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答申書(案)(PDF形式:341KB)

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答申書(案)(PDF形式:341KB)
答
申
書
神戸市屋外広告物条例の改正について
(案)
平成
年
月
神戸市屋外広告物審議会
(案)
平成
神戸市長
矢
田
立
郎
年
月
日
様
神戸市屋外広告物審議会
会
長
三
輪
康
一
神戸市屋外広告物条例の改正について
(答 申)
当審議会は,平成 21 年9月9日に諮問を受けた神戸市屋外広告物条例の改正
について審議した結果,次のとおり答申します。
目
次
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.屋外広告物の現状
1 今日の屋外広告物の傾向及び屋外広告物を取り巻く状況
(1)今日の屋外広告物の傾向
① 広告宣伝全体に占める屋外広告の割合
② 屋外広告物の新たな動き
③ 簡易広告物の除却数の激減
(2)屋外広告物を取り巻く状況
① 景観施策の進展等
② コンプライアンス意識の向上
2 神戸市の景観施策
(1)景観法制定まで
(2)最近の景観施策
(3)屋外広告物規制と景観施策との連携
3 これまでの神戸市の屋外広告行政の取組み
(1)屋外広告物条例の改正
(2)路上違反広告物に対する取組み
4 デザイン都市・神戸の実現に向けて
Ⅲ.神戸市の屋外広告物規制の課題と対応
1 広告主(広告物の表示又は掲出物件の設置を依頼する者)等の責務について
2 景観政策の推進に伴う屋外広告物の経過措置規定について
3 社会情勢に適合した広告物規制の見直しについて
① 禁止物件・禁止広告物・適用除外規定の見直しについて
■ 禁止物件の規定の見直しについて
■ 禁止広告物の規定の見直しについて
■ 適用除外規定の見直しについて ~ その1 ~
■ 適用除外規定の見直しについて ~ その2 ~
② 特例許可制度の創設について
③ 除却義務・措置命令規定の見直しについて
■ 除却義務規定の見直し
■ 措置命令の規定の見直し
4 屋外広告業の特例登録制度の導入
5 許可基準の改正について
① 景観施策との連携について
② 壁面広告・電柱広告・電車にかかる車体利用広告の許可基準について
■ 壁面広告物の許可基準の見直し
■ 電柱広告の許可基準の見直し
■ 車体利用広告の許可基準の見直し
Ⅳ.今後の課題
1 LED等を利用した点滅広告・映像広告
2 一層の景観施策との連携
3 公共広告物に対する規制見直し
(1)良好な景観形成を踏まえた公共広告物のあり方
(2)違反広告物対策の強化
1
2
6
11
Ⅰ.はじめに
屋外広告物は,都市生活において必要な情報源であり,また同時に地域を活気
づけるものである。しかし,これらをなされるがままに放置した場合,広告物が
都市空間に無秩序に氾濫しかねず,その結果,都市の景観や風致を損なうことと
なる。また,屋外広告物は,設置や管理が適正に行われないと,落下や倒壊によ
り市民に危害を及ぼす場合がある。
このため,神戸市では,自然景観との調和や美しい街づくりの観点から,屋外
広告物条例及び都市景観条例により,広告物等を掲出するためのルールを定めて
いる。
しかし,屋外広告物は新技術の開発や社会経済情勢の影響を受け,たえまなく
変化している。神戸市においても平成 12 年に新たな改正条例が施行されたが,
その後の広告物及びこれを取り巻く環境が大きく変化し,そのため,広告物を掲
出するためのルールの見直しが必要となっている。
神戸市屋外広告物審議会は,神戸市の屋外広告物規制にかかる重要な事項につ
いて調査審議し,答申すべき役割を担っている。このたび,神戸市長から屋外広
告物条例の改正について,諮問があった事項について審議を行った。ここに,そ
の結果をとりまとめ答申するものである。
この答申による提言等が十分に反映され,市民,関係事業者等の協力のもと,
