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怒りは地獄 - 小平市教育委員会
朝会の話 怒りは地獄 241119 村松 きょうは、私の知っているお坊さんから聞いた話を紹介しますね。 今から300年くらい前の江戸時代に、白隠(はくいん)というえらい お坊さんがいました。その白隠さんのところに、ある日若いサムライが訪 ねて来て、本当に地獄があるのかどうか質問しました。 この質問に白隠さんは、 「りっぱなおサムライに見えるけど、 地獄がわからんようでは頼りない。あんたのような者はサムラ イではなく、偽ザムライだ!」と口汚く言いました。 だまって聞いているこのサムライに、白隠さんはつぎつぎと 悪口をいいます。じっと耐えていたサムライも、ついにがまんできなくなっ て、持っていた刀に手をかけ「武士をバカにするにもほどがある」といって、 切りかかりました。 すると白隠さんはヒョイと身をかわして、寺の中を逃げ出したのです。自分の寺の中を じょうずに逃げながら、さらに、サムライをののしりつづけるのです。サムライはもうカ ンカンになって大声でどなりながら白隠さんを追っかけ、ついに本堂のすみっこに追いつ めました。 「このくそ坊主、動くな!」 といって刀で切りつけようとしたそのとき、白隠さんが 「それが地獄だ!!」 とさけびました。その突きささるような一言は寺全体に響きわたりました。サムライは、 頭から水をかけられたようにハッとして我にかえりました。 もしも一瞬の怒りから、このお坊さんを殺したら、家族や自分はどうなるのか、怒りこ そが恐ろしい地獄であったと気がつき、「わかりました」と刀をおいて、両手をついてあ やまりました。すると白隠さんは、こんどはとてもやさしい声で「それが極楽だよ」と言 ったのです。 おそらくこのサムライは、地獄というものを死んでしまってから行く、遠いところにあ る、苦しみの世界と考えていたはずです。だからこそ、そのくわしいようすを知りたかっ たのでしょう。 白隠さんは「そんな遠い世界に目をむけるよりも、もっと近くの自分の心の中に目をむ けなさい。怒りの心をもったその時が、地獄の世界だよ」とサムライに教えたのです。 みなさんも、怒った時の自分の顔を鏡で見てごらんなさい。そんなイヤな顔は二度と見 たくないと、きっと思うはずです。怒ったその顔、怒ったその気持ちが、地獄なのです。 きょうは「怒りは地獄」というお話でした。 <裏面に「先生方へ」があります> <先生方へ> 今月はご存じのように「ふれあい月間」です。東京都教育委員会では、6・11・2月 の3ヶ月をふれあい月間と定め、いじめなどを防止して、児童生徒の健全な人間関係をつ くる月としています。 朝会では、6月に絵本「わたしのいもうと」を使い「いじめ」について話しました。今 月11月は、行為としての「いじめ」の根源にある「怒り」を取り上げることにしました。 「怒りは地獄」という白隠(はくいん)禅師のこの逸話はかなり有名で、いろいろなと ころで引用されています。相手が若ザムライだったり殿様だったりといろいろですが、内 容はほとんど同じです。今回は若ザムライバージョンにしました。 子どもたちの中で、すぐに怒ってトラブルをおこす子がいます。情緒的に問題もある場 合もあります。しかし、それ以外のときのほうがはるかに多いですね。時には怒ることが 必要な場合もあります。ただ、たいがいは怒らずに済ますほうがいい結果がでます。 誰に対してもクレームをつけ、常に怒っている大人がいます。「我、尊し」でいつも自 分が絶対なのです。こういう人はそのときはいいように見えますが、あとで結局痛い目に あいます。ですから常に地獄にいるのと同じなのです。 怒りをおさえて人に温かく接することが、人間関係をうまくつくることにつながります。 このことを子どもたちに教えておきたいと思います。学年の実態に合わせて補足しておい てください。よろしくお願いいたします。 さて、2学期も残すところ一ヶ月あまり、成績つけなどもそろそろ気になるところでし ょう。成績つけは、少しずつ積み上げていくことが大切です。一気呵成にやれるから大丈 夫と思っていると、突発的なことが発生して予定通り進まないことがよくあります。特に テストの丸付けをためないようにしたいですね。テストはできるだけその日のうちに返す ようにすると、振り返りなどができて、とても効果的です。 私は担任時代、テスト中に採点していました。できた子から持ってこさせて、その場で 採点してパソコンに入力するのです。この方法はとてもいいですよ。やり方など詳しく知 りたい方は聞きに来てください。丁寧に教えます(^^;) <資 料> 勤労感謝の日 今週の金曜日は、勤労感謝の日です。祝日の指導もよろしくお願いいたします。 「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ことを趣旨としています。 1948年(昭和23年)に制定されました。 農業国家である日本は、古くから神々に五穀の収穫を祝う風習がありました。また、そ の年の収穫物は国家としてもそれからの一年を養う大切な蓄えとなることから、収穫物に 感謝する大事な行事として、昔から新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)として祝っ てきました。第二次世界大戦後、天皇行事・国事行為から切り離される形で改められたも のが今の「勤労感謝の日」です。