, を整式 きの商を の余りは ( 整式 を = 20 3 +1 7 = ( 答) 整式 を −α で 割 ったときの余りは α −3 −4で割ったときの商を とする.ま た,余りは1次以下の整式または0であるから,この余りは + , は定数 求める余りをこのように表 とおける.このとき しておくのがポイント. = −3 −4 = +1 −4 + + + + ……………( *) と表せるので,与えられた条件と剰余の定理より −1 = 4 −1 +1 −1 −4 4 +1 4 −4 解す る. −1− + = 4 − + = 4 ………………………① 4 = −1 −3 −4を 因 数 4 +4 + = −1 4 + = −1 ……………………② ①,②を連立させて解くと = −1, = 3 したがって,求める余りは ( 答) 94 ( *)に剰余の定理を適用す ることにより, 係式を導く. と の関 PM05A1-Z1J1-08 例題4 重要ポイント3 を実数の定数とする. の2次方程式 + 3 −1 + = 0について,次の各問に答え よ. (1)重解をもつとき, の値をすべて求めよ. (2)異なる2つの実数解をもち,それらがともに正であるとき, のとり得る値の範囲を求 めよ. 着眼 2次方程式の解の判別,および解の値の範囲についての問題. (1)2次方程式がどのような種類の解をもつかは,判別式の符号によって決まるのであ った. 2次関数 で学習したが,ここでは解と係数の関係を利 用する方法を身につけてもらう.異なる2つの実数解をもつ条件は,( 1)と同じく判別式を用いて 立式すればよい.2つの実数解がともに正であるためには,これらの和および積の符号がどうなっ ていればよいだろうか? ( + 3 −1 + = 0の判別式を )2次方程式 と すると = 3 −1 −41 2次方程式 = 9 −1 0 +1 = 0の判別式を とすると = 9 −1 −1 重解をもつためには, = = 0であればよいから ( , + −4 の符号についての条件に 9 −1 −1 = 0 ∴ + 帰着させる. ( 答) )与えられた2次方程式が異なる2つの実数解をもつためには, > 0であればよいから の符号についての条件に 9 −1 −1 > 0 ∴ < 1 または 9 帰着させる. >1 ……………………………① 次に,2つの実数解を α, βとおくと,これらがともに正である ためには α+β> 0,αβ> 0 この読み替えがポイント. であればよく,解と係数の関係より α+β> 0 − 3 −1 > 0 αβ> 0 >0 一方のみが0以下なら,積 < 1 3 ……② …………………………………③ は0以下になり,両方が0 以下なら和が0以下になる ことから言える. + + したがって,①∼③を同時にみたす 2次方程式 の値の範囲を求めると = 0の 2 解 を α, βと す ると ( 答) α+β= − 95 ,αβ= 11章 複素数と方程式1:重要例題 (2)このタイプの問題の解法は数学Ⅰ