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2008年8月号
新・参考業務月報 ICHIKAWA LIBRARY 発行:市川市中央図書館 IN F REF 編集:レファレンスカウンター こども 電話 メー ル 〒272-0015 中央計 行徳 市川市鬼高1-1-4 BM 南行 信篤 2008 年 8 月号 ℡.047-320-3333 平田 全館計 8 月 1 ,7 5 9 1 ,4 3 8 1 ,4 0 5 1 1 4 0 4 ,7 1 6 1 ,2 6 5 1 3 2 5 4 2 1 8 3 3 9 6 ,8 0 5 累 計 7 ,2 2 7 5 ,5 8 3 4 ,6 0 0 3 2 4 5 1 7 ,7 3 9 5 ,1 7 6 1 0 6 1 ,0 3 2 9 4 1 1 ,3 9 3 2 6 ,3 8 7 INF:インフォメーション・ カウンタ REF:レファレンス・カウンタ BM:自 動 車 図 書 館 今月のレファレンス記録票から 質 分類 I/D6 問 と 内 容 や し き がみ 市川市の屋敷神に関することが記載されている資料を探している。 市内の地域分布・事例・祭日等具体的な記述はないか。 所蔵資料に地域分布・事例・祭日等が記載されているものはなく、関連資料として以下を提供した。 インターネット上では確認できず。 『かいづか (市立市川博物館友の会会報) №31~60』(市立市川考古博物館)の№.50(1997 年 3 月 10 日)p3「屋敷神について」(市川博物館友の会会長 南條信義)という記事と、本号表紙の屋敷神の写 真とその簡単な解説、№.54(1999 年 3 月 20 日)p10-11「屋敷神調査に取り組もう」(根岸英之)という 記事あり。 『千葉県立房総のむら年報3』(千葉県立房総のむら 1989 年)p132-139 「農家の屋敷神と屋内神につ いて」村田憲一 『市川市史 第4巻』文化編 第4章市川の民俗 第 6 節信仰の p682「屋敷神」 参考資料として『流山の屋敷神 流山市立博物館調査研究報告書』(流山市立博物館 1993)も案内した。 I/S2 JR市川駅の利用客数を知りたい。 『都市交通年報 平成19年版』の「Ⅰ三大都市交通圏」 「3輸送量」 「(3)各駅旅客発着通過状況」「①首都交通圏」 「総武本線市川駅」p186 に、平成17年4月1日よ り平成18年3月31日までの調査による乗車(発人員数)・降車(着人員数)の人員数が掲載されてい る。定期外旅客は下り発 3,304,622 人・着 4,204,769 人、上り発 3,710,189 人・着 3,065,363 人、定 期旅客は原則として往復利用を仮定しているので、下りのみで発 4,712,811 人・着 9,204,665 人であ る。 C50.4/S2 JR総武線が小岩駅を頂点として大きく曲折しているのは、鉄道敷設される頃岡蒸気の 農作物への悪影響のため路線の計画を変更したためだと聞いたが、このことを記した本 があるか。 『ちばの鉄道一世紀』(崙書房出版 1996)、 『江戸川区史 第三巻』(東京都江戸川区役所 1976)、 『鉄 道路線変せん史探訪』(集文社 1978)、『全国鉄道事情大研究 東京東部・千葉篇 1』(草思社 2002)には 敷設の経緯の中で小岩駅付近の線形について記述はない。インターネット上でも確認できなかった。 ただし、上記の図書により以下のことがわかった。 JR 総武本線の前身である総武鉄道は、本所(現錦糸町)-八街間の免許取得・市川-佐倉間・本所- 市川間がまず開通したが、小岩-上野間も仮免許を取得していた。しかし、道路の横断が多く隅田川 (裏に続く) 架橋の問題があるため免許申請を延期し(『江戸川区史 第三巻』p259)、人家の密集する市街地通 過は早急な開通が困難と判断(『ちばの鉄道一世紀』p21)との理由から、かわりに本所-小岩間を免 許所得して建設を進めたとのこと。 