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ドットの上方シフトは初 (FOMC)

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ドットの上方シフトは初 (FOMC)
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ドットの上方シフトは初
(FOMC)
2016年12月5日(月)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【欧米経済指標他】
・11月米雇用統計によると雇用者数は+17.8万人と堅調なペースが維持された。3ヶ月平均は+17.6万人、
6ヶ月平均は+20.5万人、12ヶ月平均は+19.5万人と何れの期間をとってみても労働市場の順調な回復が
示されている。失業率は4.6%へと0.3ptもの低下を記録、サプライズとなった。労働参加率の低下
(62.8%→62.7%)を伴っているためヘッドラインの強さは割り引く必要があるにせよ、それでも労働市
場の回復を示していることに疑いの余地はない。実際、U6失業率も9.3%へと0.2pt低下している。一方、
平均時給は前月比+0.1%、前年比+2.5%へと急減速。過去数ヶ月の著しい上昇の反動がでた格好だが、
均してみれば上昇傾向にあり労働市場の質的改善を裏付けている。
雇用統計
(NFP変化、千人)
350
(前年比、%)
(失業率、%)
400
5
10
失業率(右)
3MA
9
12MA
300
平均時給
4
8
250
3
7
200
6
150
100
5
50
4
11
12
13
14
15
16
非管理職
2
1
全雇用者
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
(備考)Thomson Reutersにより作成
17
(備考)Thomson Reutersにより作成
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株はNYダウが小幅反落、S&P500が小反発。雇用統計は概して景気回復を裏付ける結果だった
が、高値警戒感もあって売り買い交錯。アジア・欧州株の下落も重荷となった。WTI原油は51.68㌦(+
0.62㌦)で引け。OPECの減産合意が引き続き材料視されている。
・前日のG10 通貨はUSDの弱さが続いた。米雇用統計で平均時給の減速が確認された後、米金利低下・USD売
りの展開に。USD/JPYは113後半から113前半へと水準を切り下げた。EUR/USDは1.06後半で越週した後、5
日の日本時間早朝にイタリア国民投票の結果を受けて1.05前半へと水準を切り下げている(8:30)。
・前日の米10年金利は2.383%(▲6.5bp)で引け。上述のとおり平均時給鈍化を受けて米債は買い優勢へ。
欧州債市場(10年)は総じて堅調。ドイツ(0.281%、▲8.8bp)、イタリア(1.902%、▲14.8bp)、スペ
イン(1.543%、▲7.2bp)、ポルトガル(3.697%、▲6.8bp)が揃って大幅な金利低下。周縁3ヶ国加重
平均の対独スプレッドはタイトニング。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は、イタリア国民投票の結果を受けたレンツィ首相の辞意表明など欧州の政治リスクが嫌気され売
り優勢。ただし、市場の反応は限定的で日経平均は1%未満の下落に収まっている。
<#利上げ確率は100% #ドットチャート上方修正は初めて #リスクオフの可能性も>
・11月米雇用統計は12月FOMCにおける追加利上げを支持する内容であった。13-14日のFOMCでは追加利上げが
確実視されており、実際、金利先物が織り込む利上げ確率は100%となっている(ブルームバーグ算出)。
・そうしたなか、市場関係者の注目はドットチャートで示される2017年の利上げ計画に集中しよう。9月
FOMC時点での中央値は2回であったが、トランプ共和党政権による大規模景気対策の実現可能性が高まっ
ていることなど、最近の情勢変化を反映してFEDが引き締めバイアスを強める可能性が相応に高い。市
場では現行2回の利上げ計画が3回に変更されるとの指摘があり、筆者も同様に3回に変更される可能性
が高いとみている。
・そこでの問題は、これまで市場参加者がドットチャートの上方シフトを経験したことがないことだろう。
従来、FEDの強気な景気見通しとそれを前提とした利上げ計画は時間の経過と共に下方修正されるのが
常だったが、今回はこれまでとは逆のパターンになる。この場合、2013年のTapering騒動時のように米長
期金利が上昇基調を強めることでグローバルリスクオフが誘発される展開に注意が必要だろう。米株安・
原油安が新興国不安を誘発して投資家のリスク選好度を圧迫すれば、日本株も影響は免れない。USD/JPYは
日米金利差の拡大にも拘らず、円高に振れることが想定される。既に足もとの米金利上昇・USD高による米
経済の引き締め効果が意識されている現状に鑑みると、これ以上のタカ派傾斜は市場参加者の景気回復期
待を削ぐ可能性がある。市場参加者のリスク選好度を保つという観点では2回の利上げ計画の方が望まし
い。
2016年9月FOMC
5
4.5
中央値
4
中央値
3.5
中央値
3
中央値
2.5
2
中央値
1.5
1
0.5
0
2016
2017
2018
2019
(備考)FRBより筆者作成
One participant did not submit longer-run projections.
Longer
Run
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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