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1 活動内容 グラスゴー大学は、スコットランドの最大人口を抱える

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1 活動内容 グラスゴー大学は、スコットランドの最大人口を抱える
博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
2012 年 5 月 26 日提出
海外出張報告書(教員)
氏名
伊藤
茂男
所属
大学院獣医学研究科・薬理学教室
職
研究科長
出張先
グラスゴー大学獣医学部 (イギリス)
出張期間
2012.2.29〜2012.3.4
目的
グラスゴー大学の教育研究活動の視察および大学院学生受け入れ派
遣及び研究者の交流に関する協議
活動内容
グラスゴー大学は、スコットランドの最大人口を抱えるグラスゴー市に位置し、英
語圏の大学では 4 番目に古く、500 年以上の歴史がある大学である。グラスゴー大学
は College of Arts (4 Schools), College of Medical, Veterinary and Life Sciences (3
Schools), College of Science and Engineering (7 Schools), and College of Social
Sciences (5 Schools)から成り、学部学生 16,500 名、大学院学生 5,000 人であり、北
大よりも少し規模が大きな大学である。グラスゴー大学はトップ 100 に入る研究主体
の大学である。獣医学部は 150 年の教育の歴史があり、学生数は約 100 名で、男性
の割合は 2 割である。教員研究スタッフ数は 67 名さらに准スタッフ 63 名を合わせ
ると 130 名であった。事務技術職員を合わせたサポーティングスタッフ数は 117 名
である。ヨロッパの中でも非常に早く 1999 年に AVMA の認証を取得している獣医大
学でもある。
1.
施設の概要
グラスゴー大学の獣医学部は、グラスゴーの郊外にあり、新しい小動物病院
(Small
Animal Hospital)、馬病院、(Equine Hospital)、家畜動物病院(Scottish
Center for Production Animal Health & Food Safety)(牛、羊、豚)、獣医診断サー
ビス(Veterinary Diagnostic Services) を有する。小動物病院は(括弧内は員数)、麻
酔科(6)、行動学(2)、循環器(1)、画像解析(6)、内科(7)、神経学(7)、腫瘍・
血液(5)、眼科(1)、形成外科(5)、救急(10)、疼痛管理(2)軟部外科(3)、健
康管理(2)で総勢 57 名からなり、動物看護士数は 5 名、受付は 7 名である。小動
物病院は、非常に美しくデザイン賞を受賞しているとのことである。病院はゆるい傾
斜地を切り開いて作られており、壁は地域特有の扁平な薄茶褐色の石を幾重にも積み
重ねたものであった。玄関部分の屋根はゆるい傾斜地になっており、牧草が植えられ
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博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
ヒツジが放し飼いされていた。病院の最上階は下の写真のように小山から少し出たガ
ラス張りの建物で、採光する場所でもある。この最上階の部屋で、学生や教職員はく
つろぐことができる。
小動物病院の後側からの写真(玄関はガラス張りの建物の後側にある)
病院受付(手前は待合室、右側は全て診察室、左は検査室になっている)
2005 年に獣医学部の建物が
新しく完成し、2004 年から 1
千万ポンドをかけて小動物病
院をつくる計画を立て、2010
年に公式に開業した。オープン
スペースを十分に取り、病院検
査機能は充実しており、高額機
器であるリニアックやペット
なども装備していた。
馬の病院も獣医学部の敷地内にあり、教員 5 名、レジデント 4 名、看護師 4 名、蹄
鉄などの技術者と事務員は合わせて 3 名であった。ウイルス、細菌、真菌、寄生虫病
の診断サービス、また組織病理や臨床病理の依頼検査も行っている。また家畜動物病
院(牛、羊、豚)は、教員 8 名、レジデントとインターン 4 名、技術職員 3 名で運営
していた。グラスゴ―大学の入院馬房数は、エジンバラ大学の 30 馬房に比べると少
なく、飼育馬の頭数や手術室の数などは多くなかった。一方、家畜動物病院の病理解
剖室は屠畜場の匂いがしており、かなり頻繁に解剖検査をしていると感じた。実際,
我々が施設見学している間も、一つの所見台では内臓検査を行っていた。また現在、
グラスゴ―大学獣医学部では、ウイルス感染症センターをつくろうとしており、既に
建設予定地が決まっていた。
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博士課程教育リーディングプログラム
「One Health に貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」
2.大学院学生受け入れ派遣及び研究者の交流に関する協議
今回の視察の目的は、イギリスの獣医学研究においてはトップであると宣言して
いるグラスゴ―大学における獣医学分野の教育研究の活動状況の把握、ならびにリー
ディング大学院プログラムにおいて当研究科に所属する大学院学生の受け入れにつ
いて協議することであった。副学部長の Bennet 教授が 8 名ほどの獣医学部のスタッ
フとともに常時対応していただいた。北海道大学とグラスゴー大学獣医学部の現状と
将来展望などに関する紹介を行った後に、大学院学生及び研究者の派遣及び受け入れ
に関する話し合いを行った結果、研究者や大学院学生の交流は可能であること、日本
に行きたいという学生もいるので今後さらに詰めることとした。
3.
感想
1)人獣共通感染症リサーチセンターがある北海道大学、ロスリン研究所が近
くに移転してくるエジンバラ大学と比較すると、ウイルス感染症センターをこれから
建設しようとしているグラスゴー大学は、感染症研究の分野では少し後れをとってい
るかもしれないと感じたが、Master of Veterinary Public Health(MVPH)を 2006 年
に動物由来の食品の安全のために立ち上げている。6 コース(国際獣医学、人獣共通
感染症と感染症、獣医疫学、食品衛生 1,2、獣医疫学演習)と論文から成り立って
おり、就学期間は最低 1 年間から最大 3 年間であった。
2)新しい小動物病院はコンパクトに機能的にまとまっていること、高額な診
断治療機器が設置されていること、また産業動物病院としての設備が充実し症例数が
多いことなどから、グラスゴー大学との連携は、リーディングプログラムの大学院臨
床教育を強化・発展させるためには大変有意義であると思われる。
3)昼食会に出てこられた教員は、北大との連携に好意的であった。また学生
の中にも日本に興味を寄せる者もいた。Cameron 学部長には、スコットランドのエ
ジンバラ大学とグラスゴー大学が連携して、日本の北海道大学と東京大学と大学院生
や学部生の相互派遣を検討してほしいと依頼したが、学部長からは、エジンバラ大学
は competitor であるとのことであった。しかし、この連携協力に大きな関心を持つ
Lamm 博士はエジンバラ大学とも話し合っており、7 月に来日する。まずはエジンバ
ラ大学とグラスゴー大学の研究者同士のシンポジウムを企画することにより、学部間
協定を結び次のステップにつなげたい。
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