屋外広告物が神戸の景観と調和し,美しい街並みを形成することにより,「デザ
イン都市・神戸」の実現の一助となることを期待するものである。
平成 年 月 日
神戸市屋外広告物審議会
会長
1
三輪 康一
Ⅱ.屋外広告物の現状
1 今日の屋外広告物の傾向及び屋外広告物を取り巻く状況
(1)今日の屋外広告物の傾向
① 広告宣伝全体に占める屋外広告の割合
民間広告代理店の調査によれば,わが国全体の広告宣伝費の支出において,
インターネット広告への割合が増加傾向にあるが,これに対して屋外広告は
ここ数年,全体の約6%程度となっており,広告宣伝費に占める屋外広告の
役割には特に変化が見られない。
② 屋外広告物の新たな動き
最近の屋外広告物の新たな傾向として,青色発光ダイオードが実用化され
たことによりLEDを使ったディスプレイ広告が増加している。また,これ
まで,あまり見られなかった電車への車体利用広告が増加している。
③ 簡易広告物の除却数の激減
近年,インターネット等の新たな情報媒体の普及により,従来,簡便な告
知方法として存在していたはり紙,はり札,立看板,のぼりなどの簡易広告
物については,減少傾向にあり,このことはその除却件数の激減に表れてい
ると考えられる。
(2)屋外広告物を取り巻く状況
① 景観施策の進展等
大都市を中心に,伝統的な景観の維持や現在の都市景観の向上を図るため,
大規模な建築物や屋外広告の抑制を行う都市が増えており,これに伴い,市
民の理解も進みつつあるようである。このことは,平成 16 年に景観法が制定
されたことにより,景観施策が各地域の特性に応じて進展しているとともに,
市民の景観意識も大きく高まってきていることを表すものである。
2
② コンプライアンス意識の向上
大企業を中心に,コンプライアンス(法令遵守)の意識が高まってきてお
り,屋外広告物についても,各地方公共団体の許可基準に適合した広告物等
を,適正に許可を受けて掲出する動きが高まってきている。
2 神戸市の景観施策
(1)景観法制定まで
神戸市では,昭和 53 年 10 月に「神戸市都市景観条例」を制定し,神戸ら
しい都市景観をまもり,そだて,つくるための施策を推進してきた。この条
例は,神戸の恵まれた自然と海・坂・山という変化に富んだ地形を活かしな
がら,美しい街並みの形成を図り,すべての人が住み続けたい,また訪れて
みたくなる魅力あふれる都市の実現を目指したものである。
また,身近な都市景観の形成を図ることを目的とした「景観形成市民団体」
や市民相互による都市景観の形成を目的とした「景観形成市民協定」を認定
し,市民主体による景観形成活動への支援を行っている。また,都市景観形
成地域等の指定を行うとともに,景観形成指定建築物等届出制度により,一
定規模の建築行為や広告物の掲出等を行う場合,事前に届け出てもらい,周
辺の景観と調和のとれたものとなるように指導・助言を行っている。
(2)最近の景観施策
平成 19 年 8 月に,「みなと神戸」の顔である都心ウォーターフロントに位
置する地域を,都市景観条例による都市景観形成地域に指定し,景観形成基
準に基づき,建築物や広告物の指導・助言を行っている。
また,神戸市都市景観審議会から,山頂や海上あるいはビルの屋上などか
ら海や山を市街地とともに眺めるような,より広域的な景観である眺望景観
の保全・育成のための施策の実施について,答申がなされた。現在,神戸市
では,都市景観審議会の答申「神戸らしい眺望景観の形成について」に基づ
き,眺望景観施策の実施に向け,必要な基準の制定を準備中である。
(3)屋外広告物規制と景観施策との連携
平成 16 年 6 月に「景観法」が制定されたことにあわせ,都市景観形成地域
に指定していた7地域については,平成 18 年 2 月に,景観法に定める「景観
3
計画区域」に移行し,よりよい都市景観を形成していくための方針と,建築
物等の基準を定め,これらについての届出を求め助言・指導を行っている。
この指定にあわせ,屋外広告物の許可基準に,「景観計画に即したものであ
