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報告書(PDF - 北海道大学 大学院獣医学研究科・獣医学部

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報告書(PDF - 北海道大学 大学院獣医学研究科・獣医学部
北海道大学
博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
海外出張報告書
2014 年 2 月 18 日提出
氏名
中尾
亮
所属
人獣共通感染症リサーチセンター
職
特任助教
出張先
ザンビア大学獣医学部(ザンビア)
出張期間
2014 年 1 月 22 日〜2014 年 2 月 6 日
目的
ザンビア大学獣医学部を訪問し、リーディングプログラムについて
危機分析・対応室
の広報活動を行い、博士課程進学候補者を募集する。また、海外実
践疫学演習先としての適性を調査するため、施設・設備の見学と野
外サンプリングへの同行を行い、ザンビア大学教員ならびにザンビ
アに駐在する北海道大学スタッフと意見交換を行う。
活動内容
【ザンビア大学獣医学部】
ザンビア大学獣医学部は首都ルサカに位置し、日本政府の援助により 1983 年に設
立された。Department of Biomedical Studies、Department of Clinical Studies、
Department of Disease Control、Department of Para-Clinical Studies、Department
of Vet Medicine Centre の 5 部門から構成され、ザンビア共和国で唯一の獣医師養成
大学として獣医学教育・研究活動に取組んでいる。学部設立依頼、北海道大学獣医学
研究科とは様々な形で技術協力や人的交流が行われてきた。平成 24 年には北海道大
学ルサカオフィスが開設されるなど、南部アフリカの情報収集・発信拠点として、今
後益々交流が活発になることが予想される。
同大学には人獣共通感染症リサーチセンター・ザンビア拠点が設置されており、人
獣共通感染症研究の活動拠点として活用されてきた。また、最近では人獣共通感染症
リサーチセンター・鈴木定彦教授、高田礼人教授らにより複数の地球規模課題対応国
際科学技術協力プログラム(SATREPS)が実施されており、結核・トリパノソーマ症あ
るいはウイルス性人獣共通感染症の診断・研究・教育体制が整備されつつある。
以上の状況を踏まえ、今回の出張ではリーディングプログラムの広報活動を行うと
ともに、ザンビア拠点等の現地研究施設の視察ならびに野外調査への同行により、海
外実践疫学演習先としての適性調査を行うことを目的とした。
北海道大学
博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
【リーディングプログラムの広報活動】
ザンビア大学獣医学部長 Dr . Kennedy Choongo 氏と面会し、リーディングプログ
ラムの概要を説明し、博士課程進学候補者の募集を行った。特に、人獣共通感染症対
策専門家養成コースの概要を説明するとともに、海外実践疫学演習/海外共同研究演
習や海外インターンシップ制度など、本プログラムの特色を中心に意見交換をした。
同氏からは、これまでザンビアから日本への留学手段として主流であった、文部科学
省国費外国人留学制度との違いについて質問があった。面談の後、学部内での情報周
知を目的に、各 Department 宛にリーディングプログラムパンフレットを配布してい
ただいた。
学部長にプログラムのパンフレットを贈呈する筆者
獣医学部内にある北海道大学ルサカオフィス
【海外実践疫学演習先としての適性調査】
ザンビア拠点には、小川特任助教(筆者滞在期間中は出張により不在)と中川特定
専門職員が常駐し、ザンビアを中心とした南部アフリカの疫学研究活動にあたってい
る。これまで実施された研究は、ヒト、家畜(牛・豚)、野生動物(霊長類・げっ歯
類・コウモリ)、節足動物(マダニ・蚊)など対象が多岐に渡っており、多様な疫学
研究計画に対応できるとの感触を得た。実際に、オフィスに併設された倉庫内には、
野外サンプリング活動に必要な機材類が一通り揃っていた。実験室にはバイオセイフ
ティーレベル3の設備が整っており、サンプルの安全な取り扱いと、PCR やシーケン
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博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
スといった分子生物学的解析が実施可能な状態にある。また、各種サンプルの日本へ
の輸送方法について拠点内にノウハウが蓄積されており、国際法やザンビア国内法に
則ったかたちで、スムーズにザンビア―日本間の共同研究が実施できる状況にあるこ
とが確認できた。
ザンビア野生動物局(ZAWA)の獣医師 Dr. David Squarre をザンビア拠点前で囲んで
(同氏は人獣共通感染症リサーチセンターでの短期研究留学経験があり、非常に協力的である)
多様な野外サンプリングに対応できる機材類が揃う
実験室では病原体分離のための細胞培養なども可能
北海道大学
博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
滞在期間中には、Department of Disease Control の部門長である Dr. Martin
Simuunza、SATREPS 短期専門家としてザンビアに駐在する梶原博士研究員、森特定専
門職員とともに2回の野外調査に同行する機会を得た。同調査では、ルサカ近郊の
Shibuyunji 地区の共同放牧場、同じく近郊 Chaminuka 地区のゲームランチ・エリアに
おいて、家畜および環境からマダニを採集した。マダニはザンビア大学に持ち帰り、
マダニ種の同定、核酸の抽出、特異的 RT-PCR によるフレボウイルスの検出を行った。
2回のサンプリングで、合計 1350 個体を採集し、滞在中に検査した 117 個体中、5
個体でウイルス陽性反応が得られた。
ザンビアの子供達はマダニ調査に興味津々
農村部での生乳の衛生管理は難しい課題
実験室で顕微鏡を用いたマダニ種の同定
フレボウイルスが検出された Hyalomma 属マダニ
北海道大学
博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
最後に、北海道大学―ザンビア大学間で様々な共同研究が進行中であるが、ザンビ
ア大学側の協力的な姿勢が印象的であった。多くのザンビア大学教官は、学位取得や
短期研究滞在などで北海道大学との結びつきあることがその一因であると考えられ
た。これまでの交流基盤を生かし、さらに多くの大学院学生が本リーディングプログ
ラムを活用してザンビアに渡航し感染症の現場を学ぶことが、両大学間の交流をさら
に加速させ、両国の人材育成につながる事が期待できた。
マダニ調査計画の話し合い(左から Dr. Muleya、森氏、筆者、梶原氏、Dr. Simuunza)
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