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ファンドニュース
ファンドニュース 高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係る ガイドラインについて 2014 年8月 はじめに 高齢化が進む我が国において、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム等のヘルスケア施設の供給は重要 な課題となっています。日本再興戦略(2014 年 6 月 14 日閣議決定)においても、「民間資金の活用を図るため、ヘルス ケアリートの活用に向け、高齢者向け住宅等の取得・運用に関するガイドラインの整備、普及啓発等」を行うこととされて います。これを受け、2014 年 6 月に、国土交通省から、高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係る ガイドライン(以下、「本ガイドライン」)が、公表されました。 ガイドラインの目的 本ガイドラインは、ヘルスケア施設(サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、認知症高齢者グループホーム) の取引を行おうとするリートの資産運用会社が、宅地建物取引業法第 50 条の2等に基づく取引一任代理等の認可申請 等に際して整備すべき組織体制、及びヘルスケア施設の取引に際して留意すべき事項を示すことで、ヘルスケアリート 創設の環境を整えることを目的としています。 ガイドラインの概要 まず、組織体制として、ヘルスケア施設への投資業務やオペレーション業務の経験等により、ヘルスケア施設の事業 特性を十分に理解している、次のいずれかの者を配置又は関与させることとされています。 1. 一定の経験を有する重要な使用人の配置 2. 外部専門家からの助言 3. 投資委員会等への外部専門家の配置 4. その他1から3までに掲げる者に相当する専門家が関与すること 次に、資産運用会社がヘルスケア施設の取引に際して留意すべき事項として、次の3つが示されています。 1. オペレータとの信頼関係の構築及び運営状況の把握 2. 情報の収集及び開示 3. 利用者への配慮事項 このうち、「1.オペレータとの信頼関係の構築及び運営状況の把握」では、オペレータの運営状況を適切に把握でき るように、オペレータとの緊密なコミュニケーションに基づいた信頼関係を相互に構築することが望ましいとされています。 「2.情報の収集及び開示」に関して、資産運用会社がオペレータに提示を求める情報及び投資家に開示する情報に ついては、一般社団法人不動産証券化協会が 2013 年 12 月に公表した「ヘルスケア施設供給促進のためのREITの 活用に関する実務者検討委員会」中間とりまとめ並びに一般社団法人投資信託協会(以下「投信協会」)が定める「不動 産投資信託及び不動産投資法人に関する規則」及び「ヘルスケア施設供給促進のためのREITの活用に関するガイド ラインを参考とすることを推奨されています。これらにおいては、資産運用会社はオペレータからヘルスケア施設特有の 情報を入手し、オペレータの事業運営能力や経営の安定性等の事業評価を行った上で、ヘルスケア施設の評価を行う こと等が求められており、また、その際に必要な情報についてオペレータ側から提供が難しいものもあるため、ヒアリング や現地閲覧等で対応することも含めて実情に応じて対応することが求められています。さらに、事業評価に関する情報 を含めた、ヘルスケア施設特有の事情を投資家に開示することが求められています。また、投資家への情報開示につい ては、株式会社東京証券取引所による「平成 25 年金融商品取引法等の改正及びヘルスケアリート上場に向けた取組 み等を踏まえた有価証券上場規程等の改正」が 2014 年 4 月 1 日から施行されており、当該規定等を参考とすることを 推奨されています。この中では、例えば、オペレータの変更に伴い、利用者のサービス・契約内容が変わる場合には、 運用資産等に係る資産の貸借又は貸借の解消の開示項目により、施設利用者に配慮した積極的な開示が求められて います。 「3.利用者への配慮事項」について、利用者に施設利用料やサービス内容に関する不安を抱かせないように、資産 運用会社がヘルスケアリートの仕組みを利用者に周知すること、及びヘルスケア施設が適切に運営されていることを確 認することが求められています。また、オペレータに対し、行政指導等に対応した運営を行う旨を表明するよう求めること で、利用者の安心を確保することが求められています。これらに関して、投信協会が定める不動産投資信託及び不動産 投資法人に関する規則等を参考とすることを推奨されています。 本ガイドラインは、原則 2014 年 7 月 1 日から適用とされています。 おわりに 今回のガイドラインの公表により、資産運用会社のあるべき組織体制や留意事項が明確になったため、資産運用会社 がヘルスケア施設を取引する環境が整ったといえます。既に、いくつかのグループがヘルスケアリートの立ち上げを公表 していますが、多くのヘルスケアリートが組成され、ヘルスケア施設の供給という我が国の重要な課題の解決に貢献する ことが期待されます。 また、病院については今年度別途検討されることとなっていますので、今後の動向を注視する必要があります。 なお、本件の内容などにご質問などありましたら、以下のお問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。 文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることを申し添えます。 関連リンク 高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドラインの公表について あらた監査法人 第3金融部(資産運用) シニアマネジャー 比田井 猛 久 あらた監査法人 第3金融部(資産運用) お問い合わせフォーム 本冊子は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナル からのアドバイスを受けることなく、本冊子の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本冊子に含まれる情報は正確性または完全性を、 (明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本冊子に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされ たり、起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査法人、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範 囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2014 PricewaterhouseCoopers Aarata. All rights reserved. In this document, “PwC” refers to PricewaterhouseCoopers Aarata, which is a member firm of PricewaterhouseCoopers International Limited, each member firm of which is a separate legal entity Please see www.pwc.com/structure for further details.