『ちばの鉄道一世紀』の「汽車を追放した話は本当にあったか」の章(p14~)には、京成電鉄広報 誌『京成ライン』328 号に記載された(小岩村付近の農民が提出した)「汽車の煤煙が稲の葉に積もっ て枯死するので鉄道反対の陳情書も残っている」という文章の出典を(『ちばの鉄道一世紀』の著者 が)探し当てたが、その鉄道院文書「総武鉄道巻三」には、鉄道建設に伴う架橋や築堤により、出水 時には溢水の恐れがあるため、水利上十分な予防措置を講じなければ敷設反対との記載はあっても、 稲が枯れるとは一言半句もなく、内容をねじ曲げた創作物語を史実と称して発表していたことがわか った。という内容の記述がある。 →TOPICS 763 楽器の名前の英語による綴りを知りたい(小学 4 年生)。 児童書の楽器についての資料の書架を案内し和英辞典も提供した。その後一般書を調べた結果、『楽 器 歴史,形,奏法,構造』(マール社 1992)に、楽器をその発音方法に従って分類する「五分類法」 (気鳴楽器・体鳴楽器・膜鳴楽器・弦鳴楽器・機械、電気楽器)によって紹介しているが、その各分類 の章の序説に各楽器の名称が日本語と英語で表記されていることがわかった。 821.2 国名を漢字に表記したものの一覧を見たい(小学生高学年)。 こ ど も と し ょ か ん の 書 架 に は な し 。 Google で 「 外 国 」「 漢 字 」 で 検 索 ⇒ 「 漢 字 で 外 国 地 名 」 http://www.akatsukinishisu.net/kanji/chimei.html で参考文献としてあげられている資料で、以下の図書館所蔵のものを紹介した。 『日中辞典』(小学館 2003)は見返しの世界地図上に国名が片仮名・漢字(簡体字)の表記で、付録と して世界の主要な地名が片仮名の 50 音順に、片仮名・(国名)・漢字(簡体字)・ピンイン(拼音)表記 の順で記載されている。 『新明解漢和辞典』(三省堂 1991) その後、『何でも読める難読漢字辞典』(三省堂 1995)、『あて字用例辞典』(雄山閣 1994)、 『当て字の辞典』(東京堂出版 1991)でも表記の記載があることを確認した。 TOPICS 鉄道忌避伝説 鉄道がまだ珍しかった明治期に、人々が鉄道建設による悪影響に不安を持って鉄道や駅を町から遠ざけた という話が全国的に分布しています。これが「鉄道忌避伝説」です。実際はその事実を証明する信頼できる 文書史料(鉄道建設反対の陳情書・檄文・当事者や第三者の日記等の同時代の文書)が残されておらず、古老 の昔話として漠然と伝えられているだけなので「伝説」とされています。 現在見られる記録の多くは、古くからの地元住民の口伝を昭和期以降の地方史家や地理研究者が考証をせ ずに市町村史誌に編纂したもののようです。その市町村史誌に掲載されたため「事実」として認識されてし まい、さらには小・中学校の社会科の副読本にも掲載されて授業でも使われることにより「伝説」がさらに 拡散して、現代でもそれが事実と信じられたり誤認識されたりしています。以上については以下の参考資料 ①で実例を挙げて検証されています。 「鉄道忌避伝説」の吟味には(1)文書資料の存在、(2)同時代の鉄道建設の傾向、(3)地形との関係検討を通 じて行なう必要があること、現在では調査・研究によって、「鉄道忌避伝説」が虚構であるという実態がは っきりしてきていることが参考資料に記述されています。 参考資料:①『鉄道忌避伝説の謎』(吉川弘文館 2006) ②『鉄道の地理学』(WAVE 出版 2008) 記録表はそれぞれの分類箇所にファイルして、レファレンスカウンタに置いてあります。どうぞご覧ください。