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《竹田高校山岳部通信》シェルパ 77 号 マッターホルンに会いたくて

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《竹田高校山岳部通信》シェルパ 77 号 マッターホルンに会いたくて
《竹田高校山岳部通信》シェルパ 77 号
マッターホルンに会いたくて
~ 山岳部顧問2名のスイス遠征日記
ルンからモンテローザに連なる山脈にしばし
見入る。
~ ⑤
8月16日(金)
。いよいよツエルマットで過
ごす最後の1日となった。今回の主目的であっ
たマッターホルン登頂は8月13日に終了済
み。ツエルマットをベースにした登山で気にな
る山はモンテローザである。食材もほぼ底をつ
き始めた。
「α化米の五目ご飯は食べ飽きた!」
と合澤氏。しかし白米はこの日の朝食で最後で
ある。白米を炊き、レトルトカレー甘口で朝か
らカレーライスを食べる。我々に選択の余地は
もうないのである。
昼はモンテローザ小屋で食事をしよう。たま
には外食したっていいではないかということ
になるが、非常食用にとこの日もα化米の五目
ご飯2食分を作って携帯して登る。マッターホ
ルンは、今日もその勇
姿を麓にいる私たち
に見せつけている。し
かし、今日はもう片方
の雄、モンテローザに
向かうのだ。登山鉄道
でローテンボーデン
まで上がり、いよいよ登山開始。目の前には雪
がついていないリッフェルホルンがそびえる。
茶色い山容には今日は目もくれず、ブライトホ
隣ではラジオ体操が始まった。日本人のトレッ
キングツアーの団体がこれからどこかへ向か
うらしい。格好から判断してモンテローザでは
なさそうだ。歩き始める。ゴルナー氷河は年々
地球温暖化の影響を受けて氷河が後退してい
る。以前はたやすく氷河までたどり着けたが、
最近はルートも変わり、本格的な登山でないと
近寄りがたいルートになっている。よって当然
のことながら観光客はいない。静かな山行きが
期待できる。
氷河を目指してまず
下っていく。
トラバース道をしばらく下ると氷河に下りる
断崖絶壁に出くわす。「おいおいまじですか」
とぼやきながら少し足を振るわせながら慎重
に下降する。下りた先には氷河への橋が架けら
れている。以前のルートとは全く違うと合澤
氏は言う。
アイゼンを履いて氷河へ。
時折、クレバスが顔を覗かせる。びびる。
ハイテク機能を満載した新しいモンテローザ
小屋の姿が見えてきた。スラブ状の岩を登る。
長い氷河を
慎重に横断
する。大き
な岩があっ
たとしても
その岩も氷
河の上にあ
るに過ぎな
い。途中、
氷河から剥
がれた大き
な岩が落下
した。その
音に肝が冷
える。
目の前にあるのになかなか着かないのは山で
はよくあること。途中の岩に書かれた落書きと
見事な景色で心を和ませる。
モンテローザは目の前!とりあえずモンテロ
ーザ小屋で昼食とする。
またまたロシティと
ソーセージ!合澤氏は
オムレツとパン。
モンテローザ小屋の
今(左)と昔(右)。
宿泊客ではないがそ
っと中に入ってみた。
登山靴をクロックス
に履き替えるシステムらしい。
ネコ発見!
往路に3時間、復路2
時間を要した。いやは
やいつの日かモンテローザ小屋に泊まってみ
たいものだ。食堂の窓からマッターホルンを眺
めてみたい。登山電車に再び乗り、ツエルマッ
ト最後の1日は幕を閉じた。
明日の朝はいよいよチュー
リッヒに移動だ。登山列車か
ら愛おしい気持ちでツエル
マットの街を眺める。アパー
トに着き、スージーに宿泊料
を払う。「とても居心地が良
かったよ、スージー。」と声
をかける。部屋にたまったペットボトルをスー
パーに持っていきリサイクルボックスへ。燃え
るゴミは近くのゴミステーションへ。
この日はツエルマットでの最終日とあって休
息日にあてた。連日の登山で疲れた体を癒すこ
ととじっくりツエルマットを散策するための
日。さようなら通い慣れたスーパー、ミグロ。
レバーを引き、ゴミを投入。
夜は非常食として持ち歩いた五目ご飯を肉と
共にいため、ケチャップで味付け。オムライス
を作った。「おおっ、五目ご飯の味が全くしな
い!これは素晴らしい!まさにオムライス!」
と合澤氏が絶賛したのがこれ。なんとスープの
代わりにマルタイの棒ラーメンが付いている。
合澤氏は丌要となった荷物を郵便で送る。
財布が寂しくなったので
銀行で両替。衣類洗濯用洗剤も買ったが、当然
余ったので次の宿泊者用に置
いていく。マグナムというアイ
スも食べ納め。
残ったケチャップはスージーの冷蔵庫に残し
てきた。ペンネと食パンも。次の宿泊者かスー
ジーが使ってくださいとのメモを残して。
8月16日(金)。いよいよ出発の朝。大切
にとっておいた白米をゆかりご飯にし、味噌汁
とベーコンエッグをこしらえる。
昼はアパートに帰って「ソーメンうどん」。
ソーメンをうどんスープで味付けしたもの。き
ちんとスーパーでネギを買い求め、エビを入れ
た合澤氏渾身の一品。
食べ続けるとエビが出てくる仕掛け。芸が細か
い。
ツエルマット最後の晩餐はトマトペンネの
チーズがけ。さらばカルメナアパート。充実
した日々を過ごすことができたのも、このアパ
ートが借りられたからこそ。ホテル住まいとは
違う「我が家」のような感覚が好きだった。
そしてデザートのスイカ。甘くて最高!
