...

宗教部通信 10月号

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

宗教部通信 10月号
愛徳学園宗教部通信
第 314 号
○ 今月のみことば
「見なさい。あなたの母です。」
2015 年
10 月
M.N
(ヨハネ19章27節)
「見なさい。あなたの母です。」これは十字架上で、イエス様ご自身が、(ヨハネを通し
て)マリア様を私たちの母として下さった時のお言葉です。
私は毎年マリア様の月には、普段あまり見たことがないマリア様の美しいご絵を中 1 に
見せています。たとえば「カーネーションの聖母」「読書の聖母」「ロザリオの聖母」他
を。
10 月になって、ふとした折に今まで見たことのないマリア様のご絵を見つけました。
大抵の絵は見ただけでその意味が分かるのですが、右の
ご絵を見た時には何のことなのかさっぱりわかりません
でした。聖母マリアの両側に天使がいて、向かって右側
の天使は「もつれた紐」をマリア様に指し出し、それが
マリア様の手を
通ると「もつれが解けた真っ直ぐな紐」になって、もう
一方の天使が受け取っているようです。
最近それは「結び目を解く聖母マリア」のご絵であることを知りました。そのいわれは
省くことにして、私たちの生涯には、もつれや複雑な問題が度々起こります。世界も国と
国の複雑な関係がもつれにもつれて、これから先どうなることかしらと心が痛みます。私
達のそばに寄り添って下さるマリア様が手を差し伸べて、人と人の間や、国と国の 間 の
複雑にこんがらがったリボンを真っ直ぐに伸ばして下さることを願って祈りたいと思いま
す。
残り少ないロザリオの月、皆で聖母マリアのもとに走り寄り、一緒にロザリオの祈りを
唱えませんか?
生徒の心に語り掛けたいこと
国語科
Y.O
サン=テグジュペリの『星の王子さま』。読んだこ
とがある人も多いと思いますが、主人公の「ぼく」
が、操縦する飛行機の故障のためにサハラ砂漠に不
時着したところから物語は始まります。「ぼく」は、
人がいないはずの砂漠の真ん中で「王子さま」に出
会い、王子さまが体験したことを聞いていくうちに、
生きていく上での大切な心構えに気づいていきます。
最後には王子さまは自分の星に帰ってしまうのですが、「ぼく」と王子さまとの温か
な心の交流や、王子さまが、バラ、ヘビ、キツネなどとやり取りをする中に、はっと
させられる言葉が多いのが、この作品の魅力だと思います。
この作品の原文はフランス語で、現在私たちはさまざまな訳本を手にすることがで
あろう
きます。しかし、翻訳出版権が切れる 2005 年までは、日本で最初に翻訳をした内藤 濯
さんという方の訳本しかありませんでした。私が最初に読んだ『星の王子さま』も、
内藤さんの訳本だったため、内藤さんの翻訳の言葉が、私の中の『星の王子さま』の
イメージを形作っているような気がします。
内藤さんの訳と他の方の訳では、ところどころに言葉のニュアンスに違いがあり、
それぞれに訳者の個性が出ていて面白いのですが、その個性が最もよく表れている箇
所が、キツネが王子さまに言った言葉の中にあります。内藤さんの訳では、「めんど
うをみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなけりゃならないんだよ、
バラの花との約束をね……」となっているところが、他の方の訳では「あんたは自分
が飼いならしたものに対してどこまでも責任がある。あんたはあんたのバラに責任が
ある……」となっています。二つの訳の決定的な違いは、「約束」と「責任」という
言葉です。内藤さん以外の多くの訳者はこの部分を「責任」と訳しています。おそら
く、原文に忠実に翻訳するなら、「責任」という言葉が正しいのでしょう。では、な
ぜ内藤さんは、ここをあえて「約束」と訳したのか、その内藤さんの思いを考えてみ
たいと思います。
「責任」という言葉には、どうしても「義務」「責務」「制裁」など、請け負わざる
を得ないもの、というイメージがつきまといます。王子さまとバラとの関係は義務感
がつきまとうような関係だったのか、と考えると、決してそうではありません。王子
く
さまは汲みたての水をやったり、風から守るために覆いガラスを作ったりして、バラ
のために多くの時間を費やします。バラは、王子さまが自分の星を出発し、離れ離れ
になるというとき、涙を流します。二人の間には互いを思いやる信頼関係があったと
思います。きっと、「責任」という言葉では言い表せない関係が二人の間にあった、
と内藤さんは考え、
「約束」という言葉で二人の強い信頼関係を表したのだと思います。
『星の王子さま』は現在、20 冊以上の訳本が出版されています。さまざまな訳本
を読み比べて、自分の好きな訳本を探してみるのも面白いです。訳本を読んでいると、
「言葉は生き物」だと実感します。原作者と訳者、それぞれの思いがちょうど交わる
瞬間、私たち読者の心に大きな感動が生まれるのだと思います。
Fly UP