ること」という基準を加えたことで,景観計画基準に適合しない広告物の設
置・掲出はできなくなっている。
3 これまでの神戸市の屋外広告行政の取組み
(1)屋外広告物条例の改正
昭和 31 年に制定された神戸市屋外広告物条例は,平成 11 年に当審議会答
申「神戸市屋外広告物条例改正の考え方について」を受け,平成 12 年に全面
改正が行われた。主な内容としては,市内で一律であった許可基準を地域特
性に応じ,商工系地域と住居系地域の2つに分けたこと,建築基準法に基づ
く広告塔及び広告板の区分を統一し,屋上広告物又は地上広告物という設置
場所による区分を行ったことなど,実態に即した改正を行った。また,平成
17 年には,屋外広告物法の改正を受け,簡易除却制度の対象拡大,屋外広告
業の登録制度の導入を行った。
さらに,平成 18 年には景観法に基づく景観計画区域の告示にあわせ,屋外
広告物の許可基準に「景観計画に即したものであること」との規定を追加し,
景観施策との連携を図ったところである。
これら条例等に基づく諸施策の実施により,屋外広告物の分野において「美
しいまち神戸」の実現が進められ,一定の成果をあげてきた。
(2)路上違反広告物に対する取組み
神戸市では,はり紙,はり札,立看板,のぼり等の違法広告物は,市民か
らの通報や道路パトロールなどにより,随時,除却作業を行っている。また,
市民との協働においては,市長と協定等を締結した地域団体(
「はがし隊」)
により,はり紙等の除却活動を定期的に実施している(平成 21 年 3 月現在「は
がし隊」団体数:180団体)
。
事業者との協働においては,外郭団体,電気事業者及び他の道路管理者へ
の簡易除却権限の委任をはじめ,不動産業界の関係組合,並びにコンビニエ
ンスストアやたばこ商業関係組合と協定を締結し,道路上の違法なはり紙,
立看板等の共同除却活動及び店舗周辺のはり紙等の除却を進めている。
4
さらに,兵庫県警察本部に対し,はり紙等の違法掲出者に対する取り締ま
りを要請するとともに,建設事務所及び警察署が共同して,違法物件の指導・
除却を行っている。
一方,広報紙こうべにおいて,啓発,PR活動を行うとともに,街なかに
無秩序に掲出される屋外広告物を防止するとともに,市民が気軽に広告物を
掲出する場所として,現在,主要な駅前を中心に「みんなの掲示板」を23
箇所設置している。
<参考>
年度
広告物許可(新規)
除却件数
屋外広告業の登録(累計)
18
335
136,572
470
19
403
89,409
572
20
449
64,912
647
4 デザイン都市・神戸の実現に向けて
神戸市では,デザインを切り口とした新たな都市づくりを進める都市戦略とし
て,「デザイン都市・神戸」を推進している。「デザイン都市・神戸」とは,
「住
み続けたくなるまち,訪れたくなるまち,そして,持続的に発展するまちをめざ
して,文化・教育にたずさわる人々や企業だけではなく,すべての市民が,神戸
の持つ強みを活かし,デザインによって新たな魅力を“協働と参画”で創造する
都市」のことである。今後,「デザイン都市・神戸」の実現に向けて,ひと・も
の・まちを結びつけ,
「
“神戸らしさ”を見つめなおして,磨きをかける」ことを
基本理念とし,「まちのデザイン」などを基本方針として取り組んでいくことと
している。
「まちのデザイン」においては,神戸らしい魅力ある景観やまちなみをまもり,
そだて,つくるために,地域の実情や特性に応じた,地域の合意に基づく規制・
誘導や公共空間の魅力の向上を行うとともに,市民との協働と参画による地域性
を活かしたまちづくりを進めることとなっている。
屋外広告物行政を進めるうえにおいては,このような視点から,広告物規制を
実施するとともに,
「デザイン都市・神戸」の推進に資するように制度の見直し
を行っていく必要がある。
5
Ⅲ.神戸市の屋外広告物規制の課題と対応
現行の屋外広告物条例が平成 12 年に全部改正されて,すでに 10 年近く経過し
た今日においては,屋外広告技術が急速に進展し,景観行政の推進にあわせて市
