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運動と栄養「ジュニア期の望ましい食生活」
運動と栄養「ジュニア期の望ましい食生活」 《勝利を目指す食生活》 ジュニア期は一生の中で最も栄養を必要とする時期にあたり、 9~11 歳になる男女とも大人と同等のエネルギーの摂取が必要です。 特にタンパク質やカルシウムは、成長期のため大人以上の摂取が必要となります。 カルシウムはジュニアの時に不足すると弱い骨格のまま大人になり、以降は増加させるこ とが難しくなります。 成長期のスポーツ選手が必要とする栄養 日常生活の分+運動の分+成長の分ですが、単におなかいっぱいになるまで食べればよい というものでもなく、この時期に理想的な食事とは、バランスの良い食事 具体的には主食、おかず、野菜、果物、乳製品をバランスよく摂る「栄養フルコース型」 の食事です。 ◎毎日そろえよう3つの皿を 〔エネルギー源の主食(ご飯、食パン、うどん等)を一食に必ずしっかり食べよう!〕 〔たんぱく質のおかず(主菜)は、肉類、魚類、植物類からまんべんなく摂り、脂肪のと りすぎに気をつけよう!〕 〔ビタミン豊富な野菜料理、特に緑黄色野菜は意識して肉等の2~3倍の量を食べましょ う!〕 ◎牛乳を飲みましょう(カルシウムをしっかり摂る) ★1日に3杯は飲もう! ★就寝前にコップ一杯程度! ★豆類・海藻類やビタミン D も一緒 に摂ると効果的! 1.自分の身体にあった量と質の食事をとること、とれるようになること! 2.好き嫌いをしない! 3.食事を抜かない! 《体格づくりに必要な食事・睡眠・トレーニング》 ※身体づくり(回復)=トレーニング(負荷)+食事(栄養)+休養 三大要素 サッカーがうまくなる、持久力・筋力・テクニックなどの向上には日々のトレーニングが 欠かせません。 しかし、ただやみくもに毎日ボールを追い、トレーニングを続けていればいいわけではあ りません。 栄養や睡眠をきちんととっていなければ、せっかくの努力もムダになりかねません。 Q.筋肉はどうして大きくなるの? 筋肉はいくつもの筋繊維から出来ていて、試合・トレーニング(負荷)によって筋肉がミ クロのサイズで壊されます。そして、身体の筋繊維となる材料をとり(栄養)、休息する こと(睡眠)で筋繊維が修復されます。 ◆身体づくり=トレーニング+食事+休息◆ Q.いつ食事をすると効率よく筋肉がつくの? 実は1日に2回、身体を大きくする(回復・修復)タイミングがあります。 それは ・運動後30分以内 ・睡眠中です。 この時が最も身体の中に栄養が取り込まれやすい時になります。ですから、この時、血液 中に栄養素がなければ、身体を作る素材がないということになり、ガス欠のような状態に なってしまいます。 効率良く筋肉を回復するためには、食事をするタイミングが大切になってきます。 ※リカバリーレート サイクル周期を知ることも重要! 《睡眠と成長ホルモン》 ◆睡眠は、疲労を回復させることと、成長ホルモンの分泌を盛んにするという2つの働き があります。成長ホルモンの分泌はノンレム睡眠という、脳も体も熟睡している状態の時 に分泌が盛んになります。 睡眠状態にある時は全身の筋肉も休んでいますから、筋肉細胞はエネルギーをたくさんた くわえています。 このたくさんのエネルギーが筋たんぱく質をつくるのに使われこの時、成長ホルモンの分 泌と重なり筋たんぱく質の合成が高まります。 俗に言う、「寝る子は育つ!」 ◆深い睡眠(ノンレム睡眠)をとっている時に、成長ホルモンの分泌が盛んになりますが、 特に大切なのは眠りについた直後のノンレム睡眠。 この時、最も眠りが深くなり、体は真に休息し、成長ホルモンの分泌が活発となります。 成長ホルモンの分泌は、睡眠に入って1時間頃がピークで、以後、睡眠中に1時間半~2 時間の間隔で成長ホルモンが間欠的に放出されます。 したがって、寝る時間が遅いと、この分泌が少なくなってしまうのです。 ポイント1.午後 10 時~午前 2 時頃の睡眠は深く、各種のホルモンがたくさん出るので なるべくこの時間には布団に入っていることがお勧め! ポイント2.血液中に栄養素が取り込まれるのは食事の約3時間後です。 (就寝時の3時間以上前には食事を済ませておきましょう!) ポイント3.寝つきをよくして最初のノンレム睡眠をしっかり確保することが大切! ・寝る寸前に神経をテレビやコンピュータゲームで興奮させない ・寝る前に食べると内臓の働きが活発になり眠りにくくなるので注意 ・心配事や不安な気持ちは脳を興奮させてしまいます。寝る前はリラックス!リラックス! 成長ホルモンは成長期の子供の骨を伸ばし、筋肉を肥やします。 それゆえ、子供を熟睡させることは体の発達のためにはきわめて大切なことです。 《試合前後の食事・戦い抜くエネルギーを維持する為に》 サッカーはダッシュで走ったり、パスやシュートをしたりと動きが激しいうえ、休みなく 動き続けるスポーツです。また、サッカーは指示を待つのではなく、自分でとっさに判断 しながら動かなくてはならないスポーツでもあるため、脳もエネルギー切れをおこさない ようにしなくてはなりません。 「エネルギー源を少しでも多くためこもう!」 ◆運動時の主なエネルギー源は糖質(炭水化物)です。サッカーの場合でも試合の前日か らは糖質中心(米や麺類、パン等)の食事をしっかり食べることが大切です。具体的には、 「普段よりも毎食茶碗1杯くらいは多くご飯を食べる」を目標とします。また、糖質は脳 のエネルギーでもあるので、集中力の維持にも役立ちます。 ◆糖質が体内で利用されるのに必要なビタミンB群を一緒にとることもポイントです。い くら糖質を補給してもその代謝に必要なビタミンB群がなければ、身体はエネルギーに変 えることができずに不完全燃焼をおこし、夏バテのような状態になってしまうのです。 ◆疲労予防や回復に効果があがるといわれるクエン酸を摂るのもお勧め。クエン酸はかん きつ類を始めとする果物から摂ったり、酢の物を加えたりするのも合理的です。 ◆実戦前のポイントは、選手の体調維持にあります。普段と同じような食事からエネルギ ーを補給し、その代謝を助けるビタミン、体調を保持するミネラルやその他の栄養素をで きるだけ消化の良い形で摂ることが大切です。 ◆揚げ物など油を多く使った料理や食物繊維が多いものは注意が必要です。揚げ物類は胃 腸への負担が大きく、消化にはマイナスです。食物繊維は普段の食事では心がけてとりた い食材ですが、試合前はお腹にガスがたまってコンディションを崩す原因にもなるので、 とりすぎは禁物です。 ◆夜は少しでも早く眠るように心がけてください。練習でどんなに高い技術を身につけて も、試合のときに体調が崩れていては100%力を発揮できません。 「試合前はなにより体調維持が重要!」 《試合当日の食事》 1.いつもの食事は 2~3 時間前までにすませておく 一般的な消化時間を考えると、いつもの食事は試合の約 2~3 時間前までにすませておいた ほうがよいでしょう。 また、試合当日は、移動や試合時刻によって、いつものようにきちんと食事することがむ ずかしくなります。出かける前に、しっかり朝食を摂っておきます。 2.エネルギー源となる炭水化物を中心に消化のよい(低脂肪)ものを食べる 試合日は、緊張状態から消化器官がうまくはたらくことができず、消化能力は低下します。 緊張しているときに、脂っぽいおかずなどをたくさん食べると消化に手間取り、“胃もた れ”や“腹痛”の原因となります。 3.しっかりと水分補給をする 試合前に食欲がなく、食べられないときは、まず水分をしっかりと補給しましょう。その 際、牛乳に砂糖を加えたり、フルーツジュースやスポーツ飲料を活用するなど糖分を補う と良いでしょう。 4.疲労回復に有効なビタミンCやクエン酸を補給する 「普段の練習の時から自分にあったエネルギー補給を身に付けておくことが大切!!」 《試合日のお弁当》 小学生年代の試合は、1日に2、3試合することも多く、連続でゲームがあるなど試合日 ごとに状況は違うため、何を食べたらいいのか」「いつ食べたらいいのか」を判断するの は非常に難しいところです。そのためどんな状況にも対応できる、 それでいてきちんとエネルギー補給ができるようなお弁当を考えることがポイントです。 ◆直接エネルギーとなる炭水化物を利用する ※おにぎり・・・小さめにつくる。中身はクエン酸も期待できる梅干し、鉄分補給ができ る貝の佃煮、おかずの代わりにもなる塩鮭など、ビタミンやミネラル、たんぱく質(低脂 肪)を補うものがお勧め。 ※サンドウィッチ・・・一口大のものに。パンにはバターを塗らないか、極少量。中身は脂質控 えめでビタミン B1 が多いボンレスハム、ジャム、チーズ&ピクルスなどがお勧め。 ◆疲労回復に有効なビタミンCやクエン酸を補給する。 オレンジやキウイなどの果物類はビタミン C やクエン酸も含まれていて、エネルギー代謝 にもつながるので必ず用意したい。また、果汁 100%ジュースもお勧めです。 ◆食べやすさ、手軽さ おにぎりやパンなどは、消化に1~2時間はかかります。試合の合間が1時間も空かない ことも多いため、小ぶりにするなどの工夫が必要です。また、バナナやエネルギーゼリー 飲料、果物の蜂蜜漬けなどすばやくエネルギーとなり、消化吸収の良いものを用意するの もお勧めです。 エネルギー補給+疲労回復+食べやすさ(手軽さ) 『試合時のお弁当は、試合前のエネルギー補給だけでなく、終了後のエネルギーやたんぱ く質補給にも重要な役割を果たします。 一度に食べきるものと考えないで、何回かに分けて食べられるようすることをお勧めしま す。』 《一番大切なのは試合後の栄養補給》 試合が無事終わってホッとするとその段階での食事は忘れられがちだが、疲労回復を促進 して次の試合に備えるためには、この時点での食事はとても大切になります。この時点で 次の準備が始まっています。 「運動後30分以内!」ゴールデンタイム ◆運動終了後には、体や脳を動かすエネルギー源である炭水化物(糖質)を多く含むものを、 「なるべく早く食べる」ことが大切です。 少しでも早いエネルギー源の補給が、疲労<筋グリコーゲンの回復>に効果的であるから です。そのため、運動直後にグリコーゲンの元になるブドウ糖とその取り込みを早めて、 疲労物質を除去するクエン酸を一緒に摂ることが、重要になります。 そしてこの作用は運動後30分以内がもっとも効果的で、そのタイミングを逃すと回復能 力は一気に低下して、疲労の蓄積の原因になります。放置しておくとカタボリック状態と なり筋肉を破壊していきます。 怪我の要因でもある。 ポイント1.運動後の水分補給の仕方に気をつける! ・運動後の水分補給は大切であるが、無制限に摂ってしまうと水分でおなかが膨れてしま います。また、市販のスポーツドリンクは糖分が多いため、薄めて飲むのがお勧め。 ポイント2.たんぱく質の補給も忘れない! ・ダッシュやシュート等の運動で筋肉は傷ついています。そのため、消費したエネルギー 源としての炭水化物だけでなく、たんぱく質の補給も運動後早いうちに補給する必要があ ります。「成長期の選手にとって、補食(食を補う)は非常に重要な役割を果たします。 身体づくりのために、普段の生活、練習時からも積極的に取り入れましょう!」 《最後に》 競技力=基礎体力+精神力+技術 競技力ピラミッド あなたの競技力を支えているのは、技術でも運動能力(センス)でもなく、心理面と栄養 なのです。 技術練習は毎日おこなっていても、食事は不十分のままではありませんか?競技力を伸ば していくためには、この底辺にある栄養(体力)を大きく、どっしりさせることが非常に 重要になってきます。 食事や栄養をおろそかにして、技術ばかり高めても、頭でっかちで不安定な競技力しか身 につきません。 逆に、ジュニア期にしっかりと栄養を摂り、土台である体力を大きくしておけば、 将来、より確かな技術をその上に乗せることが可能になります。 ジュニア期に作られる身体は、一生涯を通しての財産になることを忘れてはいけません。 特に骨格など身体を支える組織はジュニア期に作られるものなのです。 ですからその大切な時期には、身体を作る材料となる栄養素をきちんとした食事からとっ て欲しいのです。 ★ 一言でいうとカラダは食べた物で決まるんです!! 2010 onozawa