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世界のガストロミー事情(PDF形式:106KB)

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世界のガストロミー事情(PDF形式:106KB)
世界のガストロノミー事情
ローマ時代から食文化が発達してきたイタリア。一方、宮廷文化とともに成熟したフラン
ス料理は 18 世紀、フランス革命により市民に広まった。以来、フランスはずっと美食文化
を牽引してきたが、その状態は 20 世紀の終わりに変化が訪れた。
●21 世紀はスペインの現代料理で幕開け
世界中で料理と化学の融合が試みられる。スペイン、イギリスなど、美食の国と縁の遠か
った国で、注目を浴びるレストランが現れる。その象徴だったスペイン「エル・ブリ」フ
ェラン・アドリアは、2011 年に引退。
●北欧の台頭
そこで次に表れたのが食材に乏しい北欧。新たな美食文化を目指し、素材の見直しが始ま
る。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドなど、若手シェフは新しいス
タイルのレストランを展開 2010 年、世界 NO1 になったのは、デンマーク「ノマ」
。
●次は中南米へ
ブラジルは世界最大の農産物純輸出国。アマゾン流域の熱帯雨林は世界の熱帯林面積の約
3分の2を占める。資源、環境を守ることから、美食文化を発展させるというのがブラジ
ルの国策でもある。レストランの世界ランクでは「DOM」が第4位にランクイン。
● さらにその次を狙うのは東南アジア、シンガポール?
今、アジアでもっともレストランシーンが活発なのは、シンガポール。ここ数年、バブル
景気で次々に新しい商業施設ができ、そこには海外から有名シェフが出店。日本からもフ
ードビジネス会社やシェフが招聘され、ずいぶん出店している。ただし、シンガポールの
問題は、土地の素材がないこと。必要なものはすべて世界中から手に入るが、シンガポー
ル産ではない。そこに料理のストーリーを作りにくい。
●
日本への注目度は?
欧米のシェフたちは特に日本の優れた素材や技法に気づいている。実際に何度か足を運ん
でいるシェフも多い。世界的に広まった寿司も含め、日本の優秀な素材を知りたいという
シェフは多い。今までは日本側が海外のシェフを招待してイベントを行うことが圧倒的に
多かったが、今では日本人シェフが海外から招待されることも多い。世界の食通から日本
人のシェフの料理が求められているのだ。
イタリアと日本人料理人
日本人として初めてローマのホテル学校で学んだのは吉川敏明氏(元カピトリーノ、現
エル・カン・ドピオ)
。1966 年より4年間滞在。その後 70 年代より修業に行く料理人が増
え、80 年代に彼らが帰国して、日本にイタメシブームが起こる。
「アル・ポルト」
「ラ・コ
メータ」など。90 年代にはお菓子のティラミス、カジュルアなナポリピッツァなど、イタ
リア料理の専門アイテムにスポットがあたり、あっという間に広まった。90 年代は同時に
スローフード運動により、貴重な素材が注目を浴びる。ちなみにナポリピッツァの大会で
の日本人の活躍は目覚しい。大西氏(サルヴァトーレ)、山本氏(中目黒・ダ・イーサ)、
寺床氏(白金・ルイージ)などはコンテストで優勝経験を持つほど。
イタリアでは、どんな場所にあるレストランでも扉を開ければ日本人がいる。日本人がい
れば、その店はおいしい、というのがジョークとなるほど、その浸透度は高い。
星付きレストランでも日本人はなくてはならない存在に。例えば、2 年前に3ツ星をとった
ばかりのモデナ「オステリア・フランチェスカーナ」の副料理長は二人とも日本人。料理
人だけでなく、3ツ星レストラン・マントヴァ「ダル・ペスカトーレ」のシェフソムリエ・
林氏のように、ワインの知識はもちろん、語学力もある日本人ソムリエが活躍中。
今回のミラノ博では、各地にいる日本人料理人に協力を要請してはどうだろうか。
最近、イタリアに修業に渡った日本人は、日本に帰らず、修業を終えてから、シェフとし
て乞われてイタリアに残り、仕事を続けている。彼らはイタリア人と会話ができる。
日本が外国にアピールできない、いちばん大きな理由は言葉の壁だ。
直に話しかけられる語学力は、非常に重要だと思う。
たとえ片言でもコミュニケーションの努力ができる料理人を是非器用して欲しい。
そして、今回のミラノ博に期待したいのは、日本から参加する料理人をきちんと選ぶこと。
参加する料理人は常に“有名シェフ”がもとめられるが、
日本の中の有名シェフなど、有名無実。いつも同じシェフが出てくるのでは、
この先、若い世代が育たない。ここ 20 年、海外に紹介されているシェフの顔ぶれはほとん
ど変わっていないのでは?しかし日本の料理界は世代交代の時期に来ていると思う。
ノマのオーナーシェフ、レネは 26 歳で注目され、現在 34 歳。外国では 30 代のシェフが活
躍し、40 代以降はベテランとして後進の育成、社会的貢献へと、活動の場を移していく。
日本の料理界にも新しい世代に活躍の場を。
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