民の景観意識も高まりをみせているとともに,市民・行政ともに法令遵守が求め
られているなど,屋外広告物行政をめぐる情勢については,大きな変化が見られ
る。そこで,屋外広告物に対する規制においては,これらの情勢の変化に対応す
るため,下記の5項目にわたり,課題について整理し,その具体的な対応を行う
べきである。
1 広告主(広告物の表示又は掲出物件の設置を依頼する者)等の
責務について
広告主に対しては,現行条例上は,広告主の定義と広告主の責任が明確に規定
されておらず,違反行為に対する責任を広告主へ遡及させることが難しい状況に
ある。
このような状況を踏まえ,良質な内容の広告物の掲出と違反広告物の根絶を図
るため,広告主の定義や責務規定及び行政指導ができる規定を明確に条例上整備
すべきである。
これらの規定を設けることで広告物を取り巻く関係人である「広告主,管理者,
設置者」に対して,適切な広告物のあり方に向けた誘導をすることができる。
2 景観政策の推進に伴う屋外広告物の経過措置規定について
現在,屋外広告物の許可基準が改正され,既存の広告物が新たな許可基準に適
合しなくなった場合,3 年間は新規定を適用しないこととなっている。
今後,景観施策の推進等に伴い,屋外広告物の許可基準が改正される場合が想
定される。この場合において,近年,広告物の耐久性が大幅に向上し,また,施
工費用も高額となっていることに鑑み,許可基準の変更により広告物の撤去又は
改修を余儀なくされる広告物の設置者に対し,不測の不利益を与えないよう配慮
が求められる。
そのため,新たな許可基準に適合しなくなる既存の広告物(
「既存不適格」
)に
6
対する経過措置期間を,現行の3年から6年(最長7年)に延長すべきである。
なお,この経過措置規定の変更は,広告物等が,広告のために構築された工作物
(建物の屋上又は他の構築物に特別に施設されたものを含む。)であるもの,もし
くは,看板及び広告器具が主として金属製であるものといった比較的耐用年数の
長いものを対象とすることとし,4年目以降は,改修計画書及び誓約書の提出を
求め,適正化を担保する必要がある。
このことにより,広告物の設置者の経済的損失を軽減するとともに,設置者等
には十分な改善期間を与えることとなり,自主的な改善を促し,計画的に適正化
を進めることができる。
3 社会情勢に適合した広告物規制の見直しについて
① 禁止物件・禁止広告物・適用除外規定の見直しについて
■ 禁止物件の規定の見直しについて
現在,違反広告物の氾濫を防止するため,信号機,道路標識等にはり紙等
を掲示することを禁止しているが,これに加えて,電柱,街灯柱,バス停留
所の上屋,アーチの支柱,アーケードの支柱及び消火栓標識を新たに禁止物
件とし,その適用を拡大すべきである。
■ 禁止広告物の規定の見直しについて
技術の進展に伴いLED表示広告が増加しており,今後の情況により,何
らかの規制が望まれるところであるが,当面の対応策として,交通安全の観
点から信号機や道路標識に類似し又はそれらの効用を妨げるような広告物の
表示を禁止する規定を設けるべきである。
■ 適用除外規定の見直しについて ~ その1 ~
現在,ラッピング技術(広告を印刷した粘着フィルムで車体を包み込む技
術)の向上により,電車や自動車の車体利用広告が広がりをみせているが,
現行の規定では,これらのものは禁止地域を通行できない規定となっている。
このため,電車・自動車が通過する路線の中に一部でも禁止地域が存在する
場合には,実際上,禁止地域以外(許可区域)でも,車体利用広告は掲出で
きない状況となっている。
7
他の多く都市では,車体利用広告には,禁止地域についての規定の適用を
除外しており,神戸市も他都市の制度を参考とし,車体利用広告の設置者等
に過度の規制とならないよう現実に即した規制を行うことが求められており,
車体利用広告については,禁止地域の適用除外規定を設けるべきである。
■ 適用除外規定の見直しについて ~ その2 ~
