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2 06 - Deutsch-Japanischer
DEUTSCH-JAPANISCHER WIRTSCHAFTSKREIS 2 季刊誌 06 2006 年 DJW ニュース テーマ 1 「ルネサステクノロジ」 ルネサステクノロジは 2003 年に日立と三菱電機のジョイ ントベンチャーとして発足し、現在では世界中で 2 万7 千もの社員を抱え、自動車のナビゲーションシステムや カーステレオに使われる半導体を生産/販売し、日本市場 では 23.3%と最大のマーケットシェアを誇っています。 本社は東京で、世界 11 カ国に支店があり、最近ではト ルコにテレビ製造工場が作られたほか、現在ドイツの支 店はデュッセルドルフ近郊のラーティンゲン、ミュンヘ ン、シュトゥットガルトにあります。 ユビキタス社会を目指した「Everywhere you imagine」 を掲げ、自動車以外にも携帯電話や電気機器分野におい ても活躍しています。 ルネサステクノロジヨーロッパの会長である舟田 饒 (ゆたか)さんは、4 月に帰任されましたが、ラーティン ゲンにて合計 13 年間を過ごされました。 「ドイツに最初に来たのは 1967 年に交換留学生としてで したが、その後三菱電機に勤め、再びドイツに戻って参 りました。ルネサステクノロジ創立に当たって NRW 州経 済振興公社より十分なバックアップをいただけたのは幸 運でした」舟田さんは当時を振り返ります。「日立と三 菱という社風の違う会社の部門の合併ですが、国や文化 レベルでの違いを考えると全く問題ではありませんでした。 社風の違いというものは数年で解決される問題ですが、国や 文化の違いは社員一人一人に深く根ざしていますからね」 舟田さんは、日本とドイツにおけるマーケティングストラ テジーの違いについては、日本ではテレビの CM などで会 社名を宣伝しようとするけれども、ドイツではメッセなどを 利用して製品についてよく知ってもらうほうが効率的な知名 度アップになるし、最終的によい人材のリクルーティングに もつながると考えています。 また、ドイツでの 13 年間にわたる業務の中で、最もポジ ティブな体験としては、取引先より値段交渉決裂の末、出入 り禁止を食らった後、紆余曲折を経て結果、社員が一丸とな って 4000 万個の製品を不良品なしで納入した実績を上げ、 その取引先とビジネスを再開するまでに至ったという逸話を お話されました。 間近に迫った帰任に際して、日本でご家族と時間を過ごす のが楽しみだということですが、日本にないドイツの良さ、 たとえば時間の贅沢な使い方を懐かしむだろうと最後に言わ れました。ハイスピードで走れるドイツのアウトバーンも日 本に持って帰りたいそうです。 テーマ 2 「競技場等におけるスポンサー費用等の取扱いに関する連邦財務省通達 2」 前々回のに引き続き、PWC の税理士である天野史子さん に続編の記事を提供していただきます。 DJW ニュース 04/05 の記事では、競技場等におけるスポ ンサー費用等の取扱いに関する連邦財務省通達について 取り上げました。 通常、スタジアムやスポーツ団体とスポンサー企業間の 契約締結においては、広告宣伝、入場券提供やラウンジ 利用、飲食等の包括的な合意に対して包括契約額が請求 されますが、当該通達においては、この包括契約額をさ らに細分化し、費用の性質に応じた正しい収益税上の取 扱いを行おうとするものでした。 ところが、スポンサー契約等は往々にしてサービスの内 容ごとの対価を定めない包括契約となっており、契約額 のうちのどの部分が贈答費に相当し、また飲食を伴う接 待費になり、どの部分を従業員への給与として課税すべ きかが不明であることが多いため、時には第三者比較に よって、広告宣伝費、接待交際費、贈答費、給与課税分 等が推定されます。 なお、同通達では、このように包括契約額を各費目に 分類することが困難な場合などに適用する簡素化規定が 示されており、この簡素化規定による包括契約額の各費 1 日独産業協力推進委員会 目への配分割合は次の通りです。 • 広告宣伝費用としては包括契約額の 40%(無制限に費用 算入できます) • 接待交際費としては包括契約額の 30%(70%または 80% に費用算入が制限されます) • 取引相手先への贈答費としては包括契約額の 15%(通 常、一人当たり年間 35 ユーロを超えることから費用算入は 全額否認されます) • 従業員への贈答分として包括契約額の 15%(従業員の給 与課税の対象となります) サッカークラブ、スタジアム、ゴルフクラブ、テニスクラ ブその他スポーツクラブなどとの宣伝広告契約やスポンサー 契約があり、契約書で費用の明細を示している場合には費用 の取扱いが当該通達に照らし合わせ、税務上適正に行われて いるかを確認する必要があり、また、契約書で費用の明細を 示していない場合には、実際に提供されるサービス内容とか け離れた不当な接待交際費課税や贈答費として費用算入の否 認が行われないよう、契約規定を見直す必要があると言えま す。 こ の 記 事 に 関 し て ご 質 問 等 ご ざ い ま し た ら 、 DJW ([email protected])までお気軽にお問合せくださいませ。 日本における造船業 日本は四方を海で囲まれた狭い国土の国であるため、昔 から海に関連する産業が発達しました。 海は日本の経済/地理的以外の影響を考えても、人々の生 活全般において密接に関係しており、そのため水産業 (漁業や養殖業)や海運業が昔から盛んですが、なかで も造船業は世界有数の優れた技術力と建造能力を誇る産 業になっています。 