それぞれ家族へのお土産や山岳部員用のチ
ョコなどを購入し、荷造りを始める。慣れ親し
んだアパートへ向かう道やアパートの中をじ
っくりと見回す。
《竹田高校山岳部通信》シェルパ 78 号
マッターホルンに会いたくて
~ 山岳部顧問2名のスイス遠征日記
チューリッヒ駅に到着。宿を探す。
~ ⑥
8月17日(土)朝。トーストとベーコンエッ
グの朝食。自炊するのはコレが最後。7:39
ツエルマット発の列車に飛び乗る。
電話でホテルの空き情報を確認。1人50スイ
スフランのツインの部屋が見つかる。朝食は付
いていない。駅から8分という。さっそくチェ
ックイン。クローネホテル。共同シャワー、共
同トイレ。エアコンなし。
テレビなし。ラジオはあ
る。4階の部屋の鍵をも
らって荷ほどき。
部屋は狭いが鍵のキーホルダーは異常にでか
い。唯一の娯楽はベッドサイドのラジオ。
見慣れた山々が、だん
だん遠ざかっていく。
サブザックのみになって部屋を飛び出す。これ
からアラフィフのおじさん2人はマイエンフ
ェルトに行くのだ。そうアルプスの少女ハイジ
の舞台となった街だ。
再び列車に乗るので
車内で食べる昼食を
スーパーでゲット。
ん、山羊のユキちゃんがいるマイエンフェルト
なのだ。我々はマイエンフェルトのワインメー
カーに直行した。そう、アラフィフのおじさん
の目的は実はハイジではなくワインだったの
だ。
一応、ハイジも探してみた。いたぞ、ここだ!
スーパーでそれぞれ
お好みの食材を購入
し、喜んでいると突
然、警察がスーパー内にいた若い男を取り押さ
え手錠をかけ逮捕するというシーンを目撃。撮
影?カメラを探すがない。人が逮捕される瞬間
というのを初めて見て少しどぎまぎする。
よく見ると建物の2階の窓辺で微笑んでいる
ではないか。ハイジのチョコも売ってるお店で
した。そうか、そうか、ハイジはこの町で「も
みの木が泣いてる!」と呟いたのか。トライさ
んがマイエンフェルトに来るずっと前の話だ。
車窓からチューリッヒ湖をのぞむ。
マイフェンフェルトに到着。ここがハイジ、ペ
ーター、おんじ、クララ、ロッテンマイヤーさ
ワインも手に入れたし、さっさとチューリッヒ
に戻り、チューリッヒ博物館へ。何しろスイス
カードがあればこの日は乗り放題、博物館も無
料なのだ。チューリッヒに戻り、散策するもの
のツエルマットほどには心が躍らない。チュー
リッヒには大聖堂も大学も美術館や博物館も
あるが、ここはただの都会だ。しかも、週末と
あって若者が遅くまで騒いで眠れやしなかっ
た。
まずはアムステルダム
へ移動。そしてアムステ
ルダムから福岡へ。往路
同様である。アムステル
ダムの空港でチーズを
食べまくる。お腹いっぱ
いになる。チーズってホント、おいしい!チュ
ーリップの球根も売られていた。
ホテル前の川。人々がボート遊び、釣りや水泳
に興じていた。わびしい夕食を部屋でとる。
機内食まで我慢できず昼食はタイ料理!そし
て搭乗。復路の機内食シリ
ーズ。カツ丼、早朝突然出
たアイスクリーム、そして
丌思議な朝食。空港や駅で
合澤氏をさがすたびに、こ
スイスフランは小銭を含めて使い果たした。あ
とはクレジットカードで購入するしかない。
8月18日(日)。さあスイス出国だ。早朝
からチューリッヒ空港へ列車で移動。さらば
チューリッヒ。約10分で空港に到着。重いザ
ックをまずは預ける。
23kg以上
だと追加料金
が取られる。
中身は山道具
と大量のチョコ
レート。溶ける
な、チョコと祈
る。
の蛍光の黄色を身に付けたセキュリティーの
人と見間違えた。何しろこんな目立つ色を来て
いる人はそうそういないもの。アムステルダム
から10時間、福岡に着いた。合澤氏を家まで
送る。このまま仕事に行くという。僕らの夢の
ような12日間がこうして幕を閉じた。(完)
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