現在,寄贈者を表記しているものとされている広告物については,その表
示面積が0.2㎡以下である場合に限り,禁止地域及び許可申請等の適用を
除外しうることとされているが,その場合,物件ごとにあらかじめ市長が指
定をすることとなっている。近年,寄贈者の名称を表示する広告物は増加し
ており,表示面積の基準が0.2㎡と比較的小さなものであるから,今日に
至っては,あえて個々に市長が指定をする必要性までは認められず,設置者
等の手続きの簡略化のため,市長の指定の要件について見直しを検討するこ
とが望まれる。
② 特例許可制度の創設について
現在,許可基準に合致しない広告物については,いかなるものであっても
掲出を認める規定はない。
そのため,許可基準に適合しない広告物のうち,特別に景観的に優れてい
る広告物や,公共的な目的を有するためやむを得ない広告物については,附
属機関である神戸市屋外広告物審議会の議を経た上で,掲出することができ
るように改善することが妥当である。
これにより,神戸市の景観やまちのデザインにとって真に有用であり,又
は公共の利益に資する広告物を,一律に規制することの弊害を改善すること
ができるものと考えられる。なお,制度の運用にあたっては,神戸市の施策
や広告物を取り巻く情勢等との関係を整理し,特例に関する一定の指針を定
めるなど,制度の本旨に反しないよう慎重に運用を図ることが重要である。
③
除却義務・措置命令規定の見直しについて
■ 除却義務規定の見直し
現在,良好な景観の形成や公衆への危害の防止を図るために,許可期間が
満了したときその他広告物等を除却する義務が生じたときに広告物等の除却
8
を「設置者」に課しているが,除却する義務が生じた広告物等を除却するこ
とは良好な広告物管理の一環であることから,
「管理者」に除却義務を課する
ことを明記すべきである。これにより,広告物に有効な対応を行うべき関係
者に対して,広告物を適切に設置し及び管理させることが図られる。なお,
広告物が滅失した場合の届出義務についても同様である。
■ 措置命令の規定の見直し
現在,禁止地域での掲出,禁止物件への掲出,禁止広告物の掲出,その他
無許可掲出等の条例の規定に違反した管理者に対し,措置命令を行いうるが,
この規定を拡大して設置者に対しても行うことができるよう改正すべきであ
る。あわせて,
「広告主」に対して,違反となる広告物を改善・除却し,その
他必要な措置を行うよう要請・指導を行いうる規定を設けるべきである。
これらの規定を設けることで,広告物をとりまく関係者である「設置者・
管理者・広告主」各人に対して,法令遵守の意識を高め,適切な広告物管理
を行わせることにより,違反広告物の減少を図ることができる。
4 屋外広告業の特例登録制度の導入
現行では,本市の区域で屋外広告業者が屋外広告物を設置する場合は,本市に
「屋外広告業の登録」を行うことが必要となっている。
兵庫県において屋外広告業の登録をした者は,重ねて本市に登録を行わなくて
も,本市に登録されているものとみなす特例制度を新設すべきである。
この制度は他の屋外広告行政を実施する自治体では既に導入されているとこ
ろがある。神戸市においても本制度を導入すれば,兵庫県と緊密な連携を取るこ
とにより,市域を超えたエリアで行政処分の効力を及ぼすことができるようにな
る。その結果,悪質業者を排除し,優良な業者の育成の一助とすることができる
ものと思われる。また,神戸市での業の登録が不要となるため,申請者の負担を
軽減することができる。
9
5 許可基準の改正について
① 景観施策との連携について
現在,景観法に基づく「景観計画区域」において,屋外広告物規制(
「景観
計画に即したものとすること」との規制)を行っているが,神戸市都市景観
条例に基づく「都市景観形成地域」においても景観形成基準に即した広告物
とするように努める旨の努力義務規定を設けるべきである。
このことにより,より一層,景観施策との連携を図り,条例に定めた「都
市景観形成地域」における景観形成基準に関しても指導を行うことが可能に
なる。
