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2014 年9 月21 日 礼拝メッセージ 聖書:ルカの福音書18 章18〜30 節
2014 年 9 月 21 日 礼拝メッセージ 聖書:ルカの福音書 18 章 18〜30 節 説教:何をしたらよいのでしょう 1 ある役人 感が遠のいていきます。 空回りした状態です。 1)悩み 心の中にぽっかりと穴が空いたようなむな 今日の箇所は、 ある役人がイエスに質問を しさが襲って来ました。 まだ何かすべきこと する場面から始まります。話の内容から、お があるのではないか。 自分で考えても答えは そらくこの人は伝統的な由緒ある家庭に生 わかりません。どうしたらよいのか、誰も納 まれ、立派な教育を受け、世の中のエリート 得できる答えを教えてくれません。 苦しみは コースを歩んできたものと思われます。 世の ますます深いものとなっていきました。 人々が求めて止まない地位、名誉、財産、家 富や名声などほとんど関係がない、 そんな 柄、教育、権力、ありとあらゆるものを手に 人たちから言わせれば、 この役人が悩みはな しております。 んと贅沢なことかと思うでしょう。でも、ほ そんな人がわざわざイエスを訪ねてきて、 かの人がなんと言おうとも、 苦しくてどうし このように質問しました。 「尊い先生。私は ようもないのです。 わらをもつかむ思いでこ 何をしたら、 永遠のいのちを自分のものとし の役人はイエスのところに来ました。 て受けることができるのでしょうか。 」 2 イエス 2)これらの律法は守っています 1)どうして厳しいことを言うのか 役人の質問に対し、 イエスはこのように言 イエスは、こう言います。22 節。 「 「あな います。 「戒めはあなたもよく知っているは たには、 まだ一つだけ欠けたものがあります。 ずです。 『姦淫してはならない。殺してはな あなたの持ち物を全部売り払い、 貧しい人々 らない。盗んではならない。偽証を立てては に分けてやりなさい。 そうすればあなたは天 ならない。父と母を敬え。 』 」 に宝を積むことになります。そのうえで、わ ご存じのとおり、 これらはすべてモーセの たしについて来なさい。 」すると彼は、これ 十戒のなかにあります。 役は自信をもって答 を聞いて、非常に悲しんだ。たいへんな金持 えました。 「そのようなことはみな、小さな ちだったからである。 」 時から守っております。 」 当時、 イエスは保守的な人たちから危険人 これらのことばから、 この人の信仰がどん 物と思われていました。 高い地位にある者は なものであったかわかります。 永遠のいのち 当然、 そんな危険人物に近づくようなことは を手にれるためには、 自分がなにかをしなけ しません。もしそんなことをしたなら、世間 ればならない。そう思い込んでいます。そん から強い非難を受けるリスクがありました。 な信仰をもって今日まで一生懸命がんばっ にもかかわらず、役人はイエスのところに てきました。けれども、がんばればがんばる やって来ました。 だったらイエスはもっと心 ほど永遠のいのちを手にしているという実 から歓迎すべきではないか。ところが、どう 1 ですか。 イエスはこの人が悲しむような厳し 分のものとするのですから、 盗むことになり い命令をされるのです。 こんな歓迎の仕方が ます。役人は、9 番目までの戒めは完全に あるのでしょうか。 役人のことを嫌っている 守っているという自信を持っていました。 け ようにさえ感じてしまいます。 れども十番目の戒めはどうなのか。 あなたは まとめると二つの疑問があります。 一つ目。 どうしてイエスはこのような厳しい事を 守ることができるのか。 イエスはそのように 問いかけてきました。 言ったのだろうか。 何のためにこう言ったの 役人はどうしたか。反論できません。おそ か。そして二つ目の疑問。この役人は結局救 らく、 すでにこの人はそうすべきではないの われたのか、それとも救われなかったのか。 かとうすうす気がついていたのだろうと思 います。 もっとも触れてほしくない所を突か 2) 「欲しがってはならない」 れてしまったのです。 黙って下を向いて悲し まず一つ目の疑問から見ます。 イエスはど んでいきます。 全財産を売り払うことなど絶 うして全財産を売り払いなさいと言ったの 対にできない。 何不自由なく裕福な生活をし か。考えるヒントは 20 節にあります。これ てきました。それなのに、全財産を売り払っ らはすべてモーセの十戒に含まれている命 たらどうなるか。 家族全員が着の身着のまま 令でした。けれども、よく見ると一つだけ抜 路頭に迷います。 絶対にそうはなりたくない。 かしている戒めがあるのです。 何が抜けてい そうすると十番目の律法は守れない。 認めざ るか。十戒の十番目の戒めです。 「あなたの るを得ませんでした。 隣人の家を欲しがってはならない。 すなわち 役人は最初自信をもって答えました。 「私 隣人の妻、あるいは、その男奴隷、女奴隷、 はできます。努力しています。がんばってい 牛、ろば、すべてあなたの隣人のものを、欲 ます。律法は全部守っています。 」鏡にはす しがってはならない。 」 ばらしい自分がうつっているように思って この役人は、 自分が持っている財産はすべ いました。しかしイエスのことばによって、 て自分のものであると考えています。 でも神 本当の自分の姿を見せられてしまいました。 の目から見るならどうでしょう。 神がすべて 鏡をよく見たら、 どんなにがんばってもでき 与えたものではないですか。 すべての人間は ない自分がいたのです。 「見たくないものは 生まれたとき裸でした。何も持っていない。 見えない。 」私たちは無意識にそんな行動を もし今何かを持っているというのなら、 それ しています。しかしイエスは、見たくないも はあなたが働いて手に入れたものと思って のに光を当て、 見たくないけれども見えるよ いますが、 実は神が与えてくださったもので うにされます。 す。十戒にある「隣人」というところを、全 イエスがあえて厳しいことを語ったのはそ 部「神」と言い換えたらどうですか。神であ のためでした。 るイエスがすべてを捨てなさいと言われま した。あなたの隣人である神の財産を欲し 3 すべてを捨てるイエス がってはならないのです。 もしそれがいやで 1)誰が救われるのか 自分のものとしてしまうなら、 神のものを自 さて、 この役人は永遠のいのちをいただき、 2 救われたのでしょうか。それとも救われな 人に分け与えるべきである。 皆さんはもっと かったのでしょうか。 どちらだと思いますか。 もっと教会に献金すべきである。 はっきり言 イエスがこうしなさいと言われたのことが いますが、 そんなことを言っているのではあ できなかった。 ならば当然この人は救われな りません。 い、と考えますか。あるいは、ここの場面で まだわかりませんか。 イエスが何を言いた はイエスに従えなかったけれど、 後になって かったのか。 神の律法を守ろうとしても絶対 従っていったのではないか、 と希望的観測を に守ることができない。 私たちはそのような しますか。いったいどっちだったのか。最後 者なのに、 いつまでがんばろうとしているの に考えていきます。 か。はやく白旗を振って降参しなさい。そう イエスは追い打ちをかけるようにこう言 言っているのです。 われます。 「裕福な者が神の国に入ることは、 役人はこう思っていました。 「救われるた 何とむずかしいことでしょう。 金持ちが神の めには、 自分が何かをしなければならない。 」 国に入るよりは、 らくだが針の穴を通るほう でも、 それはあのパリサイ人の祈りとまった がもっとやさしい。 」これを聞いただけれど く同じことです。 イエスは誰を義とされまし も驚きですが、29 節にはもっと極端なこと たか。先週触れました。 「神さま。私は律法 が書かれています。 「神の国のためには、 家、 を守れない罪人です。 こんな私をあわれんで 妻、兄弟、両親、子どもを捨てなければなら くさい。 」このように言った取税人を義とさ ない。 」もし本当にそうだと言うのなら、教 れ、取税人が救われました。ということは、 会に来る人たちはまず家族を捨てなければ イエスは何を待っているのですか。 何かをす ならないはずです。 もちろん誰もそんなこと ることではなく、 何もできない者だと告白す はしません。 ではイエスは何を言いたいのか。 ること。それを待っておられます。 では、イエスはどうされるのでしょう。私 2)捨てていく歩み たちができなくなっていることを、 イエスが いつも言うようですが、 イエスが厳しいこ 代わりにしてくださいます。 捨てることがで とを語るときは、 いつもそこに恵みが必ず備 きないでいる私たちの代わりに、 この方がご えられています。役人は信じていました。永 自分の持っているあらゆるものを捨ててく 遠のいのちをいただくためには、 一生懸命神 ださり、 最後はいのちまでお捨てになりまし さまの命令を守るように努力しなければな た。いや、その前に世の中から捨てられてい らない。けれどもイエスに指摘されました。 くのです。そうやって、私たちに永遠のいの 「あなたはどんなにがんばっても守れない ちを与えようとされます。 「人にはできない ことがあります。 」役人は認めざるを得ませ ことが、神にはできるのです」とは、このよ ん。永遠のいのちを手にできない、そう思っ うなことです。 て悲しみました。 最後に確認します。 あの役人はどうなった 私たちはこれを読んで何を学びますか。 こ と思いますか。 永遠のいのちをいただくため の役人のようになってはいけない。 私たちは、 には何をすべきか、 そのことを尋ねるために 自分の持っているものを売り払って貧しい イエスのところにやって来ました。 決して門 3 前払いしたのではありません。 イエスから厳 しいことばを聞いて、この人は、 「私は出来 ない者です」と悲しみました。イエスが求め ておられたのはそのことでした。 あの取税人 の祈りと同じ所に導かれたのです。 というこ とはどうなりますか。 この人は救われたので す。 金持ちが救われると聞いて、 複雑な思いに なりますか。嫉妬しますか。不公平だと言い ますか。神さまは、私たちがねたみたくなる ほどに、 あらゆる人たちを救いたいと考えて います。 4