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ニュースリリース一式 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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ニュースリリース一式 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
i〒212-8554
i神奈川県川崎市幸区大宮町1310
iミューザ川崎セントラルタワー
2007.8.29
ihttp://www.nedo.go.jp
理事長
牧野
力
光触媒冷却システムによる打ち水効果を実物件で実証(世界初)
NEDO 技術開発機構では日本オリジナルの光触媒技術の実用化開発に取り組んでいます。
この度、横浜市水道局菊名ウォータープラザ内ショールームにおいて実物件では初となる光触媒コ
ーティングガラスからなる約130m 2のカーテンウォールと散水システムを組み合わせた実証実験を
実施しました。その結果、ガラス表面に薄く広がった水が蒸発する際の蒸発潜熱(気化熱)により室内
温度が約 2℃低下し、冷房空調負荷を約 20%低減可能であることを確認しました。また同時にガラ
ス表面温度も約 10℃低下されることから、ガラスの輻射熱を低減し大気温度の上昇を抑えるヒート
アイランド対策としても期待されます。
1. 事業の背景・概要
酸化チタン(TiO2)光触媒(1)は、太陽光が当たると表面に強い酸化作用が発生し、汚れや有害化合
物、細菌などを分解する働きがあります。また、表面が非常に水に馴染みやすくなり、表面に落とした
水が一面に薄く広がる性質(超親水性)があります。
NEDO技術開発機構では、「光触媒利用高機能住宅用部材プロジェクト(平成 15~17 年)」において
光触媒の超親水性を利用した放熱部材と効率的な散水システムを組み合わせた新しい冷却システム
の開発を行いました。光触媒をコーティングした壁材、屋根材、窓ガラス等の外装材に効率的に散水を
行うことにより、建物全体を薄い水膜で覆いこの水膜が蒸発するときの蒸発潜熱(2)により外装材温度
及び室温を低下させ、夏場の冷房空調負荷を低減可能な冷却システムを確立しました。
今回横浜市水道局菊名ウォータープラザ内ショールームにおいて実物件では初めてとなる実証実験
を実施しました。光触媒コーティングガラスからなる約130m 2のカーテンウォール(3)に散水を行い、ガ
ラス面積に対して 80%以上の水膜被覆率を達成(別紙図 1 参照)し、この水膜の蒸発潜熱によりガラス
表面温度が約 10℃低下し、これに伴い室内への熱の流入が抑制され室温が約 2℃低下することが確
認されました。最終的に冷房空調負荷は約 20%低減され、実物件においても従来からのラボレベルで
の実験結果と同等の効果が得られることを確認しました。
光触媒冷却システムは、自然エネルギーである太陽光を利用し、また雨水循環による散水を行えば
新たなエネルギーを必要としない地球環境に優しい技術であり、省エネルギーとヒートアイランド対策
を併せ持つユニークな冷却システムです。
2. これまで得られた成果
前記「光触媒利用高機能住宅用部材プロジェクト」においてモデルビル(東京理科大キャンパス内)、
モデル住宅(東大キャンパス内)、休憩所(愛知万博)における実証実験を実施し、いずれの実験におい
ても 1~3℃の室温低下および 10~30%の冷房空調負荷低減効果が確認されました。今回初の実物
件での実証実験においてもこれまでの実験結果を再現する結果が得られており、本冷却システムが大
面積の実物件においても有効であることが実証されました。
3. 今後の展開、期待される効果
本冷却システムは、前記のように省エネルギーのみならずヒートアイランド対策としても有望であり、街区
レベルまで展開するとさらにその効果が期待できます。街区レベルに適用した際の効果のシミュレーショ
ンを行ったところ放熱部材を用いた壁面散水により、散水無しの場合に比べその近傍の屋外生活空間に
おける熱放射環境が改善され、特に日影の空間においてはこの効果が顕著に現れました。結果として平
均放射温度(MRT)は最大で約 6℃低下する効果が期待できます(別紙図 2 参照)。
【委託事業先 】
横浜市水道局
YKK AP 株式会社
日本板硝子株式会社
積水化学工業株式会社
4. お問い合わせ先
【本事業内容についての問い合わせ先 】
NEDO技術開発機構 環境技術開発部 山下、小林 TEL 044-520-5251
【取材申込み、その他NEDO技術開発機構の事業についての一般的な問い合わせ先 】
NEDO技術開発機構 総務部広報室 上坂、藤田 TEL 044-520-5151
なお、本件は経済産業記者会、経済産業省新聞記者会ペンクラブ、経団連会館内エネルギー記者会、
文部科学省内の文部科学記者会及び科学記者会にて、同時に資料配付を行っております。
(備考)「NEDO技術開発機構」は、「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」の略称です。
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用語の説明
(1) 光触媒:光触媒とは、光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称。通常の触媒プロセス
では困難な化学反応を常温で引き起こしたり、また化学物質の自由エネルギーを増加させる(光
エネルギーを蓄える)反応を起こす場合がある。光触媒は、光が当たると強い酸化作用と水との
馴染みが良くなる超親水性を示す。代表的な光触媒としては、酸化チタン(TiO2)が知られてい
る。
(2) 蒸発潜熱:蒸発潜熱(じょうはつせんねつ)または気化熱(きかねつ)とは、一定量の物質を気体に
変化させるために必要なエネルギーのこと。水が蒸発し気化するときに周囲から蒸発潜熱に相
当する熱を奪う。
(3) カーテンウォール:建築構造上取り外し可能な壁であり、建物の自重および建物の荷重はすべ
て柱、梁、床、屋根等で支え、建物の荷重を直接負担しない壁をいう。間仕切り壁と同様の非耐
力壁である。またカーテンウォールを直訳して帳壁(ちょうへき)とも呼ばれる。
( 別 紙 )
ガラスカーテンウォール
ガラスカーテンウォールへの散水状況
図 1.ガラスカーテンウォール外観及び散水状況
シミュレーションモデル街区
a. 建物壁面に散水なし
Aaaaaaas
も
b. 建物壁面に散水あり
図 2.光触媒冷却システムを街区に適用した場合の
平均放射温度シミュレーション例
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