②壁面広告・電柱広告・電車にかかる車体利用広告の許可基準について
■ 壁面広告物の許可基準の見直し
現行規定では,同一の壁面に対し,同一の広告物を複数設置することは禁
止されているが,これを緩和し,同一広告物間の距離が30m以上あるもの
については,2個まで可能とすべきである。
これにより,壁面が非常に大きい建築物では,店名表示等を2か所表示す
ることが可能となり,景観形成等の観点から特に規制が必要とはいえないも
のに対してまで,過度の規制とならないよう,適正な緩和が行える。
■ 電柱広告の許可基準の見直し
電柱広告は広域にわたってほぼ同様の形状のものが掲出されているため,
その許可基準を統一する方が良好な景観を維持できると考えられることから,
他都市の動向を踏まえ,電柱に巻き付ける広告の縦の長さを1.2m以下か
ら1.5m以下へと改正すべきである。
■ 車体利用広告の許可基準の見直し
現在,車体利用広告の許可基準は,
「広告物の表示面積は,車体の表面積(車
体の底の部分の表面積を除く。)の3分の2とすること」となっている。
今回,車体利用広告にかかる禁止地域通行の適用除外規定を設ける提言を
行っているが,電車等については,通常複数車両で編成されることから,自
動車に比べ,景観に与える影響が大きいため,表示できる面積の上限を壁面
広告と同じ基準である3分の1に規制することが適当である。
10
Ⅳ.今後の課題
1 LED等を利用した点滅広告・映像広告
現在の神戸市の規制では,住居系地域においては点滅広告・映像広告の設置
を認めていない。さらに,当審議会は,このたび,信号機周辺等にLED広告
が設置・掲出されたことにより,信号機が識別しにくくなった場合には,指導
及び撤去が可能となるように広告物規制の見直しの提言を行う。しかし,今後,
LED等を利用した点滅広告・映像広告はますます増加すると思われるため,
当該広告物の設置状況や他の都道府県市の動向を踏まえ,規制のあり方につい
て検討を進めていく必要があるものと考えられる。
2 景観施策との一層の連携等
現在,神戸市では景観計画区域における屋外広告物の設置・掲出については,
「景観計画に即したものであること」という許可基準を設けることで,景観施
策との連携を図っている。さらに,当審議会は,このたび,都市景観形成地域
における屋外広告物の設置・掲出についても,景観形成基準に即したものとす
るように努力義務を課することにより,景観施策との連携を図ることについて
提言を行う。しかし,景観に対する市民意識が大いに高まってきており,眺望
景観施策等の新たな景観施策を進める上で,屋外広告物規制との一層の連携を
図ることについて,検討を進めていく必要があるものと考えられる。
また,景観計画区域や都市景観形成地域の地域指定の制度を活用し,地域特
性に応じた広告物規制を一層,進めていくことについて検討する必要があるも
のと考えられる。さらに,地域住民や地域の企業との協働による,より一層地
域の実情を活かした屋外広告物のあり方について,検討を進めていく必要があ
るものと考えられる。
3 デザイン都市・神戸の実現に向けての取組み
(1)良好な景観形成を踏まえた公共広告物のあり方
現在,一定の規模以上の公共広告物の設置・掲出に限り,市長への届出義務
を課している。官民事業者一体となって「デザイン都市・神戸」の実現を図る
ために,良好な景観形成と公共の必要性とを踏まえた公共広告物のあり方につ
いて,今後も検討を進める必要があるものと考えられる。
11
(2)違反広告物対策の強化
デザイン都市・神戸の実現を図るためには,違反広告物に対する是正が不可
欠であり,その重要性を認識し,市民・事業者との協働により,より一層その
適正化を進める必要がある。同時に,神戸市においても,デザイン都市・神戸
の推進をより実効あるものとするために,これらの違反広告物を現実に排除し,
啓発及び指導に取り組む仕組みづくりが必要と考えられる。
12
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