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バブル、人口動態、自然災害
バブル、人口動態、自然災害 2011年6月1日 日本銀行金融研究所 国際コンファランス 日本銀行総裁 白川 方明 図表1 日本経済は、震災後、供給面の制約を主因に、急激な景気の落ち込みに直面。 鉱工業生産指数 実質輸出指数 (季節調整済、2005年=100) (季節調整済、2005年=100) 140 115 110 130 105 120 100 予測 指数 95 90 110 100 85 90 80 80 75 70 70 2006 07 08 09 10 11 2006 07 08 09 10 11 (資料) 経済産業省「鉱工業生産指数」、日本銀行「実質輸出入」 1 図表2 実質GDP成長率でみると、1990年代以降、日本はG7諸国の中で下位グルー プにとどまっている。 実質GDP成長率 5.0 (前年比、%) 4.0 日本 米国 カナダ ドイツ フランス 英国 イタリア 3.0 2.0 1.0 0.0 1980s 1990s 2000s (備考) 1.2000年代の値は、金融危機の影響を除くため、2000年から金融危機直前の2008年までの平均。 2.1980年代のドイツの数値は西ドイツのもの。1990年代のドイツの数値は、1992年から1999年の平均。 (資料) Datastream 2 図表3 就業者一人当たり実質GDPの成長率でみると、日本は、G7諸国で上位グル ープに属している。 就業者一人当たり実質GDP 5.0 (前年比、%) 4.0 日本 米国 カナダ ドイツ フランス 英国 イタリア 3.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 1980s 1990s 2000s (備考) 1.2000年代の値は、金融危機の影響を除くため、2000年から金融危機直前の2008年までの平均。 2.1980年代のドイツの数値は西ドイツのもの。1990年代のドイツの数値は、1992年から1999年の平均。 (資料) Datastream 3 図表4 バブル崩壊後、1990年代に、日本経済は「失われた10年」と呼ばれた長い 低迷期を経験。本格的に回復したのは、2004年以降。 60 40 ( % ポイント ) 10 短観、業況判断DI (全産業、大企 業、 「良い」-「悪い」) 8 ( %) 実質GDP成長率 (3四半期移動平均) 6 20 4 0 2 -20 0 -40 -2 -60 -4 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 (備考) シャドー部分は景気後退局面。 (資料) 日本銀行「短期経済観測調査」、内閣府「国民経済計算」 4 図表5 急激な経済活動の落ち込みは、金融危機の際に発生。もっとも、1997-98年の 産出量の落ち込みは、リーマン・ショック時のそれよりもはるかに小さかった。 バブル崩壊後の日本の実質GDP 150 ( 1989年=100) リーマン・ショック後の日米の実質GDP 105 (2008/3Q=100) 2008Q3 大手金融機関の破綻から、 金融システムが不安定化。 (1998Q1, ▲1.9%) 140 130 120 100 株価のピーク (1989Q4) 110 100 95 2008Q4-09Q1 (累積) リーマン・ショック (2008Q4-09Q1, 累積▲8.1%) 90 80 70 日本 ▲8.1% 米国 ▲3.0% 90 87 90 93 96 99 02 (資料) 内閣府「国民経済計算」、米国商務省統計 05 08 04 05 06 07 08 09 1 0 11 5 図表6 バブル崩壊後の経済成長率および物価上昇率は、日米とも似通った傾 向が観察される。 実質GDP 10 消費者物価 (前年比、%) 4 (前年比、%) 8 3 6 日本 日本 4 2 2 1 0 米国 -2 -4 -6 (日本) 90 91 (米国) 07 08 0 米国 92 09 93 94 10 11 95 96 97 98 99 00 -1 (日本) 90 91 (米国) 07 08 92 09 93 10 94 95 11 96 97 98 99 00 (備考)消費者物価指数は、コア消費者物価指数。日本のコア消費者物価指数は、総合指数から生鮮食品を除いたもの。 (資料)内閣府「国民経済計算」、総務省「消費者物価指数」、米国商務省統計、米国労働省統計 6 図表7 中央銀行が「最後の貸し手」として積極的に行動しないと、金融危機の発生 を通じて、大幅な物価下落が生じる。 米国 日本 (1928年=100) (1996年=100) 130 130 120 120 消費者物価指数 110 110 100 100 90 90 マネーストック(M2) 消費者物価指数 80 80 マネーストック(M2+CD) 70 70 60 60 1996 97 98 99 2000 01 02 03 04 1928 29 30 31 32 33 34 35 36 (備考)日本の消費者物価の数値は、消費税の引き上げ(3%→5%、1997年)の影響を調整している。 (資料)総務省「消費者物価指数」、米国労働省統計、日本銀行「マネーストック」、「マネタリーベース」、N. S. Balke and R. J. Gordon (1986) 7 図表8 日本は急速な生産年齢人口の減少に直面。今後、エマージング諸国も同様 の問題に直面することが予測されている。 生産年齢人口比率 日本の生産年齢人口 (%) (百万人) 100 95 80 中国 国連による見通し 75 日本 90 韓国 日本 70 85 65 80 75 60 70 55 65 50 60 45 55 50 19 55 65 75 85 95 05 15 25 35 45 40 19 55 65 75 85 95 05 15 25 35 45 (備考)生産年齢人口は、15~64歳の人口。 (資料)United Nations, “World Population Prospects: The 2010 Revision” 8 図表9 日本の人口の年齢の中央値は44.6歳(2009年)。高齢化を反映して、有権者 の年齢は今後さらに上昇していくと予想される。 日本の人口の年齢(中央値) (歳) 50 45 40 35 30 1950年 → 1980年 → 2009年 22.3歳 32.5歳 44.6歳 25 20 1950 55 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 09 (資料)国立社会保障・人口問題研究所 9 図表10 日本では、非現役世代に対する現役世代の比率である「逆従属人口比率」 と、不動産価格のピークは、ある程度一致する。 米国 日本 2.4 100 2.2 100 90 2.2 80 2.0 70 90 2.0 80 70 1.8 60 1.8 50 1.6 60 1.6 50 40 30 1.4 20 逆従属人口比率 1.2 1.0 0 75 85 95 05 1.4 30 15 25 逆従属人口比率 20 住宅価格(ケース・シラ―住宅 価格指数、10大都市、右軸) 10 1.2 10 不動産価格(右軸) 1955 65 40 1.0 0 1955 65 75 85 95 05 15 25 (資料)K. G. Nishimura (2011), “This Time May Truly Be Different: Balance Sheet Adjustment under Population Ageing,” Remarks at the 2011 American Economic Association Annual Meeting in Denver 10 図表11 自然災害の発生頻度 (回) 1%分位点 5%分位点 1000 100 イタリア地震(1980) 東日本大震災(2011) 10 阪神・淡路大震災(1995) 2 1 チリ地震(1985) トルコ地震(1999) 0.1 0.0 1.1 2.2 3.3 4.3 5.4 6.5 7.6 直接被害額(前年名目GDP対比、%) (備考) 1.東日本大震災の直接被害額は、内閣府による試算値(25兆円)を、2011年3月末の為替レート82.84ドル/円を用いてUS ドル単位に換算。 2.直接被害額は、インフラストラクチャー・農作物・住宅の被害額を指す。 (資料) Centre for Research on the Epidemiology of Disasters (Louvain 大学)「Emergency Events Database (EM-DAT)」 11 図表12 GDP対比でみた在庫水準は、日米ともに趨勢的に低下している。 在庫水準対GDP比率 (%) 26 24 22 日本 米国 20 18 16 14 12 10 1981 1985 1989 1993 1997 2001 2005 2009 (資料)内閣府「国民経済計算」、米国商務省統計 12