日本は 1956 年にイギリスを抜いて世界一の地位を築い てから「造船業は日本のお家芸」とまで言われるまでに 至り、二度にわたるオイルショックや円の大幅切り上げ など幾多の難局を乗り越えて、現在でも世界のトップラ ンナーの地位を維持しています。 1999 年以来韓国に押されており、さらに中国も伸びてき ていますが、技術力では他の追随を許していません。 日本の造船業は技術革新に努めるとともに、船舶の大 型化や貨物を種類別に運ぶ専用船の開発を図り、経済効 率の高い船舶を世界中に提供してきました。現在、第 1 位の座は韓国にありますが、2004 年の日本の造船竣工量 (ロイド統計)は 1451.5 万総トンで、これは世界の造船 竣工量(4017.1 万総トン)の約 36.1%にあたります。造 船所の立地条件としては、1.広大な敷地面積が必要、2.水 深の高い海に面している、3.鉄鋼など原材料の調達などに便 利なように大きな港の近くにある、4.外での作業のため雨が 少なく気候が穏やかな地域、5.船の航路に近いところにあ る、などが挙げられます。そのため日本の造船所の多くは、 原材料の調達に便利で航路にも近い太平洋岸と、雨が少なく 気候も穏やかな瀬戸内海に集中しています。 現在、造船が盛んに行われている地域は長崎県長崎市や佐 世保市、兵庫県神戸市、京都府舞鶴市、広島県呉市、神奈川 県横浜市、東京湾岸などがあります。 造船業は、世界的にみても技術の進歩の度合いが極めて激 しい産業の一つですが、日本の造船業は、今後も先端技術の 活用による新技術の開発やより一層のコスト削減など、さら なる努力を続けています。 DJW では 6 月 22 日(木)に北ドイツのキールにて「日欧にお ける海洋・船舶技術に関する講演会」を行います。ケースス タディには造船業界で著名な株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドをお迎えするほか、セーリングクルーズ や W 杯「日本-ブラジル戦」のテレビ中継を会場の大スク リーンにて観戦するプログラム等盛り沢山を予定していま す。詳しくは下記の日独イベント情報をご覧ください。 日独イベント情報 「日欧における海洋・船舶技術に関する講演会」 日欧における海洋・船舶技術の研究開発の現状や、将来 への兆しなどを業界で著名な講師をお迎えするほか、実 際の企業によるケーススタディを含めてご紹介いたしま す。講演会にはドイツ近隣諸国からの多数の参加者を予 定しております。 日時:6 月 22 日(木)10:00-16:00、その後様々なプログ ラム開始 会場:キール単科大学(ハンブルクより電車で約 1 時間) 主催:JAMSTEC(日本海洋研究開発機構)、IFM Geomar (the Institute for Marine Science and the Research Center for Marine Geosciences)、HDW、DJW など その他:講演は英語で行われます。事前にお申し込み下 さい。参加費 60 ユーロ (DJW 会員は 40 ユーロ)を事前に お振込み下さい。参加費には昼食・軽食代や見学ツアー代 が参加・不参加に関わらず含まれます。 見学ツアーには風洞設備や学術研究船、海洋研究所を、 それに加え帆船でのクルーズもご用意しております。 当講演会はマリンスポーツで有名な「キール週間」中に 行われるため、講演会以外にもキールでの滞在をお楽し みいただけますが、ホテルの確保が非常に難しくなって おりますので、お早目の予約をお勧めいたします。 発行: 日独産業協力推進委員会(DJW) 編集: 西田真奈 発行責任者: DJW, Stockumer Kirchstraße 61, 40474 Düsseldorf, Germany Tel./ Fax: +49(0)211-4560-8385 / -8511 「自動車業界の今後の発展傾向と日独における自動車部品 サプライヤの役割に関する講演会」 日本とドイツは世界的に見ても特に自動車産業が発達してい ますが、今回は特に自動車部品サプライヤの担う役割にスポ ットを当てます。 日時:9 月 9 日(土)10:00-18:00 (予定) 会場:アーヘン工科大学 主催:アーヘン工科大学、JETRO、デュッセルドルフ日本 商工会議所、DJW など その他:講演は英語で行われます。事前にお申し込み下さ い。講演会前後には見学ツアーが予定されています。 「ドイツのエネルギー市場の自由化における可能性」 ドイツのエネルギー市場の自由化に伴う、在独日系企業にと って効果的な省エネのストラテジーについてのコンサルティ ングを含めた講演会です。 日時:9 月 5 日(水) 主催:ECOS、DJW、EST、デュッセルドルフ市など 会場:ヒルトン・デュッセルドルフ その他:講演はドイツ語で、日本語へは逐次通訳で行われま す。事前にお申し込み下さい。 DJW ニュースはEメールで無料購読できます。 お申し込み方法:件名に“Newsletter J“とご記入の上 [email protected] までお送り下さい。ホームページ www.djw.de から直接ダウンロードもできます。 DJW ニュースは DJW 援助会員である Messe Düsseldorf, GfW, Düsseldorf 市の援助により発行されています。 免責事項:DJW ニュース上の情報に関しては万全を期し ておりますが、その内容の正確性および安全性を保証す るものではありません。当該情報に基づいて被ったいか なる損害についても、DJW 及び情報提供者は一切の責任 を負いかねます。 2 日独産業協力推進委員会