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北海道暖冷房換気システム協会
北海道暖冷房換気システム協会 かべ新聞 NO.14 2006.10 発行:北海道暖冷房換気システム協会(CHCVA)技術委員会 編集委員:石原正也、岩村純人、遠藤大輔、座間時男、高橋正樹、高峰徳二、 竹下健治、谷 正一、宮永朋幸、山端鉄朗、山本雄二(アイウエオ順) 給気加温システム技術について 「家の中に寒さを持込ない給気方法とは」 (有)北欧住宅研究所 所長 川本清司 (1)室内の快適な温熱環境を実現するためには 正式な名称は「ヒート・フレッシュエアーサプライ ①断熱性能があること。 システム」といいます。この装置は、2階建の住宅 ②気密性能が高い事{風・温度差}による漏気量(空 では、1階の天井フトコロに給気加温チャンバーを 気の漏れる量)を減らすこと。 設置して、1.2階全体のやや中心部に給気グリル ③窓下に暖房用パネルヒーターを設置して、ダウン をそれぞれ設置します。 ドラフト(冷却降下気流現象)を防ぎながら、24 1階にあっては天井部に、2階では床に埋込みます。 時間全室暖房を行うこと。 給気グリルを中心として、居室に排気グリルを設置 ④ ①∼③の条件を満たした上で、24時間換気を し、且つ、水廻りにも排気グリルを設けます。 行うこと。(0.5 回/時) (図―1参照) (2)四つの条件の内の換気計画については、高気 密住宅であることと相まって、排気した場合に、外 気を取り入れる給気が冬期間においては、冷たい空 気が入ってくることになります。 冷たい空気の供給は室内の快適な温熱環境を悪化さ せ、寒さと同居した住まいになります。 例え、給気口を閉めたとしても、給気口から冷気が 漏れます。外気温が −5℃以下になると、閉めた ままの給気口廻りが結露し、終いには結氷(凍って しまう)してしまいます。 家の中に寒さを持込む外壁に設けられた給気口は、 寒冷地の北海道では特に問題があります。 そこで、それらの問題を解決するために考案(特許 申請中)したのが、これからお話する給気加温シス テム技術なのです。 図―1給気加温システム経路図 としなければなりません。 ① 建物の気密性能値は、0.5cm2/m2 以下が望まし い。(1.0cm2/m2 以上の性能値の場合はモーター ファンを使用することが必要になります) ② 給気加温システム全体の抵抗値(全圧力損失抵 抗値)は、100m3/h を流したときに生じる抵抗 値は、0.5mmAq 以下に設計すること。 (150m3/h では、およそ 1.12mmAq 以下) ③ 排気装置である換気システムは、出来るだけ低 圧損(抵抗の少ない)で設計し、0.5 回/時以上 暖たかい新鮮空気が各々の排気グリルに向かって流 の排気量を必らず確保すること。 れることによって、全体の換気経路がつくられ、室 ④ 給気加温チャンバーは、2分流型で、超低圧損 内の空気が途中でよどむことなく、家全体が新鮮な で給気され、且つ、加温性能が、+43℃位に 空気質になります。 なるように設計すること。 換気によって、室内空気質を良好な状態に維持し健 ⑤ 加温能力については、外気温がいくら低くても、 康的な生活を確保できることになります。 風がどんなに強く共、+42∼43℃前後で機 この装置の仕組みは、モーターファンなどの動力を 械換気量の55∼70%位の量で供給されます。 使わず、建物の高気密化と排気による室内のマイナ (給気量は、建物の気密性能値に影響されま ス圧力及び給気システム全体の超低圧損化(外気を す。)因みに、0.7∼0.3cm2/m2 が55∼70% 導入するにあたって、給気加温チャンバーやダク に該当します。 ト・給気グリル・外部にある給気取入れ口に至るま ⑥ 今までの述べた前提条件を順守すると、給気加 での抵抗を限りなく小さくしていること=(特許申 温システムで得られる給気量は、排気ファンモータ 請中)による総合的成果によるものです。(写真― によって排気する第3種換気システムの総排気量= 1) 0.5 回/時の55∼70%位確保可能となります。 以上の性能は、北海道大学 大学院工学研究科 教授 写真―1 絵内正道氏によって、平成17年1月12日∼1月 20日迄の測定により実証されています。給気流 量・給気温度は表―1・2を御参照下さい。 表―1 計画にあたっては、動力を一切使用しない、省エネ ルギーなシステムを押し進めることを前提としてい るため、給気加温システムの設計条件は以下の通り 日平均給気量 表―2 図―2(給気グリル詳細寸法図) 各階給気温度 北海道大学 絵内教授の実測データ 写真―2(給気加温チャンバー) 写真―4(給気グリル 床収納) 写真―3(給気加温用フード) 是非、家を建てる際には、換気による給気導入に関 して、加温するということを取り入れて、家の中に 寒さを持ち込まない形で快適な室温を手に入れて頂 